JPH0616688A - 脂肪酸糖エステル - Google Patents

脂肪酸糖エステル

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JPH0616688A
JPH0616688A JP19462092A JP19462092A JPH0616688A JP H0616688 A JPH0616688 A JP H0616688A JP 19462092 A JP19462092 A JP 19462092A JP 19462092 A JP19462092 A JP 19462092A JP H0616688 A JPH0616688 A JP H0616688A
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JP
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fatty acid
membrane
lipid
reticulum
sugar
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Application number
JP19462092A
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English (en)
Inventor
Hayashi O
林 王
Satoru Tokuyama
悟 徳山
Osamu Nakachi
理 仲地
Hidetoshi Tsuchida
英俊 土田
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NOF Corp
Research Institute for Production Development
Original Assignee
Research Institute for Production Development
Nippon Oil and Fats Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式(I) CH3-(CH2)x-(CH=CH)y-(CH2)z-CO-Sugar (I) (ただし、Sugar は単糖または二糖であり、式中のyは
2〜4の整数を、x+y+zは10〜20の整数を意味す
る。) で示される脂肪酸糖エステル、該脂肪酸糖エステ
ルを修飾剤として含有する重合性脂質小胞体、該脂質小
胞体を脱水乾燥してなる粉末化脂質小胞体。 【効果】 本発明の脂肪酸糖エステルを、脂質小胞体の
膜に導入することによって、外水相にスクロースやトレ
ハロースなどの糖類を添加しなくても、脂質小胞体の粉
末化ができる。また、本発明の小胞体膜を修飾した脂質
小胞体は、生体適合性に優れている。しかも修飾剤が膜
成分と共有結合で膜に固定しているので、血液成分の存
在下でも修飾剤の膜からの漏出が殆どないため、体内に
投与する薬物の担体、特に大量投与が必要である人工赤
血球に、極めて好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、重合性の脂肪酸糖エス
テルと、脂肪酸糖エステルを含有する脂質小胞体に関す
るものである。脂質小胞体は、薬物の担体(ドラッグデ
リバリーシステム、DDS)や酸素を運搬するタンパク
質であるヘモグロビンの担体(人工赤血球)などに利用
することができる。
【0002】
【従来の技術】二糖であるトレハロースまたはスクロー
スを脂質小胞体の脱水保護剤として、200mM 以上の濃度
で小胞体の内外水相に添加し、脱水乾燥によって得られ
る、保存性が優れた粉末化脂質小胞体が知られている
(特開昭64−9931)。また、コレステロールに糖が結合
している誘導体(特開平2−225495)や糖の脂肪酸エス
テル(特開平1−294701、特開平4−69332)を脂質小胞
体の膜組成として添加し、脂質小胞体の凝集や融合を防
止することは公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】脱水保護剤として多量
のトレハロースやスクロースなどの糖類を添加すれば、
脂質小胞体を粉末化することができるが、該脂質小胞体
の再分散液に多量の糖が存在することは、溶液物性に影
響を与えるばかりでなく、体内に投与する際、副作用を
引き起こす恐れがある。
【0004】コレステロールに糖が結合している誘導体
や糖の非重合性の脂肪酸エステルによる脂質小胞体の修
飾は、溶液状態下での脂質小胞体同士の凝集や融合を抑
制できるが、脱水乾燥時の小胞体の構造変化に対する抑
制効果が小さい。特開平1−294701では、重合性脂肪酸
である2,4−オクタデカジエン酸と五糖のエステルを
脂質小胞体の修飾剤として開示しているが、五糖の疎水
性が高いため、脂質小胞体の脱水保護剤としての効果が
小さい。
【0005】本発明は、以上に述べたような従来技術に
みられる問題を解決しようとするものである。即ち、本
