JPH0699143B2 - ニツケル粉末の製造方法 - Google Patents
ニツケル粉末の製造方法Info
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- JPH0699143B2 JPH0699143B2 JP22104385A JP22104385A JPH0699143B2 JP H0699143 B2 JPH0699143 B2 JP H0699143B2 JP 22104385 A JP22104385 A JP 22104385A JP 22104385 A JP22104385 A JP 22104385A JP H0699143 B2 JPH0699143 B2 JP H0699143B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、酸化性雰囲気で焼付け可能なニツケルペー
ストに含有されるニツケル粉末の製造方法に関するもの
である。
ストに含有されるニツケル粉末の製造方法に関するもの
である。
(従来の技術) 近年、厚膜焼付け用の導電材料として、Ag,Ag−Pd,Pdな
どの貴金属を用いる代わりに、安価なNi,Cu,Znなどの卑
金属系の導電材料が出現している。
どの貴金属を用いる代わりに、安価なNi,Cu,Znなどの卑
金属系の導電材料が出現している。
この中で、酸化性雰囲気で焼付け可能なニツケルペース
トとして、ニツケル(Ni)−硼素(B)系のものが知ら
れている。たとえば、ニツケルと硼素との混合粉末を含
むペーストは特公昭60−16041号公報に開示されてい
る。また、(Ni3B)a(Ni3Si)bの粉末をビヒクルに分散さ
せたペーストはU.S.P3,943,168に開示されている。
トとして、ニツケル(Ni)−硼素(B)系のものが知ら
れている。たとえば、ニツケルと硼素との混合粉末を含
むペーストは特公昭60−16041号公報に開示されてい
る。また、(Ni3B)a(Ni3Si)bの粉末をビヒクルに分散さ
せたペーストはU.S.P3,943,168に開示されている。
(発明が解決しようとする問題) 上記した各ニツケルペーストのうち、前者のものは、酸
化性雰囲気での焼付け時におけるニツケルの酸化防止が
硼素の粒径や混合量に大きく左右されるという欠点が見
られる。また硼素粉末は硼素化合物や硼素酸化物と比較
してかなり高価であり、しかも硬度が高く、ロールミル
でニツケル粉末と混練すると、ロールミルの表面を傷つ
けやすいという難点がある。
化性雰囲気での焼付け時におけるニツケルの酸化防止が
硼素の粒径や混合量に大きく左右されるという欠点が見
られる。また硼素粉末は硼素化合物や硼素酸化物と比較
してかなり高価であり、しかも硬度が高く、ロールミル
でニツケル粉末と混練すると、ロールミルの表面を傷つ
けやすいという難点がある。
また、後者のものは、酸化に対して非常に安定である
が、原料であるNi3B,Ni3Siを不活性雰囲気中で溶融混合
し、そののちインゴツトを粉砕して粉末を得るこいう工
程を経るものであるため、粉砕工程が必要となり、得ら
れるニツケル−硼素系粉末のコストアツプの要因となる
ものであつた。
が、原料であるNi3B,Ni3Siを不活性雰囲気中で溶融混合
し、そののちインゴツトを粉砕して粉末を得るこいう工
程を経るものであるため、粉砕工程が必要となり、得ら
れるニツケル−硼素系粉末のコストアツプの要因となる
ものであつた。
(発明の目的) したがつて、この発明は液相反応によりNi3Bの結晶構造
を有するニツケル粉末を容易に得られる製造方法を提供
することを目的とする。
を有するニツケル粉末を容易に得られる製造方法を提供
することを目的とする。
(発明の構成) つまり、この発明の要旨とするところは、 ニツケル塩の溶液を水素化硼化物の還元液にて液相還元
し、該還元工程で得られたNi−B共沈粉末を熱処理する
ことにより、Ni3Bからなるニツケル粉末を得ることを特
