JPH07151862A - 波高安定化回路 - Google Patents

波高安定化回路

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JPH07151862A
JPH07151862A JP30071593A JP30071593A JPH07151862A JP H07151862 A JPH07151862 A JP H07151862A JP 30071593 A JP30071593 A JP 30071593A JP 30071593 A JP30071593 A JP 30071593A JP H07151862 A JPH07151862 A JP H07151862A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】信号の波高値が意味を持つパルス性の信号の計
測装置の波高の増幅利得を既知の波高値を与える基準信
号源を用いて安定化するとき、基準信号に重なるバック
グラウンドが存在しても作動する波高安定化回路を提供
する。 【構成】波高安定化回路を、基準信号の波高値の範囲を
等分する波高値範囲の信号を選択してその発生頻度を測
定する第1と第2の波高分析器31,32と計数率計401,40
2 および第1と第2の波高分析器の測定波高値範囲に隣
接する波高値の領域を測定波高値範囲として選択して、
その発生頻度を測定する第3と第4の波高分析器33,34
と計数率計403,404 によって構成する。そして、バック
グラウンドによる計数率を、2個の未定定数によって定
まる関数によって近似し、この未定定数の値を第3と第
4の計数率計の計数率出力値をもとに演算によって求
め、第1,第2の計数率計の計数率出力値からバックグ
ラウンド信号成分による計数率を差し引いて基準信号成
分による計数率を出力する演算回路81を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、信号の波高値が意味を
持つパルス性の信号を増幅し、波高値の区分に応じた計
測を行う放射線計測装置等において、基準信号を用いて
増幅利得を制御して波高を安定に保つ波高安定器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】半導体放射線検出器あるいはNaIシン
チレーション検出器のような放射線検出器は、検出器に
放射線が入射する度に、入射した放射線のエネルギーに
比例する波高値のパルス性の検出信号を出力する。半導
体放射線検出器あるいはNaIシンチレーション検出器
等を用いて放射線の発生頻度とそのエネルギーの両方に
関連する放射線に係わる量を測定する放射線計測装置に
おいては、増幅利得が長時間にわたって安定に保たれて
いる必要があり、このため波高安定化回路が計測装置に
付加されることとなる。
【0003】波高安定化回路は、検出器に放射線エネル
ギーにたいする利得の基準となるような信号、例えば基
準線源の照射、あるいはそれに代わる光の照射により得
られる信号を与え、その出力の偏りの程度を出力信号と
して得て、これを用いて系統全体の利得を制御し、利得
を安定化しようとするものである。図5に特定エネルギ
ー範囲の放射線の発生頻度を測定する従来技術による波
高安定化回路をもちいた放射線測定装置の一例のブロッ
ク図を示す。
【0004】図5において、1は基準用ガンマ線源、2
は出力信号波高値によってエネルギー情報が与えられる
NaIシンチレーション検出器等の放射線検出器、31,
32および39はシングルチャネル波高分析器、4は差動形
計数率計、5は積分回路、6は検出器バイアス電源、7
は計数率計である。図5の構成の放射線測定装置におい
て、基準用ガンマ線源1を例えば137Cs とすると、検出
器2から出力される信号のエネルギースペクトルは図6
のようになり、137Cs のフォトピークpが得られる。
【0005】シングルチャネル波高分析器31,32および
39は検出器の出力信号を入力信号とし、予め定めた特定
波高範囲の信号、つまり特定エネルギー範囲の放射線成
分のみを選択抽出し、その放射線による信号を一定の高
さ,幅の波形に整形した信号として出力するものであ
り、以下設定された特定エネルギー範囲を示すB,Cな
どの記号を末尾に付してSCABなどのうように表すこ
ととする。
【0006】シングルチャネル波高分析器31と32に設定
する特定エネルギー範囲は、図6に示すように基準とな
るフォトピークにあわせて、SCAB31が基準フォトピ
