JPH0696787B2 - 高純度金属又は合金の製造方法 - Google Patents

高純度金属又は合金の製造方法

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JPH0696787B2
JPH0696787B2 JP63239056A JP23905688A JPH0696787B2 JP H0696787 B2 JPH0696787 B2 JP H0696787B2 JP 63239056 A JP63239056 A JP 63239056A JP 23905688 A JP23905688 A JP 23905688A JP H0696787 B2 JPH0696787 B2 JP H0696787B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は電解法により高純度金属又は合金を製造する方
法に係り、特に最近高性能磁石として注目されているNd
−Fe−B系磁石用原料のNd及びNd合金の製造に好適な溶
融塩電解法に関するものであるが、水溶液電解及び溶融
塩電解一般にも適用できるものである。
(従来の技術) Nd又はNd合金を溶融塩電解法で得る方法としては、LiF
−NdF3−Nd2O3系の電解浴を用いて得る報告がある。
(例:モーリス他著「U.S.Bur.M′nRep.Invest,No.6957
1967年) 本出願人は、PCT/JP−87−01011号(特願昭61−307,308
号、特願昭62−204879号および特願昭62−220893号の優
先権主張)において、ネオジム又はネオジム合金を浴底
に集め、かつ浴上方の雰囲気に酸素ガスを含めることに
よって、炭素電極から生ずるパウダー状炭素を消耗させ
て除去し、また電解浴を安定化するとともに、少なくと
も陽極に板状電極を用いることによって、臨界電流密度
を高めて高い電流密度及び電流効率でネオジム又はネオ
ジム合金(以下、Nd等ということもある)を生成するこ
とを可能ならしめることを要旨とする溶融塩電解法を提
案した。
Nd−Fe−B永久磁石では、一般に炭素、酸素等の非金属
不純物の他に金属不純物も磁気特性を劣化するために、
永久磁石に使用されるNd等は不純物が少ないことが要求
されている。
特公昭63−12947号公報によると、Wライニングを施し
た電解槽でW(%)<0.005%(50ppm)、またMoライニ
ングを施した電解槽でMo=0.02%(200ppm)のNd−Fe合
金を製造した実施例が示されている。炭素、酸素等の非
金属不純物の減少方法については、本出願人が提案した
前述の溶融塩電解法により解決されC=40ppm、O=70p
pmの高純度Nd等の製造が可能になった。この方法で使用
される溶融塩としては、LiFにネオジム金属源としてNdF
3,Nd2O3を加えたもの、すなわち、LiF−NdF3系、又はこ
れにNd2O3を混合させたLiF−NdF3−Nd2O3系、これにBaF
2,CaF2等を適宜加えた系が用いられる。また、NdF3に代
えてNdCl3が使用される場合もある。
LiF−NdF3系の場合、96〜65mol%、より好ましくは95〜
75mol%のLiFと4〜35mol%、より好ましくは5〜25mol
%のNdF3とからなる組成がよいとされる。
LiF−NdF3−Nd2O3系の場合、上記の好ましい組成のLiF
−NdF3系にNd2O3を数wt%添加混合した組成がよいとさ
れる。
LiF−希土類化合物系の溶融塩を用いて希土類金属を電
解製造した場合、電解浴槽の腐蝕によって、この成分が
溶出しNd等に移行することが、Nd等への不純物混入の原
因として考えられる。かかる不純物の混入を防止するた
めに、一般に電解浴槽材料に要求される性質は 1)高温である溶融塩に対する耐蝕性のあること。
2)高温で溶融塩を保持するための高温強度があるこ
と。
上記の要求を満たすとともに価格が安い材料としてオー
ステナイト系ステンレス鋼を使用することを本出願人が
提案した(特願昭62−233697号)。
オーステナイト系ステンレス鋼を前述の浴槽材料に使用
することにより非金属元素に関し高純度のNd及びNd−Fe
合金を製造することができたが、時々製品中に電解浴槽
に用いているオーステナイト系ステンレス鋼の成分であ
るNi及びCr等が混入することが判った。
(発明が解決しようとする課題) 鉄系材料製電解浴槽を使用した場合にその含有元素がNd
及びNd−Fe合金の純度を低下させることに関する従来の
報告を本発明者等は知らない。
そこで、本発明者等はステンレスのCr,Ni等の異種金属
がNd等に混入する原因を究明したところ、前述した高温
の溶融塩に対する単なる腐蝕の他に電気化学的要因によ
る腐蝕があることが分かった。
よって上記1),2)の要求を満足する材料を電解浴槽に
使用することのみによっては、高純度のNd等を製造する
ことができない。
したがって、本発明は鉄系材料、特にステンレス鋼、を
