JPH0714070B2 - 力変換素子 - Google Patents

力変換素子

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JPH0714070B2
JPH0714070B2 JP18633088A JP18633088A JPH0714070B2 JP H0714070 B2 JPH0714070 B2 JP H0714070B2 JP 18633088 A JP18633088 A JP 18633088A JP 18633088 A JP18633088 A JP 18633088A JP H0714070 B2 JPH0714070 B2 JP H0714070B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は力変換素子、特に圧縮力を検出し電気信号とし
て出力する力変換素子の改良に関する。
[従来の技術] 力変換素子は、各種分野において圧縮力を検出するため
のセンサとして幅広く用いられている。したがって、こ
のよな力変換素子には、周囲の環境に影響されることな
く圧縮力を正確に測定できる能力が要求される。
特に、この力変換素子は、極めて厳しい使用環境で用い
られることも多く、例えば近年においては内燃機関のシ
リンダ内の圧力測定用として用いられ、その測定圧力を
用いて内燃機関の点火時期制御が行われている。
したがって、このような状況のもとで使用される力変換
素子には、周囲に存在する磁気的、電気的なノイズの影
響を受けることなく、しかも加えられる燃焼ガスの圧力
を、応答性良く確実に測定することが要求される。
従来、このような力変換素子としては、圧縮型ロードセ
ルに代表される歪みゲージタイプのものが一般的に知ら
れている。
このタイプの力変換素子は、複数の半導体歪ゲージを接
着剤を用いて起歪体の側面に貼付け、これら各歪ゲージ
をホイートストンブリッジ回路を形成するよう電気的に
接続し形成されている。
そして、加えられた圧縮力に対応して生ずる起歪体の歪
を、ホイートストンブリッジ回路から電圧信号として出
力している。
[発明が解決しようとする問題点] しかし、このような従来の力変換素子は、以下に述べる
問題点を有しており、その解決が望まれていた。
第1の問題点 従来の力変換素子は、温度変化に伴う半導体歪ゲージの
抵抗値の増減がもたらす検出特性への悪影響を低減する
ために、複数の半導体歪ゲージを起歪体に張付け、ホイ
ートストンブリッジ回路を形成するよう結線していた。
このため、力変換素子の製造工程が複雑化し、しかも製
造された力変換素子が高価なものとなってしまうという
問題があった。
第2の問題点 また、従来の歪ゲージタイプの力変換素子は、複数の歪
ゲージを、接着剤を用いて起歪体の側面に張付けてい
る。このため、接着剤がもたらすクリープ、ヒステリシ
ス等の測定特性への悪影響が避けられないという問題が
あった。さらに、接着剤を用いた歪ゲージの張付けに
は、高いノウハウを必要とし、しかも接着による歪ゲー
ジ特性のバラツキも大きいという問題があった。
[発明の目的] 本発明は、このような従来の課題に鑑みなされたもので
あり、その目的は、前述した問題点を解決することがで
き、信頼性が高くしかも安価な力変換素子を提供するこ
とにある。
[問題点を解決するための手段] 前記目的を達成するため、第1の発明は、 圧縮力が加えられる面として{110}面の結晶面を有す
るとともに、不純物濃度が1×1015/cm3〜1×1021/cm3
の範囲に制御され、その厚さが50μm以下となるように
形成されたSi単結晶体と、 前記Si単結晶体上に、その{110}面上における結晶の
<001>方向より45度の方向に対向して設けた第1の電
極と、<110>方向より45度の方向に対向して設けた第
2の電極と、を含み、これら第1および第2の電極のい
ずれか一方を出力電極とし、他方を入力電極として用い
る複数の電極と、 前記Si単結晶体の{110}面の結晶面と接合され、圧縮
力をその結晶面に垂直に伝達する台座と、 前記Si単結晶体の、台座の接合された面と対向する面と
接合され、そのSi単結晶体を支持するための支持基台
と、 を含み、前記入力電極を用いてSi単結晶体に電流を流し
ながらSi単結晶体の結晶面に垂直に圧縮力を作用させ、
出力電極から圧縮力に対応した電圧を出力することを特
徴とする。
また、前記目的を達成するため、第2の発明は、{11
0}面の結晶面を有するよう形成され、{110}面の結晶
面に絶縁膜が被覆形成された半導体層と、 圧縮力が加えられる面として{110}面の結晶面を有す
るとともに、不純物濃度が1×1015/cm3〜1×1021/cm3
の範囲に制御され、その厚さが50μm以下となるように
前記半導体層の絶縁膜上に成長させて形成されたSi単結
晶体と、 前記Si単結晶体上に、その{110}面上における結晶の
<001>方向より45度の方向に対向して設けた第1の電
極と、<110>方向より45度の方向に対向して設けた第
2の電極と、を含み、これら第1および第2の電極のい
ずれか一方を出力電極とし、他方を入力電極として用い
る複数の電極と、 前記Si単結晶体の{110}面の結晶面と接合され、圧縮
力をその結晶面に垂直に伝達する台座と、 前記半導体層の絶縁膜が形成された面と対向する面と接
合され、前記Si単結晶体を支持するための支持基台と、 を含み、前記入力電極を用いてSi単結晶体に電流を流し
ながらSi単結晶体の結晶面に垂直に圧縮力を作用させ、
出力電極から圧縮力に対応した電圧を出力することを特
徴とする。
さらに前記目的を達成するため、第3の発明は、圧縮力
が加えられる面として{110}面の結晶面を有するとと
もに、不純物濃度が1×1015/cm3〜1×1021/cm3の範囲
に制御され、その厚さが50μm以下となるように形成さ
れた伝導層と、この伝導層と隣接して設けられた電気的
な絶縁分離層と、を含むSi単結晶体と、 前記伝導層上に、結晶の<001>方向より45度の方向に
対向して設けた第1の電極と、<110>方向より45度の
方向に対向して設けた第2の電極と、を含み、これら第
1および第2の電極のいずれか一方を出力電極とし、他
