JPH07116165B2 - L−チアゾリジン−4−カルボン酸のラセミ化法 - Google Patents

L−チアゾリジン−4−カルボン酸のラセミ化法

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JPH07116165B2
JPH07116165B2 JP25468286A JP25468286A JPH07116165B2 JP H07116165 B2 JPH07116165 B2 JP H07116165B2 JP 25468286 A JP25468286 A JP 25468286A JP 25468286 A JP25468286 A JP 25468286A JP H07116165 B2 JPH07116165 B2 JP H07116165B2
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tca
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acetic acid
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喜治 田村
浩猛 尾上
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はL−チアゾリジン−4−カルボン酸を酢酸中で
加熱する、高収率、かつ工業的規模で実施可能なL−チ
アゾリジン−4−カルボン酸のラセミ化法に関する。
[従来の技術] 含硫アミノ酸であるL−シスチン、L−システインは天
然のアミノ酸であり、一般にL−シスチンは羽毛、動物
の体毛、人髪などのケラチン質中に多量に含まれてお
り、これらケラチン原料を加水分解し、単離、精製する
ことにより得られ、またL−システインはL−シスチン
を還元することにより工業的に生産され、去痰剤等の医
薬品原料やパンやミルクの添加物等の広範な分野に利用
されているものである。
一方、光学対掌体である非天然型のD−シスチン、D−
システインは近年、抗生物質等の医薬品の合成中間体と
しての用途が開発され、工業的利用価値が注目を集めて
いる。
D−シスチン、D−システインは天然物より得ることは
不可能なため、これらは天然のL体をラセミ化させたDL
体もしくは化学合成的手段により得られるDL体を光学分
割し、D−シスチンまたはD−システインを得る以外に
方法はない。
DL−システインの公知の光学分割法としては、N−アセ
チル−S−ベンジル−DL−システインのアシラーゼを用
いた不斉加水分解法やN−ホルミル−S−ベンジル−DL
−システインをブルシンを用いて光学分割する方法など
が挙げられるが、これらはいずれも液体アンモニア、金
属ナトリウムや高価なアルカロイドであるブルシンを使
用する点など、工業的に有利な方法とはなり得ないもの
であった。
近年、本発明者らは下記化学構造式(I)を有するDL−
チアゾリジン−4−カルボン酸 を工業的に安価に製造される光学活性1−(α−ナフチ
ル)エチルアミンを用いて光学分割する方法を見い出し
特願昭60-171894号として出願し、チアゾリジン−4−
カルボン酸(以下、TCAと略す)はシスチン及びシステ
インに容易に変換出来るため、DL−システインの有用な
工業的光学分割方となり得ることを明らかにした。
この光学分割で用いるDL-TCAは、DL−システインとホル
ムアルデヒドから容易に合成されるものであるが、DL−
システインの製造においては上記したごとく、ケラチン
原料が多量にかつ安定して供給され、L−シスチンが安
価に製造される場合、L−シスチンをラセミ化させて還
元した後DL−システインとするか、またはL−シスチン
を還元してL−システインとし、これをラセミ化させDL
-システインを得る方法が、化学合成法に比べて工業的
に有利であることは明らかである。
しかしながら、L−シスチンのラセミ化については高濃
度鉱酸中で長時間煮沸する方法や大過剰の無水酢酸を用
いて行なう方法が知られているが、前者ではラセミ化率
は低く分解物を伴うこと、また後者では工業的に高価な
方法となってしまう点が挙げられ、さらに、L−システ
インについては−SH基が酸化され易いこと等の化学的に
不安定であるため有効なラセミ化法は見い出されていな
い。
遊離アミノ酸のラセミ化は、一般に酸またはアルカリで
加熱する方法が知られている。しかしこれらの方法での
ラセミ化は緩慢で長時間を要し、かつ分解をともなうた
め有利なものとは言えない。事実、L-TCAを高濃度塩酸
中において長時間加熱を行なってもラセミ化率は低く、
他の分解物も生成する。またアンモニア水等を用いたア
ルカリ条件下では硫化物の析出がみられるなどL-TCAの
分解が優先してしまう。また、多くのアミノ酸はN−ア
セチル化した後に酢酸中で過剰の無水酢酸と加熱するこ
とによりラセミ化させることが可能であるが、多量の無
水酢酸を消費するため工業的に価値のある方法とは言い
難いものである。
一方、遊離アミノ酸の特殊なラセミ化法として低級脂肪
酸を用いる方法(日化雑誌、第80巻、第87頁、1959年)
が報告され、数種のアミノ酸についてはラセミ化が進行
するが、特にL-TCAの類似体といえる環状イミノ酸であ
るL−プロリンについてはラセミ化は起こらないと明記
されている。
このように、L-TCAの有効なラセミ化法は未だ得られて
いない。
[発明の目的] 本発明は、高収率で、かつ工業的規模で製造が可能なL
−チアゾリジン−4−カルボン酸(L-TCA)のラセミ化
法を提供することを目的とする。
[発明の経緯] L-TCAのごとき環状イミノ酸は、上記のごとく、低級脂
肪酸中ではラセミ化は進行しないとされていたが、本発
明者らは、DL-TCAの工業的に有利な製造方法として、L
−システインを経て合成されるL-TCAのラセミ化に関し
