JPH0710629A - 自己平滑性セメントモルタル組成物およびその施工方法 - Google Patents

自己平滑性セメントモルタル組成物およびその施工方法

Info

Publication number
JPH0710629A
JPH0710629A JP17365093A JP17365093A JPH0710629A JP H0710629 A JPH0710629 A JP H0710629A JP 17365093 A JP17365093 A JP 17365093A JP 17365093 A JP17365093 A JP 17365093A JP H0710629 A JPH0710629 A JP H0710629A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cement
water
cement mortar
additive
base
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP17365093A
Other languages
English (en)
Inventor
Shunsuke Tazawa
俊介 田沢
Katsuhiko Kurihara
勝彦 栗原
Miki Kuniya
幹 国谷
Masaki Kobori
雅紀 小堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Nitto Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Chemical Industry Co Ltd filed Critical Nitto Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP17365093A priority Critical patent/JPH0710629A/ja
Publication of JPH0710629A publication Critical patent/JPH0710629A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • On-Site Construction Work That Accompanies The Preparation And Application Of Concrete (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】セメント・細骨材および水を配合して、水セメ
ント比(重量比)を 0.3〜1.0 の範囲で調製された、フ
ロー値が20cm以内であるベースセメントモルタルに、予
め水で混練りして粘度を 0.1〜1000ポイズの範囲に調製
した自己平滑性を付与するSL化用添加剤の水混練物を
加えて、水セメント比を 0.6〜1.4 の範囲に調製し混練
りして自己平滑性セメントモルタル組成物(SL材)を
得る。そのフロー値が20〜35cmの範囲内で流し延べる。 【効果】施工現場での粉体と重量物取り扱い作業が軽減
される。SL材を製造する際に細骨材やSL化用添加剤
の塊状物の残留・生成あるいはミキサーへの添加剤の付
着がない。表面に白華・突起・気泡跡がない平滑で良好
な硬化体が形成され、レベル精度の良い床面を得ること
ができ、建築物の床を構築する際の施工時の大幅な省力
化と仕上がり床面の品質の安定化が可能になった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築物の床を構築する
に好適な自己平滑(セルフレベリング、以下SLともい
う)性セメントモルタル組成物およびその施工方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】建築物の床を構築する際に用いられるS
L材は、従来、次のようにして取り扱われ、施工されて
いる。 1) セメントや石膏などを基材とし、これに骨材と流動
化剤、増粘剤、消泡剤、硬化調節剤、寸法安定剤など各
種の添加剤を配合して、粉体状のSL材が製造されてい
る。粉体状のSL材は、1袋あたり通常20〜30kgの充填
量で袋詰めされ、施工現場に搬入される。袋詰めされた
SL材は、施工現場において開袋され、ミキサーに投入
