JPH07150237A - 耐孔あき腐食性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
耐孔あき腐食性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法Info
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- JPH07150237A JPH07150237A JP33892293A JP33892293A JPH07150237A JP H07150237 A JPH07150237 A JP H07150237A JP 33892293 A JP33892293 A JP 33892293A JP 33892293 A JP33892293 A JP 33892293A JP H07150237 A JPH07150237 A JP H07150237A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 自動車足廻り部品が曝されるCl-イオン存在
下で乾湿を繰り返す腐食環境においても優れた耐孔あき
腐食性を有する高強度熱延鋼板を製造し得る方法を提供
する。 【構成】 C:0.02%を超え0.08%以下、Si:
2.00%以下、Mn:0.70〜2.50%、P:0.0
3〜0.15%、S:0.01%以下、Al:0.02〜
0.05%、Cu:0.05〜0.50%、Ti:0.02〜
0.25%、N:0.005%以下を含有し、更に必要に
応じて、Ni:0.05〜0.50%、Nb:0.02〜0.
10%、B:0.0003〜0.0060%、Mo:0.0
5〜0.25%、Cr:0.01〜0.20%、Ca:0.0
004〜0.0100%、REM:0.0004〜0.0
100%のうちの1種又は2種以上を含有し、残部がF
e及び不可避的不純物からなる鋳片を加熱温度1200
℃以上、仕上温度850〜950℃で熱延し、700〜
600℃までの平均冷却速度を20℃/s以上で急冷
し、520℃以下で巻取ることを特徴としている。
下で乾湿を繰り返す腐食環境においても優れた耐孔あき
腐食性を有する高強度熱延鋼板を製造し得る方法を提供
する。 【構成】 C:0.02%を超え0.08%以下、Si:
2.00%以下、Mn:0.70〜2.50%、P:0.0
3〜0.15%、S:0.01%以下、Al:0.02〜
0.05%、Cu:0.05〜0.50%、Ti:0.02〜
0.25%、N:0.005%以下を含有し、更に必要に
応じて、Ni:0.05〜0.50%、Nb:0.02〜0.
10%、B:0.0003〜0.0060%、Mo:0.0
5〜0.25%、Cr:0.01〜0.20%、Ca:0.0
004〜0.0100%、REM:0.0004〜0.0
100%のうちの1種又は2種以上を含有し、残部がF
e及び不可避的不純物からなる鋳片を加熱温度1200
℃以上、仕上温度850〜950℃で熱延し、700〜
600℃までの平均冷却速度を20℃/s以上で急冷
し、520℃以下で巻取ることを特徴としている。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐孔あき腐食性に優れた
高強度熱延鋼板の製造方法に関する。
高強度熱延鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】地球環境の保護、自動車の燃費向上、乗
り心地の向上等の観点から、自動車に使用する鋼板の高
強度、薄肉化の傾向が強くなっている。特に自動車足廻
り等の重要保安部品では、鋼板に腐食による穴があかな
いこと、或いは腐食後の残存板厚を考慮し設計している
ため薄肉化を行う場合には、防錆能を向上させることが
必要となってくる。
り心地の向上等の観点から、自動車に使用する鋼板の高
強度、薄肉化の傾向が強くなっている。特に自動車足廻
り等の重要保安部品では、鋼板に腐食による穴があかな
いこと、或いは腐食後の残存板厚を考慮し設計している
ため薄肉化を行う場合には、防錆能を向上させることが
必要となってくる。
【0003】北米、欧州等で冬期に道路凍結防止剤(Na
Cl、KCl、MgCl)を使用している地域では、鋼板の
腐食を促進するCl-イオン存在下での乾湿の繰り返しと
なるため、特に優れた防錆能が必要となってくる。
Cl、KCl、MgCl)を使用している地域では、鋼板の
腐食を促進するCl-イオン存在下での乾湿の繰り返しと
