JPH0712994U - からくり時計の装飾装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 限られたスペース内で可及的に大きな動作が
可能で、故障の少ない信頼性に富んだ構造・機構で、機
構が簡単で製作が容易で、製作費も低廉なからくり時計
の装飾装置を提供すること。 【構成】 裏面に駆動装置を配設した支持体と、該支持
体の前面に配置され、前記駆動装置により上下動作を行
う人形台と、該人形台に配置される人形と、を有し、前
記駆動装置は、前記支持体の裏面に固定したモータと、
前記支持体の裏面縦方向に回転可能に固定され、前記モ
ータの駆動力により回転する送りネジと、前記送りネジ
と螺合するナット及びこのナットに固着した水平板と、
前記人形台の裏面上部に固定されて該人形台とともに上
下方向に動作し、その下部が前記支持体の裏面において
前記水平板に固定される軸部材と、を備えた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、主に掛時計に用いられるからくり時計の装飾装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

からくり時計は、時計体内又は時計体に付属して設置される人形等のからくり 装置が、通常は正時（１時、２時、…という具合に、時計の長針が文字板の「１ ２」を指す時）になると所定の動作を行う時計であり、小型のものは置時計、掛 時計から、大型のものは建物の壁面や独立搭に設置されるものまで、多種多様の ものが知られている。また、からくり時計における装飾装置の動きの態様は種々 であって、例えば扉が開いて人形等が出てくるもの、出てきた人形が動くもの、 その動作も上下、左右や回転するものであったり、また、同時にオルゴール音そ の他の音響がもたらされるもの、照明のなされるもの等、大小のからくり時計に よって、それぞれ異なる態様を有している。

【０００３】 ところで、掛時計に設けられるからくり時計の装飾装置は、掛時計が壁面や柱 等に設置される関係上、大きさに限界があり、大きいものは、時計体の上部又は 下部に該時計体と別個に設けられるものも存するが、時計体との関係上、装飾装 置自体をあまり大きくすることができない。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

この種の掛時計に用いられる装飾装置において、時計体内に設けられるものは 一定のスペース上の限界が存在している。すなわち、装飾装置自体、可及的に大 きな動作が可能であっても、その動作をもたらす機構そのものが当該スペースに 納まり切れないため、装飾装置に一定の制約があることは否めない。特に、時計 体の前面にはガラスが設けられているため、大きな動作を行うには、装飾装置の 可動体が上下又は左右方向に移動することとなる。そして、上述のように、装飾 装置はガラスの内側に存在するので、構造・機構が故障の少ない信頼性に富んで いるものが要求される。他方、機構が簡単で製作が容易であり、製作費も低廉な ものが望まれる。

【０００５】 そこで、本考案は、掛時計に用いられる装飾装置において、限られた一定のス ペース内で可及的に大きな動作が可能であり、しかも故障の少ない信頼性に富ん だ構造・機構であって、機構が簡単で製作が容易であり、製作費も低廉な装置を 提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

すなわち本考案は、実施例で用いた符号を付して記すと、裏面に駆動装置６を 配設した支持体５；該支持体の前面に配置され、前記駆動装置により上下動作を 行う人形台３，４；該人形台に配置される人形２，２；とを有し、前記駆動装置 は、前記支持体の裏面に固定したモータ７；前記支持体の裏面縦方向に回転可能 に固定され、前記モータの駆動力により回転する送りネジ８；前記送りネジと螺 合するナット９及びこのナットに固着した水平板１０；前記人形台の裏面上部に 固定されて該人形台とともに上下方向に動作し、その下部が前記支持体の裏面に おいて前記水平板に固定される軸部材１１；とを備えたからくり時計の装飾装置 である。

【０００７】 なお、上記符号は説明の便宜のためのものであって、本考案はこれらの符号に 係る具体的な部材に限定されないことは勿論である。

【０００８】

【作用】

前記構成の本考案は、例えば正時等の所定の時刻にからくり動作のスイッチが 入ると、モータが回転駆動し、これに伴い送りネジが回転する。前記送りネジと 螺合するナット及びこのナットに固着した水平板は上昇し、前記水平板に固定さ れた軸部材が上昇する。前記軸部材が上昇すると、当該軸部材の上部に連係する 人形台と、該人形台に配置されている人形が上昇する。前記送りネジは所定時間 （所定回転数）回転すると停止し、人形台及び人形は上昇位置で停止する。

