JPH0713186A - 空間光変調素子 - Google Patents

空間光変調素子

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JPH0713186A
JPH0713186A JP17499293A JP17499293A JPH0713186A JP H0713186 A JPH0713186 A JP H0713186A JP 17499293 A JP17499293 A JP 17499293A JP 17499293 A JP17499293 A JP 17499293A JP H0713186 A JPH0713186 A JP H0713186A
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JP
Japan
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light
wavelength
mirror
photoconductor
film
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JP17499293A
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Masanobu Shigeta
正信 茂田
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Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 解像度の低下を招くことなく、バイアス光を
効果的に利用して空間光変調素子の感度の向上を図る。 【構成】 読出し光中の540nm付近の波長の光は、
増反射ミラー部76、短波長ミラー部74で反射され
る。他方、長波長側の光は、それらミラー部74,76
における透過率が大きいため、それらを透過して長波長
ミラー部72に入射する。そして、そのうちの一部が長
波長ミラー部72を透過して光導電体70にバイアス光
として入射し、他は反射又は吸収される。このときの透
過光量は、長波長ミラー部72におけるSiO2膜とS
i膜との積層ペア数を調整することで、最適値に設定さ
れる。このバイアス光の作用によって感度が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば大画面の投射型
ディスプレイ装置に用いられる光書込み型の空間光変調
素子にかかり、更に具体的には特に大きな光増幅率を必
要とする場合に好適な空間光変調素子の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】プロジェクタなどの投射型ディスプレイ
装置に使用される光書込み型の空間光変調素子は、例え
ば図10に示すような構成となっている。同図におい
て、光変調体10の書込み光入射側(矢印FA側)に
は、誘電体ミラー12,遮光膜13,光導電体14,透
明電極16,透明ガラス基板20が順に積層されてい
る。また、光変調体10の読出し光入射側(矢印FB参
照)には、透明電極18,透明ガラス基板24が順に積
層されている。なお、透明ガラス基板20,24には、
いずれも外部からの光入射側に反射防止膜が必要に応じ
て形成される。遮光膜13も、必要に応じて設けられ
る。透明電極16,18には電源26が接続されてお
り、これから出力された駆動電圧が光変調体10や光導
電体14などに印加される構成となっている。
【0003】以上の各部のうち、光変調体10は、例え
ば、液晶配向層30,34間に適宜のスペーサ(図示せ
ず)によって形成されたセル内に液晶を充填した構成と
なっている。誘電体ミラー12は、例えばSiとSiO
2(あるいはTiO2とSiO2)とを交互に複数回蒸着
などの手法で積層した構成となっている。また、光導電
体14としては、例えばa−Si:H(水素化アモルフ
ァスシリコン)やa−SiC:H(水素化アモルファス
シリコンカーバイド)が用いられる。透明電極16,1
8としては、例えばITO(Indium Tin Oxide)やSn
2などが用いられる。
【0004】次に、以上のような空間光変調素子の作用
を説明すると、透明電極16,18間には電源26によ
って交流電圧が予め印加される。この駆動電圧は、光変
調体10,誘電体ミラー12,遮光膜13,光導電体1