なるため、特に優れた防錆能が必要となってくる。
【0004】また、鋼板を自動車の足廻りに使用するた
めには、強度と共にプレス加工性、特にバーリング加工
性や溶接性が必須であり、自動車の足廻り部品の軽量化
には薄肉で高強度であり、かつ優れた耐食性を有し、更
に優れたプレス加工性、溶接性が必要となってくる。
めには、強度と共にプレス加工性、特にバーリング加工
性や溶接性が必須であり、自動車の足廻り部品の軽量化
には薄肉で高強度であり、かつ優れた耐食性を有し、更
に優れたプレス加工性、溶接性が必要となってくる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、このような鋼板
としては、例えば、特開昭62−243738号には
C:0.001〜0.02%、Mn:0.1〜0.5%、
S:0.001〜0.005%、Cu:0.1〜1.0%、
P:0.03〜0.15%、Ti:0.03〜0.1%を基
本成分とする鋼材が提案されており、特開平3−082
708号にはC:0.001〜0.010%、Si<1.0
%、Mn:0.10〜1.50%、P:0.04〜0.10
%、S≦0.005%、Cu:0.05〜0.50%、N
i:0.05〜0.50%を基本成分とする鋼板が提案さ
れている。しかし、このような鋼板においては、590
N/mm2を超える十分な強度が得られない。
としては、例えば、特開昭62−243738号には
C:0.001〜0.02%、Mn:0.1〜0.5%、
S:0.001〜0.005%、Cu:0.1〜1.0%、
P:0.03〜0.15%、Ti:0.03〜0.1%を基
本成分とする鋼材が提案されており、特開平3−082
708号にはC:0.001〜0.010%、Si<1.0
%、Mn:0.10〜1.50%、P:0.04〜0.10
%、S≦0.005%、Cu:0.05〜0.50%、N
i:0.05〜0.50%を基本成分とする鋼板が提案さ
れている。しかし、このような鋼板においては、590
N/mm2を超える十分な強度が得られない。
【0006】また、例えば、特許第1342069号に
C≦0.07%、Si≦1.0%、Mn≦2.5、P:0.0
3〜0.20%を基本成分とする鋼材が提案されている
が、この鋼板においては自動車足廻り特有の乾湿が繰り
返される環境で十分な耐食性が得られない上、自動車足
廻り部品として必要なプレス成形性が得られない。更に
は、めっきにより耐食性を向上させた鋼板が開示されて
いるが、溶接時にZn蒸気によるブローホールが発生
し、また、溶接部ではめっき層がないため十分な耐食性
が得られない。
C≦0.07%、Si≦1.0%、Mn≦2.5、P:0.0
3〜0.20%を基本成分とする鋼材が提案されている
が、この鋼板においては自動車足廻り特有の乾湿が繰り
返される環境で十分な耐食性が得られない上、自動車足
廻り部品として必要なプレス成形性が得られない。更に
は、めっきにより耐食性を向上させた鋼板が開示されて
いるが、溶接時にZn蒸気によるブローホールが発生
し、また、溶接部ではめっき層がないため十分な耐食性
が得られない。
【0007】本発明は、上記従来技術の欠点を解消し
て、自動車足廻り部品が曝されるCl-イオン存在下で乾
湿を繰り返す腐食環境においても優れた耐食性(耐孔あ
き腐食性)を有する高強度熱延鋼板を製造し得る方法を
提供することを目的とするものである。
て、自動車足廻り部品が曝されるCl-イオン存在下で乾
湿を繰り返す腐食環境においても優れた耐食性(耐孔あ
き腐食性)を有する高強度熱延鋼板を製造し得る方法を
提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明者らが鋭意調査、検討した結果、上述のよう
なCl-イオン存在下で乾湿を繰り返す腐食環境において
優れた耐孔あき腐食性を有すると共に、TS≧590N
/mm2以上の高い強度を有し、自動車足廻り部品の軽量
化の推進に寄与し得る高強度熱延鋼板の製造方法を見い
出したものである。
に、本発明者らが鋭意調査、検討した結果、上述のよう
なCl-イオン存在下で乾湿を繰り返す腐食環境において
優れた耐孔あき腐食性を有すると共に、TS≧590N
/mm2以上の高い強度を有し、自動車足廻り部品の軽量
化の推進に寄与し得る高強度熱延鋼板の製造方法を見い
出したものである。
