JPH07138384A - 抗菌性フィルムおよび抗菌性手袋 - Google Patents

抗菌性フィルムおよび抗菌性手袋

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JPH07138384A
JPH07138384A JP28364693A JP28364693A JPH07138384A JP H07138384 A JPH07138384 A JP H07138384A JP 28364693 A JP28364693 A JP 28364693A JP 28364693 A JP28364693 A JP 28364693A JP H07138384 A JPH07138384 A JP H07138384A
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JP
Japan
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antibacterial
particles
resin film
film
resin
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Application number
JP28364693A
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English (en)
Inventor
Tatsuya Saeki
達哉 佐伯
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Sekisui Kasei Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Plastics Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 抗菌性金属イオンを有する非晶質リン酸カル
シウムからなる抗菌性粒子7を樹脂フィルム16に保持
し、かつ、樹脂フィルム16の延伸によって露出させ
る。 【効果】 抗菌性粒子7の多くを延伸によって露出させ
ることができることと、非晶質リン酸カルシウムの菌吸
着能とにより、抗菌性を向上できる。よって、上記抗菌
性を長期間安定に維持できる一方、抗菌性粒子7を軽減
できてコトスダウンできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生鮮食品等や医療器具
を取り扱う際に用いられる抗菌性フィルムおよび生鮮食
品等や医療器具等を取り扱うのに適した抗菌性手袋に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、多用されている食品を取り扱
う業務用手袋、医療用手袋、指先の荒れ防止を目的とし
た台所用手袋等の各種作業用手袋は、通常、熱可塑性樹
脂を押出機にて作製した押出フィルムまたはシートを2
次加工して製造されている。さらに、上記手袋の表面に
樹脂層で被ったものも知られている。
【0003】これらの手袋では、流通段階または保管段
階での落下菌による汚染や取り扱い時の汚染等に対して
対策が施されておらず、また、着用時の通気性の悪さか
ら汗の発散がされず、手袋内面に微生物が増殖して、こ
のような微生物の増殖に起因する悪臭が発生していた。
【0004】そこで、上記のような微生物による悪影響
を抑制するものとして、人体に対する安全性が高い抗菌
性金属イオンを含有するゼオライト粒子を樹脂フィルム
に混練によって混合し、上記樹脂フィルムを表面に有す
る手袋が提案されている(特開平2-80605号公報、実開
平1−106513号公報)。
【0005】このように抗菌性金属イオンを含有するゼ
オライト粒子は、従来より使用されている殺菌剤、抗菌
剤と異なり、抗菌性金属イオンである抗菌性物質が溶出
したり気化したりすることが抑制される。よって、その
抗菌性物質により食品の味を変化させることがほとんど
なく、さらに、上記抗菌性物質が人体内に摂取されるこ
ともほとんどないため、その毒性を考慮する必要性が少
ない。その上、上記抗菌性が長時間持続するなど優れた
特性を有している。
