JPH0711154U - 水処理具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】水との接触面積が大きく、バクテリヤを利用し
た効率的な水処理を行なうことができる水処理具を提供
する。 【構成】セラミックスから構成し、基本部２１の表面上
に、１または２以上の突出部２２を形成するようにし
た。突出部２２が形成されている分、水との接触面積を
効率的に増大させることができる。したがって、バクテ
リヤを利用した効率的な水処理を行なうことができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、鑑賞魚飼育用の飼育水等を、バクテリアを利用してクリーンな状 態に濾過するための水処理具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図４は、例えば鑑賞魚用の水槽内の飼育水をクリーンな状態に保つための水処 理装置を示している。図において、１０は水槽１とは別置になった水処理装置の 装置本体である。この装置本体１０と水槽１との間には、入口側配管１１と出口 側配管１２とが設けられ、入口側配管１１中には循環ポンプ１３が設けられてい る。

【０００３】 装置本体１０内には、例えばウールマット層Ｓ１、活性炭層Ｓ２、多数の水処 理具１４が積層したバクテリア濾過層Ｓ３が３層状態で形成されている。水処理 具１４は多孔質な円筒体から構成されており、多孔質な内部に水処理用バクテリ アを繁殖させる機能を有している。

【０００４】 つぎにこの水処理装置の動作について説明する。循環ポンプ１３が作動すると 、水槽１内の飼育水Ｗは、入口側配管１１、装置本体１０、出口側配管１２を通 って、水槽１内に循環される。装置本体１０内では、飼育水Ｗは、バクテリア濾 過層Ｓ３、活性炭層Ｓ２、及びウールマット層Ｓ１中を移動する。そして、飼育 水Ｗはバクテリア濾過層Ｓ３を通ることにより、水処理具１４中に居住するバク テリアにより、水中の残餌や魚の排泄物等が分解されるとともに、排泄物等を介 して水中に溶け込んだアンモニア（ＮＨ3 ）が、亜硝酸（ＮＯ2 ）から、無害な 硝酸（ＮＯ3 ）に分解される。また、飼育水Ｗはウールマット層Ｓ１や活性炭層 Ｓ２を通ることにより、残餌や魚の排泄物等の異物が除去される。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】 しかしながら、バクテリア濾過層Ｓ３を形成する水処理具１４は、単に円筒形 状をしているだけであるため、その大きさの割りには、飼育水Ｗと接触する表面 積が小さいという問題があった。このため、この水処理具１４では、バクテリア を利用して効率的な水処理ができないという問題があった。すなわち、この水処 理具１４を使用して、バクテリアを利用した飼育水Ｗの充分な処理を行なおうと 思えば、多量の水処理具１４によりバクテリア濾過層Ｓ３を構成しなければなら ず、コスト高になるとともに、水処理装置も大型になってしまうという問題があ った。

【０００６】 この考案は、上記事情に鑑みてなされたものであり、水との接触面積が大きく 、バクテリヤを利用した効率的な水処理を行なうことができる水処理具を提供す ることを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的は、この考案によれば、セラミックスから構成され、基体部の表面上 に、１又は２以上の突出部が形成されている水処理具により達成される。

【０００８】 また、この考案は、好ましくは、前記基体部が多孔質な円筒体であり、前記突 出部がこの円筒体の中心線方向に延びる多孔質で細長い突条であることである。

【０００９】 さらに、この考案は、好ましくは、前記セラミックスが遠赤外線放射セラミッ クスであることである。

【００１０】

【作用】

上記構成によれば、この水処理具は、突出部を有する分、水と接触する表面積 を効率的に増大させることができる。したがって、バクテリアを利用した効率的 な水処理具を行なうことができる。

【００１１】 また、水処理具の材質を遠赤外線放射セラミックスとすれば、処理する水中に この水処理具から遠赤外線を放射でき、この水の活性化を図ることができる。

【００１２】

【実施例】

以下、この考案の実施例を図面を参照しつつ説明する。図１はこの考案の一実 施例に係る水処理具の斜視図、図２はこの水処理具の正面図、図３はこの水処理 具の側面図である。

【００１３】 図において、２０は多孔質な内部に所定のバクテリアを繁殖させ、このバクテ リアを利用して、例えば鑑賞魚飼育用の飼育水Ｗをクリーンな状態に濾過する水 処理具である。この水処理具２０は基体部である円筒体２１の外周面に、円筒体 ２１の中心線Ｃの方向に向かって突出部である細長い突条２２を、例えば等ピッ チで８本設けたものである。