【０００９】 ここで、本考案の構成要素には含まれていないが、後記実施例の場合は、ＩＣ のメロデイ回路及び発音体から一定時間（数秒）メロデイが流れる。

【００１０】 所定時間後、モータは逆回転駆動して、送りネジが逆回転し、ナット及びこの ナットに固着した水平板、前記水平板に固定された軸部材、前記軸部材の上部に 連係する人形台及び人形が、下降する。所定の位置までくると、モータの駆動は 停止し、これに伴って人形台及び人形の動作も停止する。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案を図示の一実施例に基いて説明する。図１は、本考案の装飾装置 を設置した掛時計を示し、この装飾装置を取り出して拡大したものが図２に示す ものである。なお、本考案の装飾装置１は、この実施例では、掛時計の内部に収 納されているとともに、時計文字板の下部に設置され、そして、複数の人形２， ２が、ステージを構成する人形台（第１の人形台３と第２の人形台４）に配置さ れ、後に詳述する駆動装置により、これらの人形２，２は人形台とともに上下方 向に移動する。

【００１２】 図３は、装飾装置１の背面側を示すもので、図２における人形２，２の上下位 置と対応している。５は支持体で、この支持体５の正面側には前記人形台３が上 下移動可能に配置され、該支持体５の裏面には、第１の人形台３を上下駆動する 駆動装置６が配設されている。また、各人形２，２は、各人形台３，４の箱状部 材３ａ，４ａの上に乗って、ハンマー２ａ，２ａをそれぞれの右手に把持してい る。各右手は、内蔵されているソレノイドで腕を振るように駆動可能に設けられ ており、装置駆動時に、人形台３，４が上昇した際、ソレノイドが駆動して、あ たかもベルＢ，Ｂを打つかのような動作を行う（後掲の図７参照）。なお、後に 詳述するように、第２の人形台４は、第１の人形台３の左右の載置部３ｂに設置 されている。

【００１３】 前記支持体５は、装飾装置１の構成部材のほとんど全てを載置・保持し、時計 体に固着される。５ａは取付け用のネジ穴であり、これに図示を省略したビスを 挿入して、支持体５を時計体に止着する。５ｂは段部で、前記第２の人形台４の 下降時のストッパーとなる。また、図４に示すように、支持体５の前面には、上 下方向に設けられた突条５ｃが左右に一対形成されている。この突条５ｃに対応 して、第１の人形台３の裏面にも、上下方向の突条３ｃが一対、前記突条５ｃの 内側に形成されている。これらの突条３ｃ，５ｃの存在により、第１の人形台３ の上下移動が規制されて安定化する。

【００１４】 前記駆動装置６は、前記支持体５の裏面に固定したモータ７、該モータの駆動 力により回転する送りネジ８、該送りネジと螺合するナット９及びこのナットに 固着した水平板１０、該水平板に固定される軸部材１１で構成されている。

【００１５】 モータ７は、その出力軸７ａを下向きにして、該軸７ａにプーリ７ｂを固着し 、前記送りネジ８の下部に固設したプーリ８ｂとの間にベルト１２を巻回して、 モータ７の駆動力を送りネジ８へ伝達している。なお、８ａは送りネジ８の下端 を支持する受け金具、８ｃは上部の受け金具である。

【００１６】 前記送りネジ８と螺合するナット９は、前述のように、これに水平板１０が固 着されているので、ナット９自体は回転せず、専ら送りネジ８の回転に伴って上 下移動する。このナット９が送りネジ８の上下端部に到達すると、該送りネジ８ の上下端部の近傍に設置したリミットスイッチ１３，１３と当接して、その到達 のなされたことが判別される。

【００１７】 前記水平板１０に固定される軸部材１１は、その上端が第１の人形台３の裏面 に突設した突片３ｄに固着されている。また、前記支持体５の裏面上部に設けら れた板部材５ｄに軸部材１１を挿通して、該軸部材の上下動作を規制・案内して いる。

