JP7224031B2 - イオンスラスタ - Google Patents

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Description

本発明は、イオンスラスタに関する。
例えば、人工衛星等の宇宙構造物の軌道制御、南北位置保持、推進等に、イオンスラスタが用いられている。
イオンスラスタは、放電室において推進剤を電離させ、放電室内にプラズマを生成し、静電加速部において、プラズマからイオンを引き出して加速して外部へ送り出し推力を得る。その際に、イオンの放出により衛星等の電位が低下することを避けるため、中和用陰極からイオンと等量の電子を放出する。
直流放電型イオンスラスタの静電加速部は、2枚または3枚のグリッドから構成されているグリッドシステムである。それぞれのグリッドは、放電室側から順に、スクリーングリッド、アクセルグリッド、ディセルグリッドと呼ばれる。ディセルグリッドは、省略される場合がある。それぞれのグリッドは、厚さが1mm程度であり、厚さ方向に貫通する直径2mm程度の多数の貫通孔を有する。また、それぞれのグリッドは、1mm程度の間隔で固定される。さらに、それぞれのグリッドは、電源によって、例えば、+1000V、-300V、0Vといった電位が印加される。放電室からスクリーングリッドの貫通孔を介して引き出された陽イオンは、スクリーングリッドとアクセルグリッドの間の電場によって加速され、宇宙空間へ放出される(例えば、特許文献1、2参照)。
グリッドには皿状と平板状のものがあり、平板グリッドシステムは、曲率を持たない平板のスクリーングリッドとアクセルグリッドから構成されるか、あるいは、それらに加えてディセルグリッドから構成されるグリッドシステムである。
平板グリッドシステムは、設計が容易でかつ安価に製造できるという利点があるが、動作範囲に課題がある。この課題は、イオンの引き出し状態が、グリッドの中央部と周縁部とでは異なることに起因している。図6~図8は、従来の平板グリッドシステムによる陽イオンの引き出し状態の概略を示す断面図である。図6~図8において、符号301はスクリーングリッド、符号302はアクセルグリッド、符号303はスクリーングリッド301とアクセルグリッド302を総称するグリッドシステム、符号400は放電室内に発生したプラズマを示す。
グリッドシステムにおける陽イオンの引き出しは、放電室内のプラズマ密度、グリッド間の間隔、グリッド間の電位差の影響を受ける。すなわち、陽イオンの引き出しを望ましい状態にするには、プラズマ密度と電位差に対応する最適なグリッド間隔が存在する。望ましい状態とは、許容できるイオンビームの発散角の下で、推力を増やすためにより多くのイオンを抽出する状態で、図6に示すような状態である。すなわち、陽イオン500がアクセルグリッド302に衝突することなく、外部に放出されている。
より詳細に説明すると、イオン引き出し面400aの形状は、プラズマ密度とスクリーングリッド302とアクセルグリッド301の間の電場により決定する。そして、グリッド間の電場は各グリッドの電位、各グリッドの貫通孔の孔径およびグリッド間隔により決定する。これらを適切に選択すると、イオン引き出し面400aは凹状になり、スクリーングリッド貫通孔301aからアクセルグリッド貫通孔302aを通じて加速されたイオン500の軌道と孔の中心軸600のなす角度は小さい。このときイオン500の集団であるイオンビームレット500aは過大に発散していない状態になる。
プラズマ400の密度が低くなると、図7に示すように、プラズマ400における陽イオン500のイオン引き出し面400aが後退する。すると、引き出された陽イオン500の軌道が交差して、イオンビームレット500aが大きく発散する。陽イオン500が大きく拡散すると、推力に寄与するエネルギーの割合が減少する。また、アクセルグリッド302の貫通孔302aに陽イオン500が衝突し、アクセルグリッド302が損耗し、長期的に継続すると、イオンを引き出せなくなってしまう。
一方、プラズマ400の密度が高くなると、図8に示すように、プラズマ400における陽イオン500のイオン引き出し面400aがアクセルグリッド302に近づく方向に移動する。すると、貫通孔の中心軸600aと引き出される陽イオン500の軌道のなす角度は大きくなり、イオンビームレット500aは大きく拡散する。陽イオン500が大きく拡散すると、推力に寄与するエネルギーの割合が減少する。また、アクセルグリッド302の貫通孔302aに陽イオン500が衝突し、アクセルグリッド302が損耗する。