電解浴槽の材料に使用する電解法において、そのFe以外
の金属成分が電解金属に混入する量を少なくする希土類
金属又は合金の電解法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、Al2O3等のセラミック材料及びMo,T
a,Wなどの難溶融性金属等を電解浴槽に使用する溶融電
解法において、従来よりも不純物混入量を少なくするこ
とができる希土類金属又は合金の溶融電解法を提供する
ことを目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は、Ndに混入する電解浴槽材料溶解原因を種
々研究した結果、陽極と陰極及び電解浴槽の電位の変化
により、電解浴槽の材料が電蝕することを見出し、その
対策を検討し、そして本発明を完成した。
この電蝕の防止策として高純度金属を製造できかつ電解
浴槽を損傷しない方法として次の方法を提供する。
その第1は、電解浴槽内に陽極と陰極を配置し、電解に
より金属または合金を製造する方法に於て、電解浴槽に
面するおもな電極面が陰極のみで構成されており該陰極
の裏面と陽極間で主たる電解反応を行なわせることを特
徴とする方法であり、 その第2は、電解浴槽内に陽極と陰極を配置し、電解に
より金属又は合金を製造する方法に於て、電解浴槽に面
するおもな電極面が陽極のみで構成されており該陽極の
表面と陰極間で主たる電解反応を行なわせることを特徴
とする方法であり、 その第3は、電解浴槽内に陽極と陰極を配置し、電解に
より金属又は合金を製造する方法に於て、電解浴槽に面
するおもな電極面が陽極と陰極により構成されており、
該陽極の裏面と該陰極の裏面間で主たる電解反応を行な
わせる電極の形状及び配置をもち、かつ前記陽極と電解
槽間に導電性遮蔽体を配置して電解を行なうことを特徴
とする方法であり、 その第4は、電解浴槽内に陽極と陰極を配置し電解によ
り金属又は合金を製造する方法に於て、電解浴槽に面す
るおもな電極面が陽極と陰極により構成されており、該
陽極の裏面と該陰極の裏面で主たる電解反応を行なわせ
る電極の形状及び配置をもち、かつ前記陰極と電解槽間
に導電性遮蔽体を配置して電解を行なうことを特徴とす
る方法であり、 その第5は、電解浴槽内に陽極と陰極を配置し電解によ
り金属又は合金を製造する方法に於て、電解浴槽に面す
るおもな電極面が陽極と陰極により構成されており、該
陽極の裏面と該陰極の裏面で主たる電解反応を行なわせ
る電極の形状及び配置をもち、かつ前記各陽極、各陰極
と電解槽間に導電性遮蔽体を配置した電解浴槽に於て電
解を行なうことを特徴とする方法である。
上記の第1〜第5の方法は後で詳しく述べるが原理的に
は主たる反応面以外に洩れた陽イオン及び陰イオンと電
解浴槽とが反応し電蝕によるトラブルの原因となるので
あるが、 第1の方法は、電極の形状及び配置により陽イオンによ
る反応を防ぐものであり、 第2の方法は電極の形状及び配置により陰イオンによる
反応を防ぐものである。つまり第1、第2の方法は電極
の形状及び配置を主体とした解決方法である。
これに対して第3〜第5の方法は電極の形状及び配置を
解決手段とするものではなく、導電性遮蔽体を電解浴槽
と電極間に配置することを解決手段とするものであっ
て、 第3の方法は陽イオンによる反応を防ぐものであり、 第4の方法は陰イオンによる反応を防ぐものであり、 第5の方法は陽イオン及び陰イオンの両方の反応を防ぐ
ものである。
つまり第5の方法が完全な解決方法であるが種々の電解
反応においては陽イオン及び陰イオン反応の両方がトラ
ブルの原因であるとは限らず、このうち一方の反応によ
るトラブルを解決すれば経済的に充分であることもある
からである。
第1の方法において電極配置の具体的なものとして
(イ)中空の円筒又は角筒上の陰極の中心の中空部分に
陽極を入れた形状又はこれらの電極を同心円状に配置す
るもの、(ロ)陰極を板状電極とし、陽極を陰極ではさ
む配置とするものが可能である。(イ)の場合、陰極、
陽極及び(ロ)の場合の陽極の形状は板状円柱、角柱、
多角柱その他いずれでも良い。(ロ)の場合の陰極は陽
極を両側から、三角形もしくは四角形の各辺の位置で、
あるいはその他の輪郭ではさむことが可能である。
Nd等の溶融塩電解に於ける電解浴槽材料としては、前述
した1),2)の要求を満足する材料により、高温の溶融
塩に対する腐蝕は解決するのではあるが、電解浴槽、陽
極、陰極の電位により電解浴槽が電蝕を受けることが判
った。次に電解浴槽の電蝕に関連する電解浴槽、陽極、
陰極の電位について述べる。なお、電解浴槽は通常接地
されていないので、その電位は陽極電圧と陰極電圧の間
の電位にあることになる。
仮に陽極と陰極間に7Vの直流電圧をかけたとすると、陽
極と陰極間の電位差は7Vとなる。陽極を接地すると陽極
が0Vで陰極は−7Vとなり、陰極を接地すると陽極は+7V
で陰極は0Vとなる。陽極又は陰極を接地しないで通電す
ると、陽極と陰極の電位差は7Vであるが、陽極及び陰極
