JPH0715480Y2 - ベッドの高さ調節用マット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は一般家庭、病院、ホテル
等で使用するベッドの高さ調節をするためのマットに関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来からベッドはベッド本体の基台上に
マットレスを載置し、そのマットレス上にシーツを被
せ、所謂ベッドメイキングして使用するものである。上
記ベッド本体は、基台上に載置されるマットレス上面か
ら床までの高さが、使用者、特に老人や病人等が容易に
乗り降りでき、且つマットレスに横たわったときに不安
感を抱かないような適宜寸法（一般には４５〜５５ｃｍ
程度）となるように設計されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところが、従来のベッ
ドによれば、ベッドメイキングや介護作業をする場合に
は上記マットレス上面から床までの高さが低すぎ、それ
らの作業をする人、即ちメードや介護者等に対する配慮
の点で改良の余地を残すものであった。

【０００４】又、近年においてはベッドメイキングを簡
単に行う事ができる様に、そのメイ キングの際にマット
レスを基台から持ち上げる昇降装置を該基台とマットレ
スとの間に介在したベッドが開発され知られている（特
開平３−207308号公報参照）。ところが、この従来のベ
ッドの場合はメイキングの際にマットレスを持ち上げる
事においては有効であるものの、老人や病人等が横たわ
った状態において介護者等が介護し易い高さまでマット
レスを持ち上げる昇降装置としては不向きである。然る
に、この従来ベッドの昇降装置はエアーを供給すること
で膨脹し、エアーを抜くことで元の縮小状態に戻る袋体
で、しかもその袋体の構造としては一般に知られている
通常のエアーバックと同様に内部に何等仕切がない完全
に空洞状態であることから、上から受ける荷重即ち老人
や病人等が横たわった時の体重に対しては体重を受けた
部分は凹み、逆に体重が解放された部分は膨む凸凹の高
低差が袋体に生じ易く、それがマットレスを介して横た
わる老人や病人等に不安感を与えると言った安定性に欠
けるものである。特に横たわる体位を変えた時にそれが
顕著に現れて不安感を与えるものであった。

【０００５】本考案は上述したような従来事情に鑑みて
なされたものであり、その目的とするところは、ベッド
メイキングの作業時は勿論、マット本来の柔軟性を維持
しつつ体重が横たわる体位の変化により移動しても凸凹
の高低差が少なく、しかも介護等の作業時とベッド使用
時、夫々に合わせた適宜寸法高さに容易な作業で調節し
得、更にはエアーを供給して膨脹させる際、マット全体
を均等（平行）に膨脹させる事ができるように改良を加
えたベッドの高さ調節用マットを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本考
案の高さ調節用マットは、ベッド本体の基台上に載置さ
れるマットレスと、該マットレス上又は前記基台とマッ
トレスの間に載置される膨脹・収縮自在なエアーマット
とからなり、前記エアーマットは内部空間を上下に二分
割した上下気室を設け、該上部気室はその気室内の横方
向に並設状に多数分割せしめた縦気室とする一方、下部
気室はその気室内の縦方向全長に並設状に多数分割せし
めた横気室とした事を要旨とする。

【０００７】

【作 用】以上の構成によれば、マットレス上面から
床までの高さを、ベッド使用時においてはエアーマット
を収縮させることで使用者が容易に乗り降りでき、且つ
横たわった時に不安感を抱かない適宜の寸法高さとする
事ができ、そして、ベッドメイキングや介護作業等をす
る場合には電動ポンプ等を用いてエアーマットにエアー
を供給して膨脹させてそれら作業を行いやすい適宜の寸
法高さにすることができる。この時、エアーマットは多
数に分割された縦気室で構設されている上部気室と該縦
気室に対して直交する同じく多数に分割された横気室で
構設されている下部気室とがエアーの供給により同時に
膨脹を開始する事から、エアーマットの縦横方向の膨脹
速度のバラツキが少なく、横たわる老人や病人等に不安
感を与える事なくマット全体を均等（平行）に膨脹させ
て介護作業等がし易い前記高さまでマットレスを上昇さ
せる事ができる。そして、横たわる老人や病人等の体重
を上記構成の上部気室と下部気室とで受けることから、
横たわる体位が変わり、受ける体重が移動してもその時
に生じる凸凹の高低差は少なく、安定性を図り得る。

【０００８】

【実 施 例】図１は本考案の高さ調節用マットの一実
施例で、図中１はベッド本体、２はマットレス、３はエ
アーマット、４は電動ポンプ等の圧縮エアー供給手段を
示す。

【０００９】ベッド本体１は、相対向して設けるヘッド
ボード１１とフットボード１２の夫々下端にわたって平
面矩形状の基台１３を架設すると共に、前記ヘッドボー
ド１１・フットボード１２夫々の両端に脚部１４を設け
てなり、それら脚部１４で基台１３を支持している。前
記基台１３上にはマットレス２が設置される。またベッ
ド本体１は、上記基台１３上に載置したマットレス２上
面から床までの高さが適宜の高さ寸法（４５〜５５ｃｍ
程度）となるよう構成される。