放電室内のプラズマ密度は均一ではなく、同一グリッド上のある場所ではイオンの引き出しが望ましくない状態になっている場合がある。一例としては、直流放電型イオンスラスタでは一般にグリッドの中央でプラズマ密度が最も高く、グリッドの周縁部に向かってプラズマ密度が低くなっている。そのため、グリッドの中央部と周縁部との間の部分において、図6に示すように、イオンビームレット500aが過大に拡散していない状態であると、グリッド303の周縁部に向かうに従って、図7に示すように、プラズマ400の密度が低くなる。すると、スクリーングリッド301とアクセルグリッド302の間隔が一定であるため、図7に示すように、グリッド303の周縁部の孔では、イオンビームレット500aの拡散が大きくなる。
すなわち、推力を下げようとすると、放電室全体のプラズマ密度が下がって、グリッドの周縁部の貫通孔でプラズマ密度が極端に下がり、図7に示すように、イオンビームレット500aが大きく拡散し、最悪の場合、陽イオン500がアクセルグリッド302の貫通孔302aに衝突する。このように陽イオン500がアクセルグリッド302の貫通孔302aに衝突するときのプラズマ密度分布に相当する推力を、推力の下限とする。これに対して、推力を上げようとすると、放電室のプラズマ密度が上がり、図8に示すように、イオンビームレット500aが大きく拡散し、最悪の場合、陽イオン500がアクセルグリッド302の貫通孔302aの開口部等に衝突する。このように陽イオン500がアクセルグリッド302の貫通孔302aの開口部等に衝突するときのプラズマ密度分布に相当する推力を、推力の上限とする。従来、このような推力の下限および上限により、平板グリッドシステムは、動作範囲が著しく狭かった。
また、イオンの軌道がアクセルグリッド302の貫通孔302aの中心軸600に対して大きな角度を持つと、推力に寄与しない速度成分が増え、運動量が小さくなり、イオンスラスタの見かけ上の実効的な推力が減少する。
例えば、イオンスラスタを静止衛星に適用した場合、図7および図8に示したような、イオンの軌道が貫通孔302aの中心軸600に対して大きな角度を持っていると、太陽電池パネルにイオンが衝突しないようにイオンスラスタの設置角度に大きな制約が生じる。また、ある時間内で必要な姿勢制御を行うための推力を得るために、イオンスラスタの大型化や推進剤の大量消費を伴う可能性がある。
特開2003-139044号公報 特開2003-201957号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、グリッド全体にわたってグリッドの貫通孔からのイオンビームレットが過大に発散しないようにすることができ、推力範囲を広く取ることができる平板グリッドを用いた静電加速部を有するイオンスラスタを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明は、放電室と、前記放電室の開口部に配置されたスクリーングリッドと、前記スクリーングリッドから間隔を置いて、前記スクリーングリッドに重なるように配置されたアクセルグリッドと、を有するイオンスラスタであって、前記アクセルグリッドは厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を、前記アクセルグリッドの中央部から周縁部に有し、前記アクセルグリッドの前記周縁部において、前記貫通孔は、前記アクセルグリッドにおける前記スクリーングリッド側の面に、前記スクリーングリッド側に拡径する第1の拡径部を有し、前記アクセルグリッドの前記中央部において、前記貫通孔は、前記アクセルグリッドにおける前記スクリーングリッドとは反対側の面に、前記スクリーングリッドとは反対側に拡径する第2の拡径部を有することを特徴とする。
この発明に係るイオンスラスタによれば、グリッド全体にわたってグリッドの貫通孔からのイオンビームレットが過大に発散しないようにすることができる。その結果として、推力範囲を広く取ることができるようになる。
本発明の実施形態に係るイオンスラスタの概略構成を示す断面図である。 本発明の実施形態に係るイオンスラスタのグリッドの概略構成を示す断面図である。 本発明の実施形態に係るイオンスラスタのグリッドの概略構成を示す正面図である。 本発明の実施形態に係るイオンスラスタの放電室内におけるプラズマ密度の分布を示す図である。 本発明の実施形態に係るイオンスラスタのグリッドの変形例の概略構成を示す断面図である。 従来の平板グリッドシステムによる陽イオンの引き出し状態の概略を示す断面図である。 従来の平板グリッドシステムによる陽イオンの引き出し状態の概略を示す断面図である。 従来の平板グリッドシステムによる陽イオンの引き出し状態の概略を示す断面図である。