及び電解浴槽の電位は、整流器その他の回路の絶縁性そ
の他の理由により変化することとなる。従って陽極と陰
極間の電位差は7Vと一定であるが、陽極と電解浴槽及び
陰極と電解浴槽間の電位差は絶縁物の劣化等の理由によ
り変化することとなる。
今かりに、大地(アース)に対して陽極と陰極の電位が
+5Vと−2Vで下記の条件でNd−Fe合金を製造する電気分
解を行なったとする。この場合電解浴槽の電位は接地し
ていないと+5Vと−2Vの間であるので、仮に1Vであった
として以下に詳しく説明する。
LiF−NdF3系溶融塩中で黒鉛陽極と鉄製陰極を用いてNdF
3を電気分解すると、 (1)陽極での反応は C+nF-→CFn+ne- (1) (2)陰極での反応は Fe+Nd3++3e-→Nd−Fe合金 (2) となる。
(1)式により、陽極にCFnが発生し、陰極反応(2)
式により陰極ではNd−Fe合金が生成する。これら
(1),(2)が電解での主たる反応である。この反応
以外に陽極と電解浴槽及び陰極と電解浴槽の間に漏れ出
たF-とNd3+イオンが下記のように挙動する副反応が考え
られる。これがトラブルの原因となる。
(3)陽極と電解槽の間で起こる副反応 以下、図面(第2図及び第3図)を参照として副反応を
説明する。
図中、1は陽極、2は陰極、3は電解浴槽、4は電解
浴、5はNd−Fe合金である。
陽極1が+5Vと電解浴槽3の+1Vに対して高電位である
ので、電解浴槽3が相対的に低電位となり、洩れ出たNd
3+が相対的に低電位である電解浴槽材料と反応する。
(なお、陽極が相対的に高電位であるので陽極と電解槽
の間に漏れたF-イオンは陽極側と反応し電解槽と反応し
ない。) この結果、斜線で示した部分(3′)で電解浴槽3のス
テンレス鋼中の成分がNdと反応しFe,Cr,Ni等が溶出し、
Nd−Fe−B合金5中に取り込まれる。
(4)陰極と電解浴槽の間で起こる副反応 陰極2(第3図)が−2Vと電解浴槽3の+1Vに対し3V低
電圧であるので電解浴槽3が相対的に高電位となり、F-
が電解浴槽材料と反応する。(なお、陰極は−2Vと相対
的に低電位であるので、陰極と電解槽の間に漏れたNd3+
は陰極側と反応し電解槽と反応しない)斜線で示した部
分(3″)で電解浴槽とF-の反応が起こる。
以上述べたように主たる反応(1),(2)が起きる陽
極と陰極間の溶融塩以外の場所の溶融塩にNd3+,F-イオ
ンが漏れると、上記の副反応(3),(4)によりこれ
らが電解浴槽と反応し採取されるNd等の純度を低下させ
るとともに、電解浴槽を損傷させる電蝕が起こると考え
られる。
(3)の副反応がおきると電解浴槽に用いている材料と
Nd3+イオンが反応し、電解浴槽にオーステナイト系ステ
ンレス鋼、例えばSUS−310Sを使用した場合は成分のNi,
Crが溶出して汚染トラブルが発生する。すなわち、Nd−
Fe合金の純度が悪化し、また電解浴槽材料の劣化が早め
られる。次に(4)の反応が起きると電解浴槽に用いて
いる材料とF-イオンが反応し、その損傷トラブルが発生
する。例えば電解浴槽に鉄系の材料を用いると鉄とふっ
素が反応し反応生成物によるトラブルが起きることとな
る。しかし、このトラブルはNd3+イオンと電解浴槽との
反応によるトラブルに比較すると、軽微である。
従って上記したトラブルに対処するには(3)と(4)
特にNd−Fe合金製造の場合には(3)の副反応が起きな
い条件をつくるか、起きても問題のないシステムを考え
る必要がある。従って、具体的電蝕防止方法として、電
解浴槽の電位を適正値に維持する方法が考えられる。
電解浴槽の電位としては相対的に下記の3水準があるの
で、これらの水準から適正値を選択することが考えられ
るが陽イオンと陰イオンの副反応が前出したとうり起こ
るので、下記の理由により、電解浴の電位設定だけで電
蝕を根本的に解決するのは難しい。この反応は陽イオン
と陰イオンが個々に陽極と電解浴槽間で起きる反応と陰
極と電解浴槽間で起きる反応が考えられるが電蝕に関す
る反応のみまとめると下記のようになる。
1.電解浴槽の電位を陽極電位より高く設定する。
陰イオン(F-)が電解浴槽材料と反応する(4)の反応
は解決できない。
2.電解浴槽の電位を陽極と陰極の間に設定する。
陽イオン(Nd3+)と陰イオン(F-)が電解浴槽材料と反
応する(3)と(4)の反応は解決できない。
3.電解浴槽の電位を陰極の電位より低く設定する。
(3)の反応は解決できない。
上記の理由により電解浴槽の電位を適正値に維持するこ
とのみで(3)と(4)の反応を両方防止できないので
電蝕の問題は解決しない。反応量は相対的な電位差によ
り決まると考えられるので、電解浴槽の相対的電位を定
めることにより、(3)又は(4)の反応のいずれかを
防止したりまた反応量を減少させることは可能であるが
電位は相対値でありまた絶縁状態により変化するので、
電解浴槽の電位を相対的に制御するのは経済的損失がと
もなう。
これらの点を検討し電蝕の根本的解決策として電極形状
と電極配置による方法を開発した。
