JPH07161401A - 電気接続用コネクタピン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 外部振動や衝撃荷重の影響に拘らずコンタク
トピン側の電子回路とチューブ体側の電子回路との間の
正確な信号伝達を可能とした電気接続用コンタクトピン
を提供する。 【構成】 チューブ体３内に抜止めして伸縮摺動自在に
嵌合され、かつチューブ体３内のコイルスプリング４に
より伸張方向に付勢されるコンタクトピン２を備え、コ
ンタクトピン２の収縮状態ではその嵌合部２ｂの外周面
２ｃとチューブ体３の内周面３ｄとの摺動接触部を介し
てコンタクトピン２とチューブ体３とが電気的に導通さ
れる電気接続用コネクタピン１において、上記コンタク
トピン２の嵌合部２ｂの外周面２ｃには、軸方向両端部
を除いて小径の逃げ部２ｄを広く設け、上記嵌合部２ｂ
の外周面２ｃがその両端部でのみチューブ体３の内周面
３ｄに接触するようにして、接触状態が線接触と２点接
触との間で変化しても、接触面積があまり変化しないよ
うにした電気接続用コネクタピン。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、各種電子機器において
相互に対向配置された一対の基板上の電子回路間を弾性
接触により相互に導通させて信号伝達する電気接続用コ
ネクタピンに関する。

【０００２】

【従来の技術】このような電気接続用コネクタピンとし
て、従来、図６に示すものが一般に知られている。この
電気接続用コネクタピンａは、段付きのコンタクトピン
ｂを絞り部により抜け止めして伸縮摺動自在に嵌合した
チューブ体ｃ内に、上記コンタクトピンｂを伸張方向に
付勢するコイルスプリングｄを収容したもので、このチ
ューブ体ｃには上記コンタクトピンｂと反対側に突出す
る接触端子ｅが一体形成されている。

【０００３】このような電気接続用コネクタピンａは、
図７に示すように相互に対向配置された一対の基板ｆ，
ｇ間に配置され、そのコンタクトピンｂが基板ｆ上の電
子回路ｈに弾接し、接触端子ｅ側のチューブ体ｃの端面
が基板ｇ上の電子回路ｉに弾接することで、両電子回路
ｈ，ｉ間の導通を図って信号伝達するようになってい
る。

【０００４】この場合、前記コンタクトピンｂは、例え
ば伸縮長の２／３程度、即ち１．０ｍｍ程度収縮した状
態でコイルスプリングｄにより１００ｇｆ程度の押圧力
を以って基板ｆ上の電子回路ｈに弾接するのであり、こ
の状態では主としてコンタクトピンａの嵌合部ｊの外周
面とチューブ体ｃの内周面との摺動接触部を介してコン
タクトピンｂとチューブ体ｃとが電気的に導通されるよ
うになっている。なお、コイルスプリングｄは上記摺動
接触部に較べて電気抵抗が極めて大きいので、コンタク
トピンｂとチューブ体ｃとの電気的導通にはあまり関与
しない。

【０００５】ここで、前記コンタクトピンａの嵌合部ｊ
の外周面とチューブ体ｃの内周面との間には、通常、直
径で３／１００ｍｍ程度の間隙が摺動抵抗を減少すべく
設けられており、嵌合部ｊの外周面はコイルスプリング
ｄから受ける側圧によってチューブ体ｃの内周面に圧接
するようになっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前述のように従来の電
気接続用コネクタピンａは、基板ｆ，ｇ上の電子回路
ｈ，ｉ間の導通を図る使用状態において、嵌合部ｊの外
周面がコイルスプリングｄによる側圧でチューブ体ｃの
内周面に圧接することによりコンタクトピンｂとチュー
ブ体ｃとが電気的に導通されるようになっている。この
ため、コイルスプリングｄの設定圧が小さい場合や、設
定圧が経時変化により減少した場合には、外部振動や衝
撃荷重によりコンタクトピンｂが振動していわゆる踊り
現象を生じ、コンタクトピンｂの嵌合部ｊの外周面は、
図８（ａ）に示すようにチューブ体ｃの内周面に線接触
したり、図８（ｂ）に示すようにチューブ体ｃの内周面
に２点接触したりと、その接触状態が変化する。