[イオンスラスタ]
以下、図1を参照して、本実施形態のイオンスラスタについて説明する。
図1は、本実施形態のイオンスラスタの概略構成を示す断面図である。図2は、本実施形態のイオンスラスタのグリッドの概略構成を示す断面図である。
本実施形態のイオンスラスタ10は、図1に示すように、放電室20と、アノード30と、スクリーングリッド40と、アクセルグリッド50と、ディセルグリッド60と、を有する。
放電室20は、非磁性体の金属製円筒20aと鉄製の底板20bと鉄製の下流側ホールピース20cからなる気密構造をなしている。金属製円筒20aの外側には複数本の棒磁石21があり、棒磁石21は、底板20bと下流側ホールピース20cに挟まれている。棒磁石21は永久磁石の場合と、電磁石の場合と、永久磁石と電磁石を組み合わせた場合がある。棒磁石21と底板20bと上流側ポールピース23と下流側ホールピース20cで磁気回路を構成し、放電室20の内側に磁力線80を発生させている。放電室20の底板20bの中央部には電子を放出するホローカソード22が設けられている。また、放電室20の底板20bには、例えば、キセノンのような推進剤を放電室20の内部に供給する推進剤供給口が設けられることもある。さらに、金属製円筒20aの内側には、金属製円筒状のアノード30が設けられている。このアノード30は、ホローカソード22よりも電位が高く保持されている。従って、ホローカソード22から発生した電子の大部分は最終的にアノード30に到達する。この過程で電子は推進剤原子と衝突して電離させ、イオンが生成する。その結果として放電室20内にプラズマが生成する。電子は磁力線の方向には移動しやすいが、磁力線を横切る方向には動き難い性質を持っていることを利用して、磁力線80を発生させることにより放電室20内に電子が滞留する時間を増やし、電離する確率を高めている。
本実施形態に係るイオンスラスタ10は直流放電型のプラズマ発生機構を用いているが、他の方式を採用したイオンスラスタであってもよい。例えば、特開平4-86376号公報に記載されたRadio Frequency(RF)型や特開平3-145578号公報に記載されたElectron Cyclotron Resonance(ECR)型等であってもよい。
スクリーングリッド40は、平面視円板状をなしている。スクリーングリッド40は、図2に示すように、厚さ方向に貫通する複数のスクリーングリッド貫通孔41を有する。
スクリーングリッド40は、放電室20の開口部20cに、放電室20を塞ぐように配置されている。
アクセルグリッド50は、平面視円板状をなしている。アクセルグリッド50は、図2に示すように、厚さ方向に貫通する複数のアクセルグリッド貫通孔51を有する。アクセルグリッド貫通孔51は、本発明に係る貫通孔に相当する。
アクセルグリッド50は、図1に示すように、放電室20とは反対側にて、スクリーングリッド40から間隔を置いて、スクリーングリッド40とアクセルグリッド貫通孔51とスクリーングリッド貫通孔41の平面視が重なるように配置されている。
図3は、スクリーングリッド40を示す概略正面図である。
図3において、スクリーングリッド40は、その厚さ方向に貫通する複数のスクリーングリッド貫通孔41、取付孔42および取付孔43を有している。
取付孔42および取付孔43は、イオンの抽出・加速には関係せず、スクリーングリッド40を固定する目的で使用する。スクリーングリッド40だけでなく、後述するアクセルグリッド50およびディセルグリッド60も同様に複数のアクセルグリッド貫通孔51および複数のディセルグリッド貫通孔をそれぞれ有している。1つのスクリーングリッド貫通孔41に対して、そこから引き出されたイオンが加速し通過する1つのアクセルグリッド貫通孔51およびディセルグリッド貫通孔が存在する。これらの貫通孔は、中心軸線A方向に対して同軸になるように配置されることが一般的である。
グリッドの材料としてはスッパタリング耐性が優れるモリブデンがよく用いられる。 モリブデンをはじめとする金属材料は熱膨張を起こすため、各グリッドの熱膨張時の変形の方向を放電室に対して凸または凹に揃えるために、あらかじめ各グリッドを皿状にし、それぞれのグリッドの曲率を適切に設計する方法が一般的である。また、グリッド毎に曲率を適切に設計することで、グリッド間の距離を制御することができる。金属材料以外のグリッド材料としては、炭素系材料が挙げられる。炭素系材料としては、例えば、グラファイトやカーボンカーボン(C/C)等が挙げられる。炭素系材料は、モリブデン以上のスパッタリング耐性があり、線膨張係数が極めて小さい。そのため、炭素系材料は、曲率を持たせる必要がなく平板でグリットを作製でき、設計・製造が容易であり、コストの点で皿状のグリッドよりも優れている。
