JPH0710135Y2 - ボールバルブのシール構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、粉体、スラリー等を含む流路に使用される
ボールバルブのシール構造に関する。

〔従来の技術〕

ボールバルブは、弁本体内の球状の弁体を回転させ、弁
体を貫通する開口を流路に対して導通、遮断して開閉す
る構造のものであり、開閉操作が簡単で流体抵抗が少な
いという利点がある。弁体の開口部のシールは、弁の入
口、出口流路を形成する金属製のシートリングを流路の
方向に押圧して開口部に密着せしめるようにして行なわ
れている。シートリングは入口、出口のフランジ部ボス
に螺合されるシート押えをねじ込むことによってシート
押えとシートリング間に設けられたばねを押圧して開口
部に密着せしめられる。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、前記の従来のボールバルブを粉体やスラ
リー等を含む流体を輸送する流路に使用する場合、前記
シート押えとシートリング間のばね収容部は両部材のわ
ずかな隙間を介して流路に通じている。このため、この
わずかな隙間から流体がばね収容部に流入することがで
き、このばね収容部に流入した粉体等が詰まるとばねの
弾性力が低滅され、弁開口部のメタルタッチによるシー
ル効果が失なわれることになる。

この考案は、かかる従来のボールバルブのシール構造の
技術の現状に鑑みてなされたものであり、その目的は上
記ばね収容部に粉体等が流入するのを防止し得るシール
構造を提供するにある。

〔課題を解決するための手段〕

そこで、この考案では上記課題を解決するための手段と
して、球状弁体をメタルシールするシートリングと、こ
のシートリングを弁体に対して押圧するシート押えと、
シートリングとシート押え間に設けた収容部に装着され
た弾性部材を備え、上流側のシート押えに流路の下流方
向に向ってシートリング内周面に密着状に延びるスカー
ト部を、下流側シートリングには出口端に向ってシート
押え内周面に密着状に延びるスカート部を設け、上記収
容部がシート押えと対向する側のシートリング端の突出
部でシートリング内周面と遮断され、かつ上流側シート
押えのスカート部とシートリング間、及び下流側シート
リングのスカート部とシート押えの間にそれぞれシール
材を設けて収容部への流体の侵入を二重に防止し得る構
成としたシール構造を採用したのである。

さらに上記シール構造に対してその収容部に対しエアー
導入口を設けかつ流体圧力より若干高圧のエアーを導入
するようにしてシール効果をより向上せしめ得るシール
構造を採用したのである。

〔作用〕

上記のように構成した第一の考案によるボールバルブの
シール構造では、上流側のシート押え、下流側シートリ
ングがそれぞれスカート部を有し、シートリング内周
面、シート押え内周面に対し密着状に伸びているから、
シートリングとシート押えとの間隙へはスカート部によ
り導通が遮断され、従来のように上記間隙から収容部へ
粉体、スラリーのような微小な異物が侵入するのがほぼ
完全に防止される。

この場合、収容部への異物の侵入は２重に異物の侵入を
遮断する構造により完全に遮断される。即ち、上記各ス
カート部とシートリング又はシート押えの間に設けられ
たシール材により流路中の異物は遮断され、さらにこれ
を越えて侵入したとしても収容部を囲むシートリングの
突出端でその侵入が防止されるのである。

第二の考案によるエアー導入口へ常時流体の圧力より若
干高圧のエアーを導入するようにしておけばより完全に
異物の侵入が防止される。

〔実施例〕

以下この考案の実施例について添付図を参照して説明す
る。

第１図はこの考案によるシール構造を有するボールバル
ブの一部外観を含む縦断面図である。バルブ本体１内に
は球状弁体２が設けられ、この弁体に一体に形成された
弁棒３がボンネット４を貫通して突出している。弁棒３
を適宜な駆動手段、例えば手動ハンドル又は駆動モータ
等により回転し、弁体の貫通口2aを流路に合致させるか
又はこれと直角方向に回転させることによって流路の開
閉が行なわれる。５は弁棒３の下端の支持部蓋板であ
る。

