JPH0712553A - 原子間力顕微鏡 - Google Patents
原子間力顕微鏡Info
- Publication number
- JPH0712553A JPH0712553A JP5159684A JP15968493A JPH0712553A JP H0712553 A JPH0712553 A JP H0712553A JP 5159684 A JP5159684 A JP 5159684A JP 15968493 A JP15968493 A JP 15968493A JP H0712553 A JPH0712553 A JP H0712553A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- probe
- sample
- liquid
- sealing
- actuator
- Prior art date
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 液体中で試料を走査する際の作業能率を向上
させる。 【構成】 原子間力顕微鏡において、探針9と試料24
とを相対移動させるアクチュエータ2、3と、探針を支
持する探針支持手段7と、アクチュエータと探針との間
に設けられた変形可能な材料からなる第1の封止手段5
と、第1の封止手段5および支持手段7が形成するそれ
ぞれの面と接する面を有することでこれら各面によって
囲まれる空間Aを形成する変形可能な材料からなる第2
の封止手段6とを設けた。そして、探針と試料を前記空
間A内に配置した。また、第1の封止手段と第2の封止
手段の接触部が探針に対して相対移動できるようにし
た。
させる。 【構成】 原子間力顕微鏡において、探針9と試料24
とを相対移動させるアクチュエータ2、3と、探針を支
持する探針支持手段7と、アクチュエータと探針との間
に設けられた変形可能な材料からなる第1の封止手段5
と、第1の封止手段5および支持手段7が形成するそれ
ぞれの面と接する面を有することでこれら各面によって
囲まれる空間Aを形成する変形可能な材料からなる第2
の封止手段6とを設けた。そして、探針と試料を前記空
間A内に配置した。また、第1の封止手段と第2の封止
手段の接触部が探針に対して相対移動できるようにし
た。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料の表面形状を観察
する走査型プローブ顕微鏡の一種である、原子間力顕微
鏡に関する。
する走査型プローブ顕微鏡の一種である、原子間力顕微
鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】試料の表面形状を観察する手段として、
原子間力顕微鏡(以下、AFMと略す)が知られてい
る。AFMは、板バネ状のカンチレバーのような可撓性
を有する部材に設けられた探針を試料の表面で走査し、
走査中の探針の上下の変位量を測定することで試料の表
面形状を求めるものである。AFMは、生体分子等の絶
縁物や電子顕微鏡では観察が難しかった磁性体を高分解
能で観察できることから、今後の応用が期待されてい
る。
原子間力顕微鏡(以下、AFMと略す)が知られてい
る。AFMは、板バネ状のカンチレバーのような可撓性
を有する部材に設けられた探針を試料の表面で走査し、
走査中の探針の上下の変位量を測定することで試料の表
面形状を求めるものである。AFMは、生体分子等の絶
縁物や電子顕微鏡では観察が難しかった磁性体を高分解
能で観察できることから、今後の応用が期待されてい
る。
【0003】図3は、AFMの構成の一例を示す概略図
である。このAFMは、可撓性を有するカンチレバー3
1、このレバー31の先端に設けられた探針32、試料
34をXYZ方向に移動させるアクチュエータ33、カ
ンチレバー31の背面に設けられた反射面31aにレー
ザ光35を照射する光源36、反射面31aで反射した
レーザ光35を受光する2つの受光部からなる2分割光
検出器37、アクチュエータ33を制御する制御手段3
8、得られた表面形状を表示する表示手段39とを備え
ている。試料34の表面を観察する際は、制御手段38
によってアクチュエータ33を制御して、試料34表面
におけるXY平面上の所定の領域で探針32を走査す
る。走査によって探針32と試料34との間に力が作用
してこの力の大きさによってカンチレバー31が撓み探
針32が変位するので、カンチレバー31の撓み量が一
定となるように制御しながら探針32を走査していけば
試料34の表面形状が求まる。カンチレバー31の撓み
量を一定にするには、カンチレバー31の反射面31a
で反射したレーザ光35を2分割光検出器37で受光
し、各受光部からの出力が等しくなるように制御手段3
7によってアクチュエータ33を制御して試料34をZ
方向に移動制御すればよい。
である。このAFMは、可撓性を有するカンチレバー3
1、このレバー31の先端に設けられた探針32、試料
34をXYZ方向に移動させるアクチュエータ33、カ
ンチレバー31の背面に設けられた反射面31aにレー
ザ光35を照射する光源36、反射面31aで反射した
レーザ光35を受光する2つの受光部からなる2分割光
検出器37、アクチュエータ33を制御する制御手段3
8、得られた表面形状を表示する表示手段39とを備え
ている。試料34の表面を観察する際は、制御手段38
によってアクチュエータ33を制御して、試料34表面
におけるXY平面上の所定の領域で探針32を走査す
る。走査によって探針32と試料34との間に力が作用
してこの力の大きさによってカンチレバー31が撓み探
針32が変位するので、カンチレバー31の撓み量が一
定となるように制御しながら探針32を走査していけば
試料34の表面形状が求まる。カンチレバー31の撓み
量を一定にするには、カンチレバー31の反射面31a
で反射したレーザ光35を2分割光検出器37で受光
し、各受光部からの出力が等しくなるように制御手段3
7によってアクチュエータ33を制御して試料34をZ
方向に移動制御すればよい。
【0004】前述のように、AFMは生体分子等を観察
できる。このような生体分子を試料として観察する場
合、試料表面に水の皮膜が存在するため、探針が毛細管
現象によって試料表面に吸い寄せられて探針が破損して
