JPH07122221B2 - セラミック吸着獣毛繊維の製法 - Google Patents
セラミック吸着獣毛繊維の製法Info
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- JPH07122221B2 JPH07122221B2 JP2005788A JP2005788A JPH07122221B2 JP H07122221 B2 JPH07122221 B2 JP H07122221B2 JP 2005788 A JP2005788 A JP 2005788A JP 2005788 A JP2005788 A JP 2005788A JP H07122221 B2 JPH07122221 B2 JP H07122221B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,セラミツク微粒子を獣毛繊維に吸尽吸着せし
めてなるセラミツク吸着獣毛繊維の製法に関するもので
ある。
めてなるセラミツク吸着獣毛繊維の製法に関するもので
ある。
(従来の技術) セラミツク微粒子を繊維に付着させる場合,従来からア
クリル樹脂をバインダーに用いて,セラミツク微粒子を
主に合繊布帛に着させる方法が行われてきた。しかしな
がらこの方法の場合,セラミツク微粒子を繊維に付着さ
せるために比較的多量の樹脂を用いなければならず又,
使用するアクリル樹脂の一般的性質から繊維の風合が非
常に悪化する問題が生じるとともに,風合の耐久性も悪
かった。しかも加工する繊維の形態が糸,スライバー,
バラ毛の場合には繊維間に付着現象が生じて解繊が困難
になり,結局適用可能な繊維の形態も布帛に限られ,布
帛以外への適用はできなかった。
クリル樹脂をバインダーに用いて,セラミツク微粒子を
主に合繊布帛に着させる方法が行われてきた。しかしな
がらこの方法の場合,セラミツク微粒子を繊維に付着さ
せるために比較的多量の樹脂を用いなければならず又,
使用するアクリル樹脂の一般的性質から繊維の風合が非
常に悪化する問題が生じるとともに,風合の耐久性も悪
かった。しかも加工する繊維の形態が糸,スライバー,
バラ毛の場合には繊維間に付着現象が生じて解繊が困難
になり,結局適用可能な繊維の形態も布帛に限られ,布
帛以外への適用はできなかった。
(発明が解決しようとする課題) 本発明はこのような現状に鑑みて行われたもので,糸・
バラ毛・スライバー・布帛等の形態の獣毛繊維にセラミ
ツク微粒子を付着させるにもかかわらず,麻調のシヤリ
感風合のみならず肌着にも適用できるようなソフトな風
合をも耐久性よく有せしめることができるセラミツク吸
着獣毛繊維の製造方法を得ることを目的とするものであ
る。
バラ毛・スライバー・布帛等の形態の獣毛繊維にセラミ
ツク微粒子を付着させるにもかかわらず,麻調のシヤリ
感風合のみならず肌着にも適用できるようなソフトな風
合をも耐久性よく有せしめることができるセラミツク吸
着獣毛繊維の製造方法を得ることを目的とするものであ
る。
(課題を解決するための手段) 本発明は上述の目的を達成するもので,次の構成を有す
るものである。
るものである。
すなわち本発明は,セラミツク微粒子を分散剤で水中に
分散させた分散液に,カチオン基を有しかつフイルム形
成能を有する樹脂を加えて該樹脂でセラミツク微粒子を
包含,カチオン帯電させ,これを予め酸化処理にて繊維
表面をアニオンに帯電させた獣毛繊維に吸尽吸着せし
め,しかる後に該獣毛繊維を乾燥熱処理することを特徴
とするセラミツク吸着獣毛繊維の製造方法を要旨とする