4のインピーダンスに応じて各層に配分される。このよ
うな状態で、画像情報を含む書込み光が矢印FAのよう
に空間光変調素子に入射すると、この書込み光は透明ガ
ラス基板20,透明電極16を順に透過して光導電体1
4に到達する。光導電体14では、書込み光が吸収され
てそのインピーダンスが減少するようになる。すると、
光変調体10に配分される駆動電圧が増大することにな
る。すなわち、書込み光の強度分布に対応した電界が光
変調体10に形成されることになる。
【0005】この状態で、読出し光が矢印FBのように
空間光変調素子に入射すると、この読出し光は透明ガラ
ス基板24,透明電極18を順に透過して光変調体10
に到達する。この読出し光は、前記液晶の複屈折などに
よって、書込み光強度分布に対応する変調を受け、更に
誘電体ミラー12で反射されて矢印FCのように空間光
変調素子から出力される。このようにして、空間光変調
素子に書き込まれた画像情報が読み出される。読出し光
は、例えばスクリーンに投影される。空間光変調素子を
用いることによって、高輝度,高解像度の画像表示が可
能となる。特に、光変調体10として垂直配向型の液晶
を用いると、良好なコントラストの画像表示が可能とな
る。
【0006】ところで、このような光書込み型の空間光
変調素子が画像情報変換のための最低感度を有する場合
の画像表示装置としては、特開平4−57030号公報
に開示された光画像情報変換装置がある。これには、光
書込み型の空間光変調素子における画像の書込み感度を
向上させるためには、一定限度の照度のバイアス光を照
射することが液晶の駆動に有効であることが指摘されて
いる。
【0007】そして、感度向上の第1の方法として、画
像の書込み側、すなわち空間光変調素子の光導電体側か
らバイアス光を照射する方法が開示されている。また、
第2の方法として、読出し光が一様に透過する導電体ミ
ラーを設けて読出し光の一部が光変調体側から光導電体
側に透過するようにし、これをバイアス光として利用す
る方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
ような従来技術には次のような不都合がある。まず、第
1の方法では、書込み光の光源以外にバイアス光用の光
源を用意しなければならず、装置の小型化や省力化にと
って不都合である。次に、第2の方法では、格別のバイ
アス光用の光源を用意する必要はないが、読出し光が一
様に透過するため、光源の波長分布によっては光量を最
適にコントロールするのが難しく、却ってコントラスト
が悪化する場合がある。
【0009】詳述すると、光導電体14は書込み光を吸
収することによってインピータンス変化を生じる。この
インピーダンス変化による電界変化が光変調体10に印
加されて良好な感度を得るためには、光導電体14の膜
の厚み方向全体にわたって書込み光が吸収されてインピ
ーダンス変化が生ずる必要がある。別言すれば、書込み
光が光導電体14の膜内部まで達する必要がある。特願
平4−335596号特許出願には、書込み光を80〜
95%吸収するように膜厚を設定すると実用的な感度が
得られるとした空間光変調素子が開示されている。
【0010】光導電体14は、一般に波長によって光吸
収率が異なり、短波長ほど吸収率は大きい。このため、
最適膜厚は書込み光の波長によって大体決まってしま
う。従って、光変調体10に印加される電圧変化を大き
く取りたい、すなわち感度を上げたい場合には、書込み
光として波長の大きいものを使用するとともに、それに
対応して光導電体14の膜厚を厚くするとよいことにな
る。つまり、電源26の駆動電圧のうちの光導電体14
の分圧分を大きくし、これが書込み光入射によるインピ
ーダンス変化によって光変調体10に印加されるように
すると、感度が向上するようになる。しかし、光導電体
14の膜厚の増加は解像度の劣化を招くため、高解像度
化という観点からは避けなければならない。
【0011】上述したバイアス光の利用は、光導電体1
4の膜厚増加を伴わずに、すなわち高解像度で感度の向
上を図ることができるという利点がある。しかし、この
場合も光の波長が重要となってくる。光導電体14に短
波長側の光が入射しても、膜の表面付近にのみ作用する
だけである。更に内部まで作用させようとして短波長光
の光量を上げると、光導電体14の表面が強く感光する
ようになり、感度向上どころか却ってコントラスト比を
悪化させることになる。
【0012】これに対し、長波長側の光は光導電体14
