JPH07115881B2 - 熱処理用石英ガラス材料 - Google Patents

熱処理用石英ガラス材料

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JPH07115881B2
JPH07115881B2 JP1339320A JP33932089A JPH07115881B2 JP H07115881 B2 JPH07115881 B2 JP H07115881B2 JP 1339320 A JP1339320 A JP 1339320A JP 33932089 A JP33932089 A JP 33932089A JP H07115881 B2 JPH07115881 B2 JP H07115881B2
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【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 本発明は、熱処理用の高純度石英ガラス材料に関する。
また、本発明は、半導体工業用材料、高熱工業用材料等
の使用に適する高純度石英ガラス材料に関し、特に、半
導体工業用材料、高熱工業用材料として熱処理用特性に
優れる高純度石英ガラス材料に関する。
さらに、本発明は、SOI(silicon on insu−lator)構
造集積回路用基板などの基板材料として使用できる石英
ガラス材料に関する。
(ロ)従来の技術 従来、天然石英ガラスに勝る高純度の耐熱性石英ガラス
材料として、1000℃以上の熱処理に使用できる程の耐熱
性はもっていないが、合成石英ガラスが製造されてい
る。
(ハ)発明が解決しようとする課題 前述のように、合成石英ガラスからは、高純度でかつ耐
熱性も兼ね備えた石英ガラス材料を製造することができ
ず問題とされている。
すなわち、火災加水分解法によるいわゆるタイプIIIの
合成石英ガラスは、多量のOH基を含むために耐熱性が不
充分であり、また、酸素プラズマを用いて四塩化ケイ素
を酸化させて製造した、いわゆるタイプIVの合成石英ガ
ラスは、OH基を含まない代わりに塩素を100ppm程度含む
ものであるが、やはり、耐熱性は十分ではない。
さらに、ゾルゲル法やスート法で得られた高純度シリカ
の多孔体を真空中に1600℃程度に加熱溶融することによ
って、OH基も塩素も含まない高純度石英ガラスを製造す
る方法も提案されているが、天然石英ガラスの耐熱性に
匹敵する合成石英ガラスを製造するに至っていない。特
に、この事実は、これまで一般に最も耐熱性の良いと信
じられているシリカガラスが、理想的に純度の高い二酸
化ケイ素(SiO2)より得られるといった予想から、全く
外れることであり、高純度化の要請が強い、半導体工業
用合成石英ガラスにとって大きな障害となっている。
そこで、一つの解決策として、ゾルゲル法によるOH基含
有量及び塩素含有量の低い高純度のシリカにアルミニウ
ムを添加して粘性を向上させる方法が提案されている。
また、熱変形を生じ難い耐熱性の石英ガラス材料を製造
するために、例えば、高純度のアルキルシリケートや、
高純度のシリカ超微粉末を原料として、水又はアルコー
ル等を溶媒とする高純度ケイ酸ゾルを形成し、このケイ
酸ゾルにアルミニウム化合物を添加し放置して、この高
純度ケイ酸ゾルをゲル化させ、これを成形して、高温下
に脱水乾燥することによって、所望形状の透明な耐熱性
石英ガラス材料を製造する方法が提案されている。
しかしながら、本発明者の研究結果によると、これらの
方法で、半導体工業用石英ガラスの汎用品グレードと同
等の粘度を有する石英ガラスを製造するには、石英ガラ
ス中のOH基含量を2ppm以下、塩素含量を10ppm以下とし
ても、10ppm以上のアルミニウム(Al)を添加しなけれ
ばならない。しかも、半導体工業用石英ガラスの高耐熱
品グレードの粘度を有する石英ガラスを製造するには、
20ppmのアルミニウムの添加を要し、これより少ないア
ルミニウムの添加では、前記高耐熱品グレードの石英ガ
ラスを製造することはできない。
このような多量のアルミニウムの添加は、高純度石英ガ
ラスとして問題である。例えば、10ppm及び20ppmといっ
たアルミニウム含有量の石英ガラスは、半導体工業用の
高純度石英ガラスとしては好ましいものではない。
本発明は、従来の熱処理用石英ガラスの高温領域におけ
る耐熱性に係る課題を解決することを目的としている。