ものである。
分散させた分散液に,カチオン基を有しかつフイルム形
成能を有する樹脂を加えて該樹脂でセラミツク微粒子を
包含,カチオン帯電させ,これを予め酸化処理にて繊維
表面をアニオンに帯電させた獣毛繊維に吸尽吸着せし
め,しかる後に該獣毛繊維を乾燥熱処理することを特徴
とするセラミツク吸着獣毛繊維の製造方法を要旨とする
ものである。
以下,本発明を詳細に説明する。
本発明では,被加工繊維として獣毛繊維を用いる。ここ
でいう獣毛繊維とは羊毛,アルパカ,モヘア,アンゴ
ラ,カシミア等の動物より得られる天然ケラチン質繊維
を意味するものであり,その繊維形態はバラ毛,スライ
バー,糸,織物,編物,不織布等いかなる形態のもので
あってもよい。
でいう獣毛繊維とは羊毛,アルパカ,モヘア,アンゴ
ラ,カシミア等の動物より得られる天然ケラチン質繊維
を意味するものであり,その繊維形態はバラ毛,スライ
バー,糸,織物,編物,不織布等いかなる形態のもので
あってもよい。
本発明では,上述の獣毛繊維に予め酸化処理を施し,そ
の繊維表面をアニオン化しておくことが必要である。
の繊維表面をアニオン化しておくことが必要である。
この酸化処理条件は獣毛の種類により調整すべきであ
り,通常は酸化剤の種類及びその使用量によって異なる
が,一般にバツチ法で行う場合には繊維重量の1〜10%
o.w.f.にて常温で10〜30分間の浸漬処理後,30〜50℃に
昇温して10〜40分間の処理を行うとよく,また連続法で
行う場合には3〜10%o.w.f.にて常温で約3〜15秒間浸
漬し,ピツクアツプ100%で絞液後,常温にて約3〜5
分間滞留させるとよい。このような処理温度や処理時間
は単なる目安であって,必ずしもこれに限定される必要
はない。
り,通常は酸化剤の種類及びその使用量によって異なる
が,一般にバツチ法で行う場合には繊維重量の1〜10%
o.w.f.にて常温で10〜30分間の浸漬処理後,30〜50℃に
昇温して10〜40分間の処理を行うとよく,また連続法で
行う場合には3〜10%o.w.f.にて常温で約3〜15秒間浸
漬し,ピツクアツプ100%で絞液後,常温にて約3〜5
分間滞留させるとよい。このような処理温度や処理時間
は単なる目安であって,必ずしもこれに限定される必要
はない。
ここで用いる酸化剤としては次亜鉛素酸塩,亜鉛素酸
塩,ジクロルイソシアヌール酸塩,過マンガン酸塩,過
酸化水素,モノ過硫酸およびその塩類等を挙げることが
できる。
塩,ジクロルイソシアヌール酸塩,過マンガン酸塩,過
酸化水素,モノ過硫酸およびその塩類等を挙げることが
できる。
酸化処理を施した獣毛繊維は十分水洗した後,還元剤を
用いて繊維内部に残存する酸化剤を除くと同時に獣毛繊
維の表面にアニオン化する。還元剤としては重亜硫酸ソ
ーダー,亜硫酸ソーダ,メタ重亜硫酸ソーダ等を用いる
ことができ,その使用量は3〜8%o.w.f.程度が適当で
ある。
用いて繊維内部に残存する酸化剤を除くと同時に獣毛繊
維の表面にアニオン化する。還元剤としては重亜硫酸ソ
ーダー,亜硫酸ソーダ,メタ重亜硫酸ソーダ等を用いる
ことができ,その使用量は3〜8%o.w.f.程度が適当で
ある。
このようにしてアニオンに帯電せしめた獣毛繊維に対し
て,本発明ではカチオン基を有しかつフイルム形成能を
有する樹脂で包含してカチオン帯電せしめたセラミツク
微粒子を吸尽吸着せしめる。
て,本発明ではカチオン基を有しかつフイルム形成能を
有する樹脂で包含してカチオン帯電せしめたセラミツク
微粒子を吸尽吸着せしめる。
ここで用いるセラミツク微粒子とはその粒子の大きさが