されて水を加えて混練され、スラリー状とされる。スラ
リー状に調製されたSL材は、自己平滑性を有するセメ
ントモルタル組成物あるいは石膏モルタル組成物とし
て、施工場所の下地の上に通常10mm厚で流し延べられ、
硬化体を形成する。袋詰めされた粉体状SL材の施工現
場における取り扱いは、手作業となり重労働であること
から敬遠され、近年は人手が確保し難くなってきてい
る。
【0003】2) この対策として、生コン工場にSL材
製造用の専用設備を設けてスラリー状のSL材(以下、
生SL材ともいう)を製造し、コンクリート・ミキサー
車を利用して施工現場に搬入し、施工場所に流し延べる
方法が採られている。
【0004】3) また、本発明者らが先に提案した、一
般の生コン工場における通常の生コンクリート製造設備
を用いて、生コンクリートや生セメントモルタルを製造
する際に用いられている細骨材を用いて調製されたベー
スセメントモルタルに、SL化用添加剤を加えて生SL
材を製造し、コンクリート・ミキサー車を利用して施工
現場に搬入し、施工場所に流し延べる方法がある。
【0005】4) また、通常の生コンクリート製造設備
を用いて、所定の材料配合比で調製されたベースセメン
トモルタルをミキサー車で施工現場に搬送し、施工現場
において、ミキサー車または別の混練装置を用いて、ベ
ースセメントモルタルにSL化用添加剤を加えて混練り
し、施工場所に流し延べる方法がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記1)の方法は、施工
現場における水の計量や袋詰めSL材の運搬・開袋・ミ
キサーへの投入など重量物の取り扱い作業が多く過酷な
労働を必要とし、また、粉体を取り扱うため粉塵の発生
が作業環境を悪化させるという問題点がある。また、流
し延べ量の増大に伴って施工現場での混練バッチ数が多
くなると水の計量にバラツキを生じ、SL材として重要
な性能である流動性にバラツキを生じて安定した品質の
床下地が形成されないという問題点がある。
【0007】前記2)の、生コン工場から生SL材を供給
する方法では、施工現場における重量物の取り扱い作業
が軽減され、また、品質の安定が計られる。ところが、
生SL材を製造する際に用いられるSL化用添加剤の中
には、通常の用途の生コンの品質に対して悪影響を及ぼ
すものがある。このようなことから生SL材を製造する
際には、生コン製造設備を共用することができず、専用
の生SL材製造設備を必要とする。すなわち、生SL材
製造設備が設けられている特定の工場からしか生SL材
を供給することができない。しかも、生SL材は、調製
された後、時間の経過とともに流動性が低下するので、
流し延べるまでの時間は制約を受ける。調製された後、
流し延べるまでに長時間が経過するような場合には、品
質の劣化は避けられない。このようなことから、前記2)
の方法では、安定した品質の生SL材を受け入れて使用
することができる流し延べ施工現場は、生SL材製造設
備が設けられている特定の工場に近接した地域に限定さ
れるという問題点がある。
【0008】前記3)または4)の、一般の生コン工場にお
ける通常の生コンクリート製造設備を用いて、生SL材
を製造する方法または、調製されたベースセメントモル
タルに施工現場においてSL化用添加剤を加えて生SL
材を製造する方法では、コンクリート強制練りミキサー
や二軸強制練りミキサーなどを用いても、一般に、生S
L材は水セメント比が高いことから、このような水セメ
ント比でベースセメントモルタルを調製すると細骨材の
塊が残り、また、このようなベースセメントモルタルに
SL化用添加剤を添加すると添加剤の塊状物(ママコ)
が生成し易い。このような生SL材を流し延べたときに
は、形成された硬化体表面のレベル精度が悪くなる。
【0009】また、前記4)の方法では、SL材を流し延
べるための時間を確保することができ、安定した品質の
SL材を供給できる地域が制約されない利点があるが、
施工現場においてSL化用添加剤を取り扱う際に、粉塵
が発生して作業環境を悪化させ、また、ミキサー車を用
いてベースセメントモルタルにSL化用添加剤を加えて
混練りした際に、ミキサー車の羽根に添加剤が付着して
しまう、などの問題点がある。
【0010】本発明の目的は、従来の施工法の問題点を
解決し、施工現場での粉体と重量物の取り扱い作業が大
