JP2020046251A - 中性子検出方法および中性子検出装置 - Google Patents

中性子検出方法および中性子検出装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2020046251A
JP2020046251A JP2018173728A JP2018173728A JP2020046251A JP 2020046251 A JP2020046251 A JP 2020046251A JP 2018173728 A JP2018173728 A JP 2018173728A JP 2018173728 A JP2018173728 A JP 2018173728A JP 2020046251 A JP2020046251 A JP 2020046251A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
neutron
detection frequency
detection
background
threshold
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018173728A
Other languages
English (en)
Inventor
洋一 桜木
Yoichi Sakuragi
洋一 桜木
福田 健太郎
Kentaro Fukuda
健太郎 福田
祐一 池田
Yuichi Ikeda
祐一 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Electric Power Co Holdings Inc
Original Assignee
Tokyo Electric Power Co Holdings Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Electric Power Co Holdings Inc filed Critical Tokyo Electric Power Co Holdings Inc
Priority to JP2018173728A priority Critical patent/JP2020046251A/ja
Publication of JP2020046251A publication Critical patent/JP2020046251A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Measurement Of Radiation (AREA)

Abstract

【課題】中性子線の存在を容易且つより正確に把握することが可能な中性子検出方法および中性子検出装置を提供する。【解決手段】本発明にかかる中性子検出方法の構成は、中性子シンチレータおよび光検出器を用いて中性子線を検出する中性子検出方法であって、光検出器において検出された光の各々の波高値である検出波高値について、該検出波高値が閾値を超える光の検出頻度を取得する検出頻度取得処理S402を行い、閾値に対する検出頻度の対数を一次関数に近似する近似処理S404を行い、一次関数を用いて、所定のバックグラウンド検出頻度を示すと期待されるバックグラウンド閾値を求め、バックグラウンド閾値における検出頻度を有効検出頻度とする有効検出頻度取得処理S406を行い、有効検出頻度がバックグラウンド検出頻度を上回る場合に中性子線の存在を判定する判定処理S408を行うことを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、中性子シンチレータ、および中性子シンチレータからの光を検出する検出器を用いて中性子線を検出する中性子検出方法、および中性子検出装置に関する。
中性子検出器は、中性子利用技術を支える要素技術であって、貨物検査等の保安分野、中性子回折による構造解析等の学術研究分野、非破壊検査分野、或いはホウ素中性子捕捉療法等の医療分野等における中性子利用技術の発展に伴い、より高性能な中性子検出器が求められている。
さらに過酷事故後の原子力発電所において燃料デブリの位置を調査するために、中性子を検出することが検討されている。ただし過酷事故後の原子力発電所ではγ線の強度が高く、中性子線の強度は低い。例えば、数百Gy/hのγ線環境下において数個/cm/秒程度の中性子を検出することが求められている。
