JPH07103844B2 - イオンスラスタ - Google Patents

イオンスラスタ

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JPH07103844B2
JPH07103844B2 JP2323120A JP32312090A JPH07103844B2 JP H07103844 B2 JPH07103844 B2 JP H07103844B2 JP 2323120 A JP2323120 A JP 2323120A JP 32312090 A JP32312090 A JP 32312090A JP H07103844 B2 JPH07103844 B2 JP H07103844B2
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grid
ion beam
acceleration
ion
curvature
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正治 北村
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F03MACHINES OR ENGINES FOR LIQUIDS; WIND, SPRING, OR WEIGHT MOTORS; PRODUCING MECHANICAL POWER OR A REACTIVE PROPULSIVE THRUST, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • F03HPRODUCING A REACTIVE PROPULSIVE THRUST, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • F03H1/00Using plasma to produce a reactive propulsive thrust
    • F03H1/0037Electrostatic ion thrusters
    • F03H1/0043Electrostatic ion thrusters characterised by the acceleration grid

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Plasma & Fusion (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Plasma Technology (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、人工衛星の方位保持、軌道制御、推進等に用
いられるイオンスラスタに関する。
(従来の技術) 人工衛星に搭載されて方位保持、軌道制御、推進等に用
いられるイオンスラスタの主要部は、通常、第6図に示
すように構成されている。
このイオンスラスタは本体の一部を構成する円筒状のス
ラスタケース1で覆われており、このスラスタケース1
内に放電容器2を設けている。放電容器2はアノード電
位にバイアスされており、ホローカソード3から放出さ
れたXeガスに加速した電子を衝突させて電離プラズマを
生成させる。
推進剤であるXeガスは、放電容器2の後壁に設けられた
推進剤導入系4からホローカソード3内を通って放電容
器2内に導入される。そして、電離によって生成された
Xe+イオンが後述する中和器9の電位に対して+1000V程
度の電位に保持されたスクリーングリッド(電極板)5
と、中和器9の電位に対して−500V程度の電位に保持さ
れた加速グリッド(電極板)6とからなる加速用電極7
によって加速され、運動エネルギを与えられて外部へと
放出される。この放出によって推進力を得ている。
加速用電極7を構成しているスクリーングリッド5およ
び加速グリッド6は、それぞれ0.3mm、0.5mm程度の薄い
金属板で、放電容器2側を凹とする1m程度の曲率半径を
有する球面状に形成されている。スクリーングリッド5
および加速グリッド6には、それぞれ数千個のイオンビ
ーム通過孔8が形成されている。そして、スクリーング
リッド5および加速グリッド6は、互いに0.8mm程度の
狭い間隔をもって配置されている。前述したXe+イオン
は、それぞれのイオンビーム通過孔8を通り、加速され
て放出される。
