JPH0699996A - 耐薬品性絞り出し容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 内層が優れた耐薬品性とヒートシール性との
組み合わせを有しており、容器のシール部からの溶剤の
透過蒸発を防止し、この部分での内容物の固化を防止す
る共に、チューブ内の内容物の状態を、全体にわたって
充填時のそれとほぼ同じ状態に保ち得る溶剤含有内容物
に対する絞り出し容器を提供し、従来の諸欠点を解消し
た耐薬品性絞り出し容器を提供する。 【構成】 多層プラスチックパリソンのブロー成形と底
部開口端のヒートシールとによって形成された絞り出し
容器であって、この多層パリソンはオレフイン系樹脂内
層と、二塩基酸成分がテレフタル酸成分とイソフタル酸
成分との組み合わせからなる実質上非晶質の共重合ポリ
アミドまたは実質上非晶質の共重合ポリエステルの内層
と接着剤樹脂中間層との積層体からなり、且つ底部ヒー
トシール部は内層同士が融着されて実質上非晶質に維持
されている耐薬品性絞り出し容器。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、耐薬品性絞り出し容器
に関するもので、より詳細にはヒートシール底部からの
溶剤揮散やオフフレーバーが防止された耐薬品性絞り出
し容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、絞り出し容器、例えば、練歯磨、
化粧料、各種化学薬品類或いは食品類等の高粘度液性物
品を収容するための押出しチューブや、ケチャップ、マ
ヨネーズ、ジャム、チョコレート等の粘性食品等を収容
するための絞り出し（スクイズ）ボトルとしては、種々
の可撓性積層体から成るものが知られている。

【０００３】絞り出し容器用のプラスチック可撓性積層
体としては各種のものが知られており、食品等の用途に
は、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ナイロン等
から成る酸素バリヤー性層を中間層とし、この両側にポ
リエチレン等のオレフィン樹脂層を積層したものが一般
に用いられており、また溶剤を含む化学薬品等に対して
は、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ナイロン
等を内層とし、オレフイン系樹脂を外層としたものが用
いられている。

【０００４】チューブの成形に際して、これらの可撓性
積層シートを重ね合せ接合することにより筒状に成形
し、この筒状胴部の一端部に、樹脂の射出成形により形
成されたネジ付押出口とこれに連なる円錐状肩部とから
成るものを接着させ、筒状胴部の他端部を融着等により
閉じ合わす。また絞り出しボトルの成形に際して、前述
した積層構造物から成る多層パリソンを割型内で中空成
形してボトルの形態とする。また、特公昭５７−５７３
３８号公報には、多層パリソンを割型内で中空成形して
ボトルとした後、ボトル底部を切断して取り除き、この
切断開口端から内容物を充填し、開口端縁同士をヒート
シールにより重ね合わせ接合し、密封することが記載さ
れている。

【０００５】

【発明が解決しようとする問題点】内層をエチレン−ビ
ニルアルコール共重合体、ナイロン等の耐薬品性樹脂で
形成し、底部端縁部同士をヒートシールで密封した絞り
出し容器は、内層樹脂が有機溶剤等で侵されないという
利点は有するものの、これらの耐薬品性樹脂はヒートシ
ール性に劣るか、或いはヒートシールを高温で行わなけ
ればならないという欠点がある。

【０００６】即ち、容器底シール部で、最内面のエチレ
ン−ビニルアルコール共重合体や、ナイロン等の耐薬品
性樹脂が熱劣化、酸化劣化を生じて、ヒビ割れ等を生
じ、或いは結晶化して体積収縮によるピンホール等を生
成し、この部分から溶剤成分が透過し、内容物の固化を
生じ、内容物の取出しが困難となるというトラブルを生
ずるることが認められる。

