JPH07118627A - ガスケット用シートおよびその製造方法 - Google Patents

ガスケット用シートおよびその製造方法

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JPH07118627A
JPH07118627A JP5332110A JP33211093A JPH07118627A JP H07118627 A JPH07118627 A JP H07118627A JP 5332110 A JP5332110 A JP 5332110A JP 33211093 A JP33211093 A JP 33211093A JP H07118627 A JPH07118627 A JP H07118627A
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sheet
expanded graphite
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graphite particles
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Takahisa Ueda
隆久 上田
Masahiko Takaoka
昌彦 高岡
Masanori Seki
正典 関
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 シート状基材の表面剥離性を抑制してコーテ
ィング層やラミネートフィルムの剥離強度を増強できる
とともに、主面なじみ性などを保って相手側への固着な
どを防止でき、さらに、シート状基材の主面に熱的影響
を受けないマークなどを容易に形成できるようにする。 【構成】 膨張黒鉛1を加圧成形してなるシート状基材
11(31)の主面における高密度で高配向された膨張
黒鉛粒子1a1をブラスト加工などによって一部除去す
る、もしくはシート状基材11(31)の主面の高密度
で高配向された膨張黒鉛粒子の折り畳み層を起立状態に
拡開させたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、たとえば各種配管の継
手フランジ面や流体機械の接合部などに使用され、また
耐熱テープなどとしても使用可能なガスケット用シート
およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種のシートは、ゴムや四弗
化エチレン樹脂(テフロン)などで構成されていたが、
最近では、耐熱性などの点で優れた膨張黒鉛を用いたも
のが多く開発されている。
【0003】上記膨張黒鉛は、図15に示すように、鱗
片状の黒鉛粒子1aが積層状態となっている厚さH0 の
酸処理黒鉛1Aを膨張処理することにより、図16に示
すように、上記積層方向(矢印a方向)に拡開されて黒
鉛粒子1aの各間にすきまGを有する厚さHの蛇腹状の
構造体1からなる。
【0004】また、膨張黒鉛1を使用したガスケット用
シートとして、従来、例えば図17に示すように、上記
膨張黒鉛1をプレス成形やロール成形により加圧して拡
開した蛇腹状の層間を再び密着させることで、膨張黒鉛
粒子が相互に自己接着してなるシート状基材101を構
成し、その主面、たとえば上下両面にポリテトラフロロ
エチレン(以下、PTFEと称す)102,102をそ
れぞれコーティング材として塗布したものや、図18に
示すように、上記シート状基材101の上下両面に、接
着剤103を有するPTFEフィルム104,104を
それぞれラミネート加工して貼着したものが知られてい
る。
【0005】また、膨張黒鉛1に接着剤を混入したもの
をプレス成形やロール加圧成形によって加圧してシート
状化したもの、あるいは膨張黒鉛からなるシート状基材
の主面に、エンボスロールなどで局部的に凹凸を形成し
た後に、箔などをラミネート加工にて接合したり、ゴム
系の材料をコーティングしたものも知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記したような構成の
従来のガスケット用シートにおいては、膨張黒鉛1を加
圧しただけのシート状基材101であるために、図19