しまう。そこで、試料を液体中で保持し、この液体中で
探針を走査することで、前記毛細管現象による探針の損
傷を防止していた。このような、液体中で探針を走査す
るAFMにおいては、試料を液体中で保持できるように
液体を入れる空間(以下、液体セルという)を設ける必
要がある。図4は、従来の液体セルの構成を示す概略図
である。なお、図4では液体セルの構成に関する箇所の
み図示してあり、それ以外の構成要件(カンチレバーの
撓み量を検出する手段や表示手段等)は省略してある。
図4に示す構成では、探針保持プレート41に、探針4
2を有するカンチレバー43とOリング45とが取り付
けられている。カンチレバー43は、図4に示すように
Oリング45の内側に取り付けられている。そして、ア
クチュエータ44に設置された試料46をOリング45
に密着させることで、探針保持プレート41、Oリング
45、試料46で囲まれた液体セルBが形成される。探
針保持プレート41にはOリング45内側に開口が設け
られた導入路48が形成されており、試料46をOリン
グ45に密着させた状態でこの導入路48を通して所望
の液体を液体セル47内に注入できるようになってい
る。
できる。このような生体分子を試料として観察する場
合、試料表面に水の皮膜が存在するため、探針が毛細管
現象によって試料表面に吸い寄せられて探針が破損して
しまう。そこで、試料を液体中で保持し、この液体中で
探針を走査することで、前記毛細管現象による探針の損
傷を防止していた。このような、液体中で探針を走査す
るAFMにおいては、試料を液体中で保持できるように
液体を入れる空間(以下、液体セルという)を設ける必
要がある。図4は、従来の液体セルの構成を示す概略図
である。なお、図4では液体セルの構成に関する箇所の
み図示してあり、それ以外の構成要件(カンチレバーの
撓み量を検出する手段や表示手段等)は省略してある。
図4に示す構成では、探針保持プレート41に、探針4
2を有するカンチレバー43とOリング45とが取り付
けられている。カンチレバー43は、図4に示すように
Oリング45の内側に取り付けられている。そして、ア
クチュエータ44に設置された試料46をOリング45
に密着させることで、探針保持プレート41、Oリング
45、試料46で囲まれた液体セルBが形成される。探
針保持プレート41にはOリング45内側に開口が設け
られた導入路48が形成されており、試料46をOリン
グ45に密着させた状態でこの導入路48を通して所望
の液体を液体セル47内に注入できるようになってい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、通常のAF
Mにおける探針の走査量は微小(30μm程度)である。
そこで、試料の観察(測定)に際しては、変位量が数mm
の粗動機構によって探針を試料の観察領域に近づけた
後、微動機構を用いてこの微小な観察領域で探針を走査
させていた。しかし、図4に示す構成においては、一
旦、液体セル47内に液体を注入すると、液体の漏れを
防ぐためにOリング45を所定の圧力で試料46に押し
付けておかなければならない。そのため、試料46を移
動させると前記圧力による摩擦力が発生し、微動機構を
用いてXY方向への走査を行なってもこの摩擦力によっ
て走査が妨げられ、所望の走査量が得られないという問
題があった。また、所定の観察領域に探針42を移動さ
せる粗動動作は、試料46の移動量が微動動作よりも大
きくなるため困難であった。その結果、粗動動作を行な
う際は、前記液体を一旦液体セルB内から排出してOリ
ング45を試料46から離し、粗動動作の後にOリング
45を試料46に押し付けて再度セルB内に液体を注入
していた。従って、非常に能率が悪かった。また、前記
摩擦力によってアクチュエータのリニアリティが悪化し
てしまい、所定の精度で走査できなくなるという問題も
あった。
Mにおける探針の走査量は微小(30μm程度)である。
そこで、試料の観察(測定)に際しては、変位量が数mm
の粗動機構によって探針を試料の観察領域に近づけた
後、微動機構を用いてこの微小な観察領域で探針を走査
させていた。しかし、図4に示す構成においては、一
旦、液体セル47内に液体を注入すると、液体の漏れを
防ぐためにOリング45を所定の圧力で試料46に押し
付けておかなければならない。そのため、試料46を移
動させると前記圧力による摩擦力が発生し、微動機構を
用いてXY方向への走査を行なってもこの摩擦力によっ
て走査が妨げられ、所望の走査量が得られないという問
題があった。また、所定の観察領域に探針42を移動さ
せる粗動動作は、試料46の移動量が微動動作よりも大
きくなるため困難であった。その結果、粗動動作を行な
う際は、前記液体を一旦液体セルB内から排出してOリ
ング45を試料46から離し、粗動動作の後にOリング
45を試料46に押し付けて再度セルB内に液体を注入
していた。従って、非常に能率が悪かった。また、前記
摩擦力によってアクチュエータのリニアリティが悪化し
てしまい、所定の精度で走査できなくなるという問題も
あった。
【0006】本発明は、このような問題を解決すること
を目的とする。
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的のために、本発
明では、試料の表面を探針で走査し、走査時の前記探針
の変位量に基づいて前記試料の表面形状を得る原子間力
顕微鏡において、前記探針と試料とを相対移動させるア
クチュエータと、前記探針を支持する探針支持手段と、
前記アクチュエータと探針との間に設けられた変形可能
な材料からなる第1の封止手段と、該第1の封止手段お
よび前記探針支持手段が形成するそれぞれの面と接する
面を有することでこれら各面によって囲まれる空間を形
成する変形可能な材料からなる第2の封止手段とを設
け、前記探針および試料を前記空間内に配置するととも
に、前記第1の封止手段と第2の封止手段の接触部が前
記探針に対して相対移動できるように構成した。
明では、試料の表面を探針で走査し、走査時の前記探針
の変位量に基づいて前記試料の表面形状を得る原子間力
顕微鏡において、前記探針と試料とを相対移動させるア
クチュエータと、前記探針を支持する探針支持手段と、