【０００７】このことは、外部振動や衝撃荷重の影響で
コンタクトピンｂの嵌合部ｊの外周面とチューブ体ｃの
内周面との接触面積が大きく変化し、これに伴い両者間
の接触抵抗値が大きく変化して信号電圧が大きく変動す
ることを意味し、コンタクトピンｂが弾接する電子回路
ｈとチューブ体ｃが弾接する電子回路ｉとの間の正確な
信号伝達に支障を来し、電子機器の誤作動を招くという
問題があった。

【０００８】そこで本発明は、従来技術をベースとした
コスト上昇の僅かなものでありながら、外部振動や衝撃
荷重の影響に拘らずコンタクトピン側の電子回路とチュ
ーブ体側の電子回路との間の正確な信号伝達を可能とし
た電気接続用コンタクトピンを提供することを目的とす
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この目的のため本発明
は、チューブ体内に抜止めして伸縮摺動自在に嵌合さ
れ、かつチューブ体内のスプリングにより伸張方向に付
勢されるコンタクトピンを備え、コンタクトピンの収縮
状態ではその嵌合部外周面とチューブ体の内周面との摺
動接触部を介してコンタクトピンとチューブ体とが電気
的に導通される電気接続用コネクタピンにおいて、上記
コンタクトピンの嵌合部外周面には、軸方向両端部を除
いて小径の逃げ部を広く設けたことを手段としている。

【００１０】

【作用】このような手段を採用した本発明の電気接続用
コネクタピンは、各種電子機器内にて相互に対向配置さ
れた一対の基板間に配置され、この状態でスプリングに
抗して収縮されたコンタクトピンが一方の基板上の電子
回路に弾接し、チューブ体が他方の基板上の電子回路に
弾接する。そしてこの使用状態では、コンタクトピンの
嵌合部外周面がスプリングによる側圧を受けてチューブ
体の内周面に圧接し、コンタクトピンとチューブ体とが
電気的に導通することで、電気接続用コネクタピンは上
記両電子回路間の信号伝達を行う。

【００１１】ここで、電子機器に外部振動や衝撃荷重が
作用すると、スプリングの設定圧が小さい場合や、設定
圧が経時変化により減少した場合にはコンタクトピンが
振動していわゆる踊り現象が生じ、コンタクトピンの嵌
合部外周面は、チューブ体の内周面に線接触したり２点
接触したりと、その接触状態が変化する。

【００１２】しかし、コンタクトピンの嵌合部外周面に
は、軸方向両端部を除いて小径の逃げ部が広く設けられ
ているので、コンタクトピンの嵌合部外周面は、その両
端部でのみチューブ体の内周面に線接触、あるいは２点
接触するのであり、これらの接触状態の変化に拘らず、
その接触面積はあまり変化しない。このため、電子機器
に外部振動や衝撃荷重が作用してもコンタクトピンの嵌
合部外周面とチューブ体の内周面との間の接触抵抗値は
あまり変化しないのであり、コンタクトピン側の電子回
路とチューブ体側の電子回路との間には正確な信号伝達
が行われる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の一実施例を添付の図面を参照
して具体的に説明する。図１に示す一実施例の電気接続
用コネクタピン１は、先端面が球面に形成された細径の
伸縮部２ａ及びこれより太径の嵌合部２ｂが段付き状に
一体形成されたコンタクトピン２と、このコンタクトピ
ン２の嵌合部２ｂを伸縮摺動自在に嵌合してこれを絞り
部３ａにより抜け止めする有底筒状のチューブ部３ｂ及
びこのチューブ部３ｂに連続して上記コンタクトピン２
の伸縮部２ａと反対方向に突出する細径の接触端子３ｃ
が一体形成されたチューブ体３とを主体に構成されてい
る。

【００１４】そして前記チューブ体３のチューブ部３ｂ
内には、コンタクトピン２の嵌合部２ｂの端面を押圧し
てこれに側圧を付与すると共に伸縮部２ａを伸張方向に
付勢するコイルスプリング４が収容されている。なお、
このコイルスプリング４は、１ｍｍの圧縮変形により１
００ｇｆ程度の弾発力を発生するようなバネ定数に設定
されている。