【０００７】この欠点を防止するために、特公平３−６
４３８９号公報には、多層パリソンとして、オレフィン
系樹脂外層、エチレン−ビニルアルコール共重合体から
成る第一中間層、オレフィン系樹脂または比較的肉厚の
接着剤樹脂から成る第二中間層及びエチレン−ビニルア
ルコール共重合体内層をこの順序に積層した積層体から
耐薬品性絞り出し容器を形成することが提案されている
が、層構成が複雑であり、また耐薬品性樹脂が有するヒ
ートシール性の悪さが解消された訳ではない。

【０００８】従って、本発明の目的は、従来のこの種の
耐薬品性絞り出し容器における上述した諸欠点が解消さ
れた耐薬品性絞り出し容器を提供するにある。

【０００９】本発明の他の目的は、この種の絞り出し容
器における内層が優れた耐薬品性とヒートシール性との
組み合わせを有しており、容器のシール部からの溶剤の
透過蒸発が防止され、この部分での内容物の固化が防止
されると共に、チューブ内の内容物の状態を、全体にわ
たって充填時のそれとほぼ同じ状態に保ち得る溶剤含有
内容物に対する絞り出し容器を提供するにある。

【００１０】

【問題点を解決するための手段】本発明によれば、多層
プラスチックパリソンのブロー成形と底部開口端のヒー
トシールとによって形成された絞り出し容器であって、
この多層パリソンはオレフイン系樹脂内層と、二塩基酸
成分がテレフタル酸成分とイソフタル酸成分との組み合
わせからなる実質上非晶質の共重合ポリアミドまたは実
質上非晶質の共重合ポリエステルの内層と、接着剤樹脂
中間層との積層体からなり、且つ底部ヒートシール部は
内層同士が融着されて実質上非晶質に維持されているこ
とを特徴とする耐薬品性絞り出し容器が提供される。

【００１１】本発明において、実質上非晶質の共重合ポ
リアミドまたは実質上非晶質の共重合ポリエステルは、
テレフタル酸成分とイソフタル酸成分とのモル比が３
５：６５乃至９０：１０の範囲にあるものであること
が、耐薬品性、ヒートシール性、及びヒートシール部の
密封信頼性の点で好ましい。

【００１２】

【作用】本発明は、絞り出し容器形成用の多層プラスチ
ックパリソンの内層として、二塩基酸成分がテレフタル
酸成分と、イソフタル酸成分との組み合わせからなる実
質上非晶質の共重合ポリアミドまたは共重合ポリエステ
ルを選択したことが顕著な特徴である。

【００１３】種々の熱可塑性樹脂の内でも、ポリアミド
やポリエステルは耐薬品性に優れていることが知られて
いる。この耐薬品性は、ポリアミドやポリエステル分子
鎖間の強い水素結合に由来するものと思われるが、その
反面、これらの熱可塑性樹脂は、オレフィン樹脂等に比
して、高融点であって、ヒートシール性に難点があり、
更に高結晶性であって、ヒートシールに際してシール部
が結晶化して、この部分が機械的に脆くなったり、或い
は体積収縮によりピンホールを形成する傾向がある。樹
脂の融点を低下させ或いは結晶性を低下させる手段とし
て、共重合手段が一般に用いられているが、共重合ポリ
アミドや共重合ポリエステルの殆どのものは、融点や結
晶性の低下と共に、耐薬品性も低下し、本発明の目的に
ふさわしくない。

【００１４】本発明では、二塩基酸成分がテレフタル酸
成分とイソフタル酸成分との組み合わせからなる実質上
非晶質の共重合ポリアミドまたは共重合ポリエステル
を、絞り出し容器形成用多層パリソンの内面材とするこ
とにより、この内面材は、比較的低融点で、ヒートシー
ル性に優れていると共に、ヒートシール温度から室温ま
での冷却過程においても結晶化を生じることがなく、し
かも耐薬品性に顕著に優れているという利点が得られる
ものである。

【００１５】ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸成
分（Ｔ）とから成るポリアミドは大体３７１℃程度の融
点を示し、またヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸
成分（Ｉ）とから成るポリアミドは大体１９８℃程度の
融点を示す。これに対して、本発明に従い、両者のモル
比Ｔ：Ｉを本発明の範囲とすると、後述する「表１」に
示す通り、溶融温度がいずれの場合よりも低下し、低温
ヒートシールが可能となる。これは、ポリアミドに限ら
ず、コポリエステルでも同様である。（後述する「表
２」参照）。

