JPH07163339A - 新規蛋白質修飾剤およびそれを用いた化学修飾蛋白質 - Google Patents

新規蛋白質修飾剤およびそれを用いた化学修飾蛋白質

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JPH07163339A
JPH07163339A JP22523194A JP22523194A JPH07163339A JP H07163339 A JPH07163339 A JP H07163339A JP 22523194 A JP22523194 A JP 22523194A JP 22523194 A JP22523194 A JP 22523194A JP H07163339 A JPH07163339 A JP H07163339A
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oligosaccharide
lipase
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JP22523194A
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Shigeaki Nishii
重明 西井
Shinichi Tejima
真一 手嶋
Yoshihisa Kawamura
川村  良久
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 蛋白質本来のもつ分子量を大きく変えること
なく蛋白質に糖鎖を導入することができる新規な蛋白質
修飾剤およびそれを用いた化学修飾蛋白質を提供する。 【構成】 糖鎖が10分子以下の構成糖からなるオリゴ
糖の糖鎖に、塩化シアヌルなどのスペーサーが結合した
化合物である新規蛋白質修飾剤および該修飾剤をリパー
ゼ、グリセロリン酸オキシダーゼ等の酵素蛋白質に結合
させた化学修飾蛋白質。 【効果】 化学修飾酵素蛋白質は、高い酵素活性を維持
しており、未修飾の酵素蛋白質と比較して熱安定性が向
上している。また該修飾蛋白質は安定性に優れているた
め、水溶液の状態で保存が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蛋白質本来のもつ分子
量を大きく変えることなく蛋白質に糖鎖を導入すること
ができる新規な蛋白質修飾剤とその製造法及びそれを用
いた化学修飾蛋白質とその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】酵素は蛋白質からなり、常温、常圧とい
った温和な条件下に効率よくかつ特異的に反応を触媒す
る。このような性質を利用して一般に醸造、洗剤、食品
の加工、医薬品、化粧品、臨床検査薬など各種の産業分
野において広く有効に利用されている。また近年、有機
合成反応に酵素反応を組み込んで光学活性物質を効率的
に生産する研究が活発に行われるようになり、その中で
もリパーゼを利用する不斉変換反応は、光学活性物質の
立体選択的合成法一つとして広く利用されている。
【0003】しかしながら酵素を、洗剤、食品の加工
剤、臨床検査薬などへ応用するに際しては、通常、酵素
が蛋白質であるため、熱、酸、アルカリ、有機溶媒など
に不安定であり変性して失活するという欠点を持つ。酵
素は一般に水溶液中で使用するが、粉末で安定な酵素も
水溶液中での安定性は低く、調製した酵素溶液はすぐに
使用するなど操作上の問題があった。また夾雑蛋白質に
よる副反応の回避、コストの面から使用する酵素はでき
るかぎり低濃度で使用するのが望ましいが、このような
状態では更に不安定となり、水溶液中での長期保存は困
難となる。このような観点から酵素は凍結乾燥品として
製品化されるが、使用形態によっては水分率の高い媒体
や緩衝液などの水溶液中で使用される場合があり、その
ような場合、室温で容易に失活してしまう。そこで酵素
使用にあたっては、水溶液中で安定改善が強く望まれて
いた。
【0004】水溶液中での酵素の安定化をはかるために
種々の安定化剤を添加する方法がこれまでに試みられて
いるが、十分な安定化効果が得られていない。従って水
溶液中での安定性を向上させるためには、酵素自身をも
との性質よりもさらに安定な性質をもったものに変換す
ることが考えられる。酵素自身の性質を変換する方法と
