JPH0691310A - ホットストリップ仕上圧延機の設備配列 - Google Patents

ホットストリップ仕上圧延機の設備配列

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JPH0691310A
JPH0691310A JP4243258A JP24325892A JPH0691310A JP H0691310 A JPH0691310 A JP H0691310A JP 4243258 A JP4243258 A JP 4243258A JP 24325892 A JP24325892 A JP 24325892A JP H0691310 A JPH0691310 A JP H0691310A
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信彰 野村
Hideyuki Nikaido
英幸 二階堂
Yoshiaki Kaneda
欣亮 金田
Hideyuki Yuzawa
秀行 湯沢
Yoshito Goto
義人 後藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ストリップに形状不良を発生させることな
く、最終スタンド出側の板プロフィールを高精度で目標
値に的中させる。 【構成】 第1スタンドF1〜第7スタンドF7が連設
されてなるホットストリップ仕上圧延機の設備配列にお
いて、スタンド間を通過するストリップSの板厚が4mm
以下、2mm以上となる、第4スタンドF4と第5スタン
ドF5の間に板プロフィールメータ12Aを設置する。
板プロフィールメータ12Aによる測定結果に基づい
て、板プロフィール制御演算装置14で算出した制御信
号を板プロフィール制御装置10A〜10Dに出力し、
上流側のスタンドF1〜F4をフィードバック制御する
と共に、板プロフィール制御装置10E〜10Gに制御
信号を出力し、下流側のスタンドF5〜F7をフィード
フォワード制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ホットストリップ仕上
圧延機の設備配列、特に最終スタンド出側におけるスト
リップの板プロフィールを目標値に高精度に的中させる
ことができるホットストリップ仕上圧延機の設備配列に
関する。
【0002】
【従来の技術】ホットストリップ仕上圧延機では、板厚
と共に幅方向の板厚分布(板プロフィール)や板の平坦
度等を調整する制御が行われている。
【0003】板プロフィール(板クラウン)の制御で
は、最終スタンド出側における板プロフィールを目標値
に一致させるべく、仕上圧延機を構成する各圧延スタン
ドに設置されているクラウン制御装置を制御している。
【0004】そのため、通常、板プロフィールを実測す
るための板プロフィールメータを仕上圧延機の最終スタ
ンド出側に設置し、該板プロフィールメータによる測定
結果を用いて、最終スタンドで圧延された製品の板プロ
フィールの管理を行ったり、又、板プロフィール制御用
モデルの学習を行うことにより、次回の圧延材に対する
制御偏差を減少させることが行われている。
【0005】上記板プロフィール制御では、例えば、次
の(1)式で表わされる制御モデル式を用いることがで
き、スタンド数がNのタンデム圧延機の場合は、各スタ
ンドについて(1)式に相当する式を立て、合計N本の
式を連立させることにより、最終スタンド出側の板プロ
フィールを求めることができる。
【0006】 Cri=α・Crmi +β・Cri-1 …(1)
【0007】上記(1)式において、Criは上流側から
数えてi 番目の圧延スタンド出側の板プロフィール、C
rmi は同スタンドの、いわゆるメカニカルクラウン、C
ri-1はi −1番目、即ち前段スタンド出側における板プ
ロフィール、αは上記メカニカルクラウンの転写率、β
は上記前段スタンドの板プロフィールについての遺伝係
数である。以下、これらについて順に説明する。