【００１６】二塩基酸成分として、テレフタル酸成分と
イソフタル酸成分との組み合わせを用いた実質上非晶質
の共重合ポリアミド及び共重合ポリエステルでは、到達
し得る最高結晶化度が、ポリエチレンテレフタレートや
ポリヘキサメチレンテレフタラミド等に比して著しく低
いレベル、一般に密度法による到達最高結晶化度で、１
０％以下に抑制されていながら、耐溶剤性や溶剤蒸気に
対するバリヤー性に顕著に優れているという利点をもた
らす。これは、ポリアミドやポリエステルを構成する二
塩基酸成分が、実質上全て芳香族二塩基酸からなるた
め、脂肪族二塩基酸を含むものに比して耐薬品性に優れ
ていること、及びテレフタル酸成分に比して、イソフタ
ル酸成分は、結晶化傾向を抑制し、しかも溶剤蒸気に対
して優れたバリアー性を示す傾向があること関連してい
る。

【００１７】有機溶剤を含有する内容物を充填した底部
シール型の絞り出し容器は、通常の容器とは比べものに
ならないシビアな条件にある。即ち、有機溶剤の多く
は、ポリアミドやポリエステルのヒートシール性樹脂の
結晶化を促進し、或いは環境亀裂を促進するように作用
する。しかして、ヒートシール底部に結晶化による歪や
ピンホール或いはクラックが発生しても、浸透性の大き
い有機溶剤がこの部分から揮散して、内容物の固化や変
質を招くことになる。本発明では、ヒートシールを構成
する共重合ポリアミドや共重合ポリエステルが、有機溶
剤蒸気に曝されている条件下でも、実質上非晶質の状態
に保持され、耐溶剤性や溶剤蒸気に対するバリアー性に
も優れているため、容器のシール部からの溶剤の透過蒸
発が防止され、この部分での内容物の固化が防止される
ことになる。

【００１８】本発明の耐薬品性絞り出し容器では、共重
合ポリアミド或いは共重合ポリエステルは、多層積層構
造の内面に薄い層で存在するだけで十分であり、この内
層に接着剤樹脂中間層を介して設けられたオレフイン系
樹脂外層は、内層を保護すると共に、容器に耐湿性を付
与し、更に内容物を絞り出すに必要な塑性変形性を与え
る。

【００１９】

【発明の好適な態様】

（絞り出し容器）本発明の絞り出し容器（チューブ容
器）の一具体例を示す「図１」、「図２」及び「図３」
において、このチューブ容器は、チューブ本体１と蓋２
とから成っており、チューブ本体１は、後に詳述する多
層パリソンの中空成形により一体に形成されたネジ付押
出口３、これに連なる可撓性の円錐状肩部４及び筒状の
胴部５を有している。

【００２０】これら各部分を構成する多層パリソンの壁
断面を拡大して示す「図３」において、胴壁５は、共重
合ポリアミド或いは共重合ポリエステルからなる内層
６、オレフィン系樹脂外層７及びこれら両層の間に介在
させた接着剤樹脂中間層８から構成されている。

【００２１】「図２」において、この筒状胴部５は、切
断された端縁部９を有し、この端縁部９において、胴部
の対面する内面層６、６が重ね合わせ融着されて、底部
１０を形成している。

【００２２】（内層）本発明では、内層として、二塩基
酸成分がテレフタル酸成分とイソフタル酸成分との組み
合わせからなるの共重合ポリアミドまたは共重合ポリエ
ステルを使用する。

