JP7224031B2 - イオンスラスタ - Google Patents
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Description
イオンスラスタは、放電室において推進剤を電離させ、放電室内にプラズマを生成し、静電加速部において、プラズマからイオンを引き出して加速して外部へ送り出し推力を得る。その際に、イオンの放出により衛星等の電位が低下することを避けるため、中和用陰極からイオンと等量の電子を放出する。
平板グリッドシステムは、設計が容易でかつ安価に製造できるという利点があるが、動作範囲に課題がある。この課題は、イオンの引き出し状態が、グリッドの中央部と周縁部とでは異なることに起因している。図6~図8は、従来の平板グリッドシステムによる陽イオンの引き出し状態の概略を示す断面図である。図6~図8において、符号301はスクリーングリッド、符号302はアクセルグリッド、符号303はスクリーングリッド301とアクセルグリッド302を総称するグリッドシステム、符号400は放電室内に発生したプラズマを示す。
より詳細に説明すると、イオン引き出し面400aの形状は、プラズマ密度とスクリーングリッド302とアクセルグリッド301の間の電場により決定する。そして、グリッド間の電場は各グリッドの電位、各グリッドの貫通孔の孔径およびグリッド間隔により決定する。これらを適切に選択すると、イオン引き出し面400aは凹状になり、スクリーングリッド貫通孔301aからアクセルグリッド貫通孔302aを通じて加速されたイオン500の軌道と孔の中心軸600のなす角度は小さい。このときイオン500の集団であるイオンビームレット500aは過大に発散していない状態になる。
例えば、イオンスラスタを静止衛星に適用した場合、図7および図8に示したような、イオンの軌道が貫通孔302aの中心軸600に対して大きな角度を持っていると、太陽電池パネルにイオンが衝突しないようにイオンスラスタの設置角度に大きな制約が生じる。また、ある時間内で必要な姿勢制御を行うための推力を得るために、イオンスラスタの大型化や推進剤の大量消費を伴う可能性がある。
本発明は、放電室と、前記放電室の開口部に配置されたスクリーングリッドと、前記スクリーングリッドから間隔を置いて、前記スクリーングリッドに重なるように配置されたアクセルグリッドと、を有するイオンスラスタであって、前記アクセルグリッドは厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を、前記アクセルグリッドの中央部から周縁部に有し、前記アクセルグリッドの前記周縁部において、前記貫通孔は、前記アクセルグリッドにおける前記スクリーングリッド側の面に、前記スクリーングリッド側に拡径する第1の拡径部を有し、前記アクセルグリッドの前記中央部において、前記貫通孔は、前記アクセルグリッドにおける前記スクリーングリッドとは反対側の面に、前記スクリーングリッドとは反対側に拡径する第2の拡径部を有することを特徴とする。
以下、図1を参照して、本実施形態のイオンスラスタについて説明する。
図1は、本実施形態のイオンスラスタの概略構成を示す断面図である。図2は、本実施形態のイオンスラスタのグリッドの概略構成を示す断面図である。
本実施形態のイオンスラスタ10は、図1に示すように、放電室20と、アノード30と、スクリーングリッド40と、アクセルグリッド50と、ディセルグリッド60と、を有する。
本実施形態に係るイオンスラスタ10は直流放電型のプラズマ発生機構を用いているが、他の方式を採用したイオンスラスタであってもよい。例えば、特開平4-86376号公報に記載されたRadio Frequency(RF)型や特開平3-145578号公報に記載されたElectron Cyclotron Resonance(ECR)型等であってもよい。
スクリーングリッド40は、放電室20の開口部20cに、放電室20を塞ぐように配置されている。
アクセルグリッド50は、図1に示すように、放電室20とは反対側にて、スクリーングリッド40から間隔を置いて、スクリーングリッド40とアクセルグリッド貫通孔51とスクリーングリッド貫通孔41の平面視が重なるように配置されている。
図3において、スクリーングリッド40は、その厚さ方向に貫通する複数のスクリーングリッド貫通孔41、取付孔42および取付孔43を有している。
