JPH07109023B2 - バルブシ−ト用鉄基焼結合金 - Google Patents

バルブシ−ト用鉄基焼結合金

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JPH07109023B2
JPH07109023B2 JP62169661A JP16966187A JPH07109023B2 JP H07109023 B2 JPH07109023 B2 JP H07109023B2 JP 62169661 A JP62169661 A JP 62169661A JP 16966187 A JP16966187 A JP 16966187A JP H07109023 B2 JPH07109023 B2 JP H07109023B2
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一郎 谷本
章義 石橋
和俊 武村
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Description

【発明の詳細な説明】 【発明の目的】
(産業上の利用分野) 本発明は、耐摩耗性鉄基焼結合金に係り、さらに詳しく
いえばとくに高出力型の自動車エンジン用バルブシート
の素材として好適に利用される硬質相粒子分散型のバル
ブシート用鉄基焼結合金に関するものである。 (従来の技術) 近年、自動車用エンジンの出力増大化や、燃料ガソリン
の無鉛化に伴って、バルブシートに対してはより一層の
耐摩耗性を要求されるようになってきており、特に自動
車用エンジンの高出力化,高回転化、さらには過給器の
利用等によって、バルブシートに対する熱的および機械
的負荷はより一層増大する傾向にあり、このような熱的
および機械的負荷の増大に対応しうるように、バルブシ
ートの素材として従来の溶製材の代わりに焼結合金材を
用いることが試みられるようになってきている。 すなわち、バルブシートの熱的および機械的負荷の増大
に対応しうるように、バルブシートの耐摩耗性,高温強
度,耐酸化性を向上させることを目的として、鉄基焼結
合金にCr,Ni,Co,W,Mo等の元素を合金用に添加したり、
あるいは硬質相として基地中に分散させたりすることが
行われてきた。 (発明が解決しようとする問題点) しかしながら、上記したような合金元素の添加によって
素材の耐摩耗性は改善されるとしてもコストが高騰し、
それに見合った効果が得られるかどうかについては不明
な点が多いという問題点があった。 (発明の目的) 本発明は、上述した従来の問題点にかんがみてなされた
もので、耐摩耗性をより一層向上させて自動車用エンジ
ンの高出力化、高回転化による熱的および機械的負荷の
増大に対応できる高性能バルブシート素材として好適な
バルブシート用鉄基焼結合金を提供することを目的とし
ている。
【発明の構成】
(問題点を解決するための手段) 本発明に係る硬質相粒子分散型のバルブシート用鉄基焼
結合金は、重量%で、Ni:3超過〜14%、Mo:3〜14%、C:
0.5〜2.0%、残部Feおよび不純物よりなる基地組織中
に、Cr:50〜57%、Mo:18〜22%、Co:8〜12%、C:0.1〜
1.4%、残部Feおよび不純物よりなるCr−Mo−Co系硬質
相粒子,Cr:27〜33%、W:22〜28%、Co:8〜12%、C:1.7
〜2.3%、残部Feおよび不純物よりなるCr−W−Co系硬
質相粒子およびMo:60〜70%、C:0.04%以下、残部Feお
よび不純物よりなるFe−Mo系硬質相粒子のうちから選ば
れる1種または2種以上の硬質相粒子が3〜20%均一に
分散した組織を有していることを特徴としており、高濃
度のNi,Moが固溶あるいは数μmオーダーの金属間化合
物として分布する鉄基基地組織中に前記硬質相粒子が3
〜20%の範囲で均一に分散した組織を有していることを
特徴としているものである。 次に、本発明に係る硬質相粒子分散型のバルブシート用
鉄基焼結合金の成分組成(重量%)の限定理由について
説明する。 Ni:3超過〜14% Niは焼結合金の耐摩耗性を向上させるのに有効である
が、3%以下ではこのような耐摩耗性向上の効果が十分
に得られず、14%を超えると金属組織中にオーステナイ
トとマルテンサイトを生じるようになって加工しずらく
なると共に、熱膨張量が増加してエンジン内で脱落しや