【0006】しかしながら、上記従来の抗菌性ゼオライ
ト粒子を用いた各樹脂フィルムや各手袋では、上記抗菌
性ゼオライト粒子が樹脂層に混合されているため、多く
の抗菌性ゼオライト粒子が樹脂フィルムに埋没して抗菌
性を発揮できず、一部の抗菌性ゼオライト粒子のみが表
面に露出して抗菌性を発揮する。この結果、全体として
の抗菌性ゼオライト粒子における抗菌性が十分に発揮さ
れないという問題を生じている。
【0007】そこで、上記問題を回避するために、特開
平3−199403号公報に開示されているように、抗菌性ゼ
オライト粒子を含有する樹脂フィルムの表面に凹凸を形
成して、抗菌性粒子の露出し得る上記表面の面積を増大
化させることによって、上記抗菌性ゼオライト粒子にお
ける全体としての抗菌性を向上させることが提案されて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
抗菌性フィルムやそれを用いた手袋では、樹脂層内に埋
没した抗菌性ゼオライト粒子が多く存在することから、
十分な抗菌性を発揮するために多量の抗菌性ゼオライト
粒子を樹脂フィルム内に配合する必要があり、コトスア
ップを招来するという問題を生じている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
抗菌性フィルムは、以上の課題を解決するために、抗菌
性金属イオンを有する非晶質リン酸カルシウムからなる
抗菌性粒子が、樹脂フィルムに保持され、かつ、上記樹
脂フィルムの延伸によって露出されていることを特徴と
している。
【0010】本発明の請求項2記載の抗菌性フィルム
は、以上の課題を解決するために、抗菌性金属イオンを
有する非晶質リン酸カルシウム粒子を造粒化した抗菌性
粒子が、樹脂フィルムに保持され、かつ、上記樹脂フィ
ルムの延伸によって露出されていることを特徴としてい
る。
【0011】本発明の請求項3記載の抗菌性手袋は、以
上の課題を解決するために、請求項1または請求項2記
載の抗菌性フィルムを表面に有することを特徴としてい
る。
【0012】上記抗菌性粒子は、非晶質リン酸カルシウ
ム(Amorphous Calcium Phosphate:以下、ACPと略
す)粒子を含むスラリー中に、50重量%以下となるよう
に抗菌性金属粉末、抗菌性金属化合物、あるいはそれら
の水溶液を混合し、イオン交換等によって、上記抗菌性
金属イオンをACP粒子に吸着させたものである。ま
た、上記金属イオンをスラリーに混合した混合物を噴霧
乾燥造粒法などにより造粒して抗菌性粒子を得てもよ
い。
【0013】上記スラリーは、攪拌下の水酸化カルシウ
ム懸濁液に、弱アルカリ性あるいは中性の水溶性高分子
分散剤、例えば、弱アルカリ性のトリアクリル酸アンモ
ニウム塩を 0.1〜10重量%添加し、好ましくは 0.1〜3
重量%添加して混合溶液を得た後、攪拌下の上記混合溶
液をリン酸水溶液の滴下によってpH10〜5に調整する
ことにより、粒径約0.1μm以下のACP粒子を含むも
のである。
【0014】上記ACP粒子は、粉末X線解析法によ
り、そのパターンからリン酸カルシウム〔Ca3(PO4)2
nH2O〕であり、また、そのパターンがブロードであるこ
とから、非晶質なリン酸カルシウムであることが確認さ
れる。その上、上記ACP微粒子は、結晶水を含むこと
から静電気的に活性な物質であると思われ、種々な菌体
やウイルスを吸着し易くなっていると想定される。
【0015】また、得られた抗菌性粒子が大きな比表面
積をそなえるために、スラリーのACP粒子は、その粒
径が 0.1μm以下であることが、また、加える抗菌性金
属粉末および抗菌性金属化合物粉末の粒径は20μm以下
であることが望ましい。その上、スラリーと加える抗菌
性金属粉末、抗菌性金属化合物粉末あるいは抗菌性金属
水溶液とは室温中で混合することが望ましい。
【0016】一方、スラリーにおけるACP粒子が90重
量%以上となると、スラリーの粘度が高くなるので、抗
菌性金属イオンの添加の際の混合性が劣化して不具合を
生じ、また、造粒する場合、造粒に不適となる。なお、
造粒する場合、スラリーにおけるACP粒子の含量を1
〜90重量%の範囲で変えることにより、所望の平均粒径