方を入力電極として用いる複数の電極と、 前記伝導層の{110}面の結晶面と接合され、圧縮力を
その結晶面に垂直に伝達する台座と、 前記絶縁分離層の伝導層の接合された面と対向する面と
接合され、そのSi単結晶体を支持するための支持基台
と、 を含み、前記入力電極を用いて伝導層に電流を流しなが
ら伝導層の結晶面に垂直に圧縮力を作用させ、出力電極
から圧縮力に対応した電圧を出力することを特徴とす
る。
着目点 次に、前記各問題点を解決し、本発明に至るまでの着目
的について説明する。
第1の着目点 従来は、温度の変化に伴ない増減する半導体歪ゲージの
抵抗値がもたらす特性への悪影響を低減するために、複
数の半導体歪ゲージを用いて、ホイートストンブリッジ
回路を形成していた。
本発明の第1の着目点は、このような複数の半導体歪ゲ
ージを用いて形成されたホイートストンブリッジ回路に
代え、一つのSi単結晶体で複数の歪ゲージを構成しよう
とすることにある。このため、本発明においては、一つ
のSi単結晶体に一対の出力電極と入力電極とを交差して
設け、望ましくは直交する方向に相対して設けるよう構
成している。
以上の構成とすることにより、本発明によれば、後述す
る理由から、温度の変動がもたらす特性などの悪影響を
低減し、前記第1の問題点を解決することができる。
第2の着目点 しかし、前述したように、一体の出力電極と入力電極と
を直交して設けたSi単結晶体を用いたとしても、従来の
ようにこのSi単結晶体を起歪体の側面へ接着剤を用いて
貼付けていたのでは、前述した第2の問題点を解決する
ことができない。
本発明の第2の着目点は、前記Si単結晶体の結晶面に対
し垂直に圧縮力を作用させ、この圧縮力に基づくSi単結
晶体のピエゾ抵抗効果を利用して圧縮力を検知するとい
う、新規な力検知方式を採用したことにある。
すなわち、従来の力変換素子は、起歪体の側面に複数の
歪ゲージを接着剤を用いて貼付け、圧縮力を起歪体の圧
縮歪として検知していた。したがって、起歪体の圧縮歪
が接着剤を介して、各歪ゲージに伝達されることにな
り、接着剤に起因するクリープ、ヒステリヒス等の悪影
響を受けやすく、信頼性が低いという問題があった。
これに対し、本発明では、Si単結晶体の結晶面の一方を
台座と接合し、他の結晶面を支持基台に接合し、Si単結
晶体の結晶面に対し垂直に圧縮力を作用させるという、
従来には全くない新規な構成を採用している。
したがって、仮にSi単結晶体と台座および支持基台との
接合に接着剤を用いたとしても、接着剤に起因するクリ
ープ、ヒステリヒス等の悪影響が著しく小さくなり、測
定データの信頼性が極めて高いものとなる。なお、この
ような接着剤の影響を確実に除去するためには、Si単結
晶体と支持基台および台座との接合を、接着剤を用いる
ことなく、例えば特公昭53−28747号公報に開示された
静電接合方法等を用いて行うことが好ましい。
第3の着目点 ところで、このようなSi単結晶体を用いて圧縮力の測定
を行うとする場合には、加えられる圧縮力に対応した測
定電圧を、Si単結晶体から出力することが必要とされ
る。
本発明者らは、このような観点にたって、Si単結晶体の
ピエゾ抵抗係数π63′が大きな値となるようSi単結晶体
の結晶面についての検討を行った。
この検討の結果、圧力が加えられる面として(110)面
の結晶面を有するよう、Si単結晶体を形成する必要があ
ることを見い出した。
本発明者等は、このような(110)面の結晶面を有するS
i単結晶体を用いて、実用上十分な大きさの電圧ΔVを
出力するための検討を進めた。
この検討の結果、Si単結晶体から大きな電圧ΔVを出力
するためには、Si単結晶体の厚さをできるだけ小さくす
ればよいことを見い出した。特に、実用上十分な大きさ
のΔVを出力するためには、このSi単結晶体の厚さを50
μm以下、好ましくは20μm以下に形成すればよい。
このため、本発明においては、圧縮力が加えられる面と
して(110)結晶面を有するとともに、不純物濃度が1
×1015/cm3〜1×1021/cm3の範囲に制御され、その厚さ
が50μm以下となるよう、前記Si単結晶体を形成してい
る。
[作用] 次に、本発明の作用を説明する。
第1の力変換素子 第2図には、本発明に係る第1の力変換素子が示されて
いる。
この第1の力変換素子1000は、圧縮力が加えられる面と
して(110)面の結晶面を有するよう形成されたSi単結
晶体10と、このSi単結晶体10の(110)面の結晶面12と
接合され、圧縮力Wをその結晶面12に垂直に伝達する台
座30と、前記Si単結晶体10の他の結晶面14と接合され、
Si単結晶体10を支持する支持基台50とを含む。
前記Si単結晶体10には、結晶の[001]方向より45゜の
方向に対向して設けられた第1の電極16、16′と、[1
0]方向より45゜の方向に対向して設けられた第2の
電極18,18′とが設けられている。そして、これら第1
および第2の電極のいずれが一方16,16′を出力電極と
し、他方18,18′を入力電極として用いている。
そして、この力変換素子1000は、台座30の頂面32に、Si
単結晶体10の結晶面12,14に対し垂直となるよう圧縮力
Wが加えられる。そして、加えられた圧縮力Wは、台座
30により均等に分散され、Si単結晶体10の結晶面12に垂
直に圧縮応力 σ=W/A として作用する。ここにおいて、Aは台座30のSi単結晶
体10に対する接合面34の面積を表す。
そして、Si単結晶体10の出力電極16,16′からは、この
圧縮応力σに対応した測定電圧ΔVが出力される。
(a)台座、支持基台 このように、圧縮力Wを台座30を介してSi単結晶体10に
印加するようにしたのは、Si単結晶体10に圧縮力Wが集
中して加わることがないようにするためである。
すなわち、Si単結晶体10は周知のように機械的にも優れ
た強度と弾性領域とを備えた材料であるが、Si単結晶体
に一点に集中して圧縮力Wが作用した場合、いかに機械
的に優れた強度を備えているといえども簡単に破壊して
しまう。
したがって、支持基台50に接合固定されたSi単結晶体10
を用いて圧縮力Wを測定する場合には、結晶面12との接
触面積が小さく、結晶面12の一部に集中して垂直に圧力
が加わるような構造は避けなければならない。