すくなるなどの不具合を生ずる。 したがって、Ni量は3超過〜14%の範囲とした。 Mo:3〜14% Moは焼結合金の耐摩耗性を向上するのに有効であるが、
3%未満ではこのような耐摩耗性向上の効果が十分でな
く、14%を超えると成形時の成形性が低下すると共に生
成する炭化物量が多くなって加工しずらくかつまた脆く
なるので好ましくない。 したがって、Mo量は3〜14%の範囲とした。 このMoは基地中に均一に固溶あるいは数μmオーダーの
金属間化合物として分布させるために、原料粉末の主体
となる鉄粉中にMoを均一に固溶あるいは析出させたFe−
Mo系粉末、あるいはFe−Mo−Ni系粉末を使用することが
とくに望ましい。 しかしながら、高Mo,高Ni組成の鉄粉は成形時の成形性
が著しく劣るようになるため、一部のNiおよびMoは200
メッシュアンダーの微細な金属ニッケル,金属モリブデ
ンとして添加してもよい。 C:0.5〜2.0% Cは焼結合金の耐摩耗性を向上させるのに有効な成分で
あるが、C量が少なすぎるとフェライトを生じるように
なって耐摩耗性が低下するので好ましくなく、C量が多
すぎるとマルテンサイトや炭化物が生じて加工しずらく
なると共に脆くなるので好ましくない。 このC量は、Ni量,Mo量,硬質相粒子の種類および量に
より、フェライト,マルテンサイト,炭化物を生じない
範囲として必然的に決定され、本発明に係るNi量,Mo
量,硬質相粒子の種類および量では、C量が0.5〜2.0%
に相当する。しかし、現実的にはC量を厳密にコントロ
ールするのは原料粉末の酸化量や焼結炉の雰囲気などに
よっても影響されるため困難であるので、若干、例え
ば、5体積%以下のフェライト,マルテンサイト,炭化
物の生成は許容される。 硬質相粒子:3〜20% 上記したNi:3超過〜14%、Mo:3〜14%、C:0.5〜2.0%、
残部実質的にFeよりなる基地組織中に均一分散させる硬
質相粒子としては、Cr−Mo−Co系、Cr−W−Co系,Fe−M
o系のうちから選ばれる1種または2種以上よりなるも
のが用いられる。そして、この硬質相粒子は、基地組織
中に均一に分散することにより分散強化をもたらすと共
に、焼結時に硬質相粒子から合金元素が拡散することに
より硬質相粒子の周囲に高合金相を生じて、耐摩耗性を
著しく改善する。 この場合、硬質相粒子が3%未満では耐摩耗性改善の効
果が十分でなく、3%以上20%までの間では添加量に応
じて耐摩耗性は向上するが、20%を超えると硬質相粒子
の添加に見合うだけの耐摩耗性改善の効果が少なくな
り、コスト高になるとともに材質が硬くかつ脆くなるた
め強度および加工性の面で問題が生じる。また、硬質相
粒子の添加量が多くなりすぎると相手材であるバルブを
摩耗させる傾向が大きくなり、総合的にみた場合には好
ましくない。 したがって、硬質相粒子は、Cr−Mo−Co系,Cr−W−Co
系,Fe−Mo系のうちから選ばれる1種または2種以上の
合計で3〜20%の範囲とするのがよい。 上記硬質相粒子のうち、Cr−Mo−Co系の硬質相粒子とし
ては、Cr:50〜57%、Mo:18〜22%、Co:8〜12%、C:0.1
〜1.4%、残部Feおよび不純物よりなるものを使用する
ことがとくに望ましい。 また、硬質相粒子のうち、Cr−W−Co系の硬質相粒子と
しては、Cr:27〜33%、W:22〜28%、Co:8〜12%、C:1.7
〜2.3%、残部Feおよび不純物よりなるものを使用する
ことがとくに望ましい。 さらに、硬質相粒子のうち、Fe−Mo系の硬質相粒子とし
ては、Mo:60〜70%、C:0.04%以下、残部Feおよび不純
物よりなるものを使用することがとくに望ましい。 (実施例) 粒度分布が150〜200メッシュにピークを持つ5%Moを含
むFe粉に、200メッシュアンダーのカルボニルニッケル
粉,金属モリブデン粉および黒鉛粉を第2表の本発明材
No.3〜9の基地成分となるように配合し、さらに粒度分
布が150〜200メッシュにピークを持つCr−Mo−Co系硬質
相粒子(CMC;53%Cr−19%Mo−9%Co−1.1%C−Fe),
Cr−Mo−Co系硬質相粒子(CWC;29%Cr−25%W−10%Co
−1.9%C−Fe)およびFe−Mo系硬質相粒子(FeMo;60%
Mo−0.02%C−Fe)よりなる硬質相粒子の1種ないしは
3種を第2表の本発明材No.3〜9の硬質相粒子成分とな
