JPH07151726A - 電気化学的インミュノセンサー・システム - Google Patents

電気化学的インミュノセンサー・システム

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JPH07151726A
JPH07151726A JP6205417A JP20541794A JPH07151726A JP H07151726 A JPH07151726 A JP H07151726A JP 6205417 A JP6205417 A JP 6205417A JP 20541794 A JP20541794 A JP 20541794A JP H07151726 A JPH07151726 A JP H07151726A
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Andrew Kindler
アンドリュー・キンドラー
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    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/543Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with an insoluble carrier for immobilising immunochemicals
    • G01N33/54366Apparatus specially adapted for solid-phase testing
    • G01N33/54373Apparatus specially adapted for solid-phase testing involving physiochemical end-point determination, e.g. wave-guides, FETS, gratings
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電気信号を用いて結合事象を測定する電気化
学的インミュノセンサー・システムを提供する。 【構成】 本システムは、アナライト濃度を持つ流体と
接触する感知電極を持つインミュノセンサーを含む。多
くの抗体又はその他の結合剤が電極の表面に吸着され、
又は付着し、結合剤の抗体の一部がアナライトの一部と
結合し、電極表面に複合体を形成する。信号発生手段が
感知電極に電気信号を作り、応答電流が感知電極を介し
て作られる。応答電流は測定可能の信号特性を持ち、こ
れが、形成した複合体の数、従って流体の中のアナライ
トの濃度、により決定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、広くは、抗体結合を用
いて物質の濃度レベルを測定する免疫学的測定システム
に関する。特に、本発明は、ボルタ計信号を用いて、イ
ンミュノ(免疫)センサー結合事象を測定可能な電気的
数量に変換する電気化学的インミュノ(免疫)センサー
に関する。
【0002】
【従来の技術】インミュノセンサーは、一般的にバイオ
センサーとして知られる生物学的測定具のクラスの1サ
ブセットである。バイオセンサーは、代表的には、生物
学的認識分子を含むプローブから成り立っている。この
認識分子はある物質の存在に応答し、この応答が測定可
能の数量に変換される。このようにして、バイオセンサ
ーは、複雑な研究室的手続きを使用せずに物質濃度に関
する情報を提供する。インミュノセンサーは、抗体が生
物学的認識分子として働く特定の型のバイオセンサーで
ある。抗体は人体の中で作られ、複合体を形成する物質
と不可逆的に組合わされること、又は結合すること、に
よって異物質を不活性化する。それぞれある物質に特定
される数限りない抗体の変種が作り出される。本文で使
用する「抗原」と言う言葉は、免疫システムに抗体を形
成させるある物質に関する。「アナライト」と言う言葉
は抗原を含む物質に関して用いられ、他の任意の物質と
結合して複合体を形成する。アナライトを結合する物質
は、ここでは「結合剤」と呼ぶことにする。抗体は一種
の特定の型の結合剤である。その他の結合剤はレセプタ
ー及び親和力結合分子を含む。
【0003】高度に感度が高く且つ選択性のある抗体の
結合によって、インミュノセンサーは微細なアナライト
の濃度レベルを検出することが出来る。従って、インミ
ュノセンサーは、血液及び尿の中に存在するホルモン、
不法薬物又はその他の微少成分の検出を含む医学的適用
に有効である。更に、抗体は各種の異なったアナライト
と選択的に結合することが出来るので、インミュノセン
サーは、工業的食品処理の品質管理、環境汚染物質の監
視及び化学的生物学的戦争に使用される物質の検出のご
とき、非医学的用途に広く適用される可能性を持ってい
る。
【0004】このような利点及び広範な適用の可能性に
もかかわらず、インミュノセンサーは現時点では市販さ
れていない。大きな障害の1つは、抗体認識事象を測定
可能の信号に正確に変換することに関する問題である。
その結果、一般的には、更に複雑な測定技術がインミュ
ノセンサーの代わりに使用されている。このような技術
の1つに、免疫分析として知られているマルチステップ
の研究所的分析方法がある。幾つかの免疫分析の例が
E.Harlow及びD.Laneの論文「抗体」:研
究所マニュアル、第553〜612頁、に記載されてい
る。高度に正確な測定を必要とする場合、この免疫分析
技術は高度の熟練技術と高価な特別の装置とを必要とす
る。ラジオ免疫分析(“RIA”)はこの型の高精度の
