JPH07117780A - 高速双胴水中翼船 - Google Patents

高速双胴水中翼船

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JPH07117780A
JPH07117780A JP23436794A JP23436794A JPH07117780A JP H07117780 A JPH07117780 A JP H07117780A JP 23436794 A JP23436794 A JP 23436794A JP 23436794 A JP23436794 A JP 23436794A JP H07117780 A JPH07117780 A JP H07117780A
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JP
Japan
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submersible
hydrofoil
submerged
struts
propulsion
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JP23436794A
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English (en)
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Kohei Shioda
浩平 塩田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 荒天時にも良好な抵抗推進性能を維持するこ
とのできる高速性にすぐれた大量性の要件を満たすこと
のできる高速双胴水中翼船を提供する。 【構成】 主船体1の甲板底1Bに下向きに大きく突出
する突畝部2,2を形成するとともに、その甲板底1B
の両側にストラット3,3を介して支持した両没水体
4,4間の前後に全没型水中翼11,12を架設し、か
つ、その没水体4の後部を、そのストラット3よりも後
方に突出させて、没水体後部の伴流分布を、その没水体
4の後部に設けた螺旋推進器9の軸のまわりに集約させ
て周方向への均一化を図れる程度に、前記ストラット3
の後縁部3bを、前記没水体4の側に近づくに従い後方
に向けて漸延させるように先細り状に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主船体を水面よりも上
に浮揚させて巡航する大型の高速双胴水中翼船に関す
る。
【0002】
【従来の技術】地上の交通渋滞やトラックのドライバー
不足等に起因する物流の低迷を解消するために、また、
環境保全のために、海上へのモーダルシフトの推進が重
要な課題となっており、高速船に対する期待は大きい。
高速船の分野でモーダルシフトを効果的に実現するため
には、高速性に加えて、船本来の大量性が求められるは
ずである。しかるに、今日までに開発された高速船は、
ウォータジェットを搭載した比較的軽量でカーゴ載貨重
量が少ないものが多く、大型化にも限度があり、輸送機
関として重要な大量性の要件を満たすことは容易でな
い。
【0003】高速船で大量性の要件を満たすためには、
特に強力な推進力が必要とされることから、まず、効率
の高い螺旋推進器を装備できる船型であることが望まし
い。また、広いデッキスペースを確保できることも望ま
れる。螺旋推進器を装備し、かつ幅広いデッキスペース
を有する高速船として、半没水型双胴船が公知である。
この半没水型双胴船は、主船体の両側下部にストラット
を介して支持した二つの魚雷型の没水体を有し、その没
水体とストラットの浮力とで主船体を水面より上に浮上
させて巡航できるように構成され、造波抵抗が比較的少
なく耐航性も良好である。ちなみに、実公昭62-29360号
公報には、このような半没水型双胴船の一例が記載され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、半没水型双胴
船は、二つの没水体とストラットから必要浮力を得てい
るため、基本的に浸水表面積が大きく、より一層の高速
化を図るべく没水体のL/Bを大きく設定しようとすれ
ば、浸水表面積がさらに増大して摩擦抵抗が大になり、
さらなる高速化は容易でない。
【0005】そこで、より効果的に高速化を図るため
に、例えば、両没水体間に複数の全没型水中翼を適宜な
間隔をおいて架設することにより、没水体の浮力負担分
を大幅に低減させ、抵抗推進性能上有利となるように、
その没水体のL/Bを大に設定し、全没型水中翼による
揚力と、両没水体と両ストラットの浮力とで、主船体を
水面よりも上に浮揚させて巡航できるように構成した高
速双胴水中翼船が考えられる。
【0006】ところが、従来の半没水型双胴船では、ラ
ダーを推進器の直後の位置に配置しているので、そのラ
ダーによって推進器の後流が大きな抵抗を受ける。ま
た、推進器の直前にストラットの垂直縁部が立設され、
かつその垂直縁部の上方から後方に延びるストラットの
後部または甲板底で、推進器の上方が覆われているた
め、さらなる高速化に対処すべく、没水体後部の伴流分
布を推進器軸のまわりへ集約化させて周方向へ均一化す
るのは難しい。従って、従来の半没水型双胴船の船尾形
状をそのまま上述した高速双胴水中翼船に採用するのは
好ましくないと考えられる。
【0007】また、従来の半没水型双胴船では、耐航性
を向上させるために、没水体の内側に安定翼を設けるこ
とが多いが、上述した高速双胴水中翼船の場合、両没水
体間に迎角を有する全没型水中翼を架設するために、そ
の全没型水中翼と没水体およびストラットとの間に、造
波干渉や伴流干渉等の流体力学的干渉が少なからず発生
することが懸念される。さらに、最後部の全没型水中翼
の後流によって推進器軸まわりの伴流分布が撹乱され、
推進効率が低下することも懸念される。
【0008】しかも、主船体の甲板底が偏平な形状をし
ているため、その甲板底への波打ちがあると抵抗が急に
増加し耐航性も極端に低下してしまうという難点があ
り、従来の半没水型双胴船では、波が甲板底に達しない
限度においてしか良好な抵抗推進性能を維持することが
できない。また、主船体が離着水動作を伴う場合には、
その甲板底が偏平な形状であると、主船体をスムーズに
浮揚させるのは容易でなく、かつまた、着水時には、甲
板底にいきなり大きな動圧が作用して甚だしい衝撃を受
けることも予想される。
【0009】本発明は、このような事情に鑑みてなさ
れ、荒天時にも良好な抵抗推進性能を維持することので
きる高速性にすぐれた大量性の要件を満たすことのでき
る高速双胴水中翼船を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の課題を
解決するための手段を以下のように構成している。すな
わち、請求項1に記載の発明では、主船体の甲板底の両
側に、下方に向けたストラットを介して一対の細長な魚
雷型の没水体が支持され、かつその没水体の後部に螺旋
推進器が設けられるとともに、その両没水体間に複数の
全没型水中翼が適宜な間隔をおいて架設され、その全没
型水中翼による揚力と、前記両ストラットと両没水体の
浮力とで、前記主船体を水面より上に浮揚させて巡航す
る高速双胴水中翼船にあって、前記両ストラットが上拡
がりな横断面形状に形成されるとともに、荒天時に前記
甲板底に打ち上げる波を分断破砕できる程度に下向きに
大きく突出して鋭角状に先尖りで上拡がりの横断面形状
をなしかつ前後方向に延びる突畝部が、前記両ストラッ
ト間における甲板底の略全長にわたり延設形成され、そ
の突畝部の外側基部が前記ストラットの内側基部と略ア
ーチ状に連なる一方、前記没水体の後部が前記ストラッ
トよりも後方に突出されるとともに、前記没水体後部の
伴流分布の推進器軸まわりへの集約化と周方向への均一
化を図れる程度に、前記ストラットの後縁部が、前記没
水体側に近づくに従い後方に向けて漸延されるように形
成され、かつ前記螺旋推進器の後方にはラダーを設けて
いないことを特徴としている。
【0011】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明における前記螺旋推進器が二重反転式推進器で
あることを特徴としている。
【0012】請求項3に記載の発明では、請求項1また
は請求項2に記載の発明における前記主船体内に前後方
向に延びる縦壁が、前記主船体の上甲板と甲板底との間
に立設され、その縦壁と裏骨を合わせて前記甲板底から
垂下させた支持部材を前記突畝部の先端部分に貫装固定
させるとともに、その支持部材の下端を、前記全没型水
中翼の中間部に固定してなることを特徴としている。
【0013】請求項4に記載の発明では、請求項3に記
載の発明における最後部に設けた前記全没型水中翼を支
持している前記支持部材の下部後縁に、ラダーを設けて
なることを特徴としている。
【0014】請求項5に記載の発明では、請求項1ない
し請求項3のいずれかに記載の発明における前記ストラ
ットの後縁部の一部分を切り欠いて、その切り欠いた部
分に、ラダーを嵌装してなることを特徴としている。
【0015】請求項6に記載の発明では、請求項1ない
し請求項5のいずれかに記載の発明における前記両没水