の膜内部に達するため膜全体に効果的である。すなわ
ち、バイアス光としては、長波長側の光の方が有効であ
ることが理解できる。このような理由から、読出し光の
一部をバイアス光として利用する場合、有効な長波長側
の光を最適量透過させることが重要となる。
【0013】ところが、上述した従来の誘電体ミラー1
2や遮光膜13では、遮光したい光の波長と透過させた
い光の波長とを独立にコントロールすることができなか
った。例えば、長波長の光の遮光性を適度に上げようと
すると、一般に遮光膜の遮光性は長波長で低いため、短
波長側から見ると不必要なほどの膜厚になる。図11に
は、遮光膜の光透過率特性の一例が示されている。同図
中、横軸は光の波長を示し、縦軸は光学濃度で数値が大
きいほど透過率が小さいことを示す。つまり、短波長側
で遮光性が高く長波長側で遮光性が低い。このため、長
波長側で十分な遮光性を得るように膜厚を大きくする
と、そもそも遮光性がよい短波長側では必要以上に膜厚
が大きくなってしまうことになる。そして、このような
遮光膜の膜厚増加は感度低下や解像度悪化の原因ともな
る。
【0014】これとは別の方法として、読出し光源の光
量をコントロールしてバイアス光の光量を最適化する方
法も考えられる。ところが、例えば光導電体14がa−
Si:Hなどの場合、最大感度が700nm付近の近赤
外にあるため、可視光域の光量を全く変化させずに近赤
外の帯域の光量だけをコントロールすることは困難であ
る。また、フィルタなどを利用して無理に近赤外光のみ
をコントロールしようとすると、今度は読出し光のロス
が大きくなり、表示画像が暗くなるという不都合が生ず
る。
【0015】本発明は、これらの点に着目したもので、
解像度の低下を招くことなく、バイアス光を効果的に利
用して書込み感度の向上を図ることができる空間光変調
素子を提供することを、その目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、駆動電源に接続された透明電極間に少な
くとも光導電体、誘電体ミラー、光変調体が積層されて
おり、光書込み手段によって光導電体に情報を書込むと
ともに、読出し手段から出力された読出し光を光変調体
により書込み情報に対応して変調し、変調後の読出し光
を誘電体ミラーで反射して出力する空間光変調素子にお
いて、前記誘電体ミラーは、読出し光の略中心波長がそ
の設定波長である第1のミラー部と、読出し光のうちの
書込み光波長と同程度以上の長波長の光を、光導電体側
にバイアス光として必要量透過する第2のミラー部とを
備えたことを特徴とする。
【0017】
【作用】本発明によれば、読出し光のうちの中心波長付
近の光は、光変調体による変調を受けた後主として第1
のミラー部によって反射されて出力される。しかし、読
出し光中の長波長側の光は、その一部が第2のミラー部
を透過して光導電体側に透過する。このとき、第2のミ
ラー部の膜厚を調整することで、透過光量が制御され
る。光導電体側に透過した長波長側の読出し光はバイア
ス光として作用し、感度の向上に寄与する。
【0018】
【実施例】以下、本発明による空間光変調素子の一実施
例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、上述した従来技術と同一の構成部分又は従来技術
に対応する構成部分には、同一の符号を用いることとす
る。
【0019】<透過率変化の前提構成>最初に、図1〜
図4を参照しながら、本実施例における透過率変化の前
提構成について説明する。図1に示すように、ガラス基
板50上に、光学膜厚λ/4(実際の膜厚d=λ/4
n、n:膜の屈折率、λ:光の波長)のSiO2膜52
とSi膜54を交互に積層してサンプルを得る。SiO
2膜52の成膜は酸素イオンビームアシスト蒸着法によ
って行われ、その成膜速度は10Å/sである。また、
Si膜54の成膜は真空蒸着法によって酸素ガス圧2×
10-6Torr中で行われ、その成膜速度は3Å/sであ
る。基板温度はいずれも室温である。
【0020】図2〜図4には、設定波長をλ=440n
m、540nm、及び710nmとして、SiO2膜5
2とSi膜54の積層ペア数を変化した場合の透過率特
性がそれぞれ示されている。まず、図2から説明する
と、設定波長のλ=440nmにおいて、積層ペア数が
2→3→5と大きくなるほど光学濃度が増大、すなわち
透過率が減少している。次に、図3についてみると、設