して、遺伝子操作等によりタンパク質を改変し安定性を
付与したり、タンパク質を化学修飾することにより新た
な機能を付加したりする試みが数多くなされている(井
本泰治、化学と生物、Vol.27、p 425、1989)。その中
でも、化学修飾に関してはポリエチレングリコール、デ
キストランといった高分子物質をタンパク質、ペプチ
ド、核酸などの生化学物質に化学的に結合させた、いわ
ゆるバイオコンジュゲート物質が遺伝子工学、タンパク
質工学と並び、数多くの研究者等によって精力的に研究
されている(稲田祐二ら、バイオサイエンスとインダス
トリー、Vol.51、No.3、1993)。
【0005】その一例として、ポリエチレングリコール
修飾(以下PEG修飾と略記する)スーパーオキシドジ
スムターゼ(特開昭63−245671号公報)、PE
G修飾ビリルビンオキシダーゼ(特開昭64−6037
5号公報)、PEG修飾アスコルビン酸酸化酵素(特開
平1−128786号公報)、PEG修飾アルギニンデ
イミナーゼ(特開平4−121187号公報)、デキス
トラン修飾プロテアーゼ(特開平4−88982号公
報)などが提案されている。しかしながら、これらのバ
イオコンジュゲート物質はいずれもPEG、デキストラ
ンといった分子量が1万から数十万の高分子をタンパク
質に結合させており、得られたバイオコンジュゲート物
質自身の分子量がかなり高分子になること、また、高分
子化しているために溶解後の粘性が高くなり、種々の操
作性が悪くなるという問題が生ずる。このため、低分子
の化合物を酵素蛋白質に結合させ、高分子を結合させた
場合と同様の効果を得ることが望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、酵素
蛋白質を有機合成用触媒、洗剤、化成品、臨床検査薬な
どの各分野で幅広く用いるため、蛋白質本来のもつ分子
量を大きく変えることなく、熱安定性を向上させる新規
蛋白質修飾剤とその製造法、及びそれを用いた化学修飾
蛋白質とその製造法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、分子量が
大きく変化することなく酵素活性が維持され、かつ安定
性が増大した各種酵素の化学修飾体を開発すべく鋭意検
討した結果、比較的低分子のオリゴ糖鎖を酵素に結合さ
せることによって、酵素の熱安定性が向上することを見
いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明はオリゴ糖の糖鎖にスペー
サーが結合した化合物であることを特徴とする新規蛋白
質修飾剤である。
【0009】また本発明はオリゴ糖とスペーサーを反応
させることを特徴とする新規蛋白質修飾剤の製造法であ
る。
【0010】さらに本発明はオリゴ糖の糖鎖にスペーサ
ーを結合させた新規蛋白質修飾剤と結合させた化学修飾
蛋白質である。
【0011】また本発明はオリゴ糖の糖鎖にスペーサー
を結合させた新規蛋白質修飾剤と蛋白質を反応させるこ
とを特徴とする化学修飾蛋白質の製造法である。
【0012】本発明の新規な蛋白質修飾剤は、オリゴ糖
の水酸基もしくは還元末端のアルデヒド基に各種スペー
サーを導入しオリゴ糖を活性化することにより得られ
る。結合させるオリゴ糖鎖としては、10分子以下の単
糖から成る直鎖オリゴ糖、環状オリゴ糖、あるいは環状
オリゴ糖にマルトオリゴ糖が結合した分岐サイクロデキ
ストリンであればよく、直鎖オリゴ糖としては、マルト
トリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオー
ス、マルトヘキサオース等が挙げられ、環状オリゴ糖と
してはα−サイクロデキストリン、β−サイクロデキス
トリン、γ‐サイクロデキストリン、分岐サイクロデキ
ストリンなどが挙げられる。
【0013】また分岐サイクロデキストリンの例として
はサイクロデキストリン環に単糖もしくはマルトオリゴ
糖が結合したグリコシルサイクロデキストリン、マルト
シルサイクロデキストリンなどが挙げられる。その中で
もサイクロデキストリンにマルトース鎖を結合したマル
トシルサイクロデキストリンは、水への高い溶解性を有
することから特に好ましい。スペーサーとしては、トリ
アジン環を有するもの、例えば塩化シアヌル、フッ化シ
アヌルなどが挙げられる。
【0014】またスペーサーを結合させる方法として