前記アクチュエータと探針との間に設けられた変形可能
な材料からなる第1の封止手段と、該第1の封止手段お
よび前記探針支持手段が形成するそれぞれの面と接する
面を有することでこれら各面によって囲まれる空間を形
成する変形可能な材料からなる第2の封止手段とを設
け、前記探針および試料を前記空間内に配置するととも
に、前記第1の封止手段と第2の封止手段の接触部が前
記探針に対して相対移動できるように構成した。
【0008】
【作用】本発明のAFMでは、試料を移動させることで
探針を試料表面で走査するための微動動作を行なうアク
チュエータと試料との間に、アクチュエータ防水用の第
1の封止部材を設けた。また、第1の封止部材と探針を
支持する探針支持手段との間に、これら第1の封止部材
および支持手段とで形成される面を接続する面を形成す
る第2の封止部材を設けた。そして、第1の封止部材、
第2の封止部材および探針支持手段とで囲まれた空間に
より液体セルを形成し、このセル内に液体を注入するよ
うにした。
探針を試料表面で走査するための微動動作を行なうアク
チュエータと試料との間に、アクチュエータ防水用の第
1の封止部材を設けた。また、第1の封止部材と探針を
支持する探針支持手段との間に、これら第1の封止部材
および支持手段とで形成される面を接続する面を形成す
る第2の封止部材を設けた。そして、第1の封止部材、
第2の封止部材および探針支持手段とで囲まれた空間に
より液体セルを形成し、このセル内に液体を注入するよ
うにした。
【0009】第1の封止部材は、試料が載置される領域
よりも広い面積を有する膜(シート)状に形成され、前
記領域の外側において固定される。その際、第1の封止
部材は、固定位置の内側(試料が載置される領域)に弛
みを持った状態で固定しておく。第2の封止部材は、弾
性物のように変形し易い物質からなり、試料が載置され
る領域よりも外側で第1の封止部材に固定される。この
第2の封止物質は、探針支持部材に固定せず、接触状態
を保つだけで液体セルを形成できるように自立可能(適
当な表現を見つけて下さい)な強度を有するものを使用
する。アクチュエータは、第1の封止部材の固定位置の
内側でこの第1の封止部材と接する位置に配置される。
試料は、XYZ所定の方向に移動できるように、第1の
封止部材を介してアクチュエータに載置されて固定され
る。
よりも広い面積を有する膜(シート)状に形成され、前
記領域の外側において固定される。その際、第1の封止
部材は、固定位置の内側(試料が載置される領域)に弛
みを持った状態で固定しておく。第2の封止部材は、弾
性物のように変形し易い物質からなり、試料が載置され
る領域よりも外側で第1の封止部材に固定される。この
第2の封止物質は、探針支持部材に固定せず、接触状態
を保つだけで液体セルを形成できるように自立可能(適
当な表現を見つけて下さい)な強度を有するものを使用
する。アクチュエータは、第1の封止部材の固定位置の
内側でこの第1の封止部材と接する位置に配置される。
試料は、XYZ所定の方向に移動できるように、第1の
封止部材を介してアクチュエータに載置されて固定され
る。
【0010】このような構成においては、試料の観察
(測定)に際してアクチュエータを駆動して前記微動動
作を行なうと、第1の封止部材のアクチュエータと試料
との間で挟まれた部分(以下、移動部という)は、これ
らアクチュエータおよび試料ともに移動する。このと
き、第1の封止部材では前記移動部と固定部との間の相
対位置が変化するが、互いの位置が近づくときは部材自
身が弛み、また、離れるときはあらかじめ持たせておい
た弛みが伸びるため、移動方向に関わらず移動部の動き
が妨げられることがない。微動動作時のアクチュエータ
の移動量は少ない(30μm程度)ため、このときの移動
分は前記弛みの伸び縮みによって全て補うことが可能で
ある。従って、微動動作時にアクチュエータが抵抗力を
受けて走査領域が制限されることがない。また、この力
によって生じるアクチュエータのリニアリティの悪化も
防止できる。さらに、従来の構成では走査の際にアクチ
ュエータがOリングごと液体セル内の液体および試料を
移動させていたため、液体の量を増やすとアクチュエー
タが移動させる重量(つまり、負荷)も増えてこのアク
チュエータの応答特性を悪化させていた。しかし、本発
明では、走査時は液体セルの側壁を形成する第2の封止
部材が固定されるため、セル内の液体を移動させる必要
がなく、前記応答特性の悪化を防止できる。
(測定)に際してアクチュエータを駆動して前記微動動
作を行なうと、第1の封止部材のアクチュエータと試料
との間で挟まれた部分(以下、移動部という)は、これ
らアクチュエータおよび試料ともに移動する。このと
き、第1の封止部材では前記移動部と固定部との間の相
対位置が変化するが、互いの位置が近づくときは部材自
身が弛み、また、離れるときはあらかじめ持たせておい
た弛みが伸びるため、移動方向に関わらず移動部の動き
が妨げられることがない。微動動作時のアクチュエータ
の移動量は少ない(30μm程度)ため、このときの移動
分は前記弛みの伸び縮みによって全て補うことが可能で
ある。従って、微動動作時にアクチュエータが抵抗力を
受けて走査領域が制限されることがない。また、この力
によって生じるアクチュエータのリニアリティの悪化も
防止できる。さらに、従来の構成では走査の際にアクチ
ュエータがOリングごと液体セル内の液体および試料を
移動させていたため、液体の量を増やすとアクチュエー
タが移動させる重量(つまり、負荷)も増えてこのアク
チュエータの応答特性を悪化させていた。しかし、本発
明では、走査時は液体セルの側壁を形成する第2の封止
部材が固定されるため、セル内の液体を移動させる必要
がなく、前記応答特性の悪化を防止できる。
【0011】また、本発明では、アクチュエータ、第1
の封止部材が固定されている固定部および第2の封止部
材と第1の封止部材との固定部が同一の部材(例えば、
XYステージ)で支持されており、前記粗動動作を行な
う際は一緒に移動するようになっている。XY平面(走
査領域と平行な面)内での粗動動作が行われると、探針
を支持する探針支持手段と試料が載置されるアクチュエ
ータにに固定された状態にある第1の封止部材との間で
相対位置が変化する。第2の封止部材は第1の封止部材
