JPH07107988A - リゾ糖脂質の製造方法 - Google Patents

リゾ糖脂質の製造方法

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JPH07107988A
JPH07107988A JP5256091A JP25609193A JPH07107988A JP H07107988 A JPH07107988 A JP H07107988A JP 5256091 A JP5256091 A JP 5256091A JP 25609193 A JP25609193 A JP 25609193A JP H07107988 A JPH07107988 A JP H07107988A
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glycosphingolipid
streptomyces
reaction
lysoglycolipid
microorganism
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JP5256091A
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English (en)
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Hisashi Ashida
久 芦田
Toshimi Hayashi
聡美 林
Yoko Sakamoto
洋子 坂本
Yasunobu Tsuji
安信 辻
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Higashimaru Shoyu Co Ltd
Original Assignee
Higashimaru Shoyu Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 リゾ糖脂質の製造方法を提供する。 【構成】 ストレプトミセス属に属し、スフィンゴ糖脂
質のセラミド部分から脂肪酸を遊離する酵素活性、グリ
コスフィンゴリピドセラミドデアシラーゼを生産する能
力を有するストレプトミセス属の微生物またはその抽出
物とスフィンゴ糖脂質とを反応させる工程、および該反
応で生じるリゾ糖脂質を採取する工程、を包含する方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リゾ糖脂質の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】リゾ糖脂質は生体の細胞膜成分として微
量に存在する糖脂質の一種である。リゾ糖脂質はプロテ
インキナーゼの阻害剤であることが知られている。プロ
テインキナーゼは哺乳類等の生体内のあらゆる組織に存
在し、細胞間の情報伝達を仲介することが知られてい
る。また、プロテインキナーゼは、細胞増殖、細胞分
化、癌化などに関係すると考えられており、リゾ糖脂質
によってその働きが調節されていると考えられている。
【0003】従って、リゾ糖脂質は、プロテインキナー
ゼの作用機構を解明する上で有用であり、また上記機能
から発癌抑制作用を持つ可能性があり、制癌剤としての
用途が期待される。その他リゾ糖脂質は、放射標識され
た脂肪酸、1-ピレニルドデカン酸、o-フタルアルデヒ
ド、ダンシルクロリドなどの蛍光物質とカップリングさ
せ、臨床検査用試薬用に有用なスフィンゴ糖脂質分解酵
素の基質としての用途、リゾ糖脂質のアミノ基を利用し
てクロマトグラフィー用担体にカップリングさせ、アフ
ィニティクロマトグラフィーの担体としての用途が期待
されている。
【0004】従来、リゾ糖脂質は、化学的方法または微
生物を利用して調製されている。化学的方法では、最初
に糖脂質原料をアルカリ性メタノール中で加熱して加水
分解する。得られたスフィンゴ糖脂質のスフィンゴシン
部分のアミノ基を保護剤またはリポソームで保護した
後、スフィンゴ糖脂質のアミノ糖およびシアル酸部分を
再アセチル化してリゾ糖脂質を調製する。スフィンゴ糖
脂質は、グリコシルセラミドとも呼ばれ、スフィンゴシ
ンの第一級水酸基がグルコシド結合によって、単糖また
はオリゴ糖と結合している物質であり、ガングリオ系列
糖脂質、ネオラクト系列糖脂質、グロボ系列糖脂質など
の種類がある。
【0005】微生物を利用する方法では、例えば、ノカ
ルディア属に属する菌株のガングリオシドセラミダーゼ
により、ガングリオシドからリゾ糖脂質を生産する。ガ
ングリオシドは、哺乳類の組織や器官、特に中枢神経の
細胞表面膜に存在している1個以上の酸性糖残基、例え
ばN−アセチルノイラミン酸残基を含むオリゴ糖とセラ
ミドが結合したスフィンゴ糖脂質である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記化学的方法は、操
作が煩雑な上、複雑な構造のスフィンゴ糖脂質を原料に
した場合、糖が遊離し目的のリゾ糖脂質が得られないと
いう欠点がある。また、上記ノカルディア属の微生物を
利用する方法は、ガングリオシドを基質として利用でき
るだけであり、その他のスフィンゴ糖脂質を基質として
リゾ糖脂質の製造には利用できない。
【0007】本発明は、上記の問題点を解決するもので
あり、その目的とするところは、従来知られている方法
より容易に、かつ多種類のリゾ糖脂質を製造し得る、リ
ゾ糖脂質の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、リゾ糖脂質を
製造する方法であって、グリコスフィンゴリピドセラミ
ドデアシラーゼを生産する能力を有するストレプトミセ
ス属の微生物またはその抽出物とスフィンゴ糖脂質とを
反応させる工程、および該反応で生じるリゾ糖脂質を採
取する工程を包含する。
【0009】前記グリコスフィンゴリピドセラミドデア
シラーゼを生産する能力を有するストレプトミセス属の
微生物は、スフィンゴシンのアミノ基と、脂肪酸との間
で形成されたスフィンゴ糖脂質の酸アミド結合部分を切
断する酵素を生産し得る任意の微生物を包含し得、該微
生物はスフィンゴ糖脂質の糖鎖部分に作用するグリコシ
ダーゼ活性を有しない微生物であることが好ましい。例
えば、兵庫県下の土壌から分離したストレプトミセス・
エスピー H-37が好適な例である。
【0010】ストレプトミセス・エスピー H-37の菌学
的性質は以下に示す通りである。
【0011】A.形態学的性質 基底菌糸を形成するが胞子嚢は作らない。気菌糸は先端
から分裂胞子を形成するが、気菌糸の中間から数個の分
裂胞子の連鎖は認められない。胞子の大きさは、0.6-0.