ークpの左半分のbで示される領域に、またSCAC32
が基準フォトピークpの右半分のcで示される領域に相
当する波高値のパルス信号を与える放射線を計測するよ
うに設定されている。
【0007】差動形計数率計4は、SCAB31とSCA
C32の出力信号を入力とし、両パルス信号の発生頻度数
に差があれば、いづれが多いかにより正あるいは負の差
に比例した電気信号を出力する。それ故、2つの入力の
単位時間あたりの数が等しいと出力信号は0となる。積
分回路5は、差動形計数率計4の出力信号を積分し、差
動形計数率計4の出力が0になると、それまでの積分結
果を維持してバイアス電源6へ制御信号として出力す
る。
【0008】検出器バイアス電源6は、NaIシンチレー
ション検出器2への印加電圧を供給する電源で、この電
圧を高くすると同一エネルギーの放射線に対する検出器
の出力信号波高値は高くなって系の増幅利得が上昇し、
逆に低くすると系の増幅利得は低下する。そしてこの検
出器バイアス電源6の出力電圧は積分回路5の出力信号
によって制御される。
【0009】一方、SCAM39は測定対象のエネルギー
範囲の信号を選択抽出して計数率計7に出力するもの
で、選択するエネルギー範囲は任意に設定できるが、図
6に示す例の場合、基準用ガンマ線源のフォトピークを
外れた領域に設定している。このような状況において、
なんらかの原因でシンチレーション検出器2の光電子増
倍率あるいは検出器バイアス電源6の出力電圧などの変
動によって測定系の増幅利得が上昇すると、図7のスペ
クトル模型図に示されているように、基準フォトピーク
pの波高値が少し高い方(エネルギーの高い方)へずれ
て測定されることとなり、SCAC32の出力信号数が増
加し、SCAB31の出力信号数が減少する。すると、差
動形計数率計4からは、その状況に応じてバイアス電源
6の出力電圧を下げる方向の信号が出力され積分回路5
で積分されるとともに保持され、その出力はバイアス電
源6へ供給されバイアス電圧を下げ、フォトピークに相
当する信号の波高値も低くなり、エネルギーの低い方へ
移動する。そしてSCA31とSCA32の測定エネルギー
範囲の信号波数が等しくなり各SCA31,32の出力信号
数も等しくなったところで安定する。このようにしてフ
ォトピークの波高を一定に保つことができる。
【0010】これらの結果、SCAM39の測定エネルギ
ー範囲も一定に保たれ、計数率計7において正確な測定
結果を得ることができることになる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記図5に例示の構成
の従来技術による波高安定化回路によれば、基準フォト
ピークのエネルギー範囲に他の核種の放射線が混入して
おらず基準フォトピークが独立分離して観測される場合
には、波高安定化回路は正常に機能する。しかしなが
ら、複数の核種からの種々のエネルギーの放射線が混在
していて、基準フォトピークのエネルギー範囲に他の核
種からの放射線によるフォトピークの裾がバックグラウ
ンドとして重なる図8の太い実線で示されているような
場合には、SCAB31とSCAC32が基準フォトピーク
本来のエネルギー範囲を等分して計測する状態であって
も、差動形計数率計4に入力されるパルス信号にはバッ
クグラウンド起因のパルス信号が含まれているため、こ
の状態で差動形計数率計4の出力は0となって安定する
ことはなく、基準とは異なったフォトピークの箇所で安
定するようにパルス波高増幅利得が変化してしまう。
【0012】また、バックグラウンドが増大して基準と
なる信号の割合が減った場合には、フォトピークの安定
検出が困難となって波高安定化の精度が低下し、著しい
場合には誤動作の恐れが発生する。本発明は、以上の点
に鑑み、基準フォトピークのエネルギー範囲に他の信号
が混入したような、より悪い測定条件下でも、動作が可
能な波高安定化方式を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的達成のため、
本発明による波高安定化回路おいては、基準信号の波高
値の範囲を等分する波高値範囲の信号を選択抽出して整
形されたパルス信号として出力する第1と第2の波高分
析器と、この第1と第2の波高分析器それぞれの出力パ
ルス信号の頻度を計測する第1,第2の計数率計と、前
記第1と第2の波高分析器の測定波高値範囲に隣接する
波高値の領域を測定波高値範囲とし、バックグラウンド
信号を選択抽出して整形されたパルス信号として出力す
る第3と第4の波高分析器と、この第3と第4の波高分