上記弁体２に対してそのシールのためシートリング６が
設けられており、後述するように上流側、下流側のシー
トリングは、第一実施例、第二実施例では若干形状が異
なる。このシートリング６はこれを弁体２に押圧するた
めバルブ本体１の端部のフランジ部1a内径部にねじ込ま
れるシート押え７が対向配置され、シートリング６とシ
ート押え７の接合部に形成される収容部8aには皿ばね８
が挿入されている。

第２図は前記ボールバルブに用いられるシール構造の第
一実施例の詳細図である。図の右側が流路の上流、左側
が下流である。右側のシートリング６の突状部6aがシー
ト押え７に対向する接合部に形成される収容部8aに皿ば
ね８が挿入されており、シート押え７は流路に沿ってシ
ートリング６の内周面に密着状に伸びるスカート部7aを
有する。９はスカート部7aとシートリング６間のシール
用Ｏ−リングである。

左側のシートリング６は右側シートリング６の突状部6a
の先端にさらに出口端に向って伸びるシート押え７内周
面に密着状に伸びるスカート部6bを有する。９はスカー
ト部6bとシート押え７間のシール用Ｏ−リングである。

第３図はシール構造の第二実施例の詳細図である。第一
実施例とはエアー導入孔10を有する点のみが異なる。こ
のエアー導入孔10は収容部8aに導通するように穿設され
ている。

上記のように構成したシール構造を有するボールバルブ
を粉体、スラリー等の流路に使用する場合、第一実施例
では流体がシートリング６とシート押え７間に形成され
た収容部に入ろうとすると、上流側のシート押え７のス
カート部7aによりその侵入が阻止される。このため収容
部8a内の皿ばね８に粉体、スラリーなどが詰まるという
ことがなくなり、皿ばね８は弾性力をシートリング６に
十分伝達することができる。下流側でもシートリング６
のスカート部6bにより同様に収容部8aに対してシール効
果が与えられる。

第二実施例では、前述のように、エアー導入孔10が追加
されているが、この導入孔10には通常は流路を流れる流
体の圧力より若干高圧のエアーが導入されている。エア
ーは適当なエアーポンプ（図示省略）により加圧され
る。これによって、流路側から粉体、スラリー等の微小
異物が収容部8aに侵入するのを防止することができる。

〔効果〕

以上詳細に説明したように、この考案では上流側のシー
ト押え、下流側のシートリングにそれぞれスカート部を
設けてシートリングとシート押え間の隙間に粉体、スラ
リーのような異物が侵入するのを防止し、さらにエアー
導入口を設けてエアーを加圧するようにしたからより完
全な異物の侵入を防止し、またエアー導入口のみでエア
ーを加圧することによっても異物の侵入を防止するよう
にしたから、シール効果の極めて優れたシール構造を得
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案によるシール構造を有するボールバル
ブの概略図、第２図は上記シール構造の第一実施例の詳
細図、第３図は第二実施例の詳細図である。 １……バルブ本体、２……球状弁体、３……弁棒、４…
…ボンネット、６……シートリング、７……シート押
え、6b、7a……スカート部、８……皿ばね、8a……収容
部、10……エアー導入孔。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】球状弁体をメタルシールするシートリング
   と、このシートリングを弁体に対して押圧するシート押
   えと、シートリングとシート押え間に設けた収容部に装
   着された弾性部材を備えたボールバルブのシール構造に
   おいて、上流側のシート押えに流路の下流方向に向って
   シートリング内周面に密着状に延びるスカート部を、下
   流側シートリングには出口端に向ってシート押え内周面
   に密着状に延びるスカート部を設け、上記収容部がシー
   ト押えと対向する側のシートリング端の突出部でシート
   リング内周面と遮断され、かつ上流側シート押えのスカ
   ート部とシートリング間、及び下流側シートリングのス
   カート部とシート押えの間にそれぞれシール材を設けて
   収容部への流体の侵入を二重に防止し得る構成としたこ
   とを特徴とするボールバルブのシール構造。
2. 【請求項２】前記シール構造の収容部に対しエアー導入
   口を設けかつ流体圧力より若干高圧のエアーを導入する
   ようにしたことを特徴とする請求項１に記載のボールバ
   ルブのシール構造。