【００１０】マットレス２は、基台１３とほぼ同一、若
しくは一回り小さな平面矩形状を呈する所望肉厚のクッ
ション材を布製カバーで覆った周知のもので、その短辺
側の側面をヘッドボード１１・フットボード１２に摺接
させて、換言すれば昇降自在に基台１３上に設置され
る。前記マットレス２と基台１３の間にはエアーマット
３を設ける。

【００１１】エアーマット３は、図２及び図３に拡大し
て示すように、ナイロン布を表面とするゴム引布或いは
レザー地等からなる布地を用いて、前記マットレス２と
ほぼ同形な平面矩形状を呈する上下の袋体３１・３２を
成形すると共に、それら袋体３１・３２を接着その他所
望な手段で一体化することで上部気室３３と下部気室３
４を形成してなり、基台１３上面に載置又は固定する
か、若しくはマットレス２下面に固定される。また、夫
々の袋体３１・３２の側面にはエアー供給口３５を開設
し、該エアー供給口３５には不図示の開閉栓を設ける。

【００１２】そして、上部気室３３の内部には上端及び
下端を上袋体３１の上面，下面に固定してエアーマット
３の長手方向に伸びる吊布３６を、等間隔をおいて多数
並設せしめて同気室３３内部を短手方向に並設状に分割
せしめた多数の縦気室３３−１とし、下部気室３４の内
部には上端及び下端を下袋体３２の上面，下面に固定し
てエアーマット３の短手方向に伸びる吊布３７を、等間
隔をおいて多数並設せしめて同気室３４内部を長手方向
に並設上に分割せしめた多数の横気室３４−１として、
縦気室３３−１と横気室３４−１とを上下において互い
に直交状に位置させた交差形態とする。

【００１３】吊布３６，３７は、上部気室３３と下部気
室３４との内部を夫々縦方向と横方向とに分離せしめた
同内部に多数の縦気室３３−１と多数の横気室３４−１
とを夫々並設する役目と、上袋体３１の上面，下面と下
袋体３２の上面，下面とを夫々固定連結せしめる事で、
上部気室３３と下部気室３４とが膨脹する際にその全域
が均等（平行）に膨脹する様に、即ちエアーが送り込ま
れた際、エアーマット３が部分的に出っばる様な膨み方
をせずにそのマット３全域が均等に膨脹する様 に、そし
てマット３が膨脹した際その縦方向と横方向全域を定形
保持する補強材としての役目を成すもので、ゴム引布等
からなる断面コ字状の布片を左右背中合わせ状に縫合わ
せて断面ほぼＩ字状に形成され、そして吊布３６は上袋
体３１の縦方向の長さよりも、吊布３７は下袋体３２の
横方向の長さよりも夫々短めに形成して、夫々を固着せ
しめた際にその側端部分と上部気室３３・下部気室３４
内壁との間に隙間３８が形成される様にしてある。而し
て、互いに直交する多数の縦気室３３−１と多数の横気
室３４−１とは夫々端部の隙間３８により連通されて、
上記エアー供給口３５から圧縮エアーが供給されること
で、それら全てが一同に夫々の方向への膨脹を開始する
ものである。

【００１４】そして、夫々の上下気室３３・３４内にエ
アーが供給されない状態でエアーマット３は図１（ａ）
の如く収縮していて、この時エアーマット３の厚さはほ
とんど無いに等しい。また、エアー供給口３５から圧縮
エアーを供給すると、吊布３６・３７の作用によりエア
ーマット３は全域に亘り均等に膨脹し、この時エアーマ
ット３は適宜の厚さ（約２５〜３５ｃｍ程度）となる。

【００１５】以上の構成からなる本実施例の高さ調節用
マットを用いた場合、ベッド使用時においては図１
（ａ）示の如くエアーマット３を収縮させておき、この
状態でマットレス２上面から床までは使用者、特に老人
や病人等が容易に乗り降りでき、且つ横たわった時に不
安感を抱かない適宜の高さ寸法（前述の４５〜５５ｃｍ
程度）である。