直径0.01〜20μの範囲の微粉体で,使用されるセラミツ
クとしては,ケイ酸系,アルミナ系,ジルコニウム系,
チタン系等のセラミツクがあり,更に具体的にはケイ酸
系の酸化ケイ素SiO2,アルミナ系の酸化アルミニウムAl2
O3,ジルコニウム系の酸化ジルコニウムZrO2,チタン系の
酸化チタニウムTiO2等を挙げることができ,またこれら
の複合物であるアルミノ・シリケイトAl2O3・SiO2,ジル
コンZrO2・SiO2,チタン酸アルミニウムAl2O3 TiO2,並び
にコージライト2MgO・2Al2O3・5SiO2に代表されるゼオ
ライトMeO・Al2O3・aSiO2・nH2O(Meはアルカリ金属又
はアルカリ土類金属)等を挙げることができる。
直径0.01〜20μの範囲の微粉体で,使用されるセラミツ
クとしては,ケイ酸系,アルミナ系,ジルコニウム系,
チタン系等のセラミツクがあり,更に具体的にはケイ酸
系の酸化ケイ素SiO2,アルミナ系の酸化アルミニウムAl2
O3,ジルコニウム系の酸化ジルコニウムZrO2,チタン系の
酸化チタニウムTiO2等を挙げることができ,またこれら
の複合物であるアルミノ・シリケイトAl2O3・SiO2,ジル
コンZrO2・SiO2,チタン酸アルミニウムAl2O3 TiO2,並び
にコージライト2MgO・2Al2O3・5SiO2に代表されるゼオ
ライトMeO・Al2O3・aSiO2・nH2O(Meはアルカリ金属又
はアルカリ土類金属)等を挙げることができる。
ここでセラミツク微粒子を獣毛繊維に吸尽吸着せしめる
方法を以下に説明する。当然のことではあるがセラミツ
ク微粒子を水溶液中に加えて撹拌しても白く懸濁するだ
けで,5〜30分間放置すれば溶液の上澄液は透明になり,
セラミツク微粒子は底部に沈降する。従って,セラミツ
ク微粒子を水溶液中に均一に分散するために分散剤が必
要である。
方法を以下に説明する。当然のことではあるがセラミツ
ク微粒子を水溶液中に加えて撹拌しても白く懸濁するだ
けで,5〜30分間放置すれば溶液の上澄液は透明になり,
セラミツク微粒子は底部に沈降する。従って,セラミツ
ク微粒子を水溶液中に均一に分散するために分散剤が必
要である。
一般に,分散剤はバツト染料,分散染料,顔料などのよ
うに水中で微粒子として存在するものを均一にしかも安
定した分散状態を保つために用いられているが,これら
の殆どは大別するとβ−ナフタレンスルホン酸ホルムア
ルデヒド縮合体かポリオキシエチレンアルキルフエノー
ルエーテルまたはその硫酸エステル塩などであり,アニ
オン性の荷電を有している分散剤である。そしてこれら
の分散剤を使用してもセラミツク微粒子の水性分散性の
向上効果は乏しい。本発明に用いられる分散剤として
は,下記化学式(I)で示される化合物がセラミツク微
粒子に対する乳化性能,分散性能の点で優れているので
推奨される。
うに水中で微粒子として存在するものを均一にしかも安
定した分散状態を保つために用いられているが,これら
の殆どは大別するとβ−ナフタレンスルホン酸ホルムア
ルデヒド縮合体かポリオキシエチレンアルキルフエノー
ルエーテルまたはその硫酸エステル塩などであり,アニ
オン性の荷電を有している分散剤である。そしてこれら
の分散剤を使用してもセラミツク微粒子の水性分散性の
向上効果は乏しい。本発明に用いられる分散剤として
は,下記化学式(I)で示される化合物がセラミツク微
粒子に対する乳化性能,分散性能の点で優れているので
推奨される。
(但しm,nは1〜15の整数,Rは脂肪族を示す。) このような分散剤(ポリオキシエチレン基を有する第3