徴とするニツケル粉末の製造方法である。
し、該還元工程で得られたNi−B共沈粉末を熱処理する
ことにより、Ni3Bからなるニツケル粉末を得ることを特
徴とするニツケル粉末の製造方法である。
上記した工程において、ニツケル塩の溶液としては、た
とえば硫酸ニツケル、硝酸ニツケル、塩化ニツケルを純
水に溶解したものなど(以後、第1液という)がある。
実際には、たとえばピロリン酸ナトリウムとアンモニア
水を純水に溶解したものなど(以後、第2液という)と
第1液と混合し、ニツケルの錯塩としたものを用いる。
とえば硫酸ニツケル、硝酸ニツケル、塩化ニツケルを純
水に溶解したものなど(以後、第1液という)がある。
実際には、たとえばピロリン酸ナトリウムとアンモニア
水を純水に溶解したものなど(以後、第2液という)と
第1液と混合し、ニツケルの錯塩としたものを用いる。
また、水素化硼化物からなる還元液としては、たとえば
水素化硼素ナトリウム、水素化硼素カリウム、水素化硼
素リチウムなどを水酸化ナトリウム、水酸化カリウムな
どを純水に溶解した溶液に溶かしたもの(以後、第3液
という)がある。
水素化硼素ナトリウム、水素化硼素カリウム、水素化硼
素リチウムなどを水酸化ナトリウム、水酸化カリウムな
どを純水に溶解した溶液に溶かしたもの(以後、第3液
という)がある。
(作用) まず、第1液と第2液を混合してニツケルの錯塩を準備
する。このニツケルの錯塩を加温しておき、第3液を分
液ロートやマイクロチユーブポンプを用いて徐々に滴下
する。このとき第3液が還元剤の役割を果たし、Ni−B
の共沈粉末の沈澱物が得られることになる。この沈澱物
は洗浄、過されてNi−Bの共沈粉末として得られる。
する。このニツケルの錯塩を加温しておき、第3液を分
液ロートやマイクロチユーブポンプを用いて徐々に滴下
する。このとき第3液が還元剤の役割を果たし、Ni−B
の共沈粉末の沈澱物が得られることになる。この沈澱物
は洗浄、過されてNi−Bの共沈粉末として得られる。
得られたNi−B共沈粉末は酸化性雰囲気または不活性雰
囲気で熱処理される。この熱処理によりNi−B共沈粉末
はNi3Bの結晶構造からなる粉末が得られることになる。
ここで、前者、つまり酸化性雰囲気での熱処理による場
合、550〜900℃、望ましくは580〜700℃の温度で熱処理
する。これは550℃未満での熱処理では十分な熱処理が
行われず、Ni3Bの結晶構造を有する粉末が得られなくな
るからであり、一方、900℃を越えるとNiOが生じること
になり、比抵抗の高いニツケル粉末が得られるからであ
る。また、後者つまり不活性雰囲気での熱処理による場
合、300〜1000℃、望ましくは300〜800℃の温度で熱処
理する。不活性雰囲気での熱処理は酸化性雰囲気での熱
処理と異なり、300℃からNi3Bの結晶構造からなる粉末
が得られる。一方熱処理温度の上昇に伴い比抵抗が上昇
するため、比抵抗の上昇を抑制するための温度は1000℃
が限度である。
囲気で熱処理される。この熱処理によりNi−B共沈粉末
はNi3Bの結晶構造からなる粉末が得られることになる。
ここで、前者、つまり酸化性雰囲気での熱処理による場
合、550〜900℃、望ましくは580〜700℃の温度で熱処理
する。これは550℃未満での熱処理では十分な熱処理が
行われず、Ni3Bの結晶構造を有する粉末が得られなくな
るからであり、一方、900℃を越えるとNiOが生じること
になり、比抵抗の高いニツケル粉末が得られるからであ
る。また、後者つまり不活性雰囲気での熱処理による場
合、300〜1000℃、望ましくは300〜800℃の温度で熱処
理する。不活性雰囲気での熱処理は酸化性雰囲気での熱
処理と異なり、300℃からNi3Bの結晶構造からなる粉末
が得られる。一方熱処理温度の上昇に伴い比抵抗が上昇
するため、比抵抗の上昇を抑制するための温度は1000℃
が限度である。
このようにして得られたNi3Bの粉末は粒径が0.2μ〜1.5