ディセルグリッド60は、平面視円板状をなしている。ディセルグリッド60は、厚さ方向に貫通する多数のディセルグリッド貫通孔(図示略)を有する。
ディセルグリッド60は、図1に示すように、放電室20とは反対側にて、アクセルグリッド50から間隔を置いて、アクセルグリッド50とアクセルグリッド貫通孔51とスクリーングリッド貫通孔41の平面視が重なるように配置されている。
すなわち、スクリーングリッド40、アクセルグリッド50およびディセルグリッド60は、この順に放電室20側から配置されている。
なお、本実施形態では、スクリーングリッド40、アクセルグリッド50およびディセルグリッド60の形状はいずれも平面視円板状としたが、多角形状、その他任意の形状であってもよい。
図2に示すように、アクセルグリッド50の周縁部50Aにおいて、アクセルグリッド貫通孔51は、アクセルグリッド50のスクリーングリッド40側の面50aに、スクリーングリッド40側に内径が拡径する上流側拡径部52を有する。なお、図2では外縁部-中央部-外縁部の孔数を5としたが、5に限るものではなく、いくつでもよい。上流側拡径部52は、本発明に係る第1の拡径部に相当する。詳細には、上流側拡径部52は、アクセルグリッド50におけるスクリーングリッド40側の面50aからスクリーングリッド40とは反対側に窪む凹部である。
なお、アクセルグリッド50の周縁部50Aとは、アクセルグリッド50のうち、放電室の中心軸近傍の高いプラズマ密度に対応する部分である。
図2に示すように、アクセルグリッド50の中央部50Bにおいて、アクセルグリッド貫通孔51は、アクセルグリッド50のスクリーングリッド40とは反対側の面(ディセルグリッド60側の面)50bに、スクリーングリッド40とは反対側(ディセルグリッド60側)に内径が拡径する下流側拡径部53を有する。下流側拡径部53は、本発明に係る第2の拡径部に相当する。詳細には、下流側拡径部53は、アクセルグリッド50におけるスクリーングリッド40とは反対側の面50bからスクリーングリッド40側に窪む凹部である。
なお、アクセルグリッド50の中央部50Bとは、アクセルグリッド50のうち、放電室20の中央部に配置されたホローカソード22に対向する部分である。
また、図2に示すように、アクセルグリッド50における、周縁部50Aと中央部50Bの間の部分(中間部)50Cでは、アクセルグリッド貫通孔51は、上記の上流側拡径部52や下流側拡径部53を有さない。すなわち、アクセルグリッド50の中間部50Cにおいて、アクセルグリッド貫通孔51は、アクセルグリッド50の厚さ方向の全長にわたって、内径が等しくなっている。
放電室20内におけるプラズマ80の密度は、例えば、直流放電型では、図4に示すように、中央部が高く、周縁部に向かうに従って次第に低くなるように分布している。なお、本実施形態では、放電室20内におけるプラズマ80の密度が図4に示すような分布を示す場合を例示したが、本実施形態のイオンスラスタ10が適用可能なプラズマ密度はこれに限定されない。本実施形態のイオンスラスタ10は、いかなるプラズマ密度にも適用可能であり、例えば、中央部が低く、周縁部に向かうに従って次第に高くなるようなプラズマ密度にも適用可能である。
本実施形態のイオンスラスタ10では、放電室20内におけるプラズマ80の密度が低い周縁部に対向する、アクセルグリッド50の周縁部50Aでは、アクセルグリッド貫通孔51が、アクセルグリッド50のスクリーングリッド40側の面50aに、スクリーングリッド40側に拡径する上流側拡径部52を有する。また、放電室20内におけるプラズマ80の密度が高い中央部に対向する、アクセルグリッド50の中央部50Bでは、アクセルグリッド貫通孔51が、アクセルグリッド50のスクリーングリッド40とは反対側の面50bに、スクリーングリッド40とは反対側に拡径する下流側拡径部53を有する。さらに、放電室20内におけるプラズマ80の密度が高い中央部とプラズマ80の密度が低い周縁部との間の中間部に対向する、アクセルグリッド50の中間部50Cでは、アクセルグリッド貫通孔51が、上記の上流側拡径部52や下流側拡径部53を有さない。