【００１８】 前記駆動装置６により上下方向の動作を行う人形台は、前記のように、軸部材 １１を備えた中央の第１の人形台３と、該人形台の左右に設置される第２の人形 台４とから構成され、前記第２の人形台４は、前記第１の人形台３に対し上下移 動可能に設けられるとともに、弾性部材１４により該第１の人形台３に引張られ て保持されている。すなわち、図４において、第１の人形台３の左右の載置部３ ｂに設置される第２の人形台４は、前記のように、箱状部材４ａを備え、この箱 状部材４ａの片側（第１の人形台の側）に設けてある下向き突片４ｂが、前記第 １の人形台３の左右の載置部３ｂと箱状部材３ａ間に設けられた溝部３ｅに係合 することにより、第２の人形台４は、前記第１の人形台３に対し上下移動可能に 設けられる。また、第２の人形台４の箱状部材４ａのもう一方の片側には、下端 を横方向に突設した垂下片４ｃを設けている。この垂下片４ｃは、第２の人形台 ４が上下移動を行う場合において、下降した際、前記支持体５の段部５ｂと当接 して、所定の位置で停止をするためのストッパーとなる。

【００１９】 また、第２の人形台４の箱状部材４ａと、第１の人形台３の箱状部材３ａとの 間には、コイルばね等の弾性部材１４を装着して、第２の人形台４を前記第１の 人形台３に常時、引張っている。これにより、第２の人形台４は、前記第１の人 形台３に単に載置されているだけでなく、引張られることにより、その載置状態 が安定化する。なお、前記弾性部材１４は、その上部分が第２の人形台４の箱状 部材４ａに隠蔽され、また、下部分は時計の装飾部材１５に隠蔽されており、従 って、時計の正面からは見えないようになされている。

【００２０】 次に、本考案に係る装飾装置の動作を説明する。

【００２１】 本実施例では、正時にからくり動作のスイッチが入るように構成されており、 そして正時になると、モータ７が回転駆動し、出力軸７ａ、プーリ７ｂ、ベルト １２、プーリ８ｂを介して、送りネジ８が回転する。送りネジ８が回転すると、 該送りネジと螺合するナット９及びこのナットに固着した水平板１０は上昇し、 該水平板に固定された軸部材１１が上昇する。軸部材１１が上昇すると、当該軸 部材の上部に連係する第１の人形台３と、その箱状部材３ａに配置されている人 形２，２が上昇する。

【００２２】 第１の人形台３が上昇を始めて暫くは、第２の人形台４は、静止している。す なわち、第２の人形台４の初期設定位置は、図２に示されるように、その垂下片 ４ｃが支持体５の段部５ｂに当接・載置して、第１の人形台３の載置部３ｂに載 置されていない状態にあり、そして、第１の人形台３が上昇を始めても、その載 置部３ｂが第２の人形台４を引上げるまでは、当初の位置に静止している。この 第２の人形台４の静止状態は、とりわけ弾性部材１４が第２の人形台４を下方へ 引張っているので、第１の人形台３の前記載置部３ｂが第２の人形台４を引上げ るまで持続される。

【００２３】 第１の人形台３の上昇が進み、図５及び図６に示す状態に至ると、第１の人形 台３の前記載置部３ｂが第２の人形台４の箱状部材４ａと嵌合する位置に至り、 この状態から更に第１の人形台３の上昇が進むと、第１の人形台３の前記載置部 ３ｂが第２の人形台４を保持しながら引上げて行く。

【００２４】 更に第１の人形台３の上昇が進んで、前記ナット９が上部のリミットスイッチ １３に当接すると、スイッチがオフとなって駆動装置６が停止し、人形台３，４ 及び人形２，２は上昇位置で停止する（図７及び図８参照）。ここで、ＩＣのメ ロデイ回路及び発音体から一定時間（数秒）メロデイが流れ、これに歩調を合わ せて各人形２，２の右腕が動き、ハンマー２ａ，２ａであたかもベルＢ，Ｂを打 つかのような動作を行う（図７参照）。これは、前述したように、内蔵されてい るソレノイドが作動して、腕が肩の部位を支点に揺動を行うことによりなされる ものである。なお、この実施例では、ハンマー２ａ，２ａの動きに対応して、ベ ルＢに内装されている発光素子が点滅するように構成されている。