を有する抗菌性粒子を得ることができる。
【0017】また、造粒法としては、得られる粒子が、
多孔質、かつ、粒径 200μm以下の略球状で、かつ、比
表面積を10m2/g以上にできるものであれば、特に限定さ
れるものではないが、例えば噴霧乾燥造粒法を用いるこ
とができ、他にフリーズドライ後に粉砕してなる造粒
法、また、高速撹拌型造粒法を用いてもよい。
【0018】抗菌性金属としては、金、銀、亜鉛、銅、
錫、鉛、砒素、白金、鉄、アンチモン、ニッケル、アル
ミニウム、バリウム、カドミウム、マンガンから少なく
とも一種の金属、またはそれらの混合物、あるいはそれ
らの金属化合物、およびそれらの水溶液を用いることが
できる。
【0019】前記樹脂フィルムの素材としては、例えば
アイオノマー樹脂、EEA(エチレン・エチルアクリレ
ート共重合体)樹脂、EVA樹脂(エチレン・酢酸ビニ
ル共重合体)、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹
脂、フッソ樹脂、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリウレタ
ンエラストマー、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポ
リスルホン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレ
ン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリカーボネイト、ブ
タジエン樹脂、ポリプロピレン、スチレン系特殊透明樹
脂、ポリアクリレート、強化ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリスチレン、塩化ビニリデン樹脂、伝導性樹脂等
を挙げることができる。このうち、フィルム加工性や耐
水性の点から、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレ
ン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹
脂が好ましい。
【0020】前記抗菌性粒子を保持する樹脂フィルム
は、抗菌性粒子と上記樹脂フィルムの素材とを、常法に
より混合して得られた混合物を成型フィルム化すること
により得られる。
【0021】成型方法としては、例えばキャスティング
法、エキストルージョン法(例えば、インフレーション
法、Tダイ法、カレンダー法、切削法等)、延伸法を挙
げることができる。
【0022】例えば、キャスティング法では、原料とな
る樹脂フレークを水または有機溶剤に溶解して得られた
樹脂溶液に、さらに抗菌性粒子と、必要により可塑剤等
の添加剤を添加する。次いで、得られた混合物をろ過
し、脱泡した後、平坦な上面を有する金属支持体を水平
に回転させ、上記金属支持体上に上記混合物を流廷し
て、上記樹脂溶液を遠心力によって引き延ばして、上記
抗菌性粒子の粒径と同等もしくは若干薄い厚さを備え、
かつ、上記抗菌性粒子を保持する薄い樹脂フィルムが作
製される。
【0023】上記樹脂フィルムの厚さは、抗菌性粒子の
粒径に応じて調製すればよいが、所定の強度を確保する
必要から、3μm以上が望ましく、経済的に有効に抗菌
性粒子を保持でき、かつ、上記抗菌性粒子の抗菌性を発
揮させるためには、15〜50μmとすることが好ましい。
【0024】また、樹脂フィルムに対する抗菌性粒子の
配合量としては、安定して抗菌性を発揮できる観点か
ら、樹脂フィルム1m2 当り、1〜400 mgが好まし
く、さらに好ましくは2〜100 mgである。
【0025】前記抗菌性手袋は、手袋状に成型され、柔
軟性を有する支持体の外表面および/または内表面に抗
菌性粒子を保持する樹脂フィルムである抗菌性フィルム
を積層させたものでもよい。
【0026】この際、用いる支持体の材料としては、公
知のものを用いることができる。上記材料としては、例
えば、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、SBR樹脂、EVA樹脂、塩化
ビニル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボ
