JPH0697771A - 高速信号処理装置及び高速信号処理方法 - Google Patents

高速信号処理装置及び高速信号処理方法

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JPH0697771A
JPH0697771A JP24303592A JP24303592A JPH0697771A JP H0697771 A JPH0697771 A JP H0697771A JP 24303592 A JP24303592 A JP 24303592A JP 24303592 A JP24303592 A JP 24303592A JP H0697771 A JPH0697771 A JP H0697771A
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signal
error
filter
coefficient
adaptive filter
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JP24303592A
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English (en)
Inventor
Tetsuya Matsuura
哲哉 松浦
Takehiko Hiei
武彦 樋江井
Hiroyuki Ito
宏幸 伊藤
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Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 適応フィルタにより入力信号を目標信号に適
応させる高速信号処理において、計算量の増大を抑制し
ながら、収束特性を向上させる。 【構成】 フィルタ係数を、前回のサンプリングで得ら
れた値に対し、過去の各サンプリングごとにフィードバ
ックされた誤差信号と入力信号との積に時間の経過と共
に指数関数的に減少する重み係数を乗じたものの総和を
用いて逐次更新することで、瞬時値だけでなく過去のデ
ータを用いて、収束特性を向上させる。また、フィルタ
係数を、前回のサンプリングで得られた値に対し、過去
の各サンプリングごとの誤差信号と入力信号との積に時
間の経過と共に指数関数的に減少する重み係数を乗じた
ものの総和を用いて逐次更新するようにしてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、通信システム等の適応
フィルタリング処理を行う高速信号処理装置及び高速信
号処理方法に係り、特に、信号処理精度の向上対策に関
する。
【0002】
【従来の技術】現在高速信号処理が必要となる場合の適
応フィルタリングで多く用いられる最適化手法は、Wid
row とHoff により開発されたいわゆるLMS(Least
Mean Square )アルゴリズムである。この手法は、
計算回数が少なく高速信号処理には非常に有効である
が、非常に粗い近似を行ったアルゴリズムであるので、
それに伴って収束速度が遅くなったり、収束値が目標値
から離れたものとなる欠点があった。
【0003】ここで、勾配法による適応アルゴリズムと
LMSアルゴリズムについて、説明する。
【0004】図7に示すように、FIRフィルタ(適応
フィルタ)(a)を用いてある目標信号d(n) を推定す
るシステムを考えると、入力信号x(n) を受けたとき、
FIRフィルタ(a)でフィルタ係数により出力信号y
(n) に変換して出力し、結合点(c)で、この出力信号
y(n) と目標信号d(n) との差を演算し、これを誤差信
号e(n) としてFIRフィルタ(a)にフィードバック
する一方、適応アルゴリズム(c)を用いて、FIRフ
ィルタ(a)のフィルタ係数を、出力信号y(n) が最適
値に収束するよう更新するものとなる。
【0005】つまり、一般的に適応フィルタはその係数
を変えることによって出力信号y(n) をd(n) に近付け