【0008】前記(1)式のメカニカルクラウンCrmi
は、圧延荷重によるロールの撓み、ロール熱膨脹又はロ
ール摩耗によって生じるロール間隔の幅方向分布の機械
的な変化量である。今、圧延荷重によるロールの撓みに
起因するクラウンをCmpi 、ロールの熱膨脹によるクラ
ウンをCmRhi、ロール摩耗によるクラウンをCmRwiとお
くと、上記メカニカルクラウンCrmi は次の(2)式で
表わされる。
【0009】 Crmi =Cmpi +CmRhi+CmRwi …(2)
【0010】上記(2)式においてロールの撓みによる
クラウンCmpi は、幅方向荷重分布に基づき、(i )ワ
ークロール、バックアップロールの撓み(クラウン制御
装置出力による変化を含む)と、(ii)ロールのイニシ
ャルクラウン等を考慮した、次の(3)式で表わされる
関数 f1 で与えられる。但し、この計算式で、Pは圧延
荷重、b は材料幅、x はクラウン制御装置出力である。
【0011】 Cmpi = f1 (P,b ,x ) …(3)
【0012】又、前記ロールの熱膨脹によるクラウン
(ヒートクラウン)CmRhiは、圧延の進行や圧延後の冷
却に伴うロールクラウンの変化を一次応答遅れ近似等の
方法で数式化し、各時定数、比例定数等を実験データか
ら回帰により求めることにより決定できる。
【0013】上記ヒートクラウンを決定する際、ロール
の表面状態が、例えばホットストリップ仕上圧延機で圧
延の進行に伴って黒皮が生成したり脱落したりして変化
し、摩擦係数及び熱伝達係数が変化することにより、ス
トリップからロールへの入熱が変化すると、これがヒー
トクラウン推定誤差の要因となるが、この入熱の変化を
測定することはできない。
【0014】又、前記ロール摩耗によるクラウンCmRwi
は、関数 f2 を含む次の(4)式で表わされる。但し、
Cf は摩耗係数、Lは圧延長さ、Dはロール径である。
【0015】 CmRwi=Cf ・ f2 (P,L,b ,D) …(4)
【0016】上記(4)式においてCf は、圧延結果の
回帰により決定されるが、ロールの摩耗程度が材料特性
やロールの表面状態により変化するため、これが上記ロ
ール摩耗によるクラウンCmRwiを推定する際の誤差要因
となる。
【0017】又、前記(1)式において、転写率αは次
の(5)式で表わされる関数 f3 で与えられる。
【0018】 α= f3 (h ,Ld ,Kch,ξ) …(5)
【0019】ここで、h は出側板厚、Ld は接触弧長、
Kchは、板幅、接触弧長、変形抵抗等により変化する回
帰係数、ξは、次の(6)式で表わされる関数 f4 で与
えられる形状変化係数である。
【0020】 ξ= f4 (D,h ,b ) …(6)
【0021】又、前記遺伝係数βは次の(7)式で表わ
される関数 f5 で与えられる。なお、Hは入側板厚であ
る。
【0022】 β= f5 (Kch,Ld ,ξ,h ,H) …(7)
【0023】上記(5)式の転写率α及び上記(7)式
の遺伝係数βは、いずれも回帰係数Kchと、同じく回帰
的に求められる形状変化係数ξを変数としていることか
ら、α、βはそれぞれ実験結果に基づいて回帰的に決定
される。
【0024】以上詳述した前記(1)式で表わされるモ
デル式を基本制御式として用いるタンデム仕上圧延機に
おけるクラウン制御としては、例えば特公昭63−25
845に、圧延後に実測された先行材の板クラウン及び
板形状のいずれか一方、若しくは双方と、該先行材の圧
延条件を用いて計算される板クラウン及び板形状のいず
れか一方相互の若しくは双方の差異をロールプロフィー
ルの推定誤差に起因するものとし、該ロールプロフィー
ル推定誤差を算出、学習し、後行材の設定計算に用いる
方法が開示されている。
【0025】又、板プロフィール計を用いる制御技術と
しては、特公昭63−35325に、連続式圧延機にお
いて、該圧延機の出側に板平坦度検出器及び板クラウン
検出器を設けると共に、各スタンドに圧延荷重検出器を
