JPH0711228U - ねじ切削用タップ - Google Patents

ねじ切削用タップ

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JPH0711228U
JPH0711228U JP3982893U JP3982893U JPH0711228U JP H0711228 U JPH0711228 U JP H0711228U JP 3982893 U JP3982893 U JP 3982893U JP 3982893 U JP3982893 U JP 3982893U JP H0711228 U JPH0711228 U JP H0711228U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 食付き部における切れ刃の微小チッピングや
刃欠けを防止して工具寿命を向上させる。 【構成】 ねじれ溝22に沿って形成され研削仕上げさ
れた切れ刃26の各部、すなわち食付き部における刃部
26a〜26c、完全山部における刃部26d〜26f
に、それぞれその機能に応じて所定の曲率半径の丸味を
付けた。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案はねじ切削用タップに係り、特に、食付き部における切れ刃の微小チッ ピングや刃欠けを防止する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
雌ねじを切削加工する工具として、雌ねじのねじ溝に対応するねじ山が切屑排 出溝によって分断されることにより、その分断されたねじ山の切削回転方向側端 部に切れ刃が形成されているとともに、食付き部と完全山部とを有するねじ切削 用タップが従来から多用されている。また、精密ねじ加工に使用されるタップは 、素材として高速度工具鋼や超硬合金,合金工具鋼などが用いられるとともに、 研削仕上げされているのが普通であり、刃先は鋭利で優れた切削作用が得られる ようになっている。なお、主としてタップを案内する完全山部における切れ刃に ついては、その刃先に丸味を付けて、雌ねじの拡大を防止するとともに自己案内 性を高め、更にバニッシング効果により雌ねじ精度を向上させることが、例えば 特公昭51−27309号公報等に開示されている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように研削仕上げしたねじ切削用タップは、切れ刃の刃 先が鋭利であるため切削加工時等に微小なチッピングを生じ易く、この微小チッ ピングが切れ刃の損耗を助長して工具寿命を著しく損なうという問題があった。 特に、超硬合金の場合は、高温硬さに優れ、高速切削に耐え得る長所がある反面 、材質的に脆いため、鋭利であればある程微小チッピングの危険に晒される欠点 がある。
【0004】 上記微小チッピングについて具体的に説明すると、例えば雌ねじの切削に直接 関与する食付き部におけるねじ山の山頂部逃げ面とすくい面との稜線で構成され ている切れ刃部分では、切削抵抗や切削開始時の衝撃的な負荷、止り穴での戻り 回転時の衝撃および後続の切れ刃によって形成された切屑の分断,分断されずに 残った切屑の逃げ面と雌ねじとの間への噛み込み等により、微小チッピングが発 生する。また、ねじ山のフランクとすくい面との稜線で構成されている切れ刃部 分については、その山頂側において切削に直接関与する範囲では上記と同様であ るが、谷底側において切削に直接関与しない範囲でも、切削中や戻り回転中にお ける被削材との摩擦負荷や切屑の噛み込み等により微小チッピングを生じること がある。
【0005】 一方、ねじ山の谷底とすくい面との稜線で構成されている切れ刃部分は、雌ね じの切削に全く関与しないし被削材との間で摩擦を生じることもない。しかし、 切削加工時の負荷や、下穴の曲がり,下穴の中心とタップ軸心との芯ずれなどに よりタップに作用する曲げ応力、或いは切屑排出不良などによって生じる過大な ねじり応力などは、何れも径寸法が小さいねじ山の谷底部分に集中するため、そ の部分が鋭利に研削仕上げされていると亀裂が発生し易く、大きな刃欠けが生じ たり、最悪の場合には工具の折損を招くことがある。
【0006】 本考案は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、 食付き部における切れ刃の微小チッピングや刃欠けを防止して工具寿命を向上さ せることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本考案は、加工すべき雌ねじのねじ溝に対応す るねじ山が切屑排出溝によって分断されることにより、その分断されたねじ山の 切削回転方向側端部に切れ刃が形成され、研削仕上げされているとともに、食付 き部と完全山部とを有するねじ切削用タップにおいて、前記食付き部における切 れ刃の少なくとも一部に丸味または面取りを施したことを特徴とする。
【0008】
【作用および考案の効果】
このようなねじ切削用タップにおいては、食付き部における切れ刃の少なくと も一部に丸味または面取りが施されているため、雌ねじの切削に直接関与する山 頂部分や被削材との間で摩擦を生じるフランク部分に丸味または面取りを施した 場合には、切削開始時の衝撃的な負荷や摩擦負荷等に起因する微小チッピングの 発生が抑制され、切れ刃の損耗が軽減されて工具寿命が向上する。また、雌ねじ の切削に全く関与しないとともに被削材との間で摩擦を生じることもない谷底部 分に丸味または面取りを施した場合には、その部分に作用するねじり応力や曲げ 応力が分散されるため、亀裂の発生が抑制され、谷底部分からの大きな刃欠けや 折損が防止されて工具寿命が向上する。これ等のことは、高速度工具鋼や超硬合 金などの硬質材料にて構成されている場合に特に顕著である。