【0009】すなわち、本発明は、 C:0.02%を超え0.08%以下、 Si:2.00%以下、 Mn:0.70〜2.50%、 P:0.03〜0.15%、 S:0.01%以下、 Al:0.01〜0.05%、 Cu:0.05〜0.50%、 Ti:0.02〜0.25%、 N:0.005%以下、 を含有し、更に必要に応じて、 Ni:0.05〜0.50%、 Nb:0.02〜0.10%、 B:0.0003〜0.0060%、 Mo:0.05〜0.25%、 Cr:0.01〜0.20%、 Ca:0.0004〜0.0100%、 REM:0.0004〜0.0100%、 のうちの1種又は2種以上を含有し、残部がFe及び不
可避的不純物からなる鋳片を加熱温度1200℃以上、
仕上温度850〜950℃で熱延し、700〜600℃
までの平均冷却速度を20℃/s以上で急冷し、520
℃以下で巻取ることを特徴とする耐孔あき腐食性に優れ
た高強度熱延鋼板の製造方法を要旨としている。
可避的不純物からなる鋳片を加熱温度1200℃以上、
仕上温度850〜950℃で熱延し、700〜600℃
までの平均冷却速度を20℃/s以上で急冷し、520
℃以下で巻取ることを特徴とする耐孔あき腐食性に優れ
た高強度熱延鋼板の製造方法を要旨としている。
【0010】
【作用】以下に本発明を更に詳細に説明する。まず本発
明における鋼の化学成分の限定理由を説明する。
明における鋼の化学成分の限定理由を説明する。
【0011】C:Cは鋼を強化する元素であるが、0.
02%より少ない場合にはその効果が低く、一方、0.
08%を超えると、通常の製造工程で腐食時にカソード
となるセメンタイト等の炭化物が多量に生成してしま
い、炭化物と地鉄間の電位差により腐食が促進され、耐
食性を低下させる。よって、C量は0.02%を超え0.
08%以下とする。
02%より少ない場合にはその効果が低く、一方、0.
08%を超えると、通常の製造工程で腐食時にカソード
となるセメンタイト等の炭化物が多量に生成してしま
い、炭化物と地鉄間の電位差により腐食が促進され、耐
食性を低下させる。よって、C量は0.02%を超え0.
08%以下とする。
【0012】Si:Siは脱酸のため及びプレス加工性を
確保しながら強度調整を行うのに有効な元素であるが、
2.0%を超えて添加すると熱延時に鋼板表面に濃化
し、鋼板の酸洗性は低下させるため、2.0%以下とす
る。
確保しながら強度調整を行うのに有効な元素であるが、
2.0%を超えて添加すると熱延時に鋼板表面に濃化
し、鋼板の酸洗性は低下させるため、2.0%以下とす
る。
【0013】Mn:MnはSによる高温割れを防止するこ
と及び強度の調整に有効な元素であるが、0.70%未
満ではSの高温割れを防止する効果が低く、かつ、強化
の効果が小さい。また、2.5%を超えて添加すると全
伸びが著しく低下し、加工の観点から好ましくない。よ
って、Mn量は0.7〜2.5%とする。
と及び強度の調整に有効な元素であるが、0.70%未
満ではSの高温割れを防止する効果が低く、かつ、強化
の効果が小さい。また、2.5%を超えて添加すると全
伸びが著しく低下し、加工の観点から好ましくない。よ
って、Mn量は0.7〜2.5%とする。
【0014】P:Pは単独に添加しても耐食性を向上さ
せる元素であるが、Cuと複合添加することにより耐食
性を飛躍的に向上させる元素であ。しかし、0.03%
未満ではその効果が現れず、また0.15%を超えて添
加してもその効果が飽和し、更に加工後の脆化の原因と
なる。よって、P量は0.03〜0.15%とする。
せる元素であるが、Cuと複合添加することにより耐食
性を飛躍的に向上させる元素であ。しかし、0.03%
未満ではその効果が現れず、また0.15%を超えて添
加してもその効果が飽和し、更に加工後の脆化の原因と
なる。よって、P量は0.03〜0.15%とする。
【0015】S:Sは鋼中では、金属元素等と結合して
硫化物系介在物となって存在する。この硫化物系の介在
物は金属との間で電位差が生じ、腐食の起点となるた
め、S含有量は低い程よい。特にS含有量が0.01%
を超えた場合、硫化物系の介在物の量が増加することに
より耐食性が極端に劣化するため、0.01%以下とす
る。
硫化物系介在物となって存在する。この硫化物系の介在
物は金属との間で電位差が生じ、腐食の起点となるた
め、S含有量は低い程よい。特にS含有量が0.01%
を超えた場合、硫化物系の介在物の量が増加することに
より耐食性が極端に劣化するため、0.01%以下とす
る。
【0016】Al:Alは脱酸の目的で添加するが、0.
