JPH0715158B2 - 加工性の優れた摺接部材およびその製造方法 - Google Patents
加工性の優れた摺接部材およびその製造方法Info
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- JPH0715158B2 JPH0715158B2 JP27561785A JP27561785A JPH0715158B2 JP H0715158 B2 JPH0715158 B2 JP H0715158B2 JP 27561785 A JP27561785 A JP 27561785A JP 27561785 A JP27561785 A JP 27561785A JP H0715158 B2 JPH0715158 B2 JP H0715158B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、加工性の優れた摺接部材およびその製造方法
に関し、特にレシプロエンジンのシリンダライナのボア
面やロータリピストンエンジンのトロコイド面など仕上
げ研磨加工の必要な摺接面に適した摺接部材及びその製
造方法に関するものである。
に関し、特にレシプロエンジンのシリンダライナのボア
面やロータリピストンエンジンのトロコイド面など仕上
げ研磨加工の必要な摺接面に適した摺接部材及びその製
造方法に関するものである。
(従来技術) 一般に、レシプロエンジンのシリンダボア面やロータリ
ピストンエンジンのトロコイド面等の摺接面は硬く耐摩
耗性に優れたメッキ層で形成され、このメッキ層の表面
はオイル含浸と相手方部材との初期なじみ性向上のため
逆電解処理などの方法でポーラス状に形成され、その後
これら摺接面はホーニング加工等によりグリーンカーボ
ランダムやホワイトアランダムなどの砥石を用いて仕上
げ研磨加工される。
ピストンエンジンのトロコイド面等の摺接面は硬く耐摩
耗性に優れたメッキ層で形成され、このメッキ層の表面
はオイル含浸と相手方部材との初期なじみ性向上のため
逆電解処理などの方法でポーラス状に形成され、その後
これら摺接面はホーニング加工等によりグリーンカーボ
ランダムやホワイトアランダムなどの砥石を用いて仕上
げ研磨加工される。
この場合、摺接面が非常に硬い材質からなり、しかもポ
ーラス状になっていることから、研磨加工に際して砥石
側の摩耗も著しく、仕上げの表面性状も劣り、研磨加工
に多大の時間がかかるという問題がある。
ーラス状になっていることから、研磨加工に際して砥石
側の摩耗も著しく、仕上げの表面性状も劣り、研磨加工
に多大の時間がかかるという問題がある。
そこで、例えば特公昭41-18604号公報には、シリンダボ
ア面に硬質のCr-Mo合金メッキ層を形成し、この硬質のC
r-Mo合金メッキ層の表面に研磨加工代と初期なじみの摩
耗量に相当する軟質のポーラスCrメッキを形成する技術
が記載されている。
ア面に硬質のCr-Mo合金メッキ層を形成し、この硬質のC
r-Mo合金メッキ層の表面に研磨加工代と初期なじみの摩
耗量に相当する軟質のポーラスCrメッキを形成する技術
が記載されている。
(発明が解決しようとする問題点) 上記公報に記載された技術による摺接部材においては、
硬質のCr-Mo合金メッキ層とCrメッキ層とが同材質でな
いこと、またCr-Mo合金メッキ層を形成後にCr-Mo合金メ
ッキ浴からCrメッキ浴へ移す過程でCr-Mo合金メッキ層
の表面に非常に不活性なCrの酸化膜が形成されること、
などの理由によりCr-Mo合金メッキ層とCrメッキ層との
密着性が悪く、研磨加工時の衝撃力と熱歪等によってCr
メッキ層が剥離し易くなるという問題がある。
硬質のCr-Mo合金メッキ層とCrメッキ層とが同材質でな
いこと、またCr-Mo合金メッキ層を形成後にCr-Mo合金メ
ッキ浴からCrメッキ浴へ移す過程でCr-Mo合金メッキ層
の表面に非常に不活性なCrの酸化膜が形成されること、
