JPH07150297A - 耐食性に優れた高強度鋼及びその製造方法 - Google Patents
耐食性に優れた高強度鋼及びその製造方法Info
- Publication number
- JPH07150297A JPH07150297A JP32345493A JP32345493A JPH07150297A JP H07150297 A JPH07150297 A JP H07150297A JP 32345493 A JP32345493 A JP 32345493A JP 32345493 A JP32345493 A JP 32345493A JP H07150297 A JPH07150297 A JP H07150297A
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- Japan
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- corrosion resistance
- high strength
- strength
- strength steel
- steel
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 舶用機器の高強度化、軽量化を可能にす
る。 【構成】 C:0.05〜0.5%、Si:0.5%
以下、Mn:10〜25%、Cr:10〜25%、M
o:5%を越え10%以下、N:0.2〜1%を含有
し、残部がFe及び不可避不純物からなる高強度鋼。
上記鋼の製造工程において、10〜50%の冷間加工を
施す高強度鋼の製造方法。 【効果】 非常に優れた耐食性が得られるとともに、
高強度化が達成され、これを使用した機器の軽量化が可
能になる。また、耐食性の向上によって耐久性も向上す
る。
る。 【構成】 C:0.05〜0.5%、Si:0.5%
以下、Mn:10〜25%、Cr:10〜25%、M
o:5%を越え10%以下、N:0.2〜1%を含有
し、残部がFe及び不可避不純物からなる高強度鋼。
上記鋼の製造工程において、10〜50%の冷間加工を
施す高強度鋼の製造方法。 【効果】 非常に優れた耐食性が得られるとともに、
高強度化が達成され、これを使用した機器の軽量化が可
能になる。また、耐食性の向上によって耐久性も向上す
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、耐食性に優れた高強
度鋼及びその製造方法に関するものであり、特に、舶用
機器の材料として好適な高強度鋼およびその製造方法に
関する。
度鋼及びその製造方法に関するものであり、特に、舶用
機器の材料として好適な高強度鋼およびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に船舶では、航行中に内燃料油や潤
滑油に海水などの水分が混入するため、これを分離除去
する必要があり、その作業には、遠心分離器の一種であ
る油清浄器が用いられている。この油清浄器には使用中
に強い遠心力が作用するため、その構成材料は高い強度
を有する必要がある。また、内燃料油などに混入してい
る海水で腐食され易いので、構成材料は耐食性にも優れ
ている必要がある。従来は、これらの点を勘案して、油
清浄器用の材料としては、SUS316LあるいはSU
S329J1ステンレス鋼が用いられている。
滑油に海水などの水分が混入するため、これを分離除去
する必要があり、その作業には、遠心分離器の一種であ
る油清浄器が用いられている。この油清浄器には使用中
に強い遠心力が作用するため、その構成材料は高い強度
を有する必要がある。また、内燃料油などに混入してい
る海水で腐食され易いので、構成材料は耐食性にも優れ
ている必要がある。従来は、これらの点を勘案して、油
清浄器用の材料としては、SUS316LあるいはSU
S329J1ステンレス鋼が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記した従来
材は、強度が十分とはいえないため、強度を保証するた
めに、部品肉厚を大きくする必要があり、その結果重量
が増大するという問題がある。しかも最近のニーズは高
強度、軽量化の方向にあり、このニーズに応えるために
は、より高強度で軽量化が可能な材料が望まれている。
材は、強度が十分とはいえないため、強度を保証するた
めに、部品肉厚を大きくする必要があり、その結果重量
が増大するという問題がある。しかも最近のニーズは高
強度、軽量化の方向にあり、このニーズに応えるために
は、より高強度で軽量化が可能な材料が望まれている。
【0004】これに対しては、従来材をさらに強度の高
い材料に代えることも考えられる。しかし、このような
材料は耐食性が十分ではなく、海水のように腐食性の強
いものに晒されていると早期に腐食するため耐久性に劣
るという問題がある。このため、従来は、より高い強度
を有し、しかも耐食性にも非常に優れている新材質の出
現が強く望まれていた。この発明は上記事情を背景とし
てなされたものであり、より高強度で耐食性に優れた高
強度鋼およびその製造方法を提供することを目的とす
る。
い材料に代えることも考えられる。しかし、このような
材料は耐食性が十分ではなく、海水のように腐食性の強
いものに晒されていると早期に腐食するため耐久性に劣
るという問題がある。このため、従来は、より高い強度
を有し、しかも耐食性にも非常に優れている新材質の出
現が強く望まれていた。この発明は上記事情を背景とし
てなされたものであり、より高強度で耐食性に優れた高
強度鋼およびその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本願発明の高
強度鋼は、重量パーセントで、C:0.05〜0.5
%、Si:0.5%以下、Mn:10〜25%、Cr:
10〜25%、Mo:5%を越え10%以下、N:0.