【００２３】共重合ポリアミド中のジアミン成分として
は、脂肪族ジアミン成分、特に炭素数４〜２５、好適に
は６〜１８の直鎖状の分岐鎖状アルキレンジアミン成分
単位が使用される。かかるアルキレンジアミン成分単位
の具体例として、例えば1,4-ジアミノ−1,1-ジメチルブ
タン、1,4-ジアミノ−1,1-エチルブタン、1,4-ジアミノ
−1,2-ジメチルブタン、1,4-ジアミノ−1,3-ジメチルブ
タン、1,4-ジアミノ-1,4−ジメチルブタン、1,4-ジアミ
ノ−2,3-ジメチルブタン、1,2-ジアミノ−１−ブチルエ
タン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、
1,8-ジアミノオクタン、1,6-ジアミノ-2,5- ジメチルヘ
キサン、1,6-ジアミノ-2,4- ジメチルヘキサン、1,6-ジ
アミノ-3,3- ジメチルヘキサン、1,6-ジアミノ-2,2- ジ
メチルヘキサン、1,9-ジアミノノナン、1,6-ジアミノ-
2,2,4- トリメチルヘキサン、1,6-ジアミノ-2,4,4- ト
リメチルヘキサン、1,7-ジアミノ-2,3- ジメチルヘプタ
ン、1,7-ジアミノ-2,4- ジメチルヘプタン、1,7-ジアミ
ノ-2,5- ジメチルヘプタン、1,7-ジアミノ-2,2- ジメチ
ルヘプタン、1,10- ジアミノデカン、1,8-ジアミノ-1,3
- ジメチルオクタン、1,8-ジアミノ-1,4- ジメチルオク
タン、1,8-ジアミノ-2,4- ジメチルオクタン、 1,8-ジア
ミノ-3,4- ジメチルオクタン、1,8-ジアミノ-4,5- ジメ
チルオクタン、1,8-ジアミノ-2,2- ジメチルオクタン、
1,8-ジアミノ-3,3- ジメチルオクタン、1,8-ジアミノ-
4,4- ジメチルオクタン、1,6-ジアミノ-2,4- ジエチル
ヘキサン、1,9-ジアミノ−５−メチルノナン、1,11−ジ
アミノウンデカン、1,12- ジアミノドデカン等の成分を
例示することができる。

【００２４】これらのなかでは、特に、1,6-ジアミノヘ
キサン、1,8-ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカ
ン、1,12- ジアミノドデカン等の成分又はこれらの混合
成分が好ましい。

【００２５】この共重合ポリアミドにおいて、テレフタ
ル酸成分及びイソフタル酸成分は、３５：６５乃至９
０：１０、特に４０：６０乃至８０：２０のモル比で存
在するのがよく、その本質を損なわない範囲で、一般に
上記両成分当たり５％以下の量で、イソフタル酸及びテ
レフタル酸成分以外の芳香族ジカルボン酸成分、例えば
フタル酸、２−メチルテレフタル酸、ナフタレンジカル
ボン酸等の成分や、脂肪族ジカルボン酸成分、例えばア
ジピン酸、セバシン酸、或いはトリメリット酸、ピロメ
リット酸等の多価カルボン酸成分を含有していてもよ
い。また、脂肪族ジアミン成分に加えて、その本質を損
なわない範囲で、小量の脂環族ジアミン成分や芳香脂肪
族ジアミン等を含有していてもよい。

【００２６】本発明に用いる共重合ポリアミドは、フィ
ルムを形成するにたる分子量を有するべきであり、３０
℃の温度の濃硫酸中で測定した極限粘度［η］が０．５
ｄｌ／ｇ以上であることが好ましい。

【００２７】本発明に用いる共重合ポリエステルのジオ
ール成分としては、エチレングリコール、プロピレング
リコール、１，４−ブタンジオール、ネオペンチルグリ
コール、１，６−ヘキシレングリコール、シクロヘキサ
ンジメタノール、ビスフェノールＡのエチレンオキサイ
ド付加物、ジエチレングリコールなどのグリコール成分
を挙げることができるが、ジオール成分の８０モル％以
上、特に９０モル％以上がエチレングリコール成分から
成るポリエステルが好適である。