級アミンの脂肪族アマイド)を2〜10%o.w.f.の範囲で
用いることによりセラミツク微粒子の水性分散性は著し
く向上した。本発明では,分散性が良好であれば特にこ
の分散剤に限定される必要はない。
級アミンの脂肪族アマイド)を2〜10%o.w.f.の範囲で
用いることによりセラミツク微粒子の水性分散性は著し
く向上した。本発明では,分散性が良好であれば特にこ
の分散剤に限定される必要はない。
次に,カチオン基を有する樹脂を使用して水性分散して
いるセラミツク微粒子を包含し,これをカチオンに帯電
させる。
いるセラミツク微粒子を包含し,これをカチオンに帯電
させる。
ここで使用する樹脂はアニオン化された獣毛繊維と反応
しうるカチオン基を有しかつフイルム形成能を有するこ
とが不可欠である。
しうるカチオン基を有しかつフイルム形成能を有するこ
とが不可欠である。
かかる樹脂としては,下記化学式(II)で示されるアミ
ノアクリルコーポリマー,下記化学式(III)で示され
るポリアミドエピクロルヒドリン樹脂,下記化学式(I
V)で示されるアミノ変成シリコーン樹脂,下記化学式
(V)で示されるカチオン性ウレタン樹脂等を挙げるこ
とができる。
ノアクリルコーポリマー,下記化学式(III)で示され
るポリアミドエピクロルヒドリン樹脂,下記化学式(I
V)で示されるアミノ変成シリコーン樹脂,下記化学式
(V)で示されるカチオン性ウレタン樹脂等を挙げるこ
とができる。
(ただし,n,mは正の整数) (但しRはアルキル基またはアルコキシ基,m,nは正の整
数を示す。) (但しR,R′,R″,Rはいずれもアルキル基,Xはハロゲ
ン原子) これらの樹脂をセラミツク微粒子の水性分散液に添加混
合することにより,セラミツク微粒子を上記樹脂で包含
しカチオンに帯電させる。この場合,樹脂で包含してカ
チオンに帯電させたセラミツク微粒子の分散液を処理浴
とは別の分散液として用意(これをあとで処理浴に加え
ることになる。)してもよいが,セラミツク微粒子のみ
を分散剤で分散させた分散液を予め処理浴に添加してお
き,続いてこの処理浴にカチオン基を有する樹脂を添加
することにより処理浴中でセラミツク微粒子を該樹脂で
包含,カチオン帯電させたセラミツク微粒子の分散液を
形成するようにしてもよく,工業的には後者の方がむし
ろ合理的である。
数を示す。) (但しR,R′,R″,Rはいずれもアルキル基,Xはハロゲ
ン原子) これらの樹脂をセラミツク微粒子の水性分散液に添加混
合することにより,セラミツク微粒子を上記樹脂で包含
しカチオンに帯電させる。この場合,樹脂で包含してカ
チオンに帯電させたセラミツク微粒子の分散液を処理浴
とは別の分散液として用意(これをあとで処理浴に加え
ることになる。)してもよいが,セラミツク微粒子のみ
を分散剤で分散させた分散液を予め処理浴に添加してお
き,続いてこの処理浴にカチオン基を有する樹脂を添加
することにより処理浴中でセラミツク微粒子を該樹脂で
包含,カチオン帯電させたセラミツク微粒子の分散液を
形成するようにしてもよく,工業的には後者の方がむし
ろ合理的である。
また,本発明で用いる上述のカチオン基を有する樹脂の
中でアミノ変性シリコーン樹脂の場合にアミノエポキシ
樹脂を併用すると風合の耐久性がより一層向上するの
で,必要に応じて適宜併用するとよい。
中でアミノ変性シリコーン樹脂の場合にアミノエポキシ
樹脂を併用すると風合の耐久性がより一層向上するの
で,必要に応じて適宜併用するとよい。
カチオン基を有する樹脂の使用量は,目的とする繊維の