取付孔42および取付孔43は、イオンの抽出・加速には関係せず、スクリーングリッド40を固定する目的で使用する。スクリーングリッド40だけでなく、後述するアクセルグリッド50およびディセルグリッド60も同様に複数のアクセルグリッド貫通孔51および複数のディセルグリッド貫通孔をそれぞれ有している。1つのスクリーングリッド貫通孔41に対して、そこから引き出されたイオンが加速し通過する1つのアクセルグリッド貫通孔51およびディセルグリッド貫通孔が存在する。これらの貫通孔は、中心軸線A方向に対して同軸になるように配置されることが一般的である。
ディセルグリッド60は、図1に示すように、放電室20とは反対側にて、アクセルグリッド50から間隔を置いて、アクセルグリッド50とアクセルグリッド貫通孔51とスクリーングリッド貫通孔41の平面視が重なるように配置されている。
なお、本実施形態では、スクリーングリッド40、アクセルグリッド50およびディセルグリッド60の形状はいずれも平面視円板状としたが、多角形状、その他任意の形状であってもよい。
なお、アクセルグリッド50の周縁部50Aとは、アクセルグリッド50のうち、放電室の中心軸近傍の高いプラズマ密度に対応する部分である。
なお、アクセルグリッド50の中央部50Bとは、アクセルグリッド50のうち、放電室20の中央部に配置されたホローカソード22に対向する部分である。
本実施形態のイオンスラスタ10では、放電室20内におけるプラズマ80の密度が低い周縁部に対向する、アクセルグリッド50の周縁部50Aでは、アクセルグリッド貫通孔51が、アクセルグリッド50のスクリーングリッド40側の面50aに、スクリーングリッド40側に拡径する上流側拡径部52を有する。また、放電室20内におけるプラズマ80の密度が高い中央部に対向する、アクセルグリッド50の中央部50Bでは、アクセルグリッド貫通孔51が、アクセルグリッド50のスクリーングリッド40とは反対側の面50bに、スクリーングリッド40とは反対側に拡径する下流側拡径部53を有する。さらに、放電室20内におけるプラズマ80の密度が高い中央部とプラズマ80の密度が低い周縁部との間の中間部に対向する、アクセルグリッド50の中間部50Cでは、アクセルグリッド貫通孔51が、上記の上流側拡径部52や下流側拡径部53を有さない。
また、アクセルグリッド50の中央部50Bにおいて、アクセルグリッド貫通孔51がスクリーングリッド40とは反対側の面50bに、スクリーングリッド40とは反対側に拡径する下流側拡径部53を有するため、陽イオン90がアクセルグリッド50に衝突することを防ぐことができる。詳細には、アクセルグリッド50の中央部50Bにおいて、アクセルグリッド貫通孔51が、アクセルグリッド50のスクリーングリッド40とは反対側の面50aに、スクリーングリッド40とは反対側に拡径する下流側拡径部53を有することにより、プラズマ80の引き出し面80aがスクリーングリッド40寄りの位置にあり、放電室20から引き出される陽イオン90の束(イオンビームレット90a)が太くても、イオンビームレットイオン90aの外縁側にある陽イオン90がアクセルグリッド50のアクセルグリッド貫通孔51の開口部等に衝突することを防止することができる。
また、本実施形態のイオンスラスタ10によれば、上流側拡径部52に加えて下流側拡径部53を有するので、イオンスラスタ10の推力を上げた際に、プラズマ密度が上昇して各貫通孔から引き出されるイオンビームレット90aの発散が過大になってもイオンがアクセルグリッド50に衝突することを低減でき、推力の得られる動作範囲を広くすることができる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定するものではない。
なお、アクセルグリッド100の周縁部100Aとは、アクセルグリッド100のうち、放電室20の周縁部に対向する部分である。
なお、アクセルグリッド100の中央部100Bとは、アクセルグリッド100のうち、放電室20の中央部に配置されたホローカソード22に対向する部分である。