に固定されているので、この固定部分は探針支持部材に
対して相対移動を行なう。また、探針支持部材との接触
部分も、この動きに同調して接触状態を維持したまま固
定部と同じ方向に移動する。そのため、液体セル内部の
液体を封止したままでの試料の粗動が可能である。さら
に、Z方向への粗動動作か行われて探針支持手段との相
対位置がZ方向で変化しても、この移動(変化)量は第
2の封止部材での変形に置き換えられるため液体セルの
封止機能を維持することができる。従って、粗動時の移
動量を想定して第2の封止部材の寸法を適宜設定してお
けば所望の移動量での粗動動作を行なうことができる。
の封止部材が固定されている固定部および第2の封止部
材と第1の封止部材との固定部が同一の部材(例えば、
XYステージ)で支持されており、前記粗動動作を行な
う際は一緒に移動するようになっている。XY平面(走
査領域と平行な面)内での粗動動作が行われると、探針
を支持する探針支持手段と試料が載置されるアクチュエ
ータにに固定された状態にある第1の封止部材との間で
相対位置が変化する。第2の封止部材は第1の封止部材
に固定されているので、この固定部分は探針支持部材に
対して相対移動を行なう。また、探針支持部材との接触
部分も、この動きに同調して接触状態を維持したまま固
定部と同じ方向に移動する。そのため、液体セル内部の
液体を封止したままでの試料の粗動が可能である。さら
に、Z方向への粗動動作か行われて探針支持手段との相
対位置がZ方向で変化しても、この移動(変化)量は第
2の封止部材での変形に置き換えられるため液体セルの
封止機能を維持することができる。従って、粗動時の移
動量を想定して第2の封止部材の寸法を適宜設定してお
けば所望の移動量での粗動動作を行なうことができる。
【0012】本発明では、第2の封止部材を自立可能に
形成したので、第2の封止部材か探針支持手段と離れた
場合でもこの第2の封止部材と第1の封止部材とによっ
て液体を保持することが可能である。そのため、試料の
交換作業等を楽に行なうことができる。
形成したので、第2の封止部材か探針支持手段と離れた
場合でもこの第2の封止部材と第1の封止部材とによっ
て液体を保持することが可能である。そのため、試料の
交換作業等を楽に行なうことができる。
【0013】
【実施例】図1は、本発明の一実施例のAFMの構成を
示す概略断面図であり、試料24を観察する(探針を走
査する)状態を示している。このAFMは、ベース1上
にXY方向に移動可能なXYステージ2が設けられてい
る。XYステージ2は、試料24の観察に際して、試料
24の所望の面と探針9との大まかな位置合わせを行な
うときに粗動機構として用い、その粗動ストロークは基
準点から±3mmとなっている。XYステージ2上にはチ
ューブスキャナ3と、チューブスキャナ3と同心にこの
スキャナ3を内包するように設置された円筒4とが設け
られている。チューブスキャナ3は、図5に示すよう
に、X方向走査用の圧電素子を駆動するための電極61
a、61bおよびY方向走査用の圧電素子を駆動するた
めの電極62a、62bが、それぞれX方向、Y方向同
士の電極が対向するように円筒状の圧電セラミックスの
外周面に設置されている。圧電セラミックス60の内周
面には、これら各電極61a、61b、62a、62b
に対する共通電極63が設けられている。そして、試料
24をXまたはY方向に移動させるときは、それぞれの
方向の対向電極間に大きさが同じで符号の異なる電位を
設定すればよい。また、試料24をZ方向に移動させる
ときは、正負どちらか一方の電圧を設定してこの電圧を
X、Y全ての外周面の各電極と共通電極63との間にそ
れぞれ等しく印加することで、前記素子をZ方向に伸縮
させればよい。このアクチュリエータ3は、試料24表
面を探針9で走査する際の微動機構として用いる。
示す概略断面図であり、試料24を観察する(探針を走
査する)状態を示している。このAFMは、ベース1上
にXY方向に移動可能なXYステージ2が設けられてい
る。XYステージ2は、試料24の観察に際して、試料
24の所望の面と探針9との大まかな位置合わせを行な
うときに粗動機構として用い、その粗動ストロークは基
準点から±3mmとなっている。XYステージ2上にはチ
ューブスキャナ3と、チューブスキャナ3と同心にこの
スキャナ3を内包するように設置された円筒4とが設け
られている。チューブスキャナ3は、図5に示すよう
に、X方向走査用の圧電素子を駆動するための電極61
a、61bおよびY方向走査用の圧電素子を駆動するた
めの電極62a、62bが、それぞれX方向、Y方向同
士の電極が対向するように円筒状の圧電セラミックスの
外周面に設置されている。圧電セラミックス60の内周
面には、これら各電極61a、61b、62a、62b
に対する共通電極63が設けられている。そして、試料
24をXまたはY方向に移動させるときは、それぞれの
方向の対向電極間に大きさが同じで符号の異なる電位を
設定すればよい。また、試料24をZ方向に移動させる
ときは、正負どちらか一方の電圧を設定してこの電圧を
X、Y全ての外周面の各電極と共通電極63との間にそ
れぞれ等しく印加することで、前記素子をZ方向に伸縮
させればよい。このアクチュリエータ3は、試料24表
面を探針9で走査する際の微動機構として用いる。
【0014】円筒4は、肉厚が約1mmで、チューブスキ
ャナ3とほぼ同一の高さを有する。また、スキャナ3よ
り10mm程太い外径を有する。なお、円筒4の材料にはス
テンレスを用いたがこれに限定されるものではない。円
筒4の上面には、円筒4の外径より数mm程大きな直径を
有する略円形の封止用シート5が被せられている。封止
用シート5は、厚さ約30μmの塩化ビニル製で、円筒4
に、この円筒4の側面まで回り込むように被せてある。
封止用シート5の材料は、塩化ビニルの他にテフロン等
を用いることもできる。この封止用シート5は、円筒4
の側面まで回り込んだ部分4aが、封止用弾性部材6の
基体6aと円筒4とで挟まれることで固定される。封止
用弾性部材6として本実施例では、商品名「Vリング」
(日本ジークリング社製)を使用した。このVリング
は、図1に示すように基体6aと2つのリップ6b、6
cからなり、断面が略V字状に形成されている。一方の
リップ6bは、他方のリップ6cよりも薄く形成されて