体間に架設される全没型水中翼が、揚力を発生させるた
めの揚力翼形成部分の両側に、整流作用を発揮させるた
めの整流翼形成部分を設けてなることを特徴としてい
る。
【0016】請求項7に記載の発明では、請求項6に記
載の発明における前記両没水体の後部に設けた螺旋推進
器が、前記両没水体間の最後部に架設された全没型水中
翼の整流翼形成部分で整流された整流域内に位置付けら
れる程度に、前記整流翼形成部分の幅を設定してなるこ
とを特徴としている。
【0017】
【作 用】請求項1に記載の発明では、主船体が浮揚す
る際には、船速の増大に伴う揚力の増加による喫水の減
少変化に対応して排水量が連続的に漸減するため、甲板
底を容易かつスムーズに離水させることができる。一
方、主船体が着水する際には、船速の低下に伴う揚力の
減少による喫水の増大変化に対応して排水量が連続的に
漸増するため、甲板底にいきなり大きな動圧が作用する
ことはなく、衝撃を伴うことなくスムーズに着水するこ
とができる。
【0018】そして、螺旋推進器の後方にラダーを設け
ていないことにより、推進器後流に対する抵抗要素が取
り除かれるととに、没水体の後部をストラットよりも後
方に突出させ、そのストラットの後縁部を前記没水体側
に近づくに従い後方に漸延させ、前記没水体後部の伴流
分布をその没水体後部の推進器軸のまわりに集約させて
伴流吸収率を大とし、かつその伴流分布の周方向への均
一化を図っていることにより、船殻効率が格段に向上す
る。また、伴流分布の周方向への均一化により、推進器
による起振力を低減することもできる。なお、ラダーに
依存するまでもなく、基本的には、左右の推進器の回転
数を制御して左右の推進力の差を発生させることによ
り、旋回方向の内側に船体を傾斜させて安定に旋回する
ことができる。
【0019】また、両ストラットを上拡がりな放物線状
の横断面形状に形成し、その内側基部を両突畝部と略ア
ーチ状に連ねたことにより、予備浮力が喫水の増大とと
もに連続的に漸増するように形成され、かつ、両没水体
間に設けた全没型水中翼が安定翼としても機能するた
め、良好な耐航性が得られ、安定した抵抗推進性能を確
保することができる。
【0020】さらに、荒天時には、甲板底に直接打ち上
げられる波を突畝部によって分断破砕して逆落としにす
ることができ、また、両ストラットの内側から這い上が
る波を、アーチ状に形成されたストラットの内側基部に
沿わせて逆落としとし、いずれも甲板底に向かう波の慣
性力の作用方向を放物線状に変化させて甲板底への衝撃
を効果的に緩和することができ、これにより、良好な凌
波性が得られ、高い抵抗推進性能を維持することができ
る。なお、荒天時には、若干船尾トリムとすることによ
り、推進器の没水深度を充分に確保することができる。
【0021】そして、両没水体と両ストラットとによる
浮力に加えて、全没型水中翼の揚力により、大きな必要
浮揚力を確保することができ、かつ、没水体の後部に設
けた効率の高い螺旋推進器により、強力な推進力を得る
ことができ、また、半没水型双胴船と同様に幅広いデッ
キスペースを確保することもでき、大型化に対処しやす
くなる。
【0022】請求項2に記載の発明では、二重反転式推
進器の採用により、その直径を小さくすることができる
ため、没水深度の確保が容易となり、また、その後流が
直進するため、その後方にラダーを設けなくても高い推
進効率を発揮することができる。
【0023】請求項3に記載の発明では、請求項1また
は請求項2に記載の発明における全没型水中翼に効果的
な中間支持を施したことにより、両没水体間の間隔を大
に設定して、その両没水体間に、長スパンで広い翼面積
を有するアスペクト比の高い全没型水中翼を架設するこ
とができ、抵抗推進性能上有利に大きな揚力を得ること
ができる。これにより、適切なfoilbone率の設定が可能
となり、より一層大型化に対処しやくなる。
【0024】請求項4または請求項5に記載の発明で
は、ラダーが抵抗発生要素になることはなく、抵抗推進
性能上有利となる。なお、いずれの場合においても、両
没水体の後部に設けた螺旋推進器の回転数の制御と連動
させてラダーを操作することにより、良好な操舵効果を
得ることができる。
【0025】請求項6に記載の発明では、全没型水中翼
の揚力翼形成部分の両側に設けた整流翼形成部分によっ
て、没水体に沿う水の流れが整流されるため、その全没
型水中翼と没水体およびストラットとの間に発生する造
波干渉や伴流干渉等の流体力学的干渉を低減することが
できる。
【0026】請求項7に記載の発明では、両没水体間の
最後部に設けた全没型水中翼の整流翼形成部分によって
整流された整流域内に螺旋推進器が位置付けられること
から、その螺旋推進器軸のまわりに集約させて周方向に
均一化した伴流分布が、揚力翼形成部分の後流や前の全
没型水中翼の後流によって乱され難くなり、推進効率を
維持向上させることができる。
【0027】
【実施例】以下に本発明の高速双胴水中翼船の好ましい
一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は推進
プラントとして電気推進方式を採用した超高速フェリー
の基本的な構成と一般配置を示す側面図、図2はその中
央横断面図である。図中、符号1は主船体で、上甲板1
Cと甲板底1Bとの間に2列の縦壁1A,1Aを立設し
た3層構造をなす縦横併用式の本体部には、第1車両収
納スペース1c、第2車両収納スペース1dおよび第3
車両収納スペース1eを有し、その本体部の上に視界良
好な操舵室1aと客室1bとを有している。車両乗降方
式は、地上に乗降ラダー(図示省略) を設けて、車両を
後部から乗船させて前部から降船させる高能率な全通式
を採用し(図7、図8参照)、各デッキフロアの前部と
後部を甲板底1Bの傾斜に沿わせるように若干上方へ傾
斜させている。
【0028】主船体1の甲板底1Bには、荒天時に波を
分断破砕できる程度に下向きに大きく突出して鋭角状に
先尖りな放物線状の横断面形状をなしかつ前後方向に延
びる2条の突畝部2,2を延設形成し、その内部空間に
燃料タンクf,fを形成している。そして、甲板底1B
の両側には、上拡がりな放物線状の横断面形状をなすス
トラット3,3を下方に向けて突設させ、その内側基部
3a,3aを突畝部2,2の外側基部2a,2aと略ア
ーチ状に連ね、そのストラット3,3の下部に細長な魚
雷型の没水体4,4を支持させている。
【0029】ストラット3の内部は上下に仕切り、その
上部空間に、原動機としての複数のV型高速ディーゼル
機関5にそれぞれ発電機6を直結させてその複数組を一
列状に収納配置するとともに、下部空間には、5つのバ
ラストタンク15〜19とポンプ室20を設けている。
一方、没水体4の内部には、発電機6,…からの給電に
よって駆動される複数の電動機7,…を一列に配列収納
し、その重量配分を調整し、かつ相互の軸心合わせ精度
を緩和するために、各出力軸同士を自在継手を介した中
間軸8,…で相互に連結し、最後部の電動機7の出力軸
を二重反転式推進器(螺旋推進器)9の入力軸と連結す
るとともに、その前部には、二つのバラストタンク2
1,22を設けている。
【0030】上述のストラット3は、所要のV型高速デ
ィーゼル機関5,…と発電機6,…を収納できる程度に
その全長を短くして浸水表面積を少なくして摩擦抵抗の
低減化を図っている。そして、没水体4の後部を、その
ストラット3よりも後方に突出させ、没水体4に沿って
発生する伴流をその没水体4の後部に設けた二重反転式
推進器9の軸のまわりに集約させてその伴流分布を周方
向に均一化できる程度に、ストラット3の後縁部3b
を、没水体4の側に近づくに従い後方に漸延させるよう
に放物線状に先細り状に形成し、これにより、船殻効率
の格段の向上を図っている(図6参照)。なお、螺旋推
進器は二重反転式の他にタンデム式その他各種の螺旋推
進器の採用が可能である。
【0031】一方、間隔を大に設定した両没水体4,4
間の前部と後部には、アスペクト比の高い全没型水中翼
11,12を架設するとともに、主船体1内の2列の縦
壁1A,1Aと裏骨を併せて甲板底1Bの底板bから垂
下させた前、後2対の支持部材13,13、14,14
(図6参照)を両突畝部2,2の先端部分に貫装固定さ
せてその基部を充分に補強し、その各支持部材13,1
3、14,14の下端を全没型水中翼11,12の中間
部の2か所にそれぞれ固定している。これにより、長ス
パンで広い翼面積を有する全没型水中翼11,12を安
定強固に支持することができ、かつ、全幅の大きい主船
体1の中間部をも応力の分散を図りつつ効果的に支持す
ることができ、全体として堅牢なハイブリッド構造を構
成している。
【0032】その支持部材13,14は、例えば、支柱
と補強リブを組み合わせた骨格の両側に板材を貼り合わ
せた左右対称の翼断面形状とし、側面視で上拡がり状に
形成して支持剛性を向上させたものにすればよい。そし
て、その後部の支持部材14,14の下部後縁を矩形状
に切り欠いて、その切り欠いた部分にラダー10,10
を嵌装させ(図6参照)、これにより、二重反転式推進
器9の後流に対する抵抗要素を取り除くことができる。
なお、ラダー10はストラット3の後縁部3bの一部分
を切り欠いてその切り欠いた部分に嵌装してもよい(図
9参照)。
【0033】間隔を大に設定した両没水体4,4間に架