定波長のλ=540nmにおいて、積層ペア数が2→3
→4→5と大きくなるほど同様に透過率が減少してい
る。次に、図4についても同様で、設定波長のλ=71
0nmにおいて、積層ペア数が4→5→6と大きくなる
ほど同様に透過率が減少している。このように、SiO
2膜52とSi膜54の積層ペア数を変えることによっ
て、設定波長λ付近の光透過率を変化させることができ
る。
【0021】次に、図5及び図6を参照しながら、以上
のような透過率特性の変化を利用した誘電体ミラーの構
成例について説明する。図5(A)は本実施例にかかる
サンプルで、設定波長λが710nmでSiO2膜52
とSi膜54とを6ペア積層した長波長ミラー部60
と、設定波長λが540nmでSiO2膜52とSi膜
54とを5ペア積層した短波長ミラー部60とを積層し
た構成となっている。つまり、2つの波長に対するミラ
ー構成となっている。同図(B)のサンプルは、設定波
長λが540nmでSiO2膜52とSi膜54とを1
0ペア積層した構成となっている。つまり、単一波長に
対するミラー構成となっている。
【0022】図6には、以上のようなサンプルの透過率
特性がそれぞれ示されている。同図中、本実施例にかか
るサンプルはグラフGA,従来技術のサンプルはグラフ
GBである。グラフGAは、図3の積層ペア数5のグラ
フと図4の積層ペア数6のグラフを加えたものに概略近
似する。また、グラフGBは、図3でペア数を10とし
た場合に相当する。
【0023】まず図3の各グラフと図6のグラフGBと
を比較すると、従来の単一波長のミラー構成では、層数
を増加しても700nm以上の透過率を変化させる(光
学濃度を上げる)ことができないことが分る。これに対
し、本実施例にかかる2波長のミラー構成では、グラフ
GA,GBを比較すれば明らかなように、長波長側にお
ける透過率が変化している。これからすると、2波長の
ミラー構成において積層ペア数を適宜設定することで、
バイアス光の波長とその透過量を制御することができる
ことが分る。
【0024】<本実施例のサンプル>次に、以上のよう
な手法を適用した空間光変調素子の実施例について説明
する。図7に示すように、ITO膜付ガラス基板(図示
せず)上に、Bを0.3ppmドープしたa−Si:H
による厚さ20μmの光導電体70をCVD法によって
形成する。この上に、光学膜厚λ/4(実際の膜厚d=
λ/4n n:膜の屈折率、λ=710nm)のSiO
2膜とSi膜を交互に数ペア積層して、長波長ミラー部
72を形成する。なお、長波長ミラー部72の積層ペア
数は、サンプル1が4ペア、サンプル2が5ペア、サン
プル3が6ペアである。
【0025】続いて、光学膜厚λ/4(λ=540n
m)のSiO2膜とSi膜を交互に3層ずつ積層して短
波長ミラー部74を形成する。更に、光学膜厚λ/4
(λ=540nm)のSiO2膜とTiO2膜を交互に2
層ずつ積層するとともに、その上に光学膜厚λ/2(λ
=540nm)のSiO2膜を1層加えて、遮光膜を兼
ねた反射膜である増反射ミラー部76を形成する。
【0026】なお、SiO2及びTiO2の成膜は酸素イ
オンビームアシスト蒸着法によって行われ、成膜速度は
それぞれ10Å/s、1Å/sである。また、Siの成
膜は真空蒸着法によって酸素ガス圧2×10-6Torr中で
行われ、成膜速度は3Å/sである。基板温度はいずれ
も室温である。
【0027】このようにして得た誘電体ミラー78が形
成された基板と、もう一つのITO付基板に垂直配向処
理をそれぞれ施すとともに、スペーサを介して張り合わ
せ、チッソ社製のネマチック液晶「EN−38」を注入
して光変調体80とし、図10に示した空間光変調素子
を作製した。
【0028】<比較例のサンプル>以上のような本実施
例の各サンプルと特性を比較するため、従来例にかかる
サンプルを作製した。まずサンプルAから説明すると、
図8に示すように、ITO膜付ガラス基板(図示せず)
上に、Bを0.3ppmドープしたa−Si:Hによる
厚さ20μmの光導電体70をCVD法によって形成す
る。この光導電体70は前記実施例のサンプルと同様で
ある。この上に、光学膜厚λ/4(λ=540nm)の
SiO2膜とSi膜を交互に9層ずつ積層して短波長ミ
ラー部82を形成する。更に、光学膜厚λ/4(λ=5
40nm)のSiO2膜とTiO2膜を交互に2層ずつ積
層するとともに、その上に光学膜厚λ/2(λ=540
nm)のSiO2膜を1層加えて、遮光膜を兼ねた反射
