JPH069662A - リン脂質小胞体用安定化剤 - Google Patents

リン脂質小胞体用安定化剤

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JPH069662A
JPH069662A JP19136492A JP19136492A JPH069662A JP H069662 A JPH069662 A JP H069662A JP 19136492 A JP19136492 A JP 19136492A JP 19136492 A JP19136492 A JP 19136492A JP H069662 A JPH069662 A JP H069662A
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真司 武岡
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 リン脂質小胞体に凝集抑制および蛋白等の溶
液中での分散安定をはかることができるリン脂質小胞体
用安定化剤を提供する。 【構成】 ジサッカライドの還元性末端基がアルドース
をもって構成され、かつ、還元性末端基のアノマー位に
疎水性基をアミド結合で導入したジサッカライド誘導体
をリン脂質小胞体用安定化剤とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リン脂質小胞体(以
下、小胞体という。)への安定性賦与に有用な、構造明
確なジサッカライド誘導体よりなる小胞体用安定化剤に
関するものである。即ち、本発明の小胞体用安定化剤
は、小胞体の修飾剤として用いることにより、小胞体自
体の凝集抑制のほか、イオンに対する分散安定化、ある
いは、小胞体の生体内での滞留時間を延長することがで
きる。
【0002】
【従来の技術】周知のとおり、小胞体は、その凝集や融
合、あるいは、前記現象に伴う形態の変化や内包物の漏
出などの不安定性をもっているのが常態であり、かかる
不安定性解決の手段として数多くの提案が行なわれてい
る。まず、不飽和基を有するリン脂質の集合体の重合に
よる解決方法が試みられている(例えば、総説:H.R
ingsdof et al.,Angew.Che
m.,Int.Engl.,27,113(198
8))が、その膜重合により、リン脂質が有していた特
性、例えば、ゲルー液晶相転移現象、相分離や膜の流動
性等が失われ、これに係わる機能の損失が発生する。
【0003】一方、リポソームの凝集制御に、βーアミ
ノガラクトースを有するコレステロール誘導体が用いら
れている(PーS.Wu et al.,Proc.N
atl Acal.Sic.,USA,78,6211
(1981))が、該誘導体の効果は期待された程大き
なものではなく、その効果には糖の重合度が強く関与し
ていることを示唆している。また、リポソームの乳化作
用および乳化系の安定作用を有するヒアルロン酸誘導体
が開示されている(特開平3ー47801号公報)。し
かし、該ヒアルロン酸誘導体では、アシル基が非選択的
にエステル結合しているため、安定化効果を有効に引き
出すことができず、アシル基の導入位置と導入数により
前記効果は大きく左右される。しかも、ときに粘度が高
くなり実用に耐えない場合がある。
【0004】既に、本発明者らは、本発明者らが開発し
たオリゴサッカライド脂肪酸エステルを小胞体二分子膜
中に導入すると、小胞体の凝集抑制効果および融合抑制
効果、即ち、小胞体の分散安定化に極めて有効であるこ
とを開示している(特開平1ー294701号公報)。
その際、糖鎖の長いオリゴサッカライドのエステル誘導
体のほうが優れた効果を示し、二糖類を基剤とした場合
には充分な効果が得られていない。特開平1ー2947
01号公報に開示された発明は、小胞体の安定性に多く
の解決をもたらすものではあるが、反応性基(水酸基)
を多数有するオリゴサッカライドへの長鎖脂肪酸基の導
入は非選択的に行なわれ、導入数や導入部位も様々であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らが開発した
オリゴサッカライド脂肪酸エステルは、前記する如く、
長鎖脂肪酸基の導入が非選択的であり、導入数や導入部
位も様々であるため、分離および精製が複雑なうえに収
率も低く、小胞体自体の凝集抑制効果、融合抑制効果お
よび膜表面に固定される難易性等が、該オリゴサッカラ
イドの異性体により異なることが問題である。さらに、
その異性体の構造と効果との関連も不明である。従っ
