JPH07102357A - 溶射複合被膜を有する摺動部材 - Google Patents

溶射複合被膜を有する摺動部材

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JPH07102357A
JPH07102357A JP5265454A JP26545493A JPH07102357A JP H07102357 A JPH07102357 A JP H07102357A JP 5265454 A JP5265454 A JP 5265454A JP 26545493 A JP26545493 A JP 26545493A JP H07102357 A JPH07102357 A JP H07102357A
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JP
Japan
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composite coating
sliding member
thermal
compound
sprayed
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JP5265454A
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Yasuaki Unno
泰明 海野
Hidenori Kita
英紀 北
Hideo Kawamura
英男 河村
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Isuzu Motors Ltd
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Isuzu Motors Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、低摩擦係数を有する溶射複合被膜
を有する摺動部材を提供することである。 【構成】 この溶射複合被膜を有する摺動部材は、基体
表面に気孔率が1〜10%であり且つ厚さが30μm〜
2mmである溶射複合被膜が接合されている。該溶射複
合被膜は、高硬度を有する溶射材料の化合物、Feの化
合物及び両者の化合物とから構成されており、低摩擦係
数を示すものである。この溶射複合被膜を有する摺動部
材は、シリンダライナ、ピストンリング、コンロッドベ
アリング、ジャーナルベアリング等のエンジン部品に適
用して好ましいものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、基体表面に溶射複合
被膜を有する摺動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、摺動部材の耐摩耗性を向上させる
ため、摺動部材の基体表面に溶射によってセラミックス
の被膜を作製する方法は良く知られている。また、窒化
ケイ素Si3 4 中に窒化硼素BN等の固体潤滑材を分
散させて摩擦係数を低減するものは、例えば、特開昭5
9−30769号公報に開示されている。また、焼結助
剤として、Fe3 4 等の鉄Feの酸化物を添加した窒
化ケイ素Si3 4 は、例えば、特開昭58−6426
8号公報、特開昭59−88374号公報、特開昭61
−72685号公報等に開示されている。また、Siに
Al2 3 ,Y23 等の酸化物を添加して、主とし
て、高強度化を図る反応焼結する方法は、例えば、特開
昭59−152271号公報、特開昭59−20787
5号公報、特開昭59−207876号公報に開示され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、摺動部
材の基体表面に溶射によってセラミックスの被膜を作製
するものは、耐摩耗性は向上するが、摩擦係数は低くな
く、場合によっては基体より摩擦係数が上昇するものが
ある。また、上記のように、Al合金等の金属にセラミ
ックス粒子、ウィスカーを配した摺動部材では、摺動部
材自体の耐摩耗性は金属基体に比較して向上しているも
のの、オイル吸着性が優れているというものではなく、
一概に摩擦係数μは低いというものではない。更に、摺
動条件の厳しい場所では、摺動部材の表面の油膜が切
れ、スティック等のトラブルが生じることになる。
