JPH07117668A - 車両の前後力検出装置 - Google Patents

車両の前後力検出装置

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JPH07117668A
JPH07117668A JP29147393A JP29147393A JPH07117668A JP H07117668 A JPH07117668 A JP H07117668A JP 29147393 A JP29147393 A JP 29147393A JP 29147393 A JP29147393 A JP 29147393A JP H07117668 A JPH07117668 A JP H07117668A
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香敏 深沢
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康豊 石黒
Toshiaki Iizuka
俊章 飯塚
Yozo Muroi
陽三 室井
Shojiro Inoue
祥次郎 井上
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 連結器を車両から取外して連結器と一緒に校
正する必要がなく、大型の引張・圧縮試験機を用いずと
も校正が可能で、安価に製作でき、連結器に作用する前
後力を安定的に高精度に検出する。 【構成】 連結ピン1の緩衝器側嵌合部1aには、緩衝
器3が嵌合され、連結器側嵌合部1b,1cには、連結
器2の基端が嵌合されている。連結器2と緩衝器3との
間に互いに逆方向に引張力が作用すると、小径部1d,
1eに互いに逆方向から座絞り穴H〜H4を穿設するこ
とによって形成された起歪部1f,1gは、せん断力を
受けてせん断ひずみを生じる。この起歪部1f,1gの
面は、連結器2の長手方向と平行になるようにして連結
ピン1が連結器2に対し固定されているので、連結器2
が方向を変えても、常に連結器2の長手方向に作用する
引張力・圧縮力を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄道車両、その他の車
両の前後力検出装置に係わり、更に詳述すると、車両間
を連結する一対の連結器に作用する引張力および圧縮
力、すなわち前後力(自連力とも称されている)を検出
する車両の前後力検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄道は、その性質上、車両の入れ
替え,車両の打ち当て等を行う時に衝撃が生じるが、通
常の運行時にも列車の出発,ブレーキ作動,牽引力の伝
達,粘着力,走行抵抗等により車両間に前後力が発生す
る。
【0003】この前後力は、車両間の衝撃,列車の座屈
等を生じさせる原因となり、乗り心地等の一般的な列車
の性能の他に、列車の運用,安全に係わる問題を生じさ
せる。これらの問題点に対処するために、連結器に加え
られる引張力および圧縮力、すなわち、前後力の測定を
行い管理する必要がある。特に近年の列車の長編成化,
高速運転化の傾向においてはなおさらである。
【0004】このため、従来は、連結器に作用する前後
力を測定する際には、次のような手順で、その準備作業
を行っていた。例えば、図11および図12に示されて
いるように、まず第1に、車両に、緩衝器3を介して連
結ピン28により取り付けられている連結器本体21
を、連結ピン28を抜き取って緩衝器3から取外すと共
に、連結器本体21のナックル22もナックルピン25
を外して取り除く。
【0005】次に、連結器本体21の胴部中央の所定位
置に歪ゲージ31を貼着する。そして図13、図14に
示すように、引張・圧縮試験機6の台座61上に連結部
を下にして垂直に立て、上記連結ピン28にVブロック
62の当金を載せ、歪ゲージ31と歪測定器(図示せ
ず)とをケーブル32にて接続し、Vブロック62側か
ら連結ピン28を介して連結器本体21に圧縮荷重を暫
時加えて行く。
【0006】最大圧縮荷重が加えられるまでの途中適宜
間隔で加荷重を止めて、その時々の荷重と歪出力との関
係を読み取っておき、この関係をグラフ等で表し、校正
を終える。なお、歪ゲージ31の出力は、圧縮力と引張
力との差については実用上無視できるため、通常引張り
