JPH0691779B2 - ペットの糞尿処理用敷き砂およびその製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （発明の目的） この発明は、犬、猫等ペットの糞尿処理用敷き砂の新規
な構造とその製造方法に関するものであり、糞尿を素早
く吸収してコンパクトに固化する一方、糞尿臭の吸着性
および経済性に秀れたペットの糞尿処理用敷き砂と、そ
れを簡便且つ確実に製造する方法とを提供しようとする
ものである。

（従来技術） 生活環境が豊かになるにつれて、それまで贅沢品であっ
たものもどんどん一般家庭に入り込んで来ている。最近
のペットブームもその一つであり、その傾向を煽るかの
如く、スーパーやデパート等には様々なペット用品が並
べられ、書店ではペットに関する雑誌が氾濫し、果ては
ペット専用ホテルやペットと泊れるホテルまでが繁盛す
る時代となってきている。

しかし、このようなブームに乗って初めてペットを飼い
始めた人、特に都会地に住まいしている人の場合、最初
に直面する難問が、ペットのたれ流す毎日の糞尿処理の
問題である。

ペットの糞尿処理としては、それが犬であって屋外に小
屋があり、散歩が日課となっている場合には、糞は、糞
取り具等で抓んでそのまま便所に流したり、ごみ回収時
に他のごみと一緒に出してしまい、尿は、水を掛けて流
すか道端で済ましてしまう等といった方法で処理するこ
ともできるが、猫や座敷犬のように家の中で飼っている
ペットの場合、市販のペット用便器を使ってその中に敷
いた糞尿処理用敷き砂に用をたさせる習慣をつけ、糞
は、まとわり付いた敷き砂と共に除去し、尿は、便器の
下に溜まったものを洗い流して処理するようにする以
外、特に有効な手段がないようである。

その際に使用される敷き砂として、これまでに提供され
ているものを大別してみると、最も安価でポピュラーな
ものが、単なる砕石からなるものであり、そして、やや
高価で機能的なものが、人工的な素材からなるもの、例
えば、紙繊維、ベントナイ破砕物、ベントナイトと微細
珪砂粒子の添加された粘土との混練物、繊維質材と微細
珪砂粒子の添加された粘土との混練物等を夫々粒状化し
たもの、と大凡二通りのものに分けられる。

単なる砕石からなるものの場合には、当然石自体に脱臭
効果はなく、特別隔離された場所ででも使用しない限
り、部屋中に常に悪臭が漂ってしまうという大きな欠点
がある上、水溶性のものでもないことから、糞と共に便
所に流してしまうという処理は勿論できず、土の中に埋
めてしまうか、ビニール袋等に入れて他のごみと一緒に
捨てる等の処理となり、捨てて少なくるとその分量だけ
新しい敷き砂を加え、その中、全体が尿で汚れてしまう
と全て捨ててしまうか、何日に一回か尿で汚れた敷き砂
全体を何回も水で洗い流して乾燥させない限り、再使用
できない等という数々の不都合さがある。

これに対し、人工的な素材からなるものの多くは、多か
れ少なかれ共通して、糞尿がかかると、かかった所だけ
うまく固まって他の部分まで汚してしまわず、しかも少
しでも脱臭効果に秀れたものとなるよう工夫したものと
なっていて、上記砕石からなるものに比較して、少なく
とも利便性では有利なものとなっている。

しかし、この人工的な素材によるものも、素材によって
は固まり方が不十分であったり、固まることは固まって
も広い範囲まで汚してしまってコンパクトに取り除くこ
とが難しかったり、あるいは、経済性を優先するのあま
り、脱臭機能を無視してしまっている等々、一長一短が
あるものも多く、ペット飼育者にとって必ずしも十分な
情況とはいい難いことも事実である。特に、固まり方、
取り除き易さ、脱臭効果等の糞尿処理機能性の良さと単
価の点とが比例してしまう傾向は、それが毎日の使用を
必要とするものだけに、つい利便性を犠牲にしてでも経
済的負担の少ない、いわば敷き砂として不完全なものの
使用を余儀無くしてしまっている。

この発明は、以上のような状況に鑑み、糞尿がかかった
部分では確実且つコンパクトに固まって、他の部分を汚
さず簡単に取り除くことができ、しかも、何よりも安価
に提供できる経済的な糞尿処理用の敷き砂の開発、研究
を継続してきた結果、遂に以下において詳述するとおり
の成果を得るに至ったものである。

（発明の構成） この発明のペットの糞尿処理用敷き砂は、基本的に次の
ような構成から成るものである。

即ち、微細珪砂粒子を混合した粘土を主成分とし、ゼオ
ライト粉末を適量添加、混練して固化した、大きさが不
揃いで形が不定形の粒状芯体と、該粒状芯体の表面全体
にコーティングした固化促進剤の表面被膜層とから成る
ペットの糞尿処理用敷き砂とするものである。

粘土は、山形県大石田地区に多量に産出する珪砂の中に
約15％程度含有しているものを分離、回収して採用する
ものである。これには、陶土用粘土の一種である水分含
有量の多いハロサイトが多く含まれ、造粒性に秀れ、こ
の発明の粒状芯体を成形する上で都合の良い粘土とな
る。

