JPH07140469A - 液晶表示素子および液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示素子および液晶表示装置

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JPH07140469A
JPH07140469A JP30854393A JP30854393A JPH07140469A JP H07140469 A JPH07140469 A JP H07140469A JP 30854393 A JP30854393 A JP 30854393A JP 30854393 A JP30854393 A JP 30854393A JP H07140469 A JPH07140469 A JP H07140469A
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JP
Japan
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liquid crystal
crystal display
display device
transparent electrode
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Application number
JP30854393A
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English (en)
Inventor
Hiroo Shirane
浩朗 白根
Osami Inoue
長三 井上
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 液晶内に混入したイオン性不純物が配向膜表
面に吸着することで液晶表示素子に生ずる焼き付きを防
ぐ。 【構成】 電圧印加前の初期配向状態で全領域における
液晶分子の自発分極の向きが一定方向に揃うカイラルス
メクティック液晶2を用い、この液晶分子の自発分極の
向きを第2配向膜33bから第1配向膜3aへ向う定方
向12に揃えることで内部電界11を発生させ、不純物
陰イオン10bを第1配向膜3aに、不純物陽イオン1
0aを第2配向膜3bに選択的に吸着させるようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、メモリ効果を有すると
共に応答速度に優れた強誘電性液晶を用いた液晶表示素
子および液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より液晶の性質を示す材料は種々知
られており、その光学的性質を利用することによって、
薄型でフラットな表示装置やプリンタのシャッタ機構
(液晶シャッタ)等に用いられている。なお、液晶は分
子配列の違いから、「スメクティック(smecti
c)液晶」、「ネマティック(nematic)液
晶」、「コレステリック(cholesteric)液
晶」の3つに大きく分けられており、スメクティック液
晶は分子配列の規則性が強く、ネマティック液晶は分子
位置に規則性がないものの全体として分子軸が一方向に
向いており、コレステリック液晶は分子軸が略々0.3
μmの範囲でねじれているカイラル(chiral)な
分子よりなる。
【0003】上記のような液晶において、現在実用化さ
れているものに、ネマティック液晶を用いたTN(ねじ
れネマティック:twisted nematic)型
やSTN(超ねじれネマティック:super twi
sted nematic)型などの液晶表示素子があ
る。これらの液晶表示素子は、液晶の誘電的配列効果に
基づいており、液晶分子の誘電異方性のために、平均分
子軸方向が加えられた電場により特定の方向に向く効果
を利用している。しかしながら、これらネマティック液
晶を用いた表示素子の光学的な応答速度の限界はミリ秒
のオーダーであるとされており、応答速度が低速な点が
ネックとなって広範な応用に適しているとは言えない。
【0004】また、現在使用されている液晶表示素子駆
動方式として能動マトリクス方式があり、TFD(薄膜
ダイオード)型やTFT(薄膜トランジスタ)型等によ
るLCD(液晶ディスプレイ)駆動方式は、高いコント
ラストで広い視野角が得られると共に液晶に鋭い閾特性
が要求されないといった利点から、広く利用されてい
る。しかし、大型平面ディスプレイに応用する液晶表示
素子駆動方式としては、価格・生産性等の観点から能動
マトリクス駆動方式よりも単純マトリクス駆動方式が望
ましいといえる反面、TN型液晶表示素子を累積応答型
の単純マトリクス駆動方式(1ラインの走査時間を液晶
の応答時間よりも短くした方式)で駆動させるには、十
分に急峻な閾特性が従来の液晶表示素子から得られない
ため、実用可能な程度のコントラストを得るには60〜
70本程度の走査線数が限界であるとされていた。な
お、累積応答型マトリクス駆動方式で広い視野角と高い
コントラストを得るため、SBE(super twi
sted birefringence effec
t)方式やSTN方式等が提案されているものの、未だ
解決課題が多々残されており、実用化しうる程度の解決
には至っていない。
【0005】このようなことから、双安定性(メモリ
性)を有する液晶表示素子として強誘電性液晶(カイラ
ルスメクティック液晶)を用いると共に、1ラインの走
査時間を液晶の応答時間よりも長くする逐次書込み型の
単純マトリクス駆動方式が、クラーク(N.A.Cla
rk)およびラガヴァル(S.T.Lagerwal
l)により提案されている。この逐次書込み型マトリク
ス方式は、自発分極を有するカイラルスメクティック液
晶分子のらせん軸が基板に並行で且つ層が垂直な薄いセ
ル(液晶分子のらせんピッチよりも薄いセル厚)を用い
ることで、液晶分子のらせん構造を消滅させて分極ドメ
インを発生させ、表面での安定化を図り、電場による自
発分極の反転を利用して双安定スイッチングを行わせる
ものである。したがって、高速応答性と双安定性とを有
する表面安定強誘電性液晶(SSFLC:surfac
e stabilized ferro−electr
icliquid crystal)セルによれば、単
純マトリクス駆動方式による高精細表示が可能となるの
である。なお、SSFLCセルに用いる液晶組成物とし
ては、特に粘性の低いカイラルスメクティックC液晶が
想定される。
【0006】上記のような理由から、強誘電性液晶表示
素子を単純マトリクス駆動方式でパルス駆動することが
望ましいが、液晶分子の自発分極が特に強い場合、強誘
電性液晶を片方のメモリ状態のままに放置しておくと、
当該メモリ状態が安定化して印加パルスに応答したスイ
ッチングが行われなくなり、同じ画像が残ったままにな
る所謂「表示焼付け」という放置単安定化現象の生ずる
ことが知られている。この表示焼付けは、外部電界の極
性が変化することにより強誘電性液晶が有する自発分極
の向きが反転した際に生ずる反電界によって、界面付近
に電荷が貯まるためと考えられている。
【0007】このような表示焼付けを防止する方法とし
て、例えば特開昭63−135922号公報や特開平1
−100227号公報等には液晶中のイオン濃度を増大
させてイオンの遍在を無くす方法が、特開平3−590
89号公報にはイオン性物質の速やかな移動により反電
界を打ち消す方法が、特開平4−215616号公報に
は最初に印加するパルス電圧に続いて逆極性のパルス電
圧を印加して反電界を打ち消す方法が提案されているほ
か、配向膜にLB膜を使用して蓄積電荷を蓄積電荷を逃
がし易くする方法(H.Ikeno et al.:J
pn.J.Appl.Phys.,27,L475(1
988))や、電荷移動錯体を添加した配向膜や導電性
膜を配向膜として使用することで蓄積電荷を逃がし易く
する方法(K.Nakaya et al.:Jpn.