なお、Xe+イオンの放出によってイオンスラスタ全体の
電位が変化するのを防止するために中和器9から電子を
放出させ、この電子で外部に放出されたXe+イオンを中
和している。さらに、放電容器2の内面に複数の磁石10
を配置し、これらの磁石が作るカスプ磁場で放電容器2
内の電離プラズマを閉じ込めて損失を小さくしている。
しかしながら、上記のように構成されたイオンスラスタ
にあっては次のような問題があった。すなわち、最近で
は推進力の大きいイオンスラスタの出現が望まれてい
る。推進力を大きくするには、加速用電極7の径を大き
くするとともに、放電電力を大きくしてプラズマ密度を
高める必要がある。プラズマ密度を高めると、それに伴
って放電容器2や、加速用電極7を構成しているスクリ
ーングリッド5および加速グリッド6が温度上昇する。
放電容器2に流入した熱は、適切な除熱系統によって人
工衛星等の本体に伝達されたり、宇宙空間に輻射された
りして除熱される。
しかし、スクリーングリッド5および加速グリッド6か
らの除熱は極めて困難である。両グリッドは、加速の効
率を高めるために前述の如く薄い材料で構成される。こ
のため、熱伝導による放熱を期待することはできない。
したがって、スクリーングリッド5および加速グリッド
6からの除熱が困難で、推進力の増大に伴って両グリッ
ドの温度上昇を避けることはできない。
スクリーングリッド5および加速グリッド6は、運転時
に各部の温度が一様にはならず、中心部温度が周縁部温
度より50℃程度高くなる。また、スクリーングリッド5
の中心部温度は加速グリッド6の中心部温度より100℃
程度高くなる傾向にある。
このように、運転時には、スクリーングリッド5と加速
グリッド6の温度上昇を避けることができず、しかも中
心部と周縁部との間に温度差が生じ、そのうえ両グリッ
ド間にも温度差が生じる。このような温度の不均一によ
って、各種の不具合が生じる。すなわち、スクリーング
リッド5の中心部温度が加速グリッド6の中心部温度よ
り100℃程度も高くなるため、スクリーングリッド5が
より大きく熱膨張し、単に固定保持しただけでは両グリ
ッド間の間隔を所定の状態に維持できなくなる。前述の
如く、スクリーングリッド5と加速グリッド6との間隔
は、極めて小さい一定の値に保たれる必要がある。これ
はイオンの利用効率を高めるために、加速グリッド6の
イオンビーム通過孔からスクリーングリッド5のイオン
ビーム通過孔を通して見た立体角を大きくする必要があ
るからである。しかし、従来のイオンスラスタでは、上
記間隔の維持が困難であった。
このような不具合を防止するために、スクリーングリッ
ド5と加速グリッド6との温度差による熱膨張差を予め
見込んで両グリッドの曲率半径を決めておき、定常運転
においてスクリーングリッド5がより大きく膨張したと
きに丁度、所定の間隔が両グリッド間に得られるように
することが考えられる。しかし、この方法では、イオン
スラスタが定常運転状態に達するまでの過渡期におい
て、スクリーングリッド5と加速グリッド6とのイオン
ビーム通過孔の相対的な位置が大きくずれてしまう。こ
のため、イオンビームが加速グリッド6のイオンビーム
通過孔の縁部に接触し、これが原因して加速グリッド6
が局部的に加熱され、加速グリッド6に周方向に波形の
しわが発生し、結果的にスクリーングリッド5と接触し
てしまう不具合が生じる。
また、スクリーングリッド5や加速グリッド6の曲率半
径を適当に設定して、上記のような不具合を最小限にす
ることが考えられる。しかし、大型のイオンスラスタに
おいては、曲率半径の設定だけでは上記のような不具合
を完全に防止することができず、また曲率半径を適当に
設定するには多くのグリッドを試作して試行錯誤によっ
て適切な曲率半径を設定しなければならず、開発に多く
の時間と費用を必要とする問題がある。
そこで、発明者等は、上述した問題を解決するものとし
て、グリッドの周縁部に径方向に変形可能な板ばねを周
方向に複数突設し、これらの板ばねの先端部を支持する
ことによって、グリッドを支持するようにしたものを先
に提案した。
提案されたスクリーングリッド5aは第7図に示すように
構成されており、また加速グリッド6aは第8図に示すよ
うに構成されている。スクリーングリッド5aおよび加速
グリッド6aには、それぞれ板ばね11a,11bが設けられて
いる。両グリッドに設けられた板ばね11a,11bは、ほぼ
同様に構成されている。したがって、ここでは第8図に