発明の目的は、従来の修飾技術に存在している多量なオ
リゴ糖類の添加や脱水時の小胞体の構造変化などの問題
を解決し、脂質小胞体の修飾剤及び修飾脂質小胞体を提
供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために、単糖または二糖を親水部とし、重合
性の長鎖アシル基を疎水部とする両親媒性の重合性脂肪
酸糖エステルを脂質小胞体の修飾剤として合成し、得ら
れた修飾剤を脂質小胞体の二分子膜の膜組成と共有結合
で結合させることによって、脱水時の脂質小胞体構造変
化を有効に抑制できることを見出し、本発明をなすに至
った。
【0007】即ち、本発明は、(1) 一般式(I) CH3-(CH2)x-(CH=CH)y-(CH2)z-CO-Sugar (I) (ただし、Sugar は単糖または二糖であり、式中のyは
2〜4の整数を、x+y+zは10〜20の整数を意味す
る。) で示される脂肪酸糖エステル、(2) 上記の脂
肪酸糖エステルを修飾剤として含有する重合性脂質小胞
体、(3) 上記の脂質小胞体を脱水乾燥してなる粉末
化脂質小胞体、である。
【0008】本発明において、脂肪酸糖エステルは、両
親媒性であり、脂質小胞体の二分子膜に容易に取り込む
ことができる。修飾剤の親水性基としての糖鎖と、疎水
性基としての重合性長鎖アシルの間は、エステル結合で
結ばれる。本発明の脂肪酸糖エステルにおいて、Sugar
で表わされる糖鎖は、単糖または二糖類から選ばれ、例
えばトレハロース、スクロース、セロビオース、ゲンチ
オビオース、イソマルトース、マルトース、グルコー
ス、ガラクトース及びマンノースなどである。三糖以上
の糖類は、糖の疎水性が高く、脂質小胞体の脱水保護剤
としての効果が小さいので、望ましくない。
【0009】本発明の脂肪酸糖エステルの脂肪酸残基
は、一般式: CH3-(CH2)x-(CH=CH)y-(CH2)z-CO-(ただ
し、式中のyは2〜4の整数を、x+y+zは10〜20の
整数を意味する。)で示される重合性脂肪酸残基から選
ばれる。重合性脂肪酸は、例えば、2,4−オクタデカ
ジエン酸、9,11,13−オクタデカトリエン酸などであ
る。
【0010】脂肪酸糖エステルにおいて、脂肪酸残基の
yが1である場合、得られた脂肪酸糖エステルの重合が
困難であるため、望ましくない。更に、yが5以上であ
る場合、得られた脂肪酸エステルが酸化されやすいた
め、望ましくない。x+y+zが10〜20の整数以外の脂
肪酸残基の場合、得られた脂肪酸糖エステルは、脂質と
の相性が悪く、脂質小胞体膜に導入されにくいため、望
ましくない。
【0011】本発明の脂肪酸糖エステルは、重合性の脂
肪酸と糖類から既知のエステル化法によっても合成でき
る。例えば、重合性脂肪酸を常法により脂肪酸の無水物
または酸クロリドにしたあと、塩基性の触媒の存在下で
糖類と反応させることによって合成でき、また、脱水
剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下、
重合性脂肪酸と糖類とを直接に反応させる方法でも合成
できる[Fatty Acid, AOCS monography (1985), p.585
]。
【0012】脂肪酸糖エステルにおいて、一個の糖分子
に導入する重合性アシル鎖の数(置換度)は、得られた
誘導体の親疎水性バランスや脂質小胞体膜に導入の容易
性などを考慮して、1である。置換度が1より大きい場
合、脂肪酸糖エステルの脂質小胞体膜への導入が難しく
なるので、望ましくない。本発明の重合性脂質小胞体の
膜構成脂質である重合性脂質は、例えば、1,2−ジ
(2,4−オクタデカジエノイル)−3−ホスホコリン
(DODPC)、1,2−ジ(9,11,13−オクタデカ
トリエノイル)−3−ホスホコリン(DOTPC)など
である。重合性の脂質は、重合性の脂肪酸糖エステルと
共に、脂質小胞体の膜成分となり、共重合したのち、脂
肪酸糖エステルの膜からの漏出が防止できる。非重合性
の脂質を用いる場合、脂肪酸糖エステルと他の膜成分と
の相互作用が弱く、外部刺激による膜からの脂肪酸糖エ
ステルの漏出があるので、望ましくない。
【0013】本発明の脂肪酸糖エステルは、既知の脂質
小胞体の調製方法によって、脂質小胞体膜に導入でき
る。例えば、脂肪酸糖エステルを修飾剤として脂質小胞
体膜の構成成分と共に有機溶媒、例えば、メタノールに
溶解し、溶媒を除去することによって、修飾剤を含有す
る混合脂質が調製できる。得られた混合脂質を用いて、
既知の脂質小胞体造粒方法、例えば、押し出し法によっ
て脂質小胞体を造粒できる。他の脂質小胞体への修飾剤
の導入方法としては、例えば、予め調製した脂質小胞体
の分散液に、修飾剤として脂肪酸糖エステルを添加し、
混合液をインキュベーションすることなどによっても、
修飾剤を脂質小胞体に導入できる。
【0014】本発明の重合性脂肪酸糖エステルで修飾し
た脂質小胞体は、開始剤重合、光重合、放射線重合など
の方法で重合できる。得られた重合脂質小胞体は、膜成
