JPH0715663Y2 - プレート・フィン型熱交換器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、例えば産業用オイルクーラおよび自動車用
エバポレータ等に使用せられるプレート・フィン型熱交
換器に関する。

この明細書において、アルミニウムとは、純アルミニウ
ムおよびアルミニウム合金を含んで意味するものとす
る。

従来の技術 従来、例えばオイルクーラとして使用されるアルミニウ
ム製のプレート・フィン型熱交換器は、所定間隔をおい
て対向状に配置されたアルミニウム・ブレージングシー
トよりなる平板（プレート）と、相互に対向する平板同
志の間にそれぞれ介在されたアルミニウム押出形材製の
両側壁とによって形成された複数の第１流体流路と第２
流体流路とを備えているものであり、これは真空ブレー
ジング法により一括して接合されることにより、製造さ
れていた。

考案が解決しようとする課題 しかしながら、真空ブレージング法では、部品の精度が
接合に大きく関与するため、とくに大型の熱交換器では
１箇所でも接合不良が生じると、製品不良が生じやすい
という問題があり、大型の熱交換器の接合には高度な技
術を必要とするのが現状である。また仮に、部品の精度
が向上したとしても、その他、炉中雰囲気、部品洗浄、
および治具による部品のセッティングなど、真空ブレー
ジング法による熱交換器の製造にさいし、接合に影響を
及ぼす要因は多々あるが、いずれにしても、ろう付け性
が向上して、接合不良が低減し、ひいては歩留まりが向
上するプレート・フィン型熱交換器の出現が強く望まれ
ていた。

この考案の目的は、上記の問題を解決しかつ上記の要望
に応えんとするものであって、流体流路内における平板
とコルゲートフィンとの接合面積が広く、従ってろう付
け性が向上して、接合不良が低減し、また例え平板とコ
ルゲートフィンとの接合不良が生じた場合でも、両者の
剥がれが全体に波及せず、これを部分的なものとしてお
さえることができ、しかも平板、コルゲートフィンおよ
び両側壁よりなる熱交換器構成部材のセットが非常に簡
単であり、ひいては品質の良い熱交換器を、歩留まり良
くかつ容易に製造することができる、プレート・フィン
型熱交換器を提供しようとするにある。

課題を解決するための手段 この考案は、上記の目的を達成するために、所定間隔を
おいて上下に並列状に配置されたアルミニウム・ブレー
ジングシートよりなる平板と、互いに対向する平板同志
の間に介在された両側壁とによって形成された複数の第
１流体流路と第２流体流路とを備えているプレート・フ
ィン型熱交換器において、第１および第２流体流路のう
ちの少なくとも一方の流体流路の対向する平板のうちの
少なくとも一方の平板に、同流体流路内に突出しかつこ
れの長さ方向に伸びている少なくとも１つの補強凸部が
設けられ、補強凸部と一方および他方の流路側壁との間
のそれぞれの流体流路部分、および補強凸部が複数個あ
る場合に、上記流体流路部分および補強凸部同志の間の
流体流路部分の内側に、該流路部分の幅と略同じ幅を有
するコルゲートフィンが介在させられて、コルゲートフ
ィンの一側縁部または両側縁部が補強凸部の側面に当接
せしめられ、コルゲートフィンの上下両面がそれぞれ平
板に接合されるとともに、コルゲートフィンの側縁部が
これに当接している補強凸部の側面に接合されている、
プレート・フィン型熱交換器を要旨としている。

作用 上記プレート・フィン型熱交換器によれば、流体流路の
平板に、流体流路内に突出しかつこれの長さ方向に伸び
ている少なくとも１つの補強凸部が設けられ、補強凸部
により区分された流体流路部分内に、コルゲートフィン
が配置されているから、コルゲートフィンの上下両面が
それぞれ平板に接合されるだけでなく、コルゲートフィ
ンの側縁部がこれに当接している補強凸部の側面に接合
されており、従って流体流路内における平板とコルゲー
トフィンとの接合面積がそれだけ広くなって、ろう付け
性が向上し、接合不良が低減する。

また例え平板とコルゲートフィンとの接合不良が生じた
場合でも、流体流路内は補強凸部により複数の流体流路
部分に区分されているから、平板とコルゲートフィンと
の剥がれが流体流路全体に波及せず、これを部分的なも
のとしておさえることができる。

また各コルゲートフィンは、補強凸部により区分された
略同幅の流体流路部分内に嵌め込めば良く、従って熱交
換器構成部材のセットが非常に簡単である。

実施例 つぎに、この考案の実施例を図面に基づいて詳しく説明
する。

なお、図面は、この考案によるプレート・フィン型熱交
換器をオイルクーラに適用した場合を例示するものであ
る。

この明細書において、前後、左右および上下は第１図を
基準とし、前とは第１図図面紙葉の表側、後とは同裏側
をいゝ、また左とは同図左側、右とは同右側をいゝ、上
とは同図上側、下とは同下側をいうものとする。