は、塩化シアヌル等のトリアジン環を有する化合物をア
セトン、DMF等の水可溶性有機溶媒に溶解し、これと
オリゴ糖を水溶液中で反応させ、トリアジン誘導体に導
き、活性化し蛋白質表面のアミノ基を修飾する方法等が
ある。
【0015】塩化シアヌルで活性化する場合、反応モル
比はオリゴ糖に対し塩化シアヌルを1.2 〜1.3 倍程度反
応させるのが望ましく、それ以上塩化シアヌルを反応さ
せるとオリゴ糖間で自己重合し不溶化する。活性化反応
はpH8〜11で行うことが好ましく、更に好ましくはpH9
〜10である。また反応時間を長くした場合、ゲル化を生
じるため反応は30分以内で終了させるのが好ましい。得
られた活性化オリゴ糖は、塩酸で酸性にした後、アセト
ン等の有機溶媒中で析出させ、さらにこれを繰り返すこ
とにより精製し、減圧乾燥によって溶媒を留去すること
により本発明の修飾剤を得ることができる。このように
して得られた修飾剤は、デキストランなどの多糖類を活
性化したものと比較すると、水への溶解性が向上してお
り、かつ粘性も低いため取扱いが容易である。
【0016】本発明の化学修飾蛋白質は、オリゴ糖の糖
鎖にスペーサーを結合させた新規蛋白質修飾剤と蛋白質
を結合させて得る。本発明に使用される蛋白質として
は、リパーゼ、コレステロールエステラーゼ、グリセロ
リン酸オキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、グ
リセロールキナーゼ、カタラーゼ、サルコシンオキシダ
ーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼ、β−グルコシ
ダーゼ、コレステロールオキシダーゼ等の酵素活性を有
するもの、あるいは他の生理活性を有する蛋白質でもよ
い。
【0017】蛋白質と新規蛋白修飾剤との反応は、例え
ば炭酸緩衝液中でpH8〜10、好ましくは pH 8.5 〜9.5
のもとに0〜40℃の温度にて約2〜48時間で行うことに
より蛋白質へ修飾剤を導入することができる。この際、
蛋白質と修飾剤との反応重量比を変化させることによっ
て、修飾剤の導入量をコントロールすることができ、未
反応の修飾剤は低分子であるため限外ろ過等の操作によ
って容易に分離除去可能である。緩衝剤としては炭酸緩
衝液の他には、ホウ酸緩衝液、リン酸緩衝液などのアル
カリ側で緩衝能を有し、かつアミノ基を有しないもので
あれば、特に限定されない。蛋白質と新規蛋白修飾剤と
の反応重量比は、通常、蛋白質に対し、5倍以上の重量
比で反応させることが好ましく、更に好ましくは10倍
以上である。
【0018】このようにして得られた化学修飾蛋白質
は、高い活性を維持しており、未修飾の蛋白質と比較し
て熱安定性が向上している。したがって、有機合成用触
媒、洗剤用酵素、油脂の加工剤、臨床検査薬等に有効に
利用することができる。また修飾蛋白質は、安定性に優
れているため、水溶液の状態で保存が可能であるが、こ
れを凍結乾燥して粉末の状態で保存しておくことも可能
である。
【0019】
【実施例】次に実施例を用いて本発明を具体的に説明す
る。実施例中、リパーゼ、グリセロリン酸オキシダー
ゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、グリセロールキナー
ゼ及びそれらを用いた化学修飾蛋白質の酵素活性および
熱安定性の測定法は次のようにして行った。
【0020】1.リパーゼ活性測定法 オリーブ油エマルジョンを基質とし、37℃で酵素溶解液
と反応させ、生成するグリセロールをグリセロールキナ
ーゼ〜グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ系に導
き、生成する過酸化水素に4−アミノアンチピリンと
N,N−ジメチル−m−トルイジンの存在下でペルオキ
シダーゼを作用させ、酸化縮合生成物であるキノンイミ
ン色素を 545nmで測定し、上記反応で生成した過酸化水
素を定量する。酵素活性は、1分間に1マイクロモルの
グリセロールを生成する(1マイクロモルの過酸化水
素、即ち 1/2マイクロモルのキノンイミン色素を生成す
る)酵素量を1単位とする。
【0021】2.リパーゼの熱安定性測定法 未修飾のリパーゼと化学修飾リパーゼを 10 単位/mlに
なるように、50mM K-リン酸緩衝液(pH 8.0)に溶解
し、40℃、50℃、60℃、65℃及び70℃の各温度で10分間