て、本発明においては、前記問題の解決のために、ジサ
ッカライドの特定基に選択的に疎水基を導入した構造明
確なジサッカライド誘導体からなるリン脂質小胞体用安
定化剤の開発を技術的課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記する課題
を解決するために、ジサッカライドのアノマー位に疎水
性基を選択的に導入することにより得られた構造と効果
の明確なジサッカライド誘導体からなる小胞体用安定化
剤を提供することに関するものである。即ち、本発明
は、ジサッカライドの還元性末端基がアルドースをもっ
て構成され、かつ、還元性末端基のアノマー位に疎水性
基をアミド結合で導入したジサツカライド誘導体からな
る小胞体用安定化剤に係るものである。
【0007】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の
小胞体用安定化剤に用いるジサッカライド誘導体の基剤
であるジサッカライドは、還元性末端基がアルドースで
構成された二糖類である。
【0008】本発明の小胞体用安定化剤に用いるジサッ
カライド誘導体は、親疎水バランスを重視する必要か
ら、ここに使用する水酸基を有する疎水性基は、例えば
アミノ基を有するアルキル鎖の場合は、炭素数を12〜
22とし、かつ、不飽和結合を持つ場合には、不飽和の
数を1〜4とすることが好ましい。
【0009】本発明の小胞体用安定化剤に用いるジサッ
カライド誘導体にあっては、そのアノマー位におけるア
ミド結合に、疎水性基に第一級アミノ基をもつ化合物、
即ち、アミンを使用する。そこで、本発明に使用できる
アミンを例示すれば、脂肪族一級アミンとして、例え
ば、ラウリルアミン、セチルアミン、ステアリルアミ
ン、ベヘニルアミン、オレイルアミン等を挙げることが
でき、リン脂質では、ホスファチジルエタノールアミン
あるいはホスファチジルセリンなどを挙げることができ
る。
【0010】疎水性基の糖鎖末端アノマー位へのアミド
結合による導入は以下のようにして行なう。即ち、ジサ
ッカライドの還元性末端を次亜ヨウ素酸で酸化し、アノ
マー位をカルボン酸塩として開環したのち、陽イオン交
換カラムにより中和を行いカルボン酸とする。このカル
ボン酸をエタノールおよびメタノールにて順次脱水を行
なって還元性末端基をラクトン環とした生成物を得る。
次いで、該生成物をメタノール、ホルムアミドあるいは
ジメチルホルムアミドで溶解したのち、これにメタノー
ルまたはクロロホルムで溶解した脂肪族第一アミンまた
は一級アミンを有するリン脂質を混合して、均一な溶液
となし、20〜90℃、好ましくは40〜70℃の温度
で反応させて目的のジサッカライド誘導体を得る。ここ
に得たジサッカライド誘導体の精製は、水およびヘキサ
ンにより洗浄し、逆相系および順相系シリカゲルカラム
を用いて行なう。
【0011】前記の方法にて得られたアミド結合による
ジサッカライド誘導体の純度確認は、赤外分光光度計
(以下、IRという。)、シリカゲルをベースとした薄
層クロマトグラフィー、または、逆相系および順相系シ
リカゲルカラムを適用し検出器に示差屈折検出器を用い
た高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCとい
う。)にて行なう。
【0012】また、本発明の小胞体用安定化剤を適用し
た小胞体の安定性の確認は以下の如くして行なうことが
できる。リン脂質、もしくは、リン脂質および膜安定剤
のコレステロール、コレスタノール等のステロール類、
あるいは、リン脂質、およびステアリン酸、ジセチルリ
ン酸等の負電荷脂質の混合脂質に、本発明の小胞体用安
定化剤を5〜50モル%添加、好ましくは、10モル%
以上添加して水和物を作成する。該水和物を超音波攪拌
機、マイクロフルイダイザーあるいはエクストルーダー
等の公知の方法により粒径50〜200nmの小胞体分
散液を調製する。ここに得た小胞体分散液の粒径の確認
は、粒径分布測定装置またはネガティブ染色した透過型
電子顕微鏡により行なうことができる。
【0013】前記小胞体の分散液をゲル濾過あるいは超
遠心分離機により処理し、小胞体に導入されなかった該
安定化剤を系外に除去したのち、各フラクションの糖を
フェノール硫酸法を用いて定量することにより、小胞体
用安定化剤の小胞体への導入率を決定することができ
る。本発明の小胞体用安定化剤は添加量の90%以上が
小胞体に導入される。分散安定性は、ゲル濾過あるいは
超遠心分離により遊離の小胞体用安定化剤を除いた分散
液について、室温放置で500〜800nmの吸光度