上流側拡径部52の深さ、すなわち、アクセルグリッド50におけるスクリーングリッド40側の面50aからスクリーングリッド40とは反対側に窪む長さd1は、プラズマ80の引き出し面80aの位置が、アクセルグリッド50の中間部50Cの引き出し面80aと同程度になるように調整可能である。
下流側拡径部53の深さ、すなわち、アクセルグリッド50におけるスクリーングリッド40とは反対側の面50bからスクリーングリッド40側に窪む長さd2は、プラズマ80の引き出し面80aの位置が、アクセルグリッド50の中間部50Cの引き出し面80aと同程度になるように調整可能である。
プラズマ80の引き出し面80aとは、放電室20内の陽イオン90がスクリーングリッド40のスクリーングリッド貫通孔41やアクセルグリッド50のアクセルグリッド貫通孔51内に引き出される際の出発点と見なされる面である。本実施形態のイオンスラスタ10では、アクセルグリッド50の周縁部50Aおよび中間部50Cにおいても、プラズマ80の引き出し面80aが、スクリーングリッド40側に接近させることができる。
本実施形態のイオンスラスタ10によれば、アクセルグリッド50の周縁部50Aにおいて、貫通孔51がスクリーングリッド40側の面50aに、スクリーングリッド40側に拡径する上流側拡径部52を有するため、周縁部50Aにおいて引き出されるイオンビームレット90aが過大に発散しないようにすることができる。詳細には、アクセルグリッド50の周縁部50Aにおいて、アクセルグリッド貫通孔51が、アクセルグリッド50のスクリーングリッド40側の面50aに、スクリーングリッド40側に拡径する上流側拡径部52を有することにより、スクリーングリッド40とアクセルグリッド50の間の電場が、拡径部52の存在しない場合と比較して小さくなるため、プラズマ80の引き出し面80aをスクリーングリッド40側に接近させることができ、加速される陽イオン90の軌道とグリッド(スクリーングリッド40、アクセルグリッド50、ディセルグリッド60)の中心軸線Aのなす角度が過大にならず、陽イオン90の集合によって形づくられるイオンビームレット90aの発散を小さくすることができる。
また、アクセルグリッド50の中央部50Bにおいて、アクセルグリッド貫通孔51がスクリーングリッド40とは反対側の面50bに、スクリーングリッド40とは反対側に拡径する下流側拡径部53を有するため、陽イオン90がアクセルグリッド50に衝突することを防ぐことができる。詳細には、アクセルグリッド50の中央部50Bにおいて、アクセルグリッド貫通孔51が、アクセルグリッド50のスクリーングリッド40とは反対側の面50aに、スクリーングリッド40とは反対側に拡径する下流側拡径部53を有することにより、プラズマ80の引き出し面80aがスクリーングリッド40寄りの位置にあり、放電室20から引き出される陽イオン90の束(イオンビームレット90a)が太くても、イオンビームレットイオン90aの外縁側にある陽イオン90がアクセルグリッド50のアクセルグリッド貫通孔51の開口部等に衝突することを防止することができる。
本実施形態のイオンスラスタ10によれば、グリッドの全域において、各貫通孔から引き出されるイオンビームレットを過大に発散しないようにすることができる。その結果として、推力範囲を広く取ることができるようになる。
また、本実施形態のイオンスラスタ10によれば、上流側拡径部52に加えて下流側拡径部53を有するので、イオンスラスタ10の推力を上げた際に、プラズマ密度が上昇して各貫通孔から引き出されるイオンビームレット90aの発散が過大になってもイオンがアクセルグリッド50に衝突することを低減でき、推力の得られる動作範囲を広くすることができる。
<他の実施形態>
なお、本発明は、上記の実施形態に限定するものではない。
例えば、図5に示すような変形例に係るアクセルグリッド100を採用してもよい。なお、変形例に係るアクセルグリッド100では、前記実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図5に示す変形例に係るアクセルグリッド100は、平面視円板状をなしている。アクセルグリッド100は、図5に示すように、厚さ方向に貫通する複数のアクセルグリッド貫通孔101を有する。アクセルグリッド貫通孔101は、本発明に係る貫通孔に相当する。