それぞれ設け、これら各検出器の信号に基づいて各スタ
ンドの出側板平坦度及び板クラウンが目標値若しくは許
容範囲になるように制御するものが開示されている。
【0026】前記公報に開示されている技術を初めとす
る一般的なホットストリップ仕上圧延機による板プロフ
ィール制御では、最終スタンドの出側又はその近傍で板
クラウンを実測し、その実測値を用いて制御を行ってい
る。
【0027】以下、従来の一般的な板プロフィール制御
方法について、第1スタンドF1〜第7スタンドF7か
らなる全7スタンドのホットストリップ仕上圧延機の場
合を具体例として説明する。
【0028】まず、仕上圧延を行う際のパス(通板)ス
ケジュールを想定し、各スタンドに対する圧延荷重を予
測計算し、且つ仕上圧延機の出側板厚、即ち第7スタン
ドの出側板厚 h7 と該第7スタンド目標クラウンCr7
Aim により最終的な目標比率クラウンRc7 Aim (=Cr7
Aim / h7 )を求めると共に、これを用いて上記パスス
ケジュールより各スタンド出側の目標クラウンCri Aim
(=Rc7 Aim × hi )を決定する。
【0029】次いで、前記(1)式に基づいて、各スタ
ンドについて目標クラウンCri Aimを達成するための目
標メカニカルクラウンCrmi Aim を決めると共に、該目
標メカニカルクラウンを達成するためのクラウン制御装
置の出力を決定する。
【0030】その後、実際の板圧延を行い、最終スタン
ドF7の出側板クラウンCr7を同スタンド出側に設置さ
れている板プロフィールメータで測定し、その実測出側
板クラウンCr7から実績比率クラウンRc7(=Cr7/ h
7 )を求める。
【0031】次いで、各スタンド出側の比率クラウンが
第7スタンドF7出側の前記実績比率クラウンRc7に等
しかったものと仮定し、各スタンドにおける圧延荷重実
績と実績比率クラウンRc7より、各スタンドにおける前
記(1)式からの誤差Si を求める。即ち、第i スタン
ドの出側板クラウンCriをRc7× hi として求め、次の
(8)式を成立させる誤差Si を求める。なお、メカニ
カルクラウンCrmi は圧延荷重実績を用いて算出する。
【0032】 Cri=α・Crmi +β・Cri-1+Si …(8)
【0033】上述の如くして各スタンドについて(8)
式を求めたら、該(8)式を次材のクラウン設定に用い
るための学習を行う。又、上記誤差Si を用いて各スタ
ンドの出側板クラウンを目標値に一致させるための適切
なメカニカルクラウンCmriを求め、該メカニカルクラ
ウンに一致するように各スタンドに対するクラウン制御
装置出力を変更し、フィードバック制御を行う。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来の板プロフィール制御では、板プロフィール(板
クラウン)を仕上圧延機の出側又はその近傍で実測して
いるため、以下の問題がある。
【0035】板プロフィール制御には前記(1)式の制
御モデル式を用いるが、該モデル式を構成する各式は、
前述の如く回帰により決定され、又、各式の誤差要因が
それぞれ異なっているにも拘らず、誤差要因の特定は不
可能であるため、次材に前記(8)式を適用しても必ず
しも精度の高い制御結果が得られず、板プロフィール制
御精度のばらつきを大きくする要因となっていた。
【0036】又、前記フィードバック制御を行う際に
も、各スタンドにおける制御実体は不明であることか
ら、前述の如く各スタンド間のクラウン比率が最終スタ
ンド出側の実績比率クラウンに等しいものと仮定して制
御を行わざるを得ないため、同様にクラウン制御精度を
低下させる要因となっていた。
【0037】又、圧延スタンドで比率クラウンを変更す
る場合は、その変更を適切に行わないと幅方向残留応力
分布の変化による板形状不良(平坦度不良)が生じる。
即ち、第i スタンド出側における比率クラウンRci(=
ri/ hi )の同スタンドにおける変化可能量ΔR
ci(=Rci-1−Rci)は板形状による制限を受ける。板