2〜1%を含有し、残部がFe及び不可避不純物からな
ることを特徴とする。また第2の発明は、上記発明の鋼
の製造工程において、10〜50%の冷間加工を施すこ
とを特徴とする。
強度鋼は、重量パーセントで、C:0.05〜0.5
%、Si:0.5%以下、Mn:10〜25%、Cr:
10〜25%、Mo:5%を越え10%以下、N:0.
2〜1%を含有し、残部がFe及び不可避不純物からな
ることを特徴とする。また第2の発明は、上記発明の鋼
の製造工程において、10〜50%の冷間加工を施すこ
とを特徴とする。
【0006】本願発明の鋼は、海水によって強い腐食環
境に晒される舶用機器材料に好適であり、さらにその中
でも、より高い強度が必要とされる油清浄器用材料とし
て用いるのがより好適である。しかし、本願発明の用途
がこれらに限定されるものではなく、高い強度と優れた
耐食性とが要求される各種用途に使用することが可能で
ある。
境に晒される舶用機器材料に好適であり、さらにその中
でも、より高い強度が必要とされる油清浄器用材料とし
て用いるのがより好適である。しかし、本願発明の用途
がこれらに限定されるものではなく、高い強度と優れた
耐食性とが要求される各種用途に使用することが可能で
ある。
【0007】
【作用】本願発明の鋼によれば、非常に優れた耐食性が
得られ、強い腐食環境でも優れた耐久性が得られる。さ
らに従来材に比べて、より高い強度が得られ、これを用
いた機器の軽量化が可能になる。また、本願発明の製造
方法によれば、程度な冷間加工率による加工強化によっ
てより高い強度が確保される。
得られ、強い腐食環境でも優れた耐久性が得られる。さ
らに従来材に比べて、より高い強度が得られ、これを用
いた機器の軽量化が可能になる。また、本願発明の製造
方法によれば、程度な冷間加工率による加工強化によっ
てより高い強度が確保される。
【0008】次に、本願発明の構成成分の作用およびそ
の含有量、ならび冷間加工率の限定理由について説明す
る。 C:0.05〜0.5% Cは、所望の強度を確保するために含有させる。但し、
0.05%未満の含有では所定強度が得られず、冷間加
工時の強度上昇が小さくなる。一方、0.5%を越える
と、炭化物の粒界析出があり、耐食性が劣化する上に、
延性が低下して、冷間加工率を大きくとれない。したが
ってCの含有量は上記範囲に定めた。
の含有量、ならび冷間加工率の限定理由について説明す
る。 C:0.05〜0.5% Cは、所望の強度を確保するために含有させる。但し、
0.05%未満の含有では所定強度が得られず、冷間加
工時の強度上昇が小さくなる。一方、0.5%を越える
と、炭化物の粒界析出があり、耐食性が劣化する上に、
延性が低下して、冷間加工率を大きくとれない。したが
ってCの含有量は上記範囲に定めた。
【0009】Si:0.5%以下 Siは脱酸剤として用い、湯流れ性をよくするが、0.
5%を越えて添加すると靱性を害するので、その含有量
を0.5%以下とする。 Mn:10〜25% Mnはオーステナイト相を安定させて強度、加工硬化性
を向上させる。但し、10%未満の含有ではオーステナ
イト相が不安定になり強度及び、加工硬化性が低下す
る。また25%を越えると、延性が低下し、冷間加工性
が劣化するので、上記範囲に定めた。
5%を越えて添加すると靱性を害するので、その含有量
を0.5%以下とする。 Mn:10〜25% Mnはオーステナイト相を安定させて強度、加工硬化性
を向上させる。但し、10%未満の含有ではオーステナ
イト相が不安定になり強度及び、加工硬化性が低下す
る。また25%を越えると、延性が低下し、冷間加工性
が劣化するので、上記範囲に定めた。
【0010】Cr:10〜25% Crは適量の含有により耐食性を向上させる。但し10
%未満では耐食性が劣化し、一方、25%を越えると延
性が低下して冷間加工性が劣化するので上記範囲に定め
る。 Mo:5%を越え10%以下 Moは、耐食性、特に海水に対する耐食性を向上させ
る。但し、5%以下では耐食性が低下し、10%を越え
ると靱性が低下するので上記範囲とする。
%未満では耐食性が劣化し、一方、25%を越えると延
性が低下して冷間加工性が劣化するので上記範囲に定め
る。 Mo:5%を越え10%以下 Moは、耐食性、特に海水に対する耐食性を向上させ
る。但し、5%以下では耐食性が低下し、10%を越え
ると靱性が低下するので上記範囲とする。
【0011】N:0.2%〜1% Nは、オーステナイト相を安定させ、耐食性及び強度を
向上させる効果があり、そのためには0.2%以上必要
である。但し、1%を越えると靱性が低下するので上記
範囲とする。但し、耐食性、および強度をより優れたも
のとするためには、N含有量を0.5%以上とするのが
望ましい。 冷間加工率:10〜50% 冷間加工率が10%未満であると、所定の強度が得られ
ず、一方50%を越える加工率では割れが発生しやすく
なるので上記範囲の冷間加工率とする。
向上させる効果があり、そのためには0.2%以上必要
である。但し、1%を越えると靱性が低下するので上記
範囲とする。但し、耐食性、および強度をより優れたも
のとするためには、N含有量を0.5%以上とするのが
望ましい。 冷間加工率:10〜50% 冷間加工率が10%未満であると、所定の強度が得られ
ず、一方50%を越える加工率では割れが発生しやすく
なるので上記範囲の冷間加工率とする。