免疫分析の良い1例である。測定は主に装備の完全な中
央研究所で行われ、病院又は試験所のごとき離れた場所
では行われない。複雑な変換手続き結果、測定結果が入
手されるまでに長い時間が掛る。
【0005】精度が低くても良いような場合は、肉眼検
査を使用する免疫分析が一般的に使用される。この技術
は便利であるが、立場の違いによって、余り正確な判定
は出来ない。この個人的試験は多くの場合「ディップス
ティック」タイプである。感作物質がアナライトの中に
置かれると、その物質の表面に色の変化が起きる。スー
パーマーケットで売っている妊娠試験器は普通この型の
ものである。この型の試験は、一般的に、インミュノソ
ルベント分析(“ELISA”)に関係する酵素として
知られているクラスの免疫分析に属する。ELISA技
術は迅速に結果が出るが、本来的にラジオ免疫分析技術
よりも精度が低い。
【0006】この免疫分析技術には更に別の問題があ
る。例えば、最も感度の高い免疫分析の1つにツー・ス
テップ・サンドウィッチ型のインミュノ・ラジオメトリ
ック分析(“IRMA”)がある。ここでは、抗体と抗
原との複合がラジオラベルされた(radiolabeled)抗体
の発する放射能の量を測定することによって検出され
る。放射性のラベルの使用は感度に貢献するが、研究所
の技術者を安全上の顕著な危険にさらす。更に、放射性
化合物はその貯蔵寿命が限定されている。その他の免疫
分析技術、例えば蛍光偏光免疫分析(“FPIA”)及
びELISA、は研究所の人には安全で、使用寿命の点
では安定しているが、一般的にIRMAより感度が劣
る。
【0007】その他のインミュノセンサーは散乱光を使
って、抗体の結合応答を測定可能の信号に変換する。こ
のような技術の1つでは分光計を使用して、抗体と抗原
とを含む溶液を通過するレーザ光のスペクトルの変化を
測定する。抗体−抗原の結合応答が、抗原の濃度レベル
によってレーザのスペクトルを変える。U.S.特許第
4,725,149号はこの一般的技術の1つの変形
で、レーザ光が、抗原と抗体で被覆された磁性粒子とを
含む溶液の中を通過する。この磁性粒子が、溶液を囲む
コイルに与える信号によって特定の周波数で回転し、抗
体−抗原結合事象が散乱光の中に測定可能の変化を作り
出す。U.S.特許第4,762,413号において
は、光検出器が散乱光の強度のばらつきのパワー・スペ
クトル密度を測定し、何度かの測定値から出された平均
パワー・スペクトル密度を使って、抗原濃度が示めされ
る。
【0008】このような散乱光変換技術は高価な特別設
計の装置を使うため、遠隔地での使用に制限がある。更
に、この技術は一般的に測定試料を、多くの粒子を含む
バッファ溶液と組み合わせる必要がある。試料の中で抗
原と結合する抗体は粒子の表面に固定される。従って、
この散乱光技術は、試料が粒子溶液と容易に分離結合す
ることが出来ないような場合には容易に適用することは
出来ない。更に、認識分子はプローブ上と言うよりも粒
子溶液の中に置かれるのであるから、光散乱技術は、バ
イオセンサーにはつきものの簡便さを備えていない。
【0009】抗体又はその他の結合剤を変形可能の有機
ポリマー・フィルムにつけることによって、上述したよ
うな光学的インミュノセンサー検出システムを簡単化す
る試みが成されている。ポリマー・フィルムは緑の光を
吸収し、スペクトルのオレンジの部分に強い蛍光を発す
る。フィルムの表面に着けられた抗体がアナライトと結
び付いたとき、ポリマー・フィルムが摂動し、結合点の
フィルムの蛍光が検出可能な程度に減少する。蛍光の減
少量は、フィルムの表面の抗体に結合したアナライト分
子の数に比例する。フィルムから反射される光の量を測
定することによって、その試料のアナライト濃度を決定
することが出来る。「フィルム上の信号変換」バイオベ
ンチャー・ビュー1992年3月所載、参照。ポリマー
・フィルムの試みは光学的インミュノセンサーの複雑性
を緩和するが、別の問題を抱えている。問題の1つは、
フィルム上の特定点に結合剤を十分な量置くことが出来
ないことである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上から明らかなごと
く、現在、標準的電子試験装置を使用して、抗体認識事
象が迅速且つ正確に、容易にモニターされる電気信号に
変換される簡単で安価なインミュノセンサー・システム
の必要性がある。このインミュノセンサー・システム
は、免疫分析又は光散乱技術に纏わる問題点を持たず、
感度が高く、選択性があり、且つ再現性のある測定を行
うことが出来ねばならない。このインミュノセンサー及
び関連装置は、医学的、工業的、環境的及び軍事的目的
を含み且つこれらに限定されること無く、各種の用途の
持つ特定の条件に容易に適応することが出来ねばならな
い。
【0011】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】本発明は
ボルタ計電気化学分析技術を使用し、正確にインミュノ
センサー結合事象を、容易に測定できる数量に変換す
る。本発明の電気化学的インミュノセンサー・システム
においては、少なくとも1つの感知電極が、測定するア
ナライト濃度を含む流体と接触して設けられる。この感
知電極は、その上に多くの結合剤が存在する1つの表面
を持つ。結合剤の一部が流体の中のアナライトの一部と
結合し、多数の複合体を形成する。信号発生手段が上記
電極で電気信号を展開し、信号モニター手段でモニター
される応答電流信号を作る。この応答電流は、形成され
る複合体の数によって決まる少なくとも1つの信号特性
を持ち、従って、流体の中のアナライトの濃度レベルを