μmの範囲のものである。Ni3B粉末はガラスフリツト、
有機質ビヒクルとともに混練されてペースト状とされ、
アルミナ、ジルコニア、コージエライトのセラミツク基
板あるいは板物コンデンサ、積層コンデンサに塗布、印
刷などの手段で付与され、酸化性雰囲気で焼付けられる
ことにより、導電体としての役割を果たす。使用される
ガラスフリツトとしてはホウケイ酸系のものが用いられ
る。また有機質ビヒクルとしては、たとえばエチルセル
ロースをテルピネオール、エステル類、アルコール類、
アセトンなどで希釈したものが用いられる。
μmの範囲のものである。Ni3B粉末はガラスフリツト、
有機質ビヒクルとともに混練されてペースト状とされ、
アルミナ、ジルコニア、コージエライトのセラミツク基
板あるいは板物コンデンサ、積層コンデンサに塗布、印
刷などの手段で付与され、酸化性雰囲気で焼付けられる
ことにより、導電体としての役割を果たす。使用される
ガラスフリツトとしてはホウケイ酸系のものが用いられ
る。また有機質ビヒクルとしては、たとえばエチルセル
ロースをテルピネオール、エステル類、アルコール類、
アセトンなどで希釈したものが用いられる。
この発明にかかるニツケル粉末の製造方法の好ましい実
施態様としては次のようなものがある。
施態様としては次のようなものがある。
ニツケル塩の溶液を水素化硼化物の還元液にて液相還
元するに際し、水素化硼化物の還元液のアルカリ濃度を
制御することにより、還元工程が得られるNi−B共沈粉
末の粒径を制御するニツケル粉末の製造方法。
元するに際し、水素化硼化物の還元液のアルカリ濃度を
制御することにより、還元工程が得られるNi−B共沈粉
末の粒径を制御するニツケル粉末の製造方法。
ニツケル塩の溶液を水素化硼化物の還元液にて液相還
元するに際し、反応時における温度を制御することによ
り、還元工程が得られるNi−B共沈粉末の粒径を制御す
るニツケル粉末の製造方法。
元するに際し、反応時における温度を制御することによ
り、還元工程が得られるNi−B共沈粉末の粒径を制御す
るニツケル粉末の製造方法。
ニツケル塩の溶液を水素化硼化物の還元液にて液相還
元するに際し、ニツケル塩の溶液に水素化硼化物の還元
液を加える速度を制御することにより、還元工程で得ら
れるNi−B共沈粉末の粒径を制御するニツケル粉末の製
造方法。
元するに際し、ニツケル塩の溶液に水素化硼化物の還元
液を加える速度を制御することにより、還元工程で得ら
れるNi−B共沈粉末の粒径を制御するニツケル粉末の製
造方法。
(効果) この発明によれば、ニツケル塩の溶液を水素化硼化物の
還元液にて液相還元し、得られたNi−B共沈粉末を熱処
理することにより、Ni3Bからなるニツケル粉末を得ると
いうものであり、比較的容易な方法でNi3Bの結晶構造を
有するニツケル粉末が得られるものである。
還元液にて液相還元し、得られたNi−B共沈粉末を熱処
理することにより、Ni3Bからなるニツケル粉末を得ると
いうものであり、比較的容易な方法でNi3Bの結晶構造を
有するニツケル粉末が得られるものである。
また、得られたNi3B粉末は酸化に対して安定であり、70
0℃以下での酸化性雰囲気で熱処理を繰り返しても酸化
されない。通常Niは350℃から酸化されるが、特に酸化
の著しい420〜550℃でも、このNi3B粉末は酸化されずに
安定な状態にある。
0℃以下での酸化性雰囲気で熱処理を繰り返しても酸化
されない。通常Niは350℃から酸化されるが、特に酸化
の著しい420〜550℃でも、このNi3B粉末は酸化されずに
安定な状態にある。
さらに、0.2〜1.5μmの範囲のニツケル粉末を得ようと
するにあたつて、還元剤のアルカリ濃度の操作で粒径の
制御ができるという利点を有している。
するにあたつて、還元剤のアルカリ濃度の操作で粒径の
制御ができるという利点を有している。
(実施例) 以下、この発明を実施例に従つて詳細に説明する。
実施例1. 100gの硫酸ニツケルを純水300mlに溶解したものを第1