【００１６】そして、ベッドメイキングや介護作業等を
する場合には、開閉栓を操作してエアー供給口３５を開
き、該エアー供給口３５にチューブ４１を介して電動ポ
ンプ４を接続し、その電動ポンプ４の作動で図１（ｂ）
示の様にエアーマット３を膨脹させる。この状態でマッ
トレス２上面から床まではベッドメイキングや介護作業
等を行いやすい適宜の高さ寸法（７０〜８０ｃｍ程度）
となる。この時、エアーマット３は吊布３６により多数
に分割並設された縦気室３３−１で構設されている上部
気室３３と該縦気室３３−１に対して直交する位置関係
でその下部に同 じく多数に分割並設された横気室３４−
１で構設されている下部気室３４とが電動ポンプ４から
の圧縮エアーの供給により同時に膨脹を開始する事か
ら、エアーマット３の縦・横方向の膨脹速度のバラツキ
が少なく、横たわる老人や病人等に不安感を与える事な
くマット３全域を均等（平行）に膨脹させて介護作業等
がし易い前記高さまでマットレス３を上昇させる事がで
きる。そして、横たわる老人や病人等の体重を上記構成
の多数縦気室３３−１と多数横気室３４−１とからなる
上部気室３３と下部気室３４とで受けることから、横た
わる体位が変わり、受ける体重が移動してもその時に生
じる凸凹の高低差は少なく、安定性を図り得る。前記作
業終了後はエアー供給口３５の開閉栓を開きエアーマッ
ト３内のエアーを抜いて、初期の状態、即ち図１（ａ）
示の状態に戻す。この場合も老人や病人等が横たわる即
体重を受ける部分が急激に縮小せずにエアーマット３全
域が均等に縮小せしめることから、不安感を与える事は
ない。尚、エアーマット３にエアーを供給するものとし
て、上記した電動ポンプ４以外に足踏みポンプを用いる
事も可能であり、この足踏みポンプは一般家庭用として
有効である。

【００１７】図４・５は上記エアーマット３の変形例を
示し、このエアーマット５は、前述の布地からなる内部
中空な円柱体を、エアーマット５の長手方向または短手
方向と平行に固着連設せしめて多数並設し、且つその各
円柱体間の隔壁部分５６・５７に通孔５８を開設して上
下の袋体５１，５２を成形する。

【００１８】さらに、それら袋体５１・５２を接着その
他所望な手段で一体化することで上部気室５３と下部気
室５４を形成すると共に、夫々の袋体５１・５２の側面
にはエアー供給口５５を開設し、該エアー供給口５５に
は不図示の開閉栓を設けてなり、基台１３上面に載置又
は固定するか、若しくはマットレス２下面に固定され、
上記のエアーマット３と同様に作用する。

【００１９】上記エアーマット５においては横方向に並
設する各上部気室５３が縦気室５３−１となり、縦方向
に並設する各下部気室５４が横気室５４−１となって上
記し たエアーマット３の縦・横気室３３−１・３４−１
と同様の作用効果をなすものである。

【００２０】尚、夫々のエアーマット３，５はマットレ
ス２下方に配するものに限定されず、マットレス２上面
に固定状に配しても構わない。その場合においても、上
記と同様の効果を得ることは言うまでもない。

【００２１】

【考案の効果】本考案ベッドの高さ調節用マットは叙上
の如く構成してなる下記の作用効果を秦する。エアーマ
ットにエアーを供給すると、上部気室の多数の縦気室は
エアーマットの縦方向に、そしてこの縦気室と直交する
下部気室の多数の横気室はエアーマットの横方向に同時
に膨脹することから、エアーマットの縦横方向の膨脹速
度のバラツキが少なく、横たわる老人や病人等に不安感
を与える事なくマット全体を均等（平行）に膨脹させて
介護作業等がし易い前記高さまでマットレスを上昇させ
る事ができる。そして、横たわる老人や病人等の体重を
上記構成の上部気室と下部気室とで受けることから、横
たわる体位が変わり、受ける体重が移動してもその時に
生じる凸凹の高低差は少なく、安定性を図り得る。

【００２２】従って、本考案高さ調節用マットによれ
ば、ベッドメイキングの作業時は勿論、介護等の作業時
に横たわる体位の変化により体重が移動しても凸凹の高
低差を上下において直交する縦・横気室により極力少な
くしてマット全体を均等（平行）に膨脹させて介護作業
等がし易い適宜の高さ寸法までマットレスを上昇させる
事ができることから、介護作業時に横たわる老人や病人
等に不安感を与えない最適な高さ調節用マットとなる。
また、介護作業時とベッド使用時に夫々に合わせた適宜
の寸法高さに容易な作業で調節変更し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案高さ調節用マットの一実施例を示す一
部切欠斜視図で、（ａ）はベッド使用時、（ｂ）はベッ
ドメイキングや介護作業時を示す。

【図２】 図１に係るエアーマットの一部切欠斜視図。

【図３】 図２の中央縦断正面図。

【図４】 エアーマットの他例を示す斜視図。

【図５】 図４の中央縦断正面図。

【符号の説明】

１：ベッド本体 ２：マットレス ３，５：エアーマット ４：電動ポンプ３３，５３：上部気室 ３４，５４：下部気
室 ３３−１，５３−１：縦気室 ３４−１，５４−
１：横気室

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベッド本体の基台上に載置されるマット
   レスと、該マットレス上又は前記基台とマットレスの間
   に載置される膨脹・収縮自在なエアーマットとからな
   り、前記エアーマットは内部空間を上下に二分割した上
   下気室を設け、該上部気室はその気室内の横方向に並設
   状に多数分割せしめた縦気室とする一方、下部気室はそ
   の気室内の縦方向全長に並設状に多数分割せしめた横気
   室とした事を特徴とするベッドの高さ調節用マット。