設される全没型水中翼11,12は、長スパンで広い翼
面積を得ることができ、かつその没水深度を充分にと
れ、これにより、大きな揚力を安定確実に得ることがで
きる。そして、その両全没型水中翼11,12を安定翼
としても機能させ、上拡がり状の横断面形状に形成した
ストラット3,3と併せて縦・横の安定性の向上を図る
ことができ、良好な耐航性を確保することができる。
【0034】その前の全没型水中翼11の両側部分に
は、上反角をもたせて横方向の安定性を向上させてい
る。この上反角をもたせることにより、水平部分の没水
深度を大に設定できる利点もある。そして、後の全没型
水中翼12は、図3に示すように、揚力を発生させるた
めの揚力翼形成部分12aの両側(図示は片側のみ)
に、幅Xにわたり整流作用を発揮させるための整流翼形
成部分12b,12bを連設した構成とし、両二重反転
式推進器9,9をその整流翼形成部分12b,12bに
よって整流された整流域L,L(白地部分)内に位置付
けさせるようにし、末広がり状に拡散する揚力翼形成部
分12aの後流T2 (ハッチング部分)を直接二重反転
式推進器9,9に及ばせないようにするとともに、前の
全没型水中翼11の後流T1 (ハッチング部分)をもそ
の整流翼形成部分12b,12bで整流してその干渉影
響をも回避できるようにする。これにより、推進器軸ま
わりの伴流分布を乱すことなく、推進効率の維持・向上
を図ることができる。また、その整流翼形成部分12b
によって、没水体4との接合部に沿う水の流れが整流さ
れることから、全没型水中翼12と没水体4およびスト
ラット3との間に発生する造波干渉や伴流干渉等の流体
力学的干渉を低減することができる。
【0035】整流翼形成部分12bは、例えば、図4
(A)に示すように、迎角を抑えて上下対称に近い翼断
面形状としてもっぱら整流・安定作用を発揮することが
できるように形成すればよく、図4(B)に示すよう
に、迎角αを有する揚力翼形成部分12aと、境界部d
で段違い状に一体的に連続させるようにする(図2参
照)。この整流翼形成部分12bを設けたことにより、
その後部の全没型水中翼12を、二重反転式推進器9に
比較的に近い没水体4の後部位置に設けることができ、
これにより、船尾のピッチングを抑制することができ、
二重反転式推進器9の没水深度を安定に確保することが
できる。なお、整流翼形成部分12bは、充分な整流作
用を発揮することができるものであれば、その翼断面形
状は上下非対称であってもよく、迎角を有して揚力を発
生させるものであってもよい。また、揚力翼形成部分1
2aおよび/または整流翼形成部分12bの後縁にフラ
ップ(図示省略)を設けることにより、離着水動作をよ
り円滑なものにすることができ、かつ耐航性をより一層
向上させることができるのはいうまでもない。さらに、
前の全没型水中翼11の両端部にも整流翼形成部分(図
示省略)を形成して、その全没型水中翼11と没水体4
およびストラット3との間に造波干渉や伴流干渉等が発
生するのを抑制し、より一層船体抵抗を低減させること
もできる。この場合、その前の全没型水中翼11に形成
する整流翼形成部分の幅は、後部の全没型水中翼12の
整流翼形成部分12bの幅Xよりも小さくてよい。
【0036】他方、電気推進方式として無整流子電動機
方式(交流)を採用することにより、操舵動作と連動さ
せて左右の二重反転式推進器9,9の回転数の制御をお
こない良好な操舵効果を得られるようにすることができ
る。この無整流子電動機方式(交流)は、V型高速ディ
ーゼル機関5,…によって駆動される発電機(同期発電
機)6,…で発電した交流電源をサイクロコンバータを
介して可変電圧および可変周波数に変換して電動機(無
整流子式同期電動機)7,…に供給するものであり、減
速機は不要で、可変ピッチプロペラを採用するまでもな
く左右の二重反転式推進器9,9の回転数をそれぞれ高
い精度で容易に制御することが可能である。
【0037】その制御システムは、基本的には、例え
ば、舵角または操舵輪の回転角度の検出信号と船速検出
信号とを受信したコントローラが、予め設定された制御
プログラムに従い、そのときの舵角と船速に応じて、左
右の二重反転式推進器9,9の回転数の制御をおこなう
ように構成すればよい。通常の旋回では、旋回する側の
電動機7,…の回転数を舵角と船速に応じて適宜に低下
させるようにすればよく、旋回方向の内側に主船体1を
傾斜させて高速巡航時にも安定に旋回させることがで
き、また、左右の電動機7,7を逆回転させることによ
りその場回頭させることも容易で、低速時にも小回りの
効く良好な操舵効果を得ることができる。
【0038】本発明では、このような電気推進方式を採
用したことにより、レイアウトの自由度を高く得ること
ができるため、原動機(V型高速ディーゼル機関)5、
発電機6および電動機7をそれぞれ適宜に分割してスト
ラット3と没水体4内に合理的に分散配置することがで
き、これにより、特に、超高速フェリーとして必要な幅
広いデッキスペースを主船体1内に充分に確保できるこ
とを大きな特徴としている。
【0039】表1に、好ましい超高速フェリーの要目の
一例を示し、そのボディプランを図5に、また、プロフ
ィールを図6に、それぞれ示す。なお、表1の要目は、
すでに明らかにされている資料から、機関出力、船体重
量、機関重量等を換算推定して目安を得られる程度に作
成したものであり、同要目中、推定値には*印を付し、
また、略算値には#印を付す。
【0040】
【表1】
【0041】車両収納スペースとしての有効デッキスペ
ースは各層それぞれ4,000m2 程度を確保でき、例えば、
図7および図8に示すように、普通車( 5メートル以
下、1.5 t 換算 )を第1車両収納スペース1cに横13列
×縦16列(208台) 、または、第2車両収納スペース1d
に横13列×縦17列(221台) 配列収納でき、かつ、トラッ
ク( 10 メートル以下、8 トン換算) を第3車両収納ス
ペース1e(または第2車両収納スペース1d)に横10
列×縦10列(100台) 配列収納できる。そして、最上層に
は3,000m2 程度のスペースを確保して旅客1,200 名程度
を椅子座席にゆったりと収容でき、かつその他の広いス
ペースを特別室や各種の施設空間として有効に活用でき
る。なお、図7および図8に符号cおよびtで示す各仕
切り区画は、それぞれ普通車およびトラックの各一台当
たりの収納スペースを示す。
【0042】以上のように構成した超高速フェリーは、
停止時には着水している主船体1が浮揚する際には、船
速の増大に伴う揚力の増加による喫水の減少変化に対応
して排水量が連続的に漸減するため、甲板底1Bを容易
かつスムーズに離水させることができる。一方、主船体
1が着水する際には、船速の低下に伴う揚力の減少によ
る喫水の増大変化に対応して排水量が連続的に漸増する
ため、甲板底1Bにいきなり大きな動圧が作用すること
はなく、衝撃を伴うことなくスムーズに着水することが
でき、複雑な姿勢制御に大きく依存することなく、基本
的に良好な離着水動作を得ることができる。
【0043】そして、巡航時に甲板底1Bが浮揚するた
め、従来の半没水型双胴船よりも伴流量そのものを格段
に低減することができ、かつ推進器後流に対する抵抗要
素が取り除かれており、しかも、没水体4の後部の伴流
分布を推進器軸のまわりに集約させて伴流吸収率を大と
してその伴流分布の周方向への均一化を図り、かつ二重
反転式推進器9,9を整流域L,L内に位置付けている
ことから、高い推進効率が得られ、すぐれた抵抗推進性
能を発揮することができる。その伴流分布の周方向への
均一化により、二重反転式推進器9,9による起振力を
低減することもできる。
【0044】また、両ストラット3,3を上拡がりな放
物線状の横断面形状に形成し、かつ、その内側基部3
a,3aを両突畝部2,2の外側基部2a,2aと略ア
ーチ状に連ねたことにより、予備浮力が喫水の増大とと
もに連続的に漸増するように形成され、かつ両没水体
4,4間に設けた全没型水中翼11,12が安定翼とし
ても機能するため、良好な耐航性を得ることができる。
【0045】旋回時には、旋回する側の電動機7,…の
回転数を舵角と船速に応じて適宜に低下させることによ
り、ラダーを補助として、基本的には、左右の推進力の
差を発生させることにより、旋回方向の内側に主船体1
を傾斜させて高速巡航時にも安定に旋回させることがで
き、また、左右の電動機7,7を逆回転させることによ
りその場回頭させることも容易であり、かつ低速時にも
小回りの効く良好な旋回性能と操船性を得ることができ
る。
【0046】荒天時には、甲板底1Bに直接打ち上げら
れる波を突畝部2,2によって分断破砕して逆落としに
することができ、また、両ストラット3,3の内側から
這い上がる波を、アーチ状に形成されたストラット3,
3の内側基部3a,3aに沿わせて逆落としとし、いず
れも甲板底1Bに向かう波の慣性力の作用方向を放物線
状に変化させて甲板底1Bへの衝撃を効果的に緩和する
ことができ、これにより、良好な凌波性が得られ、高い
抵抗推進性能を安定に維持することができる。なお、荒
天時には、若干船尾トリム(〜2 °程度) とすることに
より二重反転式推進器9,9の没水深度を充分に確保で
きる。
【0047】そして、両没水体4,4と両ストラット