膜である増反射ミラー部76を形成する。
【0029】このように、サンプルAは、図7に示す実
施例のサンプルの長波長ミラー部72及び短波長ミラー
部74を単一波長の短波長ミラー部82とした構成とな
っている。なお、製膜条件は前記実施例と同様である。
こうして得た誘電体ミラー90が形成された基板を用い
て、前記実施例と同様にして空間光変調素子を作製し
た。
【0030】次に、従来例のサンプルB〜Dについて説
明すると、図9に示すように、光導電体70上にCdT
eによる遮光膜92をスパッタ法により形成する。この
遮光膜92の厚さは、サンプルBが1.0μm、サンプ
ルCが2.2μm、サンプルDが2.9μmである。こ
れらの遮光膜92上に、光学膜厚λ/4(λ=540n
m)のSiO2膜とTiO2膜を交互に6層ずつ積層する
とともに、最後に光学膜厚λ/2(λ=540nm)の
SiO2膜を1層加えた増反射ミラー部94を形成す
る。なお、製膜条件は前記実施例と同様である。こうし
て得た誘電体ミラー96が形成された基板を用いて、前
記実施例と同様にして空間光変調素子を作製した。
【0031】<特性の比較>次に、以上のようにして得
た実施例のサンプル1〜3と従来例のサンプルA〜Dの
各空間光変調素子について、特性の評価を行った結果を
表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】なお、透過率特性を測定した書込み光光源
としては、波長730nmのLEDを用い、書込み光パ
ワーは50μW/cm2である。また、読出し光光源と
しては300Wのキセノンランプを用い、その出力光に
中心波長540nm、半値幅90nmのバンドパスフィ
ルタを通して得らたものを読出し光として用いている。
また、空間光変調素子の駆動周波数は5kHzとした。
同表中コントラスト比は、バイアス電圧(駆動電圧)を
光変調体の液晶が動き始める直前の値に設定したときの
書込み光のONとOFFにおける読出し光の輝度の比で
表わしている。
【0034】次に、この表1の結果を検討する。実施例
にかかるサンプル1〜3の結果を見ると明らかなよう
に、長波長ミラー部72(図7参照)の積層ペア数を変
えることによって、解像度の低下を招くことなくコント
ラスト比が変化しており、バイアス光量がコントロール
されていることが分る。すなわち、読出し光中の540
nm付近の波長の光は、増反射ミラー部76、短波長ミ
ラー部74で反射される。他方、長波長側の光は、それ
らミラー部74,76における透過率が大きいため(図
3参照)、それらを透過して長波長ミラー部72に入射
するようになる。そして、そのうちの一部が長波長ミラ
ー部72を透過して光導電体70にバイアス光として入
射し、他は反射又は吸収されることになる。
【0035】表1の結果からすると、積層ペア数が5の
場合に読出し光の輝度が最も高くなる。入射光量が同じ
あるから、輝度が高くなるということは感度が向上した
ことになる。これに対し、従来例のサンプルAは、解像
度は8と良いものの、長波長ミラー部がないために読出
し光中の長波長の光、すなわち近赤外光がほとんど光導
電体側に透過してしまう。このため、コントラスト比が
2:1と大幅に低下している。
【0036】次に、従来例のサンプルB〜Dは、遮光膜
92によってバイアス光量をコントロールしたものであ
る。これらの結果を見ると、遮光膜92が1.0μmと
薄いと透過光量が多すぎてコントラスト比が10:1と
低下する(サンプルB)。そこで、遮光膜92の膜厚を
1.0→2.2→2.9μmと厚くすることで対応する
ことになるが、今度は解像度が8→10→12と悪化す
るようになる(サンプルC,D)。従って、本実施例の
ように解像度の低下が生じないようにコントラスト比の
みを改善することはできない。
【0037】このように、本実施例によれば、長波長ミ
ラー部72の積層数を適宜設定することで、読出し光中
の長波長側の光が最適量だけ光導電体側に透過してバイ
アス光として作用するので、解像度の低下を招くことな
く、書込み感度の向上を図ることができる。従って、格
別なバイアス用の光源を必要とせず、装置の小型化や省
力化に貢献する。
【0038】<他の実施例>なお、本発明は、何ら上記
実施例に限定されるものではなく、例えば次のようなも
のも含まれる。 (1)前記実施例では、誘電体ミラーとしてSiO2
Siを交互に形成したものを用いたが、SixGe1-x
