JPH0716364B2 - 反芻動物の肉質改善方法 - Google Patents

反芻動物の肉質改善方法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は牛などの反芻動物の屠殺のため輸送しまたは移
動する際にみられる肉質の低下を改善する方法に関す
る。
従来の技術及びその問題点 牛などの反芻動物は、生来神経質で臆病であり、輸送や
移動に際して異常に興奮したり、暴れたりする。そこで
通常は移送移動中の給餌の困難や、輸送移動に伴うスト
レスによるルーメンの異常発酵を防止するために、輸送
物移動前及び輸送移動中は絶食させることが行なわれて
いる。そのため長時間にわたる輸送移動では反芻動物は
体力を消耗し、体重の減少を来たすだけでなく、輸送移
動後の体重の回復も遅く、特に肉牛においては、肉の色
が黒くなったり、しまりが低下したり、スポット(血
痕)が発生したりして肉質が低下し、これにより食品価
値を大きく減じることが問題になっている。
特開昭61−280239号には、輸送移動に伴う反芻動物の体
重の減少を改善する目的で輸送または移動前に少なくと
も1種の必須アミノ酸を水溶液の形で給与する方法が提
案されており、4種類のアミノ酸及びミネラル等の混合
物を投与したホルスタイン種去勢雄牛群で対照絶食群に
比べて5日間の輸送で体重の減少率が10%程度抑制され
るデータが記載されている。しかし、周知のように、牛
等の反芻動物にアミノ酸やビタミン類を通常の形態で投
与したのではルーメン内の微生物により大部分が分解さ
れてしまい、有効に利用することはできないので実効率
は低いものと考えられる。なお、前記公開公報は肉質の
改善については何ら言及していない。
一方、必須アミノ酸の1種であるL−トリプトファン
(以下、L−Trpと記す。)には抗ストレス作用である
ことが知られており、豚やトリについては短期間の多量
投与によりストレスが軽減され肉質向上の効果が認めら
れている。
しかしながら、反芻動物の場合は、ルーメンという連続
流通発酵槽をもち、この中では極めて多数の微生物(大
別するとバクテリアと繊毛虫の2種)が共生し、反芻動
物が食べた飼料中の栄養素(炭水化物、蛋白質(アミノ
酸)、油脂類など)を原料にして活発な嫌気性発酵が行
なわれており、そこで増殖した微生物は反芻動物の貴重
な蛋白質源の1つとなっている。このルーメン内では、
蛋白質やアミノ酸は大部分微生物によりアンモニアと炭
酸ガスにまで分解され、特にアミノ酸は分解されやす
く、粉末や液状で、例えば牛に投与しても、ルーメンで
分解された牛自体は投与されたアミノ酸を直接栄養源と
しては利用することができない。
L−Trpには、さらに次のような特殊事情が加わる。す
なわちL−Trpはルーメン発酵により代謝分解され、ス
カトール及びインドールを生成することが報告されてい
る(R.J.Carlsonら、Applied Microbiology27(3)540
〜548(1974).このスカートル及びインドールは反芻
動物にとっては有害性があり、量によっては肺水種、肺
気種を引き起し死亡することも明らかにされている(R.