(濁度)の経時変化を可視分光光度計で測定することに
より評価確認することができる。
【0014】なお、分散安定性の評価の方法としては、
前記する濁度測定法のほか、小胞体の分散液につき、コ
ーンプレート型回転粘度計により粘度測定をする方法、
および、光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡等による検鏡法
などがある。
【0015】
【作用】本発明の小胞体用安定化剤は、構造が明確であ
るうえ、リン脂質と親和性が非常によいためリン脂質集
合体の修飾剤として好適である。さらに、リン脂質集合
体に導入された小胞体用安定化剤は、そのジサッカライ
ド誘導体の糖構造が水相に露出した状態を保持し、リン
脂質集合体の膜上に均一分散するものである。
【0016】本発明の小胞体用安定化剤は、小胞体内容
物の漏出抑制が可能のほか、例えば、親細胞化、小胞体
凝集抑制、膜融合防止、特定抗体による認識用ラベル
化、生体内での貪食抑制等の利用目的に応じての使い分
けが可能である。なお、本発明の小胞体用安定化剤は、
その修飾小胞体分散液に粘度上昇を殆ど与えない。
【0017】例えば、小胞体の内水相に機能性分子を包
含したキャリアーを生体投与した場合、血中滞留時間が
長いほど有効性が高くなるが、小胞体は血漿中に存在す
る水溶性高分子やカルシウムイオンなどとの相互作用に
より凝集し、細網内皮系や貪食細胞への取込みにより短
時間で血中より除外されるのが通常であるが、本発明の
小胞体用安定化剤による小胞体の表面修飾により小胞体
の血中滞留時間を制御することができる。
【0018】
【実施例】以下に実施例を以てさらに詳細に説明する。 実施例1.ヨウ素5.20gを40℃加熱メタノール溶
液50mlに溶解し、これに、マルトース3.50gを
純水10mlに溶解した水溶液を添加したのち、40℃
で30分間攪拌した。次いで、このものに4%苛性カリ
ウム・メタノール溶液125mlを40分間で滴下して
ヨウ素の色が消えるのを確認し、ここに析出した結晶沈
澱物をガラスフィルター(G4)で濾別した。該結晶沈
澱物をメタノール、エタノールおよびエーテルで洗浄す
る。この段階でIRにて測定した結果、1650cm-1
付近にカルボン酸カリウム塩由来のピークが出現したこ
とから、マルトースのアノマー位はカルボン酸カリウム
塩となって開環していることを確認した。
【0019】得られた結晶物の水溶液を陽イオン交換樹
脂であるアンバーライトIRー120Bを用いてカルボ
ン酸としたのち、エタノールを添加して脱水し(この場
合、メタノールでもよい。)、マルトースラクトンを得
た。この段階でIRにて測定した結果、1650cm-1
付近のピークは消失し、1740cm-1付近に糖骨格の
C=O伸縮振動に基づくピークが認められたことから、
マルトース還元性末端基をラクトン環として閉環したこ
とを認めた。ここに得られたマルトースラクトンは2.
52gであり、その収率は72.3%であった。
【0020】前記マルトースラクトン2.00gを還流
メタノール20mlに溶解したのち、これに予め50m
lのメタノールに溶解したセチルアミン1.45gを添
加して3時間還流することにより、マルトペンタオース
にセチルアミンをアミド結合により導入して、マルトー
スセチルアミド(以下、MCAという。)の粗標品を得
た。ここに得たMCAを40℃で16時間減圧乾燥した
のち、ヘキサンを用いて固ー液抽出法により不純物をヘ
キサン層に抽出したのち、残渣となるMCAを再度メタ
ノールで溶解し、液体クロマトグラフィーを用いて、固
定相にリクロプレップRPー18カラム(オクタデシル
修飾シリカカラムであればよい。)および移動相にメタ
ノール/純水混合溶媒を使用し未反応物を除去しした結
果、精製MCAを1.91g得た。また、その収率は5
6.9%であった。
【0021】精製MCAは、HPLCを用いて確認を行
なったが、カプセルパックC18カラム(移動相:95
%メタノール水溶液、流速:0.5ml/min.)に
てRT値=20.67min.のみが確認された。ま
た、IR測定の結果、2800〜2950cm-1付近に
アルキル鎖に基づくピークが確認された。さらに、アミ
ド結合のC=O伸縮振動に基づくピークが1650cm
-1付近に認められ、かつ、NーH変角に基づくピークが
1550cm-1付近に認められた。従って、得られたM
CAは、マルトースの還元性末端基のアノマー位にセチ
ル基がアミド結合によって導入されたとすることができ
る。
【0022】小胞体への修飾は、前記の精製MCA3.