析器それぞれの出力パルス信号の頻度を計測する第3と
第4の計数率計と、第1ないし第4の波高分析器によっ
て選択されるエネルギー範囲におけるバックグラウンド
信号成分による計数率を、エネルギーの値を独立変数と
し、2個の未定定数によって定まる関数によって近似
し、前記第3と第4の計数率計が出力する計数率の値に
よって前記2個の未定定数の値を演算によって求め、未
定定数の値が定められた前記近似関数によって前記第
1,第2の計数率計に定められたエネルギー範囲におけ
るバックグラウンド信号成分による計数率を演算して第
1,第2の計数率計の計数率出力から差し引いて基準信
号の寄与成分による計数率を出力する演算回路を設け
る。
【0014】バックグラウンドを近似する関数の独立変
数の変化範囲を第1ないし第4の波高分析器によって選
択された波高値範囲に整合させるため、変数としての波
高値を線型1次方程式によって変換する。基準信号の近
傍の波高値範囲でバックグラウンド信号成分が波高値に
対応して変化する場合にはバックグラウンド信号成分を
近似する関数として線型2次方程式を適用する。一方、
バックグラウンド信号成分の変化率が均等と見做せる場
合には、バックグラウンドの信号成分を近似する関数と
して線型1次方程式を適用する。
【0015】
【作用】上記のように、基準信号の波高値領域近傍のバ
ックグラウンド信号成分を2個の未定定数で定まる関数
によって近似すると、基準信号波高領域の外側のバック
グラウンド信号成分の波高範囲を選択抽出する第3と第
4の波高分析器に繋がる第3,第4の計数率計の計数率
出力値は、それぞれ前記2個の未定定数を含む独立の2
式によって表され、前記第3と第4の計数率計の出力を
入力として設けられた演算回路において、この2式が未
定定数について解かれて未定定数の値が定まる。
【0016】さらに、演算回路は、上記のよって定めら
れたバックグラウンド近似関数の定数値を用いて、第1
と第2の波高分析器によって選択され、波高分析器に繋
がるの第1と第2の第1と第2の計数率計によって出力
された基準信号の波高値範囲の計数率計測値のうちのバ
ックグラウンド信号成分寄与分を演算して求め、この値
を第1と第2の計数率計の出力値から差引いて基準信号
成分のみによる計数率の差の値を演算してパルス波高の
増幅利得の制御信号として出力する。
【0017】そして、変数としての波高値を線型1次方
程式によって変換すると、近似関数の独立変数の変化範
囲が前記第1ないし第4の波高分析器によって選択され
た波高値範囲に整合し、近似関数として線型2次方程式
を適用したときには、バックグラウンド信号成分が波高
値に対応して変化する測定環境に適合することとなり、
近似関数が線型一次方程式を適用するとバックグラウン
ド信号成分の変化率が均等である場合の測定環境に適合
することとなる。
【0018】
【実施例】本発明による波高安定化回路を備えた計数率
計の一実施例のブロック構成を図1に示し、図2に図1
のブロック構成の波高安定化回路の動作を説明するため
のスペクトル拡大図を示し、以下これらの図によって本
発明を説明する。図1において、1は基準用ガンマ線
源、2はNaIシンチレーション検出器等の出力信号波
高値によってエネルギー情報が与えられる種類の放射線
検出器であり、検出器バイアス電源6から供給される電
源電圧によって出力信号波高値に対する利得が変動する
ものである。そして、31ないし34は波高安定化回路を構
成するシングルチャネル波高分析器、401 ないし404
は、同じく波高安定化回路を構成する計数率計、81は前
記計数率計の出力を入力として検出器1に印加すべきバ
イアス電圧を発生する検出器バイアス電源6の出力電圧
制御信号を生成する演算回路であり、この演算回路81の
出力は積分回路5で平滑安定化されて検出器バイアス電
源6への制御信号として入力される。
【0019】一方、39は、安定化された検出器出力パル
ス信号の内、観測対象とする波高値範囲を選択する波高
分析器(SCAM)であり、このSCAMで選択された
波高値範囲のパルス信号が計数率計7で測定値として計
数される。つぎに、図2のスペクトル拡大図によって本
波高安定化回路の動作を説明する。
【0020】この図2は、複数の核種からの種々のエネ
ルギーの放射線が混在しているため、基準フォトピーク
のエネルギー範囲に他の核種からの放射線によるフォト
ピークの裾がバックグラウンド(以下BGと略す)とし
て重なっている様子を示している。そこで、基準フォト
ピーク領域とピーク領域に隣接する領域を、図2に示さ
れているように、基準フォトピークの頂点に対応するエ