γ線環境下で使用できる技術には、例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1では、透明な樹脂中に蛍光体を分散させ、樹脂の中に波長シフトファイバを貫通させて、波長シフトファイバから導波用光ファイバに光を伝達する中性子シンチレータが提案されている。波長シフトファイバは、例えば前記蛍光体からの近紫外光を吸収し、長波長シフトした青紫色発光をPMT(photomultiplier tube:光電子倍増管)へと伝播するものである。導波用光ファイバは、側面から入射した光は反対側の側面から外に出てしまう。しかし波長シフトファイバであれば、側面から入射した光が内部で等方的に再発光するため、その発光の一部が伝搬モードに入り、波長シフトファイバおよび導波用光ファイバを伝わる。
特開2016−003854号公報
ここで発明者らは、中性子シンチレータ、および中性子シンチレータから発せられた光を検出する光検出器を用いた中性子の検出方法を過去に出願した(特願2017−023888)。かかる中性子の検出方法では、光検出器において検出された光の波高値に対するその検出頻度の対数を一次関数に近似し、4.8MeV近傍又は2.3MeV近傍の波高値の検出頻度が前記一次関数から乖離する場合に、中性子線の存在を判定している。これによれば、検出結果を基に近似した一次関数から乖離しているか否かを判断することにより、中性子の存在を容易に判定することができる。しかしながら、中性子線の存在をより正確に把握するためには更なる改良が求められていた。
本発明は、このような課題に鑑み、中性子線の存在を容易且つより正確に把握することが可能な中性子検出方法および中性子検出装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかる中性子検出方法の代表的な構成は、中性子シンチレータ、および中性子シンチレータからの光を検出する光検出器を用いて中性子線を検出する中性子検出方法であって、光検出器において検出された光の各々の波高値である検出波高値について、該検出波高値が閾値を超える光の検出頻度を取得する検出頻度取得処理を行い、閾値に対する検出頻度の対数を一次関数に近似する近似処理を行い、一次関数を用いて、所定のバックグラウンド検出頻度を示すと期待されるバックグラウンド閾値を求め、該バックグラウンド閾値における検出頻度を有効検出頻度とする有効検出頻度取得処理を行い、有効検出頻度がバックグラウンド検出頻度を上回る場合に中性子線の存在を判定する判定処理を行うことを特徴とする。
上記構成によれば、中性子線をより高い感度で検出することができ、中性子線の存在を容易且つより正確に把握することが可能となる。
上記検出頻度取得処理、近似処理、有効検出頻度取得処理および判定処理を、単位時間ごとに繰り返すとよい。かかる構成によれば、一次関数が単位時間ごとに更新される、すなわち一次関数が逐次較正される。したがって、中性子シンチレータの劣化による影響を除外することが可能となる。
上記中性子シンチレータおよび光検出器を複数用いて、複数の中性子シンチレータおよび複数の検出器の各々について検出頻度取得処理、近似処理および前記有効検出頻度取得処理を行い、複数の中性子シンチレータおよび複数の光検出器の有効検出頻度の和およびバックグラウンド検出頻度の和を用いて判定処理を行うとよい。これにより、短時間でより多くのカウント数を検出することができる。
上記課題を解決するために、本発明にかかる中性子検出装置の代表的な構成は、中性子シンチレータ、および中性子シンチレータからの光を検出する光検出器を用いて中性子線を検出する中性子検出装置であって、光検出器において検出された光の各々の波高値である検出波高値について、検出波高値が閾値を超える光の検出頻度を取得する検出頻度取得処理を行い、閾値に対する検出頻度の対数を一次関数に近似する近似処理を行い、一次関数を用いて、所定のバックグラウンド検出頻度を示すと期待されるバックグラウンド閾値を求め、バックグラウンド閾値における検出頻度を有効検出頻度とする有効検出頻度取得処理を行い、有効検出頻度がバックグラウンド検出頻度を上回る場合に中性子線の存在を判定する判定処理を行う手段を具備してなることを特徴とする。上述した中性子検出方法における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該中性子検出装置にも適用可能である。