分が共有結合で結合しているので、外部刺激による修飾
剤の漏出が少ない。本発明の粉末化脂質小胞体の脱水乾
燥方法は、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥などの方法を用
いることができる。脱水乾燥する際、脂質の酸化を防ぐ
ために、不活性ガスの雰囲気下で行うのが望ましい。粉
末化脂質小胞体の調製において、必要に応じて、例え
ば、ビタミンE、アスコルビン酸長鎖アルコールのエス
テル化物、アミノ酸などの抗酸化剤を、脂質小胞体の膜
にまたは内外水相に添加することができる。得られた粉
末化脂質小胞体は、乾燥条件下で長期保存できる。
【0015】
【実施例】次に、実施例、比較例及び試験例によって本
発明をさらに詳細に説明する。 実施例1−1 2,4−オクタデカジエン酸スクロースエステル(SO
DE)の製造 0.1 モルの2,4−オクタデカジエン酸(ODA)を50
0ml のベンゼンに溶解した後、室温(20℃)で0.15モル
の塩化チオニルを滴下した。室温で1時間、さらに40℃
で30分間攪拌反応した。溶液を冷却した後、減圧下ロー
タリエバポレータで溶媒を除去した。2,4−オクタデ
カジエノイルクロライドを得た。加温下 0.3モルのスク
ロースを2000mlの乾燥ピリジンに溶解した。室温まで冷
却後、2,4−オクタデカジエノイルクロライドを加え
て、2時間攪拌反応した。溶媒を減圧下で除去した後、
シリカゲル−60のカラムで生成物を精製した。移動相と
してクロロホルム/メタノール/アセトン/水(9/3
/5/1、体積比)の混合溶媒を用いた。得られた生成
物の同定は、元素分析、FT−NMR、IR、UVで行
い、得られた生成物が2,4−オクタデカジエン酸スク
ロースエステル(SODE)であることが明らかとなっ
た。
【0016】例として、SODEの 1H−NMR及びU
Vスペクトルをそれぞれ図1及び図2に示す。 元素分析 (C3OH52O12) (計算値): C 59.58 H 8.67% (実測値): C 59.09 H 9.08%。
【0017】1H−NMR(CD3OD、TMS)(δ、ppm) :
0.90(3H, t)、1.29(22H、s)、 2.19(2H、s)、3.40〜5.8
0(m、Sugar-H)、5.85(1H、d)、 6.25(2H、d)、 7.36(1
H、m)。 IR(KBr) (cm-1) : 1680(νC=O)、1630、 1610(ν
C=C)。 UV(H2O/CH3CH2OH)(λmax、nm) : 265(-CH=CH-CH=
CH-)。
【0018】実施例1−2 2,4−オクタデカジエン酸トレハロースエステル(T
ODE)の製造 スクロースの代わりに、トレハロースを用いる以外に、
実施例1−1に準じて操作を行い、生成物が2,4−オ
クタデカジエン酸トレハロースエステル(TODE)を
得た。
【0019】元素分析 (C3OH52O12) (計算値): C 59.58 H 8.67 % (実測値): C 58.89 H 8.98 %。1 H−NMR(CD3OD、TMS)(δ、ppm) : 0.89(3H、
t)、1.26(22H、s)、 2.20(2H、s)、3.30〜5.50(m、Suga
r-H)、5.85(1H、d)、 6.26(2H、d)、 7.38(1H、m)。 IR(KBr) (cm-1) : 1690(νC=O)、1640、 1620(ν
C=C)。 UV(H2O/CH3CH2OH)(λmax、nm) : 267(-CH=CH-CH=
CH-)。
【0020】実施例1−3 9,11,13−オクタデカトリエン酸スクロースエステル
(SOTE)の製造0.1 モルの9,11,13−オクタデカ
トリエン酸を500mlの脱水蒸留直後の四塩化炭素に溶解
した後、この溶液に0.12モルのジシクロヘキシルカルボ
ジイミドを加えた。窒素雰囲気下、暗所にて室温で40時
間攪拌反応した。不溶物を濾過し除去した後、溶媒を減
圧下で除去した。ジクロロメタンを移動相としてシリカ
ゲルのカラムで精製することにより、9,11,13−オク
タデカトリエン酸の無水物を得た。
【0021】0.15モルのスクロースを加温下、1000mlの
乾燥ピリジンに溶解し、室温まで冷却後、9,11,13−
オクタデカトリエン酸の無水物を加えて、窒素雰囲気下
で40時間攪拌反応した。溶媒を減圧下で除去した後、シ
リカゲル−60のカラムで生成物を精製した。移動相とし
てクロロホルム/メタノール/アセトン/水(9/3/
5/1、体積比)の混合溶媒を用いた。得られた生成物
の同定は、元素分析、UVなどで行い、生成物が9,1
1,13−オクタデカトリエン酸スクロースエステル(S
OTE)であることが明らかとなった。
【0022】元素分析 (C3OH50O12) (計算値): C 59.78 H 8.36% (実測値): C 58.66 H 8.02%。1 H−NMR(CD3OD、TMS)(δ、ppm) : 0.9(3H、t)、
1.3(14H、s)、2.3(6H、m)、3.3〜 5.5(m、Sugar-H)、5.