J.CarlsonらAm J.Vet.Res.,29,1983〜9(1968))。
このような有害成分の生成を抑えるためには、ルーメン
内でのL−Trpの溶出をできるだけ少なくした剤形が考
えられる。
アミノ酸等のルーメン内での溶出を抑えて第4以降で溶
解吸収させるルーメンバイパス剤(以下Ru−By剤と略記
する。)については既に多くの提案があり、本出願人も
L−Trp等のアミノ酸についてルーメンバイパス率 の高い粒剤の開発に成功している(特開昭63−181953
号、特開昭64−13953号)。しかしながら、現在までの
ところRu−By−L−Trp(L−Trp含有ルーメンバイパス
剤)を短期間多量投与して牛などの反芻動物の輸送移動
に伴なうストレスを緩和し肉質を改善する試みは全くな
されていない。
問題点を解決するための手段 本発明者等は、本出願人が先に開発したRu−By−L−Tr
p等を用いL−Trpを反芻動物に投与して輸送移動に伴な
うストレスの解消を目差し、鋭意検討を続けた結果、輸
送移動前の所定の短期間内に多量のRu−By−L−Trpを
投与すると輸送及び移動時のストレスその他に起因する
と考えられる各種の問題点、特に肉質の低下が大巾に改
善されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は反芻動物の輸送または移動前48時間
以内に、L−トリプトファン、その誘導体、またはその
塩を含有するルーメンバイパス剤を、1日当りL−トリ
プトファン換算で10mg〜400mg/kg体重投与することを特
徴とする反芻動物の肉質改善方法である。
発明の構成 L−Trpは飼料として公知のものであり、その形態はL
−Trp自体の他、DL−Trp及び生理学上許される有機酸
塩、無機酸塩あるいは金属塩でもよいが、これらをルー
メンバイパス剤とすることが本発明においては必須であ
る。
本発明において用いられるルーメンバイパス率の高いRu
−By−L−Trpとしては物理的な方法によるもの、すな
わちL−Trpまたはその塩の溶解性を調整したコーティ
ング剤、及び化学的な方法によるもの、すなわちL−Tr
pの溶解性を調整するために化学的修飾を施したものが
ある。
前者としては、例えば本出願人が開発した方法、すなわ
ち固体状のL−Trpを固体状の補助物質(酸化マグネシ
ウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等)の共存下
または不存在下に融点40〜120℃のワックス状物質をバ
インダーとして全粒剤に対して20〜35重量%の量使用し
て撹拌造粒しつつ、L−Trp等が粒状化して表面にワッ
クス状物質の薄膜が形成される時点で、中性条件下では
実質的に水に難溶性、かつワックス状物質に不溶性で、
融点120℃以上、平均粒径10μm以下の微細固体粒子
(例えばSiO2等の微細粒子)を全粒剤に対して0.02〜5
重量%の割合で添加し、粒剤の全表面薄膜層部分に微細
固体粒子を含有せしめる方法(特開昭63−181953号)、
あるいはL−Trpを主要成分とする核粒子を、メチオニ
ン、チロシン、ロイシン、システインまたはシスチン等
の疎水性アミノ酸の1種または2種以上の混合物2〜50
重量%および中性付近の水に難溶性または不溶性で融点
が40〜110℃の保護物質(ワックス等)25〜98重量%を
含有するコート層で被覆する方法(特開昭64−13953
号)によるものが挙げられる。
また、後者の化学的修飾によるものとしては、ルーメン
内で微生物により代謝分解されにくく、生体内で吸収さ
れてほぼL−Trpと同様に挙動するとされ輸液にも使用
されているN−アセチル−Trp等のL−Trp誘導体が挙げ
られる。
反芻動物の輸送移動に伴う肉質の低下を防止するために
はRu−By−L−Trpを短期間に相当多量に投与しなけれ
ばならない。
本発明においてL−Trpの特殊な生理的効果を達成する
のに必要な投与量はL−Trpとして1日体重1kg当り10〜
400mg、望ましくは20〜200mgであり、この量を輸送移動
前48時間以内から投与する。
10mg以下では、量的に少なくて効果がはっきりしない。
逆に400mg以上では、1部ルーメン内で溶出するL−Trp
の分解生成物の害が大きくなる恐れがある。以下、この
点について詳しく説明する。