おり、上下方向に3mm程度変形可能である。また、XY
平面内においても1mm程度変形することができる。さら
に、リップ6bは自立可能であり、探針保持プレート7
から離れても液体セルAの側壁を構成するので内部の液
体をこぼす恐れはない。Vリングは、基体6aのVリン
グ単体時の内径が円筒4の外径より小さいものを選び、
円筒4と封止用シート5の円筒4の側面まで回り込んだ
部分4aとを弾性力で挟み込むことで、円筒4、封止用
シート5および封止用弾性部材6を固定される。なお、
封止用シート5の固定に際しては、シート5に多少の弛
みが生じるようにしておく。チューブスキャナ3外周の
上端部には、磁石21が、その1面がスキャナ3の上端
の面と同一平面となるように固定されている。この磁石
21には、試料24を保持するための、着磁性を有する
材料(磁性体)からなる試料ホルダ23が、封止用シー
ト5を介して着脱可能に取り付けられる。
ャナ3とほぼ同一の高さを有する。また、スキャナ3よ
り10mm程太い外径を有する。なお、円筒4の材料にはス
テンレスを用いたがこれに限定されるものではない。円
筒4の上面には、円筒4の外径より数mm程大きな直径を
有する略円形の封止用シート5が被せられている。封止
用シート5は、厚さ約30μmの塩化ビニル製で、円筒4
に、この円筒4の側面まで回り込むように被せてある。
封止用シート5の材料は、塩化ビニルの他にテフロン等
を用いることもできる。この封止用シート5は、円筒4
の側面まで回り込んだ部分4aが、封止用弾性部材6の
基体6aと円筒4とで挟まれることで固定される。封止
用弾性部材6として本実施例では、商品名「Vリング」
(日本ジークリング社製)を使用した。このVリング
は、図1に示すように基体6aと2つのリップ6b、6
cからなり、断面が略V字状に形成されている。一方の
リップ6bは、他方のリップ6cよりも薄く形成されて
おり、上下方向に3mm程度変形可能である。また、XY
平面内においても1mm程度変形することができる。さら
に、リップ6bは自立可能であり、探針保持プレート7
から離れても液体セルAの側壁を構成するので内部の液
体をこぼす恐れはない。Vリングは、基体6aのVリン
グ単体時の内径が円筒4の外径より小さいものを選び、
円筒4と封止用シート5の円筒4の側面まで回り込んだ
部分4aとを弾性力で挟み込むことで、円筒4、封止用
シート5および封止用弾性部材6を固定される。なお、
封止用シート5の固定に際しては、シート5に多少の弛
みが生じるようにしておく。チューブスキャナ3外周の
上端部には、磁石21が、その1面がスキャナ3の上端
の面と同一平面となるように固定されている。この磁石
21には、試料24を保持するための、着磁性を有する
材料(磁性体)からなる試料ホルダ23が、封止用シー
ト5を介して着脱可能に取り付けられる。
【0015】封止用弾性部材6のリップ6bは、試料2
4を観察する際は探針支持プレート7の下面7aに接し
ている。そして、この探針支持プレート7、封止用弾性
部材6および封止用シート5で囲まれた空間により液体
セルAを形成する。探針支持プレート7は、ベース1に
設置された3つの(図では2つのみ示す)Z方向駆動手
段8によってZ方向に移動できるように構成される。探
針支持プレート7の円筒4に対応する位置には、直径15
mmの開口7bが形成されている。また、探針支持プレー
ト7には、探針9が設けられた可撓性を有するカンチレ
バー10が設置されている。探針9とカンチレバー10
は、一般的なAFMと同様、フォトリソグラフィー技術
を用いて製作した。カンチレバー10は、探針支持プレ
ート7の開口7bの縁に取り付けてある。この開口7b
は、カバーガラス15によって閉じることができる。探
針支持プレート7の上方には、カンチレバー10の撓み
量を検出する撓み量測定系11が設置されている。この
測定系11は、カンチレバー10の背面に設けられた反
射面10aにレーザ光12を照射するための光源13
と、反射面10aで反射したレーザ光12を受光する2
つの受光部からなる2分割光検出器14とを備えてい
る。光源13を出射したレーザ光12は、カバーガラス
15および開口7bを通過して反射面10aで反射した
後、再度開口7bとカバーガラス15を通過して2分割
光検出器14で受光される。
4を観察する際は探針支持プレート7の下面7aに接し
ている。そして、この探針支持プレート7、封止用弾性
部材6および封止用シート5で囲まれた空間により液体
セルAを形成する。探針支持プレート7は、ベース1に
設置された3つの(図では2つのみ示す)Z方向駆動手
段8によってZ方向に移動できるように構成される。探
針支持プレート7の円筒4に対応する位置には、直径15
mmの開口7bが形成されている。また、探針支持プレー
ト7には、探針9が設けられた可撓性を有するカンチレ
バー10が設置されている。探針9とカンチレバー10
は、一般的なAFMと同様、フォトリソグラフィー技術
を用いて製作した。カンチレバー10は、探針支持プレ
ート7の開口7bの縁に取り付けてある。この開口7b
は、カバーガラス15によって閉じることができる。探
針支持プレート7の上方には、カンチレバー10の撓み
量を検出する撓み量測定系11が設置されている。この
測定系11は、カンチレバー10の背面に設けられた反
射面10aにレーザ光12を照射するための光源13
と、反射面10aで反射したレーザ光12を受光する2
つの受光部からなる2分割光検出器14とを備えてい
る。光源13を出射したレーザ光12は、カバーガラス
15および開口7bを通過して反射面10aで反射した
後、再度開口7bとカバーガラス15を通過して2分割
光検出器14で受光される。
【0016】探針支持プレート7に設けられた開口7b
は、液体セルA内に液体を入れる際の注入口として用い
ることができるが、図2に示すように探針支持プレート
7に液体の注入、排出を行なう注入管25および排出管
26を設けてもよい。このような構成により、それぞれ
の管を用いて試料24を観察しながら液体を循環させる
ことができる。これにより、液体の注入、排出を遠隔操
作することも可能となる。
は、液体セルA内に液体を入れる際の注入口として用い
ることができるが、図2に示すように探針支持プレート
