JPH0694217A - 可燃油用リテンションバーナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 着火性および火炎の安定性を高くする。 【構成】 燃焼筒２に収容されたバーナチップ６の周囲
に環状の保炎板３を配置する。バーナチップ６の先端
に、燃焼室１２に燃焼用燃料を噴出する燃焼用ノズル穴
１０と、保炎板３の前面の保炎域Ａに保炎用燃料を噴出
する着火用ノズル穴１１とを形成する。保炎板３の前面
の保炎域Ａに回り込んだ燃焼用２次空気の渦巻流の中
に、バーナチップ６の着火用ノズル穴１１より噴出する
保炎用燃料を直接噴霧する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は着火性が良く、火炎の安
定性が高い可燃油用リテンションバーナに関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】可燃油用バーナの着火の安定性を高める
ためには、燃焼用空気と燃料が適当な割合で混合した領
域の確保をしなければならない。このため、従来の可燃
油用バーナは、図６に示すように、燃焼筒２の内部に収
容された燃料パイプ１の先端に環状の保炎板３を設け
て、その保炎板３の前面に保炎域Ａを形成するようにし
ている。すなわち、保炎板３の外周縁と燃焼筒２の内面
との間の隙間を通過する燃焼用空気によって保炎板３の
前面が低圧になり、この低圧部分に燃焼用空気の一部が
回り込んで渦巻流となり、この渦巻流の力によりバーナ
チップ１３から噴出する予混合燃料の油粒子が引き込ま
れる結果、油粒子と渦巻流が混合して保炎域Ａが形成さ
れる。

【０００３】この保炎域Ａ内に、保炎板３の背後に設け
た点火器４によって点火エネルギーを与えると、着火し
て燃焼が開始し、袖火が形成される。そして、この袖火
が熱源となってバーナチップ１３より噴出する燃料の燃
焼が連続的に継続し、火炎が形成される。そして、前記
保炎域Ａ内で袖火が形成されている限り、何らかの原因
で火炎が吹き飛んだとしても、その袖火により直ちに火
炎が形成されるので、火炎が中断することはない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来のバーナでは、保炎域Ａに引き込まれる油粒子の量
は、保炎板３の外周縁を通過する燃焼用空気の量や速
度、あるいはバーナチップ６より噴出する噴霧空気の量
や速度に大きく左右される。このため、保炎域Ａ内にお
ける油粒子と空気の混合割合が不安定になりがちであ
り、袖火の着火の安定性のみならず、火炎の安定性が悪
いという問題があった。本発明はかかる問題点に鑑みて
なされたもので、着火性および火炎の安定性の高い可燃
油用リテンションバーナを提供することを目的とするも
のである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係る可燃油用リテンションバーナは、可燃
油と１次空気とを予混合した燃料を燃焼室に噴出するバ
ーナチップと、該バーナチップを収容するとともに、燃
焼室に燃焼用２次空気を供給する燃焼筒と、前記バーナ
チップの先端が貫通する中心孔を有する環状であって、
その外周縁と前記燃焼筒の内面と間に燃焼用２次空気が
噴出する隙間を形成するとともに、その前面に保炎域を
形成する保炎板とを備え、前記バーナチップの先端に、
燃焼室に燃焼用燃料を噴出する燃焼用ノズル穴と、前記
保炎域に保炎用燃料を噴出する着火用ノズル穴とを形成
したものである。

【０００６】

【作用】前記構成によれば、保炎板の前面に回り込んだ
燃焼用２次空気の渦巻流の中に、バーナチップの着火用
ノズル穴より噴出する保炎用燃料が直接噴霧されて、保
炎域が形成される。この着火用ノズル穴から噴霧される
保炎用燃料は袖火としての燃焼に必要な一定の量である
ので、燃焼用２次空気との混合割合が常に一定になり、
安定した袖火の着火性が得られる。また、この保炎域の
袖火が安定することにより、バーナチップの燃焼用ノズ
ル穴より噴出する燃焼用燃料の燃焼が継続し、安定した
火炎が得られる。