【0004】そこで、本出願人は、上記の課題を解決す
るため、低摩擦セラミックスを開発して先に出願した
(特願平5−95048号)。該低摩擦セラミックス
は、Si3 4 又はSiCのSiを主成分とする母相中
にFeO,Fe2 3 ,Fe3 4 等のFeの酸化物を
分散させ、大気中において表面からやや内部にかけて酸
化させ、化合物として存在していたFe−Si系の化合
物をオイルとの吸着性に優れたFe−O系の酸化物に変
化させることによって低摩擦化したものである。
【0005】この発明の目的は、上記の課題を解決する
ことであり、高硬度を有する溶射材料の化合物、Feの
化合物及び両者の化合物とから構成されている溶射複合
被膜を基体表面に被覆し、摩擦係数を低減させると共に
摩耗量を低減して耐摩耗性を向上させ、シリンダライ
ナ、ピストンリング、コンロッドベアリング、ジャーナ
ルベアリング等のエンジン部品に適用して好ましい溶射
複合被膜を有する摺動部材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の目的
を達成するために、次のように構成されている。即ち、
この発明は、基体表面に気孔率が1〜10%であり且つ
厚さが30μm〜2mmである溶射複合被膜が接合さ
れ、該溶射複合被膜は、Al,Zr,Mg,Y,Ca,
Si,Ce,Ti,Ni,Crの酸化物、B,Cr,T
i,Zr,W,Ta,Mo,Si,Vの炭化物、Ti,
Zr,Hfの窒化物、Cr,Zr,V,Moの硼化物、
Crの珪化物のうち少なくとも1種以上の化合物(a)
が50〜95vol%と、Feの酸化物、窒化物、珪化
物、硫化物、リン化物、硼化物のうち少なくとも1種以
上の化合物(b)が5〜50vol%と、残部が前記化
合物(a)と前記化合物(b)の化合物とから構成され
ていることを特徴とする溶射複合被膜を有する摺動部材
に関する。
【0007】また、この溶射複合被膜を有する摺動部材
は、シリンダライナ、ピストンリング、コンロッドベア
リング、ジャーナルベアリング等のエンジン部品に適用
して好ましいものである。
【0008】
【作用】この発明による溶射複合被膜を有する摺動部材
は、上記のように構成されており、次のように作用す
る。即ち、この溶射複合被膜を有する摺動部材は、基体
表面に気孔率が1〜10%であり且つ厚さが30μm〜
2mmである溶射複合被膜が接合され、該溶射複合被膜
が耐摩耗性の化合物とFeの化合物を含んでいるので、
溶射複合被膜中にオイル吸着性に優れたFeの化合物が
存在し、溶射複合被膜の表面に潤滑油皮膜が形成され、
また、潤滑油中の元素とFeの反応生成物が生成するこ
とにより、低摩擦係数を示し、しかも耐摩耗性も向上す
る。
【0009】また、この溶射複合被膜を有する摺動部材
は、低摩擦係数で且つ耐摩耗性に富んでいるので、シリ
ンダライナ、ピストンリング、コンロッドベアリング、
ジャーナルベアリング等のエンジン部品に適用して好ま
しいものである。
【0010】
【実施例】以下、図面を参照して、この発明による溶射
複合被膜を有する摺動部材の実施例を説明する。この溶
射複合被膜を有する摺動部材は、基体表面に気孔率が1
〜10%であり且つ厚さが30μm〜2mmである溶射
複合被膜が接合されているものである。溶射複合被膜
は、Al,Zr,Mg,Y,Ca,Si,Ce,Ti,
Ni,Crのうち少なくとも1種以上の酸化物、B,C
r,Ti,Zr,W,Ta,Mo,Si,Vのうち少な
くとも1種以上の炭化物、Ti,Zr,Hfのうち少な
くとも1種以上の窒化物、Cr,Zr,V,Moのうち
少なくとも1種以上の硼化物、Crの珪化物のうち少な
くとも1種以上の化合物(a)が50〜95vol%
と、Feの酸化物、窒化物、珪化物、硫化物、リン化
物、硼化物のうち少なくとも1種以上の化合物(b)が
5〜50vol%と、残部が化合物(a)と化合物
(b)の化合物とから構成されているものである。ま
た、この溶射複合被膜を有する摺動部材は、低摩擦係数
で且つ耐摩耗性に富んでいるので、シリンダライナ、ピ
ストンリング、コンロッドベアリング、ジャーナルベア
リング等のエンジン部品に適用して好ましいものであ
る。
【0011】この発明による溶射複合被膜を有する摺動
部材の一実施例を実施例1として説明する。 〔実施例1〕この溶射複合被膜を有する摺動部材を作製
する当たって、まず、Al2 3 粉末と所定量のFe3
4 粉末とを混合し、その混合粉末に蒸留水を加えてボ