この方法は面倒な電解浴槽の電位を制御しないで電極形
状と配置だけで問題を解決するものである。請求項の第
1と第2は、この電極形状及び配置による解決方法であ
り、第1の方法は、前述した電蝕メカニズムのトラブル
のうち陽イオンによるトルブルを防止する方法であり、
第2の方法は、陰イオンによるトルブルを防止する方法
である。
電解反応にともなう陽イオン又は陰イオンによる電蝕は
この方法で解決することができる。しかし、陽イオン及
び陰イオンの両方によるトラブルを上記方法では同時に
解決することはできない。
種々の電解反応に於ては陽イオン及び陰イオン反応の両
方がトルブルの原因であるとはかぎらず、この内一方の
反応のトラブルを解決すれば経済的に充分であることも
あり、上記の解決方法はこの意味でかなりの効果を上げ
ることができる。
またNd−Fe合金を溶融塩電解で製造する場合は、後述す
るように陽イオン(Ndイオン)によるトラブルが大きい
ので第1の方法を採用することにより大巾に改善できる
のである。
(作 用) つまりNd−Feを溶融塩電解で製造する場合電解浴槽の電
蝕の最大の原因である陽イオン(Nd3+)による反応を防
止するためには電解浴槽に面した電極を陰極とすればよ
い。また陰イオン(F-)による電解浴槽の電蝕を防止す
るためには電解浴槽に面した電極を上記の例の反対の陽
極とすればよい。電極の配置により予想される効果は上
記のとうりであり、この方法では陰イオン又は陽イオン
の何れかの副反応は防止できるが、陰イオン、陽イオン
両方の副反応を同時に防止することはできない。
しかし実際の運転に関しては両イオンのうち片方のイオ
ン(すなわち陽イオン)による反応のみ防止すれば相当
の効果を奏することができる。つまり種々の電解に於て
電蝕による損失は、(3)の反応と(4)の反応により
予想される損失量は異なり、その一方だけが問題となる
ことがあるのでその電解に合った配置をすることにより
問題が解決できるのである。
すなわち、Nd−Fe電解の場合は、電解浴槽とNd3+イオン
との反応が電解浴槽とF-イオンとの反応に比較しメタル
純度を悪化させたり、電解浴槽材料を損傷したりする悪
影響が大きいので、陽極を中心にまわりを陰極で囲み、
陽極主面と電解浴槽の直接対面を妨げる電極配置を取る
とほぼ解決することができる。
しかし、生産量が主に陽極電流密度で決まり陰極面積よ
り陽極面積を大きく取る方が生産量が大きくなるので、
この点からは陽極を中心にまわりを陰極で囲む本発明方
法第1の電極配置は好ましくないことになる(特願昭62
−220893号参照)。
すなわち、陰極のみが電解浴槽に面する電極配置によれ
ば、電解浴槽材料を損傷しないで高純度の金属を製造す
ることはできるが、陽極面積を大きくすることはできな
いため、生産効率が低下することになる。そこで生産効
率を上げるためには陽極面積を大きくする必要があり、
そうすると陽極の一部が電解浴槽に面することともな
り、金属の純度が下がるという相反する条件を解消する
べく、陽極面積を大きくしたまま電解浴槽の損傷を防止
できる方法を種々検討した結果、本発明の第3、第4、
第5の方法を見出した。
以上述べたように洩れた陽イオンと陰イオンが電解浴槽
と反応し、電解浴槽を損傷することが原因となって、製
品中のメタル純度を悪化させることを電極の形状及び配
置以外の解決する方法としては、この洩れた陽イオンと
陰イオンを積極的に反応させる導電性遮蔽物を電解浴槽
の前に配置すればよいことになる。
そしてこの導電性遮蔽物として上記イオンと反応しても
製品中のメタル品位を悪化させない材料と選定すれば問
題が解決すると考えた。
この考え方をNd−Feの溶融塩電解に適用し説明する。
この導電性遮蔽物の電位は説明を簡単にするために電解
浴槽と同電位と仮定する。
Nd3+イオンによる電解浴槽3の反応(第2図参照)は陽
極1と陰極2間の電極間の反応量に比較すると大巾に少
ないので、第10図に示すように陽極1と、これに面した
電解浴槽3との間に導電性の遮蔽物を取り付け、Nd3+
オンと電解浴槽間の反応をこの遮蔽物(以下ダミー電極
と呼ぶ)で行なわせるとともに、反応生成物が目的金属
(例えばNd−Fe)の不純物とならないように、ダミー電
極の材質を目的金属性分と同じにする(例えばダミー電
極をFe製とする)ことにより電解浴槽を保護する方法を
考えたものである。
この場合Fe製ダミー電極はステンレス鋼ほどの耐溶損性
がないから、電解中にかなり溶けて、Nd−Fe合金中に取
り込まれるが、これは製造目的とするNd−Feと同一であ
るのでこれによる純度低下の問題がない。
ダミー電極の大きさは、陽極と電解浴槽間を遮蔽するこ
とが目的であるので陽極より大面積の方が望ましいこと
は当然である。
こうしてダミー電極を陽極とこれに面した電解浴槽の間
に配置することにより陽極と電解浴の間で起こる副反応
(3)によるトラブルつまり陽イオン(Ndイオン)によ
るトラブルは解決するのである。この方法が本発明の第
3である。