るものであって、適応フィルタは、下記(1) 式 e(n) =d(n) −y(n) (1) で示される誤差信号e(n) を最小にするものとなる。
【0006】ここで、適応フィルタとして、h(n) を係
数とするタップ数NのFIRフィルタ(a)を用いると
すると、その出力信号y(n) は、係数h(n) と入力信号
x(n) のたたみこみ和で、下記(2) 式 y(n) =Σhk (n) ・x(n-k) (k=0〜N-1) (2) のように表される。
【0007】上記(2) 式より、任意にフィルタ係数h
(n) を変えることによって出力y(n)を変化させて目標
信号に近付けることができることがわかる。
【0008】しかし、誤差評価量が上記(1) 式のe(n)
であると、e(0) =0となるフィルタ係数hk (n) の組
合せが多数存在し、フィルタ係数を一意に定められない
ので、e(n) の自乗平均値を評価量とする。つまり、フ
ィルタ係数h(n) はe(n) の自乗平均値を最小とするよ
うに選ばれることになる。
【0009】この誤差信号の自乗平均値をεとすると、
εは下記(3) 式 ε=E[e(n) 2 ] (3) (ただし、E[…]は期待値を表す)で表される。
【0010】未知システムの入力信号と出力信号とが定
常である場合、誤差信号e(n) も定常となり、εはフィ
ルタ係数h(n) に関する2次関数となる。誤差評価量ε
が2次関数であるということは、図8に示されるような
誤差特性曲線を形成するので、誤差の最小点が唯一存在
することがわかる。なお、図8は3次元としているが、
実際には[タップ数+1]次元の超放物面となる。
【0011】したがって、適応フィルタにおける問題
は、この最小点を与える最適係数を求めることである。
【0012】その場合、最適係数を求めるためには、初
期係数h(0) (表示はベクトルを表す)から逐次的
に最小点εmin にたどり着く方法を考えればよい。つま
り、下記(4) 式
【数1】 のようにεの負のグラディエント・ベクトル−▽εの方
向(誤差特性曲面の最急降下方向)に進むようにフィル
タ係数を更新すれば最も速く平均自乗誤差を減少させる
ことができる(最急降下法)。なお、上記(4) 式で、μ
は、ステップサイズと呼ばれる定数で、係数ベクトルの
更新量を表す。
【0013】したがって、グラディエントベクトル▽ε
(n) を既知のパラメータで表現する必要があるが、上記
(3) 式に、(1) 式及び(2) 式を順次代入すると、ε(n)
は、下記(5) 式
【数2】 で表される。
【0014】さらに、このεをフィルタ係数hk (n) で
偏微分すると、下記(6) 式
【数3】 が成立する。
【0015】一方、上記(1) 式及び(2) 式より、下記
(7) 式 d(n) =Σhm (n) x(n-k) +e(n) (7) が成立し、上記(7) 式の両辺にx(n-k) を乗じて期待値
をとると、下記(8) 式 E[d(n) x(n-k) ]=Σhm (n) E[x(n-m)x(n-k) ](m =0〜N-1 ) +E[e(n) x(n-k) ] (8) が成立する。
【0016】そして、上記(6) 式及び(8) 式より、下記
(9) 式
【数4】 が成立し、結局、グラディエント・ベクトル▽ε(n)
は、下記(10)式
【数5】 で表される。
【0017】さらに、入力信号をベクトルで定義する
と、上記(10)式は、下記(11)式 ▽ε(n) =−2E[e(n) x(n) ] (11) で表される(ただし、はベクトルを表す)。そして、
この(11)式を上記(4) 式に代入することで、最急降下法
のフィルタ係数の更新式は、下記(12)式 h(n+1)=h(n) +2μE[e(n) x(n) ] (12) となる。
【0018】つまり、上記(12)式を用いてフィルタ係数
の更新を行えば、自乗平均誤差が「0」に近付き、最適
係数解が得られる。ただし、(12)式では期待値を計算す
る必要があるが、実際の制御における計算では、有限個
のデータしか扱えないため、期待値を計算することは困
難である。
【0019】そこで、有限個のデータからグラディエン