示すことが出来る。
【0012】本発明の1つの態様によれば、アナライト
濃度を測定する方法が提供され、この場合、交流ボルタ
計信号がインミュノセンサー電極に接続された上記装置
に送られ、適切な応答電流を発する。応答電流の第2高
調波の信号特性はアナライト濃度の正確な表示を行う。
【0013】本発明の別の態様によれば、流体が多くの
インジケータ・イオンを含む、1つの方法が提供され、
この場合、電気信号が上記電極に送られ、イオン応答電
流が発生する。この応答電流の大きさは、流体の中のア
ナライトと結合する電極表面上の抗体の数の関数として
変化し、これはアナライト濃度の関数でもある。
【0014】本発明の特徴として、電気化学的インミュ
ノセンサーはボルタ計測定技術と入手容易な試験装置と
を使用し、インミュノセンサー抗体結合応答を測定可能
の電気信号に正確に変換する。
【0015】本発明の別の特徴として、インミュノセン
サーの高感度および選択性が、安価に且つ現行の免疫分
析または光散乱変換技術の複雑性もなく達成される。本
発明の電気化学的インミュノセンサーのセンサー又は電
極部分は安価に製造することが出来、従って、使い捨て
される。使い捨てのインミュノセンサーは、使用後のセ
ンサーの清掃および再装に纏わる問題および費用の増加
を避けることが出来る。
【0016】本発明の更に別の特徴として、開示した技
術は、同じ1セットの標準的試験装置及び測定技術を使
用する各種の場合において安価でしかも正確な結果を得
ることが出来る。従って、本発明の電気化学的インミュ
ノセンサーは広範な商業的インミュノセンサーの使用に
耐え、各分野の利用者に多大の利益を与える。例えば、
本発明の技術を簡単に転換することによって、遠隔地の
病院でも、血液、尿及び唾液を含む各種の組成物を迅速
且つ安価に分析することが出来る。
【0017】以上説明した本発明の特徴及びその他の特
徴は、次の実施例の詳細な説明及び添付した図面によっ
て更により良く理解されるであろう。
【0018】
【実施例】本発明は、ボルタ計電気化学分析技術を用い
て、インミュノセンサー結合事象を容易に計測し得る量
に変換する簡単且つ効率的な手段を提供する。このよう
なボルタ計技術の1つで、U.S.特許第4,631,
116号に開示され、本譲請人に譲渡されたものは、ボ
ルタ計の信号を使用して、鍍金バスの微少成分の濃度の
変化により変化する交流スペクトルを作り出す。以下の
詳細な説明は、抗体−抗原結合及び典型的な交流ボルタ
計技術との関連において本発明を使用する形で行われて
いるが、これは例としてであって、これに限定されるも
のではない。記載したシステム及び方法は、複合体を形
成する結合剤と結合するアナライトの濃度を検出するた
めに使用される。その他各種の交流及び直流電気信号ま
たはボルタ計分析技術も又、本発明により結合事象の検
出に使用することが出来る。
【0019】図1の模式図は本発明の電気化学的インミ
ュノセンサー・システムの代表的な好ましい1実施例を
示す。測定すべき流体がセンサー9の中に置かれる。セ
ンサー9を流体容器の中に沈めるか、又は、流体の試料
をセンサーの中に置くことも出来る。体液を測定する場
合は、センサーを体内に挿入するか、又は、流体試料を
体から採取し、希釈した又は希釈していない状態で、こ
れをセンサー9の中に置くことが出来る。
【0020】センサー9は関知電極10を含み、好まし
くは、これを金又は白金のごとき不活性材料で構成す
る。金は多くの場合好適で、これは、不活性であると共
に、抗体及びその他のプロテインを非常に効率的に吸着
することが知られているからである。従って、十分な量
の抗体が吸着保持され、電圧がボルタ計の信号電位の脱
着範囲にエクスカーション(excursion )している間
の、抗体の流体への顕著な還元損失を防ぐことが出来
る。白金は抗体の吸着能力は低いが、電極への抗体の余
り高い吸着率を必要としないような場合は金より好まし
いことがある。抗体を吸着することの出来るその他の不
活性材料又はその他の結合剤を使用することもできる。
【0021】感知電極10は線28を介してポテンシオ
スタット8のポート25に接続される。センサー9は又
カウンター電極12及び基準電極11を含む。システム
の全ての測定値は基準電極11に対して計測される。こ
の基準電極は標準カロメル電極又はその他適当な基準電
極にすることが出来る。基準電極11及びカウンター電
極12は、それぞれ、線29,30を介してポテンシオ
スタット8のポート26,27に接続される。電極1
0,11及び12を持つ三電極センサー9は、ボルタ計
技術との関連で代表的に使用される1つのセンサー設計
である。然し、本発明の方法には別の電極配置を使用す
ることも出来ると理解されたい。
【0022】図1に示す装置の基本的動作について説明
する。1つの機能即ち波形発生器5はアウトプット13
を備え、これは適宜の波形、周波数及び振幅を持つ交流
電気信号である。この交流信号がポテンシオスタット8
の外部インプット23と、ロック・イン増幅器6の基準
インプット16とに送られる。ポテンシオスタット8の
外部インプット23に送られた交流信号は、ポテンシオ
スタットの囲いの中に格納されたスイープ信号発生器
(図示無し)によって発生した適宜の直流電圧スイープ
信号に重ねることが出来る。このスイープ信号発生器は
別個のデバイスであるが、便宜上ポテンシオスタット8
のハウジングの中に含まれている。この代わりに、ポテ
ンシオスタットの囲いの外に置かれた外部スイープ信号
発生器を使って、直流スイープ信号を送ることもでき
る。直流スイープ信号に重ねられた交流信号は外部交流
