JPH07106715B2 - 小型貨物船における荷役装置の配置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、小型貨物船にデッキクレーン等の荷役装置
を搭載して重量物の荷役を行う際に、船体横傾斜を少な
くでき安全で迅速な荷役を可能にする荷役装置の配置に
関するものである。

［従来の技術］ 一般貨物船の荷役装置として、デッキクレーンは操作性
もよく荷役能率の点からも数多く採用され、比較的小型
の貨物船でもよく利用されるようになってきている。従
来からデッキクレーンは船体の左右舷のバランスの点か
らも船体中心線上に配置するのが一般的に行われてい
る。

また、デッキクレーンを片舷側に配置して前方見通しを
良くしているものもある。

［発明が解決するための問題点］ 小型貨物船にデッキクレーンを装備する場合、例えば総
トン数が499トンの貨物船に揚貨能力25トンのデッキク
レーンを船体中心線上に搭載することを想定すると、荷
役時に25トンの貨物を吊り振り出すと、船体は相当の横
傾斜となり、移動の度に動揺し、積載位置が定まり難く
荷役時間を要していた。また、船体後部に操舵室を配置
した船では前方見通しが悪くなり航海の安全に支障がで
きる。

また、操舵室からの前方見通しを良くしようとして、デ
ッキクレーンを片舷に配置すると、船体に対してデッキ
クレーンの占める重量も重く、左右舷のバランスをとる
ためのカウンターウエイトの付加などの手段を施す必要
が生じ、結果的左船体重量が増加し貨物の積載量が少な
くなるなどの問題があった。

さらに、実際の荷役作業においても、船体のヒール角の
調整を二重底に配置しているバラストタンクを調整する
ことで行うことも考えられるが、バラスト水の移送が短
時間でできないので、かえって大きく船体が動揺する危
険が生ずる恐れがある等の問題があったのである。

［問題点を解決するための手段］ この発明は、上記問題点を解決することを目的とするも
ので、比較的小型の貨物船に揚荷容量の大きなデッキク
レーンを２基装備する場合において、前記デッキクレー
ンを左舷側および右舷側にそれぞれ１基づつ配設すると
共に、前記左舷側デッキクレーンと前記右舷側デッキク
レーンを船体の首尾線方向に適当な距離をもって配設
し、直接荷役しないデッキクレーンでヒールバランスを
とるものである。

［実施例］ 以下、この発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。総トン数が約499トンの小型貨物船の船体１には船
倉４が設けられており、船倉４の後部右舷側及び前部左
舷側には、揚荷能力25トンのデッキクレーン2,3が、そ
れぞれ１基装備されている。

いま後部右舷側のデッキクレーン２を使用して重量物を
荷役する場合を想定すると、デッキクレーン２に負荷す
る荷物の重量とほぼ同じ重量のものを前部左舷側のデッ
キクレーン３にカウンターウエイトとして負荷する。デ
ッキクレーン２の動きに対してデッキクレーン３を船体
首尾線に対称に動かし、船体の両舷の荷重のバランスを
とるように動かすことにより、船体のヒール角を少なく
するこができる。

［発明の効果］ 以上述べたように、この発明によれば比較的小型の貨物
船に揚荷容量の大きなデッキクレーンを２基装備する場
合において、前記デッキクレーンを左舷側および右舷側
にそれぞれ１基づつ配設すると共に、前記左舷側デッキ
クレーンと前記右舷側デッキクレーンを船体の首尾線方
向に適宜な距離をもって配設したので、小型船にデッキ
クレーンを使用して重量物の荷役する場合に起きる船体
のヒール角を極めて簡単な手段でなくすことができ、小
型船での安全な重量物荷役を可能にする等の効果を有す
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明の一実施例によるデッキクレーンの
配置を示す概略平面図である。 主なる記号 １……船体、2,3……デッキクレーン、４……船倉。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】比較的小型の貨物船に揚荷容量の大きなデ
   ッキクレーンを２基装備する場合において、前記デッキ
   クレーンを左舷側および右舷側にそれぞれ１基づつ配設
   すると共に、前記左舷側デッキクレーンと前記右舷側デ
   ッキクレーンを船体の首尾線方向に適当な距離をもって
   配設し、直接荷役しないデッキクレーンでヒールバラン
   スをとることを特徴とする小型貨物船における荷役装置
   の配置。