【００２５】 所定時間後、モータ７は逆回転駆動し、送りネジ８が逆回転し、ナット９及び このナットに固着した水平板１０、前記水平板に固定された軸部材１１、前記軸 部材の上部に連係する人形台３，４及び人形２，２が、下降し始める。

【００２６】 第２の人形台４は、箱状部材４ａが第１の人形台３の載置部３ｂに載置されて いるので、第１の人形台３の下降に伴って一緒に下降し、そして、前述したよう に、図５及び図６の位置、つまり箱状部材４ａが装飾部材１５のステージライン にほぼ連なる位置にくると、箱状部材４ａの前記垂下片４ｃが支持体５の段部５ ｂに当接するので、箱状部材４ａの下降はこの位置で停止する。従って、左右の 人形２，２も前記ステージライン上で静止する。

【００２７】 爾後、第１の人形台３は、モータ７の回転駆動により下降を続け、ナット９が 下部のリミットスイッチ１３に当接すると、スイッチがオフとなって駆動装置６ が停止し、人形台３及び人形２，２は下降位置で停止する（図２及び図３参照） なお、第２の人形台４は、第１の人形台３の前記載置部３ｂが図５及び図６に示 す位置より更に下降して、弾性部材１４によって下方へ引張られるので、第２の 人形台４及びこれに載置される人形２，２の静止状態は安定的に図られている。

【００２８】

【考案の効果】

本考案は、以上説明したように構成され、駆動機構が基本的にモータと送りネ ジ及び螺合ナットによる信頼性のある構成要素で組立てられているので、動作の 展開を大きくすることができる一方で、構造・機構の故障の少ない装飾装置を得 ることができる。更に、本考案は、これらの基本的部材に、螺合ナットに固着し た水平板とこれに固定される軸部材で駆動装置を構成しているので、部材点数が 少なく、従って機構が簡単で製作容易な装飾装置を得ることができる。

【００２９】 このように、本考案によれば、掛時計に用いられる装飾装置において、限られ た一定のスペース内で可及的に大きな動作が可能であり、しかも故障の少ない信 頼性に富んだ構造・機構が得られ、更に機構が簡単で製作が容易であり、製作費 も低廉な装置を提供することができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の装飾装置を設置した掛時計の正面図。

【図２】本考案の装飾装置の一実施例を示す正面図。

【図３】本考案の装飾装置の一実施例を示す背面図。

【図４】人形台を一部分解して示す斜視図。

【図５】本考案の装飾装置の一実施例を示す正面図であ
って、中央の人形台を上昇させた状態を示す図。

【図６】本考案の装飾装置の一実施例を示す背面図であ
って、中央の人形台を上昇させた状態を示す図。

【図７】本考案の装飾装置の一実施例を示す正面図であ
って、中央及び左右の人形台を上昇させた状態を示す
図。

【図８】本考案の装飾装置の一実施例を示す背面図であ
って、中央及び左右の人形台を上昇させた状態を示す
図。

【符号の説明】

１ 装飾装置 ２ 人形 ３ 第１の人形台 ３ａ 箱状部材 ４ 第２の人形台 ４ａ 箱状部材 ５ 支持体 ６ 駆動装置 ７ モータ ８ 送りネジ ９ ナット １０ 水平板 １１ 軸部材

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 裏面に駆動装置を配設した支持体と、 該支持体の前面に配置され、前記駆動装置により上下動
   作を行う人形台と、該人形台に配置される人形と、を有
   し、 前記駆動装置は、前記支持体の裏面に固定したモータ
   と、 前記支持体の裏面縦方向に回転可能に固定され、前記モ
   ータの駆動力により回転する送りネジと、 前記送りネジと螺合するナット及びこのナットに固着し
   た水平板と、 前記人形台の裏面上部に固定されて該人形台とともに上
   下方向に動作し、その下部が前記支持体の裏面において
   前記水平板に固定される軸部材と、 を備えたことを特徴とするからくり時計の装飾装置。
2. 【請求項２】 前記駆動装置により上下方向の動作を行
   う人形台は、前記軸部材を備えた中央の第１の人形台
   と、該人形台の左右に設置される第２の人形台とから構
   成され、前記第２の人形台は、前記第１の人形台に対し
   上下移動可能に設けられるとともに、弾性部材により該
   第１の人形台に引張られて保持されていることを特徴と
   する請求項１記載のからくり時計の装飾装置。