同様に陰イオン(F-)と電解浴槽間で起きる反応つまり
陰極と電解浴槽間で起こる副反応(4)によるトラブル
はダミー電極を陰極とこれに面した電解浴槽間に第10図
のように配置することにより同様の理由で解決でき、こ
の方法が本発明の第4である。
上記の本発明の第3と第4はそれぞれ陽イオン(Ndイオ
ン)によるトラブル(副反応3)と陰イオン(Fイオ
ン)によるトラブル(副反応4)を防ぐものであるから
陽イオンによるトラブル(副反応3)と陰イオンによる
トラブル(副反応4)の両方を同時に解決するためには
陽極と陰極の両極に面した電解浴槽内に導電性遮蔽体を
第13図のように配置すると両方のトラブルを同時に解決
することができ、この方法が本発明の第5である。
つまり本発明の第3、第4、第5は電極の形状及び配置
の制限なしに導電性遮蔽体を配置するという簡単な方法
で、第3の発明は陽イオンによる副反応3を解決するも
のであり、第4の発明は陰イオンによる副反応4を解決
するものであり、第5の発明は陽イオンによる副反応3
と陰イオンによる副反応4を同時に解決するものであ
る。
種々の電解反応に於て、トラブルの主たる原因が陽イオ
ンによる(副反応3)トラブルと陰イオンによる(副反
応4)トラブルの両方とはかぎらないため、このうちの
一方のトラブルを解決すれば経済的に充分であることも
多く、第3、第4の発明はこの意味でかなりの効果を上
げることができる。
またNd−Fe合金を溶融塩電解で製造する場合には前述し
たように陽イオン(Ndイオン)による副反応(3)のト
ラブルが大きいので第3の発明を採用することにより大
巾に改善できるのである。
しかし陰イオンによる副反応(4)の問題も全くないと
はいえないので第5の発明を採用したほうが完全な問題
解決となる。
つまり本発明で特に取り上げているNd−Fe合金を溶融塩
電解法で製造した場合には 1)電極形状及び配置の制限がないこと 2)陽イオンによる副反応(3)と陰イオンによる副反
応(4)の両方の問題が解決できること 3)導電性遮蔽体(この場合は鉄製板)という安価で簡
単なものを取り付けるだけで解決すること 上記の理由により第5の発明が最も適しているといえ
る。
LiF−NdF3系でNd−Fe合金を製造する場合のダミー電極
として鉄を使用した、場合のダミー電極の作用を以下に
詳しく説明する。
第1に陽極と陰極間での主たる反応は、前に述べたとう
りであり、 NdF3が電気分解をうけて黒鉛陽極と反応する主たる反応
は C+nF-→CFn+ne- ・・・(1) 鉄陰極との反応は Fe+Nd3++3e-→Nd−Fe合金 ・・・(2) 第2に陽極及び陰極と鉄製ダミー電極間との電蝕防止に
関する反応は、陽極、陰極、ダミー電極との電位によっ
て下記の3通りの場合が考えられる。
陽極も陰極もダミー電極で遮蔽された場合、陽極とダミ
ー電極間及び陰極とダミー電極間の反応であって電解槽
の電蝕の原因となる反応について判りやすく説明するた
めに以前の説明と同じく陽極と陰極の電位差を7Vとし
て、アースに対する電位を陽極が+5Vで陰極が−2Vであ
り、電解浴槽の電位は接地していないので+5Vと−2Vの
間になるので仮に+1Vであったと仮定する。
この場合ダミー電極の電位のとり方により陽極とダミー
電極及び陰極とダミー電極の間に洩れたNdイオンとFイ
オンの挙動は異なりダミー電極の電位のとり方により下
記の3通りが考えられる。この場合の陽極とダミー電極
及び陰極のダミー電極との反応のうち電解浴槽の電蝕の
原因になる反応についてまとめると下記のようになると
考えられる。
1)ダミー電極の電位が陽極より高い場合 陰イオン(F-)がダミー電極と反応する(4)の副反応
は発生し、ダミー電極の損傷は起きるが電解浴槽はダミ
ー電極でF-イオンに対して保護されているので電蝕の問
題は起きない。Nd3+イオンはダミー電極と反応しないの
で問題はない。
2)ダミー電極の電位が陽極と陰極の中間になるように
設定された場合 意図的にダミー電極の電位を設定しない場合には、ダミ
ー電極の電位は陽極電位と陰極電位の中間になる。この
状態では、副反応(3)および(4)により、それぞれ
陽イオン(Nd3+)と、陰イオン(F-)がダミー電極とが
反応する。陰イオン(F-)とダミー電極との反応(4)
により、ダミー電極は損傷し、また陽イオン(Nd3+)と
ダミー電極の反応(3)によりNd−Fe合金が生成し、電
解により得られたNd−Fe合金中に取り込まれる。しかし
ダミー電極との反応により生成する合金は製品のNd−Fe
合金と同一なので純度低下の問題は起きない。
従って陰イオン、陽イオンいずれもダミー電極と反応す
るため電解浴槽は保護されているので電解浴槽損傷の問
題は起きない。
3)ダミー電極の電位が陰極電位より低く設定された場
合 陽イオン(Nd3+)がダミー電極と反応する(3)の反応
が発生しNd−Fe合金が生成する。しかし生成したNd−Fe
合金は製品と同じなので問題はなく、またダミー電極は
反応分だけ消耗するが電解浴槽は、ダミー電極によりNd