当該中性子検出装置は、検出頻度取得処理、近似処理、有効検出頻度取得処理および判定処理を、単位時間ごとに繰り返すとよい。また当該中性子検出装置は、中性子シンチレータおよび前記光検出器を複数備え、複数の中性子シンチレータおよび複数の検出器の各々について検出頻度取得処理、近似処理および有効検出頻度取得処理を行い、複数の中性子シンチレータおよび複数の光検出器の前記有効検出頻度の和およびバックグラウンド検出頻度の和を用いて判定処理を行うとよい。
本発明によれば、中性子線の存在を容易且つより正確に把握することが可能な中性子検出方法および中性子検出装置を提供することができる。
本実施形態の中性子検出方法において用いる中性子シンチレータを説明する図である。 本実施形態にかかる中性子検出装置を説明する図である。 本実施形態の中性子検出方法の例を説明するフローチャートである。 中性子検出装置の他の例を説明する図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示または説明を省略する。
(中性子シンチレータ)
図1は、本実施形態の中性子検出方法において用いる中性子シンチレータ(以下、シンチレータ100と称する)を説明する図である。図1に示すシンチレータ100は、導波用の光ファイバ10の先端の端面10aの先に、蛍光体102の粒子が内包された透明球104が形成してある。
光ファイバ10は、光を透過させるコア12と、コア12の中を通る光を全反射させる界面を形成するためのクラッド14と、これらを被覆するバッファ16から構成されている。コア12とクラッド14は石英ガラスまたはプラスチックからなり、クラッド14よりコア12の方が屈折率がわずかに大きくなっている。バッファ16はポリイミドやシリコーン樹脂、フッ素樹脂、高抗張力繊維などを用いることができるが、いずれであっても本発明には影響しない。
蛍光体102には、中性子に反応する蛍光体を使用する。蛍光体は、中性子捕獲同位体を含有し且つ蛍光を発する無機物からなる粒子であって、該無機物自体が一つの化学物質として把握されるものであることが好ましい。具体的には、リチウム6及びホウ素10から選ばれる少なくとも1種の中性子捕獲同位体を含有する無機蛍光体を好適に採用できる。
蛍光体102の組成については特に制限されず、従来公知の無機蛍光体を粒子状としたものを用いることができる。具体的なものを例示すれば、LiF−Eu:CaF2、Eu:LiCaAlF、Eu,Na:LiCaAlF、Eu:LiSrAlF、Ce:LiCaAlF、Ce,Na:LiCaAlF、Ce:LiSrAlF、Ce:LiYF、Tb:LiYF、Eu:LiI、Ce:LiGd(BO、Ce:LiCsYCl、Ce:LiCsYBr、Ce:LiCs2LaCl、Ce:LiCsLaBr、Ce:LiCsCeCl、Ce:LiRbLaBr等の結晶からなる無機蛍光体、及び、LiO−MgO−Al−SiO−Ce系のガラスからなる無機蛍光体等が挙げられる。
また、蛍光体102には、中性子に反応するコンバーター及び中性子に反応しない蛍光体を組み合わせて用いてもよい。該コンバーターを具体的に例示すれば、リチウム6及びホウ素10から選ばれる少なくとも1種の中性子捕獲同位体を含有する無機物が好ましく、中でもLiFが特に好ましい。また、前記中性子に反応しない蛍光体としては、従来公知の蛍光体を特に制限なく用いることができ、より具体的にはAg:ZnS、Eu:CaF等を好適に採用できる。
透明球104は透明な樹脂やガラスからなる塊である。「球」と称しているが、幾何学的に厳密な球である必要はなく、若干のゆがみやくぼみがあったり、紡錘形や水滴形をしていても差し支えない。透明球104は、光ファイバ10の先端の端面10aの先に形成されている。光ファイバ10の先端が透明球104に埋没していても良いが、端面10aが透明球104の中心まで至らないことが好ましい。すなわち、透明球104に埋没する光ファイバ10の長さは、略球状の透明球104の半径以下であることが好ましい。
また、透明球104の屈折率nLは、コア12の屈折率nQよりも小さいことが好ましい。これにより、透明球104から端面10aに入射した光がファイバの軸方向に屈折するため、全反射角度内に収まりやすくすることができる。