7に液体の注入、排出を行なう注入管25および排出管
26を設けてもよい。このような構成により、それぞれ
の管を用いて試料24を観察しながら液体を循環させる
ことができる。これにより、液体の注入、排出を遠隔操
作することも可能となる。
【0017】XYステージ2、チューブスキャナ3およ
びZ方向駆動手段8は、制御手段16によって駆動制御
される。この制御手段16は、2分割光検出器14にお
ける各受光部からの出力が等しくなるように、チューブ
スキャナ3をZ方向に駆動する。また、制御手段16
は、試料24に対する探針9の位置と、この位置におけ
るチューブスキャナ3のZ方向への駆動量に基づく情報
から試料24の表面形状を求める。制御手段16には表
示手段17が接続されており、得られた表面形状を画面
上に表示できるようになっている。
びZ方向駆動手段8は、制御手段16によって駆動制御
される。この制御手段16は、2分割光検出器14にお
ける各受光部からの出力が等しくなるように、チューブ
スキャナ3をZ方向に駆動する。また、制御手段16
は、試料24に対する探針9の位置と、この位置におけ
るチューブスキャナ3のZ方向への駆動量に基づく情報
から試料24の表面形状を求める。制御手段16には表
示手段17が接続されており、得られた表面形状を画面
上に表示できるようになっている。
【0018】ここで、本実施例のAFMによる試料24
の観察(測定)過程を説明する。まず、試料24を試料
ホルダ23で保持し、このホルダ23をチューブスキャ
ナ3の上部に載置する。チューブスキャナ3の上端部に
は磁石21が設置されているため、着磁性を有する物質
(磁性体)からなる試料ホルダ23は封止用シート5を
介してこの磁石21に磁力によって固定される。このと
き、探針支持プレート7は、Z方向駆動手段8によって
上方に(封止用シート5から離れる方向に)移動させて
おき、試料ホルダ23を載置するときにこのホルダ23
や作業者の手が探針9やカンチレバー10と接触するの
を防ぐようにする。次に、Z方向駆動手段8によって探
針支持プレート7を下方に(封止用シート5に近づくよ
うに)移動させて、探針9と前記試料24との距離が所
定の値となるように設定する。なお、この状態で封止用
弾性部材6のリップ6bが探針支持プレート7の下面7
aに接するように、予めこの弾性部材6の位置や寸法を
調整しておく。こうして、探針支持プレート7、封止用
弾性部材6および封止用シート5で囲まれた空間によっ
て液体セルAが形成される。スポイト等を用いて所望の
液体(本実施例ではH2O )を開口7bから液体セルA内
に注入し、液体セルA内が液体で満たされたら開口7b
をカバーガラス15で塞いで液体セルAを密閉する。な
お、液体セルA内に注入する液体はH2O に限定されるも
のではない。試料の種類に応じて、培養液等所定の液体
を注入すればよい。
の観察(測定)過程を説明する。まず、試料24を試料
ホルダ23で保持し、このホルダ23をチューブスキャ
ナ3の上部に載置する。チューブスキャナ3の上端部に
は磁石21が設置されているため、着磁性を有する物質
(磁性体)からなる試料ホルダ23は封止用シート5を
介してこの磁石21に磁力によって固定される。このと
き、探針支持プレート7は、Z方向駆動手段8によって
上方に(封止用シート5から離れる方向に)移動させて
おき、試料ホルダ23を載置するときにこのホルダ23
や作業者の手が探針9やカンチレバー10と接触するの
を防ぐようにする。次に、Z方向駆動手段8によって探
針支持プレート7を下方に(封止用シート5に近づくよ
うに)移動させて、探針9と前記試料24との距離が所
定の値となるように設定する。なお、この状態で封止用
弾性部材6のリップ6bが探針支持プレート7の下面7
aに接するように、予めこの弾性部材6の位置や寸法を
調整しておく。こうして、探針支持プレート7、封止用
弾性部材6および封止用シート5で囲まれた空間によっ
て液体セルAが形成される。スポイト等を用いて所望の
液体(本実施例ではH2O )を開口7bから液体セルA内
に注入し、液体セルA内が液体で満たされたら開口7b
をカバーガラス15で塞いで液体セルAを密閉する。な
お、液体セルA内に注入する液体はH2O に限定されるも
のではない。試料の種類に応じて、培養液等所定の液体
を注入すればよい。
【0019】この後、探針9が試料24の所望の観察
(測定)領域付近に位置するように、制御手段16によ
ってXYステージ2を駆動制御して試料24を移動させ
る。XYステージ2が移動すると封止用弾性部材6も移
動するが、この弾性部材6のリップ6bと探針支持プレ
ート7の下面7aとは接しているだけなので接触圧は小
さく、リップ6bとプレート7との間に発生する摩擦力
も小さい。そのため、試料24の移動が妨げられること
がなく、XYステージ2のストロークを満たすだけの移
動量が確保できる。
(測定)領域付近に位置するように、制御手段16によ
ってXYステージ2を駆動制御して試料24を移動させ
る。XYステージ2が移動すると封止用弾性部材6も移
動するが、この弾性部材6のリップ6bと探針支持プレ
ート7の下面7aとは接しているだけなので接触圧は小
さく、リップ6bとプレート7との間に発生する摩擦力
も小さい。そのため、試料24の移動が妨げられること
がなく、XYステージ2のストロークを満たすだけの移
動量が確保できる。
【0020】探針9による試料24表面の走査は、制御
手段16によってチューブスキャナ3を駆動することで
行われる。制御手段16は、試料24の所定の領域を走
査するためにチューブスキャナ3をXY平面内で駆動し
て、探針9と試料24との相対位置を変える。また、カ
ンチレバー10の撓み量が一定となるように、2分割光
検出器14における各受光部からの出力が等しくなるよ
うにスキャナ3をZ方向に駆動する。チューブスキャナ
3の駆動されると、スキャナ3に固定された磁石21に
磁力で吸着している試料ホルダ23もスキャナ3の動き
に合わせてXY平面内またはZ方向に移動する。そのた
め、封止用シート5における磁石21と試料ホルダ23
との間に挟まれた部分もチューブスキャナ3とともに移
動することになるが、前述のように封止用シート5には
あらかじめ弛みを持たせてあるのでXY平面内またはZ
方向への移動分はこの弛みによって吸収される。従っ