ネルギーEp を境界に、基準フォトピークが存在するエ
ネルギー領域の幅の1/2をチャネル幅Wとするチャネ
ルBとC、および基準フォトピーク領域に隣接する予め
定めた幅Wa とWdのチャネルAとDとに分け、このA
ないしDの各チャネルに前記の波高安定化回路を構成す
るシングルチャネル波高分析器31ないし34のエネルギー
選択範囲を割当て、各チャネルに割り当てられた波高分
析器とその波高分析器に接続された計数率計とを、チャ
ネル記号によってそれぞれSCAAおよびRMAのよう
に表すこととする。
【0021】上記のように各シングルチャンネル波高分
析器のエネルギー選択範囲を設定したとき、SCAA或
いはとSCADに繋がる計数率計RMA或いはRMDの
出力は、基準フォトピーク成分を含まない他の核種から
の放射線(BG)による計数率値a’とd’であるのに
対し、SCABとSCACとに繋がる計数率計RMBお
よびRMCの出力は、基準フォトピーク成分の計数率値
bとcとに、BG成分寄与分の計数率値b’とc’とが
加算された下記式(1)と(2)とによって表される計
数率値Nb およびNc とになる。
【0022】
【数1】 Nb =b+b’ (1)
【0023】
【数2】 Nc =c+c’ (2) ところで、基準フォトピーク領域における他の核種から
の放射線によるBGがエネルギーに依存して変化してい
ると見做せる場合、このBG計数率をエネルギーxを変
数として近似する関数として2個の未定定数とをもつ関
数f(x)を選択することができる。
【0024】それゆえ、波高分析器SCAA〜SCAD
のエネルギー選択範囲を上記のように割当たとき、各チ
ャネルにおけるBG起因の計数率a',b',c'およびd'
は、上記BGの近似関数f(x)の積分関数をF(x)
として下記の式(3)ないし式(6)によって表される
こととなる。
【0025】
【数3】 a’=F(Ep −W)−F{Ep −(W+Wa )} (3)
【0026】
【数4】 b’=F(Ep )−F(Ep −W) (4)
【0027】
【数5】 c’=F(Ep +W)−F(Ep ) (5)
【0028】
【数6】 d’=F{Ep +(W+Wb )}−F(Ep +W) (6) 式(3)ないし式(6)は、2個の未定定数をもつ関数
f(x)の積分関数F(x)の変数に異なる既知の値を
代入して得られる独立した式であるから、2個の未定定
数を含んでいる。この未定定数の値は、基準フォトピー
ク寄与分を含まない計測値として、波高分析器SCAA
とSCADとにつながる計数率計RMAとRMDとによ
って出力される信号a’及びd’を表す式(3)と式
(6)とから、演算によって求めることができる。
【0029】未定定数が定まれば、この値を式(4)お
よび式(5)に代入して、波高分析器SCABとSCA
Cとによって基準フォトピークのエネルギー領域を計測
範囲に設定された計数率計RMBとRMCが出力する出
力信号Nb およびNc のうち、BG成分寄与分の計数率
の値b’とc’とが求められるので、式(1)および式
(2)とから、基準フォトピークによる正味計数率の値
aとbとを導くことができる。
【0030】基準フォトピークによる正味計数率の値a
とbとが求まり、この差の値に相当する出力信号が得ら
れれば従来技術の項で説明したと同等の技術によってパ
ルス信号増幅回路系統の増幅利得を一定に保つことがで
き、図1の演算回路81は上記の演算を実行して正味計数
率の値aとbの差を求め、この差の値によって検出器バ
イアス電源の出力電圧の制御信号を演算して出力する回
路である。
【0031】BG近似関数としては、2個の未定定数で
定まる任意の関数において、最もBGの状況に適合する
変数の範囲を請求項2の発明にもとづいて選定すること
ができる。たとえば、基準フォトピークEp を中心とす
るチャネルAないしDのエネルギー幅を全てWとし、こ
の間のBGの状況を、チャネルAの外側の(Et,B)
を頂点とする余弦関数のπから3π/2に相当する変数
範囲で近似しようとするときには、まず変数としてのエ
ネルギーxを、請求項2にもとづき一次方程式(7)に
よってπから3π/2の間で定義された変数θに変換す
る。この変換式の係数βとαは、上記の変数範囲の条件
を適合して得られる式(8)と(9)とによって定める
ことができる。
【0032】
【数7】 θ=β(x−α) (7)
【0033】
【数8】 π=β(Et −α) (8)
【0034】
【数9】 3π/2=β(Ep +2W−α) (9) 上記の変換で求められたθを変数とする余弦関数cos