形状の乱れは、ストリップ(板)の幅方向分布内部応力
により板がバックリングを起こすことにより生じる。従
って、クラウン比率を変化させることによる形状の乱れ
易さは、板厚が薄い程顕著であり、各スタンド間で比率
クラウンが等しいという前記仮定が正しくない場合には
大きな形状の乱れを生じてしまう恐れがある。
【0038】従って、従来は上記形状の乱れの発生を防
止するために、板厚が比較的厚く、それ故に形状不良が
発生し難い中段スタンド又はそれより上流側のスタンド
のメカニカルクラウンCmri を変更する方法が取られて
いたが、この場合には、メカニカルクラウンを変更した
スタンドから最終スタンドまでの過程が長いために、逆
にその間の圧延により新たに板プロフィール制御不良が
発生し易いという問題があった。
【0039】更に、各スタンド間のクラウン比率が最終
スタンド出側のクラウン比率に等しいという前記仮定の
信頼性が低いため、制御ゲイン自体も低く抑制する必要
があり、その結果制御の応答性が低くならざるを得ない
状態にあった。
【0040】本発明は、前記従来の問題点を解決するべ
く成されたもので、ストリップに形状不良を発生させる
ことなく、最終スタンド出側の板プロフィールを高精度
で目標値に的中させることができるホットストリップ仕
上圧延機の設備配列を提供することを課題とする。
【0041】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数の圧延ス
タンドが連設されてなるホットストリップ仕上圧延機の
設備配列において、通過するストリップの板厚が4mm以
下、2mm以上となるスタンド間に板プロフィールメータ
を設置することにより、前記課題を達成したものであ
る。
【0042】本発明は、又、複数の圧延スタンドが連設
されてなるホットストリップ仕上圧延機の設備配列にお
いて、通過するストリップの板厚が4mm以下、2mm以上
となる最も上流側のスタンド間に板プロフィールメータ
を設置することにより、同様に前記課題を達成したもの
である。
【0043】本発明は、更に、複数の圧延スタンドが連
設されてなるホットストリップ仕上圧延機の設備配列に
おいて、通過するストリップの板厚が2mm以上となるス
タンド間に板プロフィールメータを設置することによ
り、同様に前記課題を達成したものである。
【0044】
【作用】前述の如く、ホットストリップ仕上圧延機の後
段においては、板プロフィールを大幅に変更することは
製品に板形状不良を生じさせることから極めて困難であ
る。
【0045】一般に、板形状を乱すことなく圧延するた
めには、板の比率クラウンを常に一定にした状態で圧延
する必要がある。
【0046】本発明者は、圧延現象を種々検討した結
果、ある程度の板厚があれば、比率クラウン一定の状態
から外れることに起因して幅方向に分布する残留応力が
生じても、板形状に乱れを生じさせることなく圧延でき
ることを知見した。
【0047】図1は、上記知見の根拠となった板形状を
乱すことのない板厚と比率クラウン変更限界の関係の一
例を具体的に示した線図であり、この図1より比率クラ
ウン変更限界は板厚が2mm以上となると大きくなり、4
mmを超えると次第に飽和することが分かる。
【0048】ここで、比率クラウン変更限界とは、第i
スタンドの入側の比率クラウン(クラウンを中央部の板
厚で割った値)Rci-1と、同スタンドの出側の比率クラ
ウンRciとの差である比率クラウン変化率ΔRci(=R
ci-1−Rci)に許容される最大値である。
【0049】上記図1は実験結果であるが、上記のよう
に板厚4mmを超えると比率クラウン変更限界が飽和する
理由は、以下のように推定される。板厚の厚い領域では
比率クラウンを変えても内部応力によるバックリングは
生じにくいが、逆に内部応力の存在が比率クラウンを変
化させにくくしていると考えられる。
【0050】例えば、比率クラウンが小さくなる方向で
比率クラウンを変更させた場合、幅方向中央部に圧縮
