JPH07112120A - 脱硝装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダスト堆積防止による触媒層の経時的な圧力
損失の増加を防ぎ、ダスト中被毒成分による触媒性能の
経時的な低下を防ぐコンパクトな信頼性の高い排ガス脱
硝装置を提供すること。 【構成】 排ガスの上昇流および下降流路を有する脱硝
装置２を用いて、上昇流部と下降流部の変更部にバイパ
スダクト１２を設け、排ガス流量の減少時、すなわち、
脱硝触媒層４、６での排ガス通過流速が低くダストが堆
積し易い時には、下降流路内に充填された触媒層４のみ
処理ガスを通過させ脱硝することにより、また排ガス流
量の増加時には、上昇流路内の脱硝触媒層６と前記下降
流路内の脱硝触媒層４の双方に処理ガスを通過させて脱
硝する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、触媒を用いる選択的接
触還元法による排煙脱硝方式に係わり、特にダストを含
有する排ガスの脱硝装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】発電所、各種工場、自動車などから排出
される排ガス中の窒素酸化物（ＮＯｘ）は、光化学スモ
ッグの原因物質であり、その効果的な除去方法として、
アンモニア（ＮＨ₃）を還元剤とした選択的接触還元に
よる排煙脱硝法が火力発電所を中心に幅広く用いられて
いる。最近は、ディーゼルエンジン、ガスタービンなど
を利用したコージェネレーションシステムが都心部を中
心として増加しており、これらシステムに対してもＮＯ
ｘの排出規制が適用され、かつ地域によっては強化され
るため、大型プラント同様に排煙脱硝装置の設置が急務
となっている。他方、現在約７割が焼却処理されている
と言われている都市ゴミについては、人口の増加、埋め
立て用地の減少あるいは埋め立てコストの増加などによ
り、今後さらに焼却処理に移行する傾向を示している。
また、最近はエネルギーの回収の観点からゴミ焼却設備
での発電が注目されてきている。

【０００３】こうした都市ゴミ焼却設備についても、上
記コージェネレーションプラントと同様に都市部近郊に
設置されるため、十分な排煙処理が要求され、排煙脱硝
装置が必要となってきている。例えば都市ゴミ焼却設備
では、季節により処理するゴミの性状が異なり、その排
ガス量あるいは排ガス含有水分量が大きく変化するこ
と、あるいは付着性の高いダストを多く含むことなど、
都市ゴミ焼却設備に特有の条件があり、こうしたゴミ焼
却設備プラントに脱硝装置を設置する場合には、排ガス
量の減少（低質ゴミ焼却時）による脱硝装置内の触媒層
の流速が低下し、ダスト堆積による触媒閉塞が生じ、閉
塞した触媒が有効に脱硝反応に寄与しないのみならず、
運転中に触媒層の圧力損失が増加する。あるいは、ダス
ト中の被毒成分による触媒性能の低下などの問題があ
り、長期安定運転を考慮した脱硝装置を提供することは
容易ではなく、実用化には問題があった。

【０００４】さらに、上記のような排ガス源に脱硝装置
を適用する場合には、設置スペースの制約から小型でコ
ンパクトなものとする必要がある。脱硝装置を小型化す
る方法としては、図４に示すようにボイラ１の排ガスａ
は脱硝装置２に導入され、整流装置３で整流された後、
第一の触媒層４を経てダスト捕集用ホッパ５をＵターン
して第二の触媒層６を経て脱硝され、集塵機１３を経て
煙突１４から排出される方法がある。また、触媒充填反
応器を排ガス上昇流が通過する上昇流触媒充填部と排ガ
ス下降流が通過する下降流触媒充填部に分けた発明が特
開平１−２２８５２５号公報に開示されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、ダス
トを含有する排ガス処理用脱硝装置としては以下に示す
ような点で十分な配慮がされておらず、広く実用化され
るには至っていない。すなわち、付着性の高いダストを
多く含有する排ガスの処理においては、触媒にダストが
堆積しやすく、ダスト付着により、触媒が有効に脱硝反
応に寄与しなくなるだけでなく、運転中にダストによる
触媒層の閉塞により触媒層の圧力損失が増大する。さら
に、運転停止時には、ダスト中に含まれるアルカリ金属
あるいはアルカリ土類金属などの被毒成分が原因で触媒
性能を低下させる。