J.Appl.Phys.,28,L116(198
9))も提案されており、これらの方法は反電界に起因
する表示焼付けに対して有効なものと認識されている。
なお、液晶表示素子に強誘電性液晶を用いる場合、自発
分極の向きが異なる2種類の分極ドメインが略々半々と
なるようにして、電荷の遍在によって生じる焼き付きの
影響を受け難くするような方法も採られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者が強誘電性液晶組成物と配向膜の多岐に亙る組合せに
ついてメモリ性の変化を詳細に調べたところ、上記のよ
うな反電界により生ずるものとは考えられない焼き付き
現象を認識するに至った。すなわち、反電界に起因する
焼き付きであれば、液晶の全面に対して略々均一に生ず
る筈であるが、液晶表示素子の液晶注入口付近に選択的
に焼き付きが生じてしまったのである。このことは、液
晶分子の自発分極には関与しない、反電界とは異なった
メカニズムでイオン性不純物が配向膜へ吸着されること
により生ずるものと考えられる。
【0009】上記の点に付いて本発明者は、液晶を配向
膜間に注入する際に液晶が最初に通過する注入口付近で
イオン性不純物が選択的に配向膜へ吸着され、配向膜に
吸着された不純物イオンの電荷により形成される電界が
両配向膜間に生ずるためであると推認するに至った。そ
して、この焼き付き現象は、図10に示す如く、強誘電
性液晶組成物31を封入する第1配向膜32aと第2配
向膜32bと間に、自発分極の向きが第1方向33a
(図においては上向き)に分子配列が揃った第1領域3
4aと、自発分極の向きが上記第1方向33aと反転し
た第2方向33b(図においては下向き)に分子配列が
揃った第2領域34bとが混在したものである。
【0010】このような第1領域34aと第2領域34
bとが生ずるのは、以下のような要因によるものと考え
られる。すなわち、表面の双極子が負である第1,第2
配向膜32a,32bの各内側面に不純物陽イオン35
a…が各々吸着され、この不純物陽イオン35a…の付
着領域に相対する部分の配向膜表面近傍に不純物陰イオ
ン35bが遍在しているため、第1方向36a(図にお
いては上向き)の電界が生じている領域と、第2方向3
6b(図においては下向き)の電界が生じている領域と
が混在し、このイオン性不純物の吸着により生ずる電界
の作用を受けて液晶分子の配向状態が異なる領域が生じ
てしまうのである。なお、配向膜表面の双極子の符号
は、配向膜表面における双極子モーメントが液晶側を向
いている場合を正、その逆の場合を負とする定義(J.