粘土に混入させる微細珪砂粒子は、上記粘土を珪砂から
分離、回収する過程、即ち、機械的分級機（例えば、エ
ーキンス分級機等）により、先ず珪砂粗粒を分離した
上、沈降分級機（例えば、サンドコーン等）、そして、
機械的分級機（例えば、ロータリー分吸機等）で更に微
細な珪砂粒子を分離させる過程で、その分離具合を操作
する際に、その混入割合を適宜範囲に調整するものであ
る。この調整割合により、粒状芯体自体の水に対する崩
壊性および保形強度を調整することができる。

ゼオライト粉末は、糞尿から発散する異臭、悪臭を吸着
する脱臭材として主成分である上記粘土に添加されるも
のであり、天然のものでも人工のものでも差し支えはな
く、その脱臭効果と経済性とを加味した適量が添加され
るようにする。

微細珪砂粒子の混入された粘土を主成分とし、適当量の
ゼオライト粉末が添加されて形成される粒状芯体は、略
１〜5mm程度の直径からなる不揃い、不定形の粒状物と
して形成するようにするのが、ペットの足の踏ん張りを
安定させる上で望ましい。

表面被膜層は、上記した素材からなる粒状芯体の固化促
進剤として機能させるもので、比較的吸水性に富むベン
トナイト粉末、特にナトリュウム系ベントナイト粉末体
（250＃、例えば商品名、クニミネのクニゲル）が適し
ており、造粒時に加えた粒状芯体内の含有水分によって
粒状芯体表面全面に付着させるようにする。

以下、具体的な実施態様と、この発明の敷き砂の製造方
法とを説明する。

（実施態様１） この発明のペットの糞尿処理用敷き砂の構造の最も望ま
しい例を示すと次のようになる。

即ち、粒状芯体の主成分である微細珪砂粒子を混合した
粘土における微細珪砂粒子の混合割合が、20ないし50重
量％の範囲に規制されると共に、微細珪砂粒子を混合し
た粘土に対するゼオライト粉末の添加割合が、５重量％
前後に規制されて成るものとしたペットの糞尿処理用敷
き砂とするものである。

粒状芯体の主成分である微細珪砂粒子を混合した粘土に
おける微細珪砂粒子は、粒状化した後の水による崩壊性
と商品化後の保形強度とに影響があり、その混合割合が
増えることにより崩壊性が良くなる反面、保形強度が低
下し、敷き砂として商品化した後で崩れやすいものとな
る虞が出てくる。

したがって、商品価値を落とさない程度の保形強度を保
証し、糞尿水分によって崩壊して互いダンゴ状に固まり
易くする最適範囲は、その粒状体の大きさにより差を生
ずるが、大凡20ないし50重量％の範囲、望ましくは40重
量％となるようにすれば、サイズの異なる粒状体全体に
亘って略所期の目的が達成されるものとなる。

一方、上記した割合で形成された主成分である粘土に対
し、その脱臭効果と経済性との兼ね合いを勘案して添加
すべきゼオライトの割合は、５重量％前後が最適値であ
り、この値を大きく上回ると保形強度に影響を及ぼすだ
けではなく、当然単価的に高価なものとなってこの発明
の目的に反するものとなってしまい、また、１重量％や
２重量％程度では、安価なものにはなるものの脱臭効果
においてその機能を発揮し得ないものとなる。

（製造方法に関する発明） 次に、これらの敷き砂を製造する方法について説示す
る。

この発明の製造方法は、以下の第１ないし３工程から基
本的に構成されるものである。

［第１工程］ 微細珪砂粒子を混合した粘土を主成分とし、ゼオライト
粉末を適量混入、均質化した上、平面型造粒機の上で噴
霧状に散水しながら回転、混練することによって不揃
い、不定形の粒状芯体を多量に形成する工程。

この工程における造粒状態の調整は、平面型造粒機の回
転板の傾斜角度と散水割合とを勘案しながら調整するこ
とによって、所望する粒状芯体を効率良く製造すること
ができる。

［第２工程］ 多量に形成された水分を含む粒状芯体を回転混合機に投
入した上、固化促進剤粉末を加えて回転、混合すること
により、粒状芯体の表面全体に固化促進剤からなる表面
被膜層をコーティングする工程。

このコーティング工程では、第１工程で散水された際の
粒状芯体が含有する水分を、投入された固化促進剤が吸
着するような形で自然に進行するものであり、含有する
水分量によって固化促進材、具体的にはナトリュウム系
ベントナイト粉末体の付着量が変わり、形成しようとす
る表面被膜層の厚さが厚くなったり薄くなったりしてし
まうことから、第１工程で形成された粒状芯体１の含水
量と投入する固化促進剤の量ならびに粒度を最適なもの
に決定し、所望する厚さの表面被膜層を実現するように
しなければならない。

［第３工程］ 熱風によってそれらを乾燥させ、やや焼成状とする工
程。

熱風は、約100℃程度の温度に保って全体が均質に乾燥
され、表面被膜層だけがやや焼成されたような状態（完
全に焼成されてしまうと水で崩壊され難くなる）が実現
されるまで実施する。