幅に軽減され、しかも安定した品質のSL材を供給し得
る地域が制約されることがなく、SL材を製造する際に
細骨材やSL化用添加剤の塊状物の残留・生成あるいは
ミキサーへのSL化用添加剤の付着がなく、表面に白華
・突起および気泡跡がなく平滑で良好な硬化体が形成さ
れ、レベル精度が良い仕上がり床面を得ることができ、
省力化と床品質安定化が可能な、自己平滑性セメントモ
ルタル組成物およびその施工方法を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を行った結果、ベースセメントモルタルの材料の配合割
合の範囲とフロー値の範囲を規定し、これにSL化用添
加剤を予め水で混練りして得られた特定範囲の粘度を有
する混練物を加えて、混練りして得られたセメントモル
タル組成物を、特定範囲のフロー値において流し延べる
ことにより、施工現場における粉体の取り扱い作業を大
幅に軽減し、しかもSL材を供給し得る地域が限定され
ることなく、表面に白華・突起および気泡跡がなく平滑
で良好な硬化体が形成され、レベル精度が良い仕上がり
床面を容易に得ることができることを知り、本発明を完
成した。
【0012】本発明の第1は「セメント、細骨材および
水を含んでなるベースセメントモルタルに自己平滑性を
付与する添加剤を加えて混練りしてなる自己平滑性セメ
ントモルタル組成物において、水セメント比(重量比)
0.3〜1.0 の範囲で調製された前記ベースセメントモル
タルに、予め水で混練りして粘度を 0.1〜1000ポイズの
範囲に調製した前記添加剤の水混練物を加えて水セメン
ト比(重量比)を 0.6〜1.4 の範囲に調製したことを特
徴とする自己平滑性セメントモルタル組成物」を要旨と
する。
【0013】ベースセメントモルタルは、その1m3
たりのセメント量が 300〜900 kgの範囲内であり、細骨
材セメント比(重量比)が 0.5〜4の範囲内のものであ
ることがよく、また、添加剤は、ベースセメントモルタ
ルの1m3 あたり、流動化剤1〜15kg、増粘剤 0.5〜10
kgおよび消泡剤 0.3〜3kgの範囲内で組み合わせたもの
であることがよい。
【0014】本発明の第2は、フロー値が20cm以内であ
る前記ベースセメントモルタルに前記添加剤の水混練物
を加え、混練りして得られた自己平滑性セメントモルタ
ル組成物を、そのフロー値が20〜35cmの範囲内であると
きに流し延べることを特徴とする自己平滑性セメントモ
ルタル組成物の施工方法を要旨とする。
【0015】以下、本発明の詳細について説明する。本
発明の自己平滑性セメントモルタル組成物(以下、単に
本発明の組成物という)は、ベースセメントモルタル
(以下、単にベースモルタルという)とこれに自己平滑
性を付与するSL化用添加剤から構成される。
【0016】本発明の組成物を構成するベースモルタル
は、セメント、細骨材及び水を配合してなる。セメント
としては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトラン
ドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメン
ト、シリカセメント、フライアッシュセメント、アルミ
ナセメント、ジェットセメントなどの各種のセメントを
用いることができる。
【0017】細骨材は、一般の生コンクリート製造に用
いられるもの、あるいは左官用細骨材を用いることがで
き、その粒径が5mm以下、好ましくは2mm以下、更に好
ましくは1mm以下であるものがよい。
【0018】本発明の組成物に用いられるベースモルタ
ル1m3 あたりに用いられる単位セメント量(C) は、 3
00〜900 kg/m3 の範囲がよい。300kg/m3 未満で
は、細骨材セメント比が大きくなってセメントモルタル
組成物のフロー値が小さく、形成される硬化体のレベル
精度が低下し、強度が小さくなる。一方、900 kg/m3
を超えると、形成される硬化体に亀裂を生ずる。
【0019】本発明の組成物に用いられるベースモルタ
ルにおいて、用いられた細骨材の重量(S) とセメント量
(C) との重量比S/C で表される、細骨材セメント比は、
0.5〜4の範囲がよい。0.5 未満では、形成される硬化
体に亀裂を生ずる。一方、4を超えると、セメントモル
タル組成物の流動性が低下し、形成される硬化体仕上が