ールミルにて混合粉砕した後、造粒処理を行うことによ
り均一な組成の球状の混合粉を作製した。また、基体表
面への混合粉の溶射時の分解を抑えるために、混合粉の
表面に金属によってメッキコートを行った。一方、基体
として、熱膨張係数が8〜9×10- 6 /℃であり、そ
の大きさが15×10×65mmの鋳鉄を使用した。こ
の基体上に、移行式アークプラズマ溶射装置を用いて上
記混合粉を溶射し、基体表面に厚さ30μm〜2mmの
溶射複合被膜を形成した。溶射による被膜は、30μm
以下では溶射被膜の付着むらが発生し、また、2mm以
上では溶射被膜形成時の残留応力によりクラックが発生
してしまうため、溶射複合被膜は30μm〜2mmの範
囲が好ましいものである。
【0012】上記工程により得た溶射複合被膜の観察を
行ったところ、Al2 3 ,Fe34 及び両者の化合
物であるFe(Fe,Al)2 4 から成る溶射複合被
膜が形成され、1〜10%の気孔が存在することが確認
された。この溶射複合被膜の表面をRz 0.8μm以下
となるように研磨し、摺動試験片(以下、プレートとい
う)とした。摺動試験の相手材として、相対密度99%
以上の窒化ケイ素焼結体をφ8×30mm、先端の曲率
半径R18mmに加工したピンを使用した。
【0013】往復動型摩擦試験機において、上記ピンを
上記プレートの表面に対してほぼ垂直になるようにセッ
トし、荷重1kgf、温度150℃、速度0.5m/s
という試験条件によって摩擦係数を測定した。この時、
潤滑油として合成油を用いた。Fe3 4 の添加量が異
なる各種の溶射複合被膜を持つ試験片に対して摩擦係数
μを測定した試験結果を図1に示す。図1において、横
軸にFe3 4 の添加量(vol%)をとり、縦軸に摩
擦係数μをとっている。また、図1において、Fe3
4 が零の点がAl2 3 単独を被膜した従来の比較例の
摺動部材を示している。図1から分かるように、Fe3
4 添加量が5〜50vol%である範囲で摩擦係数の
低減の効果があることが認められた。Fe3 4 の添加
によって摩擦係数が低下するのは、Fe3 4 自体ある
いはFe3 4 とAl2 3 の化合物に潤滑油が吸着し
易くなって溶射複合被膜上に潤滑油皮膜が形成されるこ
とと、また、溶射複合被膜中のFe原子と、潤滑油中の
S,P,Clといった原子が反応し、剪断力が低いた
め、摩擦力を低減させる化合物が生成することによると
類推される。また、Fe3 4 添加量を50vol%以
上とした時には、摩擦係数が上昇するのは溶射複合被膜
自体の硬度が低下していくため、接触面積が増加したた
めと類推された。
【0014】更に、上記摺動試験条件において、2時間
摺動試験を行った後、各種の溶射複合被膜の摩耗量を測
定し、摩耗量を測定し、比摩耗量を計算した。その結果
を図2に示す。図2において、横軸にFe3 4 の添加
量(vol%)をとり、縦軸に比摩耗量(×10- 6
mm3 /N・m)をとっている。また、図2において、
Fe3 4 が零の点がAl2 3 単独を被膜した従来の
比較例の摺動部材を示している。図2から分かるよう
に、Fe3 4 添加量が5〜50vol%である範囲で
比摩耗量の低減の効果があることが認められた。これ
は、Fe3 4 の添加によって上記のように潤滑油皮膜
が形成されることと、FeとS,P,Clとの化合物が
生成してことにより、ピンとプレートとの固体接触の頻
度が減ったことによると類推された。また、Fe3 4
添加量を50vol%以上と増加させた時に、摩耗量が
増加しているが、これは溶射複合被膜自体の硬度が低下
していくため、荷重を受け止め難くなり、固体接触の頻
度が増加したことによるものと類推された。
【0015】この発明による溶射複合被膜を有する摺動
部材の別の実施例を実施例2として説明する。 〔実施例2〕この実施例における溶射複合被膜を有する
摺動部材は、実施例1におけるAl2 3 の代わりに各
種の溶射材料にFe3 4 を添加して混合粉を作製し
た。この混合粉を、熱膨張係数3〜11×10- 6 /℃
の鋳鉄製プレートに溶射し、摺動部材を作製した。この
とき、溶射材料と鋳鉄の熱膨張係数の差が3以内になる
ようにした。これらの溶射複合被膜を観察したところ、
溶射材料とFe3 4 、また、ほとんどの場合、両者の
化合物との3種以上の相により構成されていた。ZrO
2 の場合には、両者の化合物が認められなかった。これ
らの溶射複合被膜を接合した摺動部材について摩擦係