るように配合し、さらに金型成形の際において抜けを良
くするために潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を0.6重量
%添加した混合粉を調製した。 次に、前記混合粉をプレスにて7ton/cm2の成形圧力で成
形してそれぞれ成形体を得たのち、650℃で1時間脱ろ
うし、次いで1150℃で1時間焼成して焼結させたのち90
0℃まで炉冷し、900℃よりガス冷却し、さらに550℃で
の焼鈍を施すことにより、鉄基焼結合金からなるテスト
ピース素材を作成した。 続いて、前記各テストピース素材を所定の寸法に加工し
てテストピースを得たのち、単体摩耗試験機による単体
摩耗試験を行ってバルブシート材としての適正を評価し
た。この試験に際しては排気側のバルブシートの使用条
件を想定して第1表に示す条件で行った。この単体摩耗
試験を結果を第2表にあわせて示す。 (比較例) 比較のために、硬質相粒子を全く添加しない鉄基焼結合
金(No.1),硬質相粒子の量が少ない鉄基焼結合金(N
o.2)からなるテストピース素材を前記実施例に対応す
る工程により作成したのち、所定の寸法に加工してテス
トピースとし、実施例の場合と同じ単体摩耗試験を行っ
た。この結果を同じく第2表に示す。 第2表に示す結果より明らかなように、本発明を満足す
る鉄基焼結合金からなるバルブシート(No.3〜9)で
は、硬質相粒子を全く分散させない(No.1)か、少量だ
け分散させた(No.2)焼結合金からなるバルブシートに
比べて、耐摩耗性に優れているため摩耗量がかなり少な
いものとなっており、相手材であるバルブに対する攻撃
性も小さいものとなっていて、特に硬質相粒子としてFe
−Mo系のものを用いた(No.5)場合に自己の耐摩耗性が
大きく相手材に対する攻撃性も小さいことが認められ
た。
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明に係る硬質相粒子分散
型のバルブシート用鉄基焼結合金は、重量%で、Ni:3超
過〜14%、Mo:3〜14%、C:0.5〜2.0%、残部Feおよび不
純物よりなる基地組織中に、Cr:50〜57%、Mo:18〜22
%、Co:8〜12%、C:0.1〜1.4%、残部Feおよび不純物よ
りなるCr−Mo−Co系硬質相粒子、Cr:27〜33%、W:22〜2
8%、Co:8〜12%、C:1.7〜2.3%、残部Feおよび不純物
よりなるCr−W−Co系硬質相粒子およびMo:60〜70%、
C:0.04%以下、残部Feおよび不純物よりなるFe−Mo系硬
質相粒子のうちから選ばれる1種または2種以上の硬質
相粒子が3〜20%均一に分散した組織を有しているもの
であるから、従来の鉄基焼結合金中にCr,Ni,Co,W,Mo等
の元素を合金用に添加する場合に比較して、耐摩耗性を
より一層向上させてとくに自動車用エンジンの高出力
化,高回転化による熱的および機械的負荷の増大に対応
できる高性能バルブシート素材として好適なものである
という非常に優れた効果がもたらされる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武村 和俊 埼玉県熊谷市上之3167 (56)参考文献 特開 昭49−96912(JP,A) 特開 昭61−117254(JP,A) 特開 昭56−20143(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、Ni:3超過〜14%、Mo:3〜14%、
    C:0.5〜2.0%、残部Feおよび不純物よりなる基地組織中
    に、Cr:50〜57%、Mo:18〜22%、Co:8〜12%、C:0.1〜
    1.4%、残部Feおよび不純物よりなる硬質相粒子,Cr:27
    〜33%、W:22〜28%、Co:8〜12%、C:1.7〜2.3%、残部
    Feおよび不純物よりなる硬質相粒子およびMo:60〜70
    %、C:0.04%以下、残部Feおよび不純物よりなる硬質相
    粒子のうちから選ばれる1種または2種以上の硬質相粒
    子が3〜20%均一に分散した組織を有していることを特
    徴とする硬質相粒子分散型のバルブシート用鉄基焼結合
    金。
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