透明球104の外側には、反射材106を形成している。反射材106は、中性子は透過するが、光は反射する膜である。反射材106は、拡散反射材を用いることが好ましい。反射材106の具体例としては、酸化チタン(TiO)あるいは硫酸バリウム(BaSO)等の白色顔料を塗布して形成した反射材又はポリテトラフロロエチレン等の白色シートからなる反射材を使用することができる。特に酸化チタンは、放射線に対する劣化が少ないため好ましい。
図1に光路の一例を矢印で示している。中性子が蛍光体102に衝突すると、蛍光体102からは全方位に光が生じる。蛍光体102から端面10aに直接入射する光もあるが、一部は矢印で示すように反射材106に衝突する。反射材106では光が拡散反射し、その一部が矢印で示すように端面10aへと入射する。これにより、伝送できる光子の数を増やすことができる。
上記構成によれば、波長シフトファイバを使用せずに蛍光体102の発光を導波用の光ファイバ10の「端面10a」から採光することができる。波長シフトファイバを使用しないため、波長シフトファイバでγ線によって発生する蛍光をなくすることができ、γ線によるパイルアップを抑えることができ、n/γ弁別能を高めることができる。
図2は、本実施形態にかかる中性子検出装置200を説明する図である。なお、本実施形態では、図2に示す中性子検出装置200について詳述しつつ、かかる中性子検出装置200を用いた中性子検出方法についても併せて説明する。
図2(a)には、中性子検出装置200の全体構成を示している。図2(a)に示すように、本実施形態の中性子検出装置200は、シンチレータ100(詳細は図1参照)、シンチレータ100からの光を検出する光検出器210、および中性子判定部300を含んで構成される。試験のために、Cf−252を用いた中性子線源20と、Co−60を用いたγ線源22を用いる。
中性子検出装置200は、光ファイバ10の先端に上記のシンチレータ100を取り付けて、光電子倍増管212に蛍光を導く。光電子倍増管212では光を電気信号に変換し、波高分析器214において波高値とカウント値を取得する。そして、中性子判定部300において、波高分析器214で取得した波高値およびカウント値を参照して中性子線の存在を判定する。
蛍光体102としては、中性子に反応するコンバーターであるLiFと中性子に反応しない蛍光体であるEu:CaFを組み合わせて用いた。なお、該蛍光体はLiFの結晶層とEu:CaFの結晶相がμmオーダーで積層した多層構造を有する共晶体と呼ばれる材料である。以下、該蛍光体をLiF−Eu:CaFと表す。該LiF−Eu:CaFと屈折率が1.41のシリコーン樹脂を用いて透明球104を作製した。
まずファイバの先端にシリコーン樹脂の前駆体(液状)を少量塗布し、シリコーン樹脂を加熱硬化させた。次いで、該シリコーン樹脂の周囲にLiF−Eu:CaFを付着させ、さらにシリコーン樹脂の前駆体を少量塗布して加熱硬化させた。該操作を繰り返し、最終的に0.5mgのLiF−Eu:CaF2が内包された透明球を形成した。また、透明球104の大きさは2mm程度になるように調整した。かかる作製方法によれば、透明球に内包される蛍光体の粒子の量を任意に調整でき、所望の特性を有するシンチレータを再現良く作製できる。反射材106としては酸化チタンを塗布して形成した拡散反射材を用いた。
図2(b)に示すグラフでは、バックグラウンドのγ線を354Gy/hという強い値にして、熱中性子束が0nvの場合と160nvの場合を示している。γ線と中性子線を比較するとγ線の方が波高が低い。グラフから、低い波高が大量に検出され、高い波高が少量検出されていることがわかる。高い波高にはγ線による若干のパイルアップも含んでいるが、中性子束の0nvの場合と160nvの場合で顕著な差が生じていることから、354Gy/Hの環境下において160個/cm/秒程度の中性子を弁別できていることがわかる。
しかしながら、実際の過酷事故後の原子炉等においては、中性子が存在する場合としない場合を相互に比較して、中性子の有無やその量を評価することはできない。また、γ線の強度が測定位置によって変動したり、中性子検出器の信号出力強度が放射線劣化によって経時的に変化したりするため、正確な中性子計測が極めて困難である。本発明によれば、かかる状況においても正確に計測できる中性子検出方法が提供される。以下、本発明の中性子検出方法について詳細に説明する。
(検出頻度取得処理)