などの理由によりCr-Mo合金メッキ層とCrメッキ層との
密着性が悪く、研磨加工時の衝撃力と熱歪等によってCr
メッキ層が剥離し易くなるという問題がある。
上記公報に記載された技術による摺接部材の製造方法に
おいては、Cr-Mo合金メッキ浴とCrメッキ浴との2種類
のメッキ浴を使用するため少なくとも2工程で処理しな
ければならず、工程が複雑化し、製作コストの増大を招
くという問題がある。
おいては、Cr-Mo合金メッキ浴とCrメッキ浴との2種類
のメッキ浴を使用するため少なくとも2工程で処理しな
ければならず、工程が複雑化し、製作コストの増大を招
くという問題がある。
(問題点を解決するための手段) 本願第1発明に係る加工性の優れた摺接部材は、金属基
材の表面にCr-Mo合金メッキからなる硬質の電気メッキ
層を形成し、この硬質の電気メッキ層の表面に上記硬質
の電気メッキ層と同成分のCr-Mo合金からなる軟質の電
気メッキ層を形成したものである。
材の表面にCr-Mo合金メッキからなる硬質の電気メッキ
層を形成し、この硬質の電気メッキ層の表面に上記硬質
の電気メッキ層と同成分のCr-Mo合金からなる軟質の電
気メッキ層を形成したものである。
本願第2発明に係る加工性の優れた摺接部材の製造方法
は、Cr-Mo合金メッキ浴を用い、その浴温と電流密度と
の少なくとも一方を調整することによりメッキ析出速度
を遅くして金属基材の表面に硬質のCr-Mo合金メッキ層
を形成し、次にメッキ析出速度を速めて上記硬質のCr-M
o合金メッキ層の表面に軟質のCr-Mo合金メッキ層を形成
し、この軟質のCr-Mo合金メッキ層を仕上げ研磨するも
のである。
は、Cr-Mo合金メッキ浴を用い、その浴温と電流密度と
の少なくとも一方を調整することによりメッキ析出速度
を遅くして金属基材の表面に硬質のCr-Mo合金メッキ層
を形成し、次にメッキ析出速度を速めて上記硬質のCr-M
o合金メッキ層の表面に軟質のCr-Mo合金メッキ層を形成
し、この軟質のCr-Mo合金メッキ層を仕上げ研磨するも
のである。
(作用) 本願第1発明に係る加工性の優れた摺接部材において
は、金属基材の表面に形成されたCr-Mo合金メッキから
なる硬質の電気メッキ層と、このCr-Mo合金メッキから
なる硬質の電気メッキ層の表面に形成されたCr-Mo合金
メッキからなる軟質の電気メッキ層とが同成分であるた
め、硬質の電気メッキ層と軟質の電気メッキ層の結合が
強力なものとなる。
は、金属基材の表面に形成されたCr-Mo合金メッキから
なる硬質の電気メッキ層と、このCr-Mo合金メッキから
なる硬質の電気メッキ層の表面に形成されたCr-Mo合金
メッキからなる軟質の電気メッキ層とが同成分であるた
め、硬質の電気メッキ層と軟質の電気メッキ層の結合が
強力なものとなる。
本願第2発明に係る加工性の優れた摺接部材の製造方法
においては、同一のCr-Mo合金メッキ浴を用い、メッキ
析出速度を変えるだけで硬質のCr-Mo合金メッキ層と軟
質のCr-Mo合金メッキ層とを形成するので、硬質のCr-Mo
合金メッキ層を空気中に曝すことがなく硬質のCr-Mo合
金メッキ層の表面にCrの酸化膜が形成されず、硬質のCr
-Mo合金メッキ層と軟質のCr-Mo合金メッキ層の結合が強
力になる。
においては、同一のCr-Mo合金メッキ浴を用い、メッキ
析出速度を変えるだけで硬質のCr-Mo合金メッキ層と軟
質のCr-Mo合金メッキ層とを形成するので、硬質のCr-Mo
合金メッキ層を空気中に曝すことがなく硬質のCr-Mo合
金メッキ層の表面にCrの酸化膜が形成されず、硬質のCr
-Mo合金メッキ層と軟質のCr-Mo合金メッキ層の結合が強
力になる。
しかも、同一のCr-Mo合金メッキ浴を用いて硬質及び軟
質のCr-Mo合金メッキ層を形成するので、1工程で処理
し得ることになる。
質のCr-Mo合金メッキ層を形成するので、1工程で処理