3,3とによる浮力に加えて、長スパンで広い翼面積を
有するアスペクト比の高い全没型水中翼11,12によ
る大きな揚力により、従来にない大きな浮揚力を確保す
ることができ、かつ、大出力を発揮できる電気推進方式
の推進プラントで効率の高い二重反転式推進器9,9を
駆動させることにより強力な推進力を得ることができる
ため、高速性と経済性とを高い水準で両立させて大規模
な車両搭載能力を確保し、モーダルシフトに効果的に対
処することができる。なお、表1の要目は好ましい一例
であって、本発明の高速双胴水中翼船は、同要目の記載
内容に限定されるものではなく、例えば、主要寸法や、
V型高速ディーゼル機関、電動機、発電機の基数や出力
等々その他の各項目の内容はそれぞれ適宜な値に設定さ
れてよいことはいうまでもない。
【0048】以上のように、実施例では、超高速フェリ
ーについて説明したが、本発明の高速双胴水中翼船は、
RO/RO 船やコンテナ船、旅客船その他多くの船種に適用
することができる。また、原動機はガスタービンであっ
てもよく、電気推進方式は無整流子電動機方式(交流)
に限られることなく他の方式であってもよく、超電導電
気推進方式であってもよい。あるいは、電気推進方式に
代えて高速ディーゼル機関やガスタービン等の直接駆動
方式を推進プラントとして採用することもできる。ま
た、図示は省略するが、主船体の本体部は、3層に限ら
れることなく、船種や用途に応じて最適な層数に設定さ
れてよい。さらに、主船体1の甲板底1Bに設ける突畝
部2については、3条以上設けてもよく、主船体1の全
幅が小さい場合には中央に1条設けるのみでもよい。ま
た、両没水体4,4間に架設される複数の全没型水中翼
は、三列もしくはそれ以上の翼列を構成するものであっ
てもよい。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の高速双胴
水中翼船によれば、下向きに大きく突出して鋭角状に先
尖りで上拡がりの横断面形状をなしかつ前後方向に延び
る突畝部を、両ストラット間の甲板底の略全長にわたり
延設形成し、かつその突畝部の外側基部を前記ストラッ
トの内側基部と略アーチ状に連ねているので、複雑な姿
勢制御に依存することなく、基本的に良好な離着水動作
を得ることができる。
【0050】そして、螺旋推進器の後方にラダーを設け
ていないことにより、推進器後流に対する抵抗要素が取
り除かれており、かつ、没水体後部の伴流分布をその没
水体後部の推進器軸のまわりに集約させて伴流吸収率が
大であり、しかも伴流分布が周方向に均一化されている
ことにより、船殻効率が格段に向上する。また、伴流分
布の周方向への均一化により、推進器による起振力を低
減することもできる。なお、特にラダーに依存するまで
もなく、基本的には、左右の推進器の回転数を制御調整
して左右の推進力の差を発生させることにより、旋回方
向の内側に船体を傾斜させて安定に旋回させることがで
き、良好な旋回性能を確保することができる。
【0051】また、予備浮力が喫水の増大とともに連続
的に漸増するように形成され、かつ両没水体間に設けた
全没型水中翼が安定翼としても機能するため、良好な耐
航性が得られ、安定した抵抗推進性能を確保することが
できる。
【0052】さらに、荒天時には、突畝部により、甲板
底に向かう波の慣性力の作用方向を放物線状に変化させ
て甲板底への衝撃を効果的に緩和して良好な凌波性を得
ることができ、これにより、高い抵抗推進性能を安定に
維持することができる。なお、若干船尾トリムとするこ
とにより、荒天時においても、推進器の没水深度を充分
に確保することができる。
【0053】そして、両没水体と両ストラットとによる
浮力に加えて、全没型水中翼の揚力により、大きな必要
浮揚力を確保することができ、かつ、没水体の後部に設
けた効率の高い螺旋推進器により、強力な推進力を得る
ことができ、また、半没水型双胴船と同様に幅広いデッ
キスペースを確保することもでき、大型化に対処しやす
くなり、大量性の要件を充分に満たすことができる。
【0054】請求項2に記載の発明では、二重反転式推
進器を採用することにより、その直径を小さくすること
ができるため、没水深度の確保が容易となり、また、そ
の後流が直進するため、後方にラダーを設けなくても、
高い推進効率を発揮することができる。
【0055】請求項3に記載の発明では、両没水体間の
間隔を大に設定して、その両没水体間に、長スパンで広
い翼面積を有するアスペクト比の高い全没型水中翼を架
設して、抵抗推進性能上有利に大きな揚力を得ることが
できる。これにより、適切なfoilbone率の設定が可能と
なり、より一層大型化に対処しやすくなる。
【0056】請求項4または請求項5に記載の発明で
は、ラダーが抵抗発生要素となることはなく、抵抗推進
性能上有利となる。なお、いずれの場合においても、両
没水体の後部に設けた螺旋推進器の回転数の制御と連動
させてラダーを操作することにより、良好な操舵効果を
得ることができる。
【0057】請求項6に記載の発明では、全没型水中翼
の揚力翼形成部分の両側に設けた整流翼形成部分によっ
て、没水体に沿う水の流れが整流されるため、全没型水
中翼と没水体およびストラットとの間に発生する造波干
渉や伴流干渉等の流体力学的干渉を低減でき、船体抵抗
をより一層低減することができる。
【0058】請求項7に記載の発明では、両没水体間の
最後部に設けた全没型水中翼の整流翼形成部分によって
整流された整流域内に螺旋推進器を位置付けるので、推
進器軸まわりへ集約されかつ周方向へ均一化された伴流
分布が維持され、推進効率の維持・向上が可能となり、
より一層の抵抗推進性能の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高速双胴水中翼船の一実施例における
基本的な構成と一般配置を示す側面図である。
【図2】同中央横断面図である。
【図3】同両没水体間に架設された全没型水中翼の部分
平面図である。
【図4】(A)は図3のY−Y線矢視断面図、(B)は
図3のZ−Z線矢視断面図である。
【図5】同高速双胴水中翼船のボディプランを示す図面
である。
【図6】同高速双胴水中翼船のプロフィールを示す図面
である。
【図7】同第1車両収納スペースの車両配置を示す平面
図である。
【図8】同第3車両収納スペースの車両配置を示す平面
図である。
【図9】同ラダーの異なる取付け形態の一例を示す側面
図である。
【符号の説明】
1…主船体、1A…縦壁、1B…甲板底、1C…上甲
板、2…突畝部、2a…外側基部、3…ストラット、3
a…内側基部、3b…後縁部、4…没水体、9…螺旋推
進器、10…ラダー、11,12…全没型水中翼、12
a…揚力翼形成部分、12b…整流翼形成部分、13,
14…支持部材、L…整流域、X…幅。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年12月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の課題を
解決するための手段を以下のように構成している。すな
わち、請求項1に記載の発明では、主船体の甲板底の両
側に、下方に向けたストラットを介して一対の細長な魚
雷型の没水体が支持され、かつその没水体の後部に螺旋
推進器が設けられるとともに、その両没水体間に複数の
全没型水中翼が適宜な間隔をおいて架設され、その全没
型水中翼による揚力と、前記両ストラットと両没水体の
浮力とで、前記主船体を水面より上に浮揚させて巡航す
る高速双胴水中翼船にあって、前記両ストラットが上拡
がりな横断面形状に形成されるとともに、荒天時に前記
甲板底に打ち上げる波を分断破砕できる程度に下向きに
大きく突出して鋭角状に先尖りで上拡がりの横断面形状
をなしかつ前後方向に延びる突畝部が、前記両ストラッ
ト間における甲板底の略全長にわたり延設形成され、そ
の突畝部の基部が前記ストラットの内側基部と略アーチ
状に連なる一方、前記没水体の後部が前記ストラットよ
りも後方に突出されるとともに、前記ストラットの後縁
部が、前記没水体側に近づくに従い後方に向けて漸延さ
れるように形成されることにより、前記没水体後部の伴
流分布が推進器軸のまわりに集約化され、かつ周方向に
均一化されており、前記螺旋推進器の後方にはラダーを
設けていないことを特徴としている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】主船体1の甲板底1Bには、荒天時に波を
分断破砕できる程度に下向きに大きく突出して鋭角状に
先尖りな放物線状の横断面形状をなしかつ前後方向に延
びる2条の突畝部2,2を延設形成し、その内部空間に
燃料タンクf,fを形成している。そして、甲板底1B
の両側には、上拡がりな放物線状の横断面形状をなすス
トラット3,3を下方に向けて突設させ、その内側基部
3a,3aを突畝部2,2の外側基部(基部)2a,2
aと略アーチ状に連ね、そのストラット3,3の下部に
細長な魚雷型の没水体4,4を支持させている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の高速双胴
水中翼船によれば、下向きに大きく突出して鋭角状に先
尖りで上拡がりの横断面形状をなしかつ前後方向に延び
る突畝部を、両ストラット間の甲板底の略全長にわたり