液とした。
液とした。
また、50gのピロリン酸ナトリウムと140mlの28%アンモ
ニア水を700mlの純水に溶解して第2液とした。
ニア水を700mlの純水に溶解して第2液とした。
さらに、15gの水素化硼素ナトリウムを、あらかじめ10g
の水酸化ナトリウムを純水に溶解した溶液に溶かして第
3液とした。
の水酸化ナトリウムを純水に溶解した溶液に溶かして第
3液とした。
次いで、第1液と第2液を混合してニツケルの錯塩を作
り、55〜60℃の温度になるまで加温した。このときのpH
は10.5前後であつた。液温が55〜60℃に達したとき第3
液を分液ロートを用いて第1液と第2液の混合液に滴下
した。反応液が青色から無色透明になつた時点で第3液
の滴下を止めた。沈澱物を50〜60℃の温水で洗浄、過
し、100℃以下で加熱、乾燥し、Ni−B共沈粉末Aを得
た。このNi−B共沈粉末AについてX線回折を行い、そ
の結果を第1図に示した。
り、55〜60℃の温度になるまで加温した。このときのpH
は10.5前後であつた。液温が55〜60℃に達したとき第3
液を分液ロートを用いて第1液と第2液の混合液に滴下
した。反応液が青色から無色透明になつた時点で第3液
の滴下を止めた。沈澱物を50〜60℃の温水で洗浄、過
し、100℃以下で加熱、乾燥し、Ni−B共沈粉末Aを得
た。このNi−B共沈粉末AについてX線回折を行い、そ
の結果を第1図に示した。
次いで、Ni−B共沈粉末Aを酸化性雰囲気(空気中)で
650℃に加熱した石英管中に通して急熱処理を行い、Ni3
Bの粉末Bを得た。
650℃に加熱した石英管中に通して急熱処理を行い、Ni3
Bの粉末Bを得た。
また、Ni−B共沈粉末Aを窒素雰囲気の石英管中で650
℃までの温度に徐々に加熱し、Ni3Bの粉末Cを得た。こ
のNi3Bの粉末CについてX線回折を行い、その結果を第
2図に示した。
℃までの温度に徐々に加熱し、Ni3Bの粉末Cを得た。こ
のNi3Bの粉末CについてX線回折を行い、その結果を第
2図に示した。
ここで、第1図のNi−B共沈粉末Aと第2図のNi3Bの粉
末Bの各X線回折図を比較して明らかなように、Ni−B
共沈粉末を熱処理することによつてNi3粉末が得られる
ことが理解できる。
末Bの各X線回折図を比較して明らかなように、Ni−B
共沈粉末を熱処理することによつてNi3粉末が得られる
ことが理解できる。
これら各粉末A,BおよびCについて、ペーストにするた
めの成分である有機質ビヒクルとの濡れ性を向上させる
ために、たとえばステアリン酸などの高級脂肪酸で表面
処理をした。こののち第1表に示す割合でガラスフリツ
トとともに有機質ビヒクルに分散させてペースト状とし
た。このペーストをステンレススクリーンを用いてアル
ミナ基板の上に所定のパターンに印刷し、ベルト炉で最
高温度600℃、維持時間10分の条件により空気中で焼付
けを行つた。得られた導電パターンについて比抵抗を測
定し、その結果を第1表に併せて示した。
めの成分である有機質ビヒクルとの濡れ性を向上させる
ために、たとえばステアリン酸などの高級脂肪酸で表面
処理をした。こののち第1表に示す割合でガラスフリツ
トとともに有機質ビヒクルに分散させてペースト状とし
た。このペーストをステンレススクリーンを用いてアル
ミナ基板の上に所定のパターンに印刷し、ベルト炉で最
高温度600℃、維持時間10分の条件により空気中で焼付
けを行つた。得られた導電パターンについて比抵抗を測
定し、その結果を第1表に併せて示した。
なお、ガラスフリツトには作業温度が550〜700℃のホウ
ケイ酸鉛亜鉛系のものを用いた。また、有機質ビヒクル
にはテルピネオールに10%のエチルセルロースを溶解さ
せたものを用いた。
ケイ酸鉛亜鉛系のものを用いた。また、有機質ビヒクル
にはテルピネオールに10%のエチルセルロースを溶解さ
せたものを用いた。
実験No.1のNi−B共沈粉末Aを用いたペーストはこの粉
末Aの吸油量が高いため、実験No.2,実験No.3と同じ混