01%未満では十分に脱酸が行われず、鋼中のO含有量
を低減できない。また、0.05%より多く添加しても
その効果が飽和するため、Al量は0.01〜0.05%
とする。
01%未満では十分に脱酸が行われず、鋼中のO含有量
を低減できない。また、0.05%より多く添加しても
その効果が飽和するため、Al量は0.01〜0.05%
とする。
【0017】Cu:CuはPと複合添加することにより耐
食性を飛躍的に向上させる元素であるが、0.05%未
満ではその効果が現れず、また、0.50%を超えて添
加しても、耐食性の効果は飽和し、また加工性が低下す
るため、Cu量は0.05〜0.50%とする。
食性を飛躍的に向上させる元素であるが、0.05%未
満ではその効果が現れず、また、0.50%を超えて添
加しても、耐食性の効果は飽和し、また加工性が低下す
るため、Cu量は0.05〜0.50%とする。
【0018】Ti:TiはTi系析出物としての析出によ
り、及び鋼の結晶粒微細化により、強化及び加工性改善
のため、また、固溶Tiが腐食時に溶出することによる
耐食性改善のために添加するが、0.02%以上添加し
ないとその効果が現れず、また、0.25%を超えて添
加しても耐食性及び強化に対する効果が飽和する上、高
価になるため、Ti量は0.02〜0.25%とする。
り、及び鋼の結晶粒微細化により、強化及び加工性改善
のため、また、固溶Tiが腐食時に溶出することによる
耐食性改善のために添加するが、0.02%以上添加し
ないとその効果が現れず、また、0.25%を超えて添
加しても耐食性及び強化に対する効果が飽和する上、高
価になるため、Ti量は0.02〜0.25%とする。
【0019】N:N量が多くなると時効が発生し、ま
た、一部のNはTiと結合してTiNを形成し、固溶Ti
量を減少させ、耐食性が劣化するため、N量は0.00
5%以下とする。
た、一部のNはTiと結合してTiNを形成し、固溶Ti
量を減少させ、耐食性が劣化するため、N量は0.00
5%以下とする。
【0020】以上の成分を必須とするが、必要に応じ
て、以下の成分の1種又は2種以上を適量にて添加する
ことができる。
て、以下の成分の1種又は2種以上を適量にて添加する
ことができる。
【0021】Ni:Cu含有量が多い鋼ではヘゲ疵が表面
に発生しやすいが、Cu含有量の多い鋼にNiを0.05
%以上添加した場合、この欠疵を防止することができ
る。またNiは耐食性向上に寄与する成分であるが、Ni
は高価であるため、その上限は0.5%とするが、Cu添
加量が0.4%を超える場合にはNiをCu含有量の半分
から同量を添加するのが望ましい。
に発生しやすいが、Cu含有量の多い鋼にNiを0.05
%以上添加した場合、この欠疵を防止することができ
る。またNiは耐食性向上に寄与する成分であるが、Ni
は高価であるため、その上限は0.5%とするが、Cu添
加量が0.4%を超える場合にはNiをCu含有量の半分
から同量を添加するのが望ましい。
【0022】Nb:Nbは鋼の強化及び加工性改善のた
め、及びNb添加による固溶Ti量の増加、すなわち、耐
食性改善のために添加するが、0.02%以上でないと
その効果が現れず、また0.10%を超えて添加した場
合、鋼が脆化する上、高価になるため、Nb量は0.02
〜0.10%とする。
め、及びNb添加による固溶Ti量の増加、すなわち、耐
食性改善のために添加するが、0.02%以上でないと
その効果が現れず、また0.10%を超えて添加した場
合、鋼が脆化する上、高価になるため、Nb量は0.02
〜0.10%とする。
【0023】B:Bは鋼の加工後の脆化を改善するため
に添加するが、0.0003%未満ではその効果が現れ
ず、また、0.0060%を超えて添加すると、かえっ
て鋼が脆化するため、B量は0.0003〜0.0060
%とする。
に添加するが、0.0003%未満ではその効果が現れ
ず、また、0.0060%を超えて添加すると、かえっ
て鋼が脆化するため、B量は0.0003〜0.0060
%とする。
【0024】Mo:Moは鋼の強化及び加工性改善のため
に極めて有効な元素であるが、0.05%以上でないと
その効果が現れず、また、0.25%を超えて添加して