て、円筒4がXYステージ2に固定されて移動しなくて
も、液体セルAの密閉を保ったまま試料24の所望の領
域で探針9を走査することができる。なお、一般のAF
Mにおける走査領域は狭い(30μm四方)ため、この領
域内での封止用シート5の移動は全てシート5の弛みで
吸収することが可能である。また、封止用弾性部材6は
円筒4に固定されているため、チューブスキャナ3の駆
動を妨げることはない。従って、チューブスキャナ3の
リニアリティが悪化することはなく、所定の精度で試料
24表面を探針9て走査することができる。
手段16によってチューブスキャナ3を駆動することで
行われる。制御手段16は、試料24の所定の領域を走
査するためにチューブスキャナ3をXY平面内で駆動し
て、探針9と試料24との相対位置を変える。また、カ
ンチレバー10の撓み量が一定となるように、2分割光
検出器14における各受光部からの出力が等しくなるよ
うにスキャナ3をZ方向に駆動する。チューブスキャナ
3の駆動されると、スキャナ3に固定された磁石21に
磁力で吸着している試料ホルダ23もスキャナ3の動き
に合わせてXY平面内またはZ方向に移動する。そのた
め、封止用シート5における磁石21と試料ホルダ23
との間に挟まれた部分もチューブスキャナ3とともに移
動することになるが、前述のように封止用シート5には
あらかじめ弛みを持たせてあるのでXY平面内またはZ
方向への移動分はこの弛みによって吸収される。従っ
て、円筒4がXYステージ2に固定されて移動しなくて
も、液体セルAの密閉を保ったまま試料24の所望の領
域で探針9を走査することができる。なお、一般のAF
Mにおける走査領域は狭い(30μm四方)ため、この領
域内での封止用シート5の移動は全てシート5の弛みで
吸収することが可能である。また、封止用弾性部材6は
円筒4に固定されているため、チューブスキャナ3の駆
動を妨げることはない。従って、チューブスキャナ3の
リニアリティが悪化することはなく、所定の精度で試料
24表面を探針9て走査することができる。
【0021】制御手段16は、探針9による試料24表
面の走査の際の試料24に対する探針9の位置と、この
位置におけるチューブスキャナ3のZ方向への駆動量に
基づく情報から試料24の表面形状を求める。得られた
試料24の表面形状は、表示手段17に送られ画面上に
表示される。このように、本発明によれば、液体セルA
内に液体を入れた状態でも試料と探針の相対位置をXY
平面内またはZ方向に対して大きく変えることができ
る。また、この相対位置を変えるための試料の移動を妨
げないので、観察(測定)時に所定の精度で探針を走査
することができる。
面の走査の際の試料24に対する探針9の位置と、この
位置におけるチューブスキャナ3のZ方向への駆動量に
基づく情報から試料24の表面形状を求める。得られた
試料24の表面形状は、表示手段17に送られ画面上に
表示される。このように、本発明によれば、液体セルA
内に液体を入れた状態でも試料と探針の相対位置をXY
平面内またはZ方向に対して大きく変えることができ
る。また、この相対位置を変えるための試料の移動を妨
げないので、観察(測定)時に所定の精度で探針を走査
することができる。
【0022】さらに、本実施例のAFMは、チューブス
キャナ3の外周部に磁石21を設置し、封止用シート5
を挟んでスキャナ3上に試料ホルダ23を磁力によって
固定するようにした。そのため、ホルダ固定用の機構を
別途設ける必要がなく、試料ホルダ23の厚さを1mm程
度まで薄くすることができ、試料ホルダ23と探針支持
プレート7の下面7aとの間隔を0.5mm 以下にすること
が可能となった。その結果、例えば、試料24と探針9
とを光学顕微鏡で観察するためにAFMと光学顕微鏡と
を組み合わせた構成とした場合、光学顕微鏡の対物レン
ズの動作距離が短くても(例えば、倍率60、NA0.7 で
WD約1.6 mm)試料24と探針9とを観察することが可
能になる。
キャナ3の外周部に磁石21を設置し、封止用シート5
を挟んでスキャナ3上に試料ホルダ23を磁力によって
固定するようにした。そのため、ホルダ固定用の機構を
別途設ける必要がなく、試料ホルダ23の厚さを1mm程
度まで薄くすることができ、試料ホルダ23と探針支持
プレート7の下面7aとの間隔を0.5mm 以下にすること
が可能となった。その結果、例えば、試料24と探針9
とを光学顕微鏡で観察するためにAFMと光学顕微鏡と
を組み合わせた構成とした場合、光学顕微鏡の対物レン
ズの動作距離が短くても(例えば、倍率60、NA0.7 で
WD約1.6 mm)試料24と探針9とを観察することが可
能になる。
【0023】また、封止用弾性部材6のリップ6bを自
立可能に形成して探針支持プレート7の下面7aに接す
るようにしたので、第2の封止部材か探針支持手段と離
れた場合でもこの第2の封止部材と第1の封止部材とに
よって液体を保持することができる。そのため、試料2
4の交換作業等の際は、探針支持プレート7とリップ6
bとの距離を離すことで作業を楽に行なうことができ
る。
立可能に形成して探針支持プレート7の下面7aに接す
るようにしたので、第2の封止部材か探針支持手段と離
れた場合でもこの第2の封止部材と第1の封止部材とに
よって液体を保持することができる。そのため、試料2
4の交換作業等の際は、探針支持プレート7とリップ6
bとの距離を離すことで作業を楽に行なうことができ
る。
【0024】
【発明の効果】以上のように、本発明のAFMでは、探
針と試料周辺に液体を密封する液体セルを形成する構成
の一部が変形し易くなっているため、液体中で探針を走
査することで毛細管現象による吸着力の影響を減らすこ
とができるとともに、試料の観察(測定)に際して探針
を走査する際、走査のためのアクチュエータの動きが制
限され難い。そのため、従来よりも走査量を大きくする
ことができ、前記液体セル内に液体を密封した状態での
粗動動作が可能になる。その結果、試料の観察領域に探
針を移動させ易くなり、能率良く試料の観察を行なうこ
とができる。
針と試料周辺に液体を密封する液体セルを形成する構成
の一部が変形し易くなっているため、液体中で探針を走
査することで毛細管現象による吸着力の影響を減らすこ
とができるとともに、試料の観察(測定)に際して探針