θによって、AとBとを未定定数とする1次方程式(1
0) をBG近似関数として定義すると、式(10)は、
(Et,B)を頂点とし、チャネルDの外側境界におけ
る値がA+Bとなり、その間の変化が余弦関数のπから
3π/2の間の変化に相当して変化する所期の関数が得
られる。
【0035】
【数10】 f(x)=A(1+cosθ)+B (10) 基準フォトピークの極近傍に他の核種の強いフォトピー
クが存在するようなBG環境においては、BG成分は変
数としてのエネルギーに応じて大きく変化するので、請
求項3の発明にもとづきBG近似関数として変化率が独
立変数に依存して増大する2次方程式を選択するとBG
の状況はより適切に近似される。
【0036】測定環境における放射線核種は、多くの場
合、一定の種類に固定されているので、基準フォトピー
クに裾が重なる核種によるBGを2次方程式で近似する
とき、2次方程式の頂点における独立変数の値に相当す
るエネルギーの値Et を予め推定して定めることができ
る。そこで、請求項2の発明にもとづいて変数xを一次
式(x−Et )に変換し、2個の未定係数AとBとで定
まる式(11)で表される頂点が(Et ,B)の2次方程
式をBGの近似関数とすると、基準フォトピークに裾が
重なる核種が測定環境に存在する場合においてもBGの
状況を適切に近似することができる。
【0037】
【数11】 f(x)=A(x−Et )2 +B (11) BG近似関数として上記式(11)の2次方程式を選定
し、計数率が低い値となるSCAAの計測領域の幅のみ
を基準フォトピークに対するエネルギー選択幅Wの2倍
に設定し、その他のチャネルのエネルギー選択幅は同一
のWとしたた場合の各チャネルにおける計数率は、チャ
ネルのエネルギー選択幅の値と式(11)とを、式(3)
ないし式(8)に代入し、ε=Ep −Et の置き換えを
行って得られる下記の式(12)ないし(15)によって求
められる。
【0038】
【数12】 a’=A(Ep −W−Et )3 /3+B(Ep −W) −{A(Ep −3W−Et )3 /3+B(Ep −3W)} =A(3ε2 W−24εW2 +26W3 )+2BW (12)
【0039】
【数13】 b’=A(Ep −Et )3 /3+BEp −{A(Ep −W−Et )3 /3+B(Ep −W)} =A(3ε2 W−3εW2 +W3 )+BW (13)
【0040】
【数14】 c’=A(Ep +W−Et )3 /3+B(Ep +W) −{A(Ep −Et )3 /3+BEp } =A(3ε2 W+3εW2 +W3 )+BW (14)
【0041】
【数15】 d’=A(Ep +2W−Et )3 /3+B(Ep +2W) −{A(Ep +W−Et )3 /3+B(Ep +W)} =A(3ε2 W+9εW2 +7W3 )+BW (15) εとWとは、予め設定した既知の値であるから式(12)
と式(15)によって未定定数の値A,Bを、計数率計R
MAとRMDとで計測された基準フォトピークに隣接す
る領域におけるBGの計数率の値a’d’から求めるこ
とができる。
【0042】そして、未定定数AとBの値が定まれば、
この値を式(13)および式(14)に代入して、波高分析
器SCABとSCACとによって基準フォトピークのエ
ネルギー領域を計測範囲に設定された計数率計RMBと
RMCが出力する出力信号Nb およびNc のうち、BG
成分寄与分の計数率の値b’とc’とが求められるの
で、式(1)および式(2)とから、基準フォトピーク
による正味計数率の値bとcとを導くことができる。
【0043】BG近似関数として2次方程式が選択され
るたとき、図1の演算回路7は上記の計算が実行される
ように計算プログラムが組み立てられるものとする。一
方、基準フォトピークの近傍の広いエネルギー範囲でG
G成分が均等に変化する場合には、BGを近似する関数
として一次関数の選択が可能となる。そこで、請求項4
の発明にもとづき、BGを近似する関数f(x)として
2個の未定定数KとMとで式(7)によって表される変
数xの一次関数を選択し、チャネルAとチャネルDのエ
ネルギー選択幅Wa とWd とを、図4のスペクトル拡大
図に示すように基準フォトピークに対するエネルギー選
択幅Wの2倍に設定した場合の一実施例のブロック構成
を図3に示し、以下にこの発明を説明する。
【0044】
【数16】 f(x)=KX+M (16) なお、チャネルAとDのエネルギー選択幅を基準フォト
ピークに対するエネルギー選択幅Wの2倍に設定するの