に示すように、この基材101の主面側の膨張黒鉛粒子
1aが高密度で高配向の状態となり、その部位の結晶面
は主面にほぼ平行に加圧密着された状態となっている。
【0007】したがって、このままでは、ゴムやテフロ
ンに比して低締付面圧での接面へのなじみ性が悪く、か
つ傷がつき易いし、コーティング層102なども継手フ
ランジ面に固着してしまい、継手フランジからの離脱が
困難である。また、表面処理を施してないものは膨張黒
鉛粒子1a1に含まれる微量の不純物、例えば硫黄や塩
素が溶出して金属を腐食させるおそれもある。
【0008】とくに、上記PTFE102をコーティン
グしたり、フィルム104をラミネート加工で接合した
場合、主面側の膨張黒鉛粒子1a1に対してPTFEの
コーティング材102や接着剤103が侵入しにくく、
これらコーティング層102や接着剤層などの剥離が起
こりやすい また、上記膨張黒鉛粒子1からなるシート状基材101
の主面に有機接着剤を含有したインクを使用して社名や
商標などをマーキングすることもあるが、この場合、高
温での使用状況下では、上記マーキングした部位に応力
緩和やクリープが発生し、また、マーキングのフランジ
への固着やシール性を劣化させるなどのおそれがあっ
た。
【0009】本発明は上記した実情に鑑みてなされたも
ので、接面のなじみ性などを確保できる上、フランジ面
などへの固着も防止でき、また、膨張黒鉛からなるシー
ト基材に対してコーティング層やラミネートフィルムな
どの剥離強度が大となり、さらに相手側金属に対する腐
食も防止でき、耐熱性に優れたマークも容易に施すこと
ができるガスケット用シートおよびその製造方法を提供
することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明に係るガスケット用シートは、膨張
黒鉛を加圧成形してなるシート状基材の主面側における
高密度で高配向された膨張黒鉛粒子の一部を除去してな
るものである。
【0011】また、請求項2の発明に係るガスケット用
シートは、膨張黒鉛を加圧成形してなるシート状基材の
主面側における高密度で高配向された膨張黒鉛粒子の折
り畳み層を起立状態に拡開してなるものである。
【0012】また、上記高密度で高配向された膨張黒鉛
粒子の一部が除去された、もしくは起立状態に拡開され
た折り畳み層を有するシート状基材の主面にコーティン
グ層を形成するとよい。
【0013】さらに、上記高密度で高配向された膨張黒
鉛粒子の一部が除去された、もしくは起立状態に拡開さ
れた折り畳み層を有するシート状基材の主面に接着剤を
介してフィルムをラミネート加工にて接合してもよい。
【0014】さらにまた、上記高密度で高配向された膨
張黒鉛粒子が起立状態に拡開された折り畳み層を有する
シート状基材の主面に、接着剤を介することなく、多孔
質フィルムまたはシートをラミネート加工で接合するこ
とが好ましい。
【0015】また、本発明に係るガスケット用シートの
製造方法は、膨張黒鉛を加圧成形してなるシート状基材
の主面側における高密度で高配向された膨張黒鉛粒子の
一部を、該膨張黒鉛粒子よりも小径の粒子によりブラス
ト加工して膨張黒鉛の折り畳み層を起立状態に拡開する
ものである。
【0016】請求項1および2の発明によれば、膨張黒
鉛を加圧成形してなるシート状基材の主面側の膨張黒鉛
粒子の一部を、たとえば黒鉛粒子径よりも小さい粒子に
よりブラスト加工して除去させている、もしくは、膨張
黒鉛粒子の折り畳み層を起立状態に拡開させているの
で、上記シート状基材の主面での剥離性が抑制され、主
面なじみ性なども確保される。しかも、上記ブラスト加
工によって表面に形成された膨張黒鉛粒子間のすきまに
コーティング材やラミネートフィルムの接着剤が入り易
くなり、三次元的な結合により剥離強度が増強される。
また、コーティング層から膨張黒鉛粒子が露出すること
もなく、使用に際して相手側金属が腐食されることも有
効に防止される。さらに、上記シート状基材の主面にそ
のままブラスト加工でマーキングすることも可能とな
り、熱的影響を受けないマークを容易に形成することが
できる。
【0017】特に、請求項5のように、ラミネート材と
して、多孔質フィルムまたはシートを使用し、これを膨
張黒鉛粒子が起立状態に拡開された折り畳み層を有する