【0009】
【実施例】
以下、本考案の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。 図1は、本考案の一実施例であるメートルねじ加工用のねじ切削用タップ10 を示す正面図で、ねじ立て盤などの主軸に把持されて回転駆動されるシャンク1 2と、形成すべき雌ねじのねじ溝に対応する形状のねじ山14が設けられたねじ 部16とを備えている。ねじ部16には、先端程小径となるテーパ状の食付き部 18と、径寸法が略一定の完全山部20とが設けられているとともに、切屑排出 溝として3本のねじれ溝22が形成されている。上記ねじ山14は、このねじれ 溝22によって3つのランド24に分断されており、その一端部、すなわち切削 回転方向であってシャンク12側から見て右まわり方向の端部には、それぞれね じれ溝22に沿って切れ刃26が形成されている。かかるねじ切削用タップ10 は精密ねじ加工用のもので、高速度工具鋼,超硬合金,合金工具鋼等の硬質材料 にて構成されているとともに、切れ刃26は鋭利に研削仕上げされた後にブラス ト,回転ブラッシングなどにより所定の丸味が付けられている。
【0010】 上記切れ刃26の丸味付けは、切れ刃26の各部の機能に応じて異なる曲率半 径で形成されており、図2乃至図4を参照しつつ具体的に説明する。図2は図1 におけるII−II断面図で、図3は食付き部18におけるねじ山14の谷底28部 分で切断した断面図、図4は完全山部20におけるねじ山14の谷底28部分で 切断した断面図である。これ等の図において、食付き部18における切れ刃26 のうち、ねじれ溝22によって構成されるすくい面30と、ねじ山14の山頂部 の逃げ面32との稜線で構成されている刃部26aは、雌ねじの切削に直接関与 するため、優れた切削性能を得る上でできるだけ鋭利であることが望ましい。し かし、切削抵抗や切削開始時の衝撃的な負荷,止り穴での戻り回転時の衝撃およ び後続の切れ刃26によって形成された切屑の分断,分断されずに残った切屑の 逃げ面32と雌ねじとの間への噛み込み等により、微小なチッピングが発生して 切れ刃26の損耗を助長する。このため、かかる刃部26aにおいては、十分な 切削性能を維持しつつ微小チッピングを防止する上で、一刃当たりの切込み量t の30%〜70%程度の曲率半径の丸味が付けられている。
【0011】 食付き部18における切れ刃26のうち、ねじ山14のフランクとすくい面3 0との稜線で構成されている刃部26bについては、上記刃部26aに近接して 切削に直接関与する部分、具体的には切込み量tの範囲では、刃部26aと同様 に切込み量tの30%〜70%程度の曲率半径の丸味が付けられている。刃部2 6bのうち上記切込み量tから外れた谷底28側の部分は、雌ねじの切削に直接 関与しないが、切削中や戻り回転中における被削材36との摩擦負荷や切屑の噛 み込み等により微小チッピングを生じることがあるため、刃部26aにおける丸 味の曲率半径と同程度かそれ以上で、且つねじ山14のピッチPの1/20程度 以下の曲率半径の丸味が付けられている。谷底28に向かうに従って曲率半径が 徐々に大きくなるように丸味付けを行うこともできる。
【0012】 ここで、メートルねじの場合の一刃当たりの切込み量tは、ねじ山14のピッ チをP,ねじれ溝22の溝数をF,食付き部18におけるタップ軸方向の有効食 付き山数をNとすると、次式(1)で表される。表1は、ピッチPや溝数F,有 効食付き山数Nが異なる数種類のメートルねじ切削用のタップの切込み量t,0 .3t,0.7t,およびP/20の具体的数値を例示したもので、P/20は 切込み量tと略同じ大きさである。溝数F=4で有効食付き山数N=2.5の場 合には、(1)式からも明らかなようにP/20は切込み量tと一致する。
【数1】
【表1】
【0013】 食付き部18における切れ刃26のうち、すくい面30と谷底28との稜線で 構成されている刃部26cについては、雌ねじの切削に全く関与しないし被削材 36との間で摩擦を生じることもない。しかし、前記刃部26a等による切削加 工時の負荷や、下穴の曲がり,下穴の中心とタップ軸心との芯ずれなどによりタ ップ10に作用する曲げ応力、或いは切屑排出不良などによって生じる過大なね じり応力などは、何れも刃部26cに集中し、その部分が鋭利に研削仕上げされ ていると亀裂が発生し易く、特に超硬合金の場合は材質的に脆いため、刃部26 cから大きな刃欠けが生じたり折損したりする恐れがある。このため、かかる刃 部26cにおいては、上述した応力を分散させる上で、刃部26aにおける丸味 の曲率半径と同程度かそれ以上で且つP/20程度以下の曲率半径の丸味が付け られている。
【0014】 完全山部20における切れ刃26のうち、ねじ山14の山頂34とすくい面3 0との稜線で構成されている刃部26dは、雌ねじの切削に直接関与しないが、 切削中や戻り回転中における被削材36との摩擦負荷や切屑の噛み込み等により 微小チッピングを生じることがある。このため、かかる刃部26dには、前記刃 部26aにおける丸味の曲率半径と同程度かそれ以上で且つP/20程度以下の 曲率半径の丸味が付けられている。但し、雌ねじの切削に関与する第1完全山の 刃部26bについては、前記刃部26aと同程度、すなわち切込み量tの30% 〜70%程度の曲率半径の丸味が付けられている。