示される加速グリッド6aを例にとって説明する。
加速グリッド6aは、放電容器側を凹とする球面状のグリ
ッド本体12を有し、その周縁部に複数(図においては12
個)の板ばね11bを突設している。板ばね11bは、径方向
に一体に突設された支持片13と、この支持片13の先端部
から一体に延びた板ばね片14とで構成されている。板ば
ね片14は周方向に円弧状に、かつその板幅方向がスラス
タの軸方向、すなわち加速グリッド6aの中心軸と平行す
る関係に延びている。したがって、これら板ばね片14
は、加速グリッド6aの径方向にはばね部材として湾曲変
形する。しかし、軸方向には剛体として作用し、ほとん
ど変形しない。支持片13の中央部には遊び孔15が形成さ
れている。なお、支持片13および板ばね片14は、打ち抜
きによって加速グリッド6aを形成する際に一体に打ち抜
かれた後に板ばね片部分が90゜折れ曲げられて形成され
たり、あるいは加速グリッド6aに別個の部材を溶接する
などして形成されている。また、第7図に示すスクリー
ングリッド5aには径の等しいイオンビーム通過孔16が半
径方向に等しい分布密度で設けられている。さらに、第
8図に示す加速グリッド6aには中心部の領域17に径の小
さいイオンビーム通過孔18aが形成されており、周縁部
の領域19にイオンビーム通過孔18aより径の大きいイオ
ンビーム通過孔18bが形成されている。
このように構成されたスクリーングリッド5aと加速グリ
ッド6aとは次のようにして放電容器の開口部に支持され
る。すなわち、第9図および第10図には、代表して加速
グリッド6aの支持構成が示されている。
板ばね片14の先端部は、取り付けねじ20によって支持部
材21に取り付けられ、この支持部材21はボルト22を介し
て固定部材23に固定され、この固定部材23がスラスタの
放電容器側、すなわち本体側に取り付けられている。支
持部材21の下面には、第10図に示すように遊び孔15より
小径の円柱状の嵌合凸部24が形成されている。この混合
凸部24は遊び孔15を貫通して固定部材23に形成された円
柱状の凹部に嵌合している。そして、支持部材21と固定
部材23とがボルト22によって結合されている。支持部材
21と固定部材23との間で、嵌合凸部24の部分を除く部分
には間隙25が形成されており、この間隙25は支持片13の
厚みより大きく形成されている。
したがって、支持片13は、加速グリッド6aの中心軸に対
して垂直な平面内で、径方向および周方向に移動自在に
支持されていることになる。この移動範囲は、遊び孔15
の内縁が嵌合凸部24の外周に当接するまでの所定の範囲
に制限されている。
上記のような支持構造を採用したイオンスラスタでは、
スクリーングリッド5aおよび加速グリッド6aのグリッド
本体が熱膨張した場合、これらの周囲の板ばね片14が径
方向に弾性変形し、熱膨張を周囲に逃がすことができ
る。したがって,各グリッド本体は所定の形状、所定の
相対位置関係に保持される。
このような従来の構造は有効であったが、両グリッドの
径を大きくするとともに推進力を大きくしようとする
と、性能に限界があることが次第に明らかになった。す
なわち、推進剤の利用効率を上げていくと、イオンビー
ムを引出している時と、引出していない時とで放電容器
内のXeガス圧力が大きく変動し、放電状態が急激に変化
する。この変化の影響を受けてスクリーングリッド5aお
よび加速グリッド6aに局部的な熱変形が生じ、それぞれ
の曲率半径が別々に変化する。
スクリーングリッド5aおよび加速グリッド6aの曲率半径
の変化を第11図(a),(b)に示す。放電のみを行っ
てイオンビームを引出していない初期状態では、スクリ
ーングリッド5aおよび加速グリッド6aが一様に熱膨張し
て第11図(a)のようになっている。これらの熱膨脹は
板ばね11a,11bによって吸収される。しかし、イオンビ
ームを引出すと、加速グリッド6aの曲率半径が急激に大
きくなって、第11図(b)のようになる。この期間は5
分程度で、その後は徐々に第11図(a)のようになり、
約80分後には過渡期が終り、安定状態になる。加速グリ
ッド6aの中心の変位量は0.7mm程度あり、両グリッド間
に当初設定された間隔である0.8mm程度とほぼ同じであ
る。
この原因は各グリッドの温度分布の非一様性に由来して
いる。各グリッドの温度分布の様子を第12図に示す。放
電のみを行ってイオンビームを引出していないときのス
クリーングリッド5aと加速グリッド6aの温度分布は、図