7 X 0.9-1.2ミクロンで、運動性がなく、表面は滑らか
である。グラム陽性である。
【0012】B.各種培地における生育 下記のいずれの培地に於ても胞子を形成する。
【0013】1)シュークロース硝酸塩寒天培地 生育は貧弱であった。培養において白色−灰色の貧弱な
気菌糸を形成し、コロニーの裏側の色は白色であった。
可溶性色素は生産しない。
【0014】2)イースト・麦芽寒天培地 生育は良好であった。培養において灰色の気菌糸を良く
形成し、コロニーの裏側の色は象牙色であった。可溶性
色素は生産しない。
【0015】3)スターチ無機塩寒天培地 生育は中程度ないし貧弱であった。培養において灰色の
気菌糸を中程度ないし貧弱に形成し、コロニーの裏側の
色は、象牙色であった。可溶性色素は生産しない。
【0016】4)グリセロール・アスパラギン寒天培地 生育は中程度ないし貧弱であった。培養において灰色−
淡褐色の気菌糸を中程度ないし貧弱に形成し、コロニー
の裏側の色は、淡黄褐色であった。褐色の可溶性色素を
生産する。
【0017】5)グルコース・アスパラギン寒天培地 生育は中程度ないし貧弱であった。培養において灰色の
気菌糸を中程度ないし貧弱に形成し、コロニーの裏側の
色は、淡黄褐色であった。可溶性色素は生産しない。
【0018】6)チロシン寒天培地 生育は良好であった。培養において灰色の気菌糸を形成
し、コロニーの裏側の色は象牙色であった。黄褐色の可
溶性色素を生産する。
【0019】7)栄養寒天培地 生育は良好であった。培養において白色の気菌糸を良好
に形成し、コロニーの裏側の色は象牙色であった。可溶
性色素は生産しない。
【0020】C.生理的性質 生育温度範囲:15-37℃ 生育至適温度:25-37℃ ゼラチンの液化:陽性 デンプンの加水分解:陽性 ミルクのペプトン化:陰性 ミルクの凝固:陰性 硝酸塩の還元:陽性 メラニン様色素の生成:陽性 グリコシダーゼ活性:陰性 炭素源の利用性(プリートハムとゴットリーブ寒天培
地) 1)D−グルコース ++ 2)D−キシロース + 3)L−アラビノース − 4)L−ラムノース − 5)D−フルクトース ++ 6)ラフィノース − 7)D−マンニトール ++ 8)イノシトール − 9)シュークロース − D.菌体成分 1)細胞壁ペプチドグリカンのアミノ酸組成 少なくともLL−ジアミノピメリン酸とグリシンを含有
し、meso−ジアミノピメリン酸を含有しない。
【0021】2)細胞膜のリン脂質 ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノー
ルアミンを含有し、ホスファチジルコリンを含有しな
い。
【0022】3)還元糖 アラビノース、ガラクトースおよびキシロースを含有し
ない。
【0023】4)キノン メナキノン MK-9(H8)およびMK-9(H6)を主成分とする。
【0024】5)脂肪酸 分枝型の脂肪酸を含有する。
【0025】本菌株は、1993年8月26日に通産省工業技
術院生命工学技術研究所にFERM P-13822として寄託され
ている。
【0026】前記グリコスフィンゴリピドセラミドデア
シラーゼを生産する能力を有するストレプトミセス属の
微生物またはその抽出物とスフィンゴ糖脂質とを反応さ
せる工程は、上記の微生物を、微生物の培養に用いられ
る培地に生育させ、得られた菌体を回収し、回収した菌
体とスフィンゴ糖脂質とを反応させて実施され得る。
【0027】前記スフィンゴ糖脂質は、スフィンゴシン
の第一級水酸基がグルコシド結合によって、単糖または
オリゴ糖と結合している物質であり、ガングリオ系列糖
脂質、ネオラクト系列糖脂質、グロボ系列糖脂質などを