2〜6.5(m、-(CH=CH)3-)。 IR(KBr) (cm-1) : 1740(νC=O) 、 1620(νC=C)。 UV(H2O/CH3CH2OH)(λmax、nm) :275(-(CH=CH)3-)。
【0023】実施例2−1 2,4−オクタデカジエン酸スクロースエステル(SO
DE)を用いる脂質小胞体の修飾 SODEをDODPC、コレステロール(Chol) 及びO
DAとともに、メタノールに均一に溶解し(SODE/
DODPC/Chol/ODA=2/7/7/2、モル
比)、溶媒を除去し混合脂質の粉末を調製した。得られ
た混合脂質を5wt%の濃度でヘモグロビン(Hb)溶液
に加えて、押し出し法でHb内包脂質小胞体を調製し
た。外水相に存在するHbを限外濾過膜(例えばAC−
1760型ホローファイバー、旭メディカル社) で除去し
た。一酸化炭素の保護下、γ線の照射によって脂質小胞
体膜の構成成分の重合を行い、脂質小胞体表面に糖鎖が
被覆している人工赤血球を得た。
【0024】実施例2−2 2,4−オクタデカジエン酸トレハロースエステル(T
ODE)を用いる脂質小胞体の修飾 TODEをDODPC、コレステロール(Chol) 及びO
DAとともに、メタノールに均一に溶解し(TODE/
DODPC/Chol/ODA=3/7/5/2、モル
比)、溶媒を除去し、混合脂質の粉末を調製した。得ら
れた混合脂質をカルボキシフルオレセン(CF)を含有
する生理食塩水に懸濁した後、押し出し法で脂質小胞体
を調製した。γ線の照射によって脂質小胞体膜の構成成
分の重合を行い、平均粒径220nm の重合脂質小胞体を得
た。限外濾過膜(例えばAC−1760型ホローファイバ
ー、旭メディカル社) を用い、得られた脂質小胞体を洗
浄した。
【0025】実施例2−3 9,11,13−オクタデカトリエン酸スクロースエステル
(SOTE)を用いる脂質小胞体の修飾 SOTEをDOTPC、Cholと共に、メタノールに
溶解し(SOTE/DOTPC/Chol=3/7/
6、モル比)、溶媒を除去することによって混合脂質を
調製した。以下実施例2−1と同様にHb内包脂質小胞
体を調製し、平均粒径235nm の人工赤血球を得た。
【0026】比較例1−1 脂質小胞体の膜組成にSODEを含有させなかった以外
は、実施例2−1に準じて操作を行った。平均粒径233n
m の小胞体膜が未修飾の人工赤血球を得た。 比較例1−2 修飾剤として、SODEの代わりに、非重合性のパルミ
トイル酸スクロースエステル(SPE)を用いる以外
は、実施例2−2に準じて操作を行った。平均粒径228n
m のSPE修飾の脂質小胞体を得た。 比較例1−3 修飾剤として、SODEの代わりに、五糖であるマルト
ペンタオースと2,4−オクタデカジエン酸のエステル
(MPOD)を用いる以外は、実施例2−1に準じて操
作を行った。平均粒径245nm の小胞体膜がMPOD修飾
の人工赤血球を得た。
【0027】実施例3−1〜3−3及び比較例2−1〜
2−3 実施例2−1〜2−3及び比較例1−1〜1−3で得ら
れた脂質小胞体の粉末化を行った。6個の茄子型フラス
コにそれぞれの脂質小胞体の分散液を入れた。フラスコ
を回転しながら液体窒素で脂質小胞体の分散溶液をフラ
スコの器壁に均一に凍結後、フラスコを凍結乾燥器(バ
ーチス社、25SL型)に取り付け、真空度1〜10mtorr で
凍結乾燥を行い粉末化脂質小胞体を得た。
【0028】試験例1 実施例3−1〜3−3及び比較例2−1〜2−3から得
られた粉末化脂質小胞体に蒸留水を加え、軽く攪拌する
ことによって脂質小胞体の再分散を行った。粒径の測定
はサブミクロン粒度分布分析システム(Pacific Scient
ific社, Nicomp370) で行った。漏出率は、再分散液を
セファロース4B(ファルマシア社)のゲルカラムで分
画した後、脂質小胞体フラクションと漏出物フラクショ
ンのそれぞれの吸収度から算出した。再分散した脂質小
胞体の粒径及び内包物の漏出率を調べ、表1にまとめ
た。実施例3−1〜3−3の場合、得られた再分散脂質
小胞体溶液の平均粒径がいずれも300nm以下であった。
内包物の漏出率も6%程度以下であった。親水性が高い
二糖と重合性脂肪酸のエステルを修飾剤として用いる場
合、得られた修飾脂質小胞体を凍結乾燥しても、膜構造
の変化が非常に小さいことがわかった。一方、比較例2
−1の小胞体膜が未修飾の脂質小胞体の場合、得られた