が、幅方向端部に引張りが作用する。その結果、幅方向
中央部は圧延荷重が増加し、逆にエッジ部では圧延荷重
が減少する。この傾向は板厚が大きいほど強いため、比
率クラウンを変えようとしても結果的に圧延荷重の幅方
向分布が変わってしまい、これが比率クラウンの変化代
を制限することになっていると考えられる。
【0051】又、当然、クラウン制御装置のクラウン変
更可能量の制限もある。これも板厚の厚い側で比率クラ
ウン変更量を制限する要因になっていると考えられる。
【0052】又、図2に示す前記(1)式の遺伝係数β
と板厚の関係の一例から、板厚が大きいとβが小さい
が、以降の圧延による外乱が大きくなるために最終スタ
ンド出側までの圧延で板プロフィールが変化してしま
い、結果として最終製品の板プロフィール制御能力が低
下してしまうことからも、余り板厚が大きい段階の板プ
ロフィールを実測しても、その実測値を有効に制御に活
用できない。
【0053】本発明は、以上の知見に基づいてなされた
もので、比率クラウンをある程度変化させても板形状の
乱れが発生しない、板厚が2mm以上、好ましくは2mm以
上、4mm以下となるスタンド間を選択し、該スタンド間
に板プロフィールメータを設置することにより、板プロ
フィールの制御精度を大幅に向上することを達成したも
のである。
【0054】本発明においては、通板時に上記板プロフ
ィールメータでスタンド間を通過するストリップの板プ
ロフィールを測定すると共に、製品の目標板プロフィー
ルから目標比率クラウンを決定し、この目標比率クラウ
ンに上記スタンド間におけるプロフィール測定結果から
求めた実績比率クラウンが一致するように、上記板プロ
フィールメータ設置位置より上流側の圧延スタンドのプ
ロフィール制御装置(ロールベンダ又はロール交差角調
整装置)を動作させ、フィードバック制御を行う。
【0055】このフィードバック制御を行うことによ
り、板プロフィール測定位置のスタンド間では常にスト
リップを目標板プロフィールに制御することが可能とな
り、その後は比率クラウン一定の条件で圧延することに
より、仕上圧延機出側における製品の板プロフィールを
目標値に精度良く的中させることが可能となる。
【0056】一方、上記スタンド間に設置した板プロフ
ィールメータによる測定結果から求めた実績比率クラウ
ンと該スタンド間における目標比率クラウンとの間に偏
差が生じている場合には、前記図1に示した許容範囲内
で比率クラウンを変更することができるので、板プロフ
ィールメータ設置位置より下流側の圧延スタンドでは上
記許容範囲内で比率クラウンを変更して圧延することに
より、板形状に乱れを生じさせることなく、最終スタン
ド出側の板プロフィールを目標値に的中させることが可
能となる。
【0057】本発明においては、スタンド間を通過する
ストリップの板厚が4mm以下、2mm以上となる最も上流
側のスタンド間に板プロフィールメータを設置する場合
には、測定位置より下流側のスタンドで比率クラウンを
変更する自由度を大きく確保することができるので、測
定した板プロフィールが目標値から大きくずれている場
合でも、最終スタンド出側における板プロフィールを確
実に目標値に的中させることが可能となる。
【0058】又、本発明においては、板プロフィールメ
ータを設置するスタンド間を通過する板厚は、制御効果
は小さくなるが、4mm以上であってもよい。
【0059】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳
細に説明する。
【0060】図3は、本発明に係る一実施例のホットス
トリップ仕上圧延機の設備配列の概要を示す概略構成図
である。
【0061】上記設備配列は、F1〜F7の圧延スタン
ドからなる7スタンド連続圧延機であり、第1スタンド
F1〜第7スタンドF7の各スタンドにはそれぞれ符号
10A〜10Gで示す板プロフィール制御装置が備えら
れている。
【0062】第4スタンドF4と第5スタンドF5との
間(第4スタンド間)