風合に合わせて適宜決定すればよいが,一般にはアミノ
アクリルコーポリマーの場合1〜10%o.w.f.,ポリアミ
ドエピクロルヒドリン樹脂の場合10〜30%o.w.f.,アミ
ノ変性シリコーン樹脂の場合1〜10%o.w.f.程度が適当
である。アミノアクリルコーポリマーによれば春,秋素
材として要求される粗硬感の伴なった風合のものを得る
ことができ,ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂によれ
ば中衣,外衣用として要求されるはり,腰の伴なった中
庸の風合のものを得ることができ,カチオン性ウレタン
樹脂によれば中衣として要求されるバルキーでしかもソ
フト風合のものを得ることができアミノ変性シリコーン
樹脂によれば肌着に要求される非常にソフトな風合のも
のを得ることができる。
風合に合わせて適宜決定すればよいが,一般にはアミノ
アクリルコーポリマーの場合1〜10%o.w.f.,ポリアミ
ドエピクロルヒドリン樹脂の場合10〜30%o.w.f.,アミ
ノ変性シリコーン樹脂の場合1〜10%o.w.f.程度が適当
である。アミノアクリルコーポリマーによれば春,秋素
材として要求される粗硬感の伴なった風合のものを得る
ことができ,ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂によれ
ば中衣,外衣用として要求されるはり,腰の伴なった中
庸の風合のものを得ることができ,カチオン性ウレタン
樹脂によれば中衣として要求されるバルキーでしかもソ
フト風合のものを得ることができアミノ変性シリコーン
樹脂によれば肌着に要求される非常にソフトな風合のも
のを得ることができる。
上述の樹脂で包含しカチオンに帯電させたセラミツク微
粒子は,水性分散液の状態で,予めアニオンに帯電させ
ておいた獣毛繊維に吸尽吸着せしめる。
粒子は,水性分散液の状態で,予めアニオンに帯電させ
ておいた獣毛繊維に吸尽吸着せしめる。
この吸尽吸着処理においては,アミノアクリルコーポリ
マーおよびポリアミドエピクロルヒドリン樹脂およびカ
チオン性ウレタン樹脂の場合pH7.0〜10.0,アミノ変性シ
リコーン樹脂の場合pH4.0〜7.0に調整し,いずれの場合
にも20〜50℃にて10〜50分間の処理を行うことにより,
セラミツク微粒子を獣毛繊維にほとんど完全に吸尽吸着
せしめることができる。
マーおよびポリアミドエピクロルヒドリン樹脂およびカ
チオン性ウレタン樹脂の場合pH7.0〜10.0,アミノ変性シ
リコーン樹脂の場合pH4.0〜7.0に調整し,いずれの場合
にも20〜50℃にて10〜50分間の処理を行うことにより,
セラミツク微粒子を獣毛繊維にほとんど完全に吸尽吸着
せしめることができる。
獣毛繊維へのセラミツク微粒子の吸尽率は使用する樹脂
のタイプ,使用量,浴のpH,処理温度,処理時間などに
依存するので実施に際して,予め実験により条件を設定
するようにしておくとよい。このようにしてセラミツク
微粒子を吸尽吸着した獣毛繊維は,次に脱水し乾燥熱処
理を行う。
のタイプ,使用量,浴のpH,処理温度,処理時間などに
依存するので実施に際して,予め実験により条件を設定
するようにしておくとよい。このようにしてセラミツク
微粒子を吸尽吸着した獣毛繊維は,次に脱水し乾燥熱処
理を行う。
この乾燥熱処理条件は,使用した樹脂を繊維上でフイル
ム形成させ,完全に固着させるために,80〜120℃にて30
〜60分間の乾熱処理を行うのが好ましい。
ム形成させ,完全に固着させるために,80〜120℃にて30