り面のレベル精度が低下する。
【0020】本発明の組成物に用いられるベースモルタ
ルにおいて、単位水量(W) と単位セメント量(C) との重
量比W/C で表される、水セメント比は、 0.3〜1.0 の範
囲であることを要する。0.3 未満では、ベースモルタル
を製造する際の混練性が悪い。一方、1.0 を超えたとき
には、ベースモルタル中に細骨材の塊状物が残留し、こ
のようなベースモルタルを用いて得られたセメントモル
タル組成物を流し延べたときには、いずれも形成される
硬化体の表面状態が悪くなる。
【0021】また、本発明の組成物における水セメント
比は、 0.6〜1.4 の範囲であることを要する。0.6 未満
では、得られたセメントモルタル組成物の流動性が低
く、形成される硬化体仕上がり面のレベル精度が低下す
る。一方、1.4 を超えると、ブリージングや骨材沈降が
起こり、形成される硬化体に白華を生じ、亀裂が発生す
る。
【0022】本発明の組成物を得るための、ベースモル
タルに自己平滑性を付与するためのSL化用添加剤は、
流動化剤、増粘剤および消泡剤から構成される。流動化
剤は、本発明の組成物の混水量を多くしないで流動性を
高める機能を有するものであり、メラミンホルマリン縮
合物スルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ポリアルキ
ルアリルスルホン酸塩、β−ナフタレンスルホン酸アル
デヒド縮合物、ポリカルボン酸塩などが挙げられ、これ
らの一種または二種以上を組み合わせて用いることがで
きる。
【0023】流動化剤の添加量は、その種類により若干
異なるが、ベースモルタルの1m3あたり、1〜15kgの
範囲がよい。添加量が1kg未満では流動性を向上させる
効果が得られず、形成される硬化体仕上がり面のレベル
精度が低下する。一方、15kgを超えるとブリージングや
骨材沈降が起こり、形成された硬化体に白華を生ずる。
【0024】増粘剤は、本発明の組成物を流し延べた際
のブリージング水の発生や骨材沈降を防ぐ機能を有する
ものであり、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
スなどのセルロースエーテル類、ポリアクリルアミド、
ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、カゼ
インなどの各種の水溶性高分子が挙げられ、これらの一
種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】増粘剤の添加量は、その種類と分子量によ
って若干異なるが、ベースモルタルの1m3 あたり、
0.5〜10kgの範囲がよい。添加量が 0.5kg未満であると
ブリージングや骨材沈降が起こり、形成される硬化体に
白華を生ずる。一方、10kgを超えると粘度が増大して流
動性が低下し、形成される硬化体仕上がり面のレベル精
度が低下する。
【0026】ベースモルタルに流動化剤や増粘剤を添加
して混練した際に巻き込まれた空気が、これら添加剤の
界面活性作用によって気泡を形成するため、形成された
硬化体表面に気体を含んだ泡状の突起や気体が揮散した
跡のピンホールが生じて表面状態が悪化する。また、気
泡を含んだまま硬化して形成された硬化体はその強度が
低下する。
【0027】消泡剤は、このような現象の発生を防止す
る機能を有するものであり、アルコール系、ポリオール
系、脂肪酸エステル系、酸化エチレン−酸化プロピレン
系、シリコン系などの各種の消泡剤が挙げられ、これら
の一種または二種以上を組み合わせて用いることができ
る。
【0028】消泡剤の添加量は、その種類によって若干
異なるが、ベースモルタルの1m3あたり、 0.3〜3kg
の範囲がよい。添加量が、 0.3kg未満では形成される硬
化体に気泡跡が残り、一方、3kgを超えても消泡効果は
それほど増大せず経済的に不利である。なお、上記以外
の添加剤としてセメントの硬化促進剤・硬化遅延剤・収
縮低減剤・膨張剤などを必要に応じて用いることができ
る。
【0029】本発明において、ベースモルタルに添加す
るSL化用添加剤は、予め水と混合し混練して使用す
る。この際に用いられる水の量は、ベースモルタルにS
L化用添加剤と水との混練物を添加して得られる本発明
の組成物の水セメント比が、本発明で規定する 0.6〜1.