合割合で調製することができなかつた。また粉末Aは経
時変化が大きく、調合した3日後にゲル化した。実験N
o.2,実験No.3は第1表から明らかなように、良好な導電
性を示す比抵抗が得られた。特に、窒素雰囲気で熱処理
した実験No.3のものは空気中で熱処理した実験No.2と比
較してより低い比抵抗を示している。
末Aの吸油量が高いため、実験No.2,実験No.3と同じ混
合割合で調製することができなかつた。また粉末Aは経
時変化が大きく、調合した3日後にゲル化した。実験N
o.2,実験No.3は第1表から明らかなように、良好な導電
性を示す比抵抗が得られた。特に、窒素雰囲気で熱処理
した実験No.3のものは空気中で熱処理した実験No.2と比
較してより低い比抵抗を示している。
実施例2 実施例1において得られたNi−B共沈粉末Aについて、
酸化性雰囲気(空気中)での熱処理温度を変化させてNi
3B粉末を得た。熱処理の方法は実施例1でNi3B粉末Bを
得たと同様に、各温度に加熱した石英管中に通して急熱
処理を行い、Ni3B粉末を得た。
酸化性雰囲気(空気中)での熱処理温度を変化させてNi
3B粉末を得た。熱処理の方法は実施例1でNi3B粉末Bを
得たと同様に、各温度に加熱した石英管中に通して急熱
処理を行い、Ni3B粉末を得た。
各Ni3B粉末を実施例1の実験No.2と同様にしてペースト
状とし、その後も同様にして導電パターンを作成し、比
抵抗を測定した。
状とし、その後も同様にして導電パターンを作成し、比
抵抗を測定した。
第2表にはNi−B共沈粉末の熱処理温度と測定した各比
抵抗を示した。
抵抗を示した。
第2表において、実験No.6〜実験No.11が面積抵抗に換
算して1Ω/口/mil以下の範囲に入るものである。熱処
理温度が550℃未満では十分な熱処理が行えず、Ni3Bの
結晶構造にすることができない。一方、900℃を越える
と、NiOが生成されるため比抵抗の上昇が認められる。
したがつて、酸化性雰囲気の熱処理温度は550℃〜900
℃、望ましくは580〜700℃の温度範囲で選択すればよ
い。
算して1Ω/口/mil以下の範囲に入るものである。熱処
理温度が550℃未満では十分な熱処理が行えず、Ni3Bの
結晶構造にすることができない。一方、900℃を越える
と、NiOが生成されるため比抵抗の上昇が認められる。
したがつて、酸化性雰囲気の熱処理温度は550℃〜900
℃、望ましくは580〜700℃の温度範囲で選択すればよ
い。
実施例3. 実施例1において得られたNi−B共沈粉末Aについて、
不活性雰囲気である窒素雰囲気での熱処理温度を変化さ
せてNi3B粉末を得た。熱処理の方法は実施例1でNi3B粉
末Cを得たと同様に、Ni−B共沈粉末Aを窒素雰囲気の
石英管中で各熱処理温度にまで徐々に加熱し、Ni3B粉末
を得た。
不活性雰囲気である窒素雰囲気での熱処理温度を変化さ
せてNi3B粉末を得た。熱処理の方法は実施例1でNi3B粉
末Cを得たと同様に、Ni−B共沈粉末Aを窒素雰囲気の
石英管中で各熱処理温度にまで徐々に加熱し、Ni3B粉末
を得た。
各Ni3B粉末を実施例1の実験No.3と同様にしてペースト
状とし、その後も同様にして導電パターンを作成し、比
抵抗を測定した。
状とし、その後も同様にして導電パターンを作成し、比
抵抗を測定した。
第3表にはNi−B共沈粉末の熱処理温度と測定した各比
抵抗を示した。
抵抗を示した。
不活性雰囲気での熱処理では徐々に加熱するため、酸化
性雰囲気での熱処理に異なり、300℃からNi3Bの結晶構
造からなる粉末が得られる。熱処理温度の上昇とともに
比抵抗が上昇するが、多少の酸素が含まれるため、NiO
の存在量が多くなりその結果比抵抗の上昇が見られる。
性雰囲気での熱処理に異なり、300℃からNi3Bの結晶構
造からなる粉末が得られる。熱処理温度の上昇とともに
比抵抗が上昇するが、多少の酸素が含まれるため、NiO
の存在量が多くなりその結果比抵抗の上昇が見られる。