も、その効果が飽和する上、高価になるため、Mo量は
0.05〜0.25%とする。
に極めて有効な元素であるが、0.05%以上でないと
その効果が現れず、また、0.25%を超えて添加して
も、その効果が飽和する上、高価になるため、Mo量は
0.05〜0.25%とする。
【0025】Cr:Crは鋼の強化のために有効な元素で
あるが、0.01%より少ない添加量ではその効果が現
れず、また、0.20%を超えて添加した場合、強化の
効果が飽和すると共に、耐食性が劣化するため、Cr量
は0.01〜0.20%とする。
あるが、0.01%より少ない添加量ではその効果が現
れず、また、0.20%を超えて添加した場合、強化の
効果が飽和すると共に、耐食性が劣化するため、Cr量
は0.01〜0.20%とする。
【0026】Ca:鉄の腐食が進行している段階では、
孔食内部で、 Fe→Fe2++e- Fe2++2H2O→Fe(OH)2+2H+ なる反応が起こり、孔食内部が酸性化し、更に鉄の腐食
が促進されるが、Caが存在した場合、鉄と同時にCaも
溶解し、Caがアルカリ金属であるため、孔食内部を塩
基性化し、孔食の進展が低減される。Caはこのために
添加するが、0.0004%未満では効果が認められ
ず、また0.0100%を超えて添加すると、その効果
が飽和するばかりでなく、鋼の脆化を引き起こすため、
Ca量は0.0004〜0.0100%とする。
孔食内部で、 Fe→Fe2++e- Fe2++2H2O→Fe(OH)2+2H+ なる反応が起こり、孔食内部が酸性化し、更に鉄の腐食
が促進されるが、Caが存在した場合、鉄と同時にCaも
溶解し、Caがアルカリ金属であるため、孔食内部を塩
基性化し、孔食の進展が低減される。Caはこのために
添加するが、0.0004%未満では効果が認められ
ず、また0.0100%を超えて添加すると、その効果
が飽和するばかりでなく、鋼の脆化を引き起こすため、
Ca量は0.0004〜0.0100%とする。
【0027】REM(希土類元素):希土類元素もCaと
同様、孔食内部で孔食内部を塩基性化し、孔食の進展が
低減されるため添加するが、0.0004%未満では効
果が認められず、また0.0100%を超えて添加する
と、その効果が飽和するばかりでなく、鋼の脆化を引き
起こすため、REM量は0.0004〜0.0100%と
する。
同様、孔食内部で孔食内部を塩基性化し、孔食の進展が
低減されるため添加するが、0.0004%未満では効
果が認められず、また0.0100%を超えて添加する
と、その効果が飽和するばかりでなく、鋼の脆化を引き
起こすため、REM量は0.0004〜0.0100%と
する。
【0028】次に本発明の製造条件について説明する。
【0029】上機化学成分の鋼は常法により鋳片とする
が、鋳片を加熱し熱延を行うに際しては以下の条件とす
る必要がある。
が、鋳片を加熱し熱延を行うに際しては以下の条件とす
る必要がある。
【0030】加熱温度:加熱温度は鋼のプレス加工性及
び耐食性を確保するために規制する必要がある。すなわ
ち、加熱温度が1200℃未満ではスラブ中の粗大なT
iCを固溶させることができず、鋼板中の固溶Ti量が減
少して耐食性が劣化し、また均一なベイナイト組織が得
られず、そのためプレス加工性、特にバーリング加工性
を劣化させる。したがって、加熱温度は1200℃以上
とする。
び耐食性を確保するために規制する必要がある。すなわ
ち、加熱温度が1200℃未満ではスラブ中の粗大なT
iCを固溶させることができず、鋼板中の固溶Ti量が減
少して耐食性が劣化し、また均一なベイナイト組織が得
られず、そのためプレス加工性、特にバーリング加工性
を劣化させる。したがって、加熱温度は1200℃以上
とする。
【0031】仕上温度:熱延の仕上温度は鋼のプレス加
工性及び耐食性を確保するために規制する必要がある。
すなわち、仕上温度が850℃未満ではフェライト組織
が多くなり十分なバーリング加工性が得られない。また
950℃を超えて圧延した場合、スケール疵が発生し、
また圧延ロールの摩耗が激しくなる。したがって、熱延
の仕上温度は850℃以上、950℃以下とする。