4 の範囲内に収まる範囲の量とする。これによって、本
発明の組成物中における細骨材やSL化用添加剤の塊状
物の残留・生成を防ぐことができ、本発明の組成物を流
し延べて形成された硬化体の表面性を良好にすることが
できる。
【0030】ベースモルタルに添加するSL化用添加剤
と水との混練物は、練り上がり直後の粘度が 0.1〜1000
ポイズの範囲、好ましくは1〜50ポイズの範囲にあるも
のがよい。粘度が 0.1ポイズ未満であると、骨材分離や
ブリージングを起こし、形成された硬化体の表面が脆く
なる。一方、1000ポイズを超えると、SL化用添加剤と
水との混練物の粘度の立ち上がりが早く、ペースト状あ
るいは固化状態となって取扱いが困難な状態となり、ベ
ースモルタルとの混合性が悪くなる。
【0031】SL化用添加剤と水との混練装置として
は、特に限定されるものではないが、たとえば、SL材
混練用高速ミキサー,左官用モルタルミキサー,ハンド
ミキサーなどを用いることができる。SL化用添加剤と
水との混練物を輸送する装置としては、特に限定される
ものではないが、たとえば、水中ポンプ,モルタルポン
プなどが挙げられる。また、バケツなどを用いることも
できる。
【0032】上記のように本発明で規定した範囲内の、
セメント・細骨材および水からなるベースモルタルの材
料配合比ならびにフロー値と、ベースモルタルに加える
SL化用添加剤の量ならびに水との混練物の粘度を適宜
に組み合わせ、本発明で規定した範囲内の水セメント比
として得られた本発明の組成物を、規定した範囲内のフ
ロー値において流し延べて硬化させる。
【0033】本発明の組成物を得る際に用いられるベー
スモルタルのフロー値(以下、FAという)は、20cm
以内であることが必要である。フロー値FA が20cmを
超えているときは、得られたセメントモルタル組成物は
ブリージングや骨材沈降を起こし、形成された硬化体に
白華や表面剥離を生ずる。
【0034】本発明の組成物を流し延べる際のフロー値
(以下、FB という)は、20〜35cmの範囲内であること
が必要である。本発明の組成物を流し延べる際のフロー
値FB が20cm未満であると、形成される硬化体表面に突
起が残り、仕上がり床面のレベル精度が低下する。一
方、35cmを超えると、ブリージングや骨材沈降が起こ
り、形成された硬化体に白華や表面剥離を生じ、仕上げ
材 (上物) との接着不良を起こすので好ましくない。
【0035】本発明の組成物を用いた施工法の態様の例
を以下に示すが、これに限定されるものではない。本発
明の組成物を得る際に用いられるベースモルタルは、一
般に土木・建築工事の現場に生コンクリートを運搬する
際に用いられているミキサー車によって、受け入れるこ
とができる。生コン工場のミキサープラントにおいて本
発明で規定する材料配合比で製造され、ミキサー車で施
工現場に運搬されたベースモルタルに、規定されたFA
値の範囲内において、粘度が規定された範囲内であるS
L化用添加剤と水との混練物を加えて混練りする。得ら
れた本発明の組成物を規定されたFB 値の範囲内で、モ
ルタルポンプ等を用いて施工場所に流し延べ、トンボ等
の表面均し道具を用いてならし、硬化させる。
【0036】本発明の組成物を得るためベースモルタル
にSL化用添加剤の水混練物を加えて混練りする際の混
練装置としては、特に限定されるものではなく、たとえ
ば、攪拌翼回転型、容器回転型、静止型など各種のもの
を用いることができる。攪拌翼回転型としては、単軸式
のものとしてコンクリート強制練りミキサー、左官用モ
ルタルミキサー、SL材混練用高速ミキサーなどを、ま
た多軸式のものとして二軸強制練りミキサーなどを、容
器回転型としては傾胴式コンクリートミキサーなどを、
静止型としては静止型管路ミキサーなどを、それぞれ例
示することができる。
【0037】従来の方法によって、SL化用添加剤を直
接、ミキサー車内のベースモルタルに加えて混練りした
ときは、ママコ(継粉)を生じ、大きいものでは径が5
〜10cmに達するものが形成される。通常のミキサー車で
はそのまま30分間高速回転させてもママコは消失せず、
均一に分散されないため、良好なSL性モルタル組成物
が得られ難い。
【0038】これに対して、本発明の規定に適合したベ
ースモルタルにSL化用添加剤と水との混練物を加えて
混練りする際には、生コンクリートを運搬する際に通常
用いられているミキサー車を用いることができる。
【0039】本発明で規定する材料配合比であっても、
ベースモルタルの製造時に添加剤を同時に加えて混練り
して調製したモルタル組成物は、混練りして60分程度で
フロー値が20cmを下回り、可使時間が短い。
【0040】これに対して、本発明の方法によれば、ベ
ースモルタルを製造してからSL化用添加剤を加えるま
での余裕時間1〜1.5 時間と、ベースモルタルにSL化
用添加剤と水との混練物を加えて混練してから流し延べ
