JPH0698901B2 - 車両の伝達トルク制御装置 - Google Patents

車両の伝達トルク制御装置

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JPH0698901B2
JPH0698901B2 JP61018579A JP1857986A JPH0698901B2 JP H0698901 B2 JPH0698901 B2 JP H0698901B2 JP 61018579 A JP61018579 A JP 61018579A JP 1857986 A JP1857986 A JP 1857986A JP H0698901 B2 JPH0698901 B2 JP H0698901B2
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  • Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、パワープラントからトルク伝達経路を介して
前後輪間あるいは左右両輪間に伝達されるトルクを制御
する車両の伝達トルク制御装置に関する。
(従来の技術) この種の伝達トルク制御装置においては、トルク伝達経
路の途中に、トルク入力側回転数と出力側回転数の差に
応じて伝達トルク量が変化する湿式クラッチ、ビスコス
カップリング等のトルク伝達手段が介挿されたものがあ
る。かかるトルク伝達手段では、トルク入力側の回転軸
に連結した複数の摩擦板と、トルク出力側の回転軸に連
結した複数の摩擦板とが交互に配列された構造を有して
いる。
ここに、湿式クラッチでは、入出力側間の摩擦部材が油
圧等の流体圧力で締結され、この締結力に応じて、定ま
ったトルクの伝達が行なわれる。従って、締結力、すな
わち流体圧力を制御することにより、湿式クラッチを介
して伝達されるトルク量の制御が可能である。一方、ビ
スコスカップリングにおいては、その一例が米国特許第
3,760,922号の明細書に開示されているように、粘性流
体中に、摩擦板である円環状プレートが配置され、粘性
流体のせん断力によってトルク伝達が行なわれ、上記の
プレートに形成した開口の面積を変えることによって、
所定のトルク伝達特性を得ることが可能となっている。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、このようなトルク伝達手段においては、
入力側および出力側の摩擦板間に相対的なすべりを生じ
ながらトルク伝達が行なわれており、従って、常に発熱
が伴なう。この発熱状態が許容される状態にあるときに
は問題はないが、摩擦板間の相互すべり量が過度に大き
くなると、過熱状態に陥いり、摩擦板等に損傷が生ずる
おそれが生ずる。
したがって、過熱状態となるような場合には、上記トル
ク伝達手段における発熱を停止すべく該トルク伝達手段
を制御することが望ましい。
このような観点から、たとえば、特開昭57−163731号公
報には、トルク伝達手段の入力側と出力側との回転数差
が所定以上になった状態が継続する場合には、過熱の恐
れがあるとして、トルク伝達手段を介してのトルク伝達
を禁止することが開示されている。また、実願昭58−52
573号(実開昭59−158577号)や特開昭57−140925号公
報には、トルク伝達手段が過熱すると判断されるときに
は、該伝達手段を完全に締結して入出力部材の回転速度
差を無くし発熱を停止するようにすることが開示されて
いる。さらに、特開昭49−50626号公報には、温度感性
素子によって回転力伝達装置中の温度を検出し、温度が
所定値に達した場合には、回転力伝達装置の回転速度差
を減少させるように制御することが開示されている。
また、特開昭57−140925号公報には、温度検出を回転速
度差の積分値に基づいて行なうことが開示されている。
しかし、こうした制御を行なう場合、トルク伝達手段に
対し、過熱状態を回避するための制御をあまり過敏に行
なうと、本来のトルク伝達手段の機能を十分に生かすこ
とができなくなる恐れがある。すなわち、トルク伝達手
段の過熱を回避する制御は発熱状態を正確に把握し、適
正にかつ迅速に行なうことが肝要である。特に、トルク
伝達手段が車輪間に配置される場合には、トルク伝達手
段における摩擦部材相互間のすべり量の変化が極めて大
きくなるため、トルク伝達手段の過熱防止対策を行なう
にあたっては精度の高い制御が要求されることとなる。
上記特開昭49−50626号に開示されたものでは車輪間に
配置されるトルク伝達手段を対象とした過熱対策が開示