は、チャネルAとDにおいて計測される入力パルス信号
の計数率を入力パルス数の統計的ゆらぎの影響が十分低
い値となるような高い値となるようにして安定で精度の
よい近似関数の未定定数を得るために行うものである。
【0045】図3において、上記第一の発明を説明する
図1におけると同一の符号を付した構成要素は、図1に
おけると同等に機能するので、その説明は省略する。図
3の41は、SCAAとSCADによって選択された波高
範囲のパルス信号に対応するSCAAとSCADとが出
力する整形されたパルス信号を入力とし、両パルス信号
の入力頻度差を出力信号とする差動計数率計であり、
又、42は、基準フォトピークを2分割したエネルギー領
域を計数範囲に設定されたSCABおよびSCACによ
って選択された波高範囲のパルス信号に対応する整形さ
れたパルス信号を入力とし、両パルス信号の入力頻度差
を出力信号とする差動計数率計である。そして、82は、
差動計数率計41と42の出力を基に、BG近似関数f
(x)を用いてSCABおよびSCACによって選択さ
れたエネルギー領域の基準フォトピーク成分による計数
率aとbとをBG計数率成分から分離して求め、このb
とcの値の差が零となるように検出器1に印加すべきバ
イアス電圧を発生する検出器バイアス電源6の制御信号
を生成する演算回路である。
【0046】BGの近似関数f(x)として式(16)を
選択すると、その積分関数F(x)は、下記の式(17)
となる。
【0047】
【数17】 F(x)=1/2Kx2 +Mx+D (17) ところで、SCAAとSCADに設定された基準フォト
ピークに隣接する計測領域の幅Wa とWd は、前述の如
く基準フォトピークの計測領域幅であるWの2倍を設定
しているので、これらの値と式(17)とを、式(3)な
いし式(8)に代入すると、基準フォトピークと基準フ
ォトピークに隣接する各計測チャネルA,B,Cおよび
DにおけるBG成分のみによる計数率の値a’b’c’
およびd’とが、下記の式(18)ないし(21)によって
求められる。
【0048】
【数18】 a’=K(Ep −W)2 /2+M(Ep −W) −{K(Ep −3W)2 /2+M(Ep −3W)} =2(KEp +M)W−4KW2 =2n−8m (18)
【0049】
【数19】 b’=KEp2/2+MEp2−{K(Ep −W)2 /2+M(Ep −W)} =(KEp +M)W−KW2 /2=n−m (19)
【0050】
【数20】 c’=K(Ep +W)2 /2+M(Ep +W)−{KEp2/2+MEp2} =(KEp +M)W+KW2 /2=n+m (20)
【0051】
【数21】 d’=K(Ep +3W)2 /2+M(Ep +3W) −{K(Ep +W)2 /2+M(Ep +W)} =2(KEp +M)W+4KW2 =2n+8m (21) なお、式(9)ないし(12)において下記式(22)と
(23)の未定定数を定義して式の表現を簡約化した。
【0052】
【数22】 n=(KEp +M)W (22)
【0053】
【数23】 m=KW2 /2 (23) 式(18),(21)とから未定定数nおよびmの値を求め
ると、式(24)及び式(25)が得られる。
【0054】
【数24】 n=(d’+a’)/4 (24)
【0055】
【数25】 m=(d’−a’)/16 (25) 上記によって求められたnとmの値を、式(19)と式
(20)に代入するとb’とc’の値をa’とd’の値に
よって求める式である式(26)と式(27)とが得られ
る。
【0056】
【数26】 b’=n−m=(3d’+5a’)/16 (26)
【0057】
【数27】 c’=n+m=(5d’+5a’)/16 (27) こうして得られたb’およびc’の値を、式(1)と式
(2)に代入してその差を求めると下記の式(28)が得
られる。
【0058】
【数28】 Nc −Nb =(c+c’)−(b+b’) =(c−b)+(c’−b’) =(c−b)+(d’─a’)/8 (28) 式(28)は、差動形計数率計41によって計測されるチャ
ネルCとチャネルBの計数率差Nc ─Nb の値から差動
形計数率計42によって計測されるAとDにおける計数率
の差の値の1/8すなわち(d’─a’)/8 を差引
くと、チャネルCとBにおける基準フォトピークによる
計数率の差(c−b)をもとめることができることを示
している。
【0059】図3の演算回路82は、差動形計数率計42が
出力するNc −Nb の値に相当する信号を一方の入力と
し、もう一方の入力端から入力されるd’−a’の値に