【００１４】 この水処理具２０の具体的サイズは、例えば、円筒体２１の長さＬが１６ｍｍ 、円筒体２１の外径ｄが１２ｍｍ、円筒体２１の厚さｔが２．５ｍｍとなってお り、突条２２の高さｈが２ｍｍ、突条２２の上幅ｗ１が３ｍｍ、突条２２の下幅 ｗ２が２．５ｍｍとなっている。なお、水処理具２０の各部の大きさがこの程度 であれば、取り扱い中等にこの水処理具２０に欠けや割れが生じにくい。

【００１５】 また、この水処理具２０は内部まで充分に水が浸透できる多孔質なセラミック スから構成されている。この場合、水処理具２０から遠赤外線が放射されるよう 、セラミックスの素材は、遠赤外線放射体となりうるセラミック材、例えば、ア ルミナ（Ａｌ2 Ｏ3 ）、シリカ（ＳｉＯ2 ）、チタニア（ＴｉＯ2 ）、ジルコン 等から構成されている。この水処理具２０の材質は、多孔質なもの以外のセラミ ックスや、セラミックス以外のものでもよい。

【００１６】 つぎに、この水処理具２０を例えば鑑賞魚飼育用の飼育水Ｗの濾過に用いた場 合の作用効果について説明する。この水処理具２０の用い方には種々の方法があ るが、例えばこの水処理具２０を多数集合させて、この水処理具２０で、図４で 示した水処理装置のバクテリア濾過層Ｓ３を構成する場合について説明する。

【００１７】 まず、水処理具２０の外観形状に基づく作用について説明する。水処理具２０ は円筒体２１の外周面に多数の突条２２を有しているため、単に円筒体のみから なる水処理具に比べ、その表面積が効率的に増大している。また、突条２２間の 凹部の幅もほぼ突条２２の幅と同程度の大きさとなっているため、円筒体２１側 の水との接触も充分に確保される。

【００１８】 すなわち、この水処理具２０は、全ての部分が水と容易に接触でき、かつ、全 体の大きさの割りには水と接触する表面積が大きくなっているため、所定の水処 理用のバクテリアを繁殖させることにより、このバクテリアを利用した効率的な 水処理を行なうことができる。

【００１９】 したがって、この水処理具２０を使用してバクテリア濾過層Ｓ３を形成した場 合、少量の水処理具２０を使用するだけで、飼育水Ｗのバクテリアを利用した濾 過を効率よく行なうことができる。このため、水処理装置の小型化と低コスト化 を図ることができる。

【００２０】 また、水処理具２０の突条２２は、この水処理具２０周りの飼育水Ｗの流れを 乱す作用を有している。したがって、この水処理具２０から構成されるバクテリ ア濾過層Ｓ３では、水処理具２０周りの飼育水Ｗの流れが滞ることがなく、飼育 水Ｗのバクテリアによる濾過を効率よく行なうことができる。この点でも、水処 理装置の小型化と低コスト化を図ることができる。なお、この水処理具２０は円 筒体２１の外周面に突出部を有するが、これが細長い突条２２であるため、この 水処理具２０の製作が容易であるという効果も有しているし、水の流れをスムー ズにするという効果も有している。

【００２１】 ここで、バクテリアによる水の濾過作用について簡単に説明する。水槽１内の 飼育水Ｗは、残餌や鑑賞魚から発せられた排泄物により常時汚される。そして、 この残餌や排泄物から生じたアンモニア（ＮＨ3 ）が飼育水Ｗ中に溶け込み、鑑 賞魚等に悪影響を及ぼす。このアンモニアは水処理装置のウールマット層Ｓ１や 活性炭層Ｓ２によっては充分に除去できない。そこで、水を内部に充分に浸透さ せる多孔質な水処理具２０内に、例えば硝化作用を行なうバクテリアを繁殖させ 、このバクテリアを有した水処理具２０により、バクテリア濾過層Ｓ３を形成す るようにする。アンモニアを含む飼育水Ｗがこのバクテリア濾過層Ｓ３に達する と、水処理具２０中のバクテリアは水中のアンモニアを亜硝酸（ＮＯ2 ）から無 害な硝酸（ＮＯ3 ）に変える。なお、このバクテリアは鑑賞魚の排泄物や残餌を 直接分解する作用も有している。

【００２２】 つぎに、水処理具２０の材質に基づく作用について説明する。水処理具２０は 遠赤外線を放射するセラミックスから構成されている。このため、この水処理具 ２０を水中に浸すと、この水処理具２０から水中に遠赤外線が放射される。ここ で、一般に水は単一分子（Ｈ2 Ｏ）では存在できず、水素結合という分子間に働 く力によって分子集団を形成している。そして、水分子の結合は１０-12 秒程度 の短い時間で連鎖的に変化している。一方、水分子は遠赤外線放射エネルギーに 極めて敏感である。このため、遠赤外線放射エネルギーを吸収した分子は結合・ 離脱を激しく行なって、分子集団が小さく、活動エネルギーの高い活性化した水 に変えられる。活性化した水は腐敗しにくいとともに、生命を支える種々の反応 をよりスムーズに進め生体内の活動の活発化をうながす。