【0015】 完全山部20における切れ刃26のうち、ねじ山14のフランクとすくい面3 0との稜線で構成されている刃部26eについては、上記刃部26dと同様に、 雌ねじの切削に直接関与しないが切削中や戻り回転中における被削材36との摩 擦負荷や切屑の噛み込み等により微小チッピングを生じることがあるし、ねじれ 溝22に起因して発生するスラスト力で不要な切削を行うことがある。このため 、かかる刃部26eには、前記刃部26aにおける丸味の曲率半径と同程度かそ れ以上で且つP/20程度以下の曲率半径の丸味が付けられている。山頂34か ら谷底28に向かうに従って曲率半径が徐々に大きくなるように丸味付けを行う ことも可能である。また、雌ねじの切削に関与する第1完全山の刃部26eにつ いては、切込み量tの範囲では刃部26aと同様に切込み量tの30%〜70% 程度の曲率半径の丸味が付けられ、切込み量tから外れた谷底28側の部分では 、刃部26aにおける丸味の曲率半径と同程度かそれ以上で且つP/20程度以 下の曲率半径の丸味が付けられている。丸味の曲率半径を徐々に変化させるよう にしても良い。
【0016】 完全山部20における切れ刃26のうち、すくい面30と谷底28との稜線で 構成されている刃部26fについては、雌ねじの切削に全く関与しないし被削材 36との間で摩擦を生じることもないが、下穴の曲がりや下穴の中心とタップ軸 心との芯ずれなどによりタップ10に作用する曲げ応力、或いは切屑排出不良な どによって生じる過大なねじり応力などが集中して作用することを防止するため 、前記刃部26cと同様に刃部26aにおける丸味の曲率半径と同程度かそれ以 上で且つP/20程度以下の曲率半径の丸味が付けられている。
【0017】 このように、本実施例のねじ切削用タップ10においては、食付き部18の切 れ刃26のうち、雌ねじの切削に直接関与するか被削材36との間で摩擦を生じ る山頂部分やフランク部分、すなわち刃部26a,26bに、その機能に応じて 適度な丸味が施されているため、切削性能を損なうことなく耐チッピング性が向 上し、切れ刃26の損耗が抑制されて工具寿命が向上する。また、雌ねじの切削 に全く関与しないとともに被削材36との間で摩擦を生じることもない谷底部分 、すなわち刃部26cにも丸味が付けられているため、その部分に作用する曲げ 応力やねじり応力が分散されて亀裂の発生が抑制され、刃欠けや折損による工具 寿命の低下が改善される。
【0018】 以上、本考案の一実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本考案は他の態 様で実施することもできる。
【0019】 例えば、前記実施例では切れ刃26の全域に丸味が施されていたが、食付き部 18における切れ刃26の一部に丸味付けを行うだけでも良い。丸味の代わりに 面取りを施しても良い。
【0020】 また、前記実施例ではメートルねじ用のねじ切削用タップ10について説明し たが、インチねじや台形ねじなどを切削加工する他のねじ切削用タップにも本考 案は同様に適用され得る。
【0021】 また、前記実施例では切れ刃26のみに丸味を付けていたが、ヒール側にも丸 味や面取りを施して、戻り回転時のチッピングや欠け,不要な切削等を防止する ようにすることもできる。
【0022】 その他一々例示はしないが、本考案は当業者の知識に基づいて種々の変更,改 良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例であるねじ切削用タップの正
面図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】図1のねじ切削用タップの食付き部における切
れ刃を示す断面図である。
【図4】図1のねじ切削用タップの完全山部における切
れ刃を示す断面図である。
【符号の説明】
10:ねじ切削用タップ 14:ねじ山 18:食付き部 20:完全山部 22:ねじれ溝(切屑排出溝) 26:切れ刃

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加工すべき雌ねじのねじ溝に対応するね
    じ山が切屑排出溝によって分断されることにより、該分
    断されたねじ山の切削回転方向側端部に切れ刃が形成さ
    れ、研削仕上げされているとともに、食付き部と完全山
    部とを有するねじ切削用タップにおいて、 前記食付き部における切れ刃の少なくとも一部に丸味ま
    たは面取りを施したことを特徴とするねじ切削用タッ
    プ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008075402A1 (ja) * 2006-12-18 2008-06-26 Osg Corporation スパイラルタップ

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008075402A1 (ja) * 2006-12-18 2008-06-26 Osg Corporation スパイラルタップ
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