投与量はL−Trp害が出ない限り多くてよいのである
が、既に説明したようにルーメン内で分解されるL−Tr
p量によっておおよその上限が出てくる。
スカトール及びインドールの有害性については、遠藤、
神立らの研究(Nippon Ngeikagaku kaishi55(9),8
17〜819(1981))や前述のR.J.Carlsonらの研究があ
る。
遠藤らの研究では、ルーメン内溶液を用いたL−Trpの
ルーメン発酵をin vitroで経時的に行ない、L−Trp濃
度が1000ppm以上になると、繊毛虫類が減少するという
害作用が発現する傾向を推定している。また、本発明者
らはルーメンフィステル山羊を使ったin vivo試験でL
−Trpが≒250ppm(ルーメン内)という値で繊毛虫類が
減少するという害作用を確認している(後述の試験例参
照)。安全率も加えて、害作用の出ないL−Trp濃度
は、上記値の約1/5と考えるとルーメン内L−Trp濃度は
約50ppmとなる。この値を制限として安全性からみた最
大使用量を推算してみる。
600kgの成牛のルーメン内の液状物の容量を100(均
一)と仮定する(ただしルーメン内容物の容量は、飲水
量や唾液やエサの採食量などによって変化し、発醗の条
件もpHその他種々の要因に支配されて変動すると考えら
れるので、厳密に規定することは難しい)。
ルーメン内中でL−Trpとして50ppmまで安定であるとす
ると100ルーメン内容液中のL−Trpは5gとなる。従っ
て、ルーメンバイパス率によって自ずから最大使用可能
量が決まり、ルーメンバイパス率と最大使用可能量の関
係は以下のようになる。
例えば、ルーメンバイパス率が80%以下のRu−By−L−
Trpでは1日25g以上を投与できないことになる。安全性
を考慮するとルーメンバイパス率は80%が下限と考えら
れる。安全にしかも投与量を効果発現から決めるために
は最低限90%以上、望ましくは95%以上の極めて高いル
ーメンバイパス率が必要であるが、前述のルーメンバイ
パス剤はこのような性能を充分満足している。
Ru−By−L−Trpの投与時期及び回数については反芻動
物における各種飼料の消化管内通過挙動から推定され
る。一般的に、粗飼料の滞留時間は最も長く、ペレッ
ト、粒状濃厚飼料、粉末飼料と短くなって、水溶性のも
のが最も短時間にルーメンを通過する。しかしこれも各
種の変動要因を含み、本発明で用いるRu−By剤の滞留時
間も、それを織り込んで考えると10〜40時間位が妥当で
ある。従って、これらを基にして考えると輸送48時間前
位から投与すれば相当固体差の大きい牛もカバーでき、
実質的に十分な効果が期待できる。24時間前からは、1
部滞留時間の長い牛では、十分効果が発揮されない場合
が考えられる。72時間前から投与することはかまわない
が必要性は小さいと考えられる。
投与回数は、Ru−By剤の最も滞留時間が短い場合は10時
間前後と考えられるので、望ましくは所定量を1日2回
に分けて投与するのがよいが、それだけの時間がかけに
くい要因があれば次善の策として1日1回の投与でも効
果は期待できる。
輸送直前にRu−By−L−Trpを1日分を投与することは
輸送途中及び屠殺場到着後のことも考えると必ず実施す
べきである。輸送時間が24時間を越える場合には、さら
に1日分のL−Trp(すなわち、体重1kg当たりL−Trp1
0〜400mg、望ましくは20〜200mg)を含むRu−By剤を24
時間当たり少なくとも1回ないしは2回に分けて投与す
る事が必要である。
本発明の方法では、L−Trpに加えてその他のアミノ
酸、ビタミン、ミネラル、油脂など他の栄養成分を必要
に応じて加えることは、絶食時の栄養補給という面から
も好ましい。
ただし、アミノ酸、ビタミン類、油脂類などはL−Trp
と同じくルーメンバイパス化することが望ましい。アミ
ノ酸としては、L−リジン塩酸塩、DL−メチオニンをは
じめとして全アミノ酸が必要に応じて利用できる。
ビタミン類については通常飼料添加物として利用されて
いるもの、例えばビタミンA、D3、E、等の脂溶性ビタ
ミン、ビタミンB1、B2、B6、ニコチン酸、ビタミンC、
コリン、パントテン酸Ca等の水溶性ビタミンなどが利用
できる。
ミネラル、油脂類についても、同様に通常飼料添加物と
して利用されているものの中から選択される。
