JPH0712769Y2 - ボールバルブにおける飛出し防止ステム - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ボールバルブのステム
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のボールバルブを図５に示す。この
ボールバルブは、フランジ(２)(３)を有する弁箱(１)
と、フランジ(２)(３)の中間の弁室内に配置された弁体
(４)とを有し、弁箱(１)および弁体(４)には、軸線方向
の流路(５)(６)が設けられている。弁体(４)を回動する
ことにより、流路(５)と流路(６)との開口面積を変え
て、流量を変えたり、遮断したりすることができる。

【０００３】弁体(４)を回動するために、ステム(７)の
下端部の突起(８)が、弁体(４)の上端部に設けた溝(９)
に係合されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】上記従来の技術におい
ては、ステム(７)は、弁箱(１)の弁室側から、挿入され
る。すなわち、図６に示すように、ステム(７)が流体圧
により飛び出すのを防止するために、ステム(７)におけ
る突起(８)の上部に、大径のフランジ(10)が設けられ、
このフランジ(10)が、弁箱(１)の弁室の上部に形成され
た内向段部(11)と係合しうるようになっている。

【０００５】このように、ステム(７)を弁箱(１)の内側
から挿入するようにすると、組み立てが困難かつ面倒と
なる。本考案は、ステムを弁箱の外部から挿入して取り
付けうるようにすることにより、ボールバルブの組み立
てを容易にできるようにしたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案は、ステムと係合
した弁体を回動することにより流量を調整するようにし
たボールバルブにおいて、下端に大径の突起を有するス
テムを、弁箱におけるステム挿入孔へ上方から挿入しう
るように、同挿入孔よりも小径とし、ステムとステム挿
入孔との間隙内に、保持筒を介挿するとともに、保持筒
に、その肉厚よりも大径の鋼球を、内外移動しうるよう
にして設け、かつステムの外周面並びに弁箱の挿入孔の
内面に前記鋼球の一部が嵌入しうる断面半球状の凹所を
設け、ステムを挿入孔へ浅く挿入したときには、鋼球
は、ステムの凹所と保持筒にのみ係合して、ステムを、
保持筒とともに挿入孔内を摺動させうるようにし、ステ
ムを挿入孔へ深く挿入した際には、鋼球は、保持筒と挿
入孔内の凹所にのみ係合して、保持筒を挿入孔内の一定
位置に保持するとともに、ステムは保持筒内を摺動しう
るように、関係各部の寸法を定めたことにより、上記課
題を解決するものである。

【０００７】

【作用】ステムが上昇した位置にある時には、硬球は、
ステムにおける凹所と保持筒とで保持され、ステムを下
降させると、弁箱の挿入孔に設けた凹所と、硬球と、ス
テムに設けた凹所とは合致する。 この状態でステムを上
昇させると、硬球は、保持筒と弁箱の凹所とで保持さ
れ、ステムのみを引き上げることができるので、ボール
バルブの組み立てが容易となる。

【０００８】

【実施例】図１は、図６と対応する本考案の一実施例を
示す。図１において、弁箱(20)におけるステム(23)の挿
入孔(22)の内面には、断面半球状の環状案内溝(21)が設
けられている。ステム(23)の下端には、弁体(32)と係合
するための突起(24)が設けられ、かつステム(23)の中程
には、断面半球状の有底孔(25)が、同一円周上に複数設
けられている。

【０００９】ステム(23)を挿入孔(22)へ上方から挿入し
うるように、上記突起(24)の外径は、挿入孔(22)より僅
かに小径となっている。ステム(23)の外周と、挿入孔(2
2)の間には、図４に示すように、各有底孔(25)と対応す
る位置に、硬球(26)を内外移動しうるように保持する保
持筒(27)が配設されている。

【００１０】硬球(26)の大きさは、保持筒(27)の厚さよ
り大きく、ステム(23)が上昇した図１の状態では、硬球
(26)は、挿入孔(22)の内面に押されて、ステム(23)にお
ける有底孔(25)へ嵌入するようになっている。したがっ
て、ステム(23)と保持筒(27)と硬球(26)は、一体となっ
て上昇する。

【００１１】保持筒(27)の上部には、グランドパッキン
(28)とグランド(29)が、保持筒(27)の下部には、ステム
ベアリング(30)とスラストベアリング(31)が設けられて
いる。

【００１２】ステム(23)を図１の位置から下降させる
と、図２に示すように、弁箱(20)に設けられた環状案内
溝(21)と、硬球(26)と、ステム(23)における有底孔(25)
とは合致する。

【００１３】この状態でステム(23)を上昇させると、図
３に示すように、硬球(26)は環状案内溝(21)内へ移動し
て、保持筒(27)と環状案内溝(21)とで保持され、ステム
(23)のみが上方へ引き上げられる。そのため、弁体(32)
をきわめて容易に取り付けることができる。

【００１４】

【考案の効果】本考案は、上記の構成としたことによっ
て次の効果を奏しうる。(a) ステムを弁箱の外部から挿
入して取り付けることができるので、組み立てがきわめ
て容易となる。(b) 流体圧によりステムに作用する推力
は、硬球で分担されるので、グランドパッキンの負担は
軽減され、グランド部の寸法を小さくすることができ
る。(c) ボールバルブを駆動するためのトルクは、硬球
により軽減され、ボールバルブの回動を、小さい力で滑
らかに行うことができる。(d) 小口径のボールバルブに
対しても、ステムの長さに対する制約を受けることがな
くなり、設計製作が容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の部分縦断面図である。

【図２】同じく、作動を示す図である。

【図３】同じく、作動を示す図である。

【図４】図１のＢ−Ｂにおける横断面図である。

【図５】従来のボールバルブの縦断面図である。

【図６】図５のＡ部の拡大図である。

【符号の説明】

(１)弁箱 (２)(３)フランジ (４)弁体 (５)(６)流路 (７)ステム (８)突起 (９)溝 (10)フランジ (11)段部 (20)弁箱 (21)環状案内溝 (25)有底孔 (22)挿入孔 (23)ステム (24)突起 (26)硬球 (27)保持筒 (28)グランドパッキン (29)グランド (30)ステムベアリング (31)スラストベアリング (32)弁体

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ステムと係合した弁体を回動することに
   より流量を調整するようにしたボールバルブにおいて、
   下端に大径の突起を有するステムを、弁箱におけるステ
   ム挿入孔へ上方から挿入しうるように、同挿入孔よりも
   小径とし、ステムとステム挿入孔との間隙内に、保持筒
   を介挿するとともに、保持筒に、その肉厚よりも大径の
   鋼球を、内外移動しうるようにして設け、かつステムの
   外周面並びに弁箱の挿入孔の内面に前記鋼球の一部が嵌
   入しうる断面半球状の凹所を設け、ステムを挿入孔へ浅
   く挿入したときには、鋼球は、ステムの凹所と保持筒に
   のみ係合して、ステムを、保持筒とともに挿入孔内を摺
   動させうるようにし、ステムを挿入孔へ深く挿入した際
   には、鋼球は、保持筒と挿入孔内の凹所にのみ係合し
   て、保持筒を挿入孔内の一定位置に保持するとともに、
   ステムは保持筒内を摺動しうるように、関係各部の寸法
   を定めてなるボールバルブにおける飛出し防止ステム。