ト・ベクトルを推定するアルゴリズムが必要となり、上
記LMSアルゴリズムでは、時刻nにおける入力信号x
(n)と誤差信号e(n) とに基づくグラディエント・ベク
トルの瞬時推定値を利用する。
【0020】特に、(9) 式より下記(13)式 ▽ε(n) =−2e(n) x(n) (13) のようなグラディエント・ベクトルの瞬時推定値を導出
する。
【0021】この推定の期待値は、(9) 式の実際のグラ
ディエント・ベクトルと全く同じであるので、この推定
は不偏推定であり、この(13)式を用いると、上記更新式
(12)は、下記(14)式 h(n+1)=h(n) +2μE[e(n) x(n) ] (14) のようになる。
【0022】上記LMSアルゴリズムでは、上記(14)式
の極めて簡単な式の計算を繰り返すことで最適係数値を
求めることになる。一見、勾配ベクトルの瞬時推定値を
用いるため、データの分散でよい特性が得られないよう
にも見えるが、適応の繰り返しにより効果的な平均化が
行われ収束するのである。このように、LMSアルゴリ
ズムは、簡単な計算式の繰り返しでフィルタ係数を収束
させることができるので、非常に多くの信号処理問題に
適用されている。
【0023】そのほか、近似を用いずに最小自乗法の考
え方を適用して導出されたRLS(Recursive Least
Square )アルゴリズムもある。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最急降
下法が各繰り返し毎に正確な勾配ベクトルを求めるのに
対し、LMSアルゴリズムでは雑音を含んだ不正確な勾
配ベクトルを用いているために、データの分散による悪
影響が生じるという問題があった。
【0025】つまり、不正確な勾配ベクトルを用いる結
果、LMSアルゴリズムにおける十分な繰り返しの後の
自乗平均誤差は、最小自乗平均誤差よりも大きくなるの
が通例である。この誤差を過剰自乗平均誤差という(図
9参照)。この過剰自乗平均誤差を減小させるために
は、ステップサイズμを小さくすればよいが、あまりス
テップサイズを小さくすると、収束速度が遅くなり、問
題が生じる。
【0026】したがって、収束速度を落とすことなく過
剰自乗平均誤差を減少させることが必要となるが、その
ためには、上記(11)式の期待値に関して、LMSアルゴ
リズムよりも正確な近似を行うアルゴリズムの開発が必
要となる。
【0027】一方、上記RLSアルゴリズムを利用した
場合、収束特性はLMSアルゴリズムよりも優れるもの
の、計算量がLMSに比べて飛躍的に増大するので、高
速信号処理では扱いにくいのが現状である。例えば、タ
ップ数をNとすると、1ステップでの乗算回数がLMS
アルゴリズムでは(2N+1)回であるのに対し、RL
Sアルゴリズムでは(3N(3+N)/2)回となる。
【0028】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、高速信号処理において、計算量の増
大を抑制しながら、過剰自乗平均誤差を低減させる手段
を講ずることにより、収束特性の向上を図ることにあ
る。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1の発明の講じた手段は、図1に示すように、入
力信号を目標信号に適応させるための適応フィルタ
(2)を備えた高速信号処理装置を対象とする。
【0030】そして、上記適応フィルタ(2)の出力信
号と目標信号との誤差を演算して、その誤差信号を上記
適応フィルタ(2)にフィードバックする誤差演算手段
(3)と、フィルタ係数を、前回のサンプリングで得ら
れた値に対し、過去の各サンプリングごとの誤差信号と
入力信号との積に時間の経過と共に指数関数的に減少す
る重み係数を乗じたものの総和を用いて逐次更新するフ
ィルタ係数更新手段とを設ける構成としたものである。
【0031】請求項2の発明の講じた手段は、適応フィ
ルタにより入力信号を目標信号に適応させるようにした
高速信号処理方法を対象とする。