より簡単にできる圧縮による校正が行われる。
【0007】次に、歪ゲージ31が貼着され且つ校正を
終えた連結器本体21を車両の緩衝器3に連結ピン28
により取り付け、ナックル22もナックルピン25によ
り取り付けた後、測定車両に設置された歪測定器(図示
せず)と歪ゲージ31とをケーブル32で接続し、現実
の車両による前後力の検出を行う。この現車走行で得ら
れる連結器本体21での歪出力から、前記荷重と歪出力
との関係グラフ等により、連結器に加わる引張力および
圧縮力、即ち前後力を測定していた。
【0008】また、鉄道車両の前後力(自連力)を測定
する装置として、特開平4−262963号公報に記載
されたものがある。
【0009】この公報記載の従来技術は、鉄道車両に取
り付けられた連結器におけるナックルの衝合部に、引張
力および圧縮力測定用の歪ゲージ式荷重変換器の検出器
が取り付けられ、この検出器が測定車両に設置された歪
ゲージ式荷重変換器の歪測定器と接続された構成となっ
ている。
【0010】このように構成された自連力測定装置は、
例えば列車の発車時等の引張力が連結器に加えられる
と、ナックル内側の歪ゲージ式荷重変換器の検出器が、
対向する連結器のナックルの内面と衝合してその引張り
力による歪出力が歪測定器に伝えられ、列車のブレーキ
時等の圧縮力が連結器に加えられると、ナックル外側の
歪ゲージ式荷重変換器の検出器が対向する連結器のヨー
ク内側の前壁と衝合してその圧縮力による歪出力が歪測
定器に伝えられるので、これらの出力に基づき、荷重変
換器の歪測定器により、引張、または圧縮荷重(自連
力)が測定される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前者の従来の自連力測
定装置では、一旦連結器本体21を車両10に設けられ
ている緩衝器3から取外し、連結器本体21に加えられ
る荷重と歪量との関係を校正した後、再度上記車両10
の緩衝器3に取り付けなければならないが、連結器21
は重量物であるために、その着脱に多大な労力と時間を
必要とするという問題点、および、引張・圧縮荷重校正
のために、数10屯〜数100屯の荷重に耐えられる大
型の引張・圧縮試験機がなければ、前後力測定の前提で
ある連結器本体21の校正もできないという問題点があ
る。
【0012】また、上記のように構成された自連力測定
器は、特殊なセンサであり、校正のための準備作業や取
扱に特殊技能が求められ、設備の整った所以外での前後
力の検定は、現実的にできない、という問題点があっ
た。
【0013】また、連結器本体21は、その製作上のば
らつき等を有するため、前後力を測定するためには、そ
の全てに付いて個々に引張・圧縮試験機6における引張
力、圧縮力とセンサである歪ゲージ31の出力との校正
を行わねばならず、引張・圧縮荷重校正に数日を要す
る、という問題点もある。
【0014】一方、後者の従来の鉄道車両用自連力測定
装置においては、連結器におけるナックルの衝合部にひ
ずみゲージ式の荷重変換器が取り付けられる形式である
ため、ひずみゲージの接着や、校正試験をするに際し、
連結器本体を車両の緩衝器からその都度取外したり取り
付けたりする必要がなく、荷重変換器のみを取外して校
正を行い、その後、その荷重変換器を取り付けるだけで
よいから、校正のために引張・圧縮試験機の大型のもの
は必要でなくなり測定の準備時間も短縮化することがで
きる。
【0015】しかしながら、後者の自連力測定装置は、
荷重変換器がナックルの衝合部に設けられている関係
で、第1の問題点として、荷重変換器の一方側の引張力
測定用検出部および他方側の圧縮力測定用検出部とこれ
らに衝合する相手側のナックルとが衝合する際に、ナッ
クルの衝合面が複雑な曲面形状を呈しているため、列車
の走行中の連結器の上下動の影響を受けて接触状態が変
化すると共に引張力および圧縮力の作用方向も微妙に変
化するため、荷重変換器から得られる検出データが不安
定となり、連結器に作用する前後力に正確に対応した検
出データが得られにくいという問題点がある。
【0016】第2の問題点として、荷重変換器の一方側
の引張力測定用検出部は、相手側のナックルの内面と衝
合するのに対し、他方側の圧縮力測定用検出部は、相手
側の連結器本体のヨーク内面の前壁と衝合するようにな
っており、圧縮力測定状態と引張力測定状態とがかなり