図5に示すように、アクセルグリッド100の周縁部100Aにおいて、アクセルグリッド貫通孔101は、アクセルグリッド100のスクリーングリッド40側の面100aに、スクリーングリッド40側に内径が拡径する上流側拡径部102を有する。上流側拡径部102は、本発明に係る第1の拡径部に相当する。詳細には、上流側拡径部102は、アクセルグリッド100におけるスクリーングリッド40側の面100aからスクリーングリッド40とは反対側に次第に縮径するテーパ部である。
なお、アクセルグリッド100の周縁部100Aとは、アクセルグリッド100のうち、放電室20の周縁部に対向する部分である。
図5に示すように、アクセルグリッド100の中央部100Bにおいて、アクセルグリッド貫通孔101は、アクセルグリッド100のスクリーングリッド40とは反対側の面(ディセルグリッド60側の面)100bに、スクリーングリッド40とは反対側(ディセルグリッド60側)に内径が拡径する下流側拡径部103を有する。下流側拡径部103は、本発明に係る第2の拡径部に相当する。詳細には、下流側拡径部103は、アクセルグリッド100におけるスクリーングリッド40とは反対側の面100bからスクリーングリッド40側に次第に縮径するテーパ部である。
なお、アクセルグリッド100の中央部100Bとは、アクセルグリッド100のうち、放電室20の中央部に配置されたホローカソード22に対向する部分である。
また、図5に示すように、アクセルグリッド100における、周縁部100Aと中央部100Bの間の部分(中間部)100Cでは、アクセルグリッド貫通孔101は、上記の上流側拡径部102や下流側拡径部103を有さない。すなわち、アクセルグリッド100の中間部100Cにおいて、アクセルグリッド貫通孔101は、アクセルグリッド100の厚さ方向の全長にわたって、内径が等しくなっている。
上流側拡径部102の深さ、すなわち、アクセルグリッド100におけるスクリーングリッド40側の面100aからスクリーングリッド40とは反対側に縮径する長さd3は、プラズマ80の引き出し面80aが、アクセルグリッドの中間部50Cの引き出し面80aと同程度になるように調整可能である。
下流側拡径部103の深さ、すなわち、アクセルグリッド100におけるスクリーングリッド40とは反対側の面100bからスクリーングリッド40側に縮径する長さd4は、プラズマ80の引き出し面80aが、アクセルグリッドの中間部50Cの引き出し面80aと同程度になるように調整可能である。
本実施形態のイオンスラスタによれば、アクセルグリッド100の周縁部100Aにおいて、アクセルグリッド貫通孔101がスクリーングリッド40側の面100aに、スクリーングリッド40側に拡径する上流側拡径部102を有するため、周縁部50Aにおいて引き出されるイオンビームレット90aが過大に発散しないようにすることができる。その結果として、推力範囲を広く取ることができるようになる。詳細には、アクセルグリッド100の周縁部100Aにおいて、アクセルグリッド貫通孔101が、アクセルグリッド100のスクリーングリッド40側の面100aに、スクリーングリッド40側に拡径する上流側拡径部102を有することにより、プラズマ80の引き出し面80aをスクリーングリッド40側に接近させることができ、加速される陽イオン90の軌道とグリッド(スクリーングリッド40、アクセルグリッド50、ディセルグリッド60)の中心軸線Aのなす角度は過大にならず、陽イオン90の集合によって形づくられるイオンビームレット90aの発散を小さくすることができる。
また、アクセルグリッド100の中央部100Bにおいて、アクセルグリッド貫通孔101がスクリーングリッド40とは反対側の面100bに、スクリーングリッド40とは反対側に拡径する下流側拡径部103を有するため、陽イオン90がアクセルグリッド50に衝突することを防ぐことができる。詳細には、アクセルグリッド100の中央部100Bにおいて、アクセルグリッド貫通孔101が、アクセルグリッド100のスクリーングリッド40とは反対側の面100bに、スクリーングリッド40とは反対側に拡径する下流側拡径部103を有することにより、プラズマ80の引き出し面80aがスクリーングリッド40寄りの位置にあり、放電室20から引き出される陽イオン90の束(イオンビームレット90a)が太くても、イオンビームレットイオン90aの外縁側にある陽イオン90がアクセルグリッド100のアクセルグリッド貫通孔101の開口部等に衝突することを防止し、グリッド100にわたって貫通孔からのイオンビームレット90aが過大に発散しないようにすることができる。その結果として、推力範囲を広く取ることができるようになる。