ボルタ計信号の一種である。交流信号だけは別の型の標
準的ボルタ計信号である。基準ボルタ計信号がポテンシ
オスタット8に送られると、送ったボルタ計信号と実質
的に等価の信号が、感知電極10と基準電極11との間
に発生する。センサー9に適当な電流を送ることによっ
て、発生した信号電圧が正しい値に保たれることを、ポ
テンシオスタット8によって保証する。
【0023】本発明の電気化学的インミュノセンサーに
おいては、抗体又はその他の結合剤が、好ましくは、電
極が測定する流体と接触する前に、予め電極の表面に施
される。抗体は、吸着又はその他の適宜の技術によって
センサー製造過程において電極表面に施すことが出来
る。非電気化学的電極処理技術を用いて、抗体の吸着又
は付着のために、電極表面の汚れその他の状態を整える
ことが出来る。電極材料は、一般的に、吸着信号又は電
位を電極に掛けずに抗体を吸着することが出来るが、吸
着信号を送って吸着過程を促進することが出来る。電気
化学的調整信号を測定前に使用して、既に抗体をその表
面に吸着又は付着している電極を安定化することが出来
る。ポテンシオスタット8又は波形発生器5は適宜電極
調整信号を発生する働きをすることが出来る。調整信号
の電圧には十分注意して、前もって張り付けた抗体が剥
がれたり壊されたりしないようにする必要がある。
【0024】以上説明したごとく、ポテンシオスタット
8に送られた標準的ボルタ計信号と実質的に同等の信号
が、電流を電極10及び12に送ることによって、セン
サー9の中の感知電極10及び基準電極11との間で発
生する。この電流は線28及び30を介して、それぞ
れ、ポテンシオスタット8のポート25及び27によっ
て供給される。展開信号を発生するためのこの電流は、
送る電極10の表面で起きる電気化学的過程に基づいて
変化する信号特性を持っている。この電流のことを本文
では応答電流と呼ぶことにする。これは送られてきたボ
ルタ計信号に応答して発生する電流である。感知電極表
面における電気化学的過程は抗体−抗原結合の関数であ
るから、応答電流は、後述するような形で、抗体濃度を
示している。
【0025】この応答電流は、ホテンシオスタット8を
通って、ポテンシオスタットのアウトプット24からロ
ック・イン増幅器6の信号インプット17に戻る。ロッ
ク・イン増幅器6は、この応答電流信号の交流及び直流
の組合わせ成分から所望の交流高調波を抽出し、この交
流高調波を同相及び求積成分に分解する。第1又は第2
の交流信号高調波はいずれも最も一般的にモニターされ
るが、特定の目的に対してはその他の高調波の方が良い
スペクトル解像力を与えることがある。
【0026】応答電流の交流部分の同相成分が、次に、
ロック・イン増幅器6の同相アウトプット18から、ス
トリップ・チャート・レコーダ7の表示信号インプット
31に進む。同様に、求積成分は、ロックイン増幅器6
の求積アウトプット19からストリップ・チャート・レ
コーダ7の第2の表示信号インプット32に進む。スト
リップ・チャート・レコーダは、応答電流の直流スイー
プ部分の関数として、交流応答電流の特定の高調波の同
相及び求積成分を表示する。求積成分は、電極の二重層
キャパシタンスの変化を示す信号ピークを含む。波形発
生器5からロックイン増幅器6のインプット16に送ら
れる基準信号は応答電流信号に関係し、ロックイン増幅
器6に正確な相対的測定値を作らせる。別の信号モニタ
ー手段はデジタルデータ取得システム、オシロスコー
プ、又は、応答電流信号の表示又は計測に適したその他
の装置を含む。応答電流表示器が、センサー9の中の流
体のアナライト濃度を示す独特のスペクトルを示す。
【0027】図1の標準的システムに使用された特定の
装置は、Wavetek Model188波形発生
器、PAR273ポテンシオスタット及びPAR520
8ロックイン増幅器を含む。Wavetek波形発生器
はWavetek、SanDiego、Califor
nia、から入手出来、PAR装置はPrinceto
n Applied Research、Prince
ton、NewJersyから入手可能である。
【0028】下記の実施例の方法は上述した電気化学的
インミュノセンサー・システムを、抗体結合事象の測定
に使用する。一般的に言って、多くの抗体が感知電極1
0の表面に与えられる。モノクローナルの抗体が好まし
いが、抗体のポリクローナル又はその他の型のものを使
用することが出来る。電極表面の抗体の一部が流体の中
の抗原の一部と結び付き、電極表面に複合体を形成す
る。繰り返して言うと、本記載における抗体の使用は単
なる例であって、抗体の代わりにその他の結合剤を使用
することが出来る。
【0029】センサー9全体又はその中の個々の電極は
使い捨てである。使い捨てセンサー又は電極が好ましい
のは、抗体−抗原の結合力のため、これらが結合して一
旦複合体を作ってしまうと、電極表面の抗体から抗原を
分離するのが難しいからである。従って、使い捨てセン
サー又は電極は、使用済みセンサーの清掃及び表面再生
に纏わる問題及びコストの増加を回避することが出来
る。このセンサー又は電極は製造費が安く、ユーザー・
レディー(user-ready)の形で供給することが出来る。
従って、このセンサー又は電極は図1に示す装置のその
他の部分から簡単に外して、測定の度毎に使い捨てする
ことが出来る。
【0030】結合事象を測定可能の電気的量に変換する
第1の方法は、感知電極10の電気化学的二重層キャパ
シタンス内での変化を検出することに基礎を置いてい
る。この方法は、直流スイープ信号の上に重ねられた交
流信号から成るボルタ計信号をポテンシオスタット8に
適用することを含む。感知電極10で発生した信号電圧