ディジョン他の提案による)が一般的であり、以下これ
に従うこととする。
【0011】また、液晶表示素子に用いる2枚の配向膜
は、通常同一の材料を用いるため、配向膜表面の双極子
の符号に応じて、不純物陽イオン35a…あるいは不純
物陰イオン35b…が不規則に第1,第2配向膜32a
,32bに吸着されることで、液晶分子の配向状態が
不均一になるものと考えられる。
【0012】従って、配向膜に予め吸着されてしまった
不純物イオンにより形成される電界によって強誘電性液
晶表示素子に生ずる焼き付き現象は、従来より提案され
ている表示焼付け防止手段では対処できない。例えば、
イオン濃度や移動度を上げる方法では、イオンが表面に
固定(強く吸着されている)ために効果が得られず、L
B膜や導電性膜を配向膜に用いる方法では、液晶表示素
子に印加される実行電圧が低下したりショートが起こり
やすくなって実用的ではないし、印加パルス電圧と逆極
性のパルス電圧を続けて印加する方法では、反電界に起
因しない焼き付きに対して何ら効果のないことは明確で
ある。
【0013】そこで、本発明は、イオン性不純物が配向
膜へ吸着されて内部電界が生じても安定的なスイッチン
グを期せる液晶表示素子の提供と、その液晶表示素子を
良好に表示駆動させ得る液晶表示装置の提供を目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る液晶表示素子(1)は、基板(例えば
第1,第2透明基板7a,7b)上に透明電極(例えば
第1,第2透明電極5a,5b)を形成すると共に該電
極を覆う状態に配向膜(例えば第1,第2配向膜3a,
3b)を形成した一対の透明電極板(例えば第1,第2
透明電極基板8a,8b)を、夫々の配向膜が所定ギャ
ップを隔てて対峙するように配置し、両透明電極板間に
カイラルスメクティック相を示す液晶組成物(例えばカ
イラルスメクティック液晶2)を封入してなる液晶表示
素子において、一対の配向膜の間に注入された電圧印加
前の初期配向状態で、自発分極の向きが全領域で一方の
配向膜に揃う液晶組成物を用いるようにした。
【0015】また、本発明に係る液晶表示装置は、基板
(例えば第1,第2透明基板7a,7b)上に透明電極
(例えば第1,第2透明電極5a,5b)を形成すると
共に該電極を覆う状態に配向膜(例えば第1,第2配向
膜3a,3b)を形成した一対の透明電極板(例えば第
1,第2透明電極基板8a,8b)を、夫々の配向膜が
所定ギャップを隔てて対峙するように配置し、両透明電
極板間にカイラルスメクティック相を示す液晶組成物
(例えばカイラルスメクティック液晶2)を封入してな
る液晶表示素子と、この液晶表示素子の透明電極へ双極
性パルス電圧を印加する表示駆動制御手段を備えた液晶
表示装置において、一対の配向膜の間に注入された電圧
印加前の初期配向状態で、自発分極の向きが全領域で一
方の配向膜に揃う液晶組成物を用いると共に、双極性パ
ルス電圧に所定の直流オフセット電圧を重畳して表示駆
動するようにした。
【0016】
【作用】電圧印加前の初期配向状態で自発分極の向きが
全領域で同一方向に揃う液晶組成物を用いることで、セ
ル内部には液晶分子の自発分極の向きに対応する略々均
等な内部電界が生じる。そして、この内部電界を打ち消
すように、液晶内に混入したイオン性不純物は、当該イ
オンの極性に応じて何れか一方の配向膜側へ選択的に吸
着あるいは蓄積される。
【0017】また、電圧印加前の初期状態で自発分極の
向きが全領域で同一方向に揃う液晶組成物を用いた液晶
表示素子において、液晶分子の自発分極により全領域に
生じている一定方向の内部電界は、表示駆動用の双極性
パルスに重畳した所定の直流オフセット電圧によって相
殺される。
【0018】
【実施例】次に、本発明に係る液晶表示素子および液晶
表示装置の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0019】図1に示すのは、液晶表示素子1の概略縦
断面であり、カイラルスメクティック相を示す液晶組成
物としてのカイラルスメクティック液晶2を第1配向膜
3aと第2配向膜3bとの間にスペーサ4を介して封入
すると共に、第1配向膜3a及び第2配向膜3bの外側
面には、各々第1透明電極5a及び第2透明電極5bと
のアイソレーションを図るための第1絶縁膜6a及び第
2絶縁膜6bを設けてある。
【0020】なお、上記第1,第2絶縁膜6a,6bお
よび第1,第2透明電極5a,5bは各々第1透明基板
7a及び第2透明基板7b上に形成され、第1,第2配
向膜3a,3bは上記第1,第2絶縁膜6a,6b上に
形成されるものとしてある。すなわち、本実施例におい
ては、第1配向膜3aと第1透明電極5aと第1絶縁膜
6aと第1透明基板7aとを一体的にした第1透明電極
基板8bと、第2配向膜3bと第2透明電極5bと第2
絶縁膜6bと第2透明基板7bとを一体的にした第2透
明電極基板8bとの間にカイラルスメクティック液晶2
を封入するのである。
【0021】また、上記のように構成した液晶表示素子
1の両側には、液晶層における分子の配向状態を光学的
に識別するために、第1偏光板9aと第2偏光板9bと
を各々変更方向が直交するように適宜配置してある。
【0022】上記のような液晶表示素子1を組み立てる
に際しては、第1透明電極板8aか第2透明電極板8b
の第1,第2配向膜3a,3b表面をラビング(布等で