【０００７】

【実施例】次に、本発明の実施例を添付図面に従って説
明する。図１は本発明に係る可燃油用リテンションバー
ナを示す。このバーナは点火バーナとしても使用できる
し、燃焼用メインバーナとしても使用できる。図におい
て、１は燃料パイプ、２は燃焼筒、３は保炎板、４は点
火器、５はフレームロッドである。

【０００８】燃料パイプ１は、図２に示すように、可燃
油が流通する内管１ａと燃焼用１次空気が流通する外管
１ｂとからなる二重管で、その先端にはバーナチップ６
が取り付けられている。このバーナチップ６には、予混
合室７が形成されている。この予混合室７には、前記燃
料パイプ１の内管１ａと連通する燃料供給穴８と、前記
外管１ｂと連通する１次空気供給穴９と、燃焼用ノズル
穴１０と、着火用ノズル穴１１とが形成されている。燃
焼用ノズル穴１０はバーナチップ６の端面中心に形成さ
れ、着火用ノズル穴１１はバーナチップ６の外周面に４
等配で配置されるとともに、対向する各穴の中心線が１
４０°をなすように形成されている。

【０００９】燃焼筒２は、前記燃料パイプ１を収容し、
図１中右端の開口部より燃焼室１２内に燃焼用２次空気
を供給するものである。保炎板３は、従来と同様、環状
のもので、前記燃焼筒２内に収容され、その中心孔より
バーナチップ６が燃焼室１２側に僅かに突出するよう
に、燃料パイプ１の先端に取り付けられている。この保
炎板３の外周縁と燃焼筒２の内面との間には環状の隙間
が形成され、この隙間から燃焼用２次空気が噴出するよ
うになっている。

【００１０】点火器４は、保炎板３の背後に設けられ、
後述するように保炎板３の前面に形成される保炎域Ａに
点火エネルギーを与えるものである。フレームロッド５
は、保炎板３を貫通して燃焼筒２の先端近傍まで延設さ
れ、火災の有無を検出するようになっている。

【００１１】前記構成からなるリテンションバーナにお
いて、燃焼筒２に供給された燃焼用２次空気は保炎板３
の外周縁と燃焼筒２の内面との間の隙間を通って噴出す
る。この噴流により保炎板３の前面の図１中２点鎖線で
示すリング状の部分は低圧となり、この部分に燃焼用２
次空気の一部が回り込んで渦巻流となり、保炎域Ａが形
成される。

【００１２】一方、燃料パイプ１の内管１ａに供給され
た可燃油は供給穴８を通ってバーナチップ６の予混合室
７に流入し、ここで外管１ｂより供給穴９を通って流入
する燃焼用１次空気と適切な割合で混合して微粒化す
る。この微粒化した可燃油と燃焼用２次空気の混合体の
大部分は、火炎を形成する燃料として、燃焼用ノズル穴
１０を通って燃焼室１２に向かって噴出する。また、そ
の混合体の一部は、袖火を形成する燃料として、着火用
ノズル穴１１を通って保炎域Ａに向かって噴出し、渦巻
流と混合する。

【００１３】次に、点火器４によって保炎域Ａに点火エ
ネルギーを与えると、保炎域Ａ内の燃料が着火して燃焼
が開始し、袖火が形成される。そして、この袖火が熱源
となって、燃焼用ノズル穴１０より噴出する燃料が着火
し、燃焼が継続されて連続した火炎が形成される。前述
の着火用ノズル穴１１からは常に一定の燃料が必要な量
だけ保炎域Ａに向かって直接噴出するので、保炎域Ａに
おける可燃油と空気の混合割合が一定になり、安定した
着火性が得られるとともに、袖火が安定する。このよう
に袖火が安定している限り、火炎が何らかの原因により
変動したとしても、火炎が吹き飛んだり、燃焼が中断し
たりすることはなく、安定した火炎が継続される。

【００１４】また、着火用ノズル穴１１から噴出する可
燃油の量は、保炎域Ａで完全燃焼するだけの量であるた
め、保炎域Ａ外へ未燃油として飛散することはなく、ま
たその未燃油がフレームロッド５を濡らして火炎の検出
を不良にするといった虞れはない。燃焼用ノズル穴１０
からはメイン火炎を形成する燃料が、保炎用燃料とは別
系統で、ストレートに燃焼室１２に噴出するため、保炎
域Ａでの着火性，袖火の安定性に影響を与えることはな
い。したがって、燃焼量等を変えてメイン火炎の形状や
長さを変えても、保炎域Ａでの着火や袖火の安定性は維
持される。