工性及び耐食性を確保するために規制する必要がある。
すなわち、仕上温度が850℃未満ではフェライト組織
が多くなり十分なバーリング加工性が得られない。また
950℃を超えて圧延した場合、スケール疵が発生し、
また圧延ロールの摩耗が激しくなる。したがって、熱延
の仕上温度は850℃以上、950℃以下とする。
【0032】冷却速度:仕上圧延後の冷却速度は鋼のプ
レス加工性及び耐食性を確保するために規制する必要が
ある。すなわち、700〜600℃までの平均冷却速度
が20℃/s未満ではパーライト組織が生成し、十分な
バーリング加工性が得られない上、TiがTiCとして析
出し、固溶Ti量が減少して耐食性が劣化する。したが
って、700〜600℃までの平均冷却速度が20℃/
s以上で急冷する。なお、平均冷却速度の上限は特に規
制しないが、200℃/s以上で鋼を均一に冷却するこ
とは現存の熱延設備では困難である。
レス加工性及び耐食性を確保するために規制する必要が
ある。すなわち、700〜600℃までの平均冷却速度
が20℃/s未満ではパーライト組織が生成し、十分な
バーリング加工性が得られない上、TiがTiCとして析
出し、固溶Ti量が減少して耐食性が劣化する。したが
って、700〜600℃までの平均冷却速度が20℃/
s以上で急冷する。なお、平均冷却速度の上限は特に規
制しないが、200℃/s以上で鋼を均一に冷却するこ
とは現存の熱延設備では困難である。
【0033】巻取温度:巻取温度は鋼のプレス加工性及
び耐食性を確保するために規制する。すなわち、巻取温
度が520℃を超えると炭素の多くがセメンタイト及び
TiCとして析出し、プレス加工性、特にバーリング加
工性を劣化させると共に、鋼の2次加工脆性を誘発し、
更に固溶Ti量が低下することにより耐食性が劣化す
る。このため巻取温度は520℃以下とする。
び耐食性を確保するために規制する。すなわち、巻取温
度が520℃を超えると炭素の多くがセメンタイト及び
TiCとして析出し、プレス加工性、特にバーリング加
工性を劣化させると共に、鋼の2次加工脆性を誘発し、
更に固溶Ti量が低下することにより耐食性が劣化す
る。このため巻取温度は520℃以下とする。
【0034】次に本発明の実施例を示す。
【0035】表1に示す化学成分の供試鋼を実機レベル
で溶製し、表2に示す製造条件にて鋳片を加熱し、実機
熱間圧延機を使用して熱延した後、冷却し、巻取った。
で溶製し、表2に示す製造条件にて鋳片を加熱し、実機
熱間圧延機を使用して熱延した後、冷却し、巻取った。
【0036】引張試験はJIS5号試験片を用いて行っ
た。耐食性は、鋼板に燐酸塩処理(日本ペイント製SD
5000)を施した後、カチオン電着塗装(日本ペイント
製PT−U−80、15μm塗布)後、素地に達するクロ
スカットを施し、塩水散布50℃×16時間→乾燥70
℃×4時間→湿潤50℃、湿度85%で4時間のサイク
ルを1サイクルとする腐食促進テストを100サイクル
行った際のクロスカット部の浸食深さ(最大孔あき深さ)
(mm)により評価した。これらの試験結果を表2に示す。
また耐食性とTi添加量及び冷却速度の関係を図1及び
図2に整理して示す。
た。耐食性は、鋼板に燐酸塩処理(日本ペイント製SD
5000)を施した後、カチオン電着塗装(日本ペイント
製PT−U−80、15μm塗布)後、素地に達するクロ
スカットを施し、塩水散布50℃×16時間→乾燥70
℃×4時間→湿潤50℃、湿度85%で4時間のサイク
ルを1サイクルとする腐食促進テストを100サイクル
行った際のクロスカット部の浸食深さ(最大孔あき深さ)
(mm)により評価した。これらの試験結果を表2に示す。
また耐食性とTi添加量及び冷却速度の関係を図1及び
図2に整理して示す。
【0037】表2より明らかなように、本発明例はいず
れも、最大孔あき深さが小さく優れた耐食性を有すると
共に、高強度が得られている。一方、比較例は耐食性か
強度の少なくとも一方が不満足である。
れも、最大孔あき深さが小さく優れた耐食性を有すると
共に、高強度が得られている。一方、比較例は耐食性か
強度の少なくとも一方が不満足である。
【0038】また、図1及び図2より、Ti添加量を0.
