JPH0699350B2 - フエノ−ル類とカテコ−ル類の分離法 - Google Patents

フエノ−ル類とカテコ−ル類の分離法

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JPH0699350B2
JPH0699350B2 JP611986A JP611986A JPH0699350B2 JP H0699350 B2 JPH0699350 B2 JP H0699350B2 JP 611986 A JP611986 A JP 611986A JP 611986 A JP611986 A JP 611986A JP H0699350 B2 JPH0699350 B2 JP H0699350B2
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光彦 田村
晴雄 勝俣
浩一 足立
昇一 中嶋
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三菱化成株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はフエノール類とカテコール類とを含有する混合
物から、両者を効率的に分離する方法に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
種々の有機合成反応において、フエノール類とカテコー
ル類の両者が混合物として得られる場合があるが、一般
にフエノール類とカテコール類は物性が類似しているの
で、両者を効率的に分離することは難しい。対象とする
化合物が熱的に安定な場合には、沸点差を利用して蒸留
によつて分離することができるが、熱的に不安定で蒸留
できない場合や沸点差が小さい場合には、通常、抽出操
作によつて分離する方法が採られている。
カテコール類とフエノール類の混合物が生ずる反応とし
て、例えば農薬として有用なカルボフランの中間体であ
るベンゾフラノールを下記の反応ルートにより合成する
方法が報告されている。(特開昭58−174339) すなわち、この方法では一般式〔I〕のフエノール類を
加水分解して一般式〔II〕のカテコール類を製造する反
応の転換率が低いため、得られる反応混合物中には多量
の未反応フエノールが含有される結果となる。そこで、
反応混合物中のフエノール類をカテコール類より分離
し、フエノール類を加水分解反応に再使用する必要があ
る。
一般に溶媒抽出によつてフエノール類とカテコール類を
分離する方法は効率が悪く、上述のベンゾフラノール合
成法に於いてもフエノール類とカテコール類を良好に分
離することは困難であつた。
この分離法に関し、我々は、先に、カテコール類1モル
に対して1モル以上のホウ酸およびアルカリを用いて抽
出を行なう方法を提案した。(特願昭59−190406) しかし、この方法では、少なくともカテコール類と等モ
ルのホウ酸が必要となるので、分離コストが高くなる欠
点があつた。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明はフエノール類とカテコール類を簡単な操作で且
つ経済的に分離する方法の提供を目的とするものであ
る。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明の要旨は、フエノール類とカテコール類を含有す
る混合物を両者のモル数の和以上の量(モル)の塩基性
アルカリ金属化合物を含有する水及び水不溶性有機溶媒
よりなる混合溶媒中で撹拌処理し、次いで、これを水相
と有機相に分液することにより、主としてフエノール類
を含有する有機相と、主としてカテコール類を含有する
水相とを回収することを特徴とするフエノール類とカテ
コール類の分離方法に存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で分離方法の対象となるフエノール類とカテコー
ル類とを含有する混合物はどのようなものでも良く、例
えば、フエノール類とカテコール類の両者を多量に含む
混合物でも、また、一方の成分を微量不純物として含む
混合物でもよい。
フエノール類及びカテコール類としては特に限定される
ものではなく、フエノール、カテコールを始めとして、
種々のフエノール類、カテコール類が対象となるが、通
常、下記の一般式で示されるフエノール類、カテコール
類が挙げられる。
(式中、R1、R2は同じでも異つていても良く、夫々、水
素原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基等を
表わし、Y、Xは同じでも異なつていても良く、水素原
子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基等を示
す)。特に本発明によれば、前記〔I〕及び〔II〕の混
合物の分離が良好に行なわれる。
本発明で用いられる塩基性のアルカリ金属化合物として
は例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸
化物や炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩が適当
である。これらのアルカリ物質は通常水溶液とし、更に
水不溶性有機溶媒と混合し、フエノール類およびカテコ
ール類の混合物と接触させる。
水の使用量は、通常、フエノール類とカテコール類の合
計量に対して4〜40重量倍であり、少くともアルカリ物
質を十分に溶解できる量が必要である。
本発明で用いられる水不溶性有機溶媒(以下、有機溶媒
と略記)としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシ
レン、プソイドキユメンなどの芳香族炭化水素類、クロ
ルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼンな
どのハロゲン化芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、四塩化炭素、二
塩化エチレンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、ある
いはエーテル類、エステル類、ニトリル類等が挙げら
れ、就中芳香族炭化水素が好ましい。この有機溶媒の量
は通常、水に対して0.02〜20重量倍である。
アルカリ化合物の量は、フエノール類とカテコール類の
分離の精度と効率に影響する。すなわち、アルカリ量が
大となる程分離精度は良くなるが有機溶媒相に抽出され
るフエノール類の量が少なく処理(抽出)回数を多くす
る必要がある。
一方、アルカリ量が小となると分離精度は悪くなるが抽