3+イオンに対し保護されているので問題は発生しない。
F-イオンはダミー電極と反応しないので問題はない。
上記の理由によりダミー電極を設置することによって
も、電蝕による純度悪化の問題は解決できる。ダミー電
極は消耗電極となるので、激しい損傷をうけた時点、す
なわち電解浴槽が電蝕をうける状態になる前に新ダミー
電極と交換する必要がある。しかしダミー電極の消耗は
主たる電解反応による損傷ではなく、洩れイオンによる
損傷であるので損傷程度はすくない。よって交換頻度は
一般的には数ケ月に1回位の交換で充分である。
鉄製のダミー電極を用いずに電解浴槽を鉄製材料で作成
することも考えられるがこの場合は下記の問題が発生す
る。
1)鉄はNd3+イオンとの反応による製品純度上の問題は
なく、前述した溶融塩に対する耐蝕性はある程度ある
が、溶融塩上部のガス化雰囲気中で激しく腐食する。こ
の腐食ははげしいため、長期間使用に耐えなければなら
ない電解浴槽材料として鉄は不適切である。
以上のところから、Nd等の純度悪化及び電解浴槽の損傷
を防止しつつ、円滑な電解操業を行なうためには本発明
によるダミー電極の設置の効果が大きいことが判る。
電気分解による主たるイオンの移動は陽極と陰極間で発
生し、陽極と陰極間の主たる反応が起きる。これ以外の
若干のイオンが両極間の電解浴以外に洩れ、電解浴槽と
陽極又は陰極間で反応し電蝕の原因となり、電解浴槽材
料が損傷させ製造した合金の純度を悪化させる。ダミー
電極による電蝕防止方法の基本的な考え方は、洩れイオ
ンによる反応を受ける遮蔽物(ダミー電極)をイオン漏
洩領域に入れて反応を起こさせることにより洩れイオン
から電解浴槽を遮蔽し、その電蝕を防止するものであ
る。
ダミー電極の電位は前述したとおり3通りが可能である
がいずれの方法でも目的は達成できるのであるから電解
浴槽に対して絶縁をとらずにセットすると電解浴槽と同
電位になるのでこの方法が一般的には最も簡単で実用的
な方法である。
ダミー電極は電極と電解浴槽の間に設置しなければなら
ないが、陽イオンの損傷だけが問題になる場合は本発明
の第3に記述したように陽極と電解浴槽の間にのみ設置
すれば良く、陰イオンの損傷だけが問題になる場合は本
発明第4に記述したように陰極と電解浴槽の間にのみ設
置すれば良く、陽イオンの両方の損傷が問題となる場合
は本発明第5に記述したように陰極と電解浴槽間と陽極
と電解浴槽間の両方に設置すれば良く、又は電解浴槽の
全周にわたって設置してもよい。
本発明第3、第4、第5のダミー電極による電蝕防止方
法、特に本発明第5の発明は、 1)電極形状及び配置の制限がなく、自由に電解システ
ムが設計でき 2)陽イオンによる副反応(3)と陰イオンによる副反
応(4)の両方の問題が同時に解決でき 3)導電性遮蔽体(Nd−Fe製造の場合は鉄板)という安
価な材料でかつ簡単な形状のものを電解浴槽の内側に取
り付けるのみで製品純度を向上させかつ電解浴槽の損傷
を防止できる実用性、経済性に優れたものである。
本発明はNd−Feを溶融塩電解で製造する方法を例に説明
したが、記述内容より自明なように溶融塩電解一般に適
用できるものであり、また水溶液電解をも含めた電解に
より金属及び非金属を製造する方法一般にも適用でき
る。
Nd−Feの溶融塩電解の場合洩漏した陽イオンによるトラ
ブルが主たるトラブルの原因であったが、一般にハロゲ
ン化合物の電解では発生した陰イオンつまりハロゲンに
よる腐蝕が大きいばあいが多いので本発明はこの防止に
於ても有効である。また化学反応にともなう腐蝕は反応
温度が高くなる程反応速度が大きくなり、高温で問題と
なる場合が多いが、本発明で取り上げた電蝕はイオンに
よる反応でありこれは比較的低温でも反応速度の大きい
腐蝕反応であることより考えると、本発明は電解反応を
ともなう一般に適用できる有効な方法であると言えよ
う。
(実施例) 第1図(a),(b)に本発明実施例の装置を示した。
オーステナイト系ステンレス鋼(SUS−310S,Cr=25wt
%,Ni=20wt%残り鉄)で作成した電解浴槽3(内径260
mm,高さ300mm)に溶融塩4(組成LiF50wt%−NdF350wt
%)を配置した。SUS−310Sで作成した本体の内側をTa
で内張りしたメタルうけルツボ9を電解浴槽3の下方に
セットして陰極2で生成したNd−Fe合金の液滴10を受け
るようにした。
これに黒鉛製陽極1と鉄製陰極2をいれて電気分解を行
なうと電解生成したNdは陰極のFeと反応しNd−Fe合金の
液滴10となってメタル受けルツボ9の下方より溜りNd−
Feを合金5となる。このNd−Fe合金5を真空吸引装置7
を用いて採取する。また電気分解により消費された分に
相当するNdF3を原料供給装置8より溶融塩2に供給す
る。
本実験は酸化雰囲気でつまり溶融塩4の浴面が大気中に
表出された状態で溶融塩の温度が880℃になるようにし
て電解を7時間行なった。幾つかの例では電蝕を防止す
るための電解純鉄製ダミー電極11を電解浴槽3と電極