し得ることになる。
(発明の効果) 本願第1発明に係る加工性の優れた摺接部材によれば、
以上説明したように金属基材の表面にCr-Mo合金メッキ
からなる硬質の電気メッキ層を形成し、この硬質の電気
メッキ層の表面に、この硬質の電気メッキ層と同成分の
Cr-Mo合金メッキからなる軟質の電気メッキ層を形成し
たので、摺接部材を仕上げ研磨加工して加工残しが生じ
た場合にも、硬軟両電気メッキ層が密着性に優れるた
め、剥離することもなく、初期なじみ性に優れたものと
なる。
以上説明したように金属基材の表面にCr-Mo合金メッキ
からなる硬質の電気メッキ層を形成し、この硬質の電気
メッキ層の表面に、この硬質の電気メッキ層と同成分の
Cr-Mo合金メッキからなる軟質の電気メッキ層を形成し
たので、摺接部材を仕上げ研磨加工して加工残しが生じ
た場合にも、硬軟両電気メッキ層が密着性に優れるた
め、剥離することもなく、初期なじみ性に優れたものと
なる。
本願第2発明に係る加工性の優れた摺接部材の製造方法
によれば、以上説明したように、同一のCr-Mo合金メッ
キ浴を用い、メッキ条件を変えるのみで硬質のCr-Mo合
金メッキ層と軟質のCr-Mo合金メッキ層とからなる密着
性に優れ且つCr酸化物など介在しない複合メッキ層を形
成することが出来るうえ、メッキ層形成の為の工程が簡
単化し、能率よく経済的に摺接部材を製造することが出
来る。
によれば、以上説明したように、同一のCr-Mo合金メッ
キ浴を用い、メッキ条件を変えるのみで硬質のCr-Mo合
金メッキ層と軟質のCr-Mo合金メッキ層とからなる密着
性に優れ且つCr酸化物など介在しない複合メッキ層を形
成することが出来るうえ、メッキ層形成の為の工程が簡
単化し、能率よく経済的に摺接部材を製造することが出
来る。
(実施例) 以下、本願の第1発明及び第2発明の実施例について図
面に基いて説明する。
面に基いて説明する。
先ず、本願第1発明をレシプロエンジンのシリンダライ
ナ(摺接部材)に適用した場合の実施例について説明す
る。
ナ(摺接部材)に適用した場合の実施例について説明す
る。
第1図に示す立型エンジンEにおいては、シリンダブロ
ック1に略円筒状の鋳鉄製のシリンダライナ2が立向き
に嵌合され、このシリンダライナ2のシリンダボア3に
ピストン4が上下動自在に装着され、このシリンダボア
3とピストン4とシリンダヘッド5とで燃焼室が形成さ
れる。
ック1に略円筒状の鋳鉄製のシリンダライナ2が立向き
に嵌合され、このシリンダライナ2のシリンダボア3に
ピストン4が上下動自在に装着され、このシリンダボア
3とピストン4とシリンダヘッド5とで燃焼室が形成さ
れる。
上記シリンダライナ2のシリンダボア3にはピストン4
のピストンリングが摺接して気密状にシールし乍ら摺動
する関係上、シリンダボア3のボア面3aは高精度に仕上
げ研磨加工される。
のピストンリングが摺接して気密状にシールし乍ら摺動
する関係上、シリンダボア3のボア面3aは高精度に仕上
げ研磨加工される。
上記ボア面3aは、ピストンリングとの初期なじみ性・潤
滑性・高温耐摩耗性・高温強度などの特性を具備すると
同時に、吸入・爆発に伴なう激しい熱衝撃に耐えるもの
でなければならない。
滑性・高温耐摩耗性・高温強度などの特性を具備すると
同時に、吸入・爆発に伴なう激しい熱衝撃に耐えるもの
でなければならない。
本実施例のシリンダライナ2は、第3図・第4図に示す
ようにシリンダライナ2の母材のボア面3aに厚さ約80μ
の硬質のCr-Mo合金メッキ層6(ビッカース硬さHv=100
0〜1300)を形成するとともにこの硬質のCr-Mo合金メッ
キ層の表面に加工代として厚さ約20μの軟質のCr-Mo合
金メッキ層7(ビッカース硬さ600〜1000)を形成して
から、硬軟両メッキ層6・7を逆電解処理によりポーラ
ス化し、その後第5図・第6図に示すように研磨用の砥
石8で軟質Cr-Mo合金メッキ層7を略全厚さに亙って仕