シート状基材の主面にラミネート加工する場合は、起立
状態に拡開された膨張黒鉛の一部が多孔質フィルムまた
はシートの気孔内に食い込むことによる投錨効果と、起
立状態に拡開させることにともなう比表面積の増大によ
る物理的吸着力(ファンデルワールス力)の増加によっ
て、接着剤を用いることなく、シート状基材の主面に多
孔質フィルムまたはシートを強固にラミネートして、主
面なじみ性、主面保護性、フランジ面からの離型性、膨
張黒鉛に含まれている硫黄分などの不純物の溶出に伴な
う相手側金属の腐食防止、黒鉛の微粉飛散による環境悪
化の防止の向上を図りつつ、かつ剥離強度に優れたガス
ケット用シートを、接着剤塗布工程の省略によって生産
性よく得ることができる。
【0018】なお、上記膨張黒鉛は、商業的に生産され
ているもので、幅寸法(図16の矢印b方向)の寸法は
1mm以下であり、この点から上記ブラスト加工に使用す
る粒子としては、粒子径が1mm以下のものが好適であ
る。膨張黒鉛粒子1a間のすきまG(図16)を考慮す
れば、ブラストには、粒子径が500μm以下のものを
使用するのが良い。ブラスト加工時の粒子としては、S
iCなどを挙げることができる。
【0019】また、コーティング材としては、ニトリル
ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)およびフッ
素などの各種ゴム、前述したPTFEの他に、エポキ
シ、フェノール、ナイロンおよぴポリエチレンなどの各
種合成樹脂、あるいは、シリコンやフッ素などの各種オ
イルなどの高粘度体があり、主面なじみ性の改良に有用
である。なお、上記した各種合成樹脂はコーティング
後、必要に応じて加硫、焼成、熱硬化などの後処理を施
してもよい。
【0020】また、ラミネート用フィルムとしては、ア
ルミや銅などの軟質の金属箔、多孔質PTFE、ポリエ
ステル、アラミドなどの各種フィルムを使用することが
できる。これは、膨張黒鉛のシート状基材の主面を保護
するのに役立つ。特に、接着剤を使用しない場合は、そ
の気孔径が0.2μm〜5μmとなるように延伸加工さ
れた多孔質PTFEのフィルムまたはシートを使用する
ことが好ましく、この多孔質PTFEを使用する場合
は、耐蝕性に優れている。
【0021】また、マイカ、タルクおよび鱗片状黒鉛な
どの層状鉱物、チタン酸カリ、セピオライトおよびウォ
ラストナイトなどの繊維状無機物、さらには、タルク、
ケイカル、タンカルおよびカオリンなどの無機粉体、ガ
ラス、セラミックおよび炭素などの各種無機繊維のチョ
ップをコーティング材にバインダと共に混入してもよ
い。その場合は、フランジ面などの相手への固着および
コーティング材のクリープが一層有効に防止される。
【0022】さらに、亜鉛やアルミなどの犠牲金属、ペ
トロラタムおよびワックスなどの油脂、アミン系などの
防食油、亜硝酸塩などの不働態化剤をコーティング材に
混入すれば、相手側金属に対する腐食を一層確実に防止
することができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面にもとづいて
説明する。図1は本発明の第1実施例によるガスケット
用シートを示すものである。
【0024】図1において、11は膨張黒鉛からなる厚
さ1mmのシート状基材であり、その主面、つまり、上
面には、ブラストによるマーク12が形成されている。
このシート状基材11は、膨張黒鉛1(図16)を加圧
して、シート状に成形し、その上面側に形成されている
高密度で、かつ上面にほぼ平行な高配向の膨張黒鉛粒子
1a1の一部をマイクロブラストしたもので、このマイ
クロブラストのみで色調変化によるマーク12を施して
いる。ここで、シート状の成形時には、図6に示すよう
に、上記上面には高配向の膨張黒鉛粒子1a1とその粒
子の切断により小片となった切断片1a2とが存在して
おり、この状態での短時間のマイクロブラストにより、
まず、図7に示すように、上記上面に存在する切断片1
a2が離脱する。このように、切断片1a2が取り除か
れた後、もう暫くマイクロブラストを続けると、上記上
面の高配向の膨張黒鉛粒子1a1の折り畳み層が図8に
示すように、起立状態に広がり、蛇腹状となる。すなわ
ち、この第1実施例のものでは、マーキング材として異