このため、本発明においては、Si単結晶体10の結晶面12
に圧縮力Wが集中して加わることがないよう、圧縮力の
伝達材料として台座30を設け、圧縮力Wを常に分散して
Si単結晶体10の結晶面12へ伝達するよう形成している。
なお、結晶面12と台座30の接合面34との接合領域(接合
面の面積)の外接円の半径をd/2とした場合、台座30の
高さCは、前記半径d/2以上となるよう形成することが
好ましい。このように、台座30の高さCを設定すること
により、シリコン単結晶体10に伝達される圧縮応力σ
は、Si単結晶体10の破壊応力に対して十分小さなものと
して均等に分散されることとなる。
ただし、台座30の高さCに対しての上限は、圧縮力Wに
対し座屈を生じないこと、また圧縮力Wを分散してSi単
結晶体10に伝達し、測定電圧ΔVを得る場合の効率を低
減させない範囲に制約されることはいうまでもない。
また、本発明において、支持基台50は、ピエゾ抵抗係数
π63′の有効な利用を防げる応力等(圧縮応力σ以外
の応力)を感知しないよう、圧縮力σの生じるZ軸方
向に十分な剛性を備えるよう配慮することが好ましい。
このように形成することにより、Si単結晶体10の結晶面
12に垂直に圧縮力Wが作用した場合に、Si単結晶体10に
は単純な圧縮応力σの歪が生じ、そのピエゾ抵抗係数
π63′を有効に利用することができる。
(b)Si単結晶体 b−1 また、第2図(A)に示すように、Si単結晶体
10は、その結晶面12が矩形(正方形を含む)となるよう
切出され、その厚み、不純物濃度が均一となるように形
成されている。また、前記出力電極16,16′は、Si単結
晶体10上に距離bを隔てて取付けられており、また入力
電極18,18′は同様にSi単結晶体10上に所定間隔おいて
取付けられている。
このように各電極16,16′,18,18′を設けることによ
り、16と18、18と16′、16′と18′、18′と16との間の
各抵抗値を等しくでき、また、Si単結晶体10の厚みと不
純物濃度が均一であることから、温度の変化に対する前
記各抵抗値もほぼ等しくできる。
したがって、入力電極18,18′からSi単結晶体10に電流
を流し、出力電極16,16′から電圧出力を取出すように
した場合のオフセット電圧は、温度の変化に左右される
ことなく、ほぼ零として維持されることとなり、単一の
Si単結晶体10が、前述した従来の複数の半導体歪ゲージ
を用いて形成されたホイートストンブリッジ回路に置き
代わり、前記第1の問題点を解決することができる。
b−2 Si単結晶体の結晶面 本発明の力変換素子1000を用いて圧縮力Wを測定する場
合には、まず入力電極18,18′からSi単結晶体10に電流
Iを流し、出力電極16,16′から電圧ΔVを取出すよう
にした状態で、台座30の頂面32に圧縮力Wを印加すれば
よい。このとき、Si単結晶体10には圧縮応力σが作用
し、出力電極16,16′から次式で示す電圧ΔVが出力さ
れる。
ΔV=b・ρ・J2・π63′・σ …(1) ここにおいて、ρはSi単結晶体10の比抵抗、J2は電流密
度、π63′はピエゾ抵抗係数である。
本発明の特徴は、出力電極16,16′から圧縮力に対応し
た電圧ΔVを出力するため、ピエゾ抵抗係数π63′が十
分大きな値となるようにSi単結晶体10を形成したことに
ある。
すなわち、本発明者等は、代表的な次の4つの結晶面
(100)、(110)、(111)、(211)を有するSi単結晶
体10について、電極を設ける方向を代えて、Si単結晶体
10から、電圧ΔVを得るために不可欠なピエゾ抵抗係数
π63′についての計算を行った。この結果、(100)、
(111)、(211)の場合、いずれの方向に電極を設けて
もピエゾ抵抗係数π63′は零となった。これに対し、
(110)の場合には、電極を[001]方向より45゜の方
向、または[10]より45゜の方向に設けることで、
絶対値が相等しく最大のピエゾ抵抗係数π63′が存在す
ることが判明した。
第3図は、比抵抗7.8Ωcmのp型(110)面Si単結晶体の
ピエゾ抵抗係数π63′の計算結果を示したもので、出力
電極を、[001]方向より45゜の方向、入力電極を[1
0]方向より45゜の方向に設けることにより、最大の
ピエゾ抵抗係数π63′を得ることができる。
なお、出力電極16,16′を[10]方向より45゜の方
向に、入力電極18,18′を[001]方向より45゜の方向に
設けた場合でも、ピエゾ抵抗係数π63 を同様に利用で
き、本発明の目的とする力変換素子1000が実現できこと
には変りない。
また、前記[001],[10]となる結晶方向は(11
0)面のSi単結晶体10における代表的な結晶方向を示し
たもので、これらの結晶方向と等価な結晶方向において
は全く同様に考えることができる。
第1表には、Si単結晶体10の(110)面の結晶面と等価
な結晶面と、[001],[10]からなる結晶方向と
等価な結晶方向が示されている。この表から明らかなよ
うに、Si単結晶体には(110)面と等価な結晶面が複数
存在する。したがって、(110)面と等価な結晶面をも
つSi単結晶体を用いても、本発明の力変換素子1000を形
成することができる。
なお、(110)の結晶面と等価な結晶面は{110}で表わ
され、また[001],[10]と等価な結晶方向は、
<001>,<110>で一般的に表わされる。
なお、第3図ではp型Si単結晶体10のピエゾ抵抗係数π
63′を示したが、もちろんn型(110)面Si単結晶体に
あっても、前記ピエゾ抵抗係数π63′は、第4図のごと
くp型の場合と同等の大きさを有して同様に存在する。
このように、本発明の力変換素子1000は、台座30を介し
てSi単結晶体10の(110)面の結晶面12に圧縮力Wを垂
直に伝達するという従来にはない新規な構成を採用して
いる。このため、Si単結晶体10の出力電極16,16′から
は、実用上十分な大きさをもった電圧ΔVを出力するこ
とができる。
b−3 他の条件についての検討 Si単結晶体10内に流れる電流Iの電流密度をJ2は、次式
で表わされる。
J2=I/(b・h) …(2) したがって、前記第1式に、第2式を代入することによ