この考案の第１実施例を示す第１図と第２図において、
オイルクーラとして用いられるこの考案によるプレート
・フィン型熱交換器（１）は、所定間隔をおいて平行状
に配置されたアルミニウム製ブレージングシートよりな
る多数の平板（プレート）（２）と、上下に隣り合う平
板（２）（２）同志の間にそれぞれ介在されたアルミニ
ウム押出形材製の左右両側壁（３）（３）および前後両
側壁（４）（４）、並びにコルゲート・フィン（６）
（７）とによって形成されかつ相互に直交状に配置され
たオイルが流通する第１流体流路（Ａ）と空気が流通す
る第２流体流路（Ｂ）とを有している。

なお、すべての第１流体流路（Ａ）の前後両端部を覆う
一対のヘッダ・タンクの図示は省略した。

この考案においては、熱交換器（１）の第１流体流路
（Ａ）の上下両側の平板（２）（２）に、同流体流路
（Ａ）内に突出しかつこれの長さ方向に伸びている１つ
の補強凸部（５）がそれぞれ設けられ、補強凸部（５）
（５）と、左右両側壁（３）（３）との間のそれぞれの
流体流路部分（A1）（A2）の内側に、該流路部分（A1）
（A2）の幅と略同じ幅を有するコルゲートフィン（６）
（６）が介在させられている。

これらのコルゲートフィン（６）（６）としては、いわ
ゆるマルチエントリー型コルゲートフィンが用いられて
いる。

ここで、マルチエントリー型コルゲートフィン（６）
は、横断面波形の凹凸部（11）（12）の頂面と底面とが
平坦でかつ凹凸部（11）（12）の列（13）がフィン
（６）の長さ方向に並列状にかつ相互に隣り合うもの同
志が半ピッチずつずれた状態に形成せられていて、凹凸
部（11）（12）の平坦状の頂面と底面（コルゲートフィ
ン（６）の上下両面）がそれぞれ平板（２）（２）に接
合されているものである。

なお、第２図に示すように、マルチエントリー型コルゲ
ートフィン（６）の半ピッチずつずれている相互に隣り
合う凹凸部の列（13）（13）同志は、凹凸部（11）（1
2）の平坦状の頂面と底面とにおいて互いに一部連なっ
ているものである。

コルゲートフィン（６）（６）の上下両面はそれぞれ平
板（２）（２）に接合されるとともに、左側コルゲート
フィン（６）の右側縁部および右側コルゲートフィン
（６）の左側縁部が、上下両補強凸部（５）（５）の左
右両側面にそれぞれ当接せしめられていて、各コルゲー
トフィン（６）の側縁部がこれに当接している補強凸部
（５）（５）の側面に接合されている。

一方、第２流体流路（Ｂ）の上下に隣り合う平板（２）
（２）同志の間には、山部と谷部がフィンの長さ方向に
直線状となされかつ山部と谷部の間の側面にルーバ（通
気用開孔部）を有するアルミニウム板製のルーバ付きコ
ルゲート・フィン（７）が介在されている。

なおこの実施例においては、平板（２）に一体に設けら
れた横断面Ｖ形の補強凸部（５）の裏面に形成されてい
る凹溝の両端部に、第２図に示すように、該凹溝と同じ
横断面を有する短いシール部材（８）が収められてい
る。

上記熱交換器（１）は、アルミニウム製ブレージングシ
ートよりなりかつ補強凸部（５）を有する多数の平板
（２）と、隣り合う平板（２）（２）同志の間にそれぞ
れ介在されたアルミニウム押出形材製の左右両側壁
（３）（３）および前後両側壁（４）（４）と、補強凸
部（５）（５）によって区分された流体流路部分（A1）
（A2）の内側に配置されたアルミニウム板製マルチエン
トリー型コルゲートフィン（６）（６）とを、所定の順
序で重合状態に配置し、例えば真空ろう付け法によって
一体に接合することにより製造されるものであるが、こ
の考案においては、とくに一方の第１流体流路（Ａ）の
上下両平板（２）（２）に、流体流路（Ａ）内に突出し
かつこれの長さ方向に伸びている補強凸部（５）がそれ
ぞれ設けられ、補強凸部（５）（５）により区分された
流体流路部分（A1）（A2）内に、コルゲートフィン
（６）（６）が配置されているから、コルゲートフィン
（６）（６）の上下両面がそれぞれ平板（２）（２）に
接合されるだけでなく、コルゲートフィン（６）（６）
の側縁部がこれに当接している補強凸部（５）の側面に
接合されており、従って接合面積がそれだけ広くなっ
て、ろう付け性が向上し、接合不良が低減する。