るまでの余裕時間1〜2時間とがあるので、ベースモル
タルの製造時点を起点として流し延べるまでの可使時間
は、2〜3時間を確保することができる。このように可
使時間が長いことも本発明の組成物の長所であって、本
発明の組成物を使用することができる地域の自由度が大
きい。
【0041】
【発明の効果】本発明は、次の効果を奏する。 1) 自己平滑性セメントモルタル組成物中における細骨
材やSL化用添加剤の塊状物の残留・生成を防ぐことが
でき、流し延べて形成された硬化体の表面性を良好にす
ることができる。 2) 白華・突起および気泡跡がなく平滑で良好な硬化体
が形成され、レベル精度が良い仕上がり床面を容易に得
ることができる。 3) 従来の施工法と比較して、建築物の床を構築する際
の施工時の大幅な省力化と仕上がり床面の品質の安定化
が可能になった。 4) 施工現場における粉体ならびに重量物の取り扱い作
業が大幅に軽減されて作業能率が向上し、粉塵による作
業環境の汚染を防止することができる。 5) 施工現場に搬入されたベースモルタルが製造された
時点から、施工現場において調製された本発明の組成物
を施工場所に流し延べるまでに、2時間以上の可使時間
を確保することができるので、本発明の組成物を使用す
ることができる地域の自由度が大きく、供給可能地域を
拡大することができる。
【0042】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明を具
体的に説明する。本発明はその要旨を越えない限り、以
下の実施例に限定されるものでない。 実施例1〜5および比較例1〜7.表1に示す材料配合
比で製造されミキサー車で受け入れたベースモルタルに
対して、表1に示すフロー値FA において、表1に示す
量比で予め調製したSL化用添加剤の水混練物をミキサ
ー車内のベースモルタルに加え、3分間混練りして各種
のモルタル組成物を得た。SL化用添加剤は、表1に示
す配合比で、予め水を加えてSL材混練用高速ミキサー
を用いて混練し、表1に示す粘度に調製されたSL化用
添加剤の水混練物として、また、比較のため、粉体のま
ま配合して、それぞれ添加した。SL化用添加剤の水混
練物をミキサー車内に移す際には、その粘度に応じて、
モルタルポンプ・水中ポンプあるいはバケツを用いた。
得られたモルタル組成物1m3 を、表1に示すフロー値
B において、モルタルポンプを用いて下地床50m2
上に20mm厚さで流し延べ、トンボでならして自然硬化さ
せた。試験したモルタル組成物とその硬化体の物性・性
状を、表1に示した。
【0043】試験に用いた主な材料は、次のとおりであ
る。 ・セメント … 普通ポルトランドセメント ・細骨材 … 建築用左官砂 ・添加剤(a) … 流動化剤「SMF−PD」(日産化学工業社製) ・ 〃 (b) … 増粘剤「デンカポバール」(電気化学工業社製) ・ 〃 (c) … 消泡剤「SNデフォーマー 14 HP」(サンノプコ社製)
【0044】
【表1】
【0045】表1に示した各評価項目の測定または試験
の方法、ならびに評価項目の欄における記号の意味は、
次のとおりである。 ・フロー値… FA およびFB とも、JIS R5201 に規定
されるフローコーンに試料を充填してフローコーンを垂
直に持ち上げ、衝撃を与えることなく流出した試料が広
がり静止して形成されたほぼ円形体の直角二方向の直径
を測定し、その平均値で表した。 ・粘度… BL型回転粘度計を用いて測定した。 ・硬化体の圧縮強度… JIS R5201 に準じて、型枠内に
試料を流し入れ、硬化後に脱型し20℃, RH60%で養生し
て材令4週時に一軸圧縮強度を測定した。
【0046】・混合性… ベースモルタルにSL化用添
加剤と水との混練物を加え混合したとき、得られたモル
タル組成物の状態および混練装置への付着の状況を、目
視で観察して判定した。 ○… 3分間以内の混練り処理によって、細骨材やSL
化用添加剤の塊状物の残留・生成あるいはミキサーへの
SL化用添加剤の付着がなく、得られたモルタル組成物
は、ママコが無く良好であった。 ×… 得られたモルタル組成物中にママコが残っていた
り、SL化用添加剤がミキサーに付着していた。
【0047】・硬化体の表面状態… 形成された硬化体
の表面状態を、目視および指触で観察して判定した。 ○… 白華・突起および気泡跡がなく平滑で良好な硬化
体が形成され、レベル精度が良い仕上がり床面を得るこ
とができた。 ×… 硬化不良,白華,亀裂,削れ,剥離のいずれかが
認められた。
【0048】本発明の要件を満たす条件で試験された実
施例1〜5では、いずれも白華・突起および気泡跡がな
く平滑で良好な硬化体が形成され、レベル精度 1/300
以下の床面が得られた。
【0049】これに対して、本発明で規定した範囲から
はずれた場合には、いずれも、形成された硬化体の表面
状態は満足できるものではなかった。比較例1は、ベー