(ニ)課題を解決するための手段 本発明は、半導体工業用材料として又は高熱工業用材料
として、高温下の使用においても、十分な耐熱性を保有
する高純度石英ガラス材料を提供することを目的として
いる。
即ち、本発明は、少なくとも0.5ppmの濃度のアルミニウ
ム、チタン又はジルコニウム成分と、少なくとも100ppm
の濃度の塩素又は弗素成分を含有することを特徴とする
熱処理用石英ガラス材料にある。
本発明において、高純度石英ガラス材料には、アルミニ
ウム、チタン又はジルコニウム成分が少なくとも、0.5p
pm含有されると共に塩素又は弗素成分が少なくとも100p
pm含有される。
本発明において石英ガラスに含有されるアルミニウム及
び塩素は、例えば、『デー・イー・キャンブル、ヤオシ
ン・ス及びジェー・ピー・ウイリアムス共著「ガラスの
物理及び化学」第17巻第4号1976年8月発行第108頁乃
至第113頁〔D.E.Campbell,Yaosin.Su及びJ.P.Williams
「Physics and Chemistry of Glasses Vol.17 No.4 Aug
ust(1976)〕P108−113)』に、石英ガラスの粘性をそ
れぞれ増大させ、あるいは低下させる元素として示され
ている。
しかし、本発明者は、アルミニウムを添加すると共に単
独で添加したのでは粘度を低下させる元素とされている
塩素を添加することによつて、アルミニウムを単独で添
加した場合に比して、石英ガラスの粘性の向上効果が著
しく増大することを発見して、本発明に至ったものであ
る。
本発明の石英ガラスにおける粘性向上の機構は明白では
ないが、シリカネットワークの構造の切れ目である欠陥
が水酸基(OH基)の形で端末されている場合には、ケイ
素原子(Si)と置換したアルミニウム原子(Al)のまわ
りの格子歪が小さくなるのに対して、欠陥が塩素で端末
されている場合には、格子歪が大きくなって、塑性変形
をさせにくくしているものと考えられる。
本発明において、高純度石英ガラス材料中の塩素成分含
有量を100ppm(塩化銀比濁法による)以上とすると、ア
ルミニウム成分を単独で添加含有させた場合に比して著
しい耐熱性の向上を実現できるので、アルミニウム添加
量の低い、高純度石英ガラスを得ることができる。
得られる高純度石英ガラスは、従来、半導体工業用材料
として、特に、半導体素子製造に広く用いられている天
然石英ガラスよりもより高純度であり、しかも、高純度
の合成石英ガラスであっても、その製造過程で、アルミ
ニウム成分を少なくとも0.5ppm含有させ、また、塩素成
分を少なくとも100ppm含有させるので、前記天然石英ガ
ラスよりアルカリ金属を含めて金属不純物総量が格段に
低い高純度合成石英ガラスでありながら、天然石英ガラ
スと同等の耐熱性を示すことができる。
本発明において、石英ガラスの変形は、転位の移動によ
り生ずるものと考えられるので、添加成分のアルミニウ
ムの代わりに、ジルコニウム、チタンを添加成分として
使用しても、格子歪を増大させて塑性変形をさせにくく
する作用が期待でき、また、同様の理由で、添加成分の
塩素に代えて、フッ素を添加成分として使用することが
できる。
本発明において、Alをドープした合成シリカガラスを製
造するには、火災加水分解法による内付CVD法〔例え
ば、特公表昭62−502044公報(WO 86/07347)参照〕を
適用することができるが、スート法によるのが好まし
い。
本発明は、また、ゾルゲル法により製造される高純度の
シリカゲルに、その製造過程で、アルミニウム、チタン
又はジルコニウム成分を少なくとも0.5ppm含有させ、後
に、塩素又は弗素成分を少なくとも100ppm含有させるよ
う雰囲気熱処理して耐熱性の高純度の合成石英ガラスを
製造することもできる。
(ホ)作用 本発明によって得られた高純度の合成石英ガラスは、半
導体素子製造に広く用いられている天然石英ガラスより
もより格段に高純度であり、しかも高純度石英ガラスで
あっても、従来では、到底、到達することができないよ
うな前記天然石英ガラスと同等もしくはそれ以上の耐熱
性を有するものである。したがって、本発明による高純
度石英ガラスは、高集積程度の高品質ICの製造用の石英
ガラスとして最適であり、また、その他半導体工業用材
料として、また基板材料として、また高熱工業用材料と
して十分に使用できるものである。
(ヘ)実施例 以下、本発明の実施の態様の一について、実施例及び比