延設形成し、かつその突畝部の基部を前記ストラットの
内側基部と略アーチ状に連ねているので、複雑な姿勢制
御に依存することなく、基本的に良好な離着水動作を得
ることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正内容】
【0058】請求項7に記載の発明では、両没水体間の
最後部に設けた全没型水中翼の整流翼形成部分によって
整流された整流域内に螺旋推進器を位置付けるので、推
進器軸まわりへ集約されかつ周方向へ均一化された伴流
分布が維持され、推進効率の維持・向上が可能となり、
より一層の抵抗推進性能の向上が可能となる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高速双胴水中翼船の一実施例における
基本的な構成と一般配置を示す側面図である。
【図2】同中央横断面図である。
【図3】同両没水体間に架設された全没型水中翼の部分
平面図である。
【図4】(A)は図3のY−Y線矢視断面図、(B)は
図3のZ−Z線矢視断面図である。
【図5】同高速双胴水中翼船のボディプランを示す図面
である。
【図6】同高速双胴水中翼船のプロフィールを示す図面
である。
【図7】同第1車両収納スペースの車両配置を示す平面
図である。
【図8】同第3車両収納スペースの車両配置を示す平面
図である。
【図9】同ラダーの異なる取付け形態の一例を示す側面
図である。
【符号の説明】 1…主船体、1A…縦壁、1B…甲板底、1…上甲
板、2…突畝部、2a…外側基部(基部)、3…ストラ
ット、3a…内側基部、3b…後縁部、4…没水体、9
…螺旋推進器、10…ラダー、11,12…全没型水中
翼、12a…揚力翼形成部分、12b…整流翼形成部
分、13,14…支持部材、L…整流域、X…幅。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年12月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 高速双胴水中翼船
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主船体を水面よりも上
に浮揚させて巡航する大型の高速双胴水中翼船に関す
る。
【0002】
【従来の技術】地上の交通渋滞やトラックのドライバー
不足等に起因する物流の低迷を解消するために、また、
環境保全のために、海上へのモーダルシフトの推進が重
要な課題となっており、高速船に対する期待は大きい。
高速船の分野でモーダルシフトを効果的に実現するため
には、高速性に加えて、船本来の大量性が求められるは
ずである。しかるに、今日までに開発された高速船は、
ウォータジェットを搭載した比較的軽量でカーゴ載貨重
量が少ないものが多く、大型化にも限度があり、輸送機
関として重要な大量性の要件を満たすことは容易でな
い。
【0003】高速船で大量性の要件を満たすためには、
特に強力な推進力が必要とされることから、まず、効率
の高い螺旋推進器を装備できる船型であることが望まし
い。また、広いデッキスペースを確保できることも望ま
れる。螺旋推進器を装備し、かつ幅広いデッキスペース
を有する高速船として、半没水型双胴船が公知である。
この半没水型双胴船は、主船体の両側下部にストラット
を介して支持した二つの魚雷型の没水体を有し、その没
水体とストラットの浮力とで主船体を水面より上に浮上
させて巡航できるように構成され、造波抵抗が比較的少
なく耐航性も良好である。ちなみに、実公昭62−29
360号公報には、このような半没水型双胴船の一例が
記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、半没水型双胴
船は、二つの没水体とストラットから必要浮力を得てい
るため、基本的に浸水表面積が大きく、より一層の高速
化を図るべく没水体のL/Bを大きく設定しようとすれ
ば、浸水表面積がさらに増大して摩擦抵抗が大になり、
さらなる高速化は容易でない。
【0005】そこで、より効果的に高速化を図るため
に、例えば、両没水体間に複数の全没型水中翼を適宜な
間隔をおいて架設することにより、没水体の浮力負担分
を大幅に低減させ、抵抗推進性能上有利となるように、
その没水体のL/Bを大に設定し、全没型水中翼による
揚力と、両没水体と両ストラットの浮力とで、主船体を
水面よりも上に浮揚させて巡航できるように構成した高
速双胴水中翼船が考えられる。
【0006】ところが、従来の半没水型双胴船では、ラ
ダーを推進器の直後の位置に配置ししいるので、そのラ
ダーによって推進器の後流が大きな抵抗を受ける。ま
た、進器の直前にストラットの垂直縁部が立設され、
かつその垂直縁部の上部から後方に延びるストラットの
後部または甲板底で推進器の上方が覆われている。その
ため、没水体後部の推進器軸まわりの伴流分布が周方向
に不均一になりやすく、より一層の船殻効率の向上を図
るのは容易でない。従って、従来の半没水型双胴船の船
尾形状をそのまま上述した高速双胴水中翼船に採用する
のは好ましくないと考えられる。
【0007】また、従来の半没水型双胴船では、耐航性
を向上させるために、没水体の内側に安定翼を設けるこ
とが多いが、上述した高速双胴水中翼船の場合、両没水
体間に迎角を有する全没型水中翼を架設するために、そ
の全没型水中翼と没水体およびストラットとの間に、造
波干渉や伴流干渉等の流体力学的干渉が少なからず発生
することが懸念される。さらに、最後部の全没型水中翼
の後流によって推進器軸まわりの伴流分布が撹乱され、
推進効率が低下することも懸念される。
【0008】しかも、主船体の甲板底が偏平な形状をし
ているため、その甲板底への波打ちがあると抵抗が急に
増加し耐航性も極端に低下してしまうという難点があ
り、従来の半没水型双胴船では、波が甲板底に達しない
限度においてしか良好な抵抗推進性能を維持することが
できない。また、主船体が離着水動作を伴う場合には、
その甲板底が偏平な形状であると、主船体をスムーズに
浮揚させるのは容易でなく、かつまた、着水時には、甲
板底にいきなり大きな動圧が作用して甚だしい衝撃を受
けることも予想される。
【0009】本発明は、このような事情に鑑みてなさ
れ、荒天時にも良好な抵抗推進性能を維持することので
きる高速性にすぐれた大量性の要件を満たすことのでき
る高速双胴水中翼船を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の課題を
解決するための手段を以下のように構成している。すな
わち、請求項1に記載の発明では、主船体の甲板底の両
側に、下方に向けたストラットを介して一対の細長な魚
雷型の没水体が支持され、かつその没水体の後部に螺旋
推進器が設けられるとともに、その両没水体間に複数の
全没型水中翼が適宜な間隔をおいて架設され、その全没
型水中翼による揚力と、前記両ストラットと両没水体の
浮力とで、前記主船体を水面より上に浮揚させて巡航す
る高速双胴水中翼船にあって、前記両ストラットが上拡
がりな横断面形状に形成されるとともに、荒天時に前記
甲板底に打ち上げる波を分断破砕できる程度に下向きに
大きく突出して鋭角状に先尖りで上拡がりの横断面形状
をなしかつ前後方向に延びる突畝部が、前記両ストラッ
ト間における甲板底の略全長にわたり延設形成され、そ
の突畝部の外側基部が前記ストラットの内側基部と略ア
ーチ状に連なる一方、前記没水体の後部が前記ストラッ
トよりも後方に突出されるとともに、前記ストラットの
後縁部が、前記没水体側に近づくに従い後方に向けて漸
延されるように形成されることにより、前記没水体後部
の伴流分布が推進器軸のまわりに集約化され、かつ周方
向に均一化されており、前記螺旋推進器の後方にはラダ
ーを設けていないことを特徴としている。
【0011】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明における前記螺旋推進器が二重反転式推進器で
あることを特徴としている。
【0012】請求項3に記載の発明では、請求項1また
は請求項2に記載の発明における前記主船体内に前後方
向に延びる縦壁が、前記主船体の上甲板と甲板底との間
に立設され、その縦壁と裏骨を合わせて前記甲板底から
垂下させた支持部材を前記突畝部の先端部分に貫装固定
させるとともに、その支持部材の下端を、前記全没型水
中翼の中間部に固定してなることを特徴としている。
【0013】請求項4に記載の発明では、請求項3に記
載の発明における最後部に設けた前記全没型水中翼を支
持している前記支持部材の下部後縁に、ラダーを設けて
なることを特徴としている。
【0014】請求項5に記載の発明では、請求項1ない
し請求項3のいずれかに記載の発明における前記ストラ
ットの後縁部の一部分を切り欠いて、その切り欠いた部
分に、ラダーを嵌装してなることを特徴としている。
【0015】請求項6に記載の発明では、請求項1ない
し請求項5のいずれかに記載の発明における前記両没水
体間に架設される全没型水中翼が、揚力を発生させるた
めの揚力翼形成部分の両側に、整流作用を発揮させるた
めの整流翼形成部分を設けてなることを特徴としてい
る。
【0016】請求項7に記載の発明では、請求項6に記
載の発明における前記両没水体の後部に設けた螺旋推進
器が、前記両没水体間の最後部に架設された全没型水中