異なっているため、圧縮力と引張力の両方について校正
を行う必要があり、さらには、上述のように衝合部の接
触状態が複雑に変化するため、荷重変換器のみの単体の
校正では不充分であり、荷重変換器が組み込まれた状態
の連結器と共に校正しなければならないから、結果的に
は、前者の従来技術と同様の問題点を含んでいることに
なる。
【0017】第3の問題点として、荷重変換器の一方側
および他方側と、これらと衝合する相手側のナックルお
よび連結器との間にギャップ(遊び)があるため、発進
時や制動時に荷重変換器に直接大きな衝撃力が作用し、
連結器に作用する実際の前後力に対し荷重変換器から出
力される検出データが過大な値を示すという問題点があ
る上、荷重変換器をより堅牢なものにする必要があり、
その分、コスト高を招くという問題点もある。
【0018】本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑
みてなされたもので、その目的とするところは、連結器
を車両から取外した状態で校正する必要がなく、大型の
引張・圧縮試験機がなくとも校正が可能であり、しかも
引張力あるいは圧縮力のいずれか一方のみの校正で足
り、そのうえ安価に製作できると共に連結器に作用する
前後力が安定して高精度に検出可能な車両の前後力検出
装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、車両に連結ピンを介して取り付けられ
た連結器に作用する引張力および圧縮力を検出する車両
の前後力検出装置において、上記連結ピンは、上記車両
側の部材に嵌合される車両側嵌合部と上記連結器側に嵌
合される連結器側嵌合部との間が小径に形成された少な
くとも2つの小径部を有し且つ上記小径部には薄肉に形
成された起歪部を有すると共に上記連結器の所定方向の
角度変化に伴い共に一体的に回動するように上記連結器
に固定され、上記連結ピンの上記起歪部にはひずみゲー
ジが添着され、上記連結器に作用する引張力および圧縮
力を、上記ひずみゲージの抵抗値に変換して検出し得る
ように構成したことを特徴とするものである。
【0020】また、本発明は、上記の目的をよりよく達
成するために、上記連結ピンの小径部の互いに180°
隔てた外周から中心軸方向に向う2つの座繰り穴が一定
の深さまで形成されてその2つの座繰り穴の底面間が所
定の厚さを有する起歪部とされ、その座繰り穴の底面に
せん断応力を検出し得るようにひずみゲージが添着さ
れ、上記連結ピンは上記座繰り穴の底面が上記引張力お
よび圧縮力の作用方向に沿うようにして上記連結器に取
り付けられていることを特徴とするものである。
【0021】
【作用】上記のように構成された車両の前後力検出装置
における連結ピンのうち、車両側嵌合部には車両側の部
材、例えば緩衝器が嵌合され、連結器側嵌合部には連結
器の基端が嵌合され、連結器と緩衝器との間に互いに逆
方向に引張力が作用すると、連結器側嵌合部と車両側嵌
合部との間に挟まれた小径部に形成され起歪部は、せん
断力を受けてせん断ひずみを生じる。
【0022】この起歪部の面は、連結器の引張力および
圧縮力が作用する方向と平行な面とされ、しかも、連結
ピンと連結器とが一体的に回動するように固定されてい
るので、上記の関係は、常に保持され、連結器が車両の
所定方向の移動に伴って方向を変えても起歪部に添着さ
れたひずみゲージによって、常に連結器の長手方向に作
用する引張力および圧縮力を検出することとなる。
【0023】
【実施例】次に、本発明に係る車両の前後力検出装置の
実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0024】図1は、本発明に係る車両の前後力検出装
置の第1の実施例の構成を示す正面縦断面図、図2は、
図1のA−A線矢視方向断面図、図3は、図1と同一の
実施例の背面縦断面図である。
【0025】図1〜図3において、1は、連結ピンであ
り、本来の機能は、連結器2を車両10に緩衝器3を介
して回動可能に支持するものであるが、本実施例におい
ては、後述するようにひずみゲージが添着されて、連結
器2に作用する引張力および圧縮力(前後力)を検出す
る前後力検出器の機能をも有する。
【0026】図1において一点鎖線で表わす上側の部分
が連結器2の基端部分であり、下側の部分が車両に結合