【００２３】 したがって、この水処理具２０をバクテリア濾過層Ｓ３に使用すれば、この水 処理具２０から飼育水Ｗ中に遠赤外線が放射され、飼育水Ｗを、水の分子集団が 小さく、活動エネルギーの高い活性化した水に変える。このため、飼育水Ｗの腐 敗が防止されるとともに、水槽１内の鑑賞魚の生命活動が活発化し、この鑑賞魚 を生き生きした状態で鑑賞できるようになる。

【００２４】 なお、この水処理具２０の外観形状としては、基体部である筒状体の外周面側 または内周面側、または外周面側および内周面側に１または複数の突出体を有す るものが好ましい。暗い筒状体内にバクテリアを効果的に繁殖できるからである 。基体部である筒状体の具体的形状としては、円柱の内部が削りとられた円筒体 の他に、角柱の内部が削り取られた角筒体、円錐や円錐台の内部が削りとられた 円錐筒体や円錐台筒体、角錐や角錐台の内部が削りとられた角錐筒体や角錐台筒 体が考えられるし、板状、球状、管状、枠状、箱状等、どの様な形状でもよいし 、これらの複合形でもよい。

【００２５】 また、突出体の具体的形状としては、筒状体の中心線方向に設けられた細長い 突条の他に、基体部である筒状体の周方向に沿って環状に設けられたリング状突 起、単なる突起が考えられる。単なる突起の形状としては、円柱、角柱、円錐、 角錐、円錐台、角錐台、円柱上に円錐を乗せたもの、角錐上に角錐を乗せたもの 等、どの様な形状でもよい。さらに、突出体の形成される位置は、基体部である 筒状体の外面、内面、側端面など表面であればどこでもよいし、突出体の代わり に基体部に複数の貫通穴又は非貫通穴を設けてもよいし、突出体である突条２２ の数は８本に限られず、これ以上又はこれ以下でもよい。

【００２６】 また、この水処理具２０は鑑賞魚用飼育水の濾過用以外に、食用魚用飼育水の 濾過用、水中動物飼育用や水中植物育成用の水の濾過用、園芸等の陸上植物を育 成する水の濾過用、野菜や果物の栽培用の水の濾過用等に用いられる。

【００２７】 また、この水処理具２０は動植物を対象とした水の濾過用の他、水槽内に貯え られる上水、風呂水、理髪店の廃水、飲料水、生活廃水等の濾過用、その他濾過 装置一般に用いることができる。

【００２８】 さらに、この水処理具２０の用い方としては、水槽と別置の循環式水処理装置 内で用いる他、水槽内に直接投与して用いてもよい。また、水処理具２０内に繁 殖させるバクテリアは、硝化作用を行なうもの以外に、水をクリーン化できるも のであればどのようなものでもよい。また、水処理具２０の外形サイズも、具体 的に示したものより大きくしても、小さくしてもよいのは勿論である。

【００２９】

【考案の効果】

以上の説明から明らかなように本考案では、水処理具を、基体部の表面上に、 １または２以上の突出部が形成されたセラミックスから構成しているため、全体 の大きさの割りには、この水処理具の水との接触面積を効率的に大きくできる。 したがって、この水処理具によりバクテリアを利用した効率的な水処理を行なう ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例に係る水処理具の斜視図で
ある。

【図２】図１の水処理具の正面図である。

【図３】図２の水処理具のＡ−Ａ矢視側面図である。

【図４】鑑賞魚用飼育水を処理する水処理装置等の断面
図である。

【符号の説明】

１…水槽、１０…装置本体、１１…入口側配管、１２…
出口側配管、１３…循環ポンプ、１４…水処理具、２０
…水処理具、２１…円筒体、２２…突条、ｄ…円筒体外
径、Ｌ…円筒体長さ、ｔ…円筒体厚さ、ｈ…突条高さ、
ｗ１…突条上幅、ｗ２…突条下幅。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】セラミックスから構成され、基体部の表面
   上に、１又は２以上の突出部が形成されていることを特
   徴とする水処理具。
2. 【請求項２】前記基体部が多孔質な円筒体であり、前記
   突出部がこの円筒体の中心線方向に延びる多孔質で細長
   い突条であることを特徴とする請求項１記載の水処理
   具。
3. 【請求項３】前記セラミックスが多孔質な遠赤外線放射
   セラミックスであることを特徴とする請求項１又は２記
   載の水処理具。