種材を使用していないので、図10に示すように、高温
使用状態下でのマーキングによる応力緩和、クリープ、
フランジ面への固着、シール性の劣化などの悪影響を受
けることがない。
【0025】図2は本発明の第2実施例によるガスケッ
ト用シートを示すものである。膨張黒鉛からなる厚さ1
mmのシート状基材11の上面には、PTEFによるコ
ーティング層21,21が形成されている。このシート
状基材11も上記第1実施例と同様に形成されたシート
状基材11の主面をマイクロブラスト加工してから、P
TEFをコーティングしたものである。この場合、マイ
クロブラストによって起立状態となって拡開された膨張
黒鉛粒子1a1のすきまGに上記コーティング材21が
入り込んで三次元的に結合するので、接合強度が増強さ
れる。
【0026】また、三次元的な結合により、コーティン
グ層21の強さも増大する。図16の矢印a方向の摩擦
に対する強度はb方向のそれよりも20倍も大となり、
耐摺動性が向上し、また、上下両面に膨張黒鉛粒子1a
1が露出しないので、硫黄分が露出して相手金属を腐食
させるおそれもない。すなわち、この第2実施例のもの
では、図10に示すように、主面なじみ性や主面保護性
および固着防止の向上を図ることができる。
【0027】図3は本発明の第3実施例によるガスケッ
ト用シートを示すものである。膨張黒鉛からなる厚さ
1.5mmのシート状基材31は、SUSからなる50
μmの厚さの箔32が補強材として厚さ方向の中央部位
に埋設されている。膨張黒鉛からなる厚さ1.5mmの
シート状基材31の主面、つまり上下両面には、第2実
施例のコーティング層21に代って、接着剤33を有す
る多孔質のPTFEフィルム34,34がそれぞれラミ
ネート加工によって接合されている。このものにおいて
は、接着剤層33がブラストされた膨張黒鉛粒子1a1
のすきまGに入り込んで三次元的に結合し、剥離しにく
くなり、上記第2実施例の場合と同様の効果を奏する
(図10参照)。
【0028】図4は本発明の第4実施例を示し、厚さ
1.5mmのシート状基材31には、上記第3実施例と
同様な補強材32が埋設されており、その上下両面に
は、第3実施例のコーティング層21に代って、シリコ
ーンなどのコーティング材によるパターン41が、たと
えば格子状に形成されている。このガスケット用シート
においては、シート状基材31の上下両面の膨張黒鉛粒
子1a1とコーティング材41との結合力が高い上、図
10に示すように、主面なじみ性も向上させることがで
きる。特に、フランジ面などに対してコーティング材の
パターン41を介して接面力が高まり、優れたシール機
能を発揮させることができる。
【0029】図5は本発明の第5実施例によるガスケッ
ト用シートを示すものである。膨張黒鉛からなる厚さ
1.0mmのシート状基材11の主面、つまり上下両面に
は、それぞれ延伸加工により0.2μm〜5μm径の連
続気孔を多数有する多孔質PTFEフィルムまたはシー
ト52が接着剤を介することなく、ラミネート加工によ
って接合されている。この第5実施例におけるシート状
基材11も上記第1実施例と同様に形成されたシート状
基材11の主面をマイクロブラスト加工によって、図8
に示すように、上記上下両面の高配向の膨張黒鉛粒子1
a1の折り畳み層を起立状態に拡開した後に多孔質PT
FEフィルムまたはシート52をラミネートしたもので
ある。このガスケット用シートにおいては、マイクロブ
ラストによって起立状態となって拡開された膨張黒鉛粒
子1a1が多孔質PTFEフィルムまたはシート52の
気孔内に食い込むことによる投錨効果と膨張黒鉛1の比
表面積の増大(図8参照)にともなう物理的吸着力(フ
ァンデルワールス力)の増加によって、接着剤を用いな
くても十分に高い剥離強度が得られる上に、図10に示
すように、主面なじみ性、主面保護性、固着防止効果が
高くて、低面圧にて優れたシール機能を発揮させること
ができ、また、多孔質PTFEの使用により、耐食性も
十分に良好なものとできる。
【0030】なお、上記第5実施例に示すガスケット用
シートの製作にあたっては、プレス成形以外にロール加
圧成形によってシート状基材11と多孔質PTEFフィ
ルムまたはシート52とを連続的に線圧着させても、ロ
ーレットロールやエンボスロールを用いて部分的に圧着