中性子検出器に中性子またはγ線が入射すると、シンチレータ100が発光する。あるいは、γ線の影響によってチェレンコフ光が生じる。かかるシンチレータ100からの光を光検出器210が検出し、光検出器210からパルス状の信号が出力される。この信号をプリアンプで増幅する等した後に、信号の波高値である検出波高値をAD変換器またはデジタル波形処理によって取得する。波高値を、例えば、0〜1023chに区分し、区分された各波高値を閾値(H)として、検出波高値が閾値を超える事象の頻度を検出頻度(C)として取得する。なお、検出頻度の取得において、γ線に由来するチェレンコフ光による事象を除去するため、光学的なバンドパスフィルターや電気的なローパスフィルターを設けても良い。
(近似処理)
一例として、図2(b)に、光検出器210において検出された光の波高値の分布について、閾値を横軸にとり、検出頻度を縦軸にとったグラフを示す。本発明者らの検討によれば、図2(b)に示すように、光検出器210における検出結果において、閾値に対する検出頻度の対数は、一次関数(LF)に近似される。特に、γ線に起因する光の検出結果のみに着目すると、検出頻度の対数は閾値の一次関数に収束する(図2(b)に示す破線)。γ線が入射すると二次電子eが発生する。この二次電子は、飛程距離が長いため、蛍光体102内のみで、エネルギーを消耗し難い。このため、γ線の入射に起因する蛍光体102の発光は、強さが一定でなく、確率論的に一次関数に収束する。すなわち、閾値(H)に対する検出頻度(C)の対数は、下式1で近似される(a及びbは定数)。
LogC=aH+b …(式1)
上記の近似処理において、検出頻度が少なすぎる場合には統計誤差が大きくなるおそれがある。一方、検出頻度が多過ぎる場合にはパイルアップによる誤差が大きくなるおそれがある。したがって、近似計算を行う際に、検出頻度を基準として関心領域を設定することが好ましい。関心領域の検出頻度の下限は100以上とすることが好ましく、上限は100000以下とすることが好ましい。
(有効検出頻度取得処理)
一方で、中性子が蛍光体102の中性子捕獲同位体に入射した際に発生する二次粒子(リチウム6の場合はα線とトリチウム、ホウ素10の場合はα線とリチウム7)は、飛程距離が短い。このため、二次粒子は、蛍光体102内でエネルギーを消耗し特定の強さで蛍光体102を発光させ、特定の波高値を示す。したがって、中性子線による光の検出結果では、一次関数から乖離する。かかる乖離は、γ線による検出頻度が多い領域(図2(b)の実線、波高値600Ch未満)ではγ線による検出頻度に埋没してしまって判別できないが、γ線による検出頻度が少ない領域(図2(b)の実線、波高値600Ch以上)では明確に判別できる。したがって、γ線による検出頻度が少なくなる波高値において検出頻度を評価すれば、中性子の有無やその量を正確に評価できる。
具体的には、まず、許容できうるγ線による検出頻度を定め、これをバックグラウンド検出頻度(C0)とする。バックグラウンド検出頻度は、想定される中性子の検出頻度の0.1〜1倍とすることが好ましい。例えば、毎秒1カウントの中性子を計測したい場合には、バックグラウンド検出頻度を毎秒0.1〜1カウントとする。かかるバックグラウンド検出頻度とすることによって、中性子計測におけるS/N比と感度を両立することができる。
次いで、一次関数(式1)より、所定のバックグラウンド検出頻度(C0)を示すと期待されるバックグラウンド閾値(H0)を求める。すなわち、バックグラウンド検出頻度(C0)およびバックグラウンド閾値(H0)を式1に代入し、変形した下記の式2より、波高値(H0)を求める。そして、該バックグラウンド閾値(H0)における検出頻度を求め、これを有効検出頻度(Ceff)とする。
H0=(LogC0−b)/a …(式2)
(判定処理)
有効検出頻度(Ceff)は、中性子が存在しない場合にはバックグラウンド検出頻度(C0)と一致し、中性子が存在する場合にはバックグラウンド検出頻度(C0)から乖離して大きくなる。したがって、有効検出頻度がバックグラウンド検出頻度を上回る場合に中性子が存在すると判定できる。
より具体的には、バックグラウンド検出頻度(C0)の標準偏差(σ)に対する、有効検出頻度(Ceff)とバックグラウンド検出頻度の差分(Ceff−C0)の比((Ceff−C0)/σ)を乖離度とし、当該乖離度を以て中性子の存在を判定することが好ましい。中性子の存在の判定基準は特に制限されず、要求される判定精度に応じて決定すれば良いが、乖離度が1を超える場合に中性子の存在を判定することが好ましく、乖離度が2を超える場合に中性子の存在を判定することがより好ましく、乖離度が3を超える場合に中性子の存在を判定することが最も好ましい。なお、中性子による検出頻度が多く、乖離度が充分に大きい場合には、中性子の有無の判定ばかりでなく、中性子の量を定量的に計測することも可能である。