り、Si単結晶体10からの測定電圧ΔVは、次式で表わす
ことができる。なお、同式において、hはSi単結晶体10
の厚みを表わす。
ΔV=ρ(I/h)π63′・σ …(3) 前記第3式から明らかなように、本発明の力変換素子10
00から出力される電圧ΔVをより大きくするためには、
前記ピエゾ抵抗係数π63′以外に、Si単結晶体10の比抵
抗ρ、Si単結晶体10の厚みに対する電流値I/h,圧縮応力
σのいずれかを大きくしてやればよい。
しかし、実際には、Si単結晶体10の比抵抗ρ、電流I、
圧縮応力σは、以下に述べる理由から常識を越える範
囲より大きくできない。
すなわち、pまたはn伝導型として市販されるSi単結晶
体10は、比抵抗ρが1×104Ωcmを越えるイントリンシ
ックな特性を備えるよう製造することは困難である。
また、Si単結晶体10に複数の電極を設けるにあたり、こ
の比抵抗ρが10Ωcmを越えると、良好な電気的接続を得
ることが困難となる。
さらにSi単結晶体10の室温における比抵抗ρが、10Ωcm
(不純物濃度が約1×1015/cm3に相当する)〜1×10-4
Ωcm(不純物濃度が約1×1021/cm3に相当する)の範囲
を満足しない場合、測定電圧ΔVの室温に対する変化が
著しく大きくなってしまう。
このため、本発明の力変換素子1000を構成するSi単結晶
体10は、その比抵抗ρが10Ωcm〜1×10-4Ωcmの範囲と
して制御されたものを用いることが好ましく、このため
本発明に用いられるSi単結晶体10は、その不純物の濃度
が1×1015/cm3〜1×1021/cm3の範囲内に制御されてい
る。
また、Si単結晶体10のピエゾ抵抗係数π63′の大きさ
も、前記比抵抗ρの大きさにより左右されるため、比抵
抗ρと同様の理由によりその範囲も制約される。
また、Si単結晶体10の圧縮力による破壊強度は、最大で
約50kg/mm2であることが知られている。したがって、Si
単結晶体10には、この破壊強度50kg/mm2を越える圧縮応
力σが加わることがないよう形成する必要があり、望
ましくはその圧縮応力を25kg/mm2以下として作用させる
ことが好ましい。
また、Si単結晶体10に流す電流値Iは、その値が過大に
なることがないよう注意する必要がある。これは、Si単
結晶体10に過大な電流Iを流すと、Si単結晶体10自体が
電気的な抵抗体として著しく発熱し、その測定電圧ΔV
はもちろん、その他の特性まで悪影響を及ぼすことにな
るからである。
本発明者等の確認したところによれば、前記電流Iは、
その消費電力が約30mWを越えない範囲で流すかぎり、そ
の特性に悪影響がなかった。
以上説明したように、Si単結晶体10からより大きな測定
電圧ΔVを得るうえで望ましい条件をまとめると、次の
ようになる。
第1に、Si単結晶体10の不純物濃度は、1×1015/cm3
1×10/cm3として制御する。
第2に、Si単結晶体10に作用する圧縮応力σは、Si単
結晶体10の破壊限界を越えないようにする。実験によれ
ば50kg/mm2を越えない範囲、望ましくは25kg/mm2を越え
ない範囲とすればよいことが確認されている。
第3に、Si単結晶体10に流す電流Iは、このSi単結晶体
10が著しく発熱しない範囲に設定する。実験によれば、
Si単結晶体10の消費電力が30mWを越えない範囲に設定す
ればよいことが確認されている。
b−4 厚さhについての検討 本発明者等は、このような望ましい条件を満足し、しか
もSi単結晶体10から出力される電圧ΔVをさらに大きく
することができるよう、前記第3式に示すh、すなわち
Si単結晶体10の厚さhを薄くすることについての検討を
行った。
通常、Si単結晶体10は、口径が1.5インチ以上のSi単結
晶体ウエハを用いて製造される。周知のように、Si単結
晶ウエハは、種々のICプロセス処理を前提とし、その取
扱いを容易にするため、少なくとも厚みが200μm以上
あるように製造され、ウエハ口径が5インチのもので
は、そのウエハの厚みが約500μmに形成されたものが
市販されている。
このため、本発明の力変換素子1000は、まず通常市販さ
れる(110)面のSi単結晶体ウエハを切り出して、Si単
結晶体10を形成する。そして、このSi単結晶体10の(11
0)面の結晶面14を支持基台50に接合して裏打ちし、そ
の取扱いを容易なものとする。その後、Si単結晶体10の
他の結晶面12を、機械的方法と化学的方法とを併用して
研磨し、その厚みが通常のSi単結晶体ウェハとして製造
し市販することが困難と思われる50μm以下とする。
その後、このSi単結晶体10に、前記出力電極16、16′、
入力電極18、18′を取り付け、さらにその結晶面12に台
座30を接合する。
このようにして、本発明の力変換素子1000は、Si単結晶
体10の厚さhを50μm以下とすることにより、Si単結晶
体10に対する望ましい状況を満足するという制約の中
で、実用上十分に大きい測定電圧ΔVを得ることができ
る。
本発明者らの実験によれば、不純物濃度が1×1015/cm3
〜1×1021/cm3の範囲に制御され、しかもその厚さがh
=20μmまで研磨されたSi単結晶体10を用い、第2図に
示す力変換素子1000を形成した場合には、厚さが200μ
m以上のSi単結晶体10を用いて形成された力変換素子10
00に比べ、温度による特性への影響が少なく、しかも測
定電圧ΔVが約10倍以上となることが確認された。
第2の力変換素子 第5図には、本発明に係る第2の力変換素子2000が示さ
れている。
この力変換素子2000は、(110)面の結晶面を有するよ
う形成され、その(110)面の結晶面上に絶縁膜22が被
覆形成された半導体層24と、この絶縁膜22上に成長させ
ることにより形成されたSi単結晶体10と、を含み、この
Si単結晶体10の結晶面12に台座30を接合し、半導体層24
側に支持基台50を接合して形成されている。
この第2の力変換素子2000においても、Si単結晶体10
は、温度による電圧ΔVの影響が少なくなるよう、不純
物濃度が1×1015/cm3〜1×1021/cm3の範囲に制御され
る。
ところで、このような不純物濃度の範囲内には、Si単結
晶体が備える抵抗値の正の温度特性と、ピエゾ抵抗係数