された緩衝器3の先端部分である。連結ピン1は、全体
が断面円形の円柱状をなしており、中間部分に緩衝器3
に穿設された嵌合孔と適度なクリアランスをもって嵌合
し得る外径を有する車両側嵌合部としての緩衝器側嵌合
部1aが形成されている。
【0027】この緩衝器側嵌合部1aの左右両側には、
所定の間隔を開けて同じ外径の連結器側嵌合部1b,1
cが形成されている。そしてこの緩衝器側嵌合部1aと
連結器側嵌合部1bおよび1cとの間は、小径にされた
小径部1d,1eが設けられ、この小径部1dおよび1
eには、薄肉に形成された起歪部1f,1gが設けられ
ている。
【0028】この連結ピン1における起歪部1f,1g
は、次のようにして形成される。即ち、本来、円柱状の
連結ピン1に、一定間隔の小径部1d,1eを旋盤によ
り削成する。
【0029】この小径部1dの互いに180°隔てた外
周から中心軸方向に向かう2つの座繰り穴H1,H2を
フライス盤などにより所定の深さに達するまで穿削す
る。また、同様に小径部1eの互いに180°隔てた外
周から所定の深さの座繰り穴H3,H4を所定の深さに
達するまで穿削する。
【0030】このようにして、穿削された各2つの座繰
り穴H1とH2およびH3とH4の互いに対向する底面
間に残された薄肉部分が起歪部1fおよび1gとされる
のである。
【0031】この起歪部1f,1g、すなわち、座繰り
穴H1〜H4の各底部には、連結ピン1の中心軸に対
し、45°および135°の角度間隔をもって、各2枚
のひずみゲージG1およびG2、G3およびG4、G5
およびG6、G7およびG8が、それぞれ接着、蒸着、
スパッタリング、その他の手段により添着されている。
【0032】このように添着されたひずみゲージG1〜
G8のうち、一方の起歪部1fに添着されたひずみゲー
ジG1〜G4は、図5に示すようにしてホイートストン
ブリッジ回路(以下、単に「ブリッジ回路」と略称す
る)が形成され、他方の起歪部1gに添着されたひずみ
ゲージG5〜G8は、図6に示すようにしてブリッジ回
路が形成される。ひずみゲージG1〜G8が添着された
後、各座繰り穴H1〜H4には、コーティング剤塗布あ
るいは盲蓋を冠着するなどして防湿処理を施す。
【0033】連結ピン1の一端(図1において右端)側
には、八角形状を呈する回転止め用のフランジ部5が、
一体にあるいは一体的に設けられており、このフランジ
部5が、連結器2の基端部に形成された八角穴(または
八角溝)に嵌合し、連結ピン1と連結器2とが相対的に
回転を許容しないように結合されている。
【0034】連結ピン1の他端(図1において左端)に
は、ピン孔1hが穿孔されており、図示しない止めピン
がピン孔1hに圧入することで、連結器2が連結ピン1
から脱落しないように抜け止め防止が図られる。
【0035】ところで、連結器2と前後力検出器4の関
係状態の詳細は、図9、図10に示されている。同図に
おいて、連結器2は、連結器本体21、ナックル22、
錠23、下錠揚げ24およびナックルピン25等により
構成されている。
【0036】連結器本体21の先端部には、ナックル2
2が、ナックルピン25により回動自在に取り付けら
れ、錠23および下錠揚げ24により開閉状態が維持さ
れるようになっている。連結器2は、前後力検出器1を
構成する連結ピン1により緩衝器3と連結され、そして
連結ピン1の中心軸を回動軸として上下回動が可能にさ
れている。
【0037】次に、上述したように構成された本発明の
第1実施例の作用について説明する。図11に示すよう
に相前後する車両10、10間が連結器2,2同士によ
って連結された状態で車両10、10、が軌道上を走行
する際、例えば発進時には、連結器2には引張力が作用
する。
【0038】すると、図1における連結器2が紙面にお
いて上方向(矢印方向)へ移動しようとするから、起歪
部1fおよび1gには、せん断力が加わり、ひずみゲー
ジG1,G3およびG5,G7は伸長され、ひずみゲー
ジG2,G4およびG6,G8は縮小される。
【0039】従って、図5および図6に示す両ブリッジ
回路において、その入力端にブリッジ電源電圧Ei を印
加すると、その出力端からは、連結器2に作用する引張
力に対応したひずみ出力電圧eo が出力される。
【0040】一方、車両10に制動がかけられて連結器
2に圧縮力が作用した場合には、起歪部1fおよび1g
には、上述とは逆方向のせん断力が加わるから、ひずみ