【0012】
【実施例】表1に示す組成の合金を真空誘導炉で溶解
し、50kg丸形鋼塊に造塊した。次いでこれら鋼塊を
熱間鍛造後、溶体化処理を行い、さらにその後、室温に
て加工率15%又は30%の冷間加工を施し、得られた
供試材を引張試験と腐食試験に供した。その結果は表2
に示す。なお、上記腐食試験は、人工海水中における応
力腐食割れ試験によって行ない、割れ発生の有無によっ
て評価した。
し、50kg丸形鋼塊に造塊した。次いでこれら鋼塊を
熱間鍛造後、溶体化処理を行い、さらにその後、室温に
て加工率15%又は30%の冷間加工を施し、得られた
供試材を引張試験と腐食試験に供した。その結果は表2
に示す。なお、上記腐食試験は、人工海水中における応
力腐食割れ試験によって行ない、割れ発生の有無によっ
て評価した。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】表2から明らかなように、本願発明の供試
材は、高い強度を有するとともに、非常に優れた耐食性
を有している。一方、比較材は強度はある程度確保され
ているが、耐食性に劣っており、また、従来材は、耐食
性は良好であるものの強度が不十分であった。
材は、高い強度を有するとともに、非常に優れた耐食性
を有している。一方、比較材は強度はある程度確保され
ているが、耐食性に劣っており、また、従来材は、耐食
性は良好であるものの強度が不十分であった。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本願発明の高強度
鋼によれば、高い強度と非常に優れた耐食性とが得られ
るので、強い腐食環境で使用される舶用機器などの材料
として極めて有用である。また、適正な冷間加工率で加
工することによってより高い強度が確保され、高強度、
耐食性が必要とされる用途に非常に適した材料が得られ
る。また、高強度化によって、これを使用した機器など
の軽量化が可能になる効果もある。
鋼によれば、高い強度と非常に優れた耐食性とが得られ
るので、強い腐食環境で使用される舶用機器などの材料
として極めて有用である。また、適正な冷間加工率で加
工することによってより高い強度が確保され、高強度、
耐食性が必要とされる用途に非常に適した材料が得られ
る。また、高強度化によって、これを使用した機器など
の軽量化が可能になる効果もある。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量パーセントで、C:0.05〜0.
5%、Si:0.5%以下、Mn:10〜25%、C
r:10〜25%、Mo:5%を越え10%以下、N:
0.2〜1%を含有し、残部がFe及び不可避不純物か
らなる耐食性に優れた高強度鋼 - 【請求項2】 請求項1記載の鋼の製造工程において、
10〜50%の冷間加工を施すことを特徴とする耐食性
に優れた高強度鋼の製造方法
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32345493A JPH07150297A (ja) | 1993-11-30 | 1993-11-30 | 耐食性に優れた高強度鋼及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32345493A JPH07150297A (ja) | 1993-11-30 | 1993-11-30 | 耐食性に優れた高強度鋼及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07150297A true JPH07150297A (ja) | 1995-06-13 |
Family
ID=18154857
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32345493A Pending JPH07150297A (ja) | 1993-11-30 | 1993-11-30 | 耐食性に優れた高強度鋼及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07150297A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001252289A (ja) * | 2000-03-09 | 2001-09-18 | Gc Corp | 義歯用磁性アタッチメント |
CN105803339A (zh) * | 2016-04-06 | 2016-07-27 | 广东省材料与加工研究所 | 一种耐热耐磨合金钢及其制备方法 |
-
1993
- 1993-11-30 JP JP32345493A patent/JPH07150297A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001252289A (ja) * | 2000-03-09 | 2001-09-18 | Gc Corp | 義歯用磁性アタッチメント |
CN105803339A (zh) * | 2016-04-06 | 2016-07-27 | 广东省材料与加工研究所 | 一种耐热耐磨合金钢及其制备方法 |
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