処理した。その後、リパーゼの残存活性を測定し、その
結果を処理前の活性値を100 %として算出した。
【0022】3.リパーゼの保存安定性測定法 未修飾のリパーゼと化学修飾リパーゼを4単位/mlにな
るように50mM HEPES緩衝液(pH8.0) に溶解し
たものを35℃で保存し、その後、経時変化を調べた。
その結果は0日目の活性を100%として算出した。
【0023】 4.グリセロリン酸オキシダーゼ活性測定法 グリセロリン酸を基質として37℃で酵素溶液と反応さ
せ、生成する過酸化水素に4−アミノアンチピリンとフ
ェノールの存在下でペルオキシダーゼを作用させ、酸化
縮合生成物であるキノンイミン色素を 500nmで測定し、
上記反応で生成した過酸化水素を定量する。酵素活性
は、1分間に1マイクロモルの過酸化水素を生成する酵
素量を1単位とする。
【0024】 5.グリセロリン酸オキシダーゼの熱安定性測定法 未修飾のグリセロリン酸オキシダーゼと化学修飾グリセ
ロリン酸オキシダーゼを10単位/mlになるように、50mM
トリス−塩酸緩衝液(pH 7.5)に溶解し、45℃、50℃、
55℃各温度で10分間処理した。その後、グリセロリン酸
オキシダーゼの残存活性を測定し、その結果を処理前の
活性値を100 %として算出した。
【0025】 6.アスコルビン酸オキシダーゼ活性測定法 アスコルビン酸を基質とし、37℃で酵素溶液と反応さ
せ、アスコルビン酸の消失量を 245nmの吸光度の変化で
測定する。酵素活性は、1分間に1マイクロモルのアス
コルビン酸を酸化する酵素量を1単位とする。
【0026】 7.アスコルビン酸オキシダーゼの熱安定性測定法 未修飾のアスコルビン酸オキシダーゼと化学修飾アスコ
ルビン酸オキシダーゼを15単位/mlになるように、10mM
K- リン酸緩衝液(pH 7.0)に溶解したものを40℃、50
℃、55℃、60℃、65℃及び70℃の各温度で30分間処理し
た。その後、アスコルビン酸の残存活性を測定し、その
結果を処理前の活性値を 100%として算出した。
【0027】 8.アスコルビン酸オキシダーゼの保存安定性測定法 未修飾のアスコルビン酸オキシダーゼと化学修飾アスコ
ルビン酸オキシダーゼを5単位/mlになるように、50mM
PIPES酸緩衝液(pH 7.0)に溶解したものを40℃で保存
し、その後、経時変化を調べた。その結果を0日目の活
性を 100%として算出した。
【0028】9.グリセロールキナーゼ活性測定法グリ
セロールを基質とし、25℃で酵素溶液と反応させ、生成
するグリセロール−3−リン酸にNADの存在下にグリ
セロール−3−リン酸脱水素酵素を反応させ遊離するN
ADHの生成量を 340nmの吸光度の変化で測定する。酵
素活性は、1分間に1マイクロモルのNADHを生成す
る酵素量を1単位とする。
【0029】 10.グリセロールキナーゼの熱安定性測定法 未修飾のグリセロールキナーゼと化学修飾グリセロール
キナーゼを15単位/mlになるように、50mM K- リン酸緩
衝液(pH 7.5)に溶解し、40℃、50℃、55℃、60℃及び
65℃の各温度で15分間処理した。その後、グリセロール
キナーゼの残存活性を測定し、その結果を処理前の活性
値を 100%として算出した。
【0030】 11.グリセロールキナーゼの保存安定性測定法 未修飾のグリセロールキナーゼと化学修飾グリセロール
キナーゼを1単位/mlになるように、50mM HEPES酸緩衝
液(pH 7.0)に溶解したものを40℃で保存し、その後、
経時変化を調べた。その結果を0日目の活性を 100%と
して算出した。
【0031】実施例1 マルトペンタオース5g を 100mlの水に溶解し、これに
塩化シアヌル 1.12gをアセトン 28ml に溶解したものを
徐々に加え、1N-NaOH でpH9に調整しながら、30分間反
応させた。反応終了後、1N-HClでpH3に調整し、さらに
反応液にアセトン800ml を添加し、生成物を析出させ
た。この析出物をアセトン 300mlに再懸濁し、アセトン
洗浄する精製操作を3回繰り返した後、生成物を濾過
し、減圧乾燥することにより、オリゴ糖部分がマルトペ
ンタオースである蛋白質修飾剤 5.65gを得た。本修飾剤
の25℃での水に対する溶解度は80%以上であった。
【0032】次に、このようにして得られたマルトペン
タオース活性化による修飾剤 1.2gを12mlの 0.1M 炭酸