【０００６】従って、ダストを含有する排ガスを脱硝処
理する場合には、上記問題点を解決する必要があり、特
に排ガス流量の減少時（都市ゴミ焼却設備では低質ゴミ
焼却時、ボイラ設備では低負荷時などに生じる。）に触
媒層ダスト付着を防止することが要求される。本発明の
目的は、上記した従来技術の欠点をなくし、ダスト堆積
防止による触媒層の経時的な圧力損失の増加を防ぎ、ダ
スト中被毒成分による触媒性能の経時的な低下を防ぐコ
ンパクトな信頼性の高い排ガス脱硝装置を提供すること
である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は次の
構成によって達成される。すなわち、ダストを含有する
排ガス中の窒素酸化物を触媒充填反応器により除去する
脱硝装置において、垂直流方式の触媒充填反応器を排ガ
ス上昇流が通過する上昇流部と排ガス下降流が通過する
下降流部に分け、排ガス流量の少ない場合に前記下降流
部のみを排ガスが通過する排ガスバイパスラインを上昇
流部と下降流部の接続部にある排ガス流路変更部に設け
た脱硝装置である。

【０００８】

【作用】ダスト含有排ガスを処理する脱硝装置には、ダ
スト堆積防止による触媒層の経時的な圧力損失の増加を
防ぐことおよび／またはダスト中被毒成分による触媒性
能の経時的な低下を防ぐことが望まれる。ダスト堆積を
防止するためには極力脱硝触媒層通過流速を速くする必
要があるが、ボイラなど排ガス発生源の運用パターンは
一様ではなく、通常、脱硝装置の設計にあたっては一般
的に排ガス流量が多い１００％負荷時（都市ゴミ焼却設
備では高質ゴミ焼却時）が性能的に最も厳しいデザイン
ポイント（触媒量決定ポイント）となる。そのため、低
負荷時には触媒層通過流速が遅くなり、ダストが堆積し
易い状態となる。この場合、垂直下降流の脱硝触媒層に
比べ垂直上昇流の脱硝触媒層では、ある質量を持つダス
トは、排ガスによりその自由沈降に逆らった方向に同伴
されるため、触媒層に付着し易いと言える。本発明はこ
うした状況に鑑み発明されたものである。

【０００９】本発明によれば、低負荷時などの排ガス流
量が少ない場合には、排ガスは垂直下降流部のみ通過
し、垂直上昇流部の触媒層はバイパスされるため触媒層
へのダスト堆積を防止することができ、経時的な圧力損
失の増加あるいはダスト中の被毒成分による触媒性能の
経時的な低下を防ぐことができる。一方、低負荷時など
の排ガス流量の少ない場合に要求される脱硝性能は、排
ガス流量が多い１００％負荷時より低くても良い。すな
わち低負荷時などに必要な触媒量は１００％負荷時より
少なくて良いため、垂直下降流部には、低負荷時などに
対応し得る触媒量を充填すれば良いことになる。

【００１０】図３には、本発明に至る発明者らの検討結
果の一例を示す。図３は、脱硝装置内に触媒層を充填
し、垂直上向きに重油燃焼排ガスを導入した場合の、運
転結果を示している。なお、図中の点線は６ｍｍｐ（ピ
ッチ）の触媒の、また実線は１０ｍｍｐ（ピッチ）の触
媒の運転経緯を示している。本図から、触媒層に対し
て、垂直上向きになるように排ガスを導入した場合、ほ
ぼ同一流速では、ピッチが大きいほど付着しにくい傾向
があり、６ｍｍｐ（ピッチ）の場合には流速を少なくと
も７．０ｍ／ｓ以上とすることにより触媒層へのダスト
閉塞が無視できることが分かる。

【００１１】

【実施例】以下に本発明の実施例を図面を用いて説明す
る。図１に、本発明に基づく排ガス処理装置を高ダスト
含有排ガスに適用した場合の構造図の一例を示す。排ガ
スａは、ボイラ１のエコノマイザー出口より排出され、
そのまま脱硝装置２に導入される。脱硝装置２は、排ガ
ス流の偏流に起因するダスト堆積を防止するための整流
装置３を入口側ダクトに内蔵しており、排ガスａは当該
整流装置３を経て第一番目の触媒層４に鉛直下向きに導
入され、脱硝装置２の下側に設置されたダスト捕集用ホ
ッパ５で粒子径の大きいダストが捕集され、Ｕターンダ
クト部でＵターンして第二番目の触媒層６を上昇した
後、脱硝装置２から排出され、主ダクト７から低温集塵
機１３を経て煙突１４より排出される構造になってい
る。本実施例の場合は、低負荷時などの排ガス流量が少
ない時に対応できるように、第二番目の触媒層６の入口
にダンパ８を設け、第二番目の触媒層６を迂回してＵタ
ーンダクト部と主ダクト７とを接続するバイパスダクト
１２を設け、そのバイパスダクト１２の入口にはダンパ
９を設け、さらに、主ダクト７とバイパスダクト１２と
の接続部近傍の主ダクト７内とバイパスダクト１２内に
それぞれダンパ１０、１１を設けている。