数、比摩耗量を測定した。表1には、Fe34 を20
vol%添加して作製した溶射複合被膜を有する摺動部
材と、比較例としてFe3 4 を添加していない溶射被
膜を持つ摺動部材との摩擦係数及び比摩耗量を示す。表
1から分かるように、各種の溶射材料の選定にかかわら
ずに、Fe3 4 を5〜50vol%添加して作製した
溶射複合被膜は、摩擦係数の低減効果及び比摩耗量の低
減効果が認められた。
【表1】
【0016】この発明による溶射複合被膜を有する摺動
部材の更に別の実施例を実施例3として説明する。 〔実施例3〕実施例1と同様に、Fe3 4 の代わり
に、各種のFeの化合物、即ち、酸化物、珪化物、窒化
物、硫化物、リン化物、硼化物にAl2 3 を添加して
作製した混合粉を、熱膨張係数8〜9×10- 6 /℃の
鋳鉄製プレートに溶射し、溶射複合被膜を有する摺動部
材を作製した。これらの摺動部材について摩擦係数μと
比摩耗量を測定した。特に、各種のFeの化合物を20
vol%添加して作製した溶射複合被膜を有する摺動部
材についての摩擦係数μと比摩耗量を測定した結果を、
表2に示す。表2から分かるように、Fe化合物の種類
にかかわらず、Fe化合物を5〜50vol%添加して
作製した溶射複合被膜を有する摺動部材は、その摩擦係
数μと比摩耗量とは低減効果が認められた。
【表2】
【0017】この発明による溶射複合被膜を有する摺動
部材の他の実施例を実施例4として説明する。 〔実施例4〕実施例1とほぼ同様に、Fe3 4 を20
vol%添加したZrO2 粉末を原料にしてシリンダラ
イナの摺動面に溶射複合被膜を被覆した。更に、同様
に、ピストンリングの表面にも溶射複合被膜を被覆し
た。一方、比較例として、ZrO2 のみをシリンダライ
ナの摺動面及びピストンリングの表面に被覆し、ZrO
2被覆のシリンダライナとピストンリングとを作製する
と共に、鋳鉄製のシリンダライナとピストンリングとを
作製した。これらのシリンダライナ及びピストンリング
をエンジンに組み込み、ピストンリングとシリンダライ
ナとの間の摩擦力を測定するため、モータによりエンジ
ンを回転させ、モータ駆動力を測定した。その結果、本
発明の溶射複合被膜を被覆したシリンダライナとピスト
ンリングとの組み合わせエンジンは、鋳鉄製のシリンダ
ライナとピストンリングとの組み合わせエンジンに比較
して20%の駆動力の低下が認められ、また、ZrO2
被覆のシリンダライナとピストンリングとの組み合わせ
エンジンに比較して5%の駆動力のアップが認められ
た。
【0018】また、上記各エンジンに対して上記の測定
を10時間行った後、それぞれの磨耗量を測定した。そ
の結果、鋳鉄製のシリンダライナとピストンリングとの
組み合わせエンジンの磨耗量に比較して、本発明の溶射
複合被膜を被覆したシリンダライナとピストンリングと
の組み合わせエンジンの磨耗量は、23%の低減が認め
られ、また、ZrO2 被覆のシリンダライナとピストン
リングとの組み合わせエンジンの磨耗量は、18%の低
減が認められた。以上の測定結果から、本発明の溶射複
合被膜を被覆したシリンダライナとピストンリングとの
組み合わせエンジンは、従来のエンジンに比較して、潤
滑油皮膜或いは反応性生成相ができ、これにより摩擦力
が減少し、且つ磨耗量が低減して耐摩耗性が向上してい
ると類推された。
【0019】この発明による溶射複合被膜を有する摺動
部材の更に他の実施例を実施例5として説明する。 〔実施例5〕実施例4とほぼ同様に、Fe3 4 を20
vol%添加したZrO2 粉末を原料にしてコンロッド
ベアリング、ジャーナルベアリングの内面に溶射複合被
膜を被覆した。一方、比較例として、ZrO2 のみを被
覆したコンロッドベアリング、ジャーナルベアリングを
作製すると共に、ケルメット製コンロッドベアリング、
ジャーナルベアリングを作製した。これらのコンロッド
ベアリング、ジャーナルベアリングをエンジンに組み込
み、実施例4と同様に摩擦力を測定した。その結果、本
発明の溶射複合被膜を被覆したコンロッドベアリング、
ジャーナルベアリングを組み込んだエンジンの駆動力
は、ケルメット製コンロッドベアリング、ジャーナルベ
アリングを組み込んだエンジンの駆動力に比較して9%
の駆動力低下が認められた。また、ZrO2 を被覆した
コンロッドベアリング、ジャーナルベアリングを組み込
んだエンジンの駆動力は、ケルメット製コンロッドベア