されているが、温度感性素子によって回転力伝達装置中
の温度を検出しこれに基づいて、発熱を抑制する制御を
開始するようにしているが、この方法では、発熱の結果
を検出して過熱防止を行なうこととなるなるため制御が
後追い的になって、上記実願昭58−52573号の技術と同
様応答性が悪いという問題がある。
この問題点を解消するため、発熱状態を演算して求める
ということが考えられるが、演算してもとめることとし
て、自動変速機のトルクコンバータのロックアップ機構
における過熱防止対策を意図したものであるが、上記実
願昭58−52573号及び特開昭57−163731号が知られてい
る。
このうち、実願昭58−52573号に開示された制御では、
流体継手のクラッチの入出力要素の回転数差と伝達トル
クとの積から発熱量を算出して、過熱対策を行なうよう
にしている。
具体的に、この公報に開示されたものでは、流体継手の
クラッチに作用する油圧の前後差圧に基づいて伝達トル
クを算出している。この差圧はクラッチ動作の結果とし
て発生するものであるため、動作サイミングとの間に一
体のタイムラグを不可避的に有するものである。したが
って、クラッチの前後差圧指示は、伝達トルクを正確に
反映するものと言えず、当該指示時点でのクラッチの伝
達トルクに正確に対応するものではない。
こうした自動変速機においては、入出力部材間の回転数
差の変動が大きくないため、それほど精密な制御が必要
となるものではない。しかし、上記したようにトルク伝
達手段が車輪間に配置されるものにおいての過熱防止対
策では、まだ不十分である。
本発明は、このような事情に鑑みて構成されたもので、
正確かつ迅速にトルク伝達手段における過熱防止対策を
講じることができ、したがって、トルク伝達手段の過熱
を有効に防止しつつ本来のトルク伝達手段の機能を極力
発揮させることができる車両の伝達トルク制御装置を提
供することを目的とする。
(問題点を解決するための手段) 上記目的を達成するため、本発明の伝達トルク制御装置
は、以下のように構成される。
すなわち、本発明は入出力側の摩擦部材相互間の伝達ト
ルク量を該摩擦部材相互間のすべり量に対する伝達トル
ク量が予め定められた所定の制御特性に従って変化させ
るトルク伝達手段を、パワープラントからのトルクを複
数の車輪へ伝達するトルク伝達経路に介在させ、各車輪
間のトルク配分比を変化し得る車両の伝達トルク制御装
置において、 前記トルク伝達手段の発熱量を摩擦部材相互間のすべり
量と前記所定の制御特性にしたがって変化する制御信号
から求める伝達トルク量とから検出する検出手段と、 検出された前記発熱量から、前記トルク伝達手段の発熱
量が許容量を越えたことを検知したときには、該トルク
伝達手段を介してのトルク伝達を禁止すべく指令を発生
する禁止指令手段と、 該禁止指示手段の信号により前記トルク伝達手段の入出
力側の摩擦部材間を解放状態となして、 トルク伝達を禁止して各車輪間のトルク配分比を固定す
る制御手段と、 を備えたことを特徴とする。このように、トルク伝達手
段における発熱量を検出する手段によって検出された発
熱量が予め定められた所定量を越えることによってトル
ク伝達手段が過熱状態に陥ったと判断された場合には、
迅速にトルク伝達手段の入出力側の摩擦部材間を解放状
態となして、このトルク伝達手段を介してのトルク伝達
を禁止するようにし、これによって、摩擦部材間のすべ
りに起因する発熱を抑制し、トルク伝達手段に生じた過
熱状態を許容発熱状態へ移行させるようにしている。
第1図を参照して、更に具体的に述べるならば、本発明
は、入出力側の摩擦部材相互間のすべり量を所定の制御
特性に従って変化させ伝達トルク量TOUTが可変なトルク
伝達手段Aが、パワープラントBからのトルクTINを複
数の車輪へ伝達するトルク伝達経路に介在された車両の
伝達トルク制御装置において、前記トルク伝達手段Aの
発熱量を検出する検出手段Cと、検出された前記発熱量
から、前記トルク伝達手段Aの発熱量が許容量を越えた
ことを検知したときには、該トルク伝達手段Aを介して
のトルク伝達を禁止すべく指令を発生する禁止指令手段
Dと、該禁止指令手段の信号により前記トルク伝達手段
Aの入出力側の摩擦部材間の解放状態となして、該トル
ク伝達手段を介してのトルク伝達を禁止する制御手段E
とを備えたことを特徴としている。
(実施例) 以下、添付図面を参照して本発明の実施例を説明する。
第2図ないし第5図は、本発明の一実施例を示すもので
あり、4輪駆動車の前後輪間に流体式トルク伝達手段を
介挿したものである。第2図において、符号10はパワー