96mgをメタノール1mlに溶解し、これに、ジパル
ミトイルホスファチジルコリン(以下、DPPCとい
う。)100mgを溶解したメタノール溶液5mlを混合
することにより、MCAがDPPCに対して約5モル%
となるようにし、この混合物につきロータリーエバポレ
ーターにてナシ型フラスコの内壁に薄膜を形成させた。
その後、5mlの純水を添加してプローブ型超音波攪拌機
にて攪拌し、乳白色の透明なMCA修飾小胞体分散液を
得た。この分散液を50℃で2時間静置したのち、粒径
分布測定装置で小胞体の粒径を測定したが、その平均粒
径は41±19nmであった。同様にして、MCA10
モル%修飾小胞体の平均粒径は35±13nmであり、
同20モル%修飾小胞体の平均粒径は36±10nmで
あって、15モル%および25モル%修飾小胞体にあっ
てもそれぞれ殆ど変らぬ値を得た。
【0023】MCA修飾小胞体の分散安定性は、DPP
Cに対するMCAの添加率をそれぞれ5モル%、10モ
ル%、15モル%、20モル%、25モル%と設定し、
各修飾小胞体製造直後、および、該小胞体につき25
℃、3日間放置した500nmの吸光度(濁度)の変化
を可視分光光度計を用いて評価した。その結果、濁度の
増加はMCAの添加率で5モル%>10モル%>15モ
ル%>20モル%≦25モル%であり、MCAの添加量
を増加せしめると濁度増加率は減少し、小胞体の安定性
が高まることが明らかとなった。小胞体調製直後と、該
小胞体の25℃、3日間放置後との濁度増加を比較した
ところ、未修飾DPPC小胞体の濁度増加率を100%
としたとき、MCA修飾小胞体のそれはMCA20モル
%添加時に濁度増加率で15.6%と明らかに抑制され
ており、MCA修飾により小胞体の分散の安定化が有効
に図れることが確認できた。
【0024】前記の結果を、後記する比較例1〜5の結
果とともに、表1に示す。表1は、5wt%水和DPP
C小胞体溶液の調製直後と、25℃、3日間放置後との
濁度増加を示すものであって、未修飾DPPC小胞体の
濁度増加率(表1において、増加率という。)を100
%とし、これに対する各種誘導体修飾DPPC小胞体の
濁度増加率の数値を%をもって表した。なお、表中の
( )内は修飾剤の添加量を示し、その数字はモル%を
表す。小胞体の濁度増加率の値はその小なるものが安定
性の高いことを示しており、同表から、本発明の小胞体
用安定化剤が極めて有用なものであり、その成績は、比
較例1および2に後記するオリゴサッカライド誘導体の
効果とほぼ比肩し得るものであった。即ち、本発明の小
胞体用安定化剤は、その添加量を増すことにより、極め
て優れた効果を発現することが明確に示された。
【0025】比較例1.前記実施例1に記載のMCA修
飾小胞体調製と同一条件を用い、マルトペンタオースセ
チルアミド(以下、MPCAという。)を5モル%のモ
ル比で5wt%水和DPPC小胞体に導入した。その結
果、MPCA修飾DPPC小胞体の平均粒径は32±9
nmであり、その濁度増加は未修飾DPPC小胞体の濁
度増加率に対し10.3%であった。
【0026】
【表1】
【0027】比較例2.前記比較例1と同様に、マルト
ペンタオースモノパルミテート(以下、MPMPとい
う。)を5モル%DPPC小胞体に導入した。その結
果、MPMP修飾DPPC小胞体の平均粒径は34±1
2nmであり、その濁度増加は未修飾DPPC小胞体の
濁度増加率に対し11.2%でしかなく、小胞体の分散
の安定化の効果は著しいものであった。ここで、比較例
1および比較例2は、いずれもオリゴサッカライド誘導
体を修飾剤として用いたものである。
【0028】比較例3.ショ糖脂肪酸エステルの代表例
として、シュガーエステル(Pー1695:商品名、三
菱化成食品製)を、それぞれ5モル%、10モル%、1