【0032】そして、上記適応フィルタの出力信号と目
標信号との誤差を演算し、その誤差信号を上記適応フィ
ルタにフィードバックする一方、フィルタ係数を、前回
のサンプリングで得られた値に対し、過去の各サンプリ
ングごとの誤差信号と入力信号との積に時間の経過と共
に指数関数的に減少する重み係数を乗じたものの総和を
用いて逐次更新する方法とした。
【0033】請求項3の発明の講じた手段は、図1に示
すように、入力信号を目標信号に適応させるための適応
フィルタ(2)を備えた高速信号処理装置を対象とす
る。
【0034】そして、上記適応フィルタ(2)の出力信
号と目標信号との誤差を演算して、その誤差信号を上記
適応フィルタ(2)にフィードバックする誤差演算手段
(3)と、フィルタ係数を、前回のサンプリングで得ら
れたフィルタ係数値に所定の重み係数を乗じ、過去の各
サンプリングごとの誤差信号と入力信号との積の総和を
用いて逐次更新するフィルタ係数更新手段とを設けたも
のである。
【0035】請求項4の発明の講じた手段は、適応フィ
ルタにより入力信号を目標信号に適応させるようにした
高速信号処理方法を対象とする。
【0036】そして、上記適応フィルタの出力信号と目
標信号との誤差を演算し、その誤差信号を上記適応フィ
ルタにフィードバックする一方、フィルタ係数を、前回
のサンプリングで得られたフィルタ係数値に所定の重み
係数を乗じ、過去の各サンプリングごとの誤差信号と入
力信号との積の総和を用いて逐次更新する方法とした。
【0037】
【作用】以上の構成により、請求項1の発明では、誤差
演算手段(3)により、適応フィルタ(2)からの出力
信号と目標信号との差である誤差が演算され、誤差信号
として適応フィルタ(2)にフィードバックされる。そ
して、フィルタ係数更新手段により、適応フィルタ
(2)のフィルタ係数が、前回のサンプリングで得られ
た値に対し、過去のサンプリング毎の誤差信号と入力信
号との積に時間の経過と共に指数関数的に減少する重み
係数を乗じたものの総和を用いて、逐次更新されるの
で、上記(11)式の期待値が時間の指数平均で置き換えら
れる。このように、瞬時値だけでなく過去のデータが係
数の更新に用いられることで、収束特性が向上すること
になる。
【0038】一方、計算量は、LMSアルゴリズムに比
べて、重み係数の積とその結果の和の分計算量が増える
が、タップ数の数倍程度で済み、最小自乗法のごとく莫
大な計算量になることはない。
【0039】したがって、計算量の増大が可及的に抑制
されつつ、収束特性が向上することになる。
【0040】請求項2の発明では、適応フィルタの出力
信号と目標信号との差である誤差信号が適応フィルタに
フィードバックされるとともに、適応フィルタのフィル
タ係数が、前回のサンプリングで得られた値に対し、過
去のサンプリング毎の誤差信号と入力信号との積に時間
の経過と共に指数関数的に減少する重み係数を乗じたも
のの総和を用いて、逐次更新されるので、上記請求項1
の発明と同様の作用が得られることになる。
【0041】請求項3の発明では、誤差演算手段(3)
により、適応フィルタ(2)からの出力信号と目標信号
との差である誤差が演算され、誤差信号として適応フィ
ルタ(2)にフィードバックされるとともに、フィルタ
係数更新手段により、フィルタ係数が、前回のサンプリ
ングで得られたフィルタ係数に所定の重み係数を乗じら
れ、過去の各サンプリングごとの誤差信号と入力信号と
の積の総和を用いて逐次更新される。すなわち、フィル
タ係数の更新に際し、瞬時値だけではなく統計的平均量
が用いられるので、過剰自乗平均誤差が小さくなり、収
束特性が向上する。
【0042】一方、計算量は、LMSアルゴリズムを利
用した場合に比べ、和の演算が増え、重み係数の積の分
だけ演算が増えるだけなので、タップ数の数倍程度で済
むことになる。
【0043】したがって、計算量の増大が可及的に抑制
されつつ、収束特性が向上することになる。
【0044】請求項4の発明では、適応フィルタからの
出力信号と目標信号との差である誤差が適応フィルタに