は、ポテンシオスタット8に与えたボルタ計信号のそれ
を模倣する。従って、発生した信号は、又、直流スイー
プに重ねられた交流信号でもある。直流スイープは、適
当なスイープ率で、1つのポテンシャル範囲に亘って直
線的に変化する。
【0031】電極表面の抗体は流体の中の対応する抗原
と非可逆的に且つ大きな特異性をもって結合する。ある
スイープ電圧において、感知電極表面上の抗体が脱着す
る傾向がある。抗体−抗原結合事象の結果として形成さ
れる複合体は、抗原の電荷に基づき、抗体のみとは異な
ったネット・チャージを持つ傾向がある。このことはホ
ルモンを含む多くのプロテインに特に当てはまる。抗原
自体はニュートラルだとしても、複合体の中では電荷の
再分配が起きる。これらの電荷の変化によって、未結合
の抗体に比較して複合体が電極に吸着及び脱着する電圧
がシフトする。
【0032】特定の型の抗体−抗原複合体に対する吸着
と脱着との間の遷移点において、直流スイープの上に重
ねられた交流信号は、交流と直流が組合わさったボルタ
計信号電圧を作り出し、吸着状態と脱着状態との間での
遷移に必要な平均電圧の回りでオシレートする。この吸
着状態と脱着状態との間のオシレーションにより、上述
したごとく、ロックイン増幅器とストリップ・チャート
・レコーダー7とを介してモニターすることの出来る応
答電流の変化が起きる。求積電流の第2の高調波は流体
の中の抗原濃度に比例する。この応答電流オシレーショ
ンの大きさ又はピークは流体の中の抗体濃度に比例す
る。第2の高調波の測定値が好ましくはモニターされる
が、これは、二重層キャパシタンスの中の変化を反映す
る応答電流の部分がレコーダー7に表示されている間、
応答電流の一定の二重層のキャパシタンス部分が有効に
フィルターに掛けられるからである。二重層キャバシタ
ンスの中の非常に小いさな変化が検出され、抗体−抗原
複合体のレベルをトレースすることに相当する。
【0033】感知電極の二重層キャパシタンスの感度に
より、10-12 モル/リットル程度の低い抗原濃度の測
定が可能である。例えば、この方法は血液及び尿の成
分、例えば、普通約10-6から10-12 モル/リツトル
程度の濃度で発見されるホルモン、及び約10-8から1
-9モル/リットルの不法薬物残滓等、の検出に用いる
ことが出来る。
【0034】本発明の高い測定感度は多数の因子に起因
する。その1つは、電極における抗体のアナライトへの
結合が非常に強固で、その結果アナライトが電極に集ま
る傾向があることである。従って、測定する流体の中の
アナライトの容積濃度がたとえ低くても、電極表面のア
ナライト濃度は比較的高く、ボルタ計で検出することが
出来る。抗体−抗原結合の非可逆性によって、検出可能
の最低アナライト濃度を、例えば鍍金浴分析システムで
微小有機物を測定するようなその他のボルタ計測定の場
合必要とするよりも遥かに低くすることが出来る。高感
度に貢献する別の因子は上述した第2の高調波フィルタ
ー効果である。
【0035】アナライト濃度の変化に対する二重層キャ
パシタンスの感度は、アナライトを含む流体に別の種
(species )を加えることによって上げることが出来
る。この別の種とは、好ましくは、複合体となったアナ
ライトが脱着するとき電極表面で吸着し、又、この逆を
行うものである。このようにして、二重層キャパシタン
スは複合体の脱着によって影響されるばかりでなく、新
しい種との置き換えによっても影響される。この加えら
れた種は、抗体−抗原複合体が実質的に中性の場合、電
荷を持つようにすることが出来る。複合体が高度に荷電
されると、付加された種は中性になるか又は複合体と逆
の電荷を持つ。このことによって、複合体の脱着及び付
加された種の吸着の間、複合体の吸着及び付加された種
の脱着の間と同様に、二重層キャパシタンスの変化が大
きくなる。
【0036】追加種に適した例は表面活性剤である。表
面活性剤は好ましい吸着性を電極にあるような界面に与
える。他の物質の吸着よりも、表面活性剤の吸着は余り
電荷に影響されない。電荷の無い又はプラス又はマイナ
スのいずれかの電荷を持った表面活性剤は吸着されやす
い。表面活性剤を使用する利点の1つは、電荷の選択又
は電荷の欠如が、種の吸着と関係なく行われることであ
る。各種の表面活性剤が市販されており、特殊な表面活
性剤を合成することもできる。吸着出来るその他の種を
使うことも出来、プロテイン及び塩を含むが、これに限
定されるものではない。追加種の材料の選択は、主に、
測定するアナライトの特性によって決まる。
【0037】応答電流の大きさ対直流スイープ電圧の対
比図において、抗体−抗原複合体の吸着に基づく応答電
流のピークは、複合していない抗体単独の吸収に基づく
ピークよとは違った電圧で現れる。上述した如く、抗体
−抗原複合体の吸着に相当する電流ピークの大きさは抗
原の濃度レベルを示している。然し、複合体を表すピー
クの大きさが高くなるのにしたがって、純粋な抗体を表
すピークの大きさは多くの場合小さくなる。従って、複
合体のピークの高さをモニターする代わりに又はそれに
加えて、抗体のピーク高さの減少をモニターすることが
場合によっては有益である。例えば、複合体ピークが観
察される直流スイープ電圧は、又、望ましくない電気化
学反応が電極で起きる電圧でもある。この反応は抗体−
抗原複合体を破壊するか、又は、測定する流体の中の添
加物又は不純物が電極表面で起きる反応を妨げるように
することがある。このような添加物の1つが、上述した
如く、二重層キャパシタンスの中の変化量を大きくする
ために流体に加えられる表面活性剤である。ある型の添
加物の場合、抗体−抗原複合体応答電流のピークの代わ