本変形例のイオンスラスタによれば、平板グリッドにおいても、アクセルグリッド100の全域において、放電室20から引き出される陽イオン90がアクセルグリッド100のアクセルグリッド貫通孔101に衝突することを防止し、グリッド全体にわたって貫通孔からのイオンビームレット90aが過大に発散しないようにすることができる。その結果として、推力範囲を広く取ることができるようになる。
なお、上記の実施形態では、イオンスラスタ10がディセルグリッド60を有する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明のイオンスラスタは、ディセルグリッドを有していなくてもよい。
また、上記の実施形態では、アクセルグリッド50が上流側拡径部52と下流側拡径部53を有し、アクセルグリッド100が上流側拡径部102と下流側拡径部103を有する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明のイオンスラスタは、アクセルグリッドが、第1の拡径部に相当する上流側拡径部および第2の拡径部に相当する下流側拡径部のうち少なくとも一方を有していればよい。また、上流側拡径部52、下流側拡径部53、上流側拡径部102、下流側拡径部103が混在してもよい。
本実施の形態に係るイオンスラスタは、たとえば、人工衛星に使用することができる。例えば、静止軌道衛星に適用した場合、イオンスラスタから加速して送り出されるイオンの軌道がアクセルグリッドの貫通孔の中心軸にきわめて近い方向に揃っているので、太陽電池パネルにイオンが衝突しないようにするための、イオンスラスタの設置の制約を少なくすることができる。また、イオンスラスタの小型化や推進剤の使用量節約が可能であり、長期にわたる安定した運用が可能となる。
10 イオンスラスタ
20 放電室
30 アノード
40 スクリーングリッド
41 貫通孔
50,100 アクセルグリッド
50A,101A 周縁部
50B,101B 中央部
50C,101C 中間部
51,101 貫通孔
52,102 上流側拡径部
53,103 下流側拡径部
60 ディセルグリッド

Claims (7)

  1. 放電室と、前記放電室の開口部に配置されたスクリーングリッドと、前記スクリーングリッドから間隔を置いて、前記スクリーングリッドに重なるように配置されたアクセルグリッドと、を有するイオンスラスタであって、
    前記アクセルグリッドは厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を、前記アクセルグリッドの中央部から周縁部に有し、
    前記アクセルグリッドの前記周縁部において、前記貫通孔は、前記アクセルグリッドにおける前記スクリーングリッド側の面に、前記スクリーングリッド側に拡径する第1の拡径部を有し、
    前記アクセルグリッドの前記中央部において、前記貫通孔は、前記アクセルグリッドにおける前記スクリーングリッドとは反対側の面に、前記スクリーングリッドとは反対側に拡径する第2の拡径部を有することを特徴とするイオンスラスタ。
  2. 前記アクセルグリッドにおける前記周縁部と前記中央部の間の部分において、前記貫通孔は、前記厚さ方向の全長にわたって内径が等しいことを特徴とする請求項1に記載のイオンスラスタ。
  3. 前記第1の拡径部は、前記アクセルグリッドにおける前記スクリーングリッド側の面から前記スクリーングリッドとは反対側に窪む凹部であることを特徴とする請求項1または2に記載のイオンスラスタ。
  4. 前記第2の拡径部は、前記アクセルグリッドにおける前記スクリーングリッドとは反対側の面から前記スクリーングリッド側に窪む凹部であることを特徴とする請求項~3のいずれか1項に記載のイオンスラスタ。
  5. 前記第1の拡径部は、前記アクセルグリッドにおける前記スクリーングリッド側の面から前記スクリーングリッドとは反対側に次第に縮径するテーパ部であることを特徴とする請求項1または2に記載のイオンスラスタ。
  6. 前記第2の拡径部は、前記アクセルグリッドにおける前記スクリーングリッドとは反対側の面から前記スクリーングリッド側に次第に縮径するテーパ部であることを特徴とする請求項~3のいずれか1項に記載のイオンスラスタ。
  7. 前記アクセルグリッドおよび前記スクリーングリッドは、平板グリッドであることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のイオンスラスタ。
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