フィードバックされるとともに、フィルタ係数が、前回
のサンプリングで得られたフィルタ係数に所定の重み係
数を乗じ、過去の各サンプリングごとの誤差信号と入力
信号との積の総和を用いて逐次更新されるので、上記請
求項3の発明と同様の作用が得られることになる。
【0045】
【実施例】以下、本発明の実施例について、説明する。
【0046】まず、請求項1及び2の発明に係る第1実
施例について説明する。第1実施例では、上記最急降下
法の基本式である上記(11)式において、その期待値をよ
り正確に近似するために時間平均を考えた新アルゴリズ
ムを用いる。つまり、(11)式の期待値を下記(15)式 E[e(n) x(n) ]=Σwn-k e(k) x(k) (k =1〜n ) (15) (ただし、0≦w<1)に示す時間の指数平均値で近似
して置き換え、フィルタ係数の更新はサンプリングごと
に行う。
【0047】したがって、フィルタ係数の更新は、下記
(16)式 h(n+1) =w・h(n) +(1−w){h(n) + μΣwn-k e(k) x(k) }(k =1〜n ) =h(n) +(1−w)μΣwn-k e(k) x(k) (k =1〜n ) (16) (ただし、0≦w<1)によって行われる。ここで、w
は重み係数であり、(1−w)とμとは共に定数である
から、(1−w)μをμに置き換えてもよく、そのとき
には、下記(16)´式 h(n+1) =h(n) +μΣwn-k e(k) x(k) (k=1〜n ) (16)´ (ただし、0≦w<1)に基づきフィルタ係数の更新を
行う。
【0048】すなわち、上記(15)式では、前回のサンプ
リングで得られたフィルタ係数値h(n) を、過去の各
サンプリングごとの誤差信号と入力信号との積に時間の
経過と共に指数関数的に減少する重み係数wn-k を乗じ
たものの総和に、ステップサイズμを乗じたものを加算
することにより更新している。したがって、重み係数w
によって誤差信号と入力信号との積に関する過去の情報
が指数関数的に順次消えていくが、(16)式では、その消
えた分だけ係数を更新していることになる。
【0049】また、重み係数wの級数和は下記(17)式 1+w+w2 +…=Σwk (k=0〜∞)=1/(1−w) (17) で表されるが、上記(16)式中では、(15)式を1/(1−
w)で除算した形になっている。したがって、このアル
ゴリズムでは、上記(11)式の期待値の代わりに時間の指
数平均を用いていると考えられる。
【0050】ここで、上記アルゴリズムを用いて図2に
示す制御モデルでのシミュレーションを行った。図2に
おいて、(1)は同定すべき系であって、サンプリング
に同期した単純遅延をもつ遅延回路である。したがっ
て、この遅延回路(1)のゲインをZ-Jとすると、J は
整数である。また、(2)は適応フィルタ、(3)は該
適応フィルタ(2)の出力つまり制御目標値から上記遅
延回路(1)の出力を減算する結合点である。そして、
この結合点(3)で制御目標値と出力信号y(n)との誤
差e(n) を演算して、その誤差信号e(n) を適応フィル
タ(2)にフィードバックしするようになされている。
【0051】すなわち、上記結合点(3)は、請求項1
又は3の発明にいう誤差演算手段として機能するもので
あり、上記(16)式によるフィルタ係数の更新によって、
請求項1の発明にいうフィルタ係数更新手段が構成され
ている。
【0052】そして、図3は、上記シミュレーションモ
デルに対して上記第1実施例のアルゴリズム及びLMS
アルゴリズムを適用した場合の収束特性つまり入力パワ
ー(入力信号の自乗平均値)に対する平均自乗誤差(誤
差信号の自乗平均値)の減衰曲線を示す。図中、曲線
が上記第1実施例の新アルゴリズムによる減衰特性を、
曲線がLMSアルゴリズムによる減衰特性を示す。た
だし、ステップサイズは、LMSアルゴリズムではμ=
0.001とし、新アルゴリズムではμ´=0.000
01として計算を行っている。同図から、両者間の収束
速度はほぼ等しいといえるが、上記第1実施例の新アル