実施例4 実施例1において、還元液である水素化硼化物として、
15gの水素化硼素ナトリウムを、あらかじめ10gの水酸化
ナトリウムを純水に溶解した溶液に溶かして第3液とし
て作成した。
15gの水素化硼素ナトリウムを、あらかじめ10gの水酸化
ナトリウムを純水に溶解した溶液に溶かして第3液とし
て作成した。
この実施例では、水素化硼化物からなる還元液のアルカ
リ濃度を変えるため、水酸化ナトリウム(NaOH)の量を
変化させ、この還元工程で得られるNi−B共沈粉末の粒
径に与える影響を調べた。
リ濃度を変えるため、水酸化ナトリウム(NaOH)の量を
変化させ、この還元工程で得られるNi−B共沈粉末の粒
径に与える影響を調べた。
第4表は水酸化ナトリウム量を変化させたときのタツプ
密度とNi−B共沈粉末の粒径を示したものである。
密度とNi−B共沈粉末の粒径を示したものである。
実験No.20は水素化硼素ナトリウムによる還元反応で反
応速度を制御しうる水酸化ナトリウム量の限界で、水酸
化ナトリウムがこれより少ない量になるとNi−Bの共沈
粉末が得られず、Ni単独の沈澱が生じる。また実験No.2
7は水酸化ナトリウム量が多く、アルカリ過多となつてN
i(OH)2の白色沈澱を生じ、Ni−B共沈粉末の生成ができ
なくなる。なお、実験No.22は実施例1における第3液
に相当する。
応速度を制御しうる水酸化ナトリウム量の限界で、水酸
化ナトリウムがこれより少ない量になるとNi−Bの共沈
粉末が得られず、Ni単独の沈澱が生じる。また実験No.2
7は水酸化ナトリウム量が多く、アルカリ過多となつてN
i(OH)2の白色沈澱を生じ、Ni−B共沈粉末の生成ができ
なくなる。なお、実験No.22は実施例1における第3液
に相当する。
第4表から明らかなように、アルカリ量を変化させるこ
とにより、Ni−B共沈粉末の粒径制御に有効である。ま
た、還元剤である水素化硼素化合物の種類によつてアル
カリ量の上限、下限があることを付記しておく。
とにより、Ni−B共沈粉末の粒径制御に有効である。ま
た、還元剤である水素化硼素化合物の種類によつてアル
カリ量の上限、下限があることを付記しておく。
実施例5 その実施例では、ニツケル塩の溶液を水素化硼化物の還
元液で液相還元する場合、反応時における温度を制御す
ることにより、得られるNi−B共沈粉末の粒径を制御す
る例を明らかにしたものである。
元液で液相還元する場合、反応時における温度を制御す
ることにより、得られるNi−B共沈粉末の粒径を制御す
る例を明らかにしたものである。
100gの硫酸ニツケルを純水300mlに溶解したものを第1
液とした。
液とした。
また、50gのピロリン酸ナトリウムと140mlの28%アンモ
ニア水を700mlの純水に溶解して第2液とした。
ニア水を700mlの純水に溶解して第2液とした。
さらに、15gの水素化硼素ナトリウムを、あらかじめ30g
の水酸化ナトリウムを純水500mlに溶解した溶液に溶か
して第3液とした。
の水酸化ナトリウムを純水500mlに溶解した溶液に溶か
して第3液とした。
次いで、第1液と第2液を混合してニツケルの錯塩を作
り、40℃,50℃および60℃の温度条件にそれぞれ加温
し、マイクロチユーブポンプを用いて第3液を徐々に滴
下した。滴下速度は330〜350ml/hrとした。反応液が青
色から無色透明になつた時点で第3液の滴下を止めた。
反応液を室温まで冷却し、沈澱物を純水で洗浄、過
し、120℃で乾燥した各Ni−B共沈粉末を得た。
り、40℃,50℃および60℃の温度条件にそれぞれ加温
し、マイクロチユーブポンプを用いて第3液を徐々に滴
下した。滴下速度は330〜350ml/hrとした。反応液が青
色から無色透明になつた時点で第3液の滴下を止めた。
反応液を室温まで冷却し、沈澱物を純水で洗浄、過
し、120℃で乾燥した各Ni−B共沈粉末を得た。
これら各Ni−B共沈粉末について、タツプ密度Ni−B共