【００１５】また、従来の構造では図６に示すように燃
料の噴出角度を大きくして油粒子が保炎域Ａに引き込ま
れやすいようにしなければならなかったが、本実施例の
構造では保炎域Ａに噴出する燃料とメイン火炎用の燃料
とが別系統であるため、図１に示すように、燃焼用ノズ
ル穴１０からの燃料の噴出角度を狭くすることができ、
これにより保炎板３を燃焼筒２の端面より奥に設置する
ことができる。したがって、保炎域Ａは燃焼筒２の外部
すなわち燃焼室１２における横風等の外乱要素の変動に
影響されることがなく、従来より強い保炎性が得られ
る。

【００１６】本発明者は、前記実施例に係るバーナと従
来のバーナの着火性に関する試験を行い、図４，図５に
示す結果を得た。なお、この試験で用いた本実施例に係
るバーナの着火用ノズル穴１１の個数は４個で、その角
度は図２に示す通り１４０°であり、また保炎板３の外
径は１０７ｍｍであった。また、従来例に係るバーナの
ノズル穴（図７参照）は６個で、その角度（図７中θで
示す）は３０°であり、保炎板３の外径は１１０ｍｍで
あった。この試験では、燃焼用２次空気の量の変化に対
する保炎域Ａの着火性を確認した。図４，図５におい
て、破線で示す曲線はバーナの２次空気量の変化に対す
る供給圧力（図１，図６中Ｐ点における圧力）の変化を
示し、この曲線上に着火結果を示す識別記号（〇△×）
が表示されている。〇は２回中２回着火、△は２回中１
回着火又は着火後検出、×は２回不着火を示す。

【００１７】これらの図から明らかなように、油燃焼量
が１００Ｌ／Ｈｒの場合、従来のバーナでは、着火可能
空気量は１５０〜３５０ｍ³／Ｈｒで、着火成功率は６
８％であったのに対し、本実施例のバーナでは、着火可
能空気量は１００〜４５０ｍ³／Ｈｒで、着火成功率は
９６％であった。この試験により、着火性能は明らかに
本実施例の方が良いことが確認された。

【００１８】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、バーナチップの先端に燃焼用ノズル穴と着火
用ノズル穴とを形成してそれぞれの穴から別系統の燃料
を噴出し、着火用ノズル穴から保炎域に一定量の保炎用
燃料を噴出しているため、保炎域での袖火の着火性や安
定性、火炎の安定性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係るバーナの断面図である。

【図２】 図１に示すバーナのバーナチップの断面図で
ある。

【図３】 図１に示すバーナのバーナチップと保炎板の
拡大正面図である。

【図４】 本発明に係るバーナの着火試験結果を示す図
である。

【図５】 従来のバーナの着火試験結果を示す図であ
る。

【図６】 従来のバーナの断面図である。

【図７】 図７に示す従来のバーナのバーナチップの断
面図である。

【符号の説明】 ２…燃焼筒、 ３…保炎板、６…バー
ナチップ、 １０…燃焼用ノズル穴、１１…着
火用ノズル穴、 １２…燃焼室、Ａ…保炎域。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 可燃油と１次空気とを予混合した燃料を
   燃焼室に噴出するバーナチップと、 該バーナチップを収容するとともに、燃焼室に燃焼用２
   次空気を供給する燃焼筒と、 前記バーナチップの先端が貫通する中心孔を有する環状
   であって、その外周縁と前記燃焼筒の内面と間に燃焼用
   ２次空気が噴出する隙間を形成するとともに、その前面
   に保炎域を形成する保炎板とを備え、 前記バーナチップの先端に、燃焼室に燃焼用燃料を噴出
   する燃焼用ノズル穴と、前記保炎域に保炎用燃料を噴出
   する着火用ノズル穴とを形成したことを特徴とする可燃
   油用リテンションバーナ。