ネイト、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルペン
テン、フッ素樹脂、ポリサルホン、オキシベンゾイルポ
リエステル、ポリブテン等を挙げることができる。
【0027】また、前記支持体は、発泡体の形態で用い
ることもできる。さらに、上記支持体や樹脂フィルムに
顔料や無機物を添加してカラフルな手袋とすることも可
能である。なお、上記支持体の厚さは、用途や構成材料
により異なるが、例えば30〜1000μmとすることが適当
である。
【0028】上記支持体と抗菌性フィルムとを積層させ
る方法としては、従来から知られている、例えば、熱融
圧着同時ラミネート法、共押出複合法、貼り合わせ法、
エキストルージョンラミネート法、ホットメルトラミネ
ート法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法等
いずれも適用できる。
【0029】
【作用】請求項1記載の構成によれば、抗菌性粒子を保
持する樹脂フィルムが延伸されると、まず、抗菌性粒子
に面する樹脂フィルムの上下面となる部位が薄くなり、
さらに上記抗菌性粒子の粒径に対してほぼ同一、あるい
は若干薄い厚さにまで延伸されると破断される。
【0030】これにより、上記構成では、上記のように
延伸した樹脂フィルムに抗菌性粒子の多くが露出した状
態にて保持されることになるから、従来より、抗菌性粒
子をより多く露出させることができる。
【0031】一方、上記構成では、非晶質リン酸カルシ
ウムは、菌を吸着できることから、上記抗菌性粒子の抗
菌性金属イオンの抗菌性を有効に発揮させることが可能
となる。
【0032】請求項2記載の構成によれば、さらに、抗
菌性粒子は、造粒化されているため、その比表面積の大
きい状態を維持しながら、粒径を大きくすることが可能
となる。これにより、上記抗菌性粒子を露出して保持す
る樹脂フィルムの厚さを大きく設定できて、上記樹脂フ
ィルムの強度を向上させることができる。
【0033】請求項3記載の構成によれば、抗菌性粒子
の抗菌性を従来より有効に発揮できる樹脂フィルムを表
面に有することにより、従来と同等の抗菌性を必要とす
る場合には、抗菌性粒子の添加量を軽減でき、一方、従
来と同等の添加量を用いた場合には、より高い抗菌性を
発揮することが可能となる。
【0034】
【実施例】本発明の一実施例について図1ないし図3に
基づいて説明すれば、以下の通りである。抗菌性手袋で
は、図3に示すように、ポリプロピレン製の手袋本体1
5の外表面と内表面に樹脂フィルム16が積層されてい
る。上記手袋本体15は、柔軟性と強度の点から約 500
μmの厚さに形成されている。上記樹脂フィルム16
は、熱可塑性樹脂からなっており、後述するように略球
状の抗菌性粒子を露出して保持しており、例えば、キャ
スティング法にてフィルム状に作製される。
【0035】キャスティング法では、低密度ポリエチレ
ン(MI=7.0 )等の原料となる樹脂フレークを有機溶
剤に溶解して得られた樹脂溶液に、さらに抗菌性粒子
と、必要により可塑剤等の添加剤が添加される。次い
で、得られた混合物をろ過し、脱泡した。
【0036】その後、上記混合物を、水平に回転する金
属板上に上記混合物を流廷して、上記混合物を遠心力に
よって上記金属板の上面上にて上記抗菌性粒子の粒径と
同等もしくは若干薄くなるまで引き延ばして、図1に示
すように、均一な厚さを備え、かつ、上記抗菌性粒子7
の一部を露出するように保持する薄い樹脂フィルム16
が作製される。
【0037】すなわち、上記混合物が延伸されるに伴っ
て、抗菌性粒子7の面する樹脂フィルム16の上下面が
特に薄くなり、抗菌性粒子の粒径と同等もしくは若干薄
くなるまで上記樹脂フィルム16が引き延ばされると、
上記上下面から破断して、抗菌性粒子7が露出すること
になる。
【0038】このような樹脂フィルム16に対する延伸
が完了すると、上記樹脂フィルム16は、その弾性によ
り復元するので、略球状である抗菌性粒子7を強固に保
持するようになっている。
【0039】なお、上記抗菌性粒子7と樹脂溶液とは親
和性がなく、相互に濡れない状態であるから、混合物が