上げ研磨加工により研磨したものである。
ようにシリンダライナ2の母材のボア面3aに厚さ約80μ
の硬質のCr-Mo合金メッキ層6(ビッカース硬さHv=100
0〜1300)を形成するとともにこの硬質のCr-Mo合金メッ
キ層の表面に加工代として厚さ約20μの軟質のCr-Mo合
金メッキ層7(ビッカース硬さ600〜1000)を形成して
から、硬軟両メッキ層6・7を逆電解処理によりポーラ
ス化し、その後第5図・第6図に示すように研磨用の砥
石8で軟質Cr-Mo合金メッキ層7を略全厚さに亙って仕
上げ研磨加工により研磨したものである。
即ち、上記シリンダライナ2のボア面3aには、全面に亙
って約80μのポーラス状の硬質のCr-Mo合金メッキ層6
とこの硬質のCr-Mo合金メッキ層6の表面に0〜2μ程
度の厚さで残存しているポーラス状の軟質のCr-Mo合金
メッキ層7とが形成されている。そして、上記軟質のCr
-Mo合金メッキ層7の表面即ちボア面3aは仕上げ研磨加
工されている。
って約80μのポーラス状の硬質のCr-Mo合金メッキ層6
とこの硬質のCr-Mo合金メッキ層6の表面に0〜2μ程
度の厚さで残存しているポーラス状の軟質のCr-Mo合金
メッキ層7とが形成されている。そして、上記軟質のCr
-Mo合金メッキ層7の表面即ちボア面3aは仕上げ研磨加
工されている。
上記シリンダライナ2のシリンダボアナ3の仕上げ研磨
加工に際しては軟質のCr-Mo合金メッキ層7を研磨すれ
ばよいので、砥石の寿命も長く、仕上げ面の性状もよ
く、研磨に要する加工時間も短縮される。
加工に際しては軟質のCr-Mo合金メッキ層7を研磨すれ
ばよいので、砥石の寿命も長く、仕上げ面の性状もよ
く、研磨に要する加工時間も短縮される。
更に、上記シリンダライナ2においては、硬質Cr-Mo合
金メッキ層6と軟質のCr-Mo合金メッキ層7とが同材
質、つまり、同成分であるため密着がよく、また同材質
故に同一メッキ浴内で形成するため硬質Cr-Mo合金メッ
キ層6の表面にCrの酸化膜が形成されることもなく、硬
質Cr-Mo合金メッキ層6と軟質Cr-Mo合金メッキ層7との
結合が強力で密着性に優れ、またボア面3aには0〜2μ
程度の厚さの軟質Cr-Mo合金メッキ層7が残存し且つポ
ーラス状のメッキ層6・7なのでピストンリングに対す
る初期なじみ性に優れ、このポーラス状のメッキ層6・
7にはオイルが保持され潤滑性に優れたものとなってい
る。
金メッキ層6と軟質のCr-Mo合金メッキ層7とが同材
質、つまり、同成分であるため密着がよく、また同材質
故に同一メッキ浴内で形成するため硬質Cr-Mo合金メッ
キ層6の表面にCrの酸化膜が形成されることもなく、硬
質Cr-Mo合金メッキ層6と軟質Cr-Mo合金メッキ層7との
結合が強力で密着性に優れ、またボア面3aには0〜2μ
程度の厚さの軟質Cr-Mo合金メッキ層7が残存し且つポ
ーラス状のメッキ層6・7なのでピストンリングに対す
る初期なじみ性に優れ、このポーラス状のメッキ層6・
7にはオイルが保持され潤滑性に優れたものとなってい
る。
尚、上記シリンダライナ2のボア面3aのように、硬質Cr
-Mo合金メッキ層6と軟質Cr-Mo合金メッキ層7とを備え
た加工性・耐摩耗性・潤滑性に優れた摺接面構造は、動
弁機構のロッカーアームやカムの摺接面、ロータリピス
トンエンジンのロータハウジングやサイドハウジングの
摺接面、各種油圧シリンダやエアシリンダのボア面、そ
の他各種機械類の摺動面などに適用し得るものである。
そして、上記実施例では硬軟両メッキ層6・7をポーラ
ス状に形成したが、ポーラス状にせずに使用する場合も
ある。
-Mo合金メッキ層6と軟質Cr-Mo合金メッキ層7とを備え
た加工性・耐摩耗性・潤滑性に優れた摺接面構造は、動
弁機構のロッカーアームやカムの摺接面、ロータリピス
トンエンジンのロータハウジングやサイドハウジングの