翼の整流翼形成部分で整流された整流域内に位置付けら
れる程度に、前記整流翼形成部分の幅を設定してなるこ
とを特徴としている。
【0017】
【作 用】請求項1に記載の発明では、主船体が浮揚す
る際には、船速の増大に伴う揚力の増加による喫水の減
少変化に対応して排水量が連続的に漸減するため、甲板
底を容易かつスムーズに離水させることができる。一
方、主船体が着水する際には、船速の低下に伴う揚力の
減少による喫水の増大変化に対応して排水量が連続的に
漸増するため、甲板底にいきなり大きな動圧が作用する
ことはなく、衝撃を伴うことなくスムーズに着水するこ
とができる。
【0018】そして、螺旋推進器の後方にラダーを設け
ていないことにより、推進器後流に対する抵抗要素が取
り除かれるととに、没水体の後部をストラットよりも
後方に突出させ、そのストラットの後縁部を前記没水体
側に近づくに従い後方に漸延させ、前記没水体後部の伴
流分布をその没水体後部の推進器軸のまわりに集約させ
て伴流吸収率を大とし、かつその伴流分布の周方向への
均一化を図っていることにより、船殻効率が格段に向上
する。また、伴流分布の周方向への均一化により、推進
器による起振力を低減することもできる
【0019】また、両ストラットを上拡がりな放物線状
の横断面形状に形成し、その内側基部を両突畝部と略ア
ーチ状に連ねたことにより、予備浮力が喫水の増大とと
もに連続的に漸増するように形成され、かつ、両没水体
間に設けた全没型水中翼が安定翼としても機能するた
め、良好な耐航性が得られ、安定した抵抗推進性能を確
保することができる。
【0020】さらに、荒天時には、甲板底に直接打ち上
げられる波を突畝部によって分断破砕して逆落としにす
ることができ、また、両ストラットの内側から這い上が
る波を、アーチ状に形成されたストラットの内側基部に
沿わせて逆落としとし、いずれも甲板底に向かう波の慣
性力の作用方向を放物線状に変化させて甲板底への衝撃
を効果的に緩和することができ、これにより、良好な凌
波性が得られ、高い抵抗推進性能を維持することができ
る。なお、荒天時には、若干船尾トリムとすることによ
り、推進器の没水深度を充分に確保することができる。
【0021】そして、両没水体と両ストラットとによる
浮力に加えて、全没型水中翼の揚力により、大きな必要
浮揚力を確保することができ、かつ、没水体の後部に設
けた効率の高い螺旋推進器により、強力な推進力を得る
ことができ、また、半没水型双胴船と同様に幅広いデッ
キスペースを確保することもでき、大型化に対処しやす
くなる。
【0022】請求項2に記載の発明では、二重反転式推
進器の採用により、さらに高い推進器効率が得られるこ
とからその直径を小さくすることができるため、没水深
度の確保が容易となり、また、その後流が直進するた
め、その後方にラダーを設けなくてもより一層高い推進
効率を発揮することができる。
【0023】請求項3に記載の発明では、請求項1また
は請求項2に記載の発明における全没型水中翼に効果的
な中間支持を施したことにより、両没水体間の間隔を大
に設定して、その両没水体間に、長スパンで広い翼面積
を有するアスペクト比の高い全没型水中翼を架設するこ
とができ、抵抗推進性能上有利に大きな揚力を得ること
ができる。これにより、適切なfoilbone率の設
定が可能となり、より一層大型化に対処しやくなる。
【0024】請求項4または請求項5に記載の発明で
は、ラダーが抵抗発生要素になることはなく、抵抗推進
性能上有利となる。なお、いずれの場合においても、両
没水体の後部に設けた螺旋推進器の回転数の制御と連動
させてラダーを操作することにより、良好な操舵効果を
得ることができる。
【0025】請求項6に記載の発明では、全没型水中翼
の揚力翼形成部分の両側に設けた整流翼形成部分によっ
て、没水体に沿う水の流れが整流されるため、その全没
型水中翼と没水体およびストラットとの間に発生する造
波干渉や伴流干渉等の流体力学的干渉を低減することが
できる。
【0026】請求項7に記載の発明では、両没水体間の
最後部に設けた全没型水中翼の整流翼形成部分によって
整流された整流域内に螺旋推進器が位置付けられること
から、その螺旋推進器軸のまわりに集約させて周方向に
均一化した伴流分布が、揚力翼形成部分の後流や前の全
没型水中翼の後流によって乱され難くなり、推進効率を
維持向上させることができる。
【0027】
【実施例】以下に本発明の高速双胴水中翼船の好ましい
一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は推進
プラントとして電気推進方式を採用した超高速フェリー
の基本的な構成と一般配置を示す側面図、図2はその中
央横断面図である。図中、符号1は主船体で、上甲板1
と甲板底1Bとの間に2列の縦壁1A,1Aを立設し
た3層構造をなす縦横併用式の本体部には、第1車両収
納スペース1c、第2車両収納スペース1dおよび第3
車両収納スペース1eを有し、その本体部の上に視界良
好な操舵室1aと客室1bとを有している。車両乗降方
式は、地上に乗降ラダー(図示省略)を設けて、車両を
後部から乗船させて前部から降船させる高能率な全通式
を採用し(図7、図8参照)、各デッキフロアの前部と
後部を甲板底1Bの傾斜に沿わせるように若干上方へ傾
斜させている。
【0028】主船体1の甲板底1Bには、荒天時に波を
分断破砕できる程度に下向きに大きく突出して鋭角状に
先尖りな放物線状の横断面形状をなしかつ前後方向に延
びる2条の突畝部2,2を延設形成し、その内部空間に
燃料タンクf,fを形成している。そして、甲板底1B
の両側には、上拡がりな放物線状の横断面形状をなすス
トラット3,3を下方に向けて突設させ、その内側基部
3a,3aを突畝部2,2の外側基部2a,2aと略ア
ーチ状に連ね、そのストラット3,3の下部に細長な魚
雷型の没水体4,4を支持させている。
【0029】ストラット3の内部は上下に仕切り、その
上部空間に、原動機としての複数のV型高速ディーゼル
機関5にそれぞれ発電機6を直結させてその複数組を一
列状に収納配置するとともに、下部空間には、5つのバ
ラストタンク15〜19とポンプ室20を設けている。
一方、没水体4の内部には、発電機6,…からの給電に
よって駆動される複数の電動機7,…を一列に配列収納
し、その重量配分を調整し、かつ相互の軸心合わせ精度
を緩和するために、各出力軸同士を自在継手を介した中
間軸8,…で相互に連結し、最後部の電動機7の出力紬
を二重反転式推進器(螺旋推進器)9の入力軸と連結す
るとともに、その前部には、二つのバラストタンク2
1,22を設けている。
【0030】上述のストラット3は、所要のV型高速デ
ィーゼル機関5,…と発電機6,…を収納できる程度に
その全長を短くして浸水表面積を少なくして摩擦抵抗の
低減化を図っている。そして、没水体4の後部を、その
ストラット3よりも後方に突出させ、没水体4に沿って
発生する伴流をその没水体4の後部に設けた二重反転式
推進器9の軸のまわりに集約させてその伴流分布を周方
向に均一化できる程度に、ストラット3の後縁部3b
を、没水体4の側に近づくに従い後方に漸延させるよう
に放物線状先細り状に形成し、これにより、船殻効率
の格段の向上を図っている(図6参照)。なお、螺旋推
進器は二重反転式の他にタンデム式その他各種の螺旋推
進器の採用が可能である。
【0031】一方、間隔を大に設定した両没水体4,4
間の前部と後部には、アスペクト比の高い全没型水中翼
11,12を架設するとともに、主船体1内の2列の縦
壁1A,1Aと裏骨を併せて甲板底1Bの底板bから垂
下させた前、後2対の支持部材13,13、14,14
(図6参照)を両突畝部2,2の先端部分に貫装固定さ
せてその基部を充分に補強し、その各支持部材13,1
3、14,14の下端を全没型水中翼11,12の中間
部の2か所にそれぞれ固定している。これにより、長ス
パンで広い翼面積を有する全没型水中翼11,12を安
定強固に支持することができ、かつ、全幅の大きい主船
体1の中間部をも応力の分散を図りつつ効果的に支持す
ることができ、全体として堅牢なハイブリッド構造を構
成している。
【0032】その支持部材13,14は、例えば、板
を貼り合わせた左右対称の翼断面形状とし、側面視で上
拡がり状に形成して支持剛性を向上させたものにすれば
よい。そして、その後部の支持部材14,14の下部後
縁を矩形状に切り欠いて、その切り欠いた部分にラダー
10,10を嵌装させ(図6参照)、これにより、二重
反転式推進器9の後流に対する抵抗要素を取り除くこと
ができる
【0033】間隔を大に設定した両没水体4,4間に架
設される全没型水中翼11,12は、長スパンで広い翼
面積を得ることができ、かつその没水深度を充分にと
れ、これにより、大きな揚力を安定確実に得ることがで
きる。そして、その両全没型水中翼11,12を安定翼
としても機能させ、上拡がり状の横断面形状に形成した
ストラット3,3と併せて縦・横の安定性の向上を図る
ことができ、良好な耐航性を確保することができる。
【0034】その前の全没型水中翼11の両側部分に
は、上反角をもたせて横方向の安定性を向上させてい
る。この上反角をもたせることにより、水平部分の没水
深度を大に設定できる利点もある。そして、後の全没型
水中翼12は、図3に示すように、揚力を発生させるた
