JPH07126923A - 紡機用スピンドル装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 粗糸にねじり力を加えるための旋回流によっ
て回転軸を回転させることができ、しかも、軸方向の押
圧力を小さくして、回転軸をスムーズに回転できる紡機
用スピンドル装置を提供する。 【構成】 円錐台形状の先端部１２の円錐面に羽根部２
９を有する回転軸１３をハウジング１４内に静圧空気軸
受２０,２０で回転可能に支持する。ノズル１９から送
出される空気によって内部に空気の旋回流を形成するキ
ャップ１６を回転軸１３の先端側に配置する。静圧空気
軸受２０によって支持された回転軸１３は、キャップ１
６内の空気の旋回流が羽根部２９に作用して回転させら
れる。羽根部２９は、軸方向の全長にわたって略一定の
深さの溝１５によって形成されているから、溝１５に沿
って流れる空気が回転軸１３を軸方向に押す力は極めて
小さい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は紡機用スピンドル装置
に関し、より詳しくは、空気の旋回流で粗糸にねじり力
を加えた後、回転する細管内を通過させて紡績するエア
式の紡機用スピンドル装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の紡機用スピンドル装置と
しては、実開平４−４５２８号に記載されたものがあ
る。この紡機用スピンドル装置は、図６に示すように、
ハウジシング１内に筒形の回転軸２を磁気軸受３を介し
て回転可能に支持すると共に、上記回転軸２の先端部に
臨ませて旋回気流を発生させるためのノズル４を設けた
ものである。上記回転軸２は、この回転軸２の先端の円
錐部５に図６中左から右に行くにつれて深くなる複数の
溝１０,１０,…を形成して、この溝１０,１０,…の間に
複数の羽根部６,６,…を形成している。そして、上記回
転軸２は羽根部６に上記ノズル４からの空気を受けて回
転駆動される。そして、上記ノズル４により生成された
旋回流によって、導入口７から導入される粗糸８にねじ
り力を加えた後、上記回転させられる回転軸２の穴２a
内をさらにねじりながら通過させて精紡している。この
ようにしてできた糸９は図示しないロールに巻き取られ
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の紡機用スピンドル装置においては、上記円錐部５に
形成された羽根部６と羽根部６との間の溝１０は、その
深さが回転軸２の先端から図６中軸方向右に行くにした
がって次第に深くなっている。このため、上記ノズル４
から噴出される空気が上記溝１０に沿って流れる際に、
上記溝１０の右端の面積の大きな端面１０aに当たっ
て、回転軸２をアキシャル方向(軸方向)に大きな力で押
圧することになり、そのため、回転軸２がスムーズに回
転できないという問題がある。

【０００４】そこで、この発明の目的は、粗糸にねじり
力を加えるための旋回流によって回転軸を回転させるこ
とができ、しかも、軸方向の押圧力を小さくして、回転
軸をスムーズに回転できる紡機用スピンドル装置を提供
することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の紡機用スピンドル装置は、静圧空気軸受
により回転可能にラジアル方向とアキシャル方向に支持
され、先端の外周に羽根部を有する管状の回転軸と、上
記回転軸の先端側に配置されると共に、粗糸導入口とノ
ズルを有し、上記ノズルから噴出される空気によって、
上記粗糸導入口から供給された粗糸の回りに空気の旋回
流を形成すると共に、上記回転軸を上記羽根部を介して
回転させるキャップとを備え、上記羽根部は、深さが略
一定である略軸方向に延在する溝によって形成されてい
ることを特徴としている。

【０００６】

【作用】上記回転軸は静圧空気軸受によってラジアル方
向およびアキシャル方向に浮上した状態で支持されるか
ら、この回転軸は非常に小さなトルクで回転させられ
る。したがって、上記回転軸の先端側に位置するキャッ
プ内に空気の旋回流が起こると、この旋回流が羽根部に
作用し、回転軸が回転させられる。上記羽根部は深さが
略一定である略軸方向に延在する溝によって形成されて
いるので、溝に沿って流れる空気によって回転軸が軸方
向に押し付けられる力は微少となって、回転軸はスムー
ズに回転する。そして、上記キャップ内に粗糸導入口を
通って導入される粗糸はこのキャップ内に形成された旋
回流によってねじられ、続いて回転する回転軸内をさら
にねじられながら通過して精紡される。