図3は、本実施形態の中性子検出方法の例を説明するフローチャートである。図3に示す中性子検出では、中性子検出装置200は、まず波高分析器214において検出波高値と検出頻度の取得を行う(ステップS402)。検出頻度取得においては、上記説明したように光検出器210においてシンチレータ100からの光を検出する処理を直接行ってもよいし、コンピュータやロガーなどの端末(不図示)に記憶されたデータ(csvファイル)を読み込むことによりデータを取得してもよい。
次に、中性子検出装置200は、中性子判定部300において、閾値に対する検出頻度の対数(ガンマ線カウント)を1次関数に近似する近似処理を行う(ステップS404)。そして、中性子検出装置200は、中性子判定部300において、有効検出頻度取得処理(ステップS406)および判定処理を行う(ステップS408)。
上記のステップS402〜ステップS406の処理を行ったら、検出頻度取得(ステップS402)に戻り、上述した処理を単位時間(例えば5分)ごとに繰り返す。このようにループ処理することにより、単位時間ごとの検出頻度取得の度に、一次関数が逐次較正される。したがって、γ線の強度が変動したり、シンチレータ100の劣化による信号強度の変動が生じたりしても、かかる影響を除外して正確に中性子を計測することが可能となる。
図4は、中性子検出装置の他の例を説明する図である。図4(a)は、中性子検出装置500の構成を説明する図であり、図4(b)は、計測時間に対する中性子の累積カウント数を示す図である。図4(a)に示す中性子検出装置500は、複数(多数といってもよい。図4(a)では8個を例示)のシンチレータ100を備える光ファイバ10が、これらと同数の光検出器210に対してそれぞれ接続されており、複数の光検出器210が一つの中性子判定部300に接続されている。
図4(a)に示すように、複数のシンチレータを備える中性子検出装置500では中性子を検出する際に、まずそれぞれのシンチレータ100および光検出器210の対について、検出頻度取得処理、近似処理および有効検出頻度取得処理を個別に行う。次いで、中性子判定部300は、複数のシンチレータ100および光検出器210の有効検出頻度の和およびバックグラウンド検出頻度の和をそれぞれ求め、これらを用いて上記と同様にして中性子線の存在を判定する処理を行う。これにより、高線量率のγ線場においても少量の中性子を検出できるという本発明の特長を保ちつつ、より短時間で中性子の有無を判定したり、中性子の量を計測したりすることができる。
図2(a)に示す中性子検出装置200によって1つのシンチレータ100からの光を検出する場合、図4(b)に示すように、照射時間(計測時間)300min程度において、中性子線源20の中性子束を0nvとした際の累積カウント数は2であるのに対し、中性子線源20の中性子束を2.6nvとした際の累積カウント数は10以上となる。このことから、1つのシンチレータ100を用いる場合には、300min程度で中性子を有意に判別可能であることが理解できる。1つのシンチレータ100を用いて300分で弁別できるのであれば、2つのシンチレータ100を用いれば150分で弁別でき、60個のシンチレータ100を用いれば5分で弁別することが可能となる。したがって、図4(a)に示すように複数のシンチレータ100を備える中性子検出装置500を用いれば、図3に示したループ処理の単位時間を大幅に短縮可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、中性子シンチレータ、および中性子シンチレータからの光を検出する検出器を用いて中性子線を検出する中性子検出方法、および中性子検出装置として利用することができる。
10…光ファイバ、10a…端面、12…コア、14…クラッド、16…バッファ、20…中性子線源、22…γ線源、100…シンチレータ、102…蛍光体、104…透明球、106…反射材、200…中性子検出装置、210…光検出器、212…光電子増倍管、214…波高分析器、300…中性子判定部、500…中性子検出装置