π63′の負の温度特性とを利用して、測定電圧ΔVが温
度に伴って変動する現象を抑制する自己感度補償方法
(特公昭57−58791号公報に開示されている)が適用可
能な領域が存在する。例えばp伝導型Si単結晶体の場
合、2つの不純物濃度領域、すなわち約5×1018/cm3
約2×1020/cm3が存在する。
この2つの不純物濃度の領域は、p伝導型のSi単結晶体
10の比抵抗ρに換算すると、約2×10-2Ωcmと、約6×
10-4Ωcmである。例えば、比抵抗ρが6×10-4Ωcmで、
厚みが200μmのSi単結晶体10を用い、前記第2図に示
す力変換素子1000を形成した場合を想定する。このと
き、Si単結晶体10に消費電力が30mWを越えない範囲で電
流Iを流し、圧縮応力σとして許される最大50kg/cm2
が作用するよう圧縮力Wを加えた場合には、測定電圧Δ
Vは3mV以下の実用に供さない小さな値となってしま
う。
このような力変換素子において、前記自己感度補償法が
適用可能で、しかも実用上限界とも思われる10mV以上の
測定電圧ΔVを得ようとする場合には、前記Si単結晶体
10の厚さを1μm以下としなければならない。
しかし、Si単結晶体10の厚さhを10μm以下、特に1μ
m以下とするようにその結晶面12を研磨することは極め
て困難である。仮にこのような研磨を行ってSi単結晶体
10を形成しても、力変換素子の歩留りが極めて悪く、生
産性に著しい悪影響を及ぼすことは避けられない。
本発明の特徴は、第5図に示すよう厚さhが極めて薄い
(110)面を有するSi単結晶体10を、以下に説明するIC
プロセス製造技術を用いて形成することにより、特公昭
57−58791号公報に開示された自己感度補償機能を有す
る力変換素子を得ることにある。
本発明において、前記半導体層24上に、例えばSiO2、Si
3N4などの電気的な絶縁膜22を形成する手段としては、
熱拡散方法、CVD法などがあることは周知のところであ
る。
そして、前記絶縁膜22上に、Si単結晶体10を形成する手
段としては、エピタキシャル成長法、CVD法などがあ
り、エッチング技術やレーザ再結晶技術などを組み合せ
ることにより、厚さ20μm以下の(110)面のSi単結晶
体10を容易に形成することができる。
そして、本発明において、このSi単結晶体10はその不純
物濃度が、温度による特性の影響が少ない、約5×1018
/cm3と約2×1020/cm3に制御され、自己感度補償機能を
有するよう形成されている。
このようにすることにより、本発明の第2の力変換素子
2000は、前述した自己感度補償機能を有すると共に、こ
の出力電極16、16′から、十分実用に供する程度に大き
な測定電圧ΔVを得ることができる。
さらに、本発明に係る第2の力変換素子2000は、電気的
な絶縁膜22上にSi単結晶体10が設けられていることか
ら、電気的なリークの心配がなく、しかも不純物濃度も
比較的高くできることから、高温での作用に際しても十
分に耐え得ることができる。
第3の力変換素子 本発明に係る第3の力変換素子は、前記第2の力変換素
子と同様に、厚みの小さな(110)面のSi単結晶体10
を、ICプロセス製造技術を用いて形成することにより、
自己感度補償機能を有し、しかも実用上充分な大きさの
測定電圧ΔVを得ることができるよう形成したことを特
徴とするものである。
第6図には、本発明に係る第3の力変換素子3000が示さ
れており、この力変換素子3000は、Si単結晶体10を、不
純物濃度が1×1015/cm3〜5×1021/cm3の範囲に制御さ
れた伝導層26と、この伝導層と隣接して設けられた電気
的な絶縁分離層28と、を含むよう形成し、その絶縁分離
層28側を支持基台50に接合し、その伝導層26側を台座30
と接合して形成されている。
そして、このSi単結晶体10上に設けられる一対の出力電
極16,16′、入力電極18、18′は、少なくとも前記伝導
層26と電気的に接続されるよう形成され、しかもこの伝
導層26は、不純物濃度が1×1015/cm3〜1×1021/cm3
して制御され、かつ出力電極ΔVを大きくして取り出す
目的で、その厚みhが小さく形成されることはいうまで
もない。
本発明において、前記伝導層26は、熱拡散法あるいはイ
オン注入法により、絶縁分離層28上に形成される。
また、伝導層26と絶縁分離層28との間の電気的な絶縁分
離のための手法としては、p−n接合分離法や抵抗値の
違いを利用したいわゆる抵抗層分離法などを用いれば良
く、特に抵抗層分離方法を用いるにあたっては、1%の
精度を保つため、伝導層26の電流の流れる経路の抵抗値
は、絶縁分離層28の電流の流れる経路の抵抗値の少なく
とも1/100以下となるようにしている。
このようにすることにより、この第3の力変換素子3000
は、前記第2の力変換素子2000と同様に、自己感度補償
機能を有し、しかも充分な測定電圧ΔVをその出力電極
16、16′から出力することができる。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、圧縮力の伝達材
料である台座を介して、圧縮力をSi単結晶体の(110)
面の結晶面に加えるよう構成したことにより、従来の力
変換素子のように接着剤のもたらす特性の悪影響および
起歪体のもたらす特性への悪影響はなく、圧縮力に対す
るSi単結晶体のピエゾ抵抗効果を有効に利用し、圧縮力
に対応した電圧出力を得ることができるという効果があ
る。
また、本発明によれば、1つのSi単結晶体がホイートス
トンブリッジ回路としての機能を備えているので、従来
の力変換素子に用いられた複数の半導体歪ゲージを、1
つのSi単結晶体に置き換えることができ、構造が簡単で
しかも安価な力変換素子を製造することができるという
効果がある。
また、本発明によれば、Si単結晶体の不純物濃度を1×
1015/cm3〜1×1021/cm3の範囲に制御することにより、
周囲の温度変動による影響が少ない、信頼度の高い力変
換素子を得ることができる。
さらに、本発明によれば、Si単結晶体の厚さが50μm以
下となるよう形成することにより、圧縮力に比例し、し
かも実用上充分な大きさをもった電圧出力を得ることが
できるという効果がある。