5モル%、および、20モル%使用し、DPPC小胞体
の修飾剤として比較試験を行なった。シュガーエステル
(Pー1695)修飾の場合では、その小胞体の平均粒
径は修飾剤の添加率が5モル%のとき39±14nm、
20モル%のとき33±7nmであって、殆ど変化せ
ず、その5モル%のときの濁度増加は未修飾DPPC小
胞体の濁度増加率に対し65.4%であり、さらに、該
修飾剤の量を増加した20モル%添加では29.1%と
若干の安定化が見られた。
【0029】比較例4.さらに、市販の重合度8のポリ
エチレングリコールを用いた、ポリエチレングリコール
モノセチルエーテル(ノニオンPー208:商品名、日
本油脂製)の精製物をDPPC小胞体の修飾剤としたと
きは、修飾剤5モル%でその修飾小胞体の平均粒径は4
2±15nmであり、15モル%においても粒径の変化
は殆ど見られなかった。また、5モル%のときその濁度
増加は未修飾小胞体のそれに対し60.2%であった。
しかし、20モル%では小胞体が崩壊し、何れも数値を
得ることができなかった。
【0030】比較例5.市販の重合度15のポリエチレ
ングリコールを用いた、ポリエチレングリコールモノス
テアリルエーテル(ノニオンSー215:商品名、日本
油脂製)の精製物についても、比較例3と同様のモル比
でDPPC小胞体の修飾剤とした比較試験を行なった。
修飾剤5モル%のときのこの修飾小胞体の平均粒径は3
1±11nmであり、同15モル%では39±14nm
であり粒径の変化は殆ど認められなかった。5モル%の
ときのその濁度増加は未修飾小胞体のそれに対し39.
8%であって、修飾剤の量を増し15モル%の場合は、
23.0%であって該修飾剤による最小値を示した。さ
らに、20モル%としたときには比較例4と同様に小胞
体の崩壊が見られ、粒度ならびに濁度ともに測定ができ
なかった。
【0031】実施例2.ジーNーアセチルキトビオース
(以下、キトビオースという。)100.0mgから実
施例1と同様のラクトン化法により得たキトビオースラ
クトンと、等モルのオレイルアミンとを、窒素封入下で
3時間還流することにより、ジーNーアセチルキトビオ
ースオレイルアミド(以下、DACOAという。)の粗
標品を得た。ここに得たDACOAを40℃窒素封入下
で濃縮乾固したのち、ヘキサンを用いて固ー液抽出法に
より不純物をヘキサン層に抽出し、残渣を再度メタノー
ルで溶解して、実施例1と同様に、液体クロマトグラフ
ィーを用い未反応物を除去し精製DACOAを9.3m
g得た。また、総収率は9.1%であった。
【0032】該精製DACOAのIRスペクトルには、
2700〜3000cm-1付近にアルキル鎖に基づくピ
ークが確認でき、700cm-1付近にオレイル基のCH
ー面外変角振動に基づくピークが認められた。さらに、
アミド結合のC=O伸縮振動に基づくピークが1650
cm-1付近に認められ、また、NーH変角に基づくピー
クが1550cm-1付近に認められた。従って、ここに
得たDACOAは、キトビオースの還元性末端基のアノ
マー位にオレイル基がアミド結合により導入されていた
ものである。
【0033】前記に得たDACOAを含む混合脂質粉末
(DPPC:コレステロール:ジステアリルホスファチ
ジン酸:DACOA=10:9:0.9:5のモル比)
250mgをベンゼンからの凍結乾燥により得た。この
凍結乾燥標品に生理食塩水を5ml添加後、4℃にて1
2時間攪拌して得た白濁液をエクストルーダーにて処理
した。エクストルーダー処理の際、用いたポリカーボネ
ート製フィルターの孔径を1.0μm、0.4μm、
0.2μmと順次変化させながら、各5回透過させるこ
とにより白色透明なDACOA修飾小胞体分散液(平均
粒径200nm)を得た。この分散液に5mMの塩化カ