延伸されても、樹脂溶液と抗菌性粒子7とが相互に滑り
易いものとなっている。
【0040】これにより、混合物が延伸されていると
き、上記抗菌性粒子7にかかる応力は滑りによって小さ
く、そのような応力による上記抗菌性粒子7の破砕は防
止される。同様に、抗菌性粒子7に面する樹脂フィルム
16の上下面が破断する際にも、上記抗菌性粒子7に対
してかかる応力は小さく、そのような応力によって上記
抗菌性粒子7が破砕されることは回避される。
【0041】上記樹脂フィルム16の厚さは、抗菌性粒
子7の粒径に応じて調製すればよいが、所定の強度を確
保する必要から、3μm以上が望ましく、経済的に有効
に抗菌性粒子7を露出して保持でき、かつ、上記抗菌性
粒子7の抗菌性を効率よく発揮させるためには、8〜20
μm程度が好ましい。
【0042】また、樹脂フィルム16に対する抗菌性粒
子7の配合量としては、安定して抗菌性を発揮できる観
点から、樹脂フィルム16の1m2 当り、使用条件に応
じて10〜50mgとなるように設定される。なお、図1で
は、上記樹脂フィルム16に対し、さらに表面に凹凸を
設けて表面積を増加させることにより、上記抗菌性粒子
7の露出面積を増加させるためのエンボス加工が施され
ている。
【0043】上記抗菌性粒子7は非晶質リン酸カルシウ
ム(Amorphous Calcium Phosphate:以下、ACPと略
す)粒子に対し、抗菌性金属イオンとしての銀イオンを
吸着させたものである。そこで、上記抗菌性粒子7の製
造方法について説明すると、まず、攪拌下の水酸化カル
シウム懸濁液に、弱アルカリ性の水溶性高分子分散剤と
してのトリアクリル酸アンモニウム塩を 0.5重量%添加
して混合溶液を得た。
【0044】その後、攪拌下の上記混合溶液をリン酸水
溶液の滴下によってpH10に調整することにより、粒径
約0.1μm以下のACP微粒子を含むスラリーを得た。
このように粒径約0.1μm以下のACP微粒子とするた
めには、上記水溶性高分子分散剤の添加によりACP微
粒子の凝集を防止することが必要である。
【0045】上記スラリーをイオン交換水により希釈し
て、ACPの濃度が20重量%となるように調製したAC
Pスラリーを得た。そのACPスラリーに、イオン交換
水に溶解した無水硝酸銀粉末をACPに対して 0.1、
0.5、 0.7、 1.0、10.0 mol%となるようにそれぞれ混
合し、攪拌モータで1時間攪拌して各混合物スラリーを
得た。なお、上記 mol%を重量%に換算するには、上記
mol%の数値に、換算係数1.07をかければよい。
【0046】図2に示すように、ACP粒子1および銀
イオン2を含む上記混合物スラリー3を、定量ポンプ4
によりスプレードライヤー(大川原化工機社製 L−8 )
5に供給する。スプレードライヤー5のアトマイザー6
を高速回転させて、上記混合物スラリー3を、スプレー
ドライヤー5内の乾燥用の熱空気流中に噴霧することに
より、噴霧造粒法により造粒乾燥した。
【0047】造粒乾燥により得られた銀イオン含有AC
P微粉体である略球状の抗菌性粒子7は、サイクロン8
によって平均粒径20μmのものが採取された。このと
き、サイクロン8により採取しきれない超微粉体はバグ
フィルター(図示せず)により別に採取された。
【0048】なお、上記噴霧乾燥造粒における操作条件
は次の通りであった。定量ポンプ4による原料としての
混合物スラリー3の供給量は1〜3kg/hであり、エアフ
ィルター9を介して電気ヒーター10によって加温され
た熱空気の温度は、熱ガス室11の入口温度が 200〜 2
50℃に、サイクロン8に繋がる排出孔12における出口
温度が 100℃を常に越えるように制御され、また、アト
マイザー6の回転数は10000〜37000rpmの範囲内に設定
された。
【0049】また、上記スプレードライヤー5をよりス
ケールアップした2種のスプレードライヤー(大川原化
工機社製 FOC-20,OD-25G、FOC-25,OC-25) を用いて、ス
ラリー供給量を100kg/hrとし、他の条件は上記と同様に
複合粒子を調製したところ、上記スプレードライヤー5
による抗菌性粒子7と同様の抗菌性粒子が得られた。こ
のようにして得られた抗菌性粒子7は真球状であった。