摺接面、各種油圧シリンダやエアシリンダのボア面、そ
の他各種機械類の摺動面などに適用し得るものである。
そして、上記実施例では硬軟両メッキ層6・7をポーラ
ス状に形成したが、ポーラス状にせずに使用する場合も
ある。
ここで、本願第2発明を上記シリンダライナ2の製造方
法に使用した場合の実施例について説明する。
法に使用した場合の実施例について説明する。
先ず、鋳鉄製のシリンダライナ2を鋳造により製作し、
そのボア面3aを機械加工して平滑面に形成した。
そのボア面3aを機械加工して平滑面に形成した。
次に、第2図に示すようにCr-Mo合金メッキ浴9を用い
て上記シリンダライナ2のボア面3aにCr-Mo合金メッキ
を施し、ボア面3aに約80μの厚さの硬質Cr-Mo合金メッ
キ層6を形成後、上記硬質Cr-Mo合金メッキ層6の表面
に約20μの厚さの軟質Cr-Mo合金メッキ層7を形成した
(第3図参照)。
て上記シリンダライナ2のボア面3aにCr-Mo合金メッキ
を施し、ボア面3aに約80μの厚さの硬質Cr-Mo合金メッ
キ層6を形成後、上記硬質Cr-Mo合金メッキ層6の表面
に約20μの厚さの軟質Cr-Mo合金メッキ層7を形成した
(第3図参照)。
上記Cr-Mo合金メッキ浴9としては、通常のサージェン
ト型Crメッキ浴(無水クロム酸:250g/1、硫酸:2.5g/1)
にモリブデン酸塩としてモリブデン酸ナトリウム100g/1
を添加したメッキ浴を用いた。
ト型Crメッキ浴(無水クロム酸:250g/1、硫酸:2.5g/1)
にモリブデン酸塩としてモリブデン酸ナトリウム100g/1
を添加したメッキ浴を用いた。
そして、上記Cr-Mo合金メッキ浴9を用いて、硬質Cr-Mo
合金メッキ層6と軟質Cr-Mo合金メッキ層7とを形成す
るには、メッキ浴の浴温と電流密度とを調節するか或い
は浴温または電流密度の一方を調節するかすることによ
り、メッキ析出速度を遅くすれば硬質Cr-Mo合金メッキ
層6が形成され、メッキ析出速度を速めれば軟質Cr-Mo
合金メッキ層7が形成される。
合金メッキ層6と軟質Cr-Mo合金メッキ層7とを形成す
るには、メッキ浴の浴温と電流密度とを調節するか或い
は浴温または電流密度の一方を調節するかすることによ
り、メッキ析出速度を遅くすれば硬質Cr-Mo合金メッキ
層6が形成され、メッキ析出速度を速めれば軟質Cr-Mo
合金メッキ層7が形成される。
上記硬質及び軟質のCr-Mo合金メッキ層6・7を形成す
る条件としては、浴温が30〜70℃、電流密度が20〜100A
/dm2の範囲である。
る条件としては、浴温が30〜70℃、電流密度が20〜100A
/dm2の範囲である。
硬質のCr-Mo合金メッキ層6を得るためには、高温高電
流密度(50〜70℃×50〜100A/dm2)または低温低電流密
度(30〜50℃×20〜50A/dm2)とすればよい。
流密度(50〜70℃×50〜100A/dm2)または低温低電流密
度(30〜50℃×20〜50A/dm2)とすればよい。
軟質のCr-Mo合金メッキ層7を得るためには、高温低電
流密度(50〜70℃×20〜50A/dm2)または低温高電流密
度(30〜50℃×50〜100A/dm2)とすればよい。
流密度(50〜70℃×20〜50A/dm2)または低温高電流密
度(30〜50℃×50〜100A/dm2)とすればよい。
次に、上記のようにして硬質及び軟質のCr-Mo合金メッ
キ層6・7が形成されたシリンダライナ2のボア面3aに
対して逆電解処理を施して軟質両メッキ層6・7にエッ
チングを施し両メッキ層6・7をポーラス化させた。
キ層6・7が形成されたシリンダライナ2のボア面3aに
対して逆電解処理を施して軟質両メッキ層6・7にエッ
チングを施し両メッキ層6・7をポーラス化させた。
上記ポーラス化させる場合、通常のCrメッキ層に対して
は電流密度を30〜60A/dm2、処理時間を1〜2分間とす
るが、Cr-Mo合金メッキ層6・7に対して上記と同条件