めの揚力翼形成部分12aの両側(図示は片側のみ)
に、幅Xにわたり整流作用を発揮させるための整流翼形
成部分12b,12bを連設した構成とし、両二重反転
式推進器9,9をその整流翼形成部分12b,12bに
よって整流された整流域L,L(白地部分)内に位置付
けるようにし、末広がり状に拡散する揚力翼形成部分1
2aの後流T(ハッチング部分)を直接二重反転式推
進器9,9に及ばせないようにするとともに、前の全没
型水中翼11の後流T(ハッチング部分)をもその整
流翼形成部分12b,12bで整流してその干渉影響を
も回避できるようにする。これにより、推進器軸まわり
の伴流分布を乱すことなく、推進効率の維持・向上を図
ることができる。また、その整流翼形成部分12bによ
って、没水体4との接合部に沿う水の流れが整流される
ことから、全没型水中翼12と没水体4およびストラッ
ト3との間に発生する造波干渉や伴流干渉等の流体力学
的干渉を低減することできる。
【0035】整流翼形成部分12bは、例えば、図4
(A)に示すように、迎角を抑えて上下対称に近い翼断
面形状としてもっぱら整流・安定作用を発揮することが
できるように形成すればよく、図4(B)に示すよう
に、迎角αを有する揚力翼形成部分12aと、境界部d
で段違い状に一体的に連続させるようにする(図2参
照)。この整流翼形成部分12bを設けたことにより、
その後部の全没型水中翼12を、二重反転式推進器9に
比較的に近い没水体4の後部位置に設けることができ、
これにより、船尾のピッチングを抑制することができ、
二重反転式推進器9の没水深度を安定に確保することが
できる。なお、整流翼形成部分12bは、充分な整流作
用を発揮することができるものであれば、その翼断面形
状は上下非対称であってもよく、迎角を有して揚力を発
生させるものであってもよい。また、揚力翼形成部分1
2aおよび/または整流翼形成部分12bの後縁にフラ
ップ(図示省略)を設けることにより、離着水動作をよ
り円滑なものにすることができ、かつ耐航性をより一層
向上させることができるのはいうまでもない。さらに、
前の全没型水中翼11の両端部にも整流翼形成部分(図
示省略)を形成して、その全没型水中翼11と没水体4
およびストラット3との間に造波干渉や伴流干渉等が発
生するのを抑制し、より一層船体抵抗を低減させること
もできる。この場合、その前の全没型水中翼11に形成
する整流翼形成部分の幅は、後部の全没型水中翼12の
整流翼形成部分12bの幅Xよりも小さくてよい。
【0036】他方、電気推進方式として無整流子電動機
方式(交流)を採用することにより、操舵動作と連動さ
せて左右の二重反転式推進器9,9の回転数の制御をお
こない良好な操舵効果を得られるようにすることができ
る。この無整流子電動機方式(交流)は、V型高速ディ
ーゼル機関5,…によって駆動される発電機(同期発電
機)6,…で発電した交流電源をサイクロコンバータを
介して可変電圧および可変周波数に変換して電動機(無
整流子式同期電動機)7,…に供給するものであり、減
速機は不要で、可変ピッチプロペラを採用するまでもな
く左右の二重反転式推進器9,9の回転数をそれぞれ高
い精度で容易に制御することが可能である。
【0037】その制御システムは、基本的には、例え
ば、舵角または操舵輪の回転角度の検出信号と船速検出
信号とを受信したコントローラが、予め設定された制御
プログラムに従い、そのときの舵角と船速に応じて、左
右の二重反転式推進器9,9の回転数の制御をおこなう
ように構成すればよい。通常の旋回では、旋回する側の
電動機7,…の回転数を舵角と船速に応じて適宜に低下
させるようにすればよく、旋回方向の内側に主船体1を
傾斜させて高速巡航時にも安定に旋回させることがで
き、また、左右の電動機7,7を逆回転させることによ
りその場回頭させることも容易で、低速時にも小回りの
効く良好な操舵効果を得ることができる。
【0038】本発明では、このような電気推進方式を採
用したことにより、レイアウトの自由度を高く得ること
ができるため、原動機(V型高速ディーゼル機関)5、
発電機6および電動機7をそれぞれ適宜に分割してスト
ラット3と没水体4内に合理的に分散配置することがで
き、これにより、特に、超高速フェリーとして必要な幅
広いデッキスペースを主船体1内に充分に確保できるこ
とを大きな特徴としている。
【0039】表1に、好ましい超高速フェリーの要目の
一例を示し、そのボディプランを図5に、また、プロフ
ィールを図6に、それぞれ示す。なお、表1の要目は、
すでに明らかにされている資料から、機関出力、船体重
量、機関重量等を換算推定して目安を得られる程度に作
成したものであり、同要目中、推定値には*印を付し、
また、略算値には#印を付す。
【0040】
【表1】
【0041】車両収納スペースとしての有効デッキスペ
ースは各層それぞれ4,000m程度を確保でき、例
えば、図7および図8に示すように、普通車(5メート
ル以下、1.5t換算)を第1車両収納スペース1cに
横13列×縦15(195台)、または、第2車両収
納スペース1dに横13列×縦16(208台)配列
収納でき、かつ、トラック(10メートル以下、8トン
換算)を第3車両収納スペース1e(または第2車両収
納スペース1d)に横10列×縦列(90台)配列収
納できる。そして、最上層には3,000m程度のス
ペースを確保して旅客1,200名程度を椅子座席にゆ
ったりと収容でき、かつその他の広いスペースを特別室
や各種の施設空間として有効に活用できる。なお、図7
および図8に符号cおよびtで示す各仕切り区画は、そ
れぞれ普通車およびトラックの各一台当たりの収納スペ
ースを示す。
【0042】以上のように構成した超高速フェリーは、
停止時には着水している主船体1が浮揚する際には、船
速の増大に伴う揚力の増加による喫水の減少変化に対応
して排水量が連続的に漸減するため、甲板底1Bを容易
かつスムーズに離水させることができる。一方、主船体
1が着水する際には、船速の低下に伴う揚力の減少によ
る喫水の増大変化に対応して排水量が連続的に漸増する
ため、甲板底1Bにいきなり大きな動圧が作用すること
はなく、衝撃を伴うことなくスムーズに着水することが
でき、複雑な姿勢制御に大きく依存することなく、基本
的に良好な離着水動作を得ることができる。
【0043】そして、巡航時に甲板底1Bが浮揚するた
め、従来の半没水型双胴船よりも伴流量そのものを格段
に低減することができ、かつ推進器後流に対する抵抗要
素が取り除かれており、しかも、没水体4の後部の伴流
分布を推進器軸のまわりに集約させて伴流吸収率を大と
してその伴流分布の周方向への均一化を図り、かつ二重
反転式推進器9,9を整流域L,L内に位置付けている
ことから、高い推進効率が得られ、すぐれた抵抗推進性
能を発揮することができる。その伴流分布の周方向への
均一化により、二重反転式推進器9,9による起振力を
低減することもできる。
【0044】また、両ストラット3,3を上拡がりな放
物線状の横断面形状に形成し、かつ、その内側基部3
a,3aを両突畝部2,2の外側基部2a,2aと略ア
ーチ状に連ねたことにより、予備浮力が喫水の増大とと
もに連続的に漸増するように形成され、かつ両没水体
4,4間に設けた全没型水中翼11,12が安定翼とし
ても機能するため、良好な耐航性を得ることができる。
【0045】旋回時には、旋回する側の電動機7,…の
回転数を舵角と船速に応じて適宜に低下させることによ
り、ラダーを補助として、基本的には、左右の推進力の
差を発生させることにより、旋回方向の内側に主船体1
を傾斜させて高速巡航時にも安定に旋回させることがで
き、また、左右の電動機7,7を逆回転させることによ
りその場回頭させることも容易であり、かつ低速時にも
小回りの効く良好な旋回性能と操船性を得ることができ
る。
【0046】荒天時には、甲板底1Bに直接打ち上げら
れる波を突畝部2,2によって分断破砕して逆落としに
することができ、また、両ストラット3,3の内側から
這い上がる波を、アーチ状に形成されたストラット3,
3の内側基部3a,3aに沿わせて逆落としとし、いず
れも甲板底1Bに向かう波の慣性力の作用方向を放物線
状に変化させて甲板底1Bへの衝撃を効果的に緩和する
ことができ、これにより、良好な凌波性が得られ、高い
抵抗推進性能を安定に維持することができる。なお、荒
天時には、若干船尾トリム(〜2°程度)とすることに
より二重反転式推進器9,9の没水深度を充分に確保で
きる。
【0047】そして、両没水体4,4と両ストラット
3,3とによる浮力に加えて、長スパンで広い翼面積を
有するアスペクト比の高い全没型水中翼11,12によ
る大きな揚力により、従来にない大きな浮揚力を確保す
ることができ、かつ、大出力を発揮できる電気推進方式
の推進プラントで効率の高い二重反転式推進器9,9を
駆動させることにより強力な推進力を得ることができる
ため、高速性と経済性とを高い水準で両立させて大規模
な車両搭載能力を確保し、モーダルシフトに効果的に対
処することができる。なお、表1の要目は好ましい一例
であって、本発明の高速双胴水中翼船は、同要目の記載
内容に限定されるものではなく、例えば、主要寸法や、
V型高速ディーゼル機関、電動機、発電機の基数や出力
等々その他の各項目の内容はそれぞれ適宜な値に設定さ