【0050】上記において得られた各抗菌性粒子7につ
いて粉末X線回折法により、上記各抗菌性粒子7の生成
相を調べたところ、図示しないが、得られた抗菌性粒子
7はリン酸カルシウム〔Ca3(PO4)2 ・nH2O〕と銀との複
合体であると同定された。また、上記X線回折パターン
が、ブロードであることから、リン酸カルシウムが非晶
質であることが判る。
【0051】また、上記抗菌性粒子7は、リン酸カルシ
ウム内に銀イオンを取り込んでいて、上記両者の固溶体
状態を形成していることが同定された。つまり、上記リ
ン酸カルシウムの微結晶内や、カルシウムイオンの位置
等に銀イオンが取り込まれていると想定される。
【0052】次に、得られた上記各抗菌性粒子7の比表
面積を測定した。それらの比表面積は、BET法により
測定した。それらの結果は、上各抗菌性粒子7の比表面
積はそれぞれ 100〜110 m2/gの範囲内であった。
【0053】さらに、上記で得られた 0.1、0.5 mol%
となるように銀イオンを有する各抗菌性粒子7の抗菌力
を測定した。比較例1として銀イオンを含有した市販品
の抗菌性アパタイト粒子(銀イオン含有量2重量%のも
の)を用いた。
【0054】試験方法 1.菌液の調製 寒天培地で37℃、18時間培養した試験菌体をリン酸
緩衝液(1/15M、pH7.2)に浮遊させ108 cells/mlの
懸濁液である原液を調整し、その原液を適宜希釈して試
験に用いた。
【0055】2.抗菌性試験(シェークフラスコ法) 各抗菌性粒子7を試料として 0.1gそれぞれ秤量し、上
記リン酸緩衝液 100mlの入った 200ml三角フラスコに入
れ、これに、試験菌懸濁液を約105 cells/mlになるよう
に加えた後、この三角フラスコを25℃±5℃に保ちなが
ら振とうし、経時的に上記三角フラスコ内の菌数を測定
した。使用菌株は次の通り。
【0056】 使用菌株 Escherichia coli(大腸菌) IFO-12734 Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌) IFO-12732 Psedomonas aeruginosa (緑膿菌) IFO-12689 Candida albicans(カンジダ) IFO-1060 使用培地 細菌:Mueller Hinton 2 (BBL) 真菌:ポテトデキストロース寒天培地(栄研) 上記の測定結果を表1〜4に示した。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】このように上記実施例の抗菌性粒子7は、
従来の抗菌性粒子として市販されている前記アパタイト
複合粒子より、抗菌作用が高いことが示された。これ
は、上記各実施例の抗菌性粒子7が、多孔質であるか
ら、菌と接触する面積である比表面積が大きく、その
上、基材として用いたACPが高い菌吸着能(朝日新
聞、1993年1月16日付け夕刊、参照)を有するためと想
定される。
【0062】また、このような抗菌性粒子7は、真球状
であるから、生鮮食品を載せる発泡プラスチックトレイ
等の樹脂成形品等にブレンドするときにも均一に分散さ
れ易いものであり、樹脂成形品に対する混合性を従来よ
り向上できる。
【0063】次に、上記各抗菌性粒子7は、プラスチッ
クシートに配合されて、生鮮食品を載せる発泡プラスチ
ックトレイ等の白色である上記トレイに使用されること
が想定される。このことから、配合された抗菌性粒子7
が有色である場合、上記トレイにゴミや汚れが付着して
いるとユーザーに誤認される虞がある。そこで、上記各
抗菌性粒子7の色について目視にて観察したところ、無
色すなわち白色であった。
【0064】ところで、抗菌性金属イオンを吸着担持し
たハイドロキシアパタイトが抗菌性アパタイト粒子とし
て知られている。上記抗菌性粒子では、スラリー中に添
加して得たものは水中で使用したり、水分を多く有する
物質に接触したりすると抗菌性金属イオンが溶出して抗
菌性が劣化すると共に太陽光や蛍光灯の光が当たると茶
色等に変色していた。
【0065】また、上記のようにして得られた抗菌性ア
パタイト粒子は、高温で処理すると、抗菌性金属イオン
の溶出を抑制できるが、抗菌力が低下し、特に黄色ブド