で処理すると十分にポーラス化(多孔質化)することが
出来ないので、逆電解処理の電気量を約50%増加させる
必要があるため、電流密度:30〜60A/dm2、処理時間:2〜
5分間の条件で処理した。
は電流密度を30〜60A/dm2、処理時間を1〜2分間とす
るが、Cr-Mo合金メッキ層6・7に対して上記と同条件
で処理すると十分にポーラス化(多孔質化)することが
出来ないので、逆電解処理の電気量を約50%増加させる
必要があるため、電流密度:30〜60A/dm2、処理時間:2〜
5分間の条件で処理した。
この逆電解処理によって、軟質メッキ層7の全厚さと硬
質メッキ層6の表層約1/2厚さとに亙る深さまでポーラ
ス化される。
質メッキ層6の表層約1/2厚さとに亙る深さまでポーラ
ス化される。
次に、第5図・第6図に示すように、上記シリンダライ
ナ2のシリンダボア3をホーニング加工で仕上げ研磨加
工し、軟質メッキ層7の大部分を研磨除去し、0〜2μ
の厚さの軟質メッキ層7だけを硬質メッキ層6の表面に
残した。
ナ2のシリンダボア3をホーニング加工で仕上げ研磨加
工し、軟質メッキ層7の大部分を研磨除去し、0〜2μ
の厚さの軟質メッキ層7だけを硬質メッキ層6の表面に
残した。
上記軟質メッキ層7は全部研磨除去してもよいが、一部
の軟質メッキ層7を残しておくことによりシリンダボア
3のピストンリングとの初期なじみ性を向上させること
が出来る。
の軟質メッキ層7を残しておくことによりシリンダボア
3のピストンリングとの初期なじみ性を向上させること
が出来る。
以下、上記実施例の製造方法で製作したシリンダライナ
2と、従来例のシリンダライナ及び比較例のシリンダラ
イナについて仕上げ研磨加工の加工性評価の為に行なっ
た試験結果を第1表に示した。
2と、従来例のシリンダライナ及び比較例のシリンダラ
イナについて仕上げ研磨加工の加工性評価の為に行なっ
た試験結果を第1表に示した。
この場合、仕上げ研磨加工の条件としては、砥石8:グリ
ーンカーボンランダム砥石(GC#320NVS)でその形状は
第7図図示の形状、加工圧力:7kg/cm2、加工時間:2分間
であり、第1表中の砥石高さ摩耗量とは第7図の高さ寸
法Hの摩耗量のことである。
ーンカーボンランダム砥石(GC#320NVS)でその形状は
第7図図示の形状、加工圧力:7kg/cm2、加工時間:2分間
であり、第1表中の砥石高さ摩耗量とは第7図の高さ寸
法Hの摩耗量のことである。
上記第1表の加工性評価試験結果から判るように、本願
第2発明の製造方法で製作されたシリンダライナ2は砥
石摩耗量が僅少であるにも拘らずメッキ落代も多く、メ
ッキ層の密着性の面でも良好な結果が得られた。
第2発明の製造方法で製作されたシリンダライナ2は砥
石摩耗量が僅少であるにも拘らずメッキ落代も多く、メ
ッキ層の密着性の面でも良好な結果が得られた。
図面は本願第1発明及び第2発明の実施例を示すもの
で、第1図はエンジンの部分縦断面図、第2図はシリン
ダライナをCr-Mo合金メッキ浴に浸漬してメッキしてい
る状態を示す図、第3図は硬軟両メッキ層を形成したシ
リンダライナの要部断面図、第4図はポーラス化された
硬軟両メッキ層を有するシリンダライナの要部断面図、
第5図はシリンダライナのシリンダボアに仕上げ研磨加
工を施す状態を示す斜視図、第6図はシリンダライナの
シリンダボア面を仕上げ研磨加工している状態を示す要
部拡大断面図、第7図は仕上げ研磨加工用の砥石の斜視
図である。 2……シリンダライナ、6……硬質のCr-Mo合金メッキ
層、7……軟質のCr-Mo合金メッキ層、9……Cr-Mo合金
メッキ浴。
で、第1図はエンジンの部分縦断面図、第2図はシリン
ダライナをCr-Mo合金メッキ浴に浸漬してメッキしてい
る状態を示す図、第3図は硬軟両メッキ層を形成したシ
リンダライナの要部断面図、第4図はポーラス化された
硬軟両メッキ層を有するシリンダライナの要部断面図、