中(TS+TA)/2で示すレベルの分布、つまり図中破線で
示すようにほぼ一様である。この期間においては、スク
リーングリッド5aと加速グリッド6aの熱膨張は一様であ
り、板ばね11a,11bが全ての伸び分を吸収する。
次に、両グリッド5a,6aに電圧を印加し、イオンビーム
を引出すと、加速グリッド6aの表面まできていた電離プ
ラズマがスクリーングリッド5aの表面まで後退する。こ
の後退によって加速グリッド6aの温度が急激に低下す
る。また、イオンビームを引出すと,放電容器内のXeガ
ス圧力が急激に低下し、電子温度の上昇と放電電圧の上
昇とを引き起こし、入力パワーが増加する。この結果、
スクリーングリッド5aへの熱入力が増加し、スクリーン
グリッド5aの温度が急激に上昇する。これらの変化はプ
ラズマ密度が一様な高密度領域、すなわち各グリッドの
中心領域ほど顕著である。この結果、各グリッドの温度
分布には、一時的に温度分布曲線33,34で示すように非
一様性が生じる。
スクリーングリッド5aの非一様性は一般に小さい。しか
し、この非一様性によってもスクリーングリッド5aは、
その曲率半径が小さくなる方向に熱変形する。一方、加
速グリッド6aの非一様性は50℃程度と大きく、このため
に加速グリッド6aは、その曲率半径が大きくなる方向に
大きく熱変形する。この期間は5分間程度であり、全体
の温度の上昇とともに熱伝導により温度分布の非一様性
が解消される。そして、一様性を示す温度分布曲線31、
32のように回復し、その後、80分間程度で安定状態にな
る。
したがって、上記構成を採用しても、イオンビーム引出
し後の5分間程度の間に次のような問題が生じることに
なる。すなわち、スクリーングリッド5aでは、イオンビ
ーム通過孔16の設けられている部分の開口率が70%程度
と極めて大きいため、イオンビーム引出し時に急激な加
熱を受けると、非開口部との境界に応力集中が生じて局
所的な熱変形が発生し、これが原因して加速グリッド6a
へ近付く向きの変形が起こる。また、加速グリッド6aで
は、イオンビーム引出し時に、急激に温度低下して局所
な熱変形が発生し、スクリーングリッドへ近付く向きの
変形が起こる。したがって、イオンビーム引出し時に、
スクリーングリッド5aと加速グリッド6aとが接触しない
ようにするには、予めグリッド間隔を広く設定する必要
があり、必然的に安定状態時におけるグリッド間隔も広
くなる。このようにグリッド間隔を広くすると、イオン
ビームが加速グリッド6aへ衝突しないようにするには、
加速グリッド6aのイオンビーム通過孔の径を大きくする
必要がある。加速グリッド6aのイオンビーム通過孔の径
を大きくすると、放電容器内のXeガス圧力を低下させ、
推進剤の利用効率を下げるばかりか、入力パワーの大幅
な増加を招くことになる。
(発明が解決しようとする課題) 上述の如く、従来のイオンスラスタでは、大型化して推
進力を増加させようとすると、推進剤の利用効率を低下
させるばかりか、入力パワーの大幅な増加を招き、全体
の効率が低下する問題があった。
そこで本発明は、イオンビーム引き出し時の急激な温度
分布の非一様性によるグリッド間隔、つまり加速用電極
板間の間隔変動を最小限に抑えることができ、もって推
進剤の利用効率の向上化ならびに入力パワーの抑制化を
図れ、大きな推進力を効率良く得られるイオンスラスタ
を提供することを目的としている。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 上記目的を達成するために、本発明は、電離プラズマを
生成するための放電容器と、この放電容器の開口部に互
いに近接して配置されるとともに、それぞれが複数のイ
オンビーム通過孔を有した複数の加速用電極板と、これ
ら加速用電極板をそれぞれ径方向に変形可能に支持する
ばね材とを備えたイオンスラスタにおいて、前記各加速
用電極板をそれぞれ放電容器側に凸となる曲率を持つ形
状に形成し、かつ上記加速用電極板のうちの負電位にバ
イアスされる加速用電極板の曲率半径を正電位にバイア
スされる加速用電極板の曲率半径より小さい値に設定し
ている。
なお、この場合、上記構成に加えて正電位にバイアスさ
れる加速用電極板のイオンビーム通過孔の開口率を周縁
部に近い程小さくすると効果的である。さらに、負電位
にバイアスされる加速用電極板のイオンビーム通過孔の
径を周縁部に近い程ほど小さくすることも効果的であ
る。
(作 用) 今、正電位にバイアスされる加速用電極板をスクリーン