【００１５】なお、前記電気接続用コネクタピン１は、
チューブ体３のチューブ部３ｂが直径１．５ｍｍ，長さ
４．５ｍｍ、接触端子３ｃが直径０．５ｍｍ，長さ４．
８ｍｍ、コンタクトピン２の伸縮部２ａが直径０．９ｍ
ｍ，伸張長さ１．５ｍｍ程度であって、自由状態での全
長は１１ｍｍ程度となっている。そして上記チューブ部
３ｂの内周面３ｄと嵌合部２ｂの外周面との間には直径
で０．０３ｍｍ程度の間隙が設けられている。

【００１６】ここで図２に拡大して示すように、コンタ
クトピン２の嵌合部２ｂの外周面２ｃには、その長手方
向の両端部を除いて小径の逃げ部２ｄが切削加工や転造
などの適宜の手段で幅広のリング状に形成されている。
なお、嵌合部２ｂの外周面２ｃの直径を１．２ｍｍ，長
さを１．４ｍｍとしたとき、上記逃げ部２ｄは、例えば
直径１．０８ｍｍ，幅（長さ）０．７ｍｍ程度であっ
て、嵌合部２ｂの両端部に残される外周面２ｃは幅（長
さ）がそれぞれ０．３ｍｍ程度のリング状となってい
る。

【００１７】次に、以上のように構成された一実施例の
電気接続用コネクタピン１につき、その作用を使用状態
において説明する。この電気接続用コネクタピン１は、
図３に示すような電子機器である携帯電話機５内で相互
に対向するよう携帯電話機５の本体５ａ側と蓋体５ｂ側
とに分離配置される一対の基板５ｃ，５ｄ間に配置され
て両基板５ｃ，５ｄ上の電子回路間を信号伝達可能に導
通する。この場合、複数の電気接続用コネクタピン１
は、そのチューブ体３の接触端子３ｃが絶縁樹脂製の保
持ブロック５ｅを貫通して基板５ｄにハンダ付け固定さ
れるのであり、保持ブロック５ｅ上には、チューブ体３
のチューブ部３ｂ及びコンタクトピン２の伸縮部２ａの
みが突出する。

【００１８】図４はこのような使用状態における任意１
本の電気接続用コネクタピン１を示しており、コンタク
トピン２の伸縮部２ａは、コイルスプリング４に抗して
１ｍｍ程度チューブ体３のチューブ部３ｂ内に収縮さ
れ、この状態で１００ｇｆ程度の弾接力をもって基板５
ｃ上の電子回路５ｆに弾接している。そしてこの使用状
態では、コイルスプリング４による側圧を受けたコンタ
クトピン２がその嵌合部２ｂの外周面２ｃをチューブ部
３ｂの内周面３ｄに圧接することで、コンタクトピン２
とチューブ体３との間の電気的導通が図られ、こうして
基板５ｃ，５ｄ上の電子回路５ｆ，５ｇ間の信号伝達が
電気接続用コネクタピン１を介して行われる。

【００１９】ここで、コンタクトピン２を付勢するコイ
ルスプリング４は、１ｍｍの圧縮変形で１００ｇｆ程度
の弾発力を発生する比較的に小さなバネ定数に設定され
ており、またコンタクトピン２の嵌合部２ｂの外周面と
チューブ体３のチューブ部３ｂの内周面３ｄとの間に
は、直径で０．０３ｍｍ程度の間隙が設けられているこ
とから、携帯電話機５の使用中に大きな外部振動や衝撃
荷重が作用すると、コンタクトピン２が振動していわゆ
る踊り現象を生じる。

【００２０】そしてこの踊り現象が生じると、コンタク
トピン２の嵌合部２ｂの外周面２ｃは、図５（ａ）に示
すようにチューブ部３ｂの内周面３ｄに線接触したり、
あるいは図５（ｂ）に示すように２点接触したりと、そ
の接触状態が変化する。しかしこの場合、上記嵌合部２
ｂの外周面２ｃはその長手方向の両端部に位置するそれ
ぞれ幅０．３ｍｍ程度のリング状となっているので、チ
ューブ部３ｂの内周面３ｄに対し線接触した状態でも２
点接触した状態でも、その接触面積は殆ど変化しない。