一定の方向に擦ること)により一軸配向処理し、両配向
膜間にカイラルスメクティック液晶2封入用の空間を形
成するシール材を塗布すると共にスペーサ4…を適宜間
隔で配置し、例えば真空注入法により第1,第2透明電
極板8a,8b間にカイラルスメクティック液晶2を注
入して、液晶注入用の注入口を封止する。
【0023】上記第1,第2透明基板7a,7bの素材
としては、例えば平滑性の良好なフロートガラス等のガ
ラスのほか、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート等のポリエステル、エポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリス
ルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミ
ド、アセチルセルロース、ポリアミノ酸エステル、芳香
族ポリアミド等の耐熱樹脂、ポリスチレン、ポリアクリ
ル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリ
ルアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のビニル系
ポリマー、ポリフッ化ビニリデンの含フッ素樹脂および
それらの変性体等から形成されたプラスチックフィルム
等が使用できる。なお、第1,第2透明基板7a,7b
の表面にR・G・Bのマイクロカラーフィルタを設ける
ことで、カラー表示にも対応させる場合もある。
【0024】また、第1,第2透明基板7a,7b上に
形成する第1,第2透明電極5a,5bは、酸化スズ
(SnO2 )膜や酸化インジウム(In23)膜やIT
O(インジウム・スズ・オキサイド)等の透明電極膜を
300〜5000Å程度の膜厚(望ましくは1000〜
3000Å)に形成し、該透明電極膜をストライプ状に
エッチングしてなる。斯く構成した第1,第2透明電極
5a,5bを互いに直交するよう組み合わせることで、
両透明電極5a,5bの交点に表示ドットが形成され、
単純マトリクス方式による表示が可能となる。なお、本
実施例においては単層マトリクス方式を示したが、2層
マトリクスや多重マトリクス方式を用いて表示画素を高
めることもできる。
【0025】上記第1,第2透明電極5a,5bが形成
された第1,第2透明基板7a,7b上に形成する第
1,第2絶縁膜6a,6bは、例えば酸化シリコン(S
iO2)膜や酸化チタン(TiO2 )膜や酸化タンタル
(Ta25)膜等を200〜500Å程度の膜厚(望ま
しくは500〜200Å)に形成したものである。な
お、本実施例の如く第1,第2絶縁膜6a,6bを形成
することなく、第1,第2透明電極5a,5b上に第
1,第2配向膜3a,3bを直接形成するようにしても
良い。
【0026】上記第1,第2絶縁膜6a,6b上に形成
する第1,第2配向膜3a,3bは、ポリイミド等を1
0〜1000Å程度の膜厚(望ましくは50〜500
Å)に形成し、その表面にラビング処理を施したもので
ある。なお、一般的な配向膜用の素材としては、ポリイ
ミド、ビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリ
アミド(ナイロン等)等をスピンコートまたは印刷する
ことにより形成される高分子膜、有機シラン化合物を塗
布することによって形成される有機膜、SiO、SiO
2 、TiO2 等を真空蒸着あるいはスパッタリングする
ことにより形成される無機膜等が使用されている。ま
た、ポリイミド等の高分子膜は、ナイロン、レーヨン、
ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成繊維や
綿、羊毛等の天然繊維等を用いてラビングする。
【0027】また、カイラルスメクティック液晶2を封
入する空間を確保するために設けるセルギャップは、第
1,第2配向膜3a,3b間にスペーサ4…を均一に散
布することで形成し、このスペーサ4…には、グラスフ
ァイバ、ガラスビーズ、プラスチックビーズ、アルミナ
やシリカ等の金属酸化物粒子、ポリエチレンテレフテレ
ートやポリイミド等のプラスチック薄膜等を用いる。な
お、セルギャップは0.5〜10μm程度(望ましくは
1〜3μm)で、これに応じたスペーサ4…を用いる。
【0028】而して、本発明に係る液晶素子1に用いる
カイラルスメクティック相を示す液晶組成物たるカイラ
ルスメクティック液晶2は、カイラルスメクティックC
相(SmC* )、F相(SmF* )、G相(SmG
* )、H相(SmH* )、I相(SmI* )、J相(S
mJ* )、K相(SmK* )の何れかを有するものであ
る。このカイラルスメクティック相を示す温度範囲とし
ては、0〜50℃よりも広いことが望ましい。なお、*
はカイラルを示す。
【0029】また、上記カイラルスメクティック液晶2
として用い得るカイラルスメクティック液晶組成物を構
成する化合物は、望ましくは2〜20種類であり、これ
らの中にはカイラルスメクティック相を示さない液晶化
合物や液晶相を全く示さないカイラル化合物が含まれて
いても良い。なお、カイラルスメクティック液晶組成物
の相系列の例としては、次のようなものが挙げられる。
【0030】K−(・・・SmX2 −SmX1 )−Sm
* −SmA−Ch−I
【0031】K−(・・・SmX2 −SmX1 )−Sm