〜60分間の乾熱処理を行うのが好ましい。
(作 用) 水に不溶のセラミツク微粒子が獣毛繊維に吸着する詳細
な機構については明らかでないが,本発明者は次のよう
に推測している。まず最初に獣毛繊維を酸化剤処理後,
還元剤中和をすると獣毛のジサルフアイト結合が酸化さ
れ,スルホン酸基を生ずると同時に,一方ではクチクル
中のペプチド結合の開裂によりカルボキシル基と一級ア
ミンを生じ,その結果,獣毛繊維上はアニオン性に帯電
した座席となる。一方,セラミツク微粒子そのものは金
属酸化物(MeO2)であるが,水にも酸にも不溶でpH9以
上のアルカリ領域で一部金属酸塩イオン(MeO3)となる
とはいえ,これが獣毛繊維に直接結合するとは考えられ
ない。
な機構については明らかでないが,本発明者は次のよう
に推測している。まず最初に獣毛繊維を酸化剤処理後,
還元剤中和をすると獣毛のジサルフアイト結合が酸化さ
れ,スルホン酸基を生ずると同時に,一方ではクチクル
中のペプチド結合の開裂によりカルボキシル基と一級ア
ミンを生じ,その結果,獣毛繊維上はアニオン性に帯電
した座席となる。一方,セラミツク微粒子そのものは金
属酸化物(MeO2)であるが,水にも酸にも不溶でpH9以
上のアルカリ領域で一部金属酸塩イオン(MeO3)となる
とはいえ,これが獣毛繊維に直接結合するとは考えられ
ない。
それ故,セラミツク微粒子(金属酸化物)の酸素のもつ
不対電子が分散剤であるカチオン界面活性剤のアミンに
より化学的に吸着されて,元来,不溶のセラミツク微粒
子が水溶液中で均一に分散され,安定した水性分散液と
なり,この安定分散された状態で,アミノ基などのカチ
オン性基をもつ樹脂を作用させるとセラミツク微粒子は
カチオン界面活性剤より脱着現象が起こると同時に,セ
ラミツク微粒子のもつ酸素の不対電子が樹脂のアミン基
を個所へ化学的に吸着されていく現象が起こり,その結
果,樹脂がセラミツク粒子を包含した形となって樹脂そ
のものはカチオンに帯電した状態となる。
不対電子が分散剤であるカチオン界面活性剤のアミンに
より化学的に吸着されて,元来,不溶のセラミツク微粒
子が水溶液中で均一に分散され,安定した水性分散液と
なり,この安定分散された状態で,アミノ基などのカチ
オン性基をもつ樹脂を作用させるとセラミツク微粒子は
カチオン界面活性剤より脱着現象が起こると同時に,セ
ラミツク微粒子のもつ酸素の不対電子が樹脂のアミン基
を個所へ化学的に吸着されていく現象が起こり,その結
果,樹脂がセラミツク粒子を包含した形となって樹脂そ
のものはカチオンに帯電した状態となる。
従って,獣毛繊維のアニオン化された座席に,カチオン
性の官能基をもった樹脂分子が反応することになり,樹
脂に包含されたセラミツク粒子も獣毛繊維上に吸尽吸着
されることになる。樹脂は反応後,乾燥,キユアリング
されて獣毛繊維上で皮膜を形成し,その結果セラミツク
微粒子の繊維吸着耐久性も向上するものと推測される。
性の官能基をもった樹脂分子が反応することになり,樹
脂に包含されたセラミツク粒子も獣毛繊維上に吸尽吸着
されることになる。樹脂は反応後,乾燥,キユアリング
されて獣毛繊維上で皮膜を形成し,その結果セラミツク
微粒子の繊維吸着耐久性も向上するものと推測される。
(実施例) 次に,本発明方法を実施例により具体的に説明する。
実施例1 綛状のニツト用ウール糸(番手2/32)を用意し,噴射式
染色機を用いて浴比が1:15になるように液を入れ,常温
で浸透剤Tergifol TMN(米国UCC社製,非イオン活性
剤)0.5%o.w.f.を加えて5〜10分間運転し,充分に原
