JPH0697157B2 - 熱交換器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、積層構造をなすプレート・フイン型の熱交
換器に関するものである。

〔従来の技術〕 プレート・フイン型の熱交換器は、単位体積当りの伝熱
面積が大きく、比較的小型で高効率の熱交換器として広
く使用されており、熱交換すべき２つの流体の流れ方の
違いから向流型、対向流型、直交（斜交）流型の三種類
に分けることができる。空調装置に対しては対向流型や
直交流型が多く採用されているが、これまでその基本的
な構成は、第５図に示すように熱交換すべき２つの流体
を仕切る厚紙等よりなる熱交換板（101）を、複列の平
行流路を構成する厚紙等よりなる波形板状の間隔保持板
（102）を挾んで積層し全体を段ボール紙状の構造とし
ている。第５図の空調用のものにおいてはその熱交換板
（101）は伝熱性と通湿性とを合わせもった和紙をベー
スとする紙材で形成され、間隔保持板（102）も熱交換
板（101）と同じような紙材を波形板に加工し所定の寸
法形状に切断することで得られている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記のような従来の熱交換器にあっては、波形板を所定
の寸法形状に切断して得られる間隔保持板（102）を同
様に切断によって得られる熱交換板（101）に挾着する
ことを製造されているが、波形板の山および谷と平行で
ない方向の切断で端面の波形がつぶれたりしやすく、空
気対空気の熱交換器では切断時の端面の変形により圧力
損失が大きいものとなっている。また、切断によって所
定の寸法形状を得るため、材料の歩止まりが悪く、ひし
形等の形状に切断する場合には廃材が40％にも達するこ
とになる。

本発明はかかる問題点を解決するためになされたもの
で、製造にあたり廃材がほとんど出ず材料の歩止まりが
良く、温度交換や湿度交換の効率のよい熱交換器を得る
ことを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明に係る熱交換器は、伝熱面を構成する平板状の
プレートの片方の伝熱面にプレートの結合性の良い非金
属材料で形成したリブを所定の間隔をおいて列状に配設
してなる単位部材を複数枚積層し、リブによって多段の
平行流路を構成してなり、各単位部材のリブのうち最外
側部の二つを直線状に形成し、これらの間の他の複数の
リブについては長手方向にほぼ波形に屈曲したコルゲー
ト状に形成したものである。

〔作用〕

この発明においてはプレートとの結合性の良い非金属材
料で形成したリブのプレートへの列状配設によって流体
を通す平行流路が形成されるので、平行流路にばらつき
が出来にくく端面の変形がないので端面での圧力損失が
低い。また、単位部材をプレートに対するリブの配設に
よって得るため廃材がほとんど出ず材料の歩止まりが良
い。さらに中間のリブがコルゲート状で平行流路が蛇行
状になるので流体の経路が長く、温度交換や湿度交換の
効率がよい。

〔発明の実施例〕 次にこの発明の構成を図面に示す実施例に基づいて具体
的に説明する。

第１図及び第３図に示す実施例の熱交換器は、空調分野
で採用される空気対空気の熱交換器で、第１図のもの
は、熱交換すべき２つの流体がおおむね直角に交叉して
流れる直交流型であり、第３図のものは熱交換すべき２
つの流体が対向して流れる対向流型である。

初めに二つの流体が角度をなして流れる熱交換器の一例
としての直交流型の熱交換器（１）について説明する。
この熱交換器（１）は、プレート（２）の伝熱面の片面
全域に一定の方向に等しい間隔をもってフインおよび強
化メンバとしてのリブ（３），（3A）を列状に配設して
なる単位部材（４）を、リブ（３），（3A）の方向が一
層ごとにおおむね90゜ずれるように積層して得られる。
プレート（２）は伝熱性と通湿性とを合わせもつ和紙を
ベースとする紙材よりなる0.05〜0.2mm程度の薄肉の方
形の平板で、熱交換すべき２つの流体を伝熱面により仕
切る部材である。リブ（３），（3A）は第２図に示すよ
うにプレート（２）の最外側部に設けられる二つは直線
状の角棒であるが、これらの間に設けられる他の複数の
中間のリブ（3A）は長手方向に波形に屈曲するコルゲー
ト状の角棒で、いずれもプレート（２）との結合性の良
い非金属材料で形成されプレート（２）の片面に対し接
着剤等を用いて固着されている。リブ（３），（3A）の
高さ（プレート（２）同志の間隔を規定する）は大き過
ぎると空気流の平行流路（５）における整流効果が小さ
く、小さ過ぎると平行流路（５）での静圧損失が大きく
なりすぎるので１〜2.0mm程度の範囲に設定されてい
る。リブ（３），（3A）及びプレート（２）の肉厚は、
薄ければ薄いほど熱交換のうえからは良いのであるが、
実際にはそれらの機械的強度を保つという要請を受け、
極端な薄肉にはできない。しかし、リブ（３），（3A）
を非金属材料の例えば高分子系材料・セラミックス・フ
アイバー材料・紙などで線状に形成し、これをプレート
（２）に配列固着した単位部材（４）の積層により構成
される本例の熱交換器（１）では、リブ（３），（3A）
に剛性があり、しかもプレート（２）の片面全域に均等
に分布しているため、プレート（２）の機械的強度がリ
ブ（３），（3A）により補足され、その分プレート
（２）の機械的強度を下げ薄肉にすることができるので
ある。なお、リブ（３），（3A）の幅は普通0.5〜3.0mm
程度で、プレート（２）の結合性の良い繊維質構造のリ
ブ（３），（3A）の場合にはこれで十分に構造的安定性
の良い単位部材（４）が得られる。