グリッドとし、負電位にバイアスされる加速用電極板を
加速グリッドとすると、これら両グリッドは、それぞれ
放電容器側に凸となる曲率を持つ形状に形成されている
ことになる。そして、加速グリッドはスクリーングリッ
ドの曲率半径より小さい曲率半径を持つ形状に形成され
ていることになる。このような形状および配置である
と、従来の構成とは違って、イオンビーム引出し時に温
度分布の非一様性が生じたとき、グリッド間隔が大きく
なる傾向を示し、本質的にグリッド間の接触を回避でき
る。この場合、両グリッドの中心部間の間隔が周辺部間
の間隔より大きくなろうとするが、加速グリッドの曲率
半径がスクリーングリッドのそれより小さく設定されて
いるので、イオンビーム引き出し前の時点では中心部間
の間隔が周辺部間の間隔より小さくなっている。したが
って、イオンビーム引出し時に両グリッドの中心部間の
間隔が大きくなっても、その絶対的な間隔が大きくなる
のを抑えることができる。このため、イオンビーム引出
し時に加速グリッドでのイオンビーム径の変化を小さく
できるので、加速グリッドのイオンビーム通過孔の径を
小さくしてもイオンビームが加速グリッドへ衝突するよ
うなことはない。したがって、加速グリッドのイオンビ
ーム通過孔の径を小さくできるので、推進剤の利用効率
の向上化ならびに入力パワーの抑制化を図れ、高効率化
を実現できることになる。
(実施例) 以下、図面を参照しながら実施例を説明する。
第1図には本発明の一実施例に係るイオンスラスタを一
部切欠した斜視図が示されている。なお、この図では第
6図と同一部分が同一符号で示されている。したがっ
て、重複する部分の詳しい説明は省略する。
この実施例に係るイオンスラスタが従来のものと異なる
点は、加速用電極41を構成しているスクリーングリッド
(電極板)42と加速グリッド(電極板)43との構成にあ
る。
すなわち、スクリーングリッド42と加速グリッド43は、
共に放電容器2側に凸となる曲率を持つ形状に形成され
ており、特に加速グリッド43は、その曲率半径がスクリ
ーングリッド42の曲率半径より所定だけ小さくなるよう
に設定されている。
スクリーングリッド42は、第2図に示すように、グリッ
ド本体44と、このグリッド本体44の周縁部に従来のグリ
ッドと同様に複数突設された板ばね11aとで構成されて
いる。グリッド本体44には、径方向に複数の領域45,46,
47が設定されており、これら領域には周縁部に位置する
領域程、開口率が小さくなるように孔径または孔間隔を
変えたイオンビーム通過孔48,49,50が形成されている。
すなわち、この例では領域45の開口率が一番大きく、次
に領域46が大きく、領域47が最も小さい開口率に設定さ
れている。このような開口率の設定によって、特に周縁
部が熱的に補強され、イオンビームの引き出し時の急激
な温度変化に耐えられるようになっている。
加速グリッド43は、第3図に示すように、グリッド本体
51と、このグリッド本体51の周縁部に従来のグリッドと
同様に複数突設された板ばね11bとで構成されている。
グリッド本体51には、径方向に複数の領域52,53,54が設
定されており、これら領域には周縁部に位置する領域
程、孔径が小ささいイオンビーム通過孔55,56,57が形成
されている。すなわち、これらイオンビーム通過孔55,5
6,57は、それぞれが設けられている位置におけるイオン
ビーム径より少し大きめに設定されている。
上記のように構成されたスクリーングリッド42および加
速グリッド43が凸面を放電容器2側に向けて第1図に示
すように装着されている。
このように構成されたイオンスラスタでは、イオンビー
ム引出し開始時に次のような現象、特にスクリーングリ
ッド42と加速グリッド43との熱変形現象が次のようにな
る。
前述の如く、スクリーングリッド42および加速グリッド
43は凸面を放電容器2側に向けて配置されており、また
加速グリッド43の曲率半径はスクリーングリッド42の曲
率半径より小さく設定されているので、これら2つのグ
リッドは第4図(a)に示すように配置されていること
になる。この図から判るように、両グリッドの中心部間
の間隔は周辺部間の間隔より狭い。
放電のみを行ってイオンビームを引出していないときの
スクリーングリッド42と加速グリッド43の温度分布はほ
ぼ一様であり、このとき板ばね11a,11bが全ての伸び分
を吸収する。したがって、両グリッドの相対位置関係は