料を湿潤した後,次亜塩素酸ソーダを有効塩素量で5.0
%o.w.f.加えて10分間循環し,続いて濃硫酸にてpHを2
〜3に保ち,30℃で20分間の処理を行った。次に亜硫酸
ナトリウムを5.0%添加し,温度35℃にて15分間の脱塩
素中和を行った後,水洗して,新液を入れた。
染色機を用いて浴比が1:15になるように液を入れ,常温
で浸透剤Tergifol TMN(米国UCC社製,非イオン活性
剤)0.5%o.w.f.を加えて5〜10分間運転し,充分に原
料を湿潤した後,次亜塩素酸ソーダを有効塩素量で5.0
%o.w.f.加えて10分間循環し,続いて濃硫酸にてpHを2
〜3に保ち,30℃で20分間の処理を行った。次に亜硫酸
ナトリウムを5.0%添加し,温度35℃にて15分間の脱塩
素中和を行った後,水洗して,新液を入れた。
ここで,3%エソミンT/15(分散剤,ライオンアクゾ
(株)製品)を3%o.w.f.熱湯でよく溶解した溶液に,
2.0%o.w.f.のケイ素酸ジルコニウム(セラミツク,金
生興業(株)製品)を加えて均一に分散させたのち,こ
れを処理浴に加えて10分間運転した。
(株)製品)を3%o.w.f.熱湯でよく溶解した溶液に,
2.0%o.w.f.のケイ素酸ジルコニウム(セラミツク,金
生興業(株)製品)を加えて均一に分散させたのち,こ
れを処理浴に加えて10分間運転した。
次に,松本シリコーンソフナーN−20(アミノ変性ポリ
シロキサン乳化物,松本油脂(株)製品)を6.0%o.w.
f.とり,これを処理浴に加えて50℃で40分間の処理を行
ったところ,開始当初,懸濁していた溶液は無色透明に
なり,セラミツク微粒子は繊維に完全に吸尽された。
シロキサン乳化物,松本油脂(株)製品)を6.0%o.w.
f.とり,これを処理浴に加えて50℃で40分間の処理を行
ったところ,開始当初,懸濁していた溶液は無色透明に
なり,セラミツク微粒子は繊維に完全に吸尽された。
このあと,通常の方法で脱水後,90℃で60分間の乾燥熱
処理を行うことにより本発明方法によるセラミツク吸着
羊毛糸を得た。この羊毛糸は肌着にも適用できるような
ソフトな風合を有していた。この羊毛を用いて腹巻を試
作し,その着用テストを行ったところ,1シーズン着用後
においても風合の変化がなく,風合の耐久性もすぐれて
いた。
処理を行うことにより本発明方法によるセラミツク吸着
羊毛糸を得た。この羊毛糸は肌着にも適用できるような
ソフトな風合を有していた。この羊毛を用いて腹巻を試
作し,その着用テストを行ったところ,1シーズン着用後
においても風合の変化がなく,風合の耐久性もすぐれて
いた。
実施例2 直径21.5μのオーストラリア産メリノ種原料を使用した
羊毛セーターを用意し,パドルマシンを用いて浴比1:30
にてジクロロイソシアヌール酸ナトリウムを有効塩素量
で4.0%o.w.f.加えて25℃にて25分間浸漬し,水洗後,
亜硫酸ナトリウム3.0o.w.f.,酸性亜硫酸ソーダ3.0%o.
w.f.の浴中にて30℃で15分間処理した後充分に水洗し
た。ここでエソミンT/15(分散剤,ライオンアクゾ
(株)製品)を3.0%o.w.f.熱湯でよく溶かした溶液
に,ゼオラム(ゼオライト,東洋曹達工業(株)製品)
4.0%o.w.f.を加えて充分に分散させたのち処理浴に加
えた。
羊毛セーターを用意し,パドルマシンを用いて浴比1:30
にてジクロロイソシアヌール酸ナトリウムを有効塩素量
で4.0%o.w.f.加えて25℃にて25分間浸漬し,水洗後,
亜硫酸ナトリウム3.0o.w.f.,酸性亜硫酸ソーダ3.0%o.