SixGeyz、及びそれらの水素化物、Gex(A12
3yなどの光吸収性を有する材料を用いた誘電体ミラ
ーを用いるようにしてもよい。また、SiO2/TiO2
の組み合わせによるものやその他の光吸収性のない誘電
体ミラーを用いてもよい。
【0039】(2)前記実施例で示した長波長ミラー部
の設定波長の値は、光導電体70として用いたa−S
i:Hの光吸収特性に対応するものである。従って、光
導電体70として他の光導電材料を用いる場合にはそれ
に対応して変更するようにする。同様に、短波長ミラー
部などは、読出し光波長に対応して設定波長を変更する
ようにすればよい。各ミラー部の積層数は、良好な解像
度と感度が得られるように適宜設定するようにする。 (3)更に、前記実施例において、長波長及び短波長の
ミラー部に遮光膜を組み合わせるようにしてもよい。
【0040】(4)前記実施例では、光導電体側に長波
長ミラー部、光変調体側に短波長ミラー部を配置した
が、逆の配置としてもよい。この場合、540nm付近
の読出し光に長波長ミラー部の透過率が作用するので多
少減衰するようになる。また、長波長ミラー部を透過し
たバイアス光には短波長ミラー部の透過率が作用する
が、これは前記実施例の場合と同様である。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による空間
光変調素子によれば、読出し光のうちの書込み光と同程
度以上の長波長の光を最適量透過する長波長ミラー部を
設けることとしたので、解像度の低下を招くことなく感
度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空間光変調素子における透過率変化の
基本的な前提構成を示す説明図である。
【図2】前記前提構成の積層ペア数と透過率変化を示す
グラフである。
【図3】前記前提構成の積層ペア数と透過率変化を示す
グラフである。
【図4】前記前提構成の積層ペア数と透過率変化を示す
グラフである。
【図5】本実施例と従来例の誘電体ミラーの基本的構成
を示す説明図である。
【図6】本実施例と従来例の誘電体ミラーの透過率特性
を比較して示すグラフである。
【図7】本実施例にかかるサンプルの構成を示す説明図
である。
【図8】従来例にかかるサンプルの構成を示す説明図で
ある。
【図9】従来例にかかるサンプルの構成を示す説明図で
ある。
【図10】空間光変調素子の一般的な構成を示す説明図
である。
【図11】遮光膜の透過率特性の一例を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
10,80…光変調体、12,78,90,96…誘電
体ミラー、13,92…遮光膜、14,70…光導電
体、26…電源、60,72…長波長ミラー部(第2の
ミラー部)、62,74,82…短波長ミラー部(第1
のミラー部)、76,76,94…増反射ミラー部。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動電源に接続された透明電極間に少な
    くとも光導電体、誘電体ミラー、光変調体が積層されて
    おり、光書込み手段によって光導電体に情報を書込むと
    ともに、読出し手段から出力された読出し光を光変調体
    により書込み情報に対応して変調し、変調後の読出し光
    を誘電体ミラーで反射して出力する空間光変調素子にお
    いて、 前記誘電体ミラーは、読出し光の略中心波長がその設定
    波長である第1のミラー部と、読出し光のうちの書込み
    光波長と同程度以上の長波長の光を、光導電体側にバイ
    アス光として必要量透過する第2のミラー部とを備えた
    ことを特徴とする空間光変調素子。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102937752A (zh) * 2012-11-26 2013-02-20 中国科学院长春光学精密机械与物理研究所 一种电主动调制的近红外薄膜型滤波器件

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102937752A (zh) * 2012-11-26 2013-02-20 中国科学院长春光学精密机械与物理研究所 一种电主动调制的近红外薄膜型滤波器件

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