【００１２】こうして、高濃度ダストを含有する排ガス
流量が多い排ガスａは、脱硝装置２に導入される場合に
は、ダンパ８は開かれ、ダンパ９は閉じられているの
で、排ガスは第一番目の触媒層４を通過した後、第二番
目の触媒層６を上昇して脱硝処理される。一方、低負荷
時などの排ガス流量が少ない時には、鉛直上向き部ダン
パ８を閉じ、バイパスダクトダンパ９を開き、さらにこ
れに連動してバイパスダクト１２内のダンパ１１を開
き、主ダクト７内のダンパ１０を閉じる。そのため、排
ガスは脱硝装置２内の鉛直下向きの第一番目の触媒層４
のみを通過し、脱硝処理された後、バイパスダクト１２
および低温集塵機１３を経て煙突１４より排出されるた
め第二番目の触媒層６にダストが堆積することはない。

【００１３】図２に、本発明に基づく排ガス処理装置を
高ダスト含有排ガスに適用した場合の構造図の他の実施
例を示す。図２には図１に比較してバイパスダクト１２
を脱硝装置２の前流側の主ダクト７に設けた構造であ
る。上向きに排ガスが通過する第二番目の触媒層６の入
口の主ダクト７にダンパ８を設け、また第二番目の触媒
層６の出口には低負荷時にバイパスダクト１２から排ガ
スが第二番目の触媒層６に導入されないようにするため
のダンパ１０を設けている。また、脱硝装置２内の上向
きの第二番目の触媒層６通過して排ガスがＵターンして
第一番目の触媒層４に整流装置３を経て流入する構造に
なっている。

【００１４】ボイラ１から排出した高濃度の排ガスａ
は、主ダクト７から脱硝装置２内の第二番目の触媒層６
に鉛直上向きに導入され、次いで、第一番目の触媒層４
で脱硝処理された後、脱硝装置２から排出され、低温集
塵機１３を経て煙突１４より排出される。また、低負荷
時などの排ガス流量が少ない時には、バイパスダクト１
２入口のダンパ９を開き、主ダクト７のダンパ８を閉じ
て、またこれに連動してダンパ１０を閉じてバイパスダ
クト１２より排ガスが脱硝装置２に導入される。この脱
硝装置２ではダンパ１０が閉じているので、排ガスａは
鉛直下向きの第一番目の触媒層４のみを通過し、脱硝処
理された後、低温集塵機１３を経て煙突１４より排出さ
れる。そのため第二の触媒層６にダストが堆積すること
はない。

【００１５】

【発明の効果】本発明により以下に示す効果がある。 （ａ）ダスト含有排ガス用の脱硝装置を小型コンパクト
かつ、低コストにすることができる。 （ｂ）長期運転に対して、ダスト堆積による経時的な圧
力損失の増加がなく、運転動力の増加がない。 （ｃ）ダスト中の触媒被毒成分の触媒中への蓄積が少な
く、長期間安定した運転が可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例による脱硝装置の構造図で
ある。

【図２】 本発明の一実施例による脱硝装置の構造図で
ある。

【図３】 重油排ガスを用いた脱硝装置の運転結果を示
す図である。

【図４】 従来技術による脱硝装置の構造図である。

【符号の説明】

１…ボイラ、２…脱硝装置、３…整流装置、４…第一番
目の触媒層、５…ダスト捕集用ホッパ、６…第二番目の
触媒層、７…主ダクト、８、９、１０、１１…ダンパ、
１２…バイパスダクト、１３…集塵機、１４…煙突

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ダストを含有する排ガス中の窒素酸化物
   を触媒充填反応器により除去する脱硝装置において、 垂直流方式の触媒充填反応器を排ガス上昇流が通過する
   上昇流部と排ガス下降流が通過する下降流部に分け、排
   ガス流量の少ない場合に前記下降流部のみを排ガスが通
   過する排ガスバイパスラインを上昇流部と下降流部の接
   続部にある排ガス流路変更部に設けたことを特徴とする
   脱硝装置。