緩衝液(pH 9.5)に溶解し、これにシュードモナス属由
来リパーゼ(東洋紡製)30mgを 1.5mlの同緩衝液に溶解
したものを添加し、0.2M炭酸ナトリウム溶液でpHを9.5
に調整しながら室温で2時間反応させた。引き続き4℃
で16時間反応させた後、50mM K−リン酸緩衝液(pH
7.5)に対して透析し、次いで限外濾過膜(アミコン・
ダイヤフローPM−10)を用いて濃縮し、マルトペン
タオース化リパーゼを得た。得られたマルトペンタオー
ス化リパーゼの酵素活性回収率は、68%であった。また
得られた化学修飾酵素は粘性が低いため、分注作業時に
ピペット内に残ることなく、分注可能であり、かつポア
サイズ0.2μm以上のフィルターで容易に濾過可能で
あった。
【0033】実施例2 マルトヘキサオース3gを 50ml の水に溶解し、これに塩
化シアヌル 0.83gをアセトン 25ml に溶解したものを徐
々に加え、1N-NaOH でpH9に調整しながら30分間反応さ
せた。反応終了後、1N-HClでpH 3に調整し、さらに反応
液にアセトン500ml を添加し、生成物を析出させた。こ
の析出物をアセトン200ml に再懸濁し、アセトン洗浄す
る精製操作を3回繰り返した後、生成物を濾取し、減圧
乾燥することにより、オリゴ糖部分がマルトヘキサオー
スである蛋白質修飾剤 3.46gを得た。本修飾剤の25℃
での水に対する溶解度は80%以上であった。次にこの
ようにして得られたマルトヘキサオース活性化による蛋
白質修飾剤 1.2g を12mlの 0.1M 炭酸緩衝液(pH 9.5)に
溶解し、これにシュードモナス属由来リパーゼ(東洋紡
製)30mgを 1.5mlの同緩衝液に溶解したものを添加し、
0.2M炭酸ナトリウム溶液でpHを9.5 に調整しながら室温
で2時間反応させた。引き続き4℃で16時間反応させた
後、50mMK−リン酸緩衝液(pH 7.5)に対して透析し、次
いで限外濾過膜(アミコン・ダイヤフローPM−10)
を用いて濃縮し、マルトヘキサオース化リパーゼを得
た。得られたマルトヘキサオース化リパーゼの酵素活性
回収率は、54%であった。得られた化学修飾酵素も実施
例1と同様に粘性が低く、分注作業時にピペット内に残
ることなく、分注可能であり、かつ0.2μm以上のフ
ィルターで容易に濾過可能であった。
【0034】実施例3 マルトシルサイクロデキストリン10gを200ml の水に溶
解し、これに塩化シアヌル2.41g をアセトン70mlに溶解
したものを徐々に加え、1N-NaOH でpH9に調整しながら
20分間反応させた。反応終了後、1N-HClでpH 3に調整
し、さらに反応液にアセトン800ml を添加し、生成物を
析出させた。この析出物をアセトン300mlに再懸濁し、
アセトン洗浄する精製操作を3回繰り返した後、生成物
を濾過し、減圧乾燥することにより、オリゴ糖部分がマ
ルトシルサイクロデキストリンである蛋白質修飾剤 9.7
7gを得た。本修飾剤の25℃での水に対する溶解度は9
0%以上であった。
【0035】次に、このようにして得られたマルトシル
サイクロデキストリン活性化による修飾剤2gを16mlの
0.1M 炭酸緩衝液(pH 9.5)に溶解し、これにシュードモ
ナス属由来リパーゼ(東洋紡製)60mgを2mlの同緩衝液
に溶解したものを添加し、0.2M炭酸ナトリウム溶液でpH
を9.5 に調整しながら室温で2時間反応させた。引き続
き4℃で16時間反応させた後、50mM K−リン酸緩衝液
(pH 7.5)に対して透析し、次いで限外濾過膜(アミコン
・ダイヤフローPM−10)を用いて濃縮し、マルトシ
ルサイクロデキストリン化リパーゼを得た。得られたマ
ルトヘシルサイクロデキストリン化リパーゼの酵素活性
回収率は、50%であった。また得られた化学修飾酵素は
粘性が低いため、分注作業時にピペット内に残ることな
く、分注可能であり、かつポアサイズ0.2μm以上の
フィルターで容易に濾過可能であった。
【0036】実施例4 実施例1においてリパーゼの代わりにペディオコッカス
属由来のグリセロリン酸オキシダーゼ(東洋紡製)30mg
を用い、修飾剤が 1.0g 、1.3g、2.0gになるようにする
以外は実施例1と全く同様に反応を行った。得られたマ
ルトペンタオース化グリセロリン酸オキシダーゼの酵素
活性回収率は、修飾剤を1.0g反応させたものが38%、1.