沈粉末の粒径を測定し、その結果を第5表に示した。
沈粉末の粒径を測定し、その結果を第5表に示した。
上記した実施例では反応温度の下限値を40℃としたが、
これより低い温度ではNi−B共沈粉末は得られず、Ni鏡
として析出することが確認できた。
これより低い温度ではNi−B共沈粉末は得られず、Ni鏡
として析出することが確認できた。
また、実験No.28〜30の各Ni−B共沈粉末について、走
査型電子顕微鏡写真でその生成状態をそれぞれ第3図〜
第5図に示した。
査型電子顕微鏡写真でその生成状態をそれぞれ第3図〜
第5図に示した。
実施例6 この実施例では、ニツケル塩の溶液を水素化硼化物の還
元液で液相還元する場合、ニツケル塩の溶液に水素化硼
化物の還元液を加える速度を制御することにより、得ら
れるNi−B共沈粉末の粒径を制御する例を明らかにした
ものである。
元液で液相還元する場合、ニツケル塩の溶液に水素化硼
化物の還元液を加える速度を制御することにより、得ら
れるNi−B共沈粉末の粒径を制御する例を明らかにした
ものである。
150gの硫酸ニツケルを純水600mlに溶解したものを第1
液とした。
液とした。
また、75gのピロリン酸ナトリウムと210mlの28%アンモ
ニア水を1050mlの純水に溶解して第2液とした。
ニア水を1050mlの純水に溶解して第2液とした。
さらに、22.5gの水素化硼素ナトリウムを、あらかじめ4
5gの水酸化ナトリウムを純水750mlに溶液に溶かして第
3液とした。
5gの水酸化ナトリウムを純水750mlに溶液に溶かして第
3液とした。
次いで、第1液と第2液を混合してニツケルの錯塩を作
り、55〜60℃に加温する。加温している混合液を攪拌し
ながら、第3液を360ml/hr、150ml/hr、1000ml/hr、お
よび300ml/hrの各滴下速度で滴下した。反応液が青色か
ら無色透明になつた時点で第3液の滴下を止めた。反応
液を室温にまで冷却し、沈澱物を純水で洗浄、過し、
120℃で乾燥して各Ni−B共沈粉末を得た。
り、55〜60℃に加温する。加温している混合液を攪拌し
ながら、第3液を360ml/hr、150ml/hr、1000ml/hr、お
よび300ml/hrの各滴下速度で滴下した。反応液が青色か
ら無色透明になつた時点で第3液の滴下を止めた。反応
液を室温にまで冷却し、沈澱物を純水で洗浄、過し、
120℃で乾燥して各Ni−B共沈粉末を得た。
これら各Ni−B共沈粉末について、タツプ密度Ni−B共
沈粉末の粒径を測定し、その結果を第6表に示した。
沈粉末の粒径を測定し、その結果を第6表に示した。
得られた実験No.31〜34の各Ni−B共沈粉末について、
走査型電子顕微鏡写真でその生成状態をそれぞれ第6図
〜第9図に示した。
走査型電子顕微鏡写真でその生成状態をそれぞれ第6図
〜第9図に示した。
第6図〜第9図から明らかなように、第3液の滴下速度
を制御することにより、得られるNi−B共沈粉末の結晶
粒径を制御できることが理解できる。
を制御することにより、得られるNi−B共沈粉末の結晶
粒径を制御できることが理解できる。
第1図、第2図は実施例1において得られたNi−B共沈
粉末のX線回折図である。 第3図〜第5図は実施例5において得られたNi−B共沈
粉末の走査型電子顕微鏡写真である。 第6図〜第9図は実施例6において得られたNi−B共沈
粉末の走査型電子顕微鏡写真である。
粉末のX線回折図である。 第3図〜第5図は実施例5において得られたNi−B共沈
粉末の走査型電子顕微鏡写真である。 第6図〜第9図は実施例6において得られたNi−B共沈
粉末の走査型電子顕微鏡写真である。
フロントページの続き (72)発明者 笠次 徹 京都府長岡京市天神2丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 審査官 雨宮 弘治
Claims (6)
- 【請求項1】ニツケル塩の溶液を水素化硼化物の還元液
にて液相還元し、該還元工程で得られたNi−B共沈粉末