ゲージG1,G3およびG5,G7は圧縮され、ひずみ
ゲージG2,G4およびG6,G8は伸長されるから、
図5および図6に示す両ブリッジ回路において、その出
力端からは、連結器2に作用する圧縮力に対応したひず
み出力電圧eo が出力される。
【0041】尚、上述の実施例に係る車両の前後力検出
装置の校正は、連結器2を含めた全体を構成をする必要
はない。即ち、本実施例の場合、連結器2および緩衝器
3の連結ピン1との嵌合構成が等価な構成の校正治具を
準備しておけば、実際の連結器2がなくても、また、大
型の引張・圧縮試験機がなくとも、前後力検出装置とし
ての校正を行うことができる。
【0042】そして、連結ピン1の車両側嵌合部として
の緩衝器側嵌合部1aおよび連結器側嵌合部に対し緩衝
器3の嵌合孔および連結器2の嵌合孔との間隙は、非常
に僅かなものとすることができるから、前後力の再現性
がよく、引張力と圧縮力との差については、実用上無視
することができ、通常、引張りより簡単にできる圧縮に
よる校正のみを行えば十分であるから、校正作業に要し
た時間を大幅に短縮することができると共に、連結器2
が車両の走行中に、上下方向に回動したとしても、連結
ピン1に対する前後力の伝達方向は常に一定であり、緩
衝器3と連結ピン1との嵌合状態は、面(円筒面)接触
であるから、前後力の伝達が円滑に行われ、高精度な前
後力の検出を行うことができる。
【0043】尚、治具を使用することにより簡単に引張
圧縮校正も可能である。
【0044】尚、本発明は、上述した実施例に限定され
ることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の
変形実施が可能である。例えば、連結ピン1に形成する
起歪部は、図1〜図3に示したように2か所に設ける場
合に限らず、図4に示すように連結ピン1の4か所に起
歪部1i,1j,1k,1mを設けてもよい。
【0045】このように起歪部の数を増やした場合、ひ
ずみゲージも8枚に増やし、第1の実施例の場合と同様
に、例えば連結器2に引張力または圧縮力が作用すると
き、伸長される4枚のひずみゲージは、図7に示すよう
に、ダブルブリッジ回路構成とし、2つのブリッジ回路
の相対向する二辺に分散して配置し、圧縮される4枚の
ひずみゲージは、これを隣接する二辺に分散して配置
(回路挿入)すればよい。
【0046】また、せん断ひずみ(応力)を検出するひ
ずみゲージとしては、第1の実施例の場合は、2枚のひ
ずみゲージを互いに90°ずらせて起歪部に添着した
が、これに限らず、図8に示すように、1枚のゲージベ
ース上に互いにその受感軸方向を90°ずらせてゲージ
素子G1 ,G2 を形成してなる複合ひずみゲージを用い
てもよいことは勿論である。
【0047】また、連結器と連結ピンとの回り止め構造
としては、図4の(B)に示すように、連結器2の連結
ピン嵌合孔2aをDの字状に形成し、これに嵌合する連
結器側嵌合部1nをやはりD字状に形成することで、回
り止めの機能を果たさせることができる。
【0048】さらにまた、連結器に作用する前後力を検
出する機構として、せん断ひずみ(応力)検出型の例を
示したが、曲げひずみ検出型に変形して実施することも
できる。
【0049】この場合、小径部に形成するのは、座繰り
穴でなく、座繰り穴の形成方向と同じ方向に向けて貫通
孔を穿設し、上記貫通孔の内壁面または、貫通孔に対応
する上記小径部の外周のいずれかの曲げひずみが大きく
現われる部分にひずみゲージを添着すればよい。
【0050】
【発明の効果】本発明に係る車両の前後力検出装置は、
上述したところより分かるように次のような効果を有す
る。先ず、車両の前後力検出に際しては、連結器と車両
側の部材との連結手段としてガタツキがなく安定で連結
器が大きく揺動しても、常に連結器の方向に追随して指
向する連結ピンを、前後力検出器の要部として採用した
から、従来のものに比べて、精度と感度と信頼性を大幅
に向上することができる。
【0051】また、校正も連結器を含めてでなく、前後
力検出器単独で行っても連結器を含めて行う大がかりな
校正と同程度の校正精度が実現される。従って、大型の
引張・圧縮試験機も必要とせず、連結器を車両から脱着
する多大な労力も節減でき、従来数日要していた前後力
測定のための準備時間を大幅に短縮することができる。