【０００７】

【実施例】図１は本発明の一実施例である紡機用スピン
ドル装置の断面図である。本実施例の紡機用スピンドル
装置は、フランジ１１と、円錐台形状の先端部１２を有
する筒形の回転軸１３をハウジング１４内に回転可能に
収納する。上記先端部１２の円錐面には、図１,２に示
すように、長さ方向の全長にわたって略一定深さＤの、
略軸方向に延在する溝１５を周方向に互いに一定間隔を
あけて複数個形成している。こうして、先端部１２の溝
１５,１５の間に羽根部２９が形成される。

【０００８】上記回転軸１３の先端部１２側には、内部
にジェットエアの旋回流が形成されるキャップ１６を、
上記先端部１２を包囲するように設けている。このキャ
ップ１６は、図１,４に示すように、回転軸１３と軸方
向に対向する部分には粗糸１７を導入するための導入口
１８を持ち、また、周壁１６aには、周方向に所定間隔
をあけて半径方向と軸方向に対して傾斜して設けられた
複数のノズル１９を持つ(本実施例では３つのノズルを
設けたが、この数に限るものではない)。これらのノズ
ル１９からは、ジェトエアが噴出され、これによってキ
ャップ１６の内部にジェットエアの旋回流が作られる。

【０００９】上記回転軸１３は、ハウジング１４の内周
面に圧嵌めされた１対の静圧空気軸受２０,２０によっ
て回転可能にラジアル方向とアキシャル方向に支持され
る。この１対の静圧空気軸受２０,２０は、スペーサ２
１によって互いに軸方向に一定の間隔をおいた状態で、
その一方の静圧空気軸受２０がハウジング１４の内周面
の段部１４aに当接される一方、他方の静圧空気軸受２
０がハウジング１４の端部に取り付けられる環状板２２
によって軸方向に押圧されて固定される。また、上記回
転軸１３のフランジ１１は、これら１対の静圧空気軸受
２０,２０の間に位置しており、このフランジ１１の各
端面とこれに対向する静圧空気軸受２０の端面との間を
通って、後述する逃がし穴から空気が外部に排出される
ようにしている。

【００１０】各静圧空気軸受２０には、図５に示すよう
に、複数のノズル２３が周方向に所定の間隔をあけて設
けられている。このノズル２３は、ハウジング１４内に
設けられた環状の空洞からなる空気通路２４に、穴２
５,２５を介して連結されており、外部から上記空気通
路２４を通って供給される空気を上記回転軸１３に向け
て送出する。なお、上記空気通路２４によってハウジン
グ１４の端面に形成される開口部は、上記環状板２２に
よって塞がれる。また、環状板２２側の静圧空気軸受２
０には、軸方向に貫通して外部に解放する空気の逃がし
穴２６が複数個設けられており、これら逃がし穴２６
は、図５に示すように、隣合うノズル２３の間に位置し
ている。

【００１１】上記構成の装置は次のように作用する。静
圧空気軸受２０のノズル２３より空気が回転軸１３に向
けて吹き出されると、回転軸１３の外周面と静圧空気軸
受２０の内周面の間に空気の膜ができる。この空気の膜
によって回転軸１３は浮上した状態で径方向に支持され
る。また、逃がし穴２６から外部に排出される空気は、
図１に矢印で示すようにフランジ１１の各端面とこの端
面に対向する静圧空気軸受２０の端面との間の間隙を通
るので、フランジ１１の両側に空気の膜ができる。この
空気の膜によって、フランジ１１したがって回転軸１３
は軸方向に支持される。