* −Ch−I
【0032】K−(・・・SmX2 −SmX1 )−Sm
* −SmA−I
【0033】K−(・・・SmX2 −SmX1 )−Sm
* −I
【0034】また、電圧印加前の初期状態で自発分極の
向きが全領域で一定の方向に向きカイラルスメクティッ
ク液晶組成物は、以下に化1〜化47として示す化学式
の化合物を組成物の一つ又はそれ以上の成分として含有
せしめることにより作製することができる。なお、化1
〜化14で例示するのは4−(ジ置換アミノメチル)安
息香酸4−(4′−アルコキシベンゾイルフェニル)エ
ステル誘導体、化15〜化19で例示するのは4−(ジ
置換アミノメチル)安息香酸4−(4′−アルコキシビ
フェニル)エステル誘導体、化20〜化23で例示する
のは4−(ジ置換アミノメチル)安息香酸4−(6′−
ピリミジニル)フェニルエステル誘導体、化24〜化3
5および化37〜化40で例示するのは光学活性シクロ
ヘキシルアミン誘導体もしくは光学活性シクロヘキサン
メチルアミン誘導体、化41〜化47で例示するのは光
学活性含フッ素化合物であり、その他に化36で例示す
る4−(4′−置換フェニル)安息香酸4−アミノフェ
ニルエステル誘導体等が挙げられる。
【0035】
【化1】
【0036】
【化2】
【0037】
【化3】
【0038】
【化4】
【0039】
【化5】
【0040】
【化6】
【0041】
【化7】
【0042】
【化8】
【0043】
【化9】
【0044】
【化10】
【0045】
【化11】
【0046】
【化12】
【0047】
【化13】
【0048】
【化14】
【0049】
【化15】
【0050】
【化16】
【0051】
【化17】
【0052】
【化18】
【0053】
【化19】
【0054】
【化20】
【0055】
【化21】
【0056】
【化22】
【0057】
【化23】
【0058】
【化24】
【0059】
【化25】
【0060】
【化26】
【0061】
【化27】
【0062】
【化28】
【0063】
【化29】
【0064】
【化30】
【0065】
【化31】
【0066】
【化32】
【0067】
【化33】
【0068】
【化34】
【0069】
【化35】
【0070】
【化36】
【0071】
【化37】
【0072】
【化38】
【0073】
【化39】
【0074】
【化40】
【0075】
【化41】
【0076】
【化42】
【0077】
【化43】
【0078】
【化44】
【0079】
【化45】
【0080】
【化46】
【0081】
【化47】
【0082】また、これらの液晶組成物において、自発
分極の値は2〜60nC/cm2 が望ましく、コレステ
リック相を有する螺旋ピッチの値は10μm以上が、S
*相の螺旋ピッチの値は5μm以上が望ましい。
【0083】上述した如く、液晶表示素子1に注入する
液晶組成物として、電圧印加前の初期配向状態において
自発分極の向きが全領域で一定方向に揃っているカイラ
ルスメクティック液晶2を用いることにより、セル内部
には液晶分子の自発分極の向きに対応する略々均等な内
部電界が生じる。そして、この内部電界を打ち消すよう
に、液晶内部に混在するイオン性不純物はその極性に応
じて第1配向膜3aあるいは第2配向膜3bの何れかへ
選択的に吸着あるいは蓄積されて行くこととなる。例え
ば、図2に示す如く、不純物陽イオン10aが第2配向
膜3bへ、不純物陰イオン10bが第1配向膜3aへ吸
着あるいは蓄積されるような内部電界11が生じるよう
に、液晶分子の自発分極の向きが定方向11に揃ったカ
イラルスメクティック液晶2を用いることで、第1,第
2配向膜3a,3bへイオン性不純物がランダムに吸着
されることを防ぎ、内部電界11の向きを一定方向に揃
えることが可能となる。すなわち、内部電界11を相殺
し得る電界を外部より印加することで液晶分子のスイッ
チングを良好に行えるのである。
【0084】なお、カイラルスメクティック液晶2の層
構造は、層がまっすぐ立ったブックシェルフ構造に限ら
ず、ジグザグ欠陥のでない層構造に制御してあればよ
い。例えば、C1ユニフォーム配向およびC2ユニフォ
ーム配向(J.Kanbe et al.:Ferro
electrics,144,3(1991))、電圧
印加によりスメクティックの層を立たせた疑似ブックシ
ェルフ構造(Y.Sato et al.:Jpn.A
ppl.Phys.,28,L483(1989)や
W.J.A.M.Hartmann:Ferroele
ctrics,85,67(1988)など)のものも
使用することができる。
【0085】上記のように構成した液晶表示素子1に第
1,第2偏光板9a,9bや電圧印加制御手段(図示省
略)や電源供給手段(図示省略)等を付加することによ
って液晶表示装置が構成される。
【0086】而して、本発明に係る液晶表示装置におい
ては、図3に示すようなパルス波を供給することで表示
制御を行うものとしてある。すなわち、0〔V〕に対し
て直流オフセット電圧Vb をバイアス電圧として重畳す
ることにより、第1,第2配向膜3a,3b間に生ずる
電位差を相殺し、カイラルスメクティック液晶2の液晶
分子を双安定状態にし、双極性パルスによる液晶分子の
スイッチングを可能にする。なお、図3において、Va
はパルス電圧、Ta はパルス周期、Tb パルス幅であ
る。