【0052】また、本発明に係る車両の前後力検出装置
は、連結器および車両側に特別な加工を施す必要がな
く、単に連結ピンの形状を変更すれば足りるから、製造
コスト、調整コストが比較的安くて済み、上記校正作業
およびその準備作業に伴うコストの低減化と相俟って、
トータルコストを従来の場合より大幅に低減化すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両の前後力検出装置の第1の実
施例の構成を示す正面縦断面図である。
【図2】図1のA−A矢視方向断面図である。
【図3】図1の背面縦断面図である。
【図4】本発明に係る車両の前後力検出装置の変形実施
例の構成を示す図面であり、左図(A)は、正面縦断面
図であり、右図(B)は、左図(A)のB−B線矢視方
向断面図である。
【図5】図1に示す実施例の前後力検出装置の一方の起
歪部に添着されたひずみゲージをブリッジ回路に組んだ
場合の一方の回路図である。
【図6】図1に示す実施例の前後力検出装置の他方の起
歪部に添着されたひずみゲージをブリッジ回路に組んだ
場合の他方の回路図である。
【図7】図4に示す前後力検出装置の起歪部に添着した
8枚のひずみゲージをダブルブリッジ回路に組んだ場合
の回路図である。
【図8】せん断ひずみを検出するためのひずみゲージの
変形例を示す平面図である。
【図9】本発明に係る連結器と前後力検出装置との関係
を説明するための側面図である。
【図10】図9の正面図で、その一部を破断して示して
ある。
【図11】車両と連結器の接続関係を説明するための摸
式的な側面図である。
【図12】従来の前後力検出装置の説明を行うための連
結器および緩衝器の構成を示す側面図である。
【図13】従来の前後力検出装置の校正の要領を説明す
るための側面図で、その一部を破断して示してある。
【図14】図13の正面図で、その一部を破断して示し
てある。
【符号の説明】
1 連結ピン 1a 緩衝器側嵌合部 1b,1c 連結器側嵌合部 1d,1e 小径部 1f,1g 起歪部 1h ピン孔 1i,1j,1k,1m 起歪部 1n 連結器側嵌合部 2 連結器 2a 連結ピン嵌合孔 3 緩衝器 4 前後力検出器 5 フランジ部 10 車両 21 連結器本体 22 ナックル 24 下錠揚げ 25 ナックルピン G1 〜G8 ひずみゲージ H1〜H4 座絞り穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯塚 俊章 東京都調布市調布ヶ丘3丁目5番地1 株 式会社共和電業内 (72)発明者 室井 陽三 東京都調布市調布ヶ丘3丁目5番地1 株 式会社共和電業内 (72)発明者 井上 祥次郎 東京都調布市調布ヶ丘3丁目5番地1 株 式会社共和電業内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に連結ピンを介して取り付けられた
    連結器に作用する引張力および圧縮力を検出する車両の
    前後力検出装置において、上記連結ピンは、上記車両側
    の部材に嵌合される車両側嵌合部と上記連結器側に嵌合
    される連結器側嵌合部との間が小径に形成された少なく
    とも2つの小径部を有し且つ上記小径部には薄肉に形成
    された起歪部を有すると共に上記連結器の所定方向の角
    度変化に伴い共に一体的に回動するように上記連結器に
    固定され、上記連結ピンの上記起歪部にはひずみゲージ
    が添着され、上記連結器に作用する引張力および圧縮力
    を、上記ひずみゲージの抵抗値に変換して検出し得るよ
    うに構成したことを特徴とする車両の前後力検出装置。
  2. 【請求項2】 上記連結ピンの小径部の互いに180°
    隔てた外周から中心軸方向に向う2つの座繰り穴が一定
    の深さまで形成されてその2つの座繰り穴の底面間が所
    定の厚さを有する起歪部とされ、その座繰り穴の底面に
    せん断応力を検出し得るようにひずみゲージが添着さ
    れ、上記連結ピンは上記座繰り穴の底面が上記引張力お
    よび圧縮力の作用方向に沿うようにして上記連結器に取
    り付けられていることを特徴とする請求項1記載の車両
    の前後力検出装置。
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