w.f.の浴中にて30℃で15分間処理した後充分に水洗し
た。ここでエソミンT/15(分散剤,ライオンアクゾ
(株)製品)を3.0%o.w.f.熱湯でよく溶かした溶液
に,ゼオラム(ゼオライト,東洋曹達工業(株)製品)
4.0%o.w.f.を加えて充分に分散させたのち処理浴に加
えた。
次にケミチレンGU−2(カチオン系ウレタン樹脂,三洋
化成(株)製品)を5.0%o.w.f.とり,充分に希釈した
後処理浴に加え,50℃にて30分間の処理を行ったとこ
ろ,溶液が透明になった。処理後,遠心脱水機で脱水
後,タンブルドライヤーにて80℃で15分間の乾燥熱処理
を行った。
化成(株)製品)を5.0%o.w.f.とり,充分に希釈した
後処理浴に加え,50℃にて30分間の処理を行ったとこ
ろ,溶液が透明になった。処理後,遠心脱水機で脱水
後,タンブルドライヤーにて80℃で15分間の乾燥熱処理
を行った。
処理後のセーターを構成する繊維を顕微鏡で観察したと
ころ,セラミツク微粒子が獣毛繊維上に吸着されている
のが確認された。このセーターはバルキーな中にソフト
な風合を兼ねそなえていた。
ころ,セラミツク微粒子が獣毛繊維上に吸着されている
のが確認された。このセーターはバルキーな中にソフト
な風合を兼ねそなえていた。
このセーターの試着テストを行ったところ,1シーズン着
用後においても風合の変化がなく,風合の耐久性もすぐ
れていた。
用後においても風合の変化がなく,風合の耐久性もすぐ
れていた。
(発明の効果) 本発明はカチオン基を有しかつフイルム形成能を有する
樹脂でセラミツク微粒子を包含,カチオン帯電させ,こ
れを予め酸化処理によりアニオン化された獣毛繊維に吸
着させるという構成を有し,かかる構成の本発明方法に
よれば獣毛繊維に完全にセラミツク微粒子を結合させ,
麻調のシヤリ感風合のみならず,肌着にも適用できるよ
うなソフトな風合を樹脂の種類を選択することによりし
かも耐久性よく獣毛繊維に有せしめることができる。
樹脂でセラミツク微粒子を包含,カチオン帯電させ,こ
れを予め酸化処理によりアニオン化された獣毛繊維に吸
着させるという構成を有し,かかる構成の本発明方法に
よれば獣毛繊維に完全にセラミツク微粒子を結合させ,
麻調のシヤリ感風合のみならず,肌着にも適用できるよ
うなソフトな風合を樹脂の種類を選択することによりし
かも耐久性よく獣毛繊維に有せしめることができる。
Claims (1)
- 【請求項1】セラミツク微粒子を分散剤で水中に分散さ
せた分散液に,カチオン基を有しかつフイルム形成能を
有する樹脂を加えて該樹脂でセラミツク微粒子を包含,
カチオン帯電させ,これを予め酸化処理にて繊維表面を
アニオンに帯電させた獣毛繊維に吸尽吸着せしめ,しか
る後に該獣毛繊維を乾燥熱処理することを特徴とするセ
ラミツク吸着獣毛繊維の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005788A JPH07122221B2 (ja) | 1988-01-29 | 1988-01-29 | セラミック吸着獣毛繊維の製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005788A JPH07122221B2 (ja) | 1988-01-29 | 1988-01-29 | セラミック吸着獣毛繊維の製法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01192877A JPH01192877A (ja) | 1989-08-02 |
JPH07122221B2 true JPH07122221B2 (ja) | 1995-12-25 |
Family
ID=12016451
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005788A Expired - Lifetime JPH07122221B2 (ja) | 1988-01-29 | 1988-01-29 | セラミック吸着獣毛繊維の製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07122221B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0397958A (ja) * | 1989-03-28 | 1991-04-23 | Daito Boshoku Kk | セラミックス加工糸の製造方法 |
DE102006062113A1 (de) * | 2006-12-23 | 2008-06-26 | Philipps-Universität Marburg | Partikelmodifizierte Nano- und Mesofasern |
-
1988
- 1988-01-29 JP JP2005788A patent/JPH07122221B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01192877A (ja) | 1989-08-02 |
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