【0087】従って、上記のような表示駆動制御を行う
液晶表示装置によれば、カイラルスメクティック液晶2
に固有の性質によって、イオン性不純物をその極性に応
じて第1配向膜3aもしくは第2配向膜3bへ選択的に
吸着または蓄積させるので、液晶表示素子内部に生ずる
内部電界の向きは定方向となり、この全領域に生じてい
る一定方向の内部電界は、表示駆動用の双極性パルスに
重畳した所定の直流オフセット電圧によって相殺される
ので、従来と同様に液晶分子のスイッチングを行うこと
が可能となり、両配向膜間に電界の生じている液晶表示
素子を良好に表示駆動させることができる。なお、本実
施例においては2パルス法を用いたが、3パルス法、4
パルス法についても直流オフセット電圧の重畳に関して
は同様の効果がある。
【0088】次に、本発明に係る液晶表示素子1を用い
た液晶表示装置の実験例および比較例について示す。
【0089】以下の実験例および比較例においては、減
圧窒素雰囲気下で等方液体状態にした液晶をセルの注入
口に接触させて毛細管現象により注入し、液晶の注入さ
れたセルを等方相−コレステリック相の転移温度より5
℃高い温度まで加熱して全体を等方相とした後に1℃/
分の速度で室温まで徐冷して配向した。また、メモリ性
の評価に際しては、上記セルを互いに偏光方向が直交す
る2枚の偏光板間に挟んで後方より照明し、正極性及び
負極性の2種類のパルスで交互に駆動した際に、夫々の
パルスによるスイッチング状態が1秒以上持続する場合
を双安定と判定し、夫々のパルスによるスイッチング状
態が1秒以下しか継続しない場合を焼き付きと判定する
ものとした。
【0090】以下に第1実験例を示す。
【0091】厚さ1.1mmのガラス基板上に膜厚10
00ÅのITOの電極パターン(電極面積は0.15c
2 )を形成し、この透明電極付きガラス基板上にポリ
ビニルアルコール(ナカライテスク株式会社製の重合度
約500のもの)の1%水溶液をスピンナで塗布し(3
500rpmで40秒)、その後、80℃で30分間乾
燥させてポリビニルアルコール膜を形成した。そして、
このポリビニルアルコール膜の表面をレーヨン布で一軸
方向にラビング処理することで、表面の双極子の符号が
正である配向膜を得た。
【0092】上記のようにして配向膜を形成したガラス
基板2枚を、夫々ラビング処理面を内側にして、ラビン
グ方向が同一になるように、ポリエチレンテレフタレー
トのフィルムをスペーサとして挟んで貼り合わせ、セル
ギャップが1.8μmセルを作製した。そして、このセ
ルに第1表に示すような重量部で混合してなる液晶組成
物1を注入した。
【0093】
【表1】
【0094】ここで、上記第1表中の「液晶組成物A」
は、第2表に示す化合物を重量部で混合したものであ
る。
【0095】
【表2】
【0096】なお、液晶組成物Aの相転移温度は、偏光
顕微鏡によるテクスチャ観察の結果、図4の通りであっ
た。また、液晶組成物1の相転移温度は、偏光顕微鏡に
よるテクスチャ観察の結果、図5の通りであった。
【0097】上記のようにして得た液晶組成物1を注入
してなるセルを等方相から室温まで徐冷して配向させた
ところ、全面で消光位が同じ方向のユニフォーム配向が
得られた。
【0098】斯くして得られた液晶表示素子に、最初に
直流オフセット電圧を重畳しない双極性パルス電圧(±
50V0-P 、パルス幅200μsec、パルス周期1s
ec)で駆動してメモリ性を調べたところ、メモリ性は
得られなかった。次に、当該液晶表示素子の液晶分子に
おける自発分極の向きを層法線と消光位との関係から求
め、液晶内部の電界も液晶分子の自発分極の向きと同じ
方向であると推認できるので、この向きの内部電界を打
ち消すように直流オフセット電圧50mVを重畳した双
極性パルス電圧(±50V0-P 、パルス幅200μse
c、パルス周期1sec)を上記液晶表示素子に印加し
て駆動させたところ、全領域で良好なメモリ性が得られ
た。
【0099】次に、上記第1実験例に対する比較例を示
す。この比較例においては、上記第1実験例で用いたと
同様なガラス基板2枚に、下記の第3表に示す重量部で
混合した液晶組成物2を注入してなる液晶表示素子を用
いるものとした。
【0100】
【表3】
【0101】この液晶組成物2の相転移温度は、偏光顕
微鏡によるテクスチャ観察の結果、図6の通りであっ
た。なお、第3表中の液晶組成物Aは上記第2表に示し
た組成と同じである。
【0102】この液晶組成物2を第1実験例と同様に等
方相から室温まで徐冷して配向させたところ、消光位の
方向が異なる2種類のドメインからなるユニフォーム配
向が得られた。斯くして得られた液晶表示素子を、直流
オフセット電圧を重畳しない双極性パルス電圧(±50
0-P 、パルス幅200μsec、パルス周期1se
c)で駆動してメモリ性を調べたところ、2種類のドメ
イン何れについてもメモリ性は得られなかった。
【0103】次に、直流オフセット電圧を重畳した双極
性パルス電圧(±50V0-P 、パルス幅200μse
c、パルス周期1sec)で上記液晶表示素子を駆動さ
せたところ、消光位の方向が異なる2種類のドメインの
うち、一方は+170mVの直流オフセット電圧のみ
で、他方は−170mVの直流オフセット電圧のみで、
夫々メモリ性が得られたものの、両ドメイン同時にメモ
リ性を得ることはできなかった。
【0104】従って、この比較例と上記第1実験例との