出回数は少くてよい。したがつて、アルカリ量はフエノ
ール類とカテコール類のモル数の和以上、好ましくは1.
5〜2.5倍モルである。
本発明方法を実施する場合、対象とするフエノール類と
カテコール類の混合物が予じめアルカリ水溶液として存
在する場合には、通常、例えば塩酸による混合物の中和
適定によりアルカリおよびフエノール類とカテコール類
のアルカリ塩のモル数の和を求め、この値より水溶液中
のアルカリ量を酸あるいはアルカリの添加によつて所定
量に調節した後、有機溶媒と混合し抽出処理を行ない水
相中のフエノール類を優先的に有機相に抽出する。
また、フエノール類とカテコール類の混合物が有機溶媒
溶液である場合には、通常、そのフエノール類とカテコ
ール類のモル数の和を求め、この値に応じて所定量のア
ルカリを含有するアルカリ水溶液を調製し、これを前記
有機溶媒溶液と混合し、抽出処理を行ない有機相中のカ
テコール類を水相に抽出する。
この際の抽出処理は通常、0〜100℃、好ましくは10〜9
0℃の温度で実施する。抽出は混合により極めて迅速に
実施される。抽出処理は1度でも良いがフエノール並び
にカテコールの種類と、目的とする分離度により通常、
1〜20段程度の多段処理が行なわれる。
多段が必要とされる場合は、混合槽と静置槽を組合せて
多段とし、水相と有機相を向流あるいは並流で接触させ
て各段で抽出、分離する混合槽と静置槽の組合せの他、
塔形式で向流接触させ、抽出する事も可能である。
こうした塔形式の抽出分離塔としては、種々のものが知
られており、特に限定されるものではないが、RDC(Rot
ary Disk Contactor)あるいはカールカラム等が好まし
く使用される。
RDCは、円筒状の構造で、塔壁に等間隔に固定した環状
のステータリングによつて多数の隔室を作り、各隔室内
にそれぞれ中心撹拌を行なう回転円板をとりつけられて
おり、型式としては撹拌型抽出塔である。
一方、カールカラムは脈動抽出塔型式であり円筒状の塔
内に多くの多孔板が取り付けられ、その多孔板が上下動
することにより塔内の滞留液に上下振動を与える。
両者とも通常、塔底から軽液を、塔頂から重液をフイー
ドし塔内で向流接触させることにより抽出を行なう。
抽出が終つた両相は、フエノール類を含む有機相とカテ
コール類を含む水相に分離される。
分離された水相と有機相はその目的に応じ適宜処理され
る。例えば、水相からカテコール類を単離する場合に
は、カテコール類の種類にも依るが、通常、水相に塩酸
又は硫酸などの鉱酸を加え、混合物のpHを3以下、好ま
しくは2以下とし、生成する油相を分離することにより
カテコール類を回収することができる。一方、有機相か
らフエノール類を単離する場合には、通常、必要に応じ
て有機相中に混入するアルカリを鉱酸で中和した後、蒸
留により有機溶媒とフエノール類とを分離することがで
きる。
〔作 用〕
フエノール類及びカテコール類の混合物に特定量のアル
カリを添加することによりフエノール類及びカテコール
類の水、有機溶媒に対する分配率が変化し、カテコール
類は水相にフエノール類は有機溶媒に抽出され易くな
る。
〔実施例〕
本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明
はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約される
ものではない。
実施例 2−イソブテニル−6−クロロフエノール〔I〕1.06〜
2.48%、3−イソブテニルカテコール〔II〕2.25〜3.37
%を含有する各種苛性ソーダ水溶液のアルカリ濃度を0.
5mol/kgに調整した後(必要に応じ35%塩酸添加)、50m
mφ×1800mmL、コンパートメント数54ケのガラス製RDC
を用い、塔底からベンゼンを、塔頂から苛性ソーダ水溶
液をフイードし、フエノール〔I〕の連続向流抽出を行
なつた。
RDCを表−1に示すような条件で運転した後、RDCより排
出される水相およびベンゼン相中に含有されるカテコー
ル成分とフエノール成分の含有率を求めたところ、表−
1に示す結果を得た。
なお、引き続き水相は塩酸を加えてpH2とし、水相と油
相とに分液することによりカテコール成分を回収し、一
方、ベンゼン相は蒸留することによりフエノール類を回
収した。
〔発明の効果〕 本発明は2−イソブテニル−6−クロロフエノールと3
−イソブテニルカテコールのような分離困難なフエノー
ルとカテコールを簡単な操作で水、有機溶媒による抽出
を可能としたもので、経済的且つ実用的な方法である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フエノール類とカテコール類を含有する混
    合物を、混合物中のフエノール類とカテコール類の総モ
    ル量以上のモル量の塩基性のアルカリ金属化合物を含有
    する水および水不溶性有機溶媒からなる混合溶媒中で撹
    拌処理し、次いで水相と有機相とを分液することによ
    り、主としてフエノール類を含有する有機相と主として
    カテコール類を含有する水相を回収することを特徴とす
    るフエノール類とカテコール類の分離法。
  2. 【請求項2】フエノール類及びカテコール類が、そのベ
    ンゼン核にアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、
    ハロゲン原子、ニトロ基及びアルコキシ基から選ばれる
    少くとも1個の置換基を有しているものであることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の分離法。
JP611986A 1986-01-14 1986-01-14 フエノ−ル類とカテコ−ル類の分離法 Expired - Lifetime JPH0699350B2 (ja)

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KR100398945B1 (ko) * 1995-11-03 2004-07-23 삼성종합화학주식회사 카테콜과2,3-디히드로-2,2-디메틸-7-벤조푸란올을함유하는혼합물로부터이들성분을분리하는방법
KR100377447B1 (ko) * 1995-12-29 2003-06-09 삼성종합화학주식회사 2,3-디히드로-2,2-디메틸-7-벤조푸란올과 카테콜의 혼합물로부터카텔콜을선택적으로분리하는방법
JP4643801B2 (ja) * 2000-07-05 2011-03-02 三菱瓦斯化学株式会社 分散媒置換方法および高純度テレフタル酸の製造方法
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