3g反応させたものが33%、2.0g反応させたものが22%で
あった。得られた化学修飾酵素はいずれも粘性が低く、
取扱いも容易であった。
【0037】実施例5 実施例3においてリパーゼの代わりにカボチャ由来のア
スコルビン酸オキシダーゼ(東洋紡製)30mgを用い、修
飾剤が1.5gになるようにする以外は実施例3と全く同様
に反応を行った。得られたマルトシルサイクロデキスト
リン化アスコルビン酸オキシダーゼの酵素活性回収率
は、30%であった。得られた化学修飾酵素はいずれも粘
性が低く、取扱いも容易であった。
【0038】実施例6 実施例3においてリパーゼの代わりにセルロモナス属由
来のグリセロールキナーゼ(東洋紡製)50mgを用い、修
飾剤が2.0gになるようにする以外は実施例3と全く同様
に反応を行った。得られたマルトシルサイクロデキスト
リン化グリセロールキナーゼの酵素活性回収率は、20%
であった。得られた化学修飾酵素はいずれも粘性が低
く、取扱いも容易であった。
【0039】実施例1〜3により得られた3種類の糖化
リパーゼに対して、熱安定性及び保存安定性を測定した
結果を図1〜図6に示す。図1はマルトペンタオース化
リパーゼ、図2はマルトヘキサオース化リパーゼ、図3
はマルトシルサイクロデキストリン化リパーゼの熱安定
性を示す。図4はマルトペンタオース化リパーゼ、図5
はマルトヘキサオース化リパーゼ、図6はマルトシルサ
イクロデキストリン化リパーゼの保存安定性を示す。ま
たそれぞれの図において−○−は未修飾のリパーゼを、
−●−は糖化リパーゼを示す。また実施例4により得ら
れたマルトペンタオース化グリセロリン酸オキシダーゼ
の熱安定性を測定した結果を表1に、実施例5により得
られたマルトシルサイクロデキストリン化アスコルビン
酸オキシダーゼの熱安定性及び保存安定性の結果を図
7、図8に、実施例6により得られたマルトシルサイク
ロデキストリン化グリセロールキナーゼの熱安定性及び
保存安定性の結果を図9、図10に示す。またそれぞれ
の図において−○−は未修飾の蛋白質を、−●−は糖化
蛋白質を示す。これらの結果から、オリゴ糖化された蛋
白質の熱安定性は、未修飾の蛋白質と比較して著しく向
上していることがわかる。
【0040】
【表1】
【0041】比較例1(デキストラン修飾体) 実施例1のマルトペンタオースの代わりにデキストラン
(平均分子量4万)5gを用い、同様の反応により活性
化デキストラン5.4gを得た。得られた活性化デキス
トランの25℃での水に対する溶解度は10%以下であ
った。次にこの活性化デキストラン1.2g24mlの
0.1M炭酸緩衝液(pH9.5) に溶解し、これにシュード
モナス属由来のリパーゼ (東洋紡製)30mgを1.5
mlの同緩衝液に溶解したものを添加し、それ以外は実
施例1と全く同様に反応を行った。得られたデキストラ
ン修飾リパーゼの酵素活性回収率は54%であった。限
界濾過膜で濃縮した後は粘性が高くなり、分注などの操
作が困難であった。
【0042】比較例2(PEG修飾体) 実施例1の活性化マルトペンタオースの代わりに活性化
ポリエチレングリコール(生化学工業製)0.4gを用
い、ポリエチレングリコール修飾リパーゼを調製した。
シュードモナス属由来のリパーゼ(東洋紡製)40mg
を5mlの0.1Mホウ酸緩衝液(pH9.5) に溶解し、活
性化ポリエチレングリコール0.4gを粉末のまま添加
し、0.2M炭酸ナトリウム溶液でpHを9.5に調整
しながら、室温で2時間反応させた。引き続き4℃で1
6時間反応させた後、50mMK−リン酸緩衝液(pH8.