含む。ガングリオ系列糖脂質としてはガングリオシドG
M1、GM2、GM3、Asialo-GM1などを使用し
得、ネオラクト系列糖脂質としてはパラグロボシドなど
を使用し得、グロボ系列糖脂質としてはフォルスマン糖
脂質、グロボシドなどを使用し得る。好適にはGM1、
Asialo-GM1、パラグロボシド、フォルスマン糖脂質
などを使用し得る。
【0028】前記培地は、グルコース、シュークロース
など前記微生物が利用し得る炭素源、硫安、尿素、アン
モニアなどの無機窒素源、またはペプトン、酵母エキ
ス、カザミノ酸、肉エキス、大豆加水分解物などの有機
窒素源、無機塩類など通常の栄養成分を含有し得る。好
適には、炭素源としてスフィンゴ糖脂質を添加し得、前
記グリコスフィンゴリピドセラミドデアシラーゼの生産
を促進する。前記微生物の菌体は、微生物の生育できる
温度範囲で、1〜5日間、好気条件下または嫌気条件
下、前記培地中で培養することにより得られる。例え
ば、ストレプトミセス・エスピー H-37菌体は、25〜40
℃の温度範囲で、0.1〜10%のグルコース、0.1〜5%の ペ
プトン、0.1〜5%の酵母エキス、0.1〜5%の肉エキスを含
む液体培地中、1〜2 日間振盪培養することにより得ら
れる。得られた菌体は、遠心分離、濾過などの通常の方
法により回収され得る。回収された菌体は、生理食塩
水、酸酸ナトリウム、リン酸緩衝液、トリス-塩酸緩衝
液、塩化アンモニウム-アンモニア緩衝液など適切な緩
衝液で洗浄後、この緩衝液に懸濁して、リン酸緩衝液等
に0.1〜10%の濃度範囲で溶解したスフィンゴ糖脂質溶液
と混合し、30〜40℃の温度範囲、中性付近で反応させ得
る。好適には、この反応液は、グリコデオキシコール
酸、タウロデオキシコール酸などの胆汁酸系界面活性
剤、Brii 58、Triton X-100などの 非イオン系界面活性
剤を含有し得る。
【0029】あるいは、前記反応工程は、上記回収した
菌体から得られた抽出物とスフィンゴ糖脂質とを反応さ
せて実施され得る。前記抽出物は、上記回収した菌体を
生理食塩水など、上記同様適切な緩衝液で洗浄した後、
この緩衝液に懸濁し、超音波破砕、フレンチプレスなど
当業者に公知の方法で調製され得る。好適には、前記緩
衝液は、界面活性剤を包含し得、これによって、前記抽
出物の抽出効率が増加され得る。この抽出物をイオン交
換樹脂、疎水クロマトグラフィー、ハイドロキシアパタ
イト、ゲル濾過、アフィニティークロマトグラフィーな
ど、一般に酵素精製に用いられる精製方法で精製したも
のを抽出物として使用し得る。前記抽出物は、上記同
様、リン酸緩衝液等に0.1〜10%の濃度範囲で溶解したス
フィンゴ糖脂質溶液と混合し、30〜40℃の温度範囲、中
性付近で反応させ得る。
【0030】あるいは、前記反応工程は、上記の微生物
をスフィンゴ糖脂質を炭素源として含む液体培地で培養
することにより実施され得る。前記培地は、硫安、尿
素、アンモニアなどの無機窒素源またはペプトン、酵母
エキス、カザミノ酸、肉エキス、大豆加水分解物などの
有機窒素源、無機塩類など通常の栄養成分を含有し得
る。また、前記微生物の増殖を促進するために、炭素源
としてスフィンゴ糖脂質に加えてグルコース、フラクト
ースなどを添加し得る。前記反応工程は、微生物の生育
できる温度範囲およびpH範囲で、1〜10日間、好気条件
下または嫌気条件下で振盪培養することにより実施し得
る。例えば、ストレプトミセス・エスピ ーH-37とスフ
ィンゴ糖脂質の反応は、25〜40℃の温度範囲で、0.1〜1
0%のスフィンゴ糖脂質、0.1〜5%のペプトン、0.1〜5%の