【００２８】この共重合ポリエステルにおいて、テレフ
タル酸成分及びイソフタル酸成分は、３５：６５乃至９
０：１０、特に４０：６０乃至８０：２０のモル比で存
在するのがよく、その本質を損なわない範囲で、一般に
上記両成分当たり１０％以下、特に５％以下の量で、Ｐ
−β−オキシエトキシ安息香酸、ナフタレン２，６−ジ
カルボン酸、ジフェノキシエタン−４，４′−ジカルボ
ン酸、５−ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン
酸、セバシン酸またはこれらのアルキルエステル誘導体
などのジカルボン酸成分を含有していてもよい。

【００２９】本発明に用いる共重合ポリエステルは、少
なくともフイルムを形成し得るに足る分子量を有するべ
きであり、一般に毛細管型粘度計を使用し、フエノール
とテトラクロルエタンとの６０：４０の重量比の混合溶
媒中、３０℃の温度で測定して、0.3 乃至2.8d/g、特に
0.4 乃至1.8d/gの固有粘度〔η〕を有することが望まし
い。この内でも、射出成形用のものとしては、分子量の
比較的低いものが使用され、押出成形用のものとしては
分子量の比較的高いものが使用される。

【００３０】（外層）本発明において、外層を構成する
オレフィン系樹脂としては、低−、中−或いは高−密度
ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、アイソタクテ
イック・ポリプロピレン、結晶性プロピレン−エチレン
共重合体、結晶性エチレン−ブテン−１共重合体、結晶
性プロピレン−ブテン−１共重合体、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体（アイオ
ノマー）、或いはこれらの２種以上のブレンド物等が使
用される。

【００３１】（接着剤樹脂中間層）オレフィン系樹脂外
層と共重合ポリアミドまたは共重合ポリエステルの内層
との間に介在させる接着剤樹脂としては、これら両者に
対して接着性を示すことが知られている全ての熱可塑性
樹脂が使用され、就中、アクリル酸、メタクリル酸、無
水マレイン酸、イタコン酸等のエチレン系不飽和カルボ
ン酸乃至はその無水物でグラフト変性されたオレフィン
系樹脂が好適に使用される。

【００３２】（製法）これらの各樹脂は、樹脂の種類に
対応する数の押出機中で溶融混練し、多層多重ダイス内
で前述した多層構成となるように合流させた後、ダイオ
リフィスを通して同時押出し、多層構成のパリソンと
し、次いで前述した割型内でのブロー成形、底部切断、
内容物充填及び開放端のヒートシールを行って、チュー
ブ容器とする。

【００３３】（層構成）本発明の耐薬品性絞り出し容器
において、最終容器壁の肉厚は０．５乃至０．１ｍｍ、
特に０．３乃至０．２ｍｍの範囲にあることが望まし
い。またオレフィン樹脂外層の厚み（Ｔａ）と共重合ポ
リアミドまたは共重合ポリエステル内層の厚み（Ｔｂ）
とは、 Ｔａ：Ｔｂ＝２：１〜２０：１ 特に ５：１〜１５：１ の厚み比にあることが望ましく、接着剤層の厚み（Ｔ
ｃ）は、 Ｔａ：Ｔｃ＝５：１〜１：５ 特に ２：１〜１：２ の厚み比を満足するものであることが望ましい。また、
オレフィン樹脂外層と接着剤との間には、チューブ状容
器の製造の際に副生するスクラップ（バリ）樹脂組成物
を介在させることもできる。

【００３４】本発明のチューブ容器では、容器の全体が
前述した共押出し多層積層体で形成されていることが好
適であるが、胴部のみが共押出積層体で形成され、肩部
及び絞り出し口部が他の樹脂で形成されていてもよい。

【００３５】

【実施例】本発明を次の例で更に説明する。 実施例１ 外層を低密度ポリエチレン、内層を共重合ポリアミド、
そして中間層を無水マレイン酸変性ポリオレフィン（三
石アドマー：グレードＬＢ０１０）とする溶融パリソン
を押出し、最終容器壁の肉厚が０．３５ｍｍのチューブ
容器をブロー成形した。得られたチューブ容器の底部を
切断し、開口切断部の内面に熱風を吹きつけ加熱した。
開口部内面同志が重なる様にシールし、共重合ポリアミ
ドのモノマー組成比とシール温度、シール性について調
べた。結果を表１に示す。