較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、以下の例
示及びその説明によって、何等限定されるものではな
い。
(実施例) 本例はスート法により行われる。石英ガラスバーナーに
O2をキャリアとしてSiCl4ガスを導くと同時に、同様にO
2をキャリアガスとして、加熱気化させたAlCl3ガスを該
石英ガラスバーナーに導く、バーナー火災の先におかれ
たターゲット上には、Alがドープされたシリカ微粒子が
スート体として堆積する。次にこのスート体を石英ガラ
ス炉芯管中に納め、100%Cl雰囲気とし、900℃で2時間
加熱し、温室まで、冷却した後、次にこのスート体を、
グラファイトヒーターを設けた真空加熱炉に設置し、1
×10-2mmHg程度のアルゴン(Ar)の減圧雰囲気を保ちな
がら、1600℃で30分間加熱して、透明なガラス体を製造
した。
AlCl3のキャリアガスとしてのO2流量を変えることによ
って、Alドープ量は変化する(例番号:No.1、No.2及びN
o.3)。また、真空加熱炉における加熱については、室
温から1600℃への昇温速度プログラムを遅くすることに
よって、含まれるCl含有量を減少することができる(N
o.4)。
得られた透明石英ガラスを分割して、一方は1350℃にお
いて、SiC棒の陥入時間を測定して粘度を求める、いわ
ゆる陥入法粘度測定を行い、他方については、HFで溶解
した後、原子吸光光度法でAl含量を、塩化銀比濁法によ
りCl含量を測定した。
(比較例) 比較例として、上記900℃でのCl2雰囲気での加熱を行な
わなかったが、Alはドープしたもの(No.5)と、Alをド
ープせずに、それ以外は実施例と同様のもの(No.6)お
よび、Alをドープせず、また、Cl2雰囲気での加熱処理
も行わないで、スート体を得て、真空炉における透明ガ
ラス化においては、1×10-4mmHgの真空中で、900℃で
2時間保持した後、ゆっくりと1600℃まで昇温して30分
間保持して、得た透明なガラス体(No.7)をそれぞれ試
作し、分析と粘度測定を行った。
これらの測定結果を表1に示す。
更に、表1には、一般に使用される半導体工業用の石英
ガラスから汎用の石英ガラスと耐熱用の石英ガラスにつ
いての分析値と粘度を併記した。
表1で明らかなように、AlとClを同時にシリカガラスに
含有させると、試料番号1にみられるように、含有され
る金属不純物はAlだけであり、しかも1ppm以下といった
高純度でありながら、半導体工業用として汎用の天然石
英ガラスと同等の耐熱性が達成できる。
試料番号3および試料番号4のように、Al含有量を天然
石英ガラスの約半分まで増加するとともにClを含有させ
ると、比較例5のClだけを含有させた例では到達しえな
いような、天然石英ガラスの耐熱品のレベルまで、耐熱
性を向上させることができた。
以上、合成石英ガラスの製造方法として、スート法につ
いて述べたが、ゾルゲル法によって製造したアルミニウ
ムをドープしたシリカ粉を粉体のままCl2雰囲気で加熱
してClを含有させて、しかる後ガラス粉体からバルクの
ガラス体を製造する公知の方法で、最終的にAlとClを所
望の含有量まで含まれるようにすれば、ここで述べた実
施例と同様の効果を得ることができる。
(ト)発明の効果 本発明は、高純度の合成石英ガラスに、その製造過程
で、アルミニウム、チタン又はジルコニウム成分を少な
くとも0.5ppm含有させ、また、塩素又は弗素成分が少な
くとも100ppm含有させるので、従来の高純度の合成石英
ガラスに比して高い耐熱性を有するものである。
本発明におけるこのような耐熱性は、天然石英ガラスに
匹敵するものであり、従来の合成石英ガラスでは到達で
きなかったものである。
したがって、本発明は、合成石英ガラスについて、高集
積程度の高品質ICの製造用の石英ガラスとして、また、
その他半導体工業用材料、基板用材料及び高熱工業用材
料としての使用を可能にさせるものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも0.5ppmの濃度のアルミニウム、
    チタン又はジルコニウム成分と、少なくとも100ppmの濃
    度の塩素又は弗素成分を含有することを特徴とする熱処
    理用石英ガラス材料。
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