また、本発明に係る第2および第3の力変換素子は、前
記効果に加えて、自己感度補償機能を有するという効果
もある。
[実施例] 次に本発明の好適な実施例を図面に基づき説明する。
第1実施例 第1図には本発明に係る第1の力変換素子1000の好適な
実施例が示されており、同図(A)はその平面説明図、
同図(B)はその側面説明図を表している。
実施例の力変換素子1000は、圧縮力が加えられる面とし
(110)面の結晶面を有するよう形成されたSi単結晶体1
0と、このSi単結晶体の一方の結晶面に静電接合された
台座30と、Si単結晶体10の他方の結晶面14に静電接合さ
れた支持基台50とを含む。
そして、前記Si単結晶体10は、不純物濃度が1×1015/c
m〜1×1021/cmの範囲内にある1×1016/cm3(比抵
抗ρが約1Ωcm)に制御され、しかもその厚さがh=17
μmとなるよう形成されている。
そして、このSi単結晶体10の一方の結晶面12上には、結
晶の[001]方向より45度の方向に、距離b=1.2mmを隔
てて一対の出力電極16、16′が設けられ、さらに結晶の
[10]方向より45度の方向に幅wが0.9mmの一対の
入力電極18、18′が設けられている。
そして、前記入力電極18、18′には、図示しないが、電
源より電流Iを供給するためのリード線が接続され、Si
単結晶体10内には供給された電流Iが流れることにな
る。さらに、前記出力電極16、16′には、電圧計にて測
定電圧ΔVを読み取るための図示しないリード線が同様
に接続されている。
また、前記台座30は、1mm2で、その厚みが1mmの結晶化
ガラスを用いて形成されており、その接合面34は、Si単
結晶体10の一方の結晶面12に静電接合され、加えられた
圧縮力WをSi単結晶体10の結晶面12に垂直かつ均等に伝
達するよう形成されている。
また、前記支持基台50は、厚さ1mmの結晶化ガラスを用
いて形成されている。
本実施例において、この力変換素子1000は次のようにし
て製造される。
ます、不純物濃度が1×1016/cm3に制御され、しかもp
伝導型の(110)面の結晶面を備えた、直径50mmで厚さ2
00μmのSi単結晶体ウエハの結晶面を、直径50mmで厚さ
1mmの結晶化ガラスからなる支持基台ウエハへ静電接合
して裏打ちする。その後、粒径0.1μm〜3μmのダイ
ヤモンド砥粒による機械的研磨と、NaOH水溶液によるエ
ッチングで代表される化学的研磨とを併用して、前記Si
単結晶体ウエハの他の一方の結晶面を厚さがh=17μm
となるまで研磨する。
その後、1.7mm2となるよう、Si単結晶体ウエハを分割
し、支持基台50に静電接合されたSi単結晶体10を得る。
そして、このSi単結晶体10の他の一方の結晶面12、12′
に、1mm2で厚さが1mmの結晶化ガラスからなる台座30を
静電接合することにより、本実施例の力変換素子1000が
形成されることとなる。
次に、このようにして形成された力変換素子1000が、十
分実用に耐える大きさの電圧ΔVをその出力電極16、1
6′から出力することができ、しかもその測定電圧ΔV
は温度による影響が少ないことを検証するために、次の
ような実験を行った。
すなわち、本発明者らは、室温における消費電力が30mW
を越えないよう、電源からSi単結晶体12に電流Iを流
し、しかもこのSi単結晶体10を破壊に至らしめないよ
う、台座30を介してσzが15kg/mm2となるよう15kgの圧
縮力を加えた。
実施例において、Si単結晶体10に設けた一対の入力電極
18、18′の間の抵抗値、いわゆる入力抵抗値は、室温で
800Ωであった。このため、消費電力が30mWを越えない
よう、これら入力電極18、18′からI=6mAの電流をSi
単結晶体10へ通電した。
この結果、このSi単結晶体10の出力電極16、16′からは
室温でΔV=約110mVの電圧を得ることができた。ま
た、この測定電圧ΔVは−40℃〜150℃の範囲における
変化率は0.15%/℃であった。この結果、本実施例の力
変換素子1000は、実用に際して充分な大きさの電圧ΔV
を出力するができ、しかも温度に対する特性の影響が極
めて小さいことが確認された。
さらに、前記力変換素子1000を製造するために用いた、
機械的方法および化学的方法とを兼用したSi単結晶体ウ
エハの研磨手段の歩留は、約70%程度であり、生産性を
著しく低減させるものではないことが確認された。
ちなみに、第1図に示す力変換素子1000において、Si単
結晶体10として、厚さ200μmのものを用いた場合、消
費電力が30mWを越えないようにするためには入力電極1
8、18′から21mAの電流Iを流す必要があり、そして、
この厚さhが200μmのSi単結晶体10を用いると、入力
電極18、18′から仮に21mAの電流を通電したとしても、
この力変換素子からは約30mV程度の電圧しか出力するこ
とができず、このことからも、本発明の力変換素子1000
は、実用上充分な大きさを持った測定電圧ΔVを得るこ
とができるものであることが理解されよう。
なお、本実施例では、Si単結晶体10の不純物濃度が1×
1016/cm3のp伝導型として形成した場合を例に取り説明
したが、本発明はこれに限らず、n伝導型のSi単結晶体
10を用いても同様な効果を得ることができることは、第
4図の特性データからも明らかである。
また、本発明の力変換素子1000は、Si単結晶体10の厚さ
hを小さくすることにより、Si単結晶体10を研磨しない
場合と比較して、この測定電圧ΔVを大きく取り出させ
る効果があり、この効果は、不純物濃度を1×1021/cm3
に向って大きくするにしたがって顕著に現れる。
第2実施例 第5図には、本発明に係る第2の力変換素子の好適な実
施例が示されている。
実施例の力変換素子2000は、(110)面の結晶面を備え
た1.7mm2、厚さ200μmのSiよりなる半導体層24と、こ
の半導体層24の側面側を高温にて熱処理し形成された厚
さ1μmのSiO2よりなる電気的な絶縁膜22と、この絶縁
膜22の主表面22a上にエピタキシャル成長法により厚さ
がh=1μmとなるよう成長して形成された(110)面
のSi単結晶体とを含む。そして、このSi単結晶体10の結