Claims (6)

  1. 中性子シンチレータ、および該中性子シンチレータからの光を検出する光検出器を用いて中性子線を検出する中性子検出方法であって、
    前記光検出器において検出された光の各々の波高値である検出波高値について、該検出波高値が閾値を超える光の検出頻度を取得する検出頻度取得処理を行い、
    前記閾値に対する検出頻度の対数を一次関数に近似する近似処理を行い、
    前記一次関数を用いて、所定のバックグラウンド検出頻度を示すと期待されるバックグラウンド閾値を求め、該バックグラウンド閾値における検出頻度を有効検出頻度とする有効検出頻度取得処理を行い、
    前記有効検出頻度が前記バックグラウンド検出頻度を上回る場合に中性子線の存在を判定する判定処理を行うことを特徴とする中性子検出方法。
  2. 前記検出頻度取得処理、前記近似処理、前記有効検出頻度取得処理および前記判定処理を、単位時間ごとに繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の中性子検出方法。
  3. 前記中性子シンチレータおよび前記光検出器を複数用いて、
    前記複数の中性子シンチレータおよび前記複数の検出器の各々について前記検出頻度取得処理、前記近似処理および前記有効検出頻度取得処理を行い、
    前記複数の中性子シンチレータおよび前記複数の光検出器の前記有効検出頻度の和および前記バックグラウンド検出頻度の和を用いて前記判定処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の中性子検出方法。
  4. 中性子シンチレータ、および該中性子シンチレータからの光を検出する光検出器を用いて中性子線を検出する中性子検出装置であって、
    前記光検出器において検出された光の各々の波高値である検出波高値について、該検出波高値が閾値を超える光の検出頻度を取得する検出頻度取得処理を行い、
    前記閾値に対する検出頻度の対数を一次関数に近似する近似処理を行い、
    前記一次関数を用いて、所定のバックグラウンド検出頻度を示すと期待されるバックグラウンド閾値を求め、該バックグラウンド閾値における検出頻度を有効検出頻度とする有効検出頻度取得処理を行い、
    前記有効検出頻度が前記バックグラウンド検出頻度を上回る場合に中性子線の存在を判定する判定処理を行う手段を具備してなることを特徴とする中性子検出装置。
  5. 前記検出頻度取得処理、前記近似処理、前記有効検出頻度取得処理および前記判定処理を、単位時間ごとに繰り返すことを特徴とする請求項4に記載の中性子検出装置。
  6. 前記中性子シンチレータおよび前記光検出器を複数備え、
    前記複数の中性子シンチレータおよび前記複数の検出器の各々について前記検出頻度取得処理、前記近似処理および前記有効検出頻度取得処理を行い、
    前記複数の中性子シンチレータおよび前記複数の光検出器の前記有効検出頻度の和および前記バックグラウンド検出頻度の和を用いて前記判定処理を行うことを特徴とする請求項4または5に記載の中性子検出装置。
JP2018173728A 2018-09-18 2018-09-18 中性子検出方法および中性子検出装置 Pending JP2020046251A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018173728A JP2020046251A (ja) 2018-09-18 2018-09-18 中性子検出方法および中性子検出装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018173728A JP2020046251A (ja) 2018-09-18 2018-09-18 中性子検出方法および中性子検出装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020046251A true JP2020046251A (ja) 2020-03-26