発明の効果 牛肉の生産量は、国民生活の向上による食生活の洋風化
もあって、この10年間に著しい伸び(139%)を示して
いる。
その反面、濃厚飼料多給による高効率肉牛肥育から派生
する諸ストレスの問題、例えば、群飼、密飼い、各種輸
送移動のストレスや環境面などのストレスなどから病気
の発生の増加、牛肉の生産効率の低下、肉質の低下等も
大きな問題になって来ている。
特に牛肉の場合は主要生産地が九州、北海道地区であり
大消費地へ新鮮な、良肉質の牛肉の供給を行うことは非
常に重要である。
本発明は、極めてルーメンバイパス率の高いL−Trp剤
を使用し、ルーメン内の通過挙動をも織り込んで投与方
法を決めたものであり、これまで例を見ない肉質を低下
させない新しい方法を提供したものである。
すなわち、反芻動物を輸送前48時間から輸送終了までの
間に、1日当りその体重1kg当りL−Trp10〜400mg、望
ましくは20〜200mgを含むRu−By剤を投与して輸送する
ことによって、はじめて実質的に反芻動物に生理的効果
を発揮する水準のL−Trpが供給され、反芻動物の輸送
において肉質の低下が防止され、動物自身が落着き、従
順になり、取扱いが容易になるなどの効果も得られる。
本発明の方法では極めてルーメンバイパス率の高いL−
Trp剤を使うことによりかなり多量のL−Trpを投与する
ことになるが、ルーメン内に溶け出すL−Trpは実質5g
以下に押えられ反芻動物に害を与えることもなく所期の
効果を達成できる。
本発明を生体牛の輸送ストレスに応用して牛肉の品質の
低下を防止できることは非常に大きな経済効果を生産者
にもたらし、消費者には新鮮なおいしい牛肉を供給する
ことができる二つの意味で極めて価値が大きい。
実施例 以下、試験例、実施例及び比較例を示して本発明の効果
を具体的に説明する。
試験例 L−Trpの繊毛虫類への影響 ほぼ同体重で同一の飼料を給与されているルーメンフィ
ステルザーネン種山羊(雌,2〜3才)3頭を用いて、ル
ーメン内へのL−Trpの添加による繊毛虫数とpH変化を
経時的に試験した。
粉末L−Trpを、1日1頭当り1.0g、2.5g、5.0g朝のエ
サに混合して給与し、12時間、24時間後のpHと繊毛虫数
を調べた。その結果は表1に示すとおりであり、1gでは
ほとんどpH、繊毛虫数とも変化しなかったが2.5gではpH
が少し下り、繊毛虫数も下る傾向を示した。5gでは繊毛
虫数は激減した。
pHもかなり下りルーメン発酵が悪い方向へ進んでいるこ
とが推定された。
L−Trpの連続投与試験 前記試験と同様の山羊2頭(D)及び(E)を用いてL
−Trpの連続7日間投与試験を実施した。山羊(D)に
はルーメンバイパス率95%のL−Trp2.5gを毎日、また
山羊(E)にはL−Trp2.5gを前記試験と同じように投
与し、繊毛虫数とpHを経時的に調べた。その結果を第1
図(繊毛虫数変化)及び第2図(pH変化)に示す。第1
図から明らかなようにルーメンバイパス化しないL−Tr
pの場合には1週間後繊毛虫数は〜0に死滅してしま
い、pHは第2図のように4.54まで低下し山羊はエサをほ
とんど食べなくなった。
なお、(E)の山羊は1週間の試験終了時相当な打撃を
受けほとんどエサを食べない状態であった。対策とし
て、他の元気な山羊のルーメン内溶液を約2位、ルー
メンフィステルから注入してやったところ(2日間)、
徐々に回復がみられ3週間位で、ほぼ回復し繊毛虫数も
3×105程度まで回復した。
実施例1 出荷牛の長距離輸送試験 北海道道東の和牛肥育牧場から、東京の屠殺場へ黒毛和
種20頭を2群に分けて試験区(Ru−By−L−Trp剤投与
群)と対照区(無投与群)とし、トラック輸送(約28時
間)を行ない、輸送による肉質の低下防止効果の試験を
行なった。
1) 牛の条件:同一牧場で、ほぼ同じ月令にあり(26
ケ月〜30ケ月)、体重も平均650kgの出荷適期の黒毛和
種で、同じ飼料給与を受けている牛を使用した。
2群の区分けで注意したところは、試験区と対照区が、
月令、体重、雄(去勢)、雌、神経質な牛など条件がで
きるだけ偏らないように工夫した。
2) Ru−By−L−Trp投与時間と投与量(300gを4回
に分けて投与した。) 前記試験例で使用したルーメンバイパス率≒95%のL−
Trp剤(Trp含有率=30%)を少量のビートパルプ粉末に