第5図はシリンダライナのシリンダボアに仕上げ研磨加
工を施す状態を示す斜視図、第6図はシリンダライナの
シリンダボア面を仕上げ研磨加工している状態を示す要
部拡大断面図、第7図は仕上げ研磨加工用の砥石の斜視
図である。 2……シリンダライナ、6……硬質のCr-Mo合金メッキ
層、7……軟質のCr-Mo合金メッキ層、9……Cr-Mo合金
メッキ浴。
Claims (2)
- 【請求項1】金属基材の表面にCr-Mo合金メッキからな
る硬質の電気メッキ層を形成し、この硬質の電気メッキ
層の表面に上記硬質の電気メッキ層と同成分のCr-Mo合
金からなる軟質の電気メッキ層を形成したことを特徴と
する加工性の優れた摺接部材。 - 【請求項2】Cr-Mo合金メッキ浴を用い、その浴温と電
流密度との少なくとも一方を調整することによりメッキ
析出速度を遅くして金属基材の表面に硬質のCr-Mo合金
メッキ層を形成し、次にメッキ析出速度を速めて上記硬
質のCr-Mo合金メッキ層の表面に軟質のCr-Mo合金メッキ
層を形成し、この軟質のCr-Mo合金メッキ層を仕上げ研
磨することを特徴とする加工性の優れた摺接部材の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27561785A JPH0715158B2 (ja) | 1985-12-06 | 1985-12-06 | 加工性の優れた摺接部材およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP27561785A JPH0715158B2 (ja) | 1985-12-06 | 1985-12-06 | 加工性の優れた摺接部材およびその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPS62136593A JPS62136593A (ja) | 1987-06-19 |
JPH0715158B2 true JPH0715158B2 (ja) | 1995-02-22 |
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ID=17557947
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP27561785A Expired - Fee Related JPH0715158B2 (ja) | 1985-12-06 | 1985-12-06 | 加工性の優れた摺接部材およびその製造方法 |
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JP (1) | JPH0715158B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
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JP2003013256A (ja) | 2001-07-04 | 2003-01-15 | Honda Motor Co Ltd | 摺動面の耐焼付性向上方法 |
JP4650157B2 (ja) * | 2005-01-12 | 2011-03-16 | マツダ株式会社 | 摺動部用メッキ皮膜及び同皮膜の形成方法 |
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-
1985
- 1985-12-06 JP JP27561785A patent/JPH0715158B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPS62136593A (ja) | 1987-06-19 |
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