結果より明らかなように、本発明に係る液晶表示組成物
(電圧印加前の初期配向状態で全領域における液晶分子
の自発分極の向きが一方の配向膜に揃う液晶組成物)を
封入した液晶表示素子によれば、イオン性不純物がラン
ダムに配向膜へ吸着されることで生ずる焼き付きを防止
できると共に、全領域における良好なメモリ性を期すこ
とができる。
【0105】次に、第2実験例を示す。この第2実験例
においては、上記第1実験例で用いたと同様なガラス基
板2枚に、下記の第4表に示す重量部で混合した液晶組
成物3を注入してなる液晶表示素子を用いるものとし
た。
【0106】
【表4】
【0107】この液晶組成物3の相転移温度は、偏光顕
微鏡によるテクスチャ観察の結果、図7の通りであっ
た。
【0108】上記第1実験例と同様な一対のガラス基板
中に液晶組成物3を注入し、等方相から室温まで徐冷し
て配向させたところ、全領域で消光位が同じ方向のユニ
フォーム配向が得られた。斯くして得られた液晶表示素
子に、直流オフセット電圧を重畳しない双極性パルス電
圧(±50V0-P 、パルス幅200μsec、パルス周
期1sec)を供給して駆動させ、メモリ性を調べたと
ころ、メモリ性は得られなかった。次に、当該液晶表示
素子の液晶分子における自発分極の向きを層法線と消光
位との関係から求め、液晶内部の電界も液晶分子の自発
分極の向きと同じ方向であると推認できるので、この向
きの内部電界を打ち消すように直流オフセット電圧11
0mVを重畳した双極性パルス電圧(±50V0-P 、パ
ルス幅200μsec、パルス周期1sec)を上記液
晶表示素子に印加して駆動させたところ、全領域で良好
なメモリ性が得られた。
【0109】次に、第3実験例を示す。この第3実験例
においては、上記第1実験例で用いたと同様なガラス基
板2枚に、下記の第5表に示す重量部で混合した液晶組
成物4を注入してなる液晶表示素子を用いるものとし
た。
【0110】
【表5】
【0111】ここで、上記第5表中の「液晶組成物B」
は、下記の第6表に示す化合物を重量部で混合したもの
である。
【0112】
【表6】
【0113】なお、液晶組成物Bの相転移温度は、偏光
顕微鏡によるテクスチャ観察の結果、図8の通りであっ
た。また、液晶組成物1の相転移温度は、偏光顕微鏡に
よるテクスチャ観察の結果、図9の通りであった。
【0114】上記第1実験例と同様な一対のガラス基板
中に液晶組成物4を注入し、等方相から室温まで徐冷し
て配向させたところ、全面で消光位が同じ方向のユニフ
ォーム配向が得られた。この液晶表示素子に、直流オフ
セット電圧を重畳しない双極性パルス電圧(±50V
0-P 、パルス幅200μsec、パルス周期1sec)
を供給して駆動させ、メモリ性を調べたところ、メモリ
性は得られなかった。次に、当該液晶表示素子の液晶分
子における自発分極の向きを層法線と消光位との関係か
ら求め、液晶内部の電界も液晶分子の自発分極の向きと
同じ方向であると推認できるので、この向きの内部電界
を打ち消すように直流オフセット電圧20mVを重畳し
た双極性パルス電圧(±50V0-P 、パルス幅200μ
sec、パルス周期1sec)を上記液晶表示素子に印
加して駆動させたところ、全領域で良好なメモリ性が得
られた。
【0115】次に、上記液晶組成物4を封入した液晶表
示素子に、室温で30V0-P 、50Hzの矩形波電圧を
1分間印加することにより疑似ブックシェルフ構造(ラ
ビング方向に平行な細かいストライプ状のテクスチャ)
が得られ、全領域でユニフォーム配向となった。斯くし
て得られた液晶表示素子に、最初に直流オフセット電圧
を重畳しない双極性パルス電圧(±50V0-P 、パルス
幅200μsec、パルス周期1sec)で駆動してメ
モリ性を調べたところ、良好なメモリ性が得られた。
【0116】しかし、この液晶表示素子を室温で放置し
ておいたところ、1週間程度で焼き付きを生じ、全くス
イッチングしなくなった。そこで、この焼き付いた液晶
表示素子に、の液晶分子における自発分極の向きを層法
線と消光位との関係から求め、液晶内部の電界も液晶分
子の自発分極の向きと同じ方向であると推認できるの
で、この向きの内部電界を打ち消すように直流オフセッ
ト電圧500mVを重畳した双極性パルス電圧(±50
0-P 、パルス幅200μsec、パルス周期1se
c)を上記液晶表示素子に印加して駆動させたところ、
全領域で良好なメモリ性が得られた。
【0117】次に、第4実験例を示す。この第4実験例
においては、ポリイミド膜を配向膜として用いた一対の
ガラス基板に、上記第1実験例と同様な液晶組成物1を
注入して液晶表示素子とし、等方相から室温まで徐冷し
て配向させたところ、全領域で消光位が同じ方向のユニ
フォーム配向が得られた。
【0118】なお、第4実験例に用いる配向膜は次のよ
うにして得た。先ず、ポリイミド形成用塗布液(東レ株
式会社製、SP−710)を不揮発分が3.4%になる
よう希釈した液をスピンナで塗布し(500rpmで1
0秒の後4500rpmで50秒)、その後、120℃
で30分、続いて200℃で30分、更に350度で3
0分焼成して約300Åのポリイミド膜を形成し、この
ポリイミド膜の表面をレーヨン布で一軸方向にラビング
処理した。
【0119】斯くして得られた液晶表示素子を、最初に
直流オフセット電圧を重畳しない双極性パルス電圧(±