0) に対して透析し、次いで限界濾過膜( アミコン ダ
イヤフローPM-10)を用いて濃縮し、ポリエチレングリコ
ール修飾リパーゼを得た。得られたポリエチレングリコ
ール修飾リパーゼの酵素活性回収率は40%であった。
【0043】
【発明の効果】PEGやデキストランなどの高分子化合
物を修飾剤に用いた場合、修飾前の蛋白質に対する安定
化効果の程度は、用いた修飾剤の種類、分子量、蛋白質
に対する結合量などにより変化し、一般に結合量を大き
くすると安定性は向上するが、同時に失活及び反応性が
低下する傾向にある。そのため目的とする安定性を得る
まで修飾剤を結合させた場合、得られた修飾蛋白質の比
活性は著しく低くなる恐れがある。また、高分子化合物
を結合させるため、得られた修飾蛋白質の溶液粘度も高
くなり、取扱いも困難となってくる。しかし、本発明の
修飾剤を用いた場合、蛋白質への導入量を高めても非常
に高い活性を有し、かつ高分子化合物を結合させたもの
と比較して溶液粘度もかなり低いものを製造することが
できる。また本発明の蛋白質修飾剤を用いて修飾した化
学修飾蛋白質は蛋白質本来の持つ分子量を大きく変える
ことなく未修飾の蛋白質と比較して著しく熱安定性が向
上しており、水溶液での長期保存が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のマルトペンタオース化リパーゼの熱
安定性を示す。
【図2】実施例2のマルトヘキサオース化リパーゼの熱
安定性を示す。
【図3】実施例3のマルトシルサイクロデキストリン化
リパーゼの熱安定性を示す。
【図4】実施例1のマルトペンタオース化リパーゼの3
5℃での保存安定性を示す。
【図5】実施例2のマルトヘキサオース化リパーゼの3
5℃での保存安定性を示す。
【図6】実施例3のマルトシルサイクロデキストリン化
リパーゼの35℃での保存安定性を示す。
【図7】実施例5のマルトシルサイクロデキストリン化
アスコルビン酸オキシダーゼの熱安定性を示す。
【図8】実施例5のマルトシルサイクロデキストリン化
アスコルビン酸オキシダーゼの40℃での保存安定性を
示す。
【図9】実施例6のマルトシルサイクロデキストリン化
グリセロールキナーゼの熱安定性を示す。
【図10】実施例6のマルトシルサイクロデキストリン
化グリセロールキナーゼの40℃での保存安定性を示
す。
【符号の説明】
図1から6において、−○−は未修飾のリパーゼ、−●
−は糖化リパーゼを、図7から8において、−○−は未
修飾のアスコルビン酸オキシダーゼ、−●−はマルトシ
ルサイクロデキストリン化アスコルビン酸オキシダーゼ
を示す。また図9から10において、−○−は未修飾の
グリセロールキナーゼ、−●−はマルトシルサイクロデ
キストリン化グリセロールキナーゼを示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年9月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オリゴ糖の糖鎖にスペーサーが結合した
    化合物であることを特徴とする新規蛋白質修飾剤。
  2. 【請求項2】 スペーサーがトリアジン環を有する化合
    物であることを特徴とする請求項1記載の新規蛋白質修
    飾剤。
  3. 【請求項3】 オリゴ糖の糖鎖が10分子以下の構成糖
    からなる直鎖オリゴ糖または環状オリゴ糖であることを
    特徴とする請求項1記載の新規蛋白質修飾剤。
  4. 【請求項4】 オリゴ糖の構成糖がグルコース残基であ
    る請求項3記載の新規蛋白質修飾剤。
  5. 【請求項5】 オリゴ糖とスペーサーを反応させること
    を特徴とする新規蛋白質修飾剤の製造法。
  6. 【請求項6】 オリゴ糖とトリアジン環を有する化合物
    をアルカリ条件下において水溶液中で反応させることを
    特徴とする新規蛋白質修飾剤の製造法。
  7. 【請求項7】 オリゴ糖の糖鎖にスペーサーを結合させ
    た新規蛋白質修飾剤と蛋白質を結合させた化学修飾蛋白
    質。
  8. 【請求項8】 蛋白質が酵素であることを特徴とする請
    求項7記載の化学修飾蛋白質。
  9. 【請求項9】 オリゴ糖の糖鎖にスペーサーを結合させ
    た新規蛋白質修飾剤と蛋白質を反応させることを特徴と
    する化学修飾蛋白質の製造法。
  10. 【請求項10】 蛋白質が酵素であることを特徴とする
    請求項9記載の化学修飾蛋白質の製造法。
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