【００１２】一方、上記回転軸１３の先端側に位置する
キャップ１６のノズル１９からジェトエアが噴射される
と、キャップ１６内にジェットエアの旋回流が形成され
る。回転軸１３は空気の膜によって支持されているた
め、非常に低トルクの回転が可能な状態にあり、空気の
旋回流が羽根部２９に作用すると回転軸１３が回転す
る。このとき、上記羽根部２９は、回転軸１３の先端か
ら軸方向右側にかけて略一定の深さＤの溝１５によって
形成しているため、この溝１５に沿って流れる空気が回
転軸１３を軸方向に押す力は極めて小さくなる。したが
って、回転軸１３のフランジ１１は静圧空気軸受２０の
端面に当たることなくスムーズに回転する。そして、キ
ャップ１６の導入口１８から粗糸１７が導入されると、
粗糸１７はキャップ１６の内部の空気の旋回流によって
ねじり力を加えられた後、スムーズに回転する回転軸１
３の中をさらにねじられながら通過していき、その結果
形成された糸２７は図示しない巻き取り機に巻き取られ
る。

【００１３】なお、上記羽根部の変形例を図３に示す。
(a)は、回転軸３０の円錐台形状の先端部の外周面に半
円形状の溝３１を周方向に互いに一定間隔をあけて複数
個刻設し、上記溝３１,３１の間に羽根部３２を形成し
たものである。(b)は、回転軸４０の円柱形状の先端の
外周面を刻設して、螺旋の一部をなすように略軸方向に
延在する羽根部４１を周方向に互いに一定間隔をあけて
複数個形成したものである。(c)は、回転軸５０の円柱
形状の先端部の外周面に略軸方向に延在する溝５１を周
方向に互いに一定間隔をあけて複数個刻設し、上記溝５
１,５１の間に羽根部５２を形成したものである。(d)
は、回転軸６０のラッパ形状の先端部の外周面に溝６１
を周方向に互いに一定間隔をあけて複数個刻設し、上記
溝６１,６１の間に羽根部６２を形成したものである。
図３の(a),(b),(c),(d)の場合においても、先端の外周
面に形成された溝の深さは先端から軸方向にかけて略一
定であるので、図２に示した形状の羽根部と同様、ノズ
ルから噴出される空気によって軸方向に押される力は極
めて小さいので、回転軸はスムーズに回転することがで
きる。

【００１４】

【発明の効果】以上より明らかなように、この発明の紡
機用スピンドル装置は、先端の外周に羽根部を有する回
転軸を静圧空気軸受によって支持し、上記回転軸の先端
側に精紡用の空気の旋回流を形成するキャップを配置し
て、精紡用に使用する空気を回転軸の先端の羽根部に作
用させているので、績紡用の空気で回転軸を回転させる
ことができ、しかも、上記羽根部は深さが略軸方向の略
全長にわたって略一定の溝によって形成しているので、
績紡用の空気によって回転軸が軸方向に押されることが
なく、回転軸をスムーズに回転させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例の紡機用スピンドル装置の
断面図である。

【図２】 図１の回転軸の先端部に形成された羽根部の
形状を示す図である。

【図３】 羽根部の変形例を示す図である。

【図４】 図１のキャップをその開口端側から見た正面
図である。

【図５】 図１の紡機用スピンドル装置の外端側に設け
た静圧空気軸受の正面図である。

【図６】 従来の紡機用スピンドル装置の断面図であ
る。

【符号の説明】

１１…フランジ、１２…先端部、１３…回転軸、１４…
ハウジング、１５…溝、１６…キャップ、１７…粗糸、
１８…粗糸導入口、１９…ノズル、２０…静圧空気軸
受、２９…羽根部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 静圧空気軸受により回転可能にラジアル
   方向とアキシャル方向に支持され、先端の外周に羽根部
   を有する管状の回転軸と、 上記回転軸の先端側に配置されると共に、粗糸導入口と
   ノズルを有し、上記ノズルから噴出される空気によっ
   て、上記粗糸導入口から供給された粗糸の回りに空気の
   旋回流を形成すると共に、上記回転軸を上記羽根部を介
   して回転させるキャップとを備え、 上記羽根部は、深さが略一定である略軸方向に延在する
   溝によって形成されていることを特徴とする紡機用スピ
   ンドル装置。