スモルタルに加えたSL化用添加剤と水との混練物の粘
度が小さく、また、セメントモルタル組成物のフロー値
B が大きい場合であって、形成された硬化体の表面は
削れ・剥離を生じ、圧縮強度が小さかった。比較例2
は、ベースモルタルのフロー値FA が大きく、また、ベ
ースモルタルに加えたSL化用添加剤と水との混練物の
粘度が大きい場合であって、その取扱い性が悪いと共
に、得られたセメントモルタル組成物中にSL化用添加
剤と水との混練物の塊りが残り、形成された硬化体にお
いてこの塊りの部分が硬化不良であり、硬化体の表面は
満足できる状態ではなかった。
【0050】比較例3は、SL化用添加剤と水との混練
物を加える前のベースモルタルの水セメント比が小さい
場合であって、ベースモルタルを製造する際の混練性が
悪くて配合材料の混合状態が不良であり、形成された硬
化体において硬化不良の部分があり、硬化体の表面は満
足できる状態ではなかった。一方、比較例4は、SL化
用添加剤と水との混練物を加える前のベースモルタルの
水セメント比が大きい場合であって、ベースモルタル中
に細骨材の塊状物が残留して配合材料の混合状態が不良
であり、更にベースモルタルのフロー値FAおよび得ら
れたセメントモルタル組成物のフロー値FB が大きい場
合であって、形成された硬化体において硬化不良の部分
があり、また、表面は削れ・剥離を生じ、圧縮強度が小
さかった。
【0051】比較例5は、ベースモルタルにSL化用添
加剤と水との混練物を加えて得られたモルタル組成物に
おける水セメント比が小さく、セメントモルタル組成物
のフロー値FB が小さい場合であって、流動性が悪く、
形成された硬化体の表面に突起が生じて表面状態が悪
く、また、仕上がり面のレベル精度値は 1/300 以下と
ならなかった。比較例6は、ベースモルタルのフロー値
A が大きく、しかも、ベースモルタルにSL化用添加
剤と水との混練物を加えて得られたモルタル組成物にお
ける水セメント比が大きく、セメントモルタル組成物の
フロー値FB が大きい場合であって、ブリージングや骨
材沈降が起こり、また、形成された硬化体の表面は白華
・削れ・剥離を生じ、圧縮強度が小さかった。
【0052】一方、比較例7は、SL化用添加剤を予め
水を加えて混練することなく粉体のまま用いた場合であ
って、ミキサー車を用いてベースセメントモルタルにS
L化用添加剤を加えて混練りした際に、粉塵が発生して
作業環境を悪化させ、また、ミキサー車の羽根に添加剤
が付着すると共に、得られたセメントモルタル組成物中
にSL化用添加剤の塊りが残り、形成された硬化体にお
いてこの塊りの部分が硬化不良であり、硬化体の表面は
満足できる状態ではなかった。このように、本発明で規
定した範囲からはずれた条件で行われた比較例では、い
ずれも、満足できる状態の硬化体が形成されなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 24:26 B 24:40) (72)発明者 小堀 雅紀 神奈川県横浜市鶴見区大黒町10番1号 日 東化学工業株式会社中央研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セメント、細骨材および水を含んでなるベ
    ースセメントモルタルに自己平滑性を付与する添加剤を
    加えて混練りしてなる自己平滑性セメントモルタル組成
    物において、水セメント比(重量比) 0.3〜1.0 の範囲
    で調製された前記ベースセメントモルタルに、予め水で
    混練りして粘度を 0.1〜1000ポイズの範囲に調製した前
    記添加剤の水混練物を加えて水セメント比(重量比)を
    0.6〜1.4 の範囲に調製したことを特徴とする自己平滑
    性セメントモルタル組成物。
  2. 【請求項2】ベースセメントモルタルが、その1m3
    たりのセメント量が300〜900 kgの範囲内であり、細骨
    材セメント比(重量比)が 0.5〜4の範囲内のものであ
    る請求項1記載の自己平滑性セメントモルタル組成物。
  3. 【請求項3】添加剤が、ベースセメントモルタルの1m
    3 あたり、流動化剤1〜15kg、増粘剤 0.5〜10kgおよび
    消泡剤 0.3〜3kgの範囲内で組み合わせたものである請
    求項1記載の自己平滑性セメントモルタル組成物。
  4. 【請求項4】フロー値が20cm以内であるベースセメント
    モルタルに添加剤を加え、混練りして得られた自己平滑
    性セメントモルタル組成物を、そのフロー値が20〜35cm
    の範囲内であるときに流し延べることを特徴とする請求
    項1ないし3記載の自己平滑性セメントモルタル組成物
    の施工方法。