第4図(a)に示す関係に保持される。
次に、両グリッド42,43に電圧を印加し、イオンビーム
を引出すと、加速グリッド43の表面まできていた電離プ
ラズマがスクリーングリッド42の表面まで後退する。こ
の後退によって加速グリッド43の特の中心領域の温度が
急激に低下する。また、イオンビームを引き出すと,放
電容器内のXeガス圧力が低下し、電子温度の上昇と放電
電圧の上昇とを引き起こし、入力パワーが増加する。こ
の増加によってスクリーングリッド42への熱入力が増加
し、スクリーングリッド42の温度が急激に上昇する。こ
のように、各グリッドの温度分布には一時的に非一様性
が生じる。
この温度分布の非一様性によって、スクリーングリッド
42および加速グリッド43に局所的な熱変形が生じる。こ
の場合、スクリーングリッド42では、熱変形が起り易い
周縁部の開口率が中心部より小さな値に設定されて周縁
部が熱的に強化されているので、周縁部の非開口部への
応力集中が少ない。したがって、加速グリッド43への接
触を起こすような熱変形の発生は少ない。
一方、加速グリッド43では、温度分布の非一様性の過程
が大きいので、特に中心領域の曲率半径が大きくなるよ
うに熱変形する。この熱変形によって、第4図(b)に
示すように、両グリッド42,43の特に中心部間の間隔が
広くなる。しかし、加速グリッド43の曲率半径が予めス
クリーングリッド42の曲率半径より所定だけ小さく設定
されており、これによって両グリッドの中心部間の間隔
が周辺部間の間隔より狭く設定されているので、両グリ
ッドとして同じ曲率のものを使用した場合に比べて、両
グリッドの中心部間の間隔の広がりは小さい。したがっ
て、加速グリッド43の中心部においてレンズ効果が大幅
に低下し、イオンビームの径が大幅に大きくなるような
ことはない。
このことを、第5図を参照しながら詳しく説明する。第
5図(a)はイオンビーム引出し開始直後の時点におけ
るスクリーングリッド42と加速グリッド43との位置関係
およびイオンビームIの様子を示している。イオンビー
ム引出し開始直後の時点でほ温度分布の非一様性が現れ
ていないので、両グリッドの中心部間の間隔dSAは極め
て小さい。このため、イオンビームIの加速グリッド43
近傍における径DBは、レンズ効果で極めて小さくなって
いる。
イオンビーム引出し開始時点から若干時間が経過する
と、前述した理由で温度分布の非一様性が起り、これが
原因して加速グリッド43の曲率半径が大きくなり、第5
図(b)に示すように、両グリッドの中心部の間隔dSA
が、たとえば0.7mm程度大きくなる。今、第5図(a)
の状態における両グリッドの中心部間の間隔dSAが0.4mm
程度に設定され、周辺部間の間隔dSAが0.8mm程度に設定
されているとすると、第5図(b)の状態では両グリッ
ドの中心部間の間隔dSAが0.4+0.7=1.1mm程度になる。
仮に、両グリッドとして同じ曲率半径のものを用い、中
心部間および周辺部間の間隔を0.8mm程度(周辺部での
両グリッドの接触を回避できる最小値)に設定された場
合には、イオンビーム引出し開始時点から若干時間が経
過した時点で両グリッドの中心部間の間隔dSAが1.5mm程
度にもなる。この間隔ではレンズ効果が急激に弱まり、
加速グリッドの近傍でイオンビームIの径DBが極めて大
きくなる。したがって、この場合には、イオンビームI
を加速グリッドへ衝突させないために加速グリッドの中
心部に設けられるイオンビーム通過孔の径を大きくしな
ければならないことになる。
しかし、上述した説明から判るように、本実施例に示す
構成を採用すると、イオンビーム引出し開始時点から5
分間程の間に起る両グリッド間の間隔の広がりをレンズ
効果が十分に期待できる範囲に抑えることができる。し
たがって、加速グリッド43に設けられるイオンビーム通
過孔、特に中心部に設けられるイオンビーム通過孔55の
径を従来より小さくできることになる。
上述した温度分布の非一様性に起因してスクリーングリ
ッド42および加速グリッド43に局所的な熱変形が生じる
期間は5分間程度で、その後は徐々に第4図(a)に示
すようになり、約80分後には過渡期が終り、安定状態へ
移行する。
このように、本実施例によれば、加速グリッド43に設け
られるイオンビーム通過孔の孔径を従来のものより小さ
くできる。このため、推進剤の利用効率を高めることが
でき、また放電容器2内の圧力低下を抑制できるので入
力パワーの増加も抑制できることになり、推進力を増加