を熱処理することにより、Ni3Bからなるニツケル粉末を
得ることを特徴とするニツケル粉末の製造方法。 - 【請求項2】前記Ni−B共沈粉末の熱処理は550〜900
℃、望ましくは580〜700℃の酸化性雰囲気で熱処理す
る、特許請求の範囲第(1)項記載のニツケル粉末の製
造方法。 - 【請求項3】前記Ni−B共沈粉末の熱処理は300〜1000
℃、望ましくは300〜800℃の不活性雰囲気で熱処理す
る、特許請求の範囲第(1)項記載のニツケル粉末の製
造方法。 - 【請求項4】ニツケル塩の溶液を水素化硼化物の還元液
にて液相還元するに際し、水素化硼化物の還元液のアル
カリ濃度を制御することにより、還元工程で得られるNi
−B共沈粉末の粒径を制御する、特許請求の範囲第
(1)項記載のニツケル粉末の製造方法。 - 【請求項5】ニツケル塩の溶液を水素化硼化物の還元液
にて液相還元するに際し、反応時における温度を制御す
ることにより、還元工程で得られるNi−B共沈粉末の粒
径を制御する、特許請求の範囲第(1)項記載のニツケ
ル粉末の製造方法。 - 【請求項6】ニツケル塩の溶液を水素化硼化物の還元液
にて液相還元するに際し、ニツケル塩の溶液に水素化硼
化物の還元液を加える速度を制御することにより、還元
工程で得られるNi−B共沈粉末の粒径を制御する、特許
請求の範囲第(1)項記載のニツケル粉末の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22104385A JPH0699143B2 (ja) | 1985-10-02 | 1985-10-02 | ニツケル粉末の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22104385A JPH0699143B2 (ja) | 1985-10-02 | 1985-10-02 | ニツケル粉末の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6280206A JPS6280206A (ja) | 1987-04-13 |
JPH0699143B2 true JPH0699143B2 (ja) | 1994-12-07 |
Family
ID=16760593
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22104385A Expired - Lifetime JPH0699143B2 (ja) | 1985-10-02 | 1985-10-02 | ニツケル粉末の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0699143B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4081987B2 (ja) | 2000-05-30 | 2008-04-30 | 株式会社村田製作所 | 金属粉末の製造方法,金属粉末,これを用いた導電性ペーストならびにこれを用いた積層セラミック電子部品 |
JP3698098B2 (ja) * | 2001-12-11 | 2005-09-21 | 株式会社村田製作所 | 導電粉末の製造方法、導電粉末、導電性ペーストおよび積層セラミック電子部品 |
JP2009013482A (ja) * | 2007-07-06 | 2009-01-22 | Ist Corp | ニッケ粉又はニッケル合金粉及びその製造方法 |
-
1985
- 1985-10-02 JP JP22104385A patent/JPH0699143B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6280206A (ja) | 1987-04-13 |
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