て鋭意検討した結果、従来の予想に反し、L-TCAは酢酸
中において効率良く短時間にラセミ化が進行することを
見い出し、また低級脂肪酸でも蟻酸では効果は非常に低
く、プロピオン酸ではL-TCAの溶解度が低く実用に供し
得ないことなど、ラセミ化が酢酸中でのみ有効であるこ
とを見い出し、簡便かつ工業的規模で生産可能なL-TCA
のラセミ化法を提供し得ることを知見して本発明を完成
するに至った。
[発明の構成] すなわち本発明は、L-TCAを酢酸中で加熱することを特
徴とするラセミ化法にある。
本発明において、ラセミ化に用いる酢酸は、水分含量の
増加とともにラセミ化の効率が低下するため、通常は、
水分含量として0〜5%のものを使用するのが好まし
い。また酢酸の量はL-TCAに対して4〜6倍量が適して
おり、これより少ない場合にはL-TCAの溶解に時間を要
し、ラセミ化がすみやかに進行せず、これより多くの酢
酸を用いても何ら工業的に有利な点は見い出されない。
ラセミ化はL-TCAを酢酸に懸濁させて加熱し、ゆるやか
に煮沸を行なう。L-TCAは徐々に溶解してラセミ化が進
行する。反応時間は、煮沸開始後1〜2時間が適当であ
り、これより長く行なっても収率の低下をもたらし適当
ではない。煮沸終了後、反応液を冷却し、減圧下におい
て酢酸を留去した後、残ったシロップ状反応混合物に、
用いたL-TCAの2〜3倍量のメタノールを加えて攪拌を
行なうと結晶が析出する。これを濾取することによりDL
-TCAが得られる。もしくは反応混合物中にはラセミ化の
際副生するN−アセチル−DL-TCAが含まれるため酢酸を
留去した後、塩酸、硫酸等の希鉱酸水を加え、短時間加
熱して脱アセチル化を行なった後反応液を濃縮し、1)
DL-TCAの鉱酸塩として単離するか、または2)アンモニ
ア水、カ性ソーダ等アルカリを用いて中和を行ないDL-T
CAとして単離することにより収率の向上が見られ、良好
な収率でDL-TCA塩酸塩またはDL-TCAが得られる。なおDL
-TCA塩酸塩からは通常の中和操作によりDL-TCAを得るこ
とが出来る。
[実施例] 次に、実施例および比較例に基づいて本発明をさらに詳
細に説明する。
実施例1 L-TCA(比旋光度[α]16=−141.80°(C=1.0、H
2O))200gを氷酢酸800mlに懸濁させて加熱し、2時間
ゆるやかに煮沸を行なった。この反応液を冷却した後減
圧下で酢酸を留去し、残ったシロップ状反応混合物にメ
タノール400mlを加えて攪拌した。析出した結晶を濾取
して乾燥するとDL-TCA 90gを得た。この収率は45%であ
り、比旋光度[α]16=−1.40°(C=1.0、H2O)であ
った。
実施例2 L-TCA 100gを氷酢酸450mlに懸濁させて加熱し、1時間4
0分ゆるやかに煮沸を行なった。この反応液を実施例1
と同様に酢酸を留去後、3N-HCl 500mlを加えて1時間煮
沸を行なった。この溶液を冷却後、活性炭5gを加えて脱
色濾過し、減圧下で液量250mlまで濃縮を行なった。さ
らに攪拌しながら15℃まで冷却し、析出した結晶を濾取
して乾燥するとDL-TCA塩酸塩94gを得た。この収率は74
%であり、比旋光度[α]16=−0.75°(C=4.0、1N-
NaOH)であった(参考:L-TCA塩酸塩[α]16=−163.2
°(C=4.0、1N-NaOH))。
実施例3 L-TCA 100gを氷酢酸500mlに懸濁し加熱して1時間20分
ゆるやかに煮沸を行なった。実施例1と同様に酢酸を留
去後、3N-HCl 500mlを加えて1時間煮沸を行なった。こ
の反応液を冷却後に活性炭5gを加えて脱色濾過し、減圧
下で塩酸水を留去した。さらに水100mlを加えて濃アン
モニア水で中和し、pHを4とした。この溶液を撹拌しな
がら5℃まで冷却した。析出した結晶を濾取して乾燥す
るとDL-TCA 62gが得られた。この収率は62%であり、比
旋光度[α]16=−6.40°(C=1.0、H2O)であった。
比較例1 L-TCA 133gを9N-HCl 300mlに溶解させて48時間煮沸を行
なった。この反応液を減圧下で濃縮乾固した後、水300m
lを加えて加温溶解し、活性炭5gを加えて脱色濾過を行
なった。この溶液を濃アンモニア水でpH4に調整し、撹
拌しながら2℃まで冷却し、析出した結晶を濾取した後
乾燥するとDL-TCA 67gが得られた。この収率は50%であ
り、比旋光度[α]16=−78.90°(C=1.0、H2O)で
あった。
比較例2 L-TCA 100gを蟻酸400mlに溶解させて加熱し、4時間ゆ
るやかに煮沸を行なった。この反応液を冷却した後、減
圧下において蟻酸を留去し、3N-HCl 500mlを加えて1時
間煮沸を行なった。この溶液を減圧下において液量260m
lまで濃縮し、撹拌しながら10℃まで冷却した。析出し
た結晶を濾取して乾燥するとDL-TCA塩酸塩98gが得られ
た。この収率は77%であり、比旋光度[α]16=−148.
00°(C=4.0、1N-NaOH)であった。
[発明の効果] 以上説明したように、L−チアゾリジン−4−カルボン
酸(L-TCA)を酢酸中で加熱する本発明のラセミ化法に
より、高収率、かつ工業的規模でL−チアゾリジン−4
−カルボン酸のラセミ化が可能である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】L−チアゾリジン−4−カルボン酸を酢酸
    中で加熱することを特徴とするL−チアゾリジン−4−
    カルボン酸のラセミ化法。
JP25468286A 1986-10-28 1986-10-28 L−チアゾリジン−4−カルボン酸のラセミ化法 Expired - Lifetime JPH07116165B2 (ja)

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