50V0-P 、パルス幅200μsec、パルス周期1s
ec)で駆動してメモリ性を調べたところ、メモリ性は
得られなかった。次に、当該液晶表示素子の液晶分子に
おける自発分極の向きを層法線と消光位との関係から求
め、液晶内部の電界も液晶分子の自発分極の向きと同じ
方向であると推認できるので、この向きの内部電界を打
ち消すように直流オフセット電圧70mVを重畳した双
極性パルス電圧(±50V0-P 、パルス幅200μse
c、パルス周期1sec)を上記液晶表示素子に印加し
て駆動させたところ、全領域で良好なメモリ性が得られ
た。
【0120】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る液晶
表示素子においては、電圧印加前の初期配向状態で自発
分極の向きが全領域で同一方向に揃う液晶組成物を用い
ることで、液晶内に混入したイオン性不純物は、当該イ
オンの極性に応じて何れか一方の配向膜側へ選択的に吸
着あるいは蓄積されることとなり、配向膜に吸着された
イオン性不純物によって液晶分子の自発分極の向きが逆
極性となる領域が液晶中に生ずることが無い。従って、
全領域において一定方向に生じている内部電界を相殺し
得る電界を外部より印加することで、液晶分子のスイッ
チングを良好に行うことが可能となり、有用な液晶表示
素子を提供できる。
【0121】また、電圧印加前の初期状態で自発分極の
向きが全領域で同一方向に揃う液晶組成物を用いた液晶
表示素子においては、液晶分子の自発分極により液晶表
示素子内部に生ずる内部電界の向きは一定方向となり、
この全領域に生じている一定方向の内部電界は、表示駆
動用の双極性パルスに重畳した所定の直流オフセット電
圧によって相殺されるので、従来と同様に液晶分子のス
イッチングを行うことができ、両配向膜間に電界の生じ
ている液晶表示素子を良好に表示駆動させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶表示素子の概略縦断面図であ
る。
【図2】本発明に係る液晶表示素子の第1,第2配向膜
間の配向状態を示す説明図である。
【図3】本発明に係る液晶表示装置で用いる駆動パルス
の波形図である。
【図4】液晶組成物Aの相転移変化の温度を示す説明図
である。
【図5】液晶組成物1の相転移変化の温度を示す説明図
である。
【図6】液晶組成物2の相転移変化の温度を示す説明図
である。
【図7】液晶組成物3の相転移変化の温度を示す説明図
である。
【図8】液晶組成物Bの相転移変化の温度を示す説明図
である。
【図9】液晶組成物4の相転移変化の温度を示す説明図
である。
【図10】従来の液晶表示素子の配向膜にイオン性不純
物が吸着されることで生ずる焼き付きの原理を示す説明
図である。
【符号の説明】
1 液晶表示素子 2 カイラルスメクティック液晶 3a 第1配向膜 3b 第2配向膜 5a 第1透明電極 5b 第2透明電極 8a 第1透明電極基板 8b 第2透明電極基板

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に透明電極を形成すると共に該電
    極を覆う状態に配向膜を形成した一対の透明電極板を、
    夫々の配向膜が所定ギャップを隔てて対峙するように配
    置し、両透明電極板間にカイラルスメクティック相を示
    す液晶組成物を封入してなる液晶表示素子において、一
    対の配向膜の間に注入された電圧印加前の初期配向状態
    で、自発分極の向きが全領域で一方の配向膜に揃う液晶
    組成物を用いるようにしたことを特徴とする液晶表示素
    子。
  2. 【請求項2】 基板上に透明電極を形成すると共に該電
    極を覆う状態に配向膜を形成した一対の透明電極板を、
    夫々の配向膜が所定ギャップを隔てて対峙するように配
    置し、両透明電極板間にカイラルスメクティック相を示
    す液晶組成物を封入してなる液晶表示素子と、この液晶
    表示素子の透明電極へ双極性パルス電圧を印加する表示
    駆動制御手段を備えた液晶表示装置において、一対の配
    向膜の間に注入された電圧印加前の初期配向状態で、自
    発分極の向きが全領域で一方の配向膜に揃う液晶組成物
    を用いると共に、双極性パルス電圧に所定の直流オフセ
    ット電圧を重畳して表示駆動するようにしたことを特徴
    とする液晶表示装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9885914B2 (en) 2015-03-09 2018-02-06 Samsung Display Co., Ltd. Liquid crystal display having different upper and lower alignment layers

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9885914B2 (en) 2015-03-09 2018-02-06 Samsung Display Co., Ltd. Liquid crystal display having different upper and lower alignment layers

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