なお、この発明によって形成される敷き砂の商品として
のイメージを良くするため、主成分である粘土を形成す
る際か、ゼオライト粉末を添加する際に、必要に応じて
着色料や香料等を適量混入したものとして形成すること
も勿論可能である。

（作用効果） 以上のような構成から成るこの発明のペットの糞尿処理
用敷き砂は、先ず素材が従前までのものと異なり、単価
的に安い微細珪砂粒子の混合された粘土を主成分とし、
それに適量のゼオライトを添加して粒状芯体を形成し、
その表面被膜層として固化促進剤を略均質に形成したこ
とから、一旦ペットの糞尿がかかって多少の水分を受け
た段階では、個々の表面被膜層である比較的吸水性の良
い固化促進剤が、糞尿水分を逸早くキャッチしてしま
い、やや崩壊状となる中で粒状芯体に水分が浸透し、共
に崩壊状となりながら相互に接着してダンゴ化する一
方、粒状芯体内に添加されているゼオライト粉末が露に
なって糞尿の嫌な匂いを効率的に吸着するものとなる。

こうして糞尿がコンパクトにダンゴ化した後、それらを
取り除いて適宜処分するようにすれば、糞尿のかかって
いないこの発明の敷き砂は、略きれいなままで保持さ
れ、ペットの次の使用に何等の支障も来さず、取り除い
て少なくなった分の敷き砂を補充するよう心掛けさえす
れば済むものとなる。

また、この敷き砂を利用するペットにとっては、敷き砂
を構成する粒状体の大きさが一定せず、しかも不定形の
ものに形成されていることから、用を足す際の安定性が
確保され、足を汚したり、周辺に蹴散らしてしまうも少
なくなり、飼い主にとっては、衛生的にペットを飼い続
けることが可能になる。

以上のように、この発明のペットの糞尿処理用敷き砂
は、極めて安価な素材を効率的に組み合わせて経済的な
ものに形成することができる上、限られた狭い範囲の敷
き砂だけが汚れてコンパクトな塊として取り除くことが
可能となる利便性の良いものとなることから、毎日必要
なペット用消耗品として欠くことができない。取扱性が
良く、経済的負担も軽いという条件を兼ね備えた略理想
的な敷き砂となっている。

特に、主成分である微細珪砂粒子の混合された粘土にお
ける微細珪砂粒子の混合割合、および、主成分である微
細珪砂粒子の混合された粘土に対するゼオライト粉末の
添加割合が、夫々規制された実施態様に示す範囲のもの
の場合、敷き砂として商品化された後の保形強度が適当
に保証された上、糞尿水分による崩壊速度も略理想的な
範囲のものとすることができ、しかも、脱臭効果および
保形強度に支障を来さない経済的な範囲の敷き砂を実現
できるから、上記した効果がより確実なものとなる。

また、この略理想的な構造からなるペットの糞尿処理用
敷き砂の製造方法も、工程中においてその散水状態、平
面型造粒機の回転板傾斜角、素材粒度等の相互調整が必
要となるものの、工程数は少なく、比較的簡単に製造す
ることができるものであり、秀れた特徴を有する敷き砂
である割りに安価に提供可能であり、従前までのもの以
上に有利な条件で普及させることを可能とするものであ
る。

叙上の如く、この発明は、ペットの糞尿処理用敷き砂と
して略理想的な性状を兼備し、しかも安価に提供するこ
とを可能とするものであることから、ペットを可愛がる
人々にとって最も厄介な問題である糞尿処理が、これま
で程に苦労しないで済むものとなり、一層和やかで豊か
な生活が保証されることとなる。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】微細珪砂粒子の混合された粘土を主成分と
   し、ゼオライト粉末を適量添加、混練して固化した、大
   きさが不揃いで形が不定形の粒状芯体と、該粒状芯体の
   表面全体にコーティングした固化促進剤の表面被膜層と
   から成るペットの糞尿処理用敷き砂。
2. 【請求項２】粒状芯体の主成分である微細珪砂粒子を混
   合した粘土における微細珪砂粒子の混合割合が、20ない
   し50重量％の範囲に規制されると共に、微細珪砂粒子を
   混合した粘土に対するゼオライト粉末の添加割合が、５
   重量％前後に規制されて成る特許請求の範囲第１項記載
   のペットの糞尿処理用敷き砂。
3. 【請求項３】微細珪砂粒子を混合した粘土を主成分と
   し、ゼオライト粉末を適量混入、均質化した上、平面型
   造粒機の上で噴霧状に散水しながら回転、混練すること
   によって不定形の粒状芯体を多量に形成する第１工程、
   多量に形成された水分を含む粒状芯体を回転混合機に投
   入した上、固化促進剤粉末を加えて回転、混合すること
   により、粒状芯体の表面全体に固化促進剤からなる表面
   被膜層をコーティングする第２工程、熱風によってそれ
   らを乾燥させ、やや焼成状とする第３工程、 以上第１ないし３工程によるペットの糞尿処理用敷き砂
   の製造方法。