ルシウム(カルシウムイオンとして)を添加後、分散液
の粘度を回転粘度計(ビスメトロン VSーAK)によ
り測定(1.2sec-1)したところ、粘度の上昇はな
くその値は5cpであった。
【0034】一方、DACOAを含まない混合脂質粉末
(DPPC:コレステロール:ジステアリルホスファチ
ジン酸=10:9:0.9のモル比)から小胞体分散液
を同様に調製してカルシウムイオンを添加するときは、
小胞体表面に負電荷を帯びているため小胞体は直ちに凝
集し、粘度は11cpまで上昇した。
【0035】実施例3.セロビオース7.0gから実施
例1と同様のラクトン化法により得たセロビオースラク
トンと、予めクロロフォルムに溶解した等モルのジステ
アロイルホスファチジルエタノールアミンとを用いて、
これもまた実施例1の方法で、セロビオースジステアロ
イルホスフアチジルエタノールアミン(以下、SDSP
Eという。)を合成した。このSDSPEをヘキサンを
用いて固ー液抽出法により不純物をヘキサン層に抽出
し、残渣となるSDSPEを再度メタノールに溶解して
シリカゲルカラム(移動相:トルエン/酢酸エチル混合
溶媒)により精製し、精製SDSPEを5.2g得た
が、総収率は24.8%であった。このもののIRスペ
クトルでは2700〜2900cm-1にステアリル基に
基づくピークが出現しており、アミド反応が進行したこ
とを確認した。
【0036】前記の精製したSDSPEを含む混合脂質
粉末(水添レシチン:コレステロール:ステアリン酸:
SDSPE=7:7:2:4のモル比)10.0gを生
理食塩水に分散させ、4℃で24時間攪拌した。これを
マイクロフルイダイザーを使用して2500psi、1
5分、4℃の条件で処理し、平均粒径350±95nm
のSDSPE修飾小胞体分散液を得、さらに、遠心分離
(100000×g,30分)して下層に小胞体層を得
た。デキストランによる凝集作用を見るために、前記小
胞体層に、デキストラン(分子量、40000)を添加
し、800nmにおける濁度測定を行なった。その結
果、未修飾小胞体では、その1wt%の水和物でも濁度
が上昇し凝集が認められたが、SDSPE修飾小胞体で
は濁度の上昇は殆どなく、デキストランの凝集作用に対
する抑制効果を確認することができた。
【0037】
【発明の効果】本発明の小胞体用安定化剤は、これをリ
ン脂質小胞体の修飾剤として使用することにより、リン
脂質小胞体自体の凝集抑制のみならず、該小胞体のイオ
ン溶液中での分散安定化をはかることができ、進んで、
生体内での貪食抑制効果を引き出すことができる。ま
た、ジサッカライドの如き入手が容易な基剤を使用する
ため、等業界に資するところが極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土田 英俊 東京都練馬区関町南1丁目10番10号

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジサッカライドの還元性末端基がアルド
    ースをもって構成され、かつ、還元性末端基のアノマー
    位に疎水性基をアミド結合で導入したジサッカライド誘
    導体からなるリン脂質小胞体用安定化剤。
  2. 【請求項2】 疎水性基がアミノ基を有する炭素数12
    〜22であるアルキル鎖を備えた請求項1記載のジサッ
    カライド誘導体からなるリン脂質小胞体用安定化剤。
  3. 【請求項3】 疎水性基がアミノ基を有する1〜4の不
    飽和結合をもつ炭素数12〜22であるアルキル鎖を備
    えた請求項1記載のジサツカライド誘導体からなるリン
    脂質小胞体用安定化剤。
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