混合して下表のような時間に給与した。
出荷直前の100gの投与が終ってから全頭、けい静脈より
採血し、トラック2台に試験区と対照区の牛をかたより
がないように積み込み、午前10時にスタートし、28時間
かけて東京の屠殺場まで輸送した。屠殺場に到着後すぐ
に、牛を降ろして全頭採血した。翌日午前中に屠殺を
し、その翌日に格付け、肉質の評価を行った。屠殺時の
放血を採取した。肉質の評価結果を表2に示す。採血し
た血液はいずれも、すぐに血しょう分離を現地で行な
い、凍結して持ち帰り血しょう中の乳酸を分析した。結
果を表3に示す。
<試験の結果> 格付けは全体の肉質を評価する最も重要な尺度である
が、数値化して平均化してみると、1ランクの差がつい
て試験区が向上している。一方肉眼評価における肉色で
は、Bランクの頭数はほぼ同じ程度であるが、Aランク
のものは試験区が多く、特に肉色の良くないCランク
は、試験区では0頭で、はっきり差が出ている。しまり
においても、ほぼ肉色と類似の結果が得られており、試
験区はAランクが多く、Cランクがないというはっきり
した差が出ている。保水率についても、試験区の方が改
善されている。
これら肉質と血しょう中乳酸量の関係では輸送のストレ
スの影響が最も大きいと考えられる屠殺場到着直後に最
も差が大きく、屠殺後においても有意に試験区の乳酸量
が少なく、肉質の結果とよく一致している。
実施例 2 実施例1と同様の方法でRu−By−L−Trp剤使用量だけ
を考えて実施した。
L−Trpとして3g、3g、6g、6gを含む量のRu−By剤を4
回にわたって投与して実施例1と同様に輸送を行ない、
採血についても同様に行なった。
屠殺後の肉質の評価結果を表4に、血しょう中乳酸量を
表5に示した。
肉眼評価における、肉色、しまり、いずれに関しても、
格付けの平均値にも、血しょう中乳酸量についても、わ
ずかに試験区が良いという結果が得られているが、いず
れも有意差はない。この辺の量が効果の限界と考えられ
る。
実施例 3 N−アセチルトリプトファン粉末を使用したこと以外は
実施例1と同様の方法で黒毛和種の輸送試験を行った。
出荷前にN−アセチルトリプトファンを4回に分けて、
輸送43時間前に20g、24時間前に40g、15時間前に40g、
輸送直前に40g、計140gを少量のエサに混合して投与し
実施例1と同様に輸送を行ない、採血も同様に行なっ
た。屠殺後の肉質の評価結果を表6に、血中乳酸量を表
7に示した。
格付けでは、1ランク弱という有意な差が出ている。肉
眼評価では、肉色、しまりとも試験区にCランクの悪い
ものが出ていないことが対照区との大きい違いである。
またAランクの数も試験区が良く、保水率も試験区が良
い。以上ように肉質が全ての項目で対照区より改善され
ており、血しょう中乳酸量の動きも実施例1と同様に、
この結果と良く一致しており、N−アセチルトリプトフ
ァンのルーメンバイパス性能の高さとL−Trpとしての
機能を十分実証している。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図はそれぞれザーネン種山羊(雌)に対
して、Ru−By−L−TrpとL−Trpとを連続7日間投与し
たときのルーメン内溶液中の繊毛虫数の経日変化を示す
グラフ及びルーメン内液pHの経日変化を示すグラフであ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反芻動物の輸送または移動前48時間以内
    に、L−トリプトファン、その誘導体、またはその塩を
    含有するルーメンバイパス剤を、1日当りL−トリプト
    ファン換算で10mg〜400mg/kg体重投与することを特徴と
    する反芻動物の肉質改善方法。
  2. 【請求項2】ルーメンバイパス剤がL−トリプトファン
    またはその塩の溶解性を調整したコーティング剤である
    特許請求の範囲第1項に記載の肉質改善方法。
  3. 【請求項3】ルーメンバイパス剤がL−トリプトファン
    の溶解性を調整するために化学的修飾を施したL−トリ
    プトファンの誘導体である特許請求の範囲第1項に記載
    の肉質改善方法。
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