再分散液には不溶物が観察され、再分散脂質小胞体の平
均粒径及び内包Hbの漏出率を調べたところ、それぞれ
700nm 以上及び25%以上であった。二糖の非重合性脂肪
酸の糖エステル(比較例2−2)、または五糖の重合性
脂肪酸の糖エステル(比較例2−3)の場合では、再分
散液の粒径が300nm 以上であり、内包物の漏出率も8%
以上であった。次表は脂質小胞体の粒径及び内包物の漏
出率の変化を示したものである。
【0029】
【表1】
【0030】試験例2 ヒト血漿の存在下、実施例2−1〜2−3及び比較例1
−1から得られた脂質小胞体の凝集挙動を調べた。脂質
小胞体とヒト血漿を等体積でそれぞれ混合した後、混合
液をスライドガラスに載せ、位相差顕微鏡で観察した。
実施例の小胞体膜修飾の脂質小胞体の場合では、1μm
以上の凝集物が観察されなかったのに対し、比較例1−
1の小胞体膜未修飾の脂質小胞体の場合では、大きな凝
集物が認められた。小胞体膜未修飾の脂質小胞体に比べ
て、重合性脂肪酸糖エステル類で修飾した脂質小胞体は
優れた血液成分適合性を有することがわかった。
【0031】試験例3 実施例2−2及び比較例1−2から得られた脂質小胞体
を、ヒト赤血球と等体積でそれぞれ混合した後、37℃で
5時間インキュベーションした。超遠心法で血球成分及
び脂質小胞体を沈降させた後、上澄みを分離し、その成
分を調べた。実施例2−2の上澄みには、糖類誘導体を
検出しなかったのに対し、比較例1−2の上澄みから糖
類誘導体の存在が認められた。実施例の重合脂肪酸糖エ
ステルが膜組成と共有結合しているので、脂質小胞体膜
からの糖類誘導体の漏出という欠点が改善できることが
明らかとなった。
【0032】
【発明の効果】本発明の脂肪酸糖エステルは、脂質小胞
体の修飾剤として、以下に述べるような極めて優れる特
長を有する。 1) 本発明の脂肪酸糖エステルを脂質小胞体の膜に導
入することによって、外水相にスクロースやトレハロー
スなどの糖類を添加しなくても脂質小胞体の粉末化がで
きる。従来技術の再分散粉末化脂質小胞体に余分な大量
のオリゴ糖類が存在するという欠点が解決できる。
【0033】2) 本発明の小胞体膜が修飾された脂質
小胞体は、生体適合性に優れている。しかも、修飾剤が
小胞体膜成分と共有結合で固定しているので、血液成分
の存在下でも修飾剤の小胞体膜からの漏出が殆どない。
このことは、体内に投与する薬物の担体、特に大量投与
が必要である人工赤血球にとっては、極めて好適であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】2,4−オクタデカジエン酸スクロースエステ
ル(SODE)の 1H−NMRスペクトルである。
【図2】2,4−オクタデカジエン酸スクロースエステ
ル(SODE)のUVスペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土田 英俊 東京都練馬区関町南2−10−10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) CH3-(CH2)x-(CH=CH)y-(CH2)z-CO-Sugar (I) (ただし、Sugar は単糖または二糖であり、式中のyは
    2〜4の整数を、x+y+zは10〜20の整数を意味す
    る。) で示される脂肪酸糖エステル。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の脂肪酸糖エステルを修
    飾剤として含有する重合性脂質小胞体。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の脂質小胞体を脱水乾燥
    してなる粉末化脂質小胞体。
JP19462092A 1992-06-30 1992-06-30 脂肪酸糖エステル Pending JPH0616688A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1995009692A1 (fr) * 1993-10-07 1995-04-13 Takeshi Ikemoto Agent tensio-actif, et produit cosmetique en emulsion et liposome le contenant
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