02%以上とし且つ適切な製造条件で十分な固溶Ti量
を確保することにより、優れた耐食性が得られることが
わかる。
02%以上とし且つ適切な製造条件で十分な固溶Ti量
を確保することにより、優れた耐食性が得られることが
わかる。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
耐孔あき腐食性に優れた高強度熱延鋼板が得られ、特に
Cl-イオン存在下で乾湿を繰り返す腐食環境において優
れた耐孔あき腐食性を有するので、自動車用鋼板として
最適である。この鋼は、裸又は塗装して使用することに
より、優れた性能を発揮するが、めっき、有機皮膜塗布
等の適当な表面処理と組み合わせることにより、更に優
れた効果を発揮する。
耐孔あき腐食性に優れた高強度熱延鋼板が得られ、特に
Cl-イオン存在下で乾湿を繰り返す腐食環境において優
れた耐孔あき腐食性を有するので、自動車用鋼板として
最適である。この鋼は、裸又は塗装して使用することに
より、優れた性能を発揮するが、めっき、有機皮膜塗布
等の適当な表面処理と組み合わせることにより、更に優
れた効果を発揮する。
【図1】実施例における供試鋼のTi含有量と耐食性(最
大孔あき深さ)の関係を示す図である。
大孔あき深さ)の関係を示す図である。
【図2】実施例における供試鋼の熱延後の700〜60
0℃までの平均冷却速度と耐食性(最大孔あき深さ)の関
係を示す図である。
0℃までの平均冷却速度と耐食性(最大孔あき深さ)の関
係を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で(以下、同じ)、 C:0.02%を超え0.08%以下、 Si:2.00%以下、 Mn:0.70〜2.50%、 P:0.03〜0.15%、 S:0.01%以下、 Al:0.01〜0.05%、 Cu:0.05〜0.50%、 Ti:0.02〜0.25%、 N:0.005%以下、 を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋳片
を加熱温度1200℃以上、仕上温度850〜950℃
で熱延し、700〜600℃までの平均冷却速度を20
℃/s以上で急冷し、520℃以下で巻取ることを特徴
とする耐孔あき腐食性に優れた高強度熱延鋼板の製造方
法。 - 【請求項2】 更に、Ni:0.05〜0.50%、Nb:
0.02〜0.10%、B:0.0003〜0.0060
%、Mo:0.05〜0.25%、Cr:0.01〜0.20
%、Ca:0.0004〜0.0100%、REM:0.0
004〜0.0100%のうちの1種又は2種以上を含
有している請求項1に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33892293A JPH07150237A (ja) | 1993-12-01 | 1993-12-01 | 耐孔あき腐食性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33892293A JPH07150237A (ja) | 1993-12-01 | 1993-12-01 | 耐孔あき腐食性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07150237A true JPH07150237A (ja) | 1995-06-13 |
Family
ID=18322594
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33892293A Pending JPH07150237A (ja) | 1993-12-01 | 1993-12-01 | 耐孔あき腐食性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07150237A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005029886A (ja) * | 2003-06-18 | 2005-02-03 | Nippon Steel Corp | Cu含有鋼材 |
JP2010095753A (ja) * | 2008-10-15 | 2010-04-30 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 熱延鋼板およびその製造方法 |
-
1993
- 1993-12-01 JP JP33892293A patent/JPH07150237A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005029886A (ja) * | 2003-06-18 | 2005-02-03 | Nippon Steel Corp | Cu含有鋼材 |
JP2010095753A (ja) * | 2008-10-15 | 2010-04-30 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 熱延鋼板およびその製造方法 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20020305 |