JP17365093A 1993-06-22 1993-06-22 自己平滑性セメントモルタル組成物およびその施工方法 Pending JPH0710629A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17365093A JPH0710629A (ja) 1993-06-22 1993-06-22 自己平滑性セメントモルタル組成物およびその施工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17365093A JPH0710629A (ja) 1993-06-22 1993-06-22 自己平滑性セメントモルタル組成物およびその施工方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0710629A true JPH0710629A (ja) 1995-01-13

Family

ID=15964549

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17365093A Pending JPH0710629A (ja) 1993-06-22 1993-06-22 自己平滑性セメントモルタル組成物およびその施工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0710629A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018035021A (ja) * 2016-08-30 2018-03-08 五洋建設株式会社 低強度コンクリート、および低強度コンクリートの製造方法
JP2019210610A (ja) * 2018-05-31 2019-12-12 有限会社中部植生 加水システム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018035021A (ja) * 2016-08-30 2018-03-08 五洋建設株式会社 低強度コンクリート、および低強度コンクリートの製造方法
JP2019210610A (ja) * 2018-05-31 2019-12-12 有限会社中部植生 加水システム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20190194072A1 (en) Online control of rheology of building material for 3d printing
JP7196108B2 (ja) 鉱物結合剤組成物の3d印刷のための方法
TWI414504B (zh) Hydraulic composition
EP3393996B1 (en) Method for the application of a processable commposition and use
JP5589258B2 (ja) 水硬性組成物およびその硬化体
JP4538438B2 (ja) グラウト組成物およびそれを用いたグラウト材料
JP6258030B2 (ja) 粉体混和材のセメント混練物への添加器具及び添加方法、並びに粉体混和材を混和したセメント混練物の製造方法
JP5741113B2 (ja) 住宅基礎用構造体の施工方法及びそれを用いて施工される住宅基礎用構造体
US20220041506A1 (en) Cementitious mixture for a 3d printer, with improved performance, and relative use in said printer
JP4596130B2 (ja) セルフレベリング性組成物
JPH0710629A (ja) 自己平滑性セメントモルタル組成物およびその施工方法
JP5768430B2 (ja) 高流動モルタル組成物
WO2023047296A1 (en) Dry cementitious material mixture for 3d-printing
JP5768431B2 (ja) 高流動モルタル組成物
JPH07215750A (ja) 自己平滑性セメントモルタル組成物の施工方法
JP3026406B2 (ja) 自己平滑性セメントモルタル組成物の製造方法および施工方法
JP3026405B2 (ja) 自己平滑性セメントモルタル組成物の製造方法および施工方法
JP6903042B2 (ja) 湿式吹付工法
JP2001130943A (ja) セメント系グラウト組成物
JP2510870B2 (ja) セルフレベリング材の施工方法
JPH06136922A (ja) 自己平滑性セメントモルタル組成物の施工方法
JP2926377B2 (ja) セメントモルタル組成物の流し延べ方法
JPH05106331A (ja) 自己平滑性セメントモルタル組成物の施工方法
JP2006168999A (ja) 自己流動性水硬性組成物の製造方法
JPH09216218A (ja) 高流動コンクリートの製造方法