プラントを示し、このパワープラント10はエンジンおよ
びトランスミッション等からなっている。このパワープ
ラント10の出力軸12には、歯車列13を介してフロント側
プロペラシャフト14が連結されているとともに、流体式
トルク伝達手段である油圧式可変クラッチ15を介してリ
ヤ側プロペラシャフト16が接続されている。フロント側
プロペラシャフト14は、ファイナルギヤユニット17を介
して左右前輪8に接続されている。また、リヤ側プロペ
ラシャフト16は、ファイナルギヤユニット19を介して左
右後輪20に接続されている。このように、パワープラン
ト10から、出力軸12、歯車列13、プロペラシャフト14お
よびファイナルギヤユニット17を介して前輪18に至るト
ルク伝達経路が形成され、また、出力軸12、クラッチ15
およびファイナルギヤユニット19を介して後輪に至るト
ルク伝達経路が形成される。そして、クラッチ15へ加え
る作動油の圧力を変化させて、クラッチ15の伝達トルク
量を変化させることにより、前後輪のトルク配分比が調
整される。
次に、第3図を参照して、上記クラッチ15の油圧制御系
について説明する。図に示すように、油タンク21内の作
動油は、ポンプ22によって吸い上げられ、所定の圧力で
吐出され、油圧制御弁23を介して、クラッチ15の作動油
室15aに供給される。油圧制御弁23は、制御ユニット24
で制御され、これによって、クラッチ15の作動油室15a
への作動油の圧力が調整される。すなわち、クラッチ5
のフロント側プロペラシャフト14に接続された摩擦板15
bと、リヤ側プロペラシャフト16に接続された摩擦板15c
との間の締結力が制御される。
上記の制御ユニット24の入力側には、車速センサ25、舵
角センサ26、速度差センサ27およびアクセル開度センサ
28が接続されている。車速センサ25は、車速を検出して
その車速に応じた車速信号SVを出力する。舵角センサ26
は、舵角を検出してその検出値に対応する舵角信号Sα
を出力する。速度差センサ27は、トルク入力側および出
力側の回転速度差、すなわちフロント側およびリヤ側プ
ロペラシャフト14、16の間の回転速度差△nを検出し、
速度差S△nを出力する。また、アクセル開度センサ28
は、アクセルの踏み込みが解除されたときにアクセルオ
フ信号Soffを出力する。なお、上記車速センサ25として
は、フロント側プロペラシャフト14の回転速度を検出す
る回転速度センサを用いることができる。また、回転速
度差△nの算出は、上記の速度差センサ25を用いずに、
リヤ側プロペラシャフト16の回転速度を検出する回転速
度センサを制御ユニット24に接続し、このセンサ出力値
に基づき制御ユニットにおいて演算するようにしてもよ
い。
制御ユニット24は、上記の3つの信号SV、SαおよびS
△nを用いて、予め記憶している制御マップから制御電
流iを算出し、算出された電流iを油圧制御弁23に供給
される。
本例では、制御電流iと制御弁23による制御油圧Pとは
比例関係にあり、また、制御油圧Pとクラッチ15による
伝達トルク量TOUTとは同じく比例関係にある。そして、
本例では、かかる制御電流iの変化により、第4図に一
例を曲線f(△n)として示すような、回転速度差△n
に対する伝達トルク特性が得られるようになっている。
また、本例の制御ユニット24においては、検出された回
転速度差△nから油圧クラッチ15の発熱状態を算出する
ようになっている。すなわち、第4図の曲線f(△n)
から、検出された回転速度差△nに対する伝達トルクT
OUTを求めた後、次式によって油圧クラッチ15における
発熱量Pを算出する。
P=△n・TOUT ここに、油圧クラッチ15の許容発熱領域は、第4図にお
いて、許容発熱量を表わす曲線P1以下の領域Iであり、
また、一定の時間隔以内ならば連続運転が可能な発熱量
の領域は、曲線P1とP2で囲まれた領域IIであり、更に、
油圧クラッチ15にとって回避しなければならない危険な
発熱領域は、曲線P2以上の領域IIIである。従って、本
例の制御ユニット24においては、領域I内においては制
御マップに基づいて制御電流iを算出し、この電流iに
よって油圧制御弁23を制御する。これにより、油圧クラ
ッチ15を介して、曲線TOUT=f(△n)によって示され
る量のトルク伝達が行なわれる。しかるに、領域II内に
運転状態が移行した場合には、この領域II内に連続して
留まる時間tを計数する。この時間tが、一定時間t1以
上に亘る場合には、一例を第4図の点Aと点Bとを結ぶ
曲線Tr1で示すように、油圧クラッチ15の摩擦板15b、15