また仮に平板（２）（２）とコルゲートフィン（６）
（６）との接合不良が生じた場合でも、両者の剥がれが
補強凸部（５）により阻止されるため、流体流路（Ａ）
全体に波及しない。また各コルゲートフィン（６）は、
補強凸部（５）と左右両側壁（３）（３）との間の流体
流路部分（A1）（A2）にそれぞれ嵌め込めば良く、従っ
て熱交換器（１）の製造時のセットが非常に簡単であ
る。

なお図示のものは、平板（２）に一体に設けられた補強
凸部（５）の裏面に形成されている凹溝の両端部に、短
いシール部材（８）がそれぞれ収められているが、例え
ば補強凸部（５）の幅が狭いような場合には、これの裏
面に形成されている凹溝の幅も狭くなって、真空ろう付
けのさい溶けたろう材が凹溝内に流れ込んで、これを塞
ぐので、凹溝内に上記のような短いシール部材（８）を
収める必要はない。

なお、オイル・クーラーを例にとれば、熱交換器（１）
は小型のもので第１流体流路（Ａ）と第２流体流路
（Ｂ）をそれぞれ３個ないし20個有している。また中型
のもので両流路（Ａ）（Ｂ）をそれぞれ21個ないし50個
有している。大型のものでそれぞれ51個ないし100個有
している。

上記熱交換器（１）において、オイルが流通する第１流
体流路（Ａ）の両端部はヘッダ・タンク（図示略）に連
通せしめられ、所定の吐出圧を有するポンプより流路
（Ａ）内にオイルが流通せしめられる。これに対し空気
が流通する第２流体流路（Ｂ）の両端は開放せられてお
り、ファンによる強制送風によりあるいは車両等の走行
による自然通風によって第２流体流路（Ｂ）に空気が流
通せしめられるようになされている。

第３図は、この考案の第２実施例を示すものである。こ
こで、上記第１実施例の場合と異なる点は、コルゲート
・フィンフィン（６）として山部と谷部がフィン長さ方
向に直線状となされた通常のコルゲートフィンが用いら
れている点、および補強凸部（５）（５）によって区分
された左右流体流路部分（A1）（A2）のうち、右側流体
流路部分（A2）内のコルゲートフィン（６）が上下逆に
配置されている点にある。

従ってコルゲートフィン（６）（６）の上下両面がそれ
ぞれ平板（２）（２）に接合される点は上記実施例１の
場合と同じであるが、左側コルゲートフィン（６）の右
側縁部が下側補強凸部（５）の左側面に当接せしめられ
て接合されているのに対し、右側コルゲートフィン
（６）の左側縁部が上側補強凸部（５）の右側面に当接
せしめられて接合されている点が異なっている。

第４図は、この考案の第３実施例を示すものである。こ
こで、上記第１実施例の場合と異なる点は、熱交換器
（１）の第１流体流路（Ａ）の上下両側の平板（２）
（２）に、同流体流路（Ａ）内に突出しかつこれの長さ
方向に伸びている２つの補強凸部（５）（５）がそれぞ
れ設けられ、補強凸部（５）（５）と左右両側壁（３）
（３）との間のそれぞれの流体流路部分（A1）（A2）お
よび補強凸部（５）（５）同志の間の流体流路部分（A
3）の内側に、該流路部分（A1）（A2）（A3）の幅と略
同じ幅を有するコルゲートフィン（６）（６）（６）が
介在させられている点にある。なお、各コルゲートフィ
ン（６）としては、山部と谷部がフィン長さ方向に直線
状となされた実施例２と同じコルゲートフィンを使用し
た。

上記第２実施例および第３実施例のその他の点は、上記
第１実施例の場合と同様であるので、図面において同一
のものには同一の符号を付した。

上記各実施例に示された熱交換器（１）は、オイルクー
ラとして例えばエンジンオイルの冷却に、あるいは産業
機械の冷却に、また各種油圧システムのオイルの冷却に
使用せられるものである。

なお、図示は省略したが、補強凸部（５）は、第２流体
流路（Ｂ）側の平板（２）に設けられていても良い。そ
の場合には、補強凸部（５）と前後両側壁（４）（４）
との間にそれぞれ区分された流体流路部分が形成せら
れ、これらの流体流路部分の内側に、該流路部分の幅と
略同じ幅を有するルーバ付きコルゲートフィン（７）
（７）が介在させられることになる。

なお、熱交換器（１）の第１および第２流体流路（Ａ）
（Ｂ）内に配置されたフィン（６）（７）の形状は、図
示のものに限らず、その他のものであっても良い。

また図示の熱交換器（１）は、互いに対向する平板
（２）（２）の両方に補強凸部（５）が設けられている
が、補強凸部（５）は両平板（２）（２）のうちの一方
の平板（２）に設けられていても良い。