酵母エキス、0.1〜5%の肉エキスを含む液体培地中、5日
間振盪培養することにより実施され得る。
【0031】前記反応で生じるリゾ糖脂質を採取する工
程は、反応液中に存在する菌体などの不溶性成分を当業
者に公知の遠心分離、濾過などにより分離除去し、次い
で、当業者に公知の、スフィンゴ糖脂質の一般的な精製
法により実施し得る。
【0032】
【作用】本発明の製造方法は、ストレプトミセス属の微
生物が、基質特異性の広いグリコスフィンゴリピドセラ
ミドデアシラーゼを生産する能力を有するので、従来知
られている方法より容易に、かつ多種類のリゾ糖脂質を
製造し得る。また、該微生物はグリコシダーゼ活性を有
していないため、スフィンゴ糖脂質の糖鎖部分を変化さ
せることなくリゾ糖脂質を製造し得る。
【0033】
【実施例】
(実施例1)0.2%のガングリオシドGM1(Gal 1-3 Ga
lNAc 1-4(NeuAc 2-3)Gal 1-4 Glc 1-1'cer、ここで、Ga
lはガラクトース、GalNAcはN-アセチルガラクトサミ
ン、Glcはグルコース、NeuAcはN-アセチルノイラミン
酸、cerはセラミドの残基を示す)、0.2%のペプトンお
よび0.1%のタウロデオキシコール酸を含む液体培地1ml
をシリコン栓付き試験官に入れ、121℃で15分間加熱殺
菌した。
【0034】この培地に、あらかじめ、0.5%のグルコー
ス、0.5%のペプトン、0.5%の酵母エキスおよび0.5%の肉
エキスを含む培地で、30℃、1日培養したストレプトミ
セス・エスピー H-37の培養液を50μl接種し、30℃で5
日間振盪培養を行った。培養後、培養液を遠心分離する
ことにより菌体を除去し、培養上澄液を得た。得られた
培養上澄液を濃縮乾固し粉末を得た。得られた粉末をク
ロロホルム:メタノール:水=30:60:8(以下溶
媒Aとする)に溶解した後、溶媒Aで平衡化したDEA
E−セファデックス A−25カラムに通し、素通りし
たリゾGM1を回収した。リゾGM1を含む溶液を濃縮
し、TLCプレート(メルク社製5553)の原点に線
状にスポットし、クロロホルム:メタノール:0.2%CaCl
2=4:4:1を用いて展開した。展開後のTLCの一
部を切取りオルシノール−硫酸試薬で糖を発色させリゾ
GM1の展開位置を確認した。この展開されたリゾGM
1を溶媒Aを用いて残りの部分のTLCプレートから抽
出した。得られた抽出液を濃縮し、再度上記と同様の操
作でDEAE−セファデックス A−25カラムを用い
て精製した。得られたリゾGM1を含む溶液を濃縮乾燥
することによりリゾGM1粉末1.2mg(対基質収率60%)
を得た。得られた粉末をTLCプレートで展開し、オル
シノール−硫酸、レゾルシノール−塩酸、ニンヒドリン
で発色したところ、それぞれ単一のスポットを与えた。
図1は、オルシノール−硫酸で発色した展開後のTLC
プレートを示す。
【0035】(実施例2)0.2%のGM1の代わりに0.5%
のグルコースを用いたことを除いて、実施例1と同様の
方法でストレプトミセス・エスピー H-37の培養液を得
た。得られた培養液から、遠心分離により菌体を回収
し、回収した菌体を生理食塩水にて4回洗浄した後、10
0 mg wet cell/mlになるように生理食塩水に懸濁した。
このようにして得られたストレプトミセス・エスピー H
-37の洗浄菌体懸濁液1mlを、所定のpHに調整した1ml
の酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5、6.0、6.5)、リン酸
緩衝液(pH6.5、7.0、7.5)、トリス-塩酸緩衝液(pH7.