ゴリズムを適用することで、減衰量が極めて大きくなる
ことがわかる。
【0053】一方、上記第1実施例の新アルゴリズムを
用いる際の計算量について検討してみるに、上記(15)式
において重み係数の積とその結果の和が増え、(16)式で
はLMSアルゴリズムの計算量と同じになるので、計算
量は(2N+1)である。したがって、計算量は(4N
+1)つまり、タップ数の数倍程度となる。これに対
し、上述のごとく、LMSアルゴリズムでは(2N+
1)回で、RLSアルゴリズムでは(3N(3+N)/
2)回となり、タップ数の自乗オーダーの計算量にな
る。
【0054】すなわち、上記(12)式のごとく,期待値を
用いて係数の更新を行うのが推定の精度の点では望まし
いが、高速信号処理を行う際には、期待値の計算は困難
である。一方、LMSアルゴリズムでは、期待値の代わ
りに瞬時値を用いるために計算量が少なくて済むが、収
束特性がよくないという欠点がある。
【0055】それに対し、上記第1実施例の新アルゴリ
ズムを利用した場合、フィルタ係数更新手段により、適
応フィルタ(2)のフィルタ係数が、前回のサンプリン
グで得られた値に対し、過去のサンプリング毎の誤差信
号と入力信号との積に時間の経過と共に指数関数的に減
少する重み係数を乗じたものの総和を用いて、逐次更新
されるので、上記(11)式の期待値が時間の指数平均で置
き換えられることになる。このように、瞬時値だけでな
く過去のデータが係数の更新に用いられることで、収束
特性が向上することになる。一方、計算量は、LMSア
ルゴリズムに比べて、重み係数の積とその結果の和の分
計算量が増えるが、タップ数の数倍程度で済み、RLS
アルゴリズムのごとく莫大な計算量になることはない。
【0056】よって、計算量の増大を可及的に抑制しな
がら、収束特性の向上を図ることができるのである。
【0057】次に,請求項3及び4の発明に係る第2実
施例について説明する。第2実施例では、フィルタ係数
の前回値h(n) に重み係数wを乗じることにより、時刻
ごとにフィルタ係数をリークする。これによってフィル
タ係数h(n) は最適解に対し、常に一定の不足分を生じ
ることになる。
【0058】まず、上記(11)式の期待値を下記(18)式 E[e(n) x(n) ]=Σe(n) x(k) (k=1 〜n) (18) で近似すると、上記(12)式に対応するフィルタ係数の更
新式は、下記(19)式 h(n+1) =w・h(n) +μΣe(k) x(k) (k=1 〜n ) (19) となる。
【0059】つまり、前回のサンプリングで得られた係
数値(ベクトル)に重み係数wを乗じ、それに対して、
過去の誤差信号と入力信号(ベクトル)との積の総和に
ステップサイズを乗じたものを加算することで、フィル
タ係数の不足分を補うようにしている。この演算によ
り、請求項3の発明にいうフィルタ係数更新手段が構成
されている。
【0060】次に、上記図2のシミュレーションモデル
に対して、このアルゴリズムを適用した場合の平均自乗
誤差(入力信号の自乗平均値)の入力パワー減衰曲線を
図4に示す。ここで、ステップサイズμ=0.0000
01、リーク係数β=0.999としている。また、誤
差信号と入力信号との積の総和が下記式 Σe(i) x(i-k) =(1−β)/μ(k=J)、 0(k≠
J) に示すように、k=J に対してのみ(1−β)/μになっ
た(係数は、k=J つまりh(J) のみ1になる)。
【0061】一方、ステップサイズを(1−β)(=
0.001)として、LMSアルゴリズムを上記シミュ
レーションモデルに適用した場合の減衰特性を図5に示
す。両者を比較すると、収束速度は新アルゴリズムの方
が速いことがわかる。
【0062】また、μ=0.000001、β=0.9
995での新アルゴリズムと、μ=0.0005でのL
MSアルゴリズムの減衰曲線を図6に示す。図中曲線
が新アルゴリズムの場合、曲線がLMSアルゴリズム
の場合を示す。この図6からみても、上記第2実施例の
新アルゴリズムを利用することにより、収束特性が向上
することがわかる。