させるだけでもよい。また、成形時の面圧力としては、
1kg/cm2 〜100kg/cm2 の範囲、好ましく
は、10kg/cm2〜50kg/cm2 の範囲で自由
に設定することができる。
【0031】図11は、異なるシート状基材M(M1〜
M4)を用意し、これに接着剤Q付のフィルムPをラミ
ネート加工して一体化した後、その剥離強度を試験する
要領を示し、その結果を図12に表示している。この場
合、使用したフィルムは、幅が25mmのアクリル酸エス
テル系接着剤Qを有するポリエステルフィルムPを使用
して、シート状基材Mに対して長手方向の剥離力を加え
たものである。
【0032】試料S1は、シート状基材M1として、主
面にブラストなどの加工を施さない未処理のままのもの
を使用した。その場合の剥離強度は46.9gと低い値
であった。試料S2は、シート状基材M2として、主面
にしわMaを加工形成したものを使用した。この場合の
剥離強度はさらに低く、32.3gであった。試料S3
は、シート状基材M3として、主面にブラスト加工を施
したものを使用した。ここで、上記主面から約150mm
離れた距離から、2kg/cm2 の空気圧によって、粒
子径700μmのSiC粒子をブラストした。この場
合、上記ブラストによる効果で、剥離強度は60.1g
もの大きな値が得られた。さらに、試料S4は、試料S
3と同じようにして、シート状基材M4の主面に粒子径
15μmのSiC粒子をマイクロブラストしたものであ
る。この場合の剥離強度は、148.4gと非常に大き
な値が得られた。
【0033】図11はシート状基材Mの主面にコーティ
ング層Nを形成したものについて、コーティング層Nの
強さ(離脱状況)を試験する要領を示している。試料と
しては、上記第2実施例のものと、図15に示した従来
例とを選んだ。そして、いずれもPTFEの含浸率は2
0%とし、また、溶剤としてメチルエチルケトンを含浸
させた布、例えば不織布Xを備えたおもりWにより、上
記コーティング層Nに対して、100g/cm2 の圧力
で加圧しながら摺動させ、これを10回繰り返した。
【0034】この結果、図12に示すように、従来例で
ある試料においては、コーティング層N(102)が完
全に離脱したのに対して、第2実施例である試料2のも
のでは、コーティング層N(21)の離脱は全く認めら
れなかった。
【0035】
【発明の効果】以上のように、請求項1〜4の発明によ
れば、膨張黒鉛を加圧して成形されたシート状基材の主
面側の高密度で高配向の膨張黒鉛粒子の一部を、たとえ
ばブラスト加工などにて除去する、もしくは、膨張黒鉛
の折り畳み層を起立状態に拡開させていることにより、
シート状基材の主面にそのままブラスト加工などをもっ
てマーキングを施せるという合理性を有する上、フラン
ジ面などへの固着を抑制できる。また、シート状基材の
主面にコーティング層を形成したり、接着剤付フィルム
をラミネート加工してなるものにおいては、それらの剥
離を有効に防止できるとともに、主面なじみ性や主面保
護性の向上を図ることができる。
【0036】また、請求項5のように、ラミネート材と
して、多孔質フィルムまたはシートを使用し、これを膨
張黒鉛粒子が起立状態に拡開された折り畳み層を有する
シート状基材の主面にラミネート加工することにより、
起立状態に拡開された膨張黒鉛の一部が多孔質フィルム
またはシートの気孔内に食い込むことによる投錨効果
と、起立状態に拡開させることにともなう比表面積の増
大による物理的吸着力(ファンデルワールス力)の増加
によって、接着剤を用いることなく、シート状基材の主
面に多孔質フィルムまたはシートを強固にラミネートす
ることができ、これによって、主面なじみ性、主面保護
性、フランジ面からの離型性、膨張黒鉛に含まれている
硫黄分などの不純物の溶出に伴なう相手側金属の腐食防
止、黒鉛の微粉飛散による環境悪化の防止の向上を図り
つつ、剥離強度に優れたガスケット用シートを生産性よ
く得ることができる。
【0037】また、請求項6の発明によれば、膨張黒鉛
よりも小径の粒子をシート状基材の主面にそのままブラ
スト加工して膨張黒鉛の折り畳み層を起立状態に拡開す
ることにより、コーティング層やフィルムなどの剥離強
度が著しく強化された耐久性に優れたガスケット用シー