5、8.0、8.5、9.0)、塩化アンモニウム-アンモニア緩
衝液(pH9.0、9.5、10.0)のそれぞれに、0.2%の濃度で
溶解したGM1を含む溶液とそれぞれ混合し、37℃で18
時間反応を行った。
【0036】得られた反応液をクロロホルム:メタノー
ル:0.2%CaCl2=4:4:1を用いてTLCプレート
(メルク社製5553)で展開し、オルシノール-硫酸
試薬で発色して、反応により生じたリゾGM1量を、デ
ンシトメーターを用いて測定した。
【0037】測定されたリゾGM1量の、投入されたガ
ングリオシドGM1量に対する百分率からガングリオシ
ドGM1の分解率を算出した。結果を図2に示す。図の
横軸は反応液のpHを、図の縦軸はpH7.5のリン酸緩衝液
に溶解したGM1を用いた反応に おける分解率を10
0%としたときの、相対分解率を示す。図中黒丸はリン
酸緩衝液に溶解したGM1を含む反応液の相対分解率を
示し、白丸は酢酸ナトリウム緩衝液に溶解したGM1を
含む反応液の相対分解率を示し、白三角はトリス−塩酸
緩衝液に溶解したGM1を含む反応液の相対分解率を示
す。図2に示したように、pH約7から約8の範囲でGM1
の分解率が高かった。
【0038】(実施例3)実施例2と同様の方法で得
た、ストレプトミセス・エスピー H-37の洗浄菌体懸濁
液1mlと、0.2%のスフィンゴ糖脂質GM1を含むpH7.5
のリン酸緩衝液1mlを混合し、表1に示すグリコデオキ
シコール酸を含む胆汁酸系界面 活性剤を最終濃度0.1%
になるようにそれぞれ添加し、37℃で18時間反応を行っ
た。得られたそれぞれの反応液について実施例2と同様
の方法でGM1の分解率を測定した。結果を表1に示
す。
【0039】
【表1】
【0040】表1に示したように、グリコデオキシコー
ル酸を含む胆汁酸系界面活性剤(デオキシコール酸を除
く)の添加により、GM1の分解率は、約5.2倍から、
約6.4倍に増加した。また非イオン系界面活性剤では、B
rij 58の添加によりGM1の分解率は約4.5倍に増加し
た。
【0041】(実施例4)グリコデオキシコール酸、タ
ウロデオキシコール酸、Brij 58を種々の濃度になるよ
うに添加したことを除いて、実施例3と同様の方法によ
り反応を行った。得られたそれぞれの反応液について実
施例2と同様の方法でGM1の分解率を測定した。結果
を図3に示す。図の横軸は、添加した非界面活性剤の濃
度を、縦軸はグリコデオキシコール酸0.1%を添加した反
応液の分解率を100%としたときの相対分解率を示
す。図中黒丸はグリコデオキシコール酸を添加した反応
液の分解率を、白丸はタウロデオキシコール酸を添加し
た反応液の分解率を、白三角はBrij 58を添加した反応
液の分解率をそれぞれ示す。
【0042】図3に示したように、グリコデオキシコー
ル酸とタウロデオキシコール酸では最終濃度0.1%が、Br
ij 58では、0.05%が最適濃度であった。
【0043】(実施例5)グリコデオキシコール酸0.1%
を添加したこと、および種々のスフィンゴ糖脂質を基質
に用いたことを除いて実施例3と同様の方法により反応
をおこなった。結果を表2に示す。表2に示す通り、本
酵素は、ガングリオ系列(酸性、中性を問わない)、ネ
オラクト系列、グロボ系列のいずれのスフィンゴ糖脂質
にも作用し、きわめて広い基質特異性を有することが示
された。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】本発明の製造方法により、新規な製薬素
材、臨床検査試薬素材、生化学用素材などに使用し得
る、リゾ糖脂質を容易に提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施により得られたリゾ糖脂質をTL
Cプレートで展開後、オルシノール−硫酸で発色したT
LCプレートを示す。
【図2】種々のpHの緩衝液に溶解したGM1を反応に用
いたときのGM1の分解率を示す。
【図3】グリコデオキシコール酸、タウロデオキシコー
ル酸、Brij 58を種々の濃度で添加したときのGM1の
分解率を示す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リゾ糖脂質を製造する方法であって、グ
    リコスフィンゴリピドセラミドデアシラーゼを生産する
    能力を有するストレプトミセス属の微生物またはその抽
    出物とスフィンゴ糖脂質とを反応させる工程、および該
    反応で生じるリゾ糖脂質を採取する工程、を包含する方
    法。
  2. 【請求項2】 前記微生物が、ストレプトミセス・エス
    ピー H-37(FERM P-13822)である請求項1に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 前記反応が、スフィンゴ糖脂質を添加し
    た培地で微生物を培養して行われる、請求項1または2
    に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記反応が、前記微生物を培養して回収
    した菌体とスフィンゴ糖脂質とで行なわれる、請求項1
    または2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記反応が、胆汁系界面活性剤(デオキ
    シコール酸を除く)、または非イオン系界面活性剤の存
    在下で行われる、請求項1、2または4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 ストレプトミセス・エスピー H-37(FER
    M P-13822)。
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Cited By (4)

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