1、2の間に同心円状に設置した。
実施例の各方法で電解した条件及び結果については表1
の一覧表にまとめて表示した。
結果の解析方法は、下記方法で行なった。
1.生成合金中の不純物 生成合金の分析による 2.電解浴槽の損傷 EPMA等による組織観察 SUS−310Sは磁性をもっているがNdのアタックをうけ
ると磁性がなくなる性質を利用し使用後の材料の磁性調
査 第1図(a),(b)に示される装置を用いて、電極形
状及び電極配置に関わる実験及びダミー電極に関わる実
験を行なった本実験の目的は電極形状及び配置とダミー
電極の形状及び配置による生成Nd−Fe合金純度の変化と
電解浴槽の損傷の関係を調べることであるので、以下の
説明ではメタル受けルツボ9、真空吸引装置7、原料供
給装置8は図示を省略した図を参照として説明を行な
う。
(従来例) 第2図(a,b)に示したように、板状電極(1,2)を1個
づつ配置し、表1の例1の条件で電解したところ、電解
生成したNd−Fe中のNi,Crは2000ppmに達した。電解浴槽
の材料を調査した結果、陽極側の材料のみが選択的に損
傷しており、SUS−310S素材中にないNdがSUS−310S中に
取り込まれており、一方SUS−310S中のNi,Crが素材中の
含有量に比べて減少していることが判った。
陰極(2)側の電解浴槽3は陽極(1)側のような現象
は観察されなかった。しかしFと反応と考えられるわず
かな損傷が陰極側電解浴槽に認められた。
参考例1及び実施例1 円柱状陰極を中心にしてその周りに円筒状陽極1を配置
して実験した第4図(参考例1)電柱の配置を逆にした
第5巣(実施例1)の二例について、陰極と陽極の形状
と配置を変えて実験を行なった。その代表的な例を第4
図および第5図に示し、その結果を表1の例2〜例3に
示した。
陽極1を円筒状にし、陰極2を中心に配置した第4図の
配置では、陽極1に面した電解浴槽3が全周にわたりNd
イオンによる損傷(3′)をうけた。この結果メタル中
のNi,Crも表1に示したように1500〜4000ppmに達した。
一方、第4図の逆の電極配置である第5図の配置ではNd
イオンによる電解浴槽の損傷は全くなく、またメタル中
のNi,Crも表1に示したように、150ppm以下であった。
参考例2及び実施例2 第6図及び第7図に示した如き3枚の板状電極を使用す
る実験では、第6図に示した両サイドに陽極1を配置し
場合Ndイオンによる激しい損傷(3′)が陽極に面した
電解浴槽3で起きており、この反対の配置では第7図に
示したように、陽極に面した一部3′でわずかな損傷を
うけたにとどまっていた。メタル中のNi,Crの純度も第
6図の電極配置では1500〜4500ppmに達しているのに対
して第7図の配置では300〜500ppmにとどまっていた。
参考例3及び実施例3 第8図及び第9図に示すように、円柱状の電極を中心に
4枚の板状電極で囲んだ電極配置で実験した。
陰極を中心に4枚の陽極1で囲んだ第8図の電極配置
(参考例3)では、全周の電解浴槽3の材料がNdイオン
により損傷をうけ、メタル中のNi,Cr量は表1で示した
ように2500〜4000ppmになっているのに対して、陽極1
を中心に4枚の陰極2で囲んだ第9図(実施例3)の電
極配置では、Ndイオンによる電解浴槽3の損傷はなく、
メタル中のNi,Cr量も150ppmとなっている。
以上の参考例及び実施例より、電解浴槽に面した電極を
陽極にした電極配置の場合電極浴槽の損傷が大きく、メ
タル中のNi,Cr量が多く、逆の電極配置の場合メタル中
のNi,Cr量が少ないのは、Ndイオンによる損傷がFイオ
ンによる損傷よりはるかに大きいためであることが判
る。
電解浴槽に面した電極を陰極とする配置における平均電
流は参考例よりも少なくなっており生産の効率化と云う
点からは、この電極配置は好ましくない。
しかし本方法は高純度のメタルを生産する極めて効果的
な方法であることが理解されよう。
次にダミー電極を設置した実験を行なった。第10図〜第
13図に於て電極1又は2と電解浴槽3の間に板状(第1
0,11図)、曲面状(第12図)および円筒状(第13図)の
鉄製ダミー電極11が配置された。
参考例4および実施例4 陰、陽極とも板状の電極を用いて陰極側に板状のダミー
電極11を配置したのが第10図(参考例4)であり、陽極
側に配置したのが第11図(実施例4)である。第10図で
は、陽極側の電解浴槽3がNdイオンによる損傷をうけ、
メタル中のNi,Crは表1の例8で示すように2000〜5000p
pmに達している。しかし、実施例1で記述した陰極側の
Fイオンとの反応によると考えられる電解浴槽3のわず
かな損傷は、陰極側にダミー電極11を配置したため全く
観察されなかった。
これに対して第11図で示した陽極側にダミー電極11を配
置した実施例ではNdイオンによる損傷は全く観察されず
メタル中のNi,Crも200〜300ppmにとどまっていた。
実施例5 第12図に示すように、1枚を板状陰極1を中心に2枚の