りに、又は、これに加えて、純抗体応答の電流ピークの
減少を測定することが必要になる場合がある。両方のピ
ークを使用することによって信頼性のチェックが出来
る。例えば、複合体ピークの対応する現象又はその増加
なしでの純抗体の減少は普通の電極反応との干渉を示
す。
【0038】以上の説明は、複合体の吸着及び脱着に続
く二重層のキャパシタンスの変化の検出に就いて成され
たが、他の型の反応でも二重層のキャパシタンスの変化
を検出することが出来る。例えば、あるアナライトを交
流ボルタメトリーの間に酸化及び還元することが出来
る。このアナライトが一旦複合すると、この酸化及び還
元が二重層キャパシタンスに影響する。従って、二重層
キャパシタンスの測定値を使って、酸化還元のごとき他
の反応を検出して、あるアナライトの濃度を測定するこ
とが出来る。
【0039】上述した好ましい交流ボルタ計技術に基づ
いて得られる応答電流のスペクトルの精度を最も良くす
るために、多数の独立した物理試験パラメータを変える
ことが出来る。これらのパラメータには、交流信号振幅
及び周波数、直流スイープ信号の電圧範囲及びスイープ
範囲率、及び、交流応答信号の測定高調波が含まれる
が、これらに限定されるものではない。これらのパラメ
ータは、特定の場合に使用する最も好ましいパラメータ
を決定するために、独立して変えられる。一般的に言っ
て、上述した物理試験パラメータの設定は、図1の実施
例及び上述した標準的方法に基づくアナライトの濃度の
モニターに特に適している。好ましい交流波形は、適当
な振幅と約10から1000Hzの周波数とを持つシヌ
ソイドである。振幅の選択はテストする流体の化学的構
成によって決まる。適宜な交流信号の振幅にすることに
よって、電極と流体成分との間の望ましくない反応を避
けながら、応答電流を測定可能に変化させる。好ましい
周波数の範囲は、典型的な場合の応答電流の求積成分を
最小にするように設計される。求積電流を最大にするこ
とによって電極二重層のキャパシタンスの変化に対する
感度が最小になる。非常に高い交流信号の周波数で、電
極二重層キャパシタンスが効果的にショートサーキット
となり、従って電流の求積成分がゼロになる。非常に低
い交流信号の周波数においては、キャパシタンスがオー
プン・サーキットのごとくに挙動し、応答電流の求積成
分をゼロに下げる。場合によっては、上述の好ましい範
囲外の交流信号の周波数が好ましいことがあると理解さ
れたい。直流スイープ信号は、好ましくは、抗体及び抗
体−抗原複合体の吸着及び脱着を包含する周波数に亘っ
て、スイープされる。好ましいスイープ率は、代表的に
は、交流信号の周波数以下の大きさのオーダーである。
以前説明した如く、最も好ましいスペクトルのピークの
解像度は、普通、交流応答電流の第2の高調波の求積成
分を使用して得られる。
【0040】本発明の電気化学的インミュノセンサー・
システムを使用した別の方法は、感知電極10における
インピーダンスへの影響を測定することによって結合事
象を検出する。この方法は電極表面にイオン・ゲートを
形成することに基礎を置いている。イオン・ゲートと
は、電極表面から試験中の流体にイオンを泳動及び拡散
させるチヤンネルのことである。このチヤンネルは、電
極表面の抗体が流体の中の抗体と結合するとき閉じられ
る。イオン・ゲートは流体と電極間の比較的大量のイオ
ンの流れを制御するから、単一の結合事象は応答電流の
中に測定可能の変化を起こすことが出来る。このイオン
・ゲートは、従って、トランジスタの化学的類似物と考
えることができる。イオン・ゲートは、抗体を金の粒
子、又は、それ自身が電極表面に付着するその他の結合
剤に付着させることによって形成される。
【0041】この別の方法によると、インジケータ・イ
オンが測定する流体試料に加えられ、イオン応答電流が
センサーの中に流れるようにする。インジケータ・イオ
ンは電極と電気化学的に反応出来なくて良い。システム
と好ましくない相互作用をしない型のイオンが使用され
る。好ましいインジケータ・イオンは、塩化ナトリウム
及び塩化カリウム又はその他の型の塩を含む。塩が好ま
しいのは、これらが中性のpHを保ちやすく、従って、
結合剤として使用されpHに感受性の強いプロテイン又
はアナライトに余り影響を与えないからである。次に、
イオン応答電流が、十分な周波数を持つ交流ボルタ計信
号がポテンシオスタットに送られる時に発生する。約
1,000から10,000Hzの交流信号周波数が、
インジケータ・イオンと電極との間に電気化学的反応な
しでイオン応答電流を維持するのに適している。イオン
電流の流れは、電極の電気化学的二重層キャパシタンス
を介して継続される。抗体−抗原複合体の形成によっ
て、イオン・ゲートが閉ざされ、その結果、イオン応答
電流の流れの減少が測定可能となる。
【0042】電極表面に電気的に沈積出来る電気的に活
性のインジケータ・イオンを使うことも出来る。電気的
に活性のインジケータ・イオンの1例としてニッケルが
ある。電気的に活性のインジケータ・イオンの場合、電
気的に活性のインジケータ・イオンを、与えたボルタ計
信号に応答して電極表面にメッキし又それからストリッ
プすることによって、イオン応答電流が発生する。普
通、電気的に活性のインジケータ・イオンをメッキしス
トリップすることに関連するイオン応答電流の減少とし
て、結合事象を容易に検出することが出来る。
【0043】イオン・ゲートを形成する好ましい技術
は、前もって吸着したプロテインA又はGを含むコロイ
ド状の金の粒子に抗体を吸着させ、次に、電気泳動又は
その他の適当な方法を用いて、得られたコロイド状の金