また実施例の熱交換器（１）は、第１流体流路（Ａ）が
水平に配置されたいわゆる横型のオイルクーラとして使
用されているが、熱交換器（１）は、第１流体流路
（Ａ）が垂直に配置された縦型のオイルクーラとして使
用されてもよい。

また熱交換器（１）は、オイルクーラだけでなく、自動
車用エバポレータ、その他気体および流体について複数
種類の流体の熱交換を行なう各種の熱交換器にも利用可
能である。

考案の効果 この考案は、上述のように、所定間隔をおいて上下に並
列状に配置されたアルミニウム・ブレージングシートよ
りなる平板と、互いに対向する平板同志の間に介在され
た両側壁とによって形成された複数の第１流体流路と第
２流体流路とを備えているプレート・フィン型熱交換器
において、第１および第２流体流路のうちの少なくとも
一方の流体流路の対向する平板のうちの少なくとも一方
の平板に、同流体流路内に突出しかつこれの長さ方向に
伸びている少なくとも１つの補強凸部が設けられ、補強
凸部と一方および他方の流路側壁との間のそれぞれの流
体流路部分、および補強凸部が複数個ある場合に、上記
流体流路部分および補強凸部同志の間の流体流路部分の
内側に、該流路部分の幅と略同じ幅を有するコルゲート
フィンが介在させられて、コルゲートフィンの一側縁部
または両側縁部が補強凸部の側面に当接せしめられ、コ
ルゲートフィンの上下両面がそれぞれ平板に接合される
とともに、コルゲートフィンの側縁部がこれに当接して
いる補強凸部の側面に接合されているものであるから、
補強凸部により区分された各流体流路部分内のコルゲー
トフィンの上下両面が平板に接合されるだけでなく、コ
ルゲートフィンの側縁部がこれに当接している補強凸部
の側面に接合され、従って流体流路内における平板とコ
ルゲートフィンとの接合面積がそれだけ広くなって、ろ
う付け性が向上し、接合不良が低減する。

また例え平板とコルゲートフィンとの接合不良が生じた
場合でも、流体流路内は補強凸部により複数の流体流路
部分に区分されているから、平板とコルゲートフィンと
の剥がれが流体流路全体に波及せず、これを部分的なも
のとしておさえることができる。

また各コルゲートフィンは、補強凸部により区分された
略同幅の流体流路部分内に嵌め込めば良く、従って熱交
換器構成部材のセットが非常に簡単であり、ひいては品
質の良い熱交換器を、歩留まり良くかつ容易に製造する
ことができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示すもので、第１図は第１実
施例の熱交換器の第１流体流路部分の垂直断面図、第２
図は同熱交換器の要部拡大一部切欠き斜視図、第３図は
第２実施例の熱交換器の第１流体流路部分の垂直断面
図、第４図は第３実施例の熱交換器の第１流体流路部分
の垂直断面図である。 （Ａ）……第１流体流路、（A1）（A2）（A3）……流体
流路部分、（Ｂ）……第２流体流路、（１）……プレー
ト・フィン型熱交換器、（２）……平板、（３）（３）
……左右両側壁、（４）（４）……前後両側壁、（５）
……補強凸部、（６）……コルゲートフイン、（７）…
…ルーバ付きコルゲートフイン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】所定間隔をおいて上下に並列状に配置され
   たアルミニウム・ブレージングシートよりなる平板
   （２）と、互いに対向する平板（２）（２）同志の間に
   介在された両側壁（３）（３）（４）（４）とによって
   形成された複数の第１流体流路（Ａ）と第２流体流路
   （Ｂ）とを備えているプレート・フィン型熱交換器にお
   いて、第１および第２流体流路（Ａ）（Ｂ）のうちの少
   なくとも一方の流体流路の対向する平板（２）（２）の
   うちの少なくとも一方の平板（２）に、同流体流路内に
   突出しかつこれの長さ方向に伸びている少なくとも１つ
   の補強凸部（５）が設けられ、補強凸部（５）と一方お
   よび他方の流路側壁との間のそれぞれの流体流路部分、
   および補強凸部（５）が複数個ある場合に、上記流体流
   路部分および補強凸部（５）（５）同志の間の流体流路
   部分の内側に、該流路部分の幅と略同じ幅を有するコル
   ゲートフィン（６）が介在させられて、コルゲートフィ
   ン（６）の一側縁部または両側縁部が補強凸部（５）の
   側面に当接せしめられ、コルゲートフィン（６）の上下
   両面がそれぞれ平板（２）（２）に接合されるととも
   に、コルゲートフィン（６）の側縁部がこれに当接して
   いる補強凸部（５）の側面に接合されている、プレート
   ・フィン型熱交換器。