ウ球菌等に対する抗菌力の低い銀のような抗菌性金属で
は抗菌効果に欠ける。
【0066】しかしながら、上記抗菌性粒子7では、抗
菌性金属イオンの溶出もなく、また、太陽光や蛍光灯の
光による変色も観察されなかった。これにより、上記抗
菌性粒子7は、食品トレイ等の内表面に添加されても、
ゴミや汚れが付着しているとユーザーに誤認される虞が
ない。
【0067】次に、上記で得られた抗菌性粒子7の内、
0.1、 0.5、 0.7 mol%の銀イオンを有する抗菌性粒子
7を粒径30μmに調製し、それら抗菌性粒子7を、得ら
れる樹脂フィルム16の1m2 当りに対し、10、20、3
0、40mgとなるように低密度ポリエチレン(MI=7.0
)にそれぞれ添加し、厚さ20μmにそれぞれ形成した
各樹脂フィルム16…について抗菌力をそれぞれ測定し
た。比較例2として、抗菌性粒子7を添加しない上記低
密度ポリエチレンにて同様に厚さ20μmに調製した樹脂
フィルムを用いた。
【0068】試験方法 1.菌液の調製 試験に用いた菌体の調製 15種類の無機化合物およびビタミン類、ショ糖を含む液
体培地 100mlを入れたフラスコに、奈良県にて採取し
た土壌 0.1gを入れ、25℃で48時間振とう培養した。次
に、上記フラスコを取り出して、5分間静置した後、上
澄み液を 1.0ml取り出し、新たに上記液体培地 100m
lを入れたフラスコに加えて、25℃で48時間振とう培
養した。この操作を2回行った。このようにして得られ
た培養液の一部を取り出し、顕微鏡にて観察したとこ
ろ、上記培養液中の菌体は、均一な白色球状細菌である
ことを確認した。
【0069】抗菌試験 上記で得られた白色球状細菌の培養液を、滅菌生理食塩
水で、10−3まで段階的に希釈し、10-2および10-3
希釈した希釈培養液を菌液として用いた。始めに、滅
菌、溶解した生菌数測定用寒天培地を約20mlずつ滅菌
シャーレに分注し、固化させた。
【0070】このような培地上に10-2および10-3に希釈
した希釈培養液をそれぞれ0.05mlずつ、コンラージ棒
にて均一に塗布した。このような各培地上の中央に、各
樹脂フィルム16…を、1×1cmに裁断したものを載せ
た。その後、シャーレの蓋を締め、パラフィルムにてシ
ールした後、25℃にて培養した。続いて、6時間経過
後、上記各樹脂フィルム16…を各シャーレから取り除
いて、さらに上記各シャーレを培養したところ、上記各
シャーレには菌体のコロニーの発生が観察されなかっ
た。
【0071】一方、同様に、比較例2としての樹脂フィ
ルムを用いた試験では、多数のコロニーが観察された。
これらの結果、本願発明の各樹脂フィルム16は、抗菌
性を有しており、各抗菌性粒子7…が樹脂フィルム16
の表面から露出していることが判る。
【0072】この結果、上記抗菌性粒子7は、菌吸着能
を有する非晶質リン酸カルシウムを抗菌性金属イオンで
ある銀イオンの担体として用いることにより、抗菌性に
優れ、かつ、外観の劣化も回避できるから、生鮮食品等
の食品の食品トレイ等に好適に使用することができる。
【0073】また、上記実施例における樹脂フィルム1
6では、抗菌性粒子7の多くを露出して保持しているか
ら、菌吸着能を有する非晶質リン酸カルシウムを用いる
ことと相まって、抗菌性を従来より向上させたものとな
っている。よって、抗菌性に優れ、かつ、外観の劣化も
回避できるから、生鮮食品等の食品の食品トレイ、医療
用の載置トレイ等に好適に使用することができる。
【0074】さらに、上記樹脂フィルム16を用いた手
袋15では、添加した抗菌性粒子7…の多くを露出させ
ることができるため、上記抗菌性粒子7の抗菌性を有用
に発揮でき、従来のように樹脂層内に埋没する抗菌性粒
子が多い場合と比べると、抗菌性を向上できる。
【0075】したがって、上記手袋15では、従来と同
等の抗菌性があればよい場合、抗菌性粒子7の添加量を
低減できて、銀等の使用量を減少させることが可能とな
るので、従来よりコストダウンを図ることができる。一
方、従来と同等量、抗菌性粒子7を添加すると、従来よ
り抗菌性に寄与する抗菌性粒子7を大幅に増大化できる
から、抗菌性を長期間にわたって安定に維持することが
可能となる。
【0076】このように上記手袋15では、優れた抗菌