を走査する際、走査のためのアクチュエータの動きが制
限され難い。そのため、従来よりも走査量を大きくする
ことができ、前記液体セル内に液体を密封した状態での
粗動動作が可能になる。その結果、試料の観察領域に探
針を移動させ易くなり、能率良く試料の観察を行なうこ
とができる。
【0025】また、アクチュエータの動きが制限され難
いため、アクチュエータのリニアリティの悪化による走
査時の精度の低下を防止できる。さらに、探針を走査す
る時は液体セルの側壁を形成する第2の封止手段が固定
されるため、セル内の液体を移動させる必要がなく、液
体の重量によるアクチュエータの応答特性の悪化を防止
することができる。
いため、アクチュエータのリニアリティの悪化による走
査時の精度の低下を防止できる。さらに、探針を走査す
る時は液体セルの側壁を形成する第2の封止手段が固定
されるため、セル内の液体を移動させる必要がなく、液
体の重量によるアクチュエータの応答特性の悪化を防止
することができる。
【図1】は、本発明の一実施例の構成を示す概略断面図
である。
である。
【図2】は、本発明の他の構成を示す概略断面図であ
る。
る。
【図3】は、AFMの構成の一例を示す概略図である。
【図4】は、従来の液体セルの構成を示す概略図であ
る。
る。
【図5】は、実施例で使用したチューブスキャナの構成
を示す概略斜視図である。
を示す概略斜視図である。
1 ベース 2 XYステージ(アクチュエータ) 3 チューブスキャナ(アクチュエータ) 4 円筒 5 封止用シート(第1の封止手段) 6 封止用弾性部材(第2の封止手段) 7 探針支持プレート 7b 開口 8 Z方向駆動手段 9 探針 10 カンチレバー 11 撓み量測定系 15 カバーガラス(透明部材) 16 制御手段 17 表示手段 21 磁石 24 試料 25 注入管 26 排出管 A 液体セル
Claims (3)
- 【請求項1】 試料の表面を探針で走査し、走査時の前
記探針の変位量に基づいて前記試料の表面形状を得る原
子間力顕微鏡において、 前記探針と試料とを相対移動させるアクチュエータと、
前記探針を支持する探針支持手段と、前記アクチュエー
タと探針との間に設けられた変形可能な材料からなる第
1の封止手段と、該第1の封止手段および前記探針支持
手段が形成するそれぞれの面と接する面を有することで
これら各面によって囲まれる空間を形成する変形可能な
材料からなる第2の封止手段とを備え、 前記探針および試料が前記空間内に配置されるととも
に、前記第1の封止手段と第2の封止手段の接触部が前
記探針との間で相対移動可能に構成されていることを特
徴とする原子間力顕微鏡。 - 【請求項2】 請求項1記載の原子間力顕微鏡におい
て、 前記空間内に該空間外部から液体を導入するための導入
手段を有することを特徴とする原子間力顕微鏡。 - 【請求項3】 請求項1記載の原子間力顕微鏡におい
て、 前記探針支持手段が開口を有するとともに、該開口を塞
ぐように設置された可視光を透過する透明部材を有する
ことを特徴とする原子間力顕微鏡。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5159684A JPH0712553A (ja) | 1993-06-29 | 1993-06-29 | 原子間力顕微鏡 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5159684A JPH0712553A (ja) | 1993-06-29 | 1993-06-29 | 原子間力顕微鏡 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0712553A true JPH0712553A (ja) | 1995-01-17 |
Family
ID=15699068
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5159684A Pending JPH0712553A (ja) | 1993-06-29 | 1993-06-29 | 原子間力顕微鏡 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0712553A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008516207A (ja) * | 2004-10-07 | 2008-05-15 | エヌアンビション・ゲーエムベーハー | 走査型プローブ顕微鏡検査のための装置及び方法 |
JP2010038637A (ja) * | 2008-08-01 | 2010-02-18 | Olympus Corp | 走査機構および原子間力顕微鏡 |
JP2011257331A (ja) * | 2010-06-11 | 2011-12-22 | Shimadzu Corp | 走査型プローブ顕微鏡 |
CN104722687A (zh) * | 2015-03-03 | 2015-06-24 | 江苏凌飞锻造有限公司 | 55NiCrMoV7模具钢的锻造方法 |
-
1993
- 1993-06-29 JP JP5159684A patent/JPH0712553A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008516207A (ja) * | 2004-10-07 | 2008-05-15 | エヌアンビション・ゲーエムベーハー | 走査型プローブ顕微鏡検査のための装置及び方法 |
JP2010038637A (ja) * | 2008-08-01 | 2010-02-18 | Olympus Corp | 走査機構および原子間力顕微鏡 |
JP2011257331A (ja) * | 2010-06-11 | 2011-12-22 | Shimadzu Corp | 走査型プローブ顕微鏡 |
CN104722687A (zh) * | 2015-03-03 | 2015-06-24 | 江苏凌飞锻造有限公司 | 55NiCrMoV7模具钢的锻造方法 |
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