させようとしたときに起る効率の低下を抑制できる。
また、実施例の構成では、両グリッド間の間隔は、周縁
部間より中心部間の方が大きく変化することになる。し
たがって、実施例のように加速グリッド43を径方向に複
数の領域52,53,54に分け、これら領域に周縁部に位置す
る領域程、孔径が小さいイオンビーム通過孔55,56,57を
設けるようにすると、イオンビームの衝突を確実に回避
でき、しかも平均孔径が最小の加速グリッドを構成でき
ることになる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではない。
すなわち、上記実施例では、推進剤としてXeガスを用い
ているが、Xeガスに限定されるものではない。また、上
記実施例は本発明を電子衝撃型のイオンスラスタに適用
した例であるが、本発明は高周波型のイオンスラスタに
も同様に適用可能である。さらに、本発明は、その要旨
を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論で
ある。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、イオンビーム引
出し時の温度分布の非一様性に由来する加速グリッドの
急激な湾曲によって起こるグリッド間隔の増加を抑制で
き、これによって加速グリッドに設けられるイオンビー
ム通過孔の孔径を小さくできるので、高推力化を図ろう
としたとき問題となる効率の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係るイオンスラスタの主要
部を示す一部切欠斜視図、第2図は同イオンスラスタに
組込まれたスクリーングリッドの正面図、第3図は同イ
オンスラスタに組込まれた加速グリッドの正面図、第4
図は同イオンスラスタにおいてイオンビーム引出し開始
時にスクリーングリッドと加速グリッドとに起る熱変形
現象を説明するための図、第5図は同イオンスラスタに
おいてイオンビーム引出し開始時に起るイオンビーム径
の変化を説明するための図、第6図は従来のイオンスラ
スタの主要部を示す一部切欠斜視図、第7図は同イオン
スラスタに組込まれたスクリーングリッドの正面図、第
8図は同イオンスラスタに組込まれた加速グリッドの正
面図、第9図は同イオンスラスタに組込まれた各グリッ
ドの支持構造を示す要部拡大斜視図、第10図は第9図に
おけるIV−IV線に沿って切断し矢印方向に見た断面図、
第11図および第12図は従来のイオンスラスタの問題点を
説明するための図である。 1……スラスタケース、2……放電容器、3……ホロー
カソード、4……推進剤導入系、9……中和器、10……
磁石、11a,11b……板ばね、41……加速電極、42……ス
クリーングリッド(電極板)、43……加速グリッド(電
極板)、44,51……グリッド本体、45,46,47,52,53,53…
…領域、48,49,50,55,56,57……イオンビーム通過孔、
I……イオンビーム。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電離プラズマを生成するための放電容器
    と、この放電容器の開口部に互いに近接して配置される
    とともに、それぞれが複数のイオンビーム通過孔を有し
    た複数の加速用電極板と、これら加速用電極板をそれぞ
    れ径方向に変形可能に支持するばね材とを備えたイオン
    スラスタにおいて、前記各加速用電極板はそれぞれ放電
    容器側に凸となる曲率を持つ形状に形成され、上記加速
    用電極板のうちの負電位にバイアスされる加速用電極板
    はその曲率半径が正電位にバイアスされる加速用電極板
    の曲率半径より小さい値に設定されてなることを特徴と
    するイオンスラスタ。
  2. 【請求項2】前記加速用電極板のうちの正電位にバイア
    スされる加速用電極板は、周縁部に近い程、前記イオン
    ビーム通過孔の開口率が小さいことを特徴とする請求項
    1に記載のイオンスラスタ。
  3. 【請求項3】前記加速用電極板のうちの負電位にバイア
    スされる加速用電極板は、周縁部に近い程、孔径の小さ
    いイオンビーム通過孔を備えていることを特徴とする請
    求項1に記載のイオンスラスタ。
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