晶面12に、台座30を静電接合し、半導体層24の絶縁膜22
を設けた面と対向する面に支持基台50を静電接合して形
成されている。
ここにおいて、前記Si単結晶体10には、その不純物濃度
が1×1015/cm3〜1×1021/cm3の範囲にある、1×1019
/cm3(比抵抗ρが約0.01Ωcm)となるよう、p伝導型と
してボロンが熱拡散されている。
なお、前記半導体層24に、絶縁膜22を形成し、しかもSi
単結晶体10の不純物濃度を1×1019/cm3で抑制するとい
ったIC製造プロセス技術による一連の工程は、実際には
ウエハの製造段階になされる。その後、ダイサーにて、
このウエハを第5図に示すよう1.7mm2として切出する。
次に、このように形成された力変換素子に対し、本発明
者等は前記第1実施例と同様にして、室温における消費
電力が30mWを越えない範囲でSi単結晶体10に電流Iを流
し、しかも15kg Wの圧縮力を加えて、Si単結晶体10を薄
くした効果の確認と、温度変動が特性にもたらす影響が
少ないという結果についての確認を行った。
本実施例において、厚さ1μmのSi単結晶体10の入力抵
抗値は、室温で約330Ωであった。このため、室温で消
費電力が30mWを越えないよう、このSi単結晶体10に流す
電流Iは15mAとした。この結果、このSi単結晶体10の測
定電圧ΔVは室温で約25mVとなり、しかもこの測定電圧
ΔVの−40℃〜150℃の範囲内における変化率が−0.23
%/℃であった。
このことから、実施例の力変換素子は、実用に際し十分
大きな電圧ΔVを出力することができ、しかも測定電圧
Vの温度による影響が極めて小さいものであることが確
認された。
ちなみに、第5図に示す力変換素子において、シリコン
単結晶体10として厚さがh=200μmのものを用いた場
合には、ΔV=約1.5mV程度の電圧しか得られず、この
ことからも、本実施例の力変換素子が実用に際し十分な
ものであることが理解されよう。
さらに、本実施例の力変換素子は、Si単結晶体10が電気
的な絶縁膜22の主表面22a上に形成されていることか
ら、高温でも電流リークがなく信頼性の高いものとな
る。
なお、本実施例においては、Si単結晶体10を、p伝導型
として形成した場合を例にとり説明したが、本発明はこ
れに限らず前記シリコン単結晶体10をn伝導型として形
成しても全く問題はない。
また、本実施例においては、(110)面のSi単結晶体10
をエピタキシャル成長法により形成した場合を例とり説
明したが、本発明はこれに限らず、たとえばCVD法やMBE
成長法とレーザ再結晶技術等を併用して形成してもよ
い。
第3実施例 第6図には本発明に係る力変換素子の好適な第3実施例
が示されている。
本実施例において、Si単結晶体10は、結晶面が(110)
面のp伝導型からなり、その厚さがh=200μmのもの
として形成されている。そして、このSi単結晶体10は、
不純物濃度が5×1018/cm3(比抵抗が約2×10-2Ωcm)
となるようボロンを熱拡散して形成された厚さh=2μ
mのp伝導型圧縮力感知用伝導層26と、この伝導層26が
少なくとも1%精度で機能するよう伝導層26を電気的に
絶縁分離する絶縁分離層28と、を含むよう形成されてい
る。
また、Si単結晶体10は、入力電極18から相対向する入力
電極18′に向って伝導層26内を流れる電流経路の抵抗値
が、電気的な絶縁分離層を同様にして流れる電流経路の
抵抗値の少なくとも1/100以下となるようその不純物濃
度が制御されている。
そして、このSi単結晶体10は、その一方の結晶面12側に
台座30が静電接合され、他方の結晶面14に支持基台50が
静電接合されている。
また、実施例において、前記入力電極18,18′出力電極1
6,16′は、ともに伝導層26のピエゾ抵抗効果に基づく測
定電圧ΔVを取出すため、少なくとも伝導層26と電気的
な接続をなすよう蒸着形成されている。
このようにして形成された力変換素子に対し、本発明者
等は前記第1および第2の実施例と同様にして、室温に
おける消費電力が30mWを越えない範囲でSi単結晶体10に
電流Iを流し、Si単結晶体を薄くした効果と、温度変動
が特性にもたらす影響が小さいという効果についての確
認を行った。
この結果、伝導層22の厚さをh=2μmと小さくしたこ
とにより、伝導層を22の厚さが200μmの場合に比較し
て、約10倍の測定電圧ΔVを得ることができ、さらに自
己感度保障機能を備えるよう前記伝導層22の不純物濃度
を制御したことにより、−40℃〜150℃の温度範囲にお
ける測定電圧ΔVの変化がほぼ零となることが確認され
た。
なお、本実施例においては、伝導層26と電気的な絶縁分
離層28を兼ねたSi単結晶体10を、p伝導型とした抵抗分
離法によるように記載したが、本発明はこれに限らず、
n伝導型による抵抗分離法を用いても、ほぼ同様の効果
を有する力変換素子を形成することができる。
また、本実施例において、電気的な絶縁分離層28を兼ね
るSi単結晶体10を、ドナーとアクセプターとが中和する
よう制御された、キャリアの少ないイントリンシックな
特性を備えたものとすることで、伝導層26はp伝導型ま
たはn伝導型のいずれに形成してもよい。
そして。伝導層26と電気的な絶縁分離層28とは、p−n
接合分離法を用いて形成しても全く問題はない。ただ
し、p−n接合分離法を用いた場合には、出力電力16,1
6′と入力電極18,18′とは、伝導層26とのみ電気的な接
続をなすように形成しなければならず、p−n接合分離
法を用いた電気的な分離は、本質的に150℃前後までの
温度範囲でしか電気的な分離機能を備えてないことは周
知のところである。
なお、本発明は、前記各実施例に限定されるものではな
く、本発明の要旨の範囲内で各種の変形実施が可能であ
る。
たとえば、第7図には、前記第3実施例の変形例が示さ
れている。
本実施例において、Si単結晶体10は、加えられた圧縮力
を感知するためにその不純物濃度が1×1015/cm3〜1×
1021/cmの範囲に制御された伝導層26と、この伝導層2
6と隣接し伝導層26を電気的に絶縁分離することを目的
として形成された電気的な絶縁分離層28とを含み、これ
ら伝導層26、分離層28が、(110)面の結晶面を有する