【００２１】このため、使用中の携帯電話機５に大きな
外部振動や衝撃荷重が作用しても、コンタクトピン２の
嵌合部２ｂの外周面２ｃとチューブ体３のチューブ部３
ｂの内周面３ｄとの間の接触抵抗値は殆ど変化しないの
であり、コンタクトピン２の伸縮部２ａが弾接する基板
５ｃ側の電子回路５ｆと、チューブ体３の接触端子３ｃ
が接続される基板５ｄ側の電子回路５ｇとの間には、正
確な信号伝達が行われる。

【００２２】なお、本実施例による電気接続用コネクタ
ピン１の各部の寸法は、一例を示したものに過ぎず、適
宜変更可能なものである。

【００２３】また、本実施例による電気接続用コネクタ
ピン１において、コンタクトピン２の嵌合部２ｂの長手
方向両端部に形成されるリング状の外周面２ｃには、縦
スリットを設けるようにしてもよく、そうすることで、
コンタクトピン２に踊り現象が生じてその嵌合部２ｂの
外周面２ｃがチューブ部３ｂの内周面３ｄに線接触した
り２点接触したりと、その接触状態が変化する場合の接
触面積の変化はより小さいものとなり、それに応じて接
触抵抗値の変化もより小さいものとなる。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したとおり本発明によれば、コ
ンタクトピンの嵌合部外周面に軸方向両端部を除いて小
径の逃げ部を広く設けてあるから、電子機器に外部振動
や衝撃荷重が作用してコンタクトピンが振動しても、コ
ンタクトピンの嵌合部外周面はその両端部でのみチュー
ブ体の内周面に線接触あるいは２点接触するのであり、
これらの接触状態の変化に拘らず、その接触面積はあま
り変化しない。

【００２５】従って、電子機器に外部振動や衝撃荷重が
作用してもコンタクトピンの嵌合部外周面とチューブ体
の内周面との間の接触抵抗値はあまり変化せず、コンタ
クトピン側の電子回路とチューブ体側の電子回路との間
の信号伝達を正確に行うことができる。

【００２６】また構造的にみると、コンタクトピンの嵌
合部外周面に軸方向両端部を除いて小径の逃げ部を広く
設けるという、従来技術をベースとして簡単な加工を施
すだけのものであるから、コスト上昇が僅かである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例による電気接続用コネクタピ
ンの全体構造を一部破断して示す側面図である。

【図２】一実施例におけるコンタクトピンの構造を一部
破断して示す拡大側面図である。

【図３】一実施例による電気接続用コネクタピンが適用
される電子機器としての携帯電話機の分解斜視図であ
る。

【図４】一実施例による電気接続用コネクタピンの使用
状態を示す縦断面図である。

【図５】（ａ），（ｂ）は、一実施例による電気接続用
コネクタピンの挙動をそれぞれ示す使用状態の部分拡大
断面図である。

【図６】従来例による電気接続用コネクタピンの全体構
造を一部破断して示す側面図である。

【図７】従来例による電気接続用コネクタピンの使用状
態を示す縦断面図である。

【図８】（ａ），（ｂ）は、従来例による電気接続用コ
ネクタピンの挙動をそれぞれ示す使用状態の部分拡大断
面図である。

【符号の説明】

１ 電気接続用コネクタピン ２ コンタクトピン ２ａ 伸縮部 ２ｂ 嵌合部 ２ｃ 外周面 ２ｄ 逃げ部 ３ チューブ体 ３ａ 絞り部 ３ｂ チューブ部 ３ｃ 接触端子 ３ｄ 内周面 ４ コイルスプリング ５ 携帯電話機 ５ａ 本体 ５ｂ 蓋体 ５ｃ，５ｄ 基板 ５ｅ 保持ブロック ５ｆ，５ｇ 電子回路

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 チューブ体内に抜止めして伸縮摺動自在
   に嵌合され、かつチューブ体内のスプリングにより伸張
   方向に付勢されるコンタクトピンを備え、コンタクトピ
   ンの収縮状態ではその嵌合部外周面とチューブ体の内周
   面との摺動接触部を介してコンタクトピンとチューブ体
   とが電気的に導通される電気接続用コネクタピンにおい
   て、 上記コンタクトピンの嵌合部外周面には、軸方向両端部
   を除いて小径の逃げ部を広く設けたことを特徴とする電
   気接続用コネクタピン。