−抗体の複合体を金電極の表面に与える。金電極は、電
気化学的インミュノセンサー・システムの一般説明で上
述した理由で好まれる。吸着したプロテインA又はGを
持つコロイド状の金は市販されている製品である。プロ
テインA又はGは、これらが抗体のFc区域又は不活性
端部に結合するので好まれる。このことによって、抗体
の不活性端部が溶液の中に拡がる。コロイド状の金−抗
体複合体は金電極に吸着され、この時、抗体はコロイド
状の金粒子と金電極との間の接着剤として作用する。
【0044】コロイド状の金粒子の形は一般的に球状
で、電極表面に集まった時、これらは、それらの間に僅
かな気孔を残して密着し合う。抗体が粒子の表面からこ
の気孔の中に拡がり、流体の中の抗原に晒されるように
なる。抗体が抗原と結合するとき、抗原がこの気孔を塞
ぎ、イオン・ゲートを閉ざす。コロイド状の金には5ナ
ノメータ程度の大きさの粒子が用いられ、従って、コロ
イド状金−抗体複合体同士の間の気孔は多くの抗体−抗
原複合体によって容易に塞がれる。
【0045】別の方法の動作は次ぎのごとくである。波
形発生器5からの電気信号が、以前説明し且つ図1に示
す如く、感知電極10が接続されているポテンシオスタ
ット8に送られる。この方法においては、交流電気信号
が、好ましくは、直流スイープ成分の無い交流ボルタ計
信号から成り立っている。一定の直流電位オフセットが
交流信号に加えられ、好ましくない寄生反応を防ぐ。殆
どの寄生反応を防ぐために、直流のオフセットはゼロ付
近に保つのが好ましいが、場合に因っては、プラス又は
マイナスのオフセットを加えたほうが良い場合がある。
感知電極10は、その表面に吸着又は付着し密集したコ
ロイド状の金−抗体複合体によってその表面に形成され
た多くのイオン・ゲートを持つ。多くのインジケータ・
イオンが、上述した如く、測定するアナライトを含む流
体に加えられている。次に、センサー9で発生したイオ
ン応答電流が、上述した如くにして、ロック・イン増幅
器6及びストリップ・チヤート・レコーダー7を使用し
てモニタされる。好ましくは、交流応答電流のイン・フ
ェース成分の第1の高調波がモニタされる。この方法に
おいて、ストリップ・チャート・レコーダ7上に見られ
るピークは、記載した第1の方法における如くスイープ
信号電位によって決定される特定の電圧では発生しない
が、その代わりに、電極がアナライトに晒され複合反応
が始まるや否や発生する。イオン応答電流の大きさはア
ナライト濃度を敏感に表示する。
【0046】特定のアナライト濃度のインジケータとし
ての応答電流の精度は、交流信号の振幅及び周波数、オ
フセット一定直流及び測定交流高調波を含むシステムの
パラメータを独立して変えることによって、最も好まし
い状態にすることが出来る。多くの場合に好まれるシス
テム・パラメータは、約1,000から10,000H
zの周波数、ゼロ・ボルトの直流オフセット、及び応答
電流の第1高調波の測定値を含む。交流信号の振幅は結
合剤、アナライト、及び試験流体の中のその他の成分に
よって決まる。振幅は、電極に好ましくない電気化学的
反応を起こさない範囲で応答電流の分解能(resolutio
n)を最大にするようにして選択される。第1高調波を
使用することによって、複合反応によって閉ざされなか
ったイオン・ゲートを流れる一定のバックグランド電流
が除去される。第1の方法における如く、送るボルタ形
信号が直流電圧スイープを含んでいないので、第1の高
調波はこの除去機能を持つことが出来る。
【0047】図2は、上述したイオン・ゲート法との関
連で使用される別の1セットの測定装置を示す。図1の
波形発生器5、ルック・イン増幅器6、ストリップ・チ
ャート・レコーダー7及びポテンシオスタット8は図2
の交流インピーダンス・ブリッジ35と置き換えられ
る。交流インピーダンス・ブリッジ35は、交流信号を
送り且つセンサーを介してその電流をモニタすることに
よって、センサーのインピーダンスを測定する。交流イ
ンピーダンス・ブリッジ35は、従って、信号発生手段
及び信号モニタ手段の2つの働きをする。
【0048】インピーダンス・ブリッジ35は適宜の振
幅及び周波数の交流信号を発生し、これを線36及び3
7を介してセンサー39に送る。センサー39は感知電
極40及びカウンター電極42を含む。交流インピーダ
ンス・ブリッジが信号発生及びモニタ手段として使用さ
れるとき、センサー39は基準電極を必要としない。セ
ンサー39は、上述したイオン・ゲート法に従い、多く
のインジケータを含み、感知電極40はその表面に多く
の抗体を持つ。インピーダンス・ブリッジ35から送ら
れる交流信号によって、イオン応答電流が電極40と4
2との間に流れる。センサー39内でアナライトと複合
する抗体は感知電極表面のイオン・ゲートを閉ざし、こ
れにより、インピーダンスが増加し、センサー39の中
を流れるイオン応答電流が下がる。増加したインピーダ
ンスが、インピーダンス・ブリッジ35によってモニタ
され、感知電極表面に形成された複合体の数に比例す
る。これはアナライトの濃度の関数である。
【0049】市販されているインピーダンス・ブリッジ
は、多くの場合、約1,000Hzの交流信号を出す。
これは上述した周波数範囲内にあり、これにより、電極
二重層のキャパシタンスの荷電及び放電によるイオン電
流が流れる。従って、センサー39内のインジケータ・
イオンは電気的に活性である必要はない。ある環境にお
いては、市販されているインピーダンス・ブリッジが一
般的に持っている1,000Hzは、良好な動作を行う
には低すぎるかもしれないが、カスタム設計のインピー
ダンス・ブリッジは、作業に望ましい周波数を持つよう