【0063】したがって、上記第2実施例では、フィル
タ係数更新手段により、フィルタ係数が、前回のサンプ
リングで得られたフィルタ係数に所定の重み係数を乗
じ、過去の各サンプリングごとの誤差信号と入力信号と
の積の総和を用いて逐次更新される。すなわち、フィル
タ係数の更新に際し、瞬時値だけではなく統計的平均量
が用いられているので、過剰自乗平均誤差が小さくな
り、収束特性が向上する。
【0064】その場合、計算量についてみると、上記(1
8)式では和の演算が増え、(19)式ではLMSアルゴリズ
ムに比べ、重み係数の積の分だけ演算が増えるので、結
局、(4N+1)となる。つまり、計算量は、上記第1
実施例と同様に、LMSアルゴリズムに比べても、タッ
プ数の数倍程度で済むことになり、LMSアルゴリズム
と同じオーダーの量となる。
【0065】よって、計算量の増大を抑制しながら、収
束特性の向上を図ることができるのである。
【0066】なお、本発明の高速信号処理装置及び高速
信号処理方法は、例えば騒音信号に対して逆位相で同振
幅の反転音を放射するようにしたいわゆるアクティブ消
音装置や、各種通信機器の雑音を消去するための信号処
理システムに適用することができる。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、入力信号を目標信号に適応させるための適応フ
ィルタを備えた高速信号処理装置として、適応フィルタ
からの出力信号と目標信号との差である誤差を誤差信号
として適応フィルタにフィードバックするとともに、適
応フィルタのフィルタ係数を、前回のサンプリングで得
られた値に対し、過去のサンプリング毎の誤差信号と入
力信号との積に時間の経過と共に指数関数的に減少する
重み係数を乗じたものの総和を用いて、逐次更新するよ
うにしたので、最急降下法における期待値が時間の指数
平均で置き換えられ、瞬時値だけでなく過去のデータが
係数の更新に用いられることで、計算量の増大を可及的
に抑制しながら、収束特性の向上を図ることができる。
【0068】請求項2の発明によれば、適応フィルタに
より入力信号を目標信号に適応させるようにした高速信
号処理方法として、適応フィルタの出力信号と目標信号
との誤差を演算し、その誤差信号を上記適応フィルタに
フィードバックする一方、フィルタ係数を、前回のサン
プリングで得られた値に対し、過去の各サンプリングご
との誤差信号と入力信号との積に時間の経過と共に指数
関数的に減少する重み係数を乗じたものの総和を用いて
逐次更新するようにしたので、瞬時値だけでなく過去の
データが係数の更新に用いられることで、上記請求項1
の発明と同様の効果を発揮することができる。
【0069】請求項3の発明によれば、入力信号を目標
信号に適応させるための適応フィルタを備えた高速信号
処理装置として、適応フィルタの出力信号と目標信号と
の誤差を演算して、その誤差信号を上記適応フィルタに
フィードバックし、フィルタ係数を、前回のサンプリン
グで得られたフィルタ係数値に所定の重み係数を乗じ、
過去の各サンプリングごとの誤差信号と入力信号との積
の総和を用いて逐次更新するようにしたので、フィルタ
係数の更新に際し、瞬時値だけではなく統計的平均量が
用いられることで、過剰自乗平均誤差を低減することが
でき、よって、計算量の増大を可及的に抑制しながら、
収束特性の向上を図ることができる。
【0070】請求項4の発明によれば、適応フィルタに
より入力信号を目標信号に適応させるようにした高速信
号処理方法として、適応フィルタの出力信号と目標信号
との誤差を演算し、その誤差信号を上記適応フィルタに
フィードバックする一方、フィルタ係数を、前回のサン
プリングで得られたフィルタ係数値に所定の重み係数を
乗じ、過去の各サンプリングごとの誤差信号と入力信号
との積の総和を用いて逐次更新するようにしたので、上
記請求項3の発明と同様の効果を発揮することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の構成を示すブロック図である。