しかして、単位部材（４）を、リブ（３），（3A）のあ
る面を上又は下にし一層ごとにリブ（３），（3A）の方
向が90゜ずれるように積層し、接着すれば第１図に示す
ような平行流路（５）が非直線状の直交流型の熱交換器
（１）が得られる。そして、同じ方向の一つの系統の平
行流路（５）に一次空気を、他の一つの系統の平行流路
（５）に二次空気を通せば、これまでのこの種のものと
同様、一次空気と二次空気との間での全熱交換が可能で
ある。そして、各平行流路（５）に切断に伴うつぶれな
どの変形がないので、端面での圧力損失は低いものとな
り、平行流路（５）がコルゲート状で一次空気と二次空
気の通過経路が長いので温度交換も湿度交換も効率のよ
いものとなる。

次に第３図に示す対向流型の熱交換器（1A）について説
明する。この熱交換器（1A）もプレート（２）の片面に
プレート（２）との結合性の良い非金属材料よりなる二
つの直線状のリブ（３）を最外側部に、コルゲート状の
複数の中間のリブ（3A）をリブ（３）の間に複列等しい
間隔をおいて配列固着した単位部材（4A）を積層して得
られる点で、前例の熱交換器（１）と同様の構成であ
る。この熱交換器（1A）と前例のものの違いは、リブ
（３），（3A）がプレート（２）の伝熱面の片面におけ
るほぼ半分に対して設けられている単位部材（4A）を、
リブ（３），（3A）の有る方と無い方が交互になるよう
千鳥に、各リブ（３），（3A）の方向を平行にして積層
した点である。すなわち、この熱交換器（1A）を構成す
る単位部材（4A）は第４図に示すようにプレート（２）
の片面のほぼ半分にまでリブ（３），（3A）が延び、片
面の他の半分は単なるプレート（２）だけでリブ
（３），（3A）の欠如した構成である。そして、第３図
に示すように単位部材（4A）を千鳥に積層するととも
に、対向する端面に現われるプレート（２）とプレート
（２）との各間隔のうち、リブ（３），（3A）による平
行流路（５）が端面にあらわれない部分を制御部材
（６）や閉塞板で閉塞し、対向する端面に臨んでいる各
平行流路（５）に対向方向から一次空気と二次空気を通
せば、一次空気と二次空気との間での対向流方式による
熱交換が可能となるのである。

上述したいずれの熱交換器（１），（1A）も軽量な単位
部材（４），（4A）の積層によって得られ、製造が容易
であるばかりでなく、平行流路（５）がリブ（３），
（3A）のプレート（２）への固着によって形成されるも
のであるから平行流路（５）に変形が生じず、平行流路
の変形による端面での圧力損失が少ないうえ、平行流路
（５）がリブ（3A）によってコルゲート状で経路が長い
ので温度及び湿度の交換効率が良い。

〔発明の効果〕

以上、実施例による説明からも明らかなように本発明の
熱交換器は、伝熱面を構成する薄肉のプレートの伝熱面
の片面に所定の間隔をおいてプレートとの結合性の良い
非金属材料よりなる直線状のリブを最外側部に設設し、
長手方向にほぼ波形に屈曲したコルゲート状のリブを中
間に複列配設してなる単位部材を積層した構成であるか
ら、単位部材を積層してゆくだけの操作で、一層ごとに
熱交換すべき流体を通す経路の十分に長い平行流路をも
つ軽量で温度や湿度の交換効率のよい層構造のプレート
・フイン型の熱交換器が容易に得られる。また、リブが
プレートを含む全体の機械的強度を補足するので熱交換
又は湿度交換に都合がよいようにプレートを薄肉にする
ことができ、しかもリブによる平行流路に製造過程で変
形が生じないので端面での圧力損失が低く、製造におい
て切断等の操作が中核とならないので材料の歩止まりも
良い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の適用例としての直交流型の熱交換器を
示す斜視図、第２図は、その単位部材を単独に示す平面
図、第３図は本発明の他の実施例を示す熱交換器の斜視
図、第４図は、同じくその単位部材を単独で示す平面
図、第５図は従来例としての直交流型の熱交換器を示す
斜視図である。図において、（１），（1A）は熱交換
器、（２）はプレート、（３）はリブ、（3A）は中間の
リブ、（４），（4A）は単位部材、（５）は平行流路で
ある。なお、図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】伝熱面を構成する平板状の薄肉のプレート
   の片方の伝熱面にプレートとの結合性の良い非金属材料
   で形成したリブを所定の間隔をおいて列状に配設してな
   る単位部材を、複数枚積層して各プレート同志の対向す
   る間隙に前記リブによる複列の平行流路を多段に構成し
   てなり、前記単位部材のリブのうち最外側部の二つは直
   線状に形成され、これらの間の他の複数のリブは長手方
   向についてほぼ波形に曲ったコルゲート状に形成されて
   いることを特徴とする熱交換器。
2. 【請求項２】プレートが伝熱性と通湿性とを有する和紙
   等の材料で形成されていることを特徴とする特許請求の
   範囲第１項記載の熱交換器。
3. 【請求項３】リブが各プレートの片面のほぼ半分に対し
   て形成されていることを特徴とする特許請求の範囲第１
   項又は第２項記載の熱交換器。
4. 【請求項４】リブが各プレートの片面の全域に形成され
   ていることを特徴とする特許請求の範囲第１項又は第２
   項記載の熱交換器。
5. 【請求項５】単位部材が、交互にそのリブの方向をほぼ
   直交させて積層されていることを特徴とする特許請求の
   範囲第２項又は第４項記載の熱交換器。
6. 【請求項６】単位部材が、各々のリブを同じ方向にして
   千鳥状に積層されていることを特徴とする特許請求の範
   囲第２項又は第３項記載の熱交換器。