Family

ID=69901213

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018173728A Pending JP2020046251A (ja) 2018-09-18 2018-09-18 中性子検出方法および中性子検出装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020046251A (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07151862A (ja) * 1993-12-01 1995-06-16 Fuji Electric Co Ltd 波高安定化回路
JP2006126124A (ja) * 2004-11-01 2006-05-18 Mitsubishi Electric Corp 放射性ダストモニタ
WO2014092202A1 (ja) * 2012-12-12 2014-06-19 株式会社トクヤマ 中性子シンチレーター、中性子検出方法及び中性子検出器
JP2015052451A (ja) * 2013-09-05 2015-03-19 株式会社トクヤマ 中性子シンチレーター及び中性子検出器
JP2018132314A (ja) * 2017-02-13 2018-08-23 東京電力ホールディングス株式会社 中性子シンチレーター、中性子検出器および中性子の検出方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07151862A (ja) * 1993-12-01 1995-06-16 Fuji Electric Co Ltd 波高安定化回路
JP2006126124A (ja) * 2004-11-01 2006-05-18 Mitsubishi Electric Corp 放射性ダストモニタ
WO2014092202A1 (ja) * 2012-12-12 2014-06-19 株式会社トクヤマ 中性子シンチレーター、中性子検出方法及び中性子検出器
JP2015052451A (ja) * 2013-09-05 2015-03-19 株式会社トクヤマ 中性子シンチレーター及び中性子検出器
JP2018132314A (ja) * 2017-02-13 2018-08-23 東京電力ホールディングス株式会社 中性子シンチレーター、中性子検出器および中性子の検出方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5916421B2 (ja) 中性子検出器
US7582880B2 (en) Neutron detector using lithiated glass-scintillating particle composite
US9567517B2 (en) Neutron scintillator, neutron detection method and neutron detector
JP2013500481A (ja) 中性子吸収熱量測定ガンマ線検出器での中性子検出用の装置及び方法
RU2502088C2 (ru) Устройство и способ для детектирования нейтронов посредством калориметрии на основе гамма-захвата
JP7279383B2 (ja) シンチレータ
JPWO2015064588A1 (ja) 中性子シンチレーター、中性子検出器及び中性子シンチレーターの製造方法
JP2018200235A (ja) 中性子検出器及び中性子測定装置
JP6223749B2 (ja) 中性子シンチレーター及び中性子検出器
JP6953902B2 (ja) 中性子検出器
JP2017161378A (ja) 放射線モニタ及び放射線測定方法
WO2018016492A1 (ja) 計数方法および放射線検出装置
JPWO2015064587A1 (ja) 中性子シンチレーター及び中性子検出器
JP7085964B2 (ja) 放射線検出器
JP6204750B2 (ja) 中性子シンチレーター及び中性子検出器
JP2020046251A (ja) 中性子検出方法および中性子検出装置
JP6204763B2 (ja) 中性子シンチレーター及び中性子検出器
JP6900697B2 (ja) 中性子シンチレーター、中性子検出器および中性子の検出方法
JP6204746B2 (ja) 中性子シンチレーター及び中性子検出器
JP2019039812A (ja) シンチレータ
JP2012242369A (ja) 放射線検出器
RU2290664C1 (ru) Детектор проникающих излучений
RU2758419C1 (ru) Способ измерения верхнего предела интегральных и динамических характеристик высокоэнергетичных тормозного или гамма-излучений мощных импульсных источников
JP6392938B2 (ja) 中性子シンチレーター及び中性子検出器
JP2016099161A (ja) 中性子測定装置および中性子測定方法

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20181012

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20190122

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190122

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210804

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220519

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220531

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220729

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220823