相当する差動形計数率計42の出力信号の1/8の値を差
し引いて基準フォトピークによる計数率の差(c−b)
に相当する信号を出力するものである。そして演算回路
82の出力は積分回路5の積分機能によって平滑安定化さ
れてバイアス電源6へ制御信号として入力されるが、こ
の積分回路5は必ずしも必要なものではない。
【0060】
【発明の効果】上記のように、本発明による信号の波高
値が意味を持つパルス性の信号の計測装置に適用される
波高安定化回路においては、バックグラウンドに起因す
る計数率の寄与分を、エネルギーの値を独立変数とする
2個の未定定数によって定まる関数によって近似し、基
準信号の波高値の範囲外を測定波高範囲とする二組の測
定系で得られた計数率の値によって前記2個の未定定数
の値を演算によって求め、定められた定数のバックグラ
ウンド近似関数によって基準信号の波高値範囲の計数率
のバックグラウンド寄与分を推定しているので、基準信
号の波高値の範囲にバックグラウンドに起因する他の信
号が混入していても、基準信号成分のみによる計数率が
正しく捉えられ、波高安定化回路は安定かつ正確に作動
するという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を示すブロック図
【図2】図1の実施例の動作を説明するスペクトル拡大
【図3】本発明の他の実施例の構成を示すブロック図
【図4】図2の実施例の動作を説明するスペクトル拡大
【図5】従来技術による波高安定化回路を備えた放射線
測定装置の構成を示すブロック図
【図6】波高安定化回路の動作を説明するスペクトル図
【図7】利得が変化したときの波高安定化回路の動作を
説明するスペクトル図
【図8】基準フォトピークとバックグラウンドが重畳し
た状態を例示するスペクトル図
【符号の説明】
1 基準放射線源 2 検出器 31〜34,39 シングルチャンネル波高分析器 401 〜404 計数率計 5 積分回路 6 検出器バイアス電源 7 計数率計 81,82 演算回路

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】信号の波高値が意味を持つパルス性の信号
    の計測装置に適用される既知の波高値のパルス信号が与
    えられる信号源を基準として該基準信号の波高値範囲を
    等分して測定したパルス計数率測定値によってパルス波
    高の増幅利得を制御する波高安定化回路において、 基準信号の波高値の範囲を等分する波高値範囲の信号を
    選択抽出して整形されたパルス信号として出力する第1
    と第2の波高分析器と、 この第1と第2の波高分析器それぞれの出力パルス信号
    の頻度を計測する第1,第2の計数率計と、 前記第1と第2の波高分析器の測定波高値範囲に隣接す
    る波高値の領域を測定波高値範囲とし、バックグラウン
    ド信号を選択抽出して整形されたパルス信号としてする
    第3と第4の波高分析器と、 この第3と第4の波高分析器それぞれの出力パルス信号
    の頻度を計測する第3と第4の計数率計と、 前記第1ないし第4の波高分析器によって選択されるエ
    ネルギー範囲におけるバックグラウンド信号成分による
    計数率を、エネルギーの値を独立変数とし、2個の未定
    定数によって定まる関数によって近似し、前記第3と第
    4の計数率計が出力する計数率の値によって前記2個の
    未定定数の値を演算によって求め、未定定数の値が定め
    られた前記近似関数によって前記第1,第2の計数率計
    に定められたエネルギー範囲におけるバックグラウンド
    信号成分による計数率を演算して前記第1,第2の計数
    率計の計数率出力から差し引いて基準信号の寄与成分に
    よる計数率を出力する演算回路と、 を備えたことを特徴とする波高安定化回路。
  2. 【請求項2】バックグラウンドを近似する関数の独立変
    数が、変数としての波高値の値を線型1次方程式によっ
    て変換した変数であることを特徴とする請求項1に記載
    の波高安定化回路。
  3. 【請求項3】バックグラウンドを近似する関数が線型2
    次方程式であることを特徴とする請求項1または2に記
    載の波高安定化回路。
  4. 【請求項4】バックグラウンドを近似する関数が線型1
    次方程式であることを特徴とする請求項1に記載の波高
    安定化回路。
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