また、アクセルグリッド100の中央部100Bにおいて、アクセルグリッド貫通孔101がスクリーングリッド40とは反対側の面100bに、スクリーングリッド40とは反対側に拡径する下流側拡径部103を有するため、陽イオン90がアクセルグリッド50に衝突することを防ぐことができる。詳細には、アクセルグリッド100の中央部100Bにおいて、アクセルグリッド貫通孔101が、アクセルグリッド100のスクリーングリッド40とは反対側の面100bに、スクリーングリッド40とは反対側に拡径する下流側拡径部103を有することにより、プラズマ80の引き出し面80aがスクリーングリッド40寄りの位置にあり、放電室20から引き出される陽イオン90の束(イオンビームレット90a)が太くても、イオンビームレットイオン90aの外縁側にある陽イオン90がアクセルグリッド100のアクセルグリッド貫通孔101の開口部等に衝突することを防止し、グリッド100にわたって貫通孔からのイオンビームレット90aが過大に発散しないようにすることができる。その結果として、推力範囲を広く取ることができるようになる。
また、上記の実施形態では、アクセルグリッド50が上流側拡径部52と下流側拡径部53を有し、アクセルグリッド100が上流側拡径部102と下流側拡径部103を有する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明のイオンスラスタは、アクセルグリッドが、第1の拡径部に相当する上流側拡径部および第2の拡径部に相当する下流側拡径部のうち少なくとも一方を有していればよい。また、上流側拡径部52、下流側拡径部53、上流側拡径部102、下流側拡径部103が混在してもよい。
20 放電室
30 アノード
40 スクリーングリッド
41 貫通孔
50,100 アクセルグリッド
50A,101A 周縁部
50B,101B 中央部
50C,101C 中間部
51,101 貫通孔
52,102 上流側拡径部
53,103 下流側拡径部
60 ディセルグリッド
Claims (7)
- 放電室と、前記放電室の開口部に配置されたスクリーングリッドと、前記スクリーングリッドから間隔を置いて、前記スクリーングリッドに重なるように配置されたアクセルグリッドと、を有するイオンスラスタであって、
前記アクセルグリッドは厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を、前記アクセルグリッドの中央部から周縁部に有し、
前記アクセルグリッドの前記周縁部において、前記貫通孔は、前記アクセルグリッドにおける前記スクリーングリッド側の面に、前記スクリーングリッド側に拡径する第1の拡径部を有し、
前記アクセルグリッドの前記中央部において、前記貫通孔は、前記アクセルグリッドにおける前記スクリーングリッドとは反対側の面に、前記スクリーングリッドとは反対側に拡径する第2の拡径部を有することを特徴とするイオンスラスタ。 - 前記アクセルグリッドにおける前記周縁部と前記中央部の間の部分において、前記貫通孔は、前記厚さ方向の全長にわたって内径が等しいことを特徴とする請求項1に記載のイオンスラスタ。
- 前記第1の拡径部は、前記アクセルグリッドにおける前記スクリーングリッド側の面から前記スクリーングリッドとは反対側に窪む凹部であることを特徴とする請求項1または2に記載のイオンスラスタ。
- 前記第2の拡径部は、前記アクセルグリッドにおける前記スクリーングリッドとは反対側の面から前記スクリーングリッド側に窪む凹部であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のイオンスラスタ。
- 前記第1の拡径部は、前記アクセルグリッドにおける前記スクリーングリッド側の面から前記スクリーングリッドとは反対側に次第に縮径するテーパ部であることを特徴とする請求項1または2に記載のイオンスラスタ。
- 前記第2の拡径部は、前記アクセルグリッドにおける前記スクリーングリッドとは反対側の面から前記スクリーングリッド側に次第に縮径するテーパ部であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のイオンスラスタ。
- 前記アクセルグリッドおよび前記スクリーングリッドは、平板グリッドであることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のイオンスラスタ。
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