れてよいことはいうまでもない。また、ラダー10はス
トラット3の後縁部3bの一部分を切り欠いてその切り
欠いた部分に嵌装してもよい(図9参照)。
【0048】以上のように、実施例では、超高速フェリ
ーについて説明したが、本発明の高速双胴水中翼船は、
RO/RO船やコンテナ船、旅客船その他多くの船種に
適用することができる。また、原動機はガスタービンで
あってもよく、電気推進方式は無整流子電動機方式(交
流)に限られることなく他の方式であってもよく、超電
導電気推進方式であってもよい。あるいは、電気推進方
式に代えて高速ディーゼル機関やガスタービン等の直接
駆動方式を推進プラントとして採用することもできる。
また、図示は省略するが、主船体の本体部は、3層に限
られることなく、船種や用途に応じて最適な層数に設定
されてよい。さらに、主船体1の甲板底1Bに設ける突
畝部2については、3条以上設けてもよく、主船体1の
全幅が小さい場合には中央に1条設けるのみでもよい。
また、両没水体4,4間に架設される複数の全没型水中
翼は、三列もしくはそれ以上の翼列を構成するものであ
ってもよい。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の高速双胴
水中翼船によれば、下向きに大きく突出して鋭角状に先
尖りで上拡がりの横断面形状をなしかつ前後方向に延び
る突畝部を、両ストラット間の甲板底の略全長にわたり
延設形成し、かつその突畝部の外側基部を前記ストラッ
トの内側基部と略アーチ状に連ねているので、複雑な姿
勢制御に依存することなく、基本的に良好な離着水動作
を得ることができる。
【0050】そして、螺旋推進器の後方にラダーを設け
ていないことにより、推進器後流に対する抵抗要素が取
り除かれており、かつ、没水体後部の伴流分布をその没
水体後部の推進器軸のまわりに集約させて伴流吸収率が
大であり、しかも伴流分布周方向に均一化されている
ことにより、船殻効率が格段に向上する。また、その
流分布の周方向への均一化により、推進器による起振力
を低減することできる
【0051】一方、予備浮力が喫水の増大とともに連続
的に漸増するように形成され、かつ両没水体間に設けた
全没型水中翼が安定翼としても機能するため、良好な耐
航性が得られ、安定した抵抗推進性能を確保することが
できる。
【0052】さらに、荒天時には、突畝部により、甲板
底に向かう波の慣性力の作用方向を放物線状に変化させ
て甲板底への衝撃を効果的に緩和して良好な凌波性を得
ることができ、これにより、高い抵抗推進性能を安定に
維持することができる。なお、若干船尾トリムとするこ
とにより、荒天時においても、推進器の没水深度を充分
に確保することができる。
【0053】そして、両没水体と両ストラットとによる
浮力に加えて、全没型水中翼の揚力により、大きな必要
浮揚力を確保することができ、かつ、没水体の後部に設
けた効率の高い螺旋推進器により、強力な推進力を得る
ことができ、また、半没水型双胴船と同様に幅広いデッ
キスペースを確保することもでき、大型化に対処しやす
くなり、大量性の要件を充分に満たすことができる。
【0054】請求項2に記載の発明では、二重反転式推
進器採用により、さらに高い推進器効率が得られると
ともに、没水深度の確保が容易となり、より一層高い推
進効率を発揮することができる。
【0055】請求項3に記載の発明では、両没水体間の
間隔を大に設定して、その両没水体間に、長スパンで広
い翼面積を有するアスペクト比の高い全没型水中翼を架
設して、抵抗推進性能上有利に大きな揚力を得ることが
できる。これにより、適切なfoilbone率の設定
が可能となり、より一層大型化に対処しやすくなる。
【0056】請求項4または請求項5に記載の発明で
は、ラダーが抵抗発生要素となることはなく、抵抗推進
性能上有利となる。なお、いずれの場合においても、両
没水体の後部に設けた螺旋推進器の回転数の制御と連動
させてラダーを操作することにより、良好な操舵効果を
得ることができる。
【0057】請求項6に記載の発明では、全没型水中翼
の揚力翼形成部分の両側に設けた整流翼形成部分によっ
て、没水体に沿う水の流れが整流されるため、全没型水
中翼と没水体およびストラットとの間に発生する造波干
渉や伴流干渉等の流体力学的干渉を低減でき、船体抵抗
をより一層低減することができる。
【0058】請求項7に記載の発明では、両没水体間の
最後部に設けた全没型水中翼の整流翼形成部分によって
整流された整流域内に螺旋推進器を位置付けるので、推
進器軸まわりへ集約されかつ周方向へ均一化された伴流
分布が維持され、推進効率の維持・向上が可能となり、
より一層の抵抗推進性能の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高速双胴水中翼船の一実施例における
基本的な構成と一般配置を示す側面図である。
【図2】同中央横断面図である。
【図3】同両没水体間に架設された全没型水中翼の部分
平面図である。
【図4】(A)は図3のY−Y線矢視断面図、(B)は
図3のZ−Z線矢視断面図である。
【図5】同高速双胴水中翼船のボディプランを示す図面
である。
【図6】同高速双胴水中翼船のプロフィールを示す図面
である。
【図7】同第1車両収納スペースの車両配置を示す平面
図である。
【図8】同第3車両収納スペースの車両配置を示す平面
図である。
【図9】同ラダーの異なる取付け形態の一例を示す側面
図である。
【符号の説明】 1…主船体、1A…縦壁、1B…甲板底、1…上甲
板、2…突畝部、2a…外側基部、3…ストラット、3
a…内側基部、3b…後縁部、4…没水体、9…螺旋推
進器、10…ラダー、11,12…全没型水中翼、12
a…揚力翼形成部分、12b…整流翼形成部分、13,
14…支持部材、L…整流域、X…幅。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主船体の甲板底の両側に、下方に向けた
    ストラットを介して一対の細長な魚雷型の没水体が支持
    され、かつその没水体の後部に螺旋推進器が設けられる
    とともに、その両没水体間に複数の全没型水中翼が適宜
    な間隔をおいて架設され、その全没型水中翼による揚力
    と、前記両ストラットと両没水体の浮力とで、前記主船
    体を水面より上に浮揚させて巡航する高速双胴水中翼船
    であって、前記両ストラットが上拡がりな横断面形状に
    形成されるとともに、荒天時に前記甲板底に打ち上げる
    波を分断破砕できる程度に下向きに大きく突出して鋭角
    状に先尖りで上拡がりの横断面形状をなしかつ前後方向
    に延びる突畝部が、前記両ストラット間における甲板底
    の略全長にわたり延設形成され、その突畝部の外側基部
    が前記ストラットの内側基部と略アーチ状に連なる一
    方、前記没水体の後部が前記ストラットよりも後方に突
    出されるとともに、前記没水体後部の伴流分布の推進器
    軸まわりへの集約化と周方向への均一化を図れる程度
    に、前記ストラットの後縁部が、前記没水体側に近づく
    に従い後方に向けて漸延されるように形成され、かつ前
    記螺旋推進器の後方にはラダーを設けていないことを特
    徴とする高速双胴水中翼船。
  2. 【請求項2】 前記螺旋推進器が二重反転式推進器であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の高速双胴水中翼
    船。
  3. 【請求項3】 前記主船体内に前後方向に延びる縦壁
    が、前記主船体の上甲板と甲板底との間に立設され、そ
    の縦壁と裏骨を合わせて前記甲板底から垂下させた支持
    部材を前記突畝部の先端部分に貫装固定させるととも
    に、その支持部材の下端を、前記全没型水中翼の中間部
    に固定してなることを特徴とする請求項1または請求項
    2に記載の高速双胴水中翼船。
  4. 【請求項4】 最後部に設けた前記全没型水中翼を支持
    している前記支持部材の下部後縁に、ラダーを設けてな
    ることを特徴とする請求項3に記載の高速双胴水中翼
    船。
  5. 【請求項5】 前記ストラットの後縁部の一部分を切り
    欠いて、その切り欠いた部分に、ラダーを嵌装してなる
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに
    記載の高速双胴水中翼船。
  6. 【請求項6】 前記両没水体間に架設される全没型水中
    翼が、揚力を発生させるための揚力翼形成部分の両側
    に、整流作用を発揮させるための整流翼形成部分を設け
    てなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいず
    れかに記載の高速双胴水中翼船。
  7. 【請求項7】 前記両没水体の後部に設けた螺旋推進器
    が、前記両没水体間の最後部に架設された全没型水中翼
    の整流翼形成部分で整流された整流域内に位置付けられ
    る程度に、前記整流翼形成部分の幅を設定してなること
    を特徴とする請求項6に記載の高速双胴水中翼船。
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