性を有し、かつ、その抗菌性を長期間にわたって安定に
維持できるから、食品を取り扱う業務用手袋、医療用手
袋、指先の荒れ防止を目的とした台所用手袋等の各種作
業用手袋に好適に用いることができる。
【0077】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の抗菌性フィルム
は、以上のように、抗菌性金属イオンを有する非晶質リ
ン酸カルシウムからなる抗菌性粒子が、樹脂フィルムに
保持され、かつ、上記樹脂フィルムの延伸によって露出
されている構成である。
【0078】それゆえ、上記構成では、上記樹脂フィル
ムが抗菌性粒子の粒径とほぼ同等か、あるいは若干薄い
厚さまで延伸されることにより、抗菌性粒子の多くを樹
脂フィルムから露出させることができる。一方、非晶質
リン酸カルシウム粒子の有する菌吸着能により、上記抗
菌性金属イオンの抗菌性を有効に発揮させることができ
る。
【0079】この結果、上記構成は、従来より、抗菌性
粒子の樹脂フィルムに対する添加量を軽減できてコスト
ダウンを図ることができるという効果を奏する。
【0080】その上、上記構成は、従来と同等に添加し
た場合、抗菌性に寄与する抗菌性粒子を多くできるた
め、上記抗菌性を長期間にわたって安定に発揮できると
いう効果を奏する。
【0081】本発明の請求項2記載の抗菌性フィルム
は、さらに、上記抗菌性粒子が造粒化さている構成であ
る。
【0082】これにより、上記構成は、大きな比表面積
を維持しながら、樹脂フィルムの厚さを大きくできて、
強度をより向上できる。
【0083】本発明の請求項3記載の抗菌性手袋は、請
求項1または請求項2記載の抗菌性フィルムを表面に有
する構成である。
【0084】これにより、上記構成は、請求項1または
請求項2記載の抗菌性フィルムを表面に用いることによ
り、優れた抗菌性を有し、かつ、その抗菌性を長期間に
わたって安定に維持できるから、食品を取り扱う業務用
手袋、医療用手袋、指先の荒れ防止を目的とした台所用
手袋等の各種作業用手袋に好適に用いることができると
いう効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抗菌性樹脂フィルムの概略断面図であ
る。
【図2】上記抗菌性樹脂フィルムに用いる抗菌性粒子を
作製するのに用いるスプレードライヤーの概略構成図で
ある。
【図3】上記抗菌性樹脂フィルムを用いた手袋の説明で
あり、(a)は上記手袋の一部破断面を示した平面図で
あり、(b)は上記一部破断面の拡大図である。
【符号の説明】
7 抗菌性粒子 16 樹脂フィルム

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抗菌性金属イオンを有する非晶質リン酸カ
    ルシウムからなる抗菌性粒子が、樹脂フィルムに保持さ
    れ、かつ、上記樹脂フィルムの延伸によって露出されて
    いることを特徴とする抗菌性フィルム。
  2. 【請求項2】抗菌性金属イオンを有する非晶質リン酸カ
    ルシウム粒子を造粒化した抗菌性粒子が、樹脂フィルム
    に保持され、かつ、上記樹脂フィルムの延伸によって露
    出されていることを特徴とする抗菌性フィルム。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2記載の抗菌性フィ
    ルムを表面に有することを特徴とする抗菌性手袋。
JP28364693A 1993-11-12 1993-11-12 抗菌性フィルムおよび抗菌性手袋 Pending JPH07138384A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20220045264A (ko) * 2020-10-05 2022-04-12 주식회사 오지피테크 폴리염화비닐계 항균 필름, 이를 위한 마스터 배치 및 항균 필름의 제조 방법
KR102472100B1 (ko) * 2022-03-10 2022-11-30 주식회사 라파 항균성이 향상된 수술용 시트

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