c間のすべり量が零となるように、この油圧クラッチを
固定させる。この結果、車両と前後輪間に1:1でトルク
配分が行なわれる4輪駆動状態となる。また、領域III
内に運転状態が移行したときには、直ちに油圧クラッチ
15を開放状態となす。第4図の点Cと点Dを結ぶ曲線Tr
2はこの制御の一例を示すものである。この結果、車両
は前輪駆動状態となる。
次に、第5図に示すフローチャートに従って、本例の伝
達トルク制御動作を、更に詳しく説明する。ここで、理
解を容易にするために、伝達トルク制御が第4図の曲線
TOUT=f(△n)に従って行なわれる場合を説明する。
この場合には、回転速度差△nに対する伝達トルクTOUT
が1対1に定まっている。従って、運転状態が領域I、
II、IIIのいずれにあるのかの判別を、発熱量を直接に
算出せずに、単に回転速度差△nから行なうことが可能
となる。すなわち、第4図に示すように、回転速度差△
nが0〜△n1のときは領域Iであり、同様に、△n1〜△
n2の間が領域II、△n2以上が領域IIIである。
(1) △n<△n1の場合(領域I) この場合には、ステップST1、ST2、ST3、ST4、ST5、ST6
およびST7を順次に実行して、再びステップST1へ戻る制
御が行なわれる。従って、第4図の曲線TOUT=f(△
n)に沿う伝達トルク量が得られるように、予め記憶さ
れている制御マップから制御電流iの値を算出し、この
値となるように油圧制御弁23への制御電流を調整する
(ステップST7)。この結果、第4図を参照するなら
ば、検出された回転速度差が△n3の場合には、その値に
対する曲線f(△n)のY座標軸上の点Tr3が伝達トル
ク量となるように、クラッチ15の締結力が制御される。
(2) △n1≦△n<△n2の場合(領域II) この領域内での運転が、予め定めた時間t1に亘って継続
されるまでは、ステップST1からST6を順次に実行した
後、ステップST8、ST9を実行してタイマの内容を“1"歩
進した後、ステップST7を実行するというループを繰り
返す。すなわち、かかる領域IIでの運転は、直ちに油圧
クラッチ15にとって危険な過熱状態には至らないので、
一定時間t1を経過するまでは、曲線TOUT=f(△n)に
沿った伝達トルク制御が行なわれる。
一定時間t1を経過すると、ステップST8からステップST1
0へ進み、時間t1が経過したことを表わすフラグFLGに
“1"をたて、その後ステップST11へ進み、油圧クラッチ
15を固定状態となるように制御する。すなわち、制御弁
23へ向けて最大電流iが供給され、これにより油圧クラ
ッチ15には最大油圧Pが作用し、摩擦板15b、15c間のす
べりがほぼ零となる。第4図の曲線Tr1はこのとき伝達
トルクの変化状態を表わしている。この制御において
は、一時的に油圧クラッチの発熱量が増加するが、摩擦
板15b、15cの間のすべりの減少、換言すると、回転速度
差△nの減少に伴なって、発熱量が減少し、実質的にこ
の発熱量が零となる。従って、油圧クラッチ15が領域II
Iで示される危険な発熱状態へ移行することが回避され
る。
このようにして、フラグFLG1が立った後は、ステップST
5からステップST11へジャンプするループが繰り返され
て、油圧クラッチ15は固定状態に保持される。この固定
状態は、アクセルスイッチがオフされるまで保持され
る。アクセル開度センサ28の出力信号Soffからアクセル
の踏み込みが解除されたことを検出すると、ステップST
2からステップST14へ進み、フラグFLG1をリセットし、
更にステップST15においてタイマをリセットする。この
後、ステップST7へ進み、第4図の曲線TOUT=f(△
n)に沿う制御に復帰する。
(3) △n≧△n2の場合(領域III) この状態に移行すると、ステップST1〜ST3を実行した
後、ステップST4からST12へジャップして、回転速度差
△nが△n2以上となったことを表わすフラグタFLG2を立
てた後に、ステップST13へ進み、直ちに油圧クラッチ15
を開放状態に制御する。第4図の曲線Tr2は、このとき
の伝達トルクの変化を示すものである。この結果、油圧
クラッチ15の発熱が止み、クラッチが領域III内へ移行
することが回避される。また、後輪へのトルク伝達が行
なわれなくなるので、車両は前輪駆動状態になる。
このようにして、フラグFLG2が立った後は、ステップST
3からステップST13へジャンプするループが繰り返され
る。この解放状態は、アクセルオフ信号Soffが出力され
るまで保持される。アクセルオフ信号が出力されると、