【００３６】

【表１】

【００３７】実施例２ 外層をポリプロピレン、内層を共重合ポリエステル、そ
して中間層を無水マレイン酸変性ポリオレフィン（三石
アドマー：グレードＱＦ３０５）とする溶融パリソンを
押出し、最終容器壁の肉厚が０．３０ｍｍのチューブ容
器をブロー成形し、容器底部を切断し、開口切断部の内
面に熱風を吹きつけ加熱した開口部内面同志が重なる様
にシールし、シール温度、シール性について、使用した
共重合体ポリエステルのモノマー組成比との関係につい
て調べた。結果を表２に示す。

【００３８】

【表２】

【００３９】

【発明の効果】本発明によれば、二塩基酸成分がテレフ
タル酸成分とイソフタル酸成分との組み合わせからなる
実質上非晶質の共重合ポリアミドまたは共重合ポリエス
テルを、絞り出し容器形成用多層パリソンの内面材とす
ることにより、この内面材は、比較的低融点で、ヒート
シール性に優れていると共に、ヒートシール温度から室
温までの冷却過程においても結晶化を生じることがな
く、しかも耐薬品性や溶剤蒸気に対するバリアー性に顕
著に優れているという利点が得られる。

【００４０】このため、本発明によれば、容器のシール
部からの溶剤の透過蒸発が防止され、この部分での内容
物の固化が防止されると共に、チューブ内の内容物の状
態を、全体にわたって充填時のそれとほぼ同じ状態に保
ち得る溶剤含有内容物に対する絞り出し容器を提供する
ことが可能となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の耐薬品性絞り出し容器の一例の外観
を示す側面図である。

【図２】 「図１」の容器の断面図である。

【図３】 「図１」の容器の製造に用いる多層パリソン
壁の断面拡大図である。

【符号の説明】

１…チューブ本体、２…蓋、３…ネジ付押出口、４…肩
部、５…胴部、６…共重合ポリアミドまたは共重合ポリ
エステルからなる内層、７…オレフイン系樹脂外層、８
…接着剤樹脂中間層、９…端縁部、１０…底部。

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成５年１月５日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】請求項１

【補正方法】変更

【補正内容】

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１０

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１０】

【問題点を解決するための手段】本発明によれば、多層
プラスチックパリソンのブロー成形と底部開口端のヒー
トシールとによって形成された絞り出し容器であって、
この多層パリソンはオレフイン系樹脂外層と、二塩基酸
成分がテレフタル酸成分とイソフタル酸成分との組み合
わせからなる実質上非晶質の共重合ポリアミドまたは実
質上非晶質の共重合ポリエステルの内層と、接着剤樹脂
中間層との積層体からなり、且つ底部ヒートシール部は
内層同士が融着されて実質上非晶質に維持されているこ
とを特徴とする耐薬品性絞り出し容器が提供される。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 多層プラスチックパリソンのブロー成形
   と底部開口端のヒートシールとによって形成された絞り
   出し容器であって、この多層パリソンはオレフイン系樹
   脂内層と、二塩基酸成分がテレフタル酸成分とイソフタ
   ル酸成分との組み合わせからなる実質上非晶質の共重合
   ポリアミドまたは実質上非晶質の共重合ポリエステルの
   内層と接着剤樹脂中間層との積層体からなり、且つ底部
   ヒートシール部は内層同士が融着されて実質上非晶質に
   維持されていることを特徴とする耐薬品性絞り出し容
   器。
2. 【請求項２】 実質上非晶質の共重合ポリアミドまたは
   実質上非晶質の共重合ポリエステル中におけるテレフタ
   ル酸成分とイソフタル酸成分とのモル比が３５：６５乃
   至９０：１０の範囲にある請求項１記載の耐薬品性絞り
   出し容器。