に設計することが出来る。
【0050】以上の記載は、抗体−抗原結合事象、従っ
て抗原の濃度レベル、を検出する標準的ボルタ計技術の
使用についてこれは例として行ったもので、これに限定
されるものではない。本発明の電気化学的インミュノセ
ンサー・システムは、結合剤と結合して複合体を形成す
る全てのアナライトの検出に適用することが出来る。そ
の他のボルタ計技術及び装置も、本発明の方法を用いて
アナライト検出に適用することが出来る。当該技術者で
あれば、添付した請求項によってのみ限定される本発明
の範囲から逸脱すること無く本発明の多くの代替例が可
能であることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の電気化学インミュノセンサー
・システムの1実施例を示す模式図、
【図2】図2は、本発明の電気化学インミュノセンサー
・システムの第2の実施例を示す模式図である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体の中のアナライトの濃度測定に用い
    られる電気化学的インミュノセンサー・システムにおい
    て、 上記流体と接触する少なくとも1つの感知電極を持つイ
    ンミュノセンサーであて、上記感知電極が、結合剤の存
    在する表面を持ち、これにより、上記結合剤が上記流体
    の中の上記アナライトの一部と結合して、多くの複合体
    を形成する、インミュノセンサーと、 上記感知電極に送る電気信号を発生する信号発生手段で
    あって、上記電気信号が上記感知電極を介して応答電流
    を作り出し、上記応答電流が、上記多くの複合体に依存
    する少なくとも1つの信号特性を持つ、信号発生手段
    と、 上記応答電流の上記信号特性をモニターする信号モニタ
    ー手段と、を含む、電気化学的インミュノセンサー・シ
    ステム。
  2. 【請求項2】 上記信号発生手段が交流信号を提供する
    波形発生器と、 上記交流信号が送られるインプットと、上記感知電極に
    電気的に接続されたアウトプットとを持つポテンシオス
    タットと、を含む請求項1記載のシステム。
  3. 【請求項3】 上記信号発生手段が、更に、直流スイー
    プ信号を提供する直流信号発生器を含み、更に、上記ポ
    テンシオスタットを介して上記感知電極に送られる上記
    電気信号が、上記直流信号に重ねられた上記交流信号を
    含む、請求項2記載のシステム。
  4. 【請求項4】 上記信号モニター手段が、上記応答電流
    を上記電気信号に位相ロッキングするための位相ロッキ
    ング手段を含む、請求項1記載のシステム。
  5. 【請求項5】 インミュノセンサーを使用してアナライ
    トの濃度を測定する方法において、 測定すべきアナライト濃度を持つ流体を準備するステッ
    プと、 少なくとも1つの感知電極を持つインミュノセンサーを
    設けるステップであって、上記感知電極が、その上に結
    合剤が存在する表面を持つ、ステップと、 上記インミュノセンサーの上記感知電極を上記流体に接
    触させるステップであって、上記感知電極の表面上の上
    記結合剤の一部が上記流体の中の上記アナライトの一部
    と結合し、多くの複合体を形成する、ステップと、 その上に上記複合体が形成された上記感知電極に電気信
    号を送るステップであって、上記電気信号が上記感知電
    極をを介して流れる応答電流を作り出し、前記感知電極
    が上記多くの複合体に依存する少なくとも1つの信号特
    性を持つ、ステップと、 上記応答電流の上記信号特性をモニターするステップ
    と、を含む、アナライト濃度の測定方法。
  6. 【請求項6】 更に、追加の種を上記アナライトを含む
    上記流体に加えるステップを含み、上記追加の種が、上
    記複合体が上記電極から脱着する電圧で上記電極に吸着
    し、上記複合体が上記電極に吸着する電圧で上記電極か
    ら脱着することが出来る、請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 上記電気信号が、直流スイープ信号の上
    に重ねられた交流信号を含むボルタ計信号であり、上記
    交流信号がある振幅と周波数を持つ、請求項5記載の方
    法。
  8. 【請求項8】 上記応答電流の上記信号特性をモニター
    するステップが、上記直流信号をある電位範囲に亘って
    スイープしながら、上記応答電流の交流成分を測定する
    ステップを含み、上記直流電位範囲に関連した上記応答
    電流の上記交流成分の上記測定値が交流スペクトルとし
    て表現される、請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 上記交流電流の測定が、上記交流信号の
    周波数に比例した第2の高調波周波数で行われる、請求
    項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 上記流体が、更に、多くのインジケー
    タ・イオンを含み、上記電極の表面上に多くのイオン・
    ゲートを形成し、これにより、上記結合剤が上記流体の
    中の上記アナライトと結合し、複合体を作り、上記複合
    体が上記イオン・ゲートの1つを閉ざし、これにより、
    上記応答電流の大きさを下げる、請求項5記載の方法。
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