ステップST2からステップST14へ移行し、フラグFLG2が
リセットされる。その後は、ステップST15を介してステ
ップST7へ進み、第4図の曲線TOUT=f(△n)に沿う
制御に復帰する。
このように、本例においては、運転状態が領域IIIに移
行して、油圧クラッチにとって危険な発熱状態に陥った
ときには、油圧クラッチを解放して、この油圧クラッチ
を介してのトルク伝達を禁止するようにした。従って、
油圧クラッチの摩擦板の発熱が止み、油圧クラッチが過
熱状態になることを回避することができる。また、本例
では、短かい時間の間ならば油圧クラッチが危険な過熱
状態には至らない運転領域を定め、一定時間以上に亘り
運転状態がこの領域内にあるときには油圧クラッチを固
定するようにした。かかる制御を行なうことにより、後
輪側へのトルク伝達を可能な限り行なうと共に、油圧ク
ラッチの過熱を確実に回避することができるので好まし
い。
更に、上述の実施例では、油圧クラッチの発熱状態の検
出を、発熱量(△n・TOUT)に基づき行なっている。従
って、直接に油圧クラッチの温度を検出する場合に比べ
て、制御遅れを回避できるという利点を有している。し
かしながら、本発明において、発熱状態の検出方法が、
発熱量(△n・TOUT)に限定されるものでないことは明
らかである。
なお、上述の実施例では、第4図に示すように、領域II
内に一定時間以上に亘り運転状態があるときには、曲線
Tr1で示すように油圧クラッチを固定して摩擦板間のす
べりを無くし、発熱を抑制するようにした。しかしなが
ら、この場合においても、第4図に破線Tr3(点Aから
点E)で示すように、油圧クラッチを解放することによ
りその発熱を抑制するようにしても良いことは勿論であ
る。この場合においては、トルク伝達手段として、ビス
コスカップリングと油圧クラッチとを直列接続したもの
を用い、通常時には油圧クラッチを接続しておき、過熱
時にはそれを切ることによりビスコスカップリングの解
放状態を形成することができる。
また、上述の例は、前、後輪へのトルク伝達経路間にト
ルク伝達手段を配置した場合であるが、左右両輪間にト
ルク伝達手段を配置した場合に対しても、本発明を同様
に適用することができる。
(発明の効果) 以上の説明から明らかなように、本発明の伝達トルク制
御装置においては、油圧クラッチ等の車輪間に配置され
るトルク伝達手段の発熱量を検出して、この発熱量が許
容量を越えた発熱状態になったときには、トルク伝達手
段の入出力側の摩擦部材相互を解放状態となして、トル
ク伝達を禁止するようにした。従って、トルク伝達手段
の発熱を正確に察知することができ、その発熱を適正に
抑制でき、このトルク伝達手段が過熱状態に陥って、損
傷等の不具合が生ずる事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の構成を示す概略図、第2図は本発明を
4輪駆動車に適用した例を示す全体構成図、第3図は第
2図の例における油圧制御系を中心に示す構成図、第4
図は回転速度差に対する伝達トルク量を示す特性図、第
5図は第2図の例における制御動作の一例を示すフロー
チャートである。 A……トルク伝達手段、B……パワープラント、C……
検出手段、D……禁止指示手段、E……制御手段

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入出力側の摩擦部材相互間の伝達トルク量
    を該摩擦部材相互間のすべり量に対する伝達トルク量が
    予め定められた所定の制御特性に従って変化させるトル
    ク伝達手段を、パワープラントからのトルクを複数の車
    輪へ伝達するトルク伝達経路に介在させ、各車輪間のト
    ルク配分比を変化し得る車両の伝達トルク制御装置にお
    いて、 前記トルク伝達手段の発熱量を摩擦部材相互間のすべり
    量と前記所定の制御特性にしたがって変化する制御信号
    から求める伝達トルク量とから検出する検出手段と、 検出された前記発熱量から、前記トルク伝達手段の発熱
    量が許容量を越えたことを検知したときには、該トルク
    伝達手段を介してのトルク伝達を禁止すべく指令を発生
    する禁止指令手段と、 該禁止指示手段の信号により前記トルク伝達手段の入出
    力側の摩擦部材間を解放状態となして、 トルク伝達を禁止して各車輪間のトルク配分比を固定す
    る制御手段と、 を備えたことを特徴とする車両の伝達トルク制御装置。
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