板状陽極2を設置した電極配置を取り第5図と同じ電極
配置とした。陽極側に半曲面状の2個のダミー電極11を
配置して、Ndイオンによる浸蝕防止を狙った。簡単な形
状の円筒状ダミー電極を配置した第12図の例ではNdイオ
ンによる不電解浴槽の損傷はなくなり、Ni,Cr量も150〜
200ppmと低下しているがFイオンによる若干の電蝕がダ
ミー電極のない部分で観察された。
実施例6 第13図に示すように、1枚の板状陰極2を中心に2枚の
板状陽極1を配置し、これらの電極1、2の全体を円筒
状ダミー電極11で取り囲む電極配置を取りFイオン、Nd
イオン両方の浸蝕防止を狙った。
第13図の電極配置ではNdイオン、Fイオンの電解浴槽の
損傷は観察されず、Ni,Cr量も50〜100ppm以下と最も良
い値を示している。また、平均電流も高い値を示してい
る。
以上述べたようにダミー電極を配置することによりメタ
ルの生産量を大きくし、電解浴槽の損傷を防止し、かつ
高純度メタルを製造することができる。
(発明の効果) 以上詳述したように、本発明によれば溶融塩電解法によ
り金属を製造する装置に於て、 1)電極の形状及び配置 2)ダミー電極の設置 を不利用することにより以下の様な優れた効果を得るこ
とができる。
1.高純度のメタルを生産することができる。
2.電解浴槽の損傷を防ぐことができるので安価で高純度
の製品を製造することができる。
3.ダミー電極の設置により電極の配置が自由にでき、か
つ高純度のメタルを高効率で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a),(b)は実験に用いた電解設置図、 第2図(a),(b)及び第3図(a),(b)は従来
の電解法の説明図、 第4図(a),(b)から第9図(a),(b)は陽極
及び陰極配置の説明図、 第10図(a),(b)から第13図(a),(b)は陽
極、陰極及びダミー電極配置の説明図である。 各図に於て(a)は平面側であり(b)は平面図(a)
の中心線(紙面上の水平線)に沿った断面図である。 1……陰極、2……陽極、3……電解浴槽、4……電解
浴、5……Nd−Fe合金、11……ダミー電極

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電解浴槽内に陽極と陰極を配置し、電解に
    より金属または合金を製造する方法に於て、電解浴槽に
    面するおもな電極面が陰極のみで構成されており該陰極
    の裏面と陽極間で主たる電解反応を行なわせることを特
    徴とする高純度金属又は合金の製造方法。
  2. 【請求項2】電解浴槽内に陽極と陰極を配置し、電解に
    より金属又は合金を製造する方法に於て、電解浴槽に面
    するおもな電極面が陽極のみで構成されており該陽極の
    表面と陰極間で主たる電解反応を行なわせることを特徴
    とする高純度の金属又は合金の製造方法。
  3. 【請求項3】電解浴槽内に陽極と陰極を配置し、電解に
    より金属又は合金を製造する方法に於て、電解浴槽に面
    するおもな電極面が陽極と陰極により構成されており、
    該陽極の裏面と該陰極の裏面間で主たる電解反応を行な
    わせる電極の形状及び配置をもち、かつ前記陽極と電解
    槽間に導電性遮蔽体を配置して電解を行なうことを特徴
    とする高純度金属又は合金の製造方法。
  4. 【請求項4】電解浴槽内に陽極と陰極を配置し電解によ
    り金属又は合金を製造する方法に於て、電解浴槽に面す
    るおもな電極面が陽極と陰極により構成されており、該
    陽極の裏面と該陰極の裏面で主たる電解反応を行なわせ
    る電極の形状及び配置をもち、かつ前記陰極と電解槽間
    に導電性遮蔽体を配置して電解を行なうことを特徴とす
    る高純度金属又は合金の製造方法。
  5. 【請求項5】電解浴槽内に陽極と陰極を配置し電解によ
    り金属又は合金を製造する方法に於て、電解浴槽に面す
    るおもな電極面が陽極と陰極により構成されており、該
    陽極の裏面と該陰極の裏面で主たる電解反応を行なわせ
    る電極の形状及び配置をもち、かつ前記各陽極、各陰極
    と電解槽間に導電性遮蔽体を配置した電解浴槽に於て電
    解を行なうことを特徴とする高純度金属又は合金の製造
    方法。
  6. 【請求項6】電解浴が溶融塩であることを特徴とする請
    求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の高純度
    金属又は合金の製造方法。
  7. 【請求項7】電解浴が水溶液であることを特徴とする請
    求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の高純度
    金属又は合金の製造方法。
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