【図2】実施例におけるシミュレーションモデルを示す
ブロック図である。
【図3】第1実施例の新アルゴリズムとLMSアルゴリ
ズムによる場合の減衰特性を示す図である。
【図4】第2実施例の新アルゴリズムを利用した場合の
減衰特性を示す図である。
【図5】第2実施例のLMSアルゴリズムを利用した場
合の減衰特性を示す図である。
【図6】第2実施例のステップサイズを変えた新アルゴ
リズムとLMSアルゴリズムによる場合の減衰特性を示
す図である。
【図7】勾配法を利用した信号処理システムの一般的な
構成を示すブロック図である。
【図8】勾配法における誤差特性曲面の例を示す図であ
る。
【図9】LMSアルゴリズムを利用した場合に生じる過
剰自乗平均誤差を示す説明図である。
【符号の説明】
2 適応フィルタ 3 結合点(誤差演算手段)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力信号を目標信号に適応させるための
    適応フィルタ(2)を備えた高速信号処理装置であっ
    て、 上記適応フィルタ(2)の出力信号と目標信号との誤差
    を演算して、その誤差信号を上記適応フィルタ(2)に
    フィードバックする誤差演算手段(3)と、 フィルタ係数を、前回のサンプリングで得られた値に対
    し、過去の各サンプリングごとの誤差信号と入力信号と
    の積に時間の経過と共に指数関数的に減少する重み係数
    を乗じたものの総和を用いて逐次更新するフィルタ係数
    更新手段とを備えたことを特徴とする高速信号処理装
    置。
  2. 【請求項2】 適応フィルタにより入力信号を目標信号
    に適応させるようにした高速信号処理方法であって、 上記適応フィルタの出力信号と目標信号との誤差を演算
    し、 その誤差信号を上記適応フィルタにフィードバックする
    一方、 フィルタ係数を、前回のサンプリングで得られた値に対
    し、過去の各サンプリングごとの誤差信号と入力信号と
    の積に時間の経過と共に指数関数的に減少する重み係数
    を乗じたものの総和を用いて逐次更新することを特徴と
    する高速信号処理方法。
  3. 【請求項3】 入力信号を目標信号に適応させるための
    適応フィルタ(2)を備えた高速信号処理装置であっ
    て、 上記適応フィルタ(2)の出力信号と目標信号との誤差
    を演算して、その誤差信号を上記適応フィルタ(2)に
    フィードバックする誤差演算手段(3)と、 フィルタ係数を、前回のサンプリングで得られたフィル
    タ係数値に所定の重み係数を乗じ、過去の各サンプリン
    グごとの誤差信号と入力信号との積の総和を用いて逐次
    更新するフィルタ係数更新手段とを備えたことを特徴と
    する高速信号処理装置。
  4. 【請求項4】 適応フィルタにより入力信号を目標信号
    に適応させるようにした高速信号処理方法であって、 上記適応フィルタの出力信号と目標信号との誤差を演算
    し、 その誤差信号を上記適応フィルタにフィードバックする
    一方、 フィルタ係数を、前回のサンプリングで得られたフィル
    タ係数値に所定の重み係数を乗じ、過去の各サンプリン
    グごとの誤差信号と入力信号との積の総和を用いて逐次
    更新することを特徴とする高速信号処理方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100508235B1 (ko) * 1997-12-30 2005-10-26 엘지전자 주식회사 반복학습제어기의안정적수렴보장방법
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WO2020258089A1 (zh) * 2019-06-26 2020-12-30 瑞声声学科技(深圳)有限公司 一种控制信号的生成方法、电子设备及存储介质

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