厚さ200μmのSiの単結晶層27の結晶面側に不純物拡散
により形成されている。
このような構成とすることによっても、前記第3実施例
の力変換素子と同様、出力電極16,16′から実用上十分
な大きさをもった電圧ΔVを取出すことができ、しかも
温度による特性の影響の少ない力変換素子を得ることが
でききる。
第8図には、前記第3実施例の他の変形例が示されてお
り、実施例の力変換素子は、伝導層26がSi単結晶体10の
側面に出ないように形成したことを特徴とするものであ
る。このようにしても、前記第3実施例と同様、十分大
きな測定電圧ΔVを取出すことができ、しかも温度によ
る影響が少ない力変換素子を得ることができる。
第9図には、前記第3実施例の、その他の変形例が示さ
れており、本実施例の特徴は、伝導層26を、(110)面
のSi単結晶体10にイオン注入法により形成したことを特
徴とするものである。
このようにしても、前記第3実施例と同様な効果を得る
ことができる。
また、前記各実施例においては、結晶面が(110)面のS
i単結晶体を用い力変換素子を形成した場合を例にとり
説明したが、本発明はこれに限らずこれ以外に前記第1
表に示すように(110)面と等価な{110}結晶面をもつ
Si単結晶体を用いて力変換素子を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る力変換素子の好適な第1実施例の
説明図であり、同図(A)はその平面説明図、同図
(B)はその側面説明図、 第2図は本発明の力変換素子の検出原理の説明図であ
り、同図(A)はその検出原理を説明するために用いら
れる力変換素子の平面説明図、同図(B)はその力変換
素子の側面説明図、 第3図はp伝導型(110)面のピエゾ抵抗係数π63′の
特性図、 第4図はn伝導型(110)面のピエゾ抵抗係数π63′の
特性図、 第5図は本発明に係る力変換素子の好適な第2実施例の
説明図、 第6図は本発明の力変換素子の好適な第3実施例の説明
図、 第7図〜第9図は、第6図に示す第3実施例の変形例の
説明図である。 10……Si単結晶体 12,14……結晶面 16,16′……出力電極 18,18′……入力電極 22……絶縁膜 24……半導体層 26……伝導層 28……絶縁分離層 30……台座 50……支持基台

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧縮力が加えられる面として{110}面の
    結晶面を有するとともに、不純物濃度が1×1015/cm3
    1×1021/cm3の範囲に制御され、その厚さが50μm以下
    となるように形成されたSi単結晶体と、 前記Si単結晶体上に、その{110}面上における結晶の
    <001>方向より45度の方向に対向して設けた第1の電
    極と、<110>方向より45度の方向に対向して設けた第
    2の電極と、を含み、これら第1および第2の電極のい
    ずれか一方を出力電極とし、他方を入力電極として用い
    る複数の電極と、 前記Si単結晶体の{110}面の結晶面と接合され、圧縮
    力をその結晶面に垂直に伝達する台座と、 前記Si単結晶体の、台座の接合された面と対向する面と
    接合され、そのSi単結晶体を支持するための支持基台
    と、 を含み、前記入力電極を用いてSi単結晶体に電流を流し
    ながらSi単結晶体の結晶面に垂直に圧縮力を作用させ、
    出力電極から圧縮力に対応した電圧を出力することを特
    徴とする力変換素子。
  2. 【請求項2】{110}面の結晶面を有するよう形成さ
    れ、{110}面の結晶面に絶縁膜が被覆形成された半導
    体層と、 圧縮力が加えられる面として{110}面の結晶面を有す
    るとともに、不純物濃度が1×1015/cm3〜1×1021/cm3
    の範囲に制御され、その厚さが50μm以下となるように
    前記半導体層の絶縁膜上に成長させて形成されたSi単結
    晶体と、 前記Si単結晶体上に、その{110}面上における、結晶
    の<001>方向より45度の方向に対向して設けた第1の
    電極と、<110>方向より45度の方向に対向して設けた
    第2の電極と、を含み、これら第1および第2の電極の
    いずれか一方を出力電極とし、他方を入力電極として用
    いる複数の電極と、 前記Si単結晶体の{110}面の結晶面と接合され、圧縮
    力をその結晶面に垂直に伝達する台座と、 前記半導体層の絶縁膜が形成された面と対向する面と接
    合され、前記Si単結晶体を支持するための支持基台と、 を含み、前記入力電極を用いてSi単結晶体に電流を流し
    ながらSi単結晶体の結晶面に垂直に圧縮力を作用させ、
    出力電極から圧縮力に対応した電圧を出力することを特
    徴とする力変換素子。
  3. 【請求項3】圧縮力が加えられる面として{110}面の
    結晶面を有するとともに、不純物濃度が1×1015/cm3
    1×1021/cm3の範囲に制御され、その厚さが50μm以下
    となるように形成された伝導層と、この伝導層と隣接し
    て設けられた電気的な絶縁分離層と、を含むSi単結晶体
    と、 前記伝導層上に、結晶の<001>方向より45度の方向に
    対向して設けた第1の電極と、<110>方向より45度の
    方向に対向して設けた第2の電極と、を含み、これら第
    1および第2の電極のいずれか一方を出力電極とし、他
    方を入力電極として用いる複数の電極と、 前記伝導層の{110}面の結晶面と接合され、圧縮力を
    その結晶面に垂直に伝達する台座と、 前記絶縁分離層の伝導層の接合された面と対応する面と
    接合され、Si単結晶体を支持するための支持基台と、 を含み、前記入力電極を用いて伝導層に電流を流しなが
    ら伝導層の結晶面に垂直に圧縮力を作用させ、出力電極
    から圧縮力に対応した電圧を出力することを特徴とする
    力変換素子。
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