リング、ジャーナルベアリングを組み込んだエンジンの
駆動力とほぼ等しいものであった。
【0020】また、上記各エンジンに対して上記の測定
を10時間行った後、それぞれの磨耗量を測定した。そ
の結果、本発明の溶射複合被膜を被覆したコンロッドベ
アリング、ジャーナルベアリングを組み込んだエンジン
の摩耗量は、ケルメット製コンロッドベアリング、ジャ
ーナルベアリングを組み込んだエンジンの摩耗量に比較
して17%の摩耗量の低減が認められた。また、ZrO
2 を被覆したコンロッドベアリング、ジャーナルベアリ
ングを組み込んだエンジンの摩耗量は、ケルメット製コ
ンロッドベアリング、ジャーナルベアリングを組み込ん
だエンジンの摩耗量に比較して8%の摩耗量の低減が認
められた。以上の測定結果から、本発明の溶射複合被膜
を被覆したコンロッドベアリングとジャーナルベアリン
グを組み混んだエンジンは、従来のエンジンに比較し
て、潤滑油皮膜或いは反応性生成相ができ、これにより
摩擦力が減少し、且つ磨耗量が低減して耐摩耗性が向上
していると類推された。
【0021】
【発明の効果】この発明による溶射複合被膜を有する摺
動部材は、上記のように構成されており、次のような効
果を有する。即ち、この発明は、基体表面に気孔率が1
〜10%であり且つ厚さが30μm〜2mmである溶射
複合被膜が接合され、該溶射複合被膜が高硬度を有する
溶射材料とFeの化合物あるいは両者の化合物から構成
されているので、従来の溶射被膜に比較して低摩擦係数
を示し、且つ摩耗量を低減して耐摩耗性を向上させるこ
とができる。即ち、本発明の溶射複合被膜は、Fe化合
物を有するので、Fe化合物が吸着性に優れた分散剤と
して機能し、油膜の途切れ難い低摩擦化を確保でき、耐
摩耗性に富んだ安定したものとなり、エンジン部品の摺
動部に使用してもスティック等のトラブルが発生するこ
とがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による溶射複合被膜を有する摺動部材
のAl2 3 溶射粉末中のFe3 4 の添加量に対する
摩擦係数を示すグラフである。
【図2】この発明による溶射複合被膜を有する摺動部材
のAl2 3 溶射粉末中のFe3 4 の添加量に対する
比摩耗量を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体表面に気孔率が1〜10%であり且
    つ厚さが30μm〜2mmである溶射複合被膜が接合さ
    れ、該溶射複合被膜は、Al,Zr,Mg,Y,Ca,
    Si,Ce,Ti,Ni,Crの酸化物、B,Cr,T
    i,Zr,W,Ta,Mo,Si,Vの炭化物、Ti,
    Zr,Hfの窒化物、Cr,Zr,V,Moの硼化物、
    Crの珪化物のうち少なくとも1種以上の化合物(a)
    が50〜95vol%と、Feの酸化物、窒化物、珪化
    物、硫化物、リン化物、硼化物のうち少なくとも1種以
    上の化合物(b)が5〜50vol%と、残部が前記化
    合物(a)と前記化合物(b)の化合物とから構成され
    ていることを特徴とする溶射複合被膜を有する摺動部
    材。
  2. 【請求項2】 シリンダライナ、ピストンリング、コン
    ロッドベアリング、ジャーナルベアリング等のエンジン
    部品に適用できることを特徴とする請求項1に記載の溶
    射複合被膜を有する摺動部材。
JP5265454A 1993-09-30 1993-09-30 溶射複合被膜を有する摺動部材 Pending JPH07102357A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001014281A1 (fr) * 1999-08-23 2001-03-01 Isuzu Ceramics Research Institute Co., Ltd. Ceramique a faible coefficient de frottement et procede de production de ladite ceramique
JP2008537019A (ja) * 2005-04-21 2008-09-11 スタンダード・エアロ・リミテッド 耐磨耗性セラミック複合体被膜およびその製造のプロセス

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