トを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例によるガスケット用シート
を一部断面して示す斜視図である。
【図2】本発明の第2実施例によるガスケット用シート
を一部断面して示す斜視図である。
【図3】本発明の第3実施例によるガスケット用シート
を一部断面して示す斜視図である。
【図4】本発明の第4実施例によるガスケット用シート
を一部断面して示す斜視図である。
【図5】本発明の第5実施例によるガスケット用シート
を一部断面して示す斜視図である。
【図6】本発明の実施例によるシート状基材の主面部を
ブラスト加工前の状態で示す要部の斜視図である。
【図7】本発明の実施例によるシート状基材の主面部を
短時間ブラスト加工した状態を示す要部の斜視図であ
る。
【図8】本発明の実施例によるシート状基材の主面部を
ブラスト加工して起立状態に拡開させた状態を示す拡大
図である。
【図9】同ブラスト加工されたシート状基材の主面部に
コーティング層を形成した際の要部の拡大図である。
【図10】上記第1〜第5実施例の各効果を、表面処理
しない従来の膨張黒鉛シート単体との比較において示す
図表である。
【図11】シート状基材の主面にラミネート加工された
フィルムの剥離強度の試験要領を示す図である。
【図12】シート状基材の主面の加工が異なるものに対
する剥離強度の試験結果を示す図表である。
【図13】シート状基材の主面のコーティング層の離脱
試験の要領を示す斜視図である。
【図14】同コーティング層の離脱試験結果を従来例と
比較して示す図表である。
【図15】酸処理黒鉛粒子の膨張前の状態を示す拡大斜
視図である。
【図16】膨張黒鉛粒子を示す拡大斜視図である。
【図17】従来のシート状基材の主面にコーティング層
が形成されたガスケット用シートを一部断面して示す斜
視図である。
【図18】従来のシート状基材の主面に接着剤付フィル
ムをラミネート加工してなるガスケット用シートを一部
断面して示す斜視図である。
【図19】従来のシート状基材の主面部を示す拡大図で
ある。
【符号の説明】
1 膨張黒鉛 1a1 高密度で高配向の膨張黒鉛粒子 11,31 シート状基材 21,41 コーティング層 33 接着剤 34 フィルム 51 多孔質PTFEフィルムまたはシート

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膨張黒鉛を加圧成形してなるシート状基
    材の主面側における高密度で高配向された膨張黒鉛粒子
    の一部を除去してなることを特徴とするガスケット用シ
    ート。
  2. 【請求項2】 膨張黒鉛を加圧成形してなるシート状基
    材の主面側における高密度で高配向された膨張黒鉛粒子
    の折り畳み層を起立状態に拡開してなることを特徴とす
    るガスケット用シート。
  3. 【請求項3】 上記高密度で高配向された膨張黒鉛粒子
    の一部が除去された、もしくは起立状態に拡開された折
    り畳み層を有するシート状基材の主面に、コーティング
    層を形成してなる請求項1または2記載のガスケット用
    シート。
  4. 【請求項4】 上記高密度で高配向された膨張黒鉛粒子
    の一部が除去された、もしくは起立状態に拡開された折
    り畳み層を有するシート状基材の主面に、接着剤を介し
    てフィルムをラミネート加工で接合してなる請求項1ま
    たは2記載のガスケット用シート。
  5. 【請求項5】 上記高密度で高配向された膨張黒鉛粒子
    が起立状態に拡開された折り畳み層を有するシート状基
    材の主面に、接着剤を介することなく、多孔質フィルム
    またはシートをラミネート加工で接合してなる請求項2
    のガスケット用シート。
  6. 【請求項6】 膨張黒鉛を加圧成形してなるシート状基
    材の主面における高密度で高配向された膨張黒鉛粒子の
    一部を、該膨張黒鉛粒子よりも小径の粒子によりブラス
    ト加工して膨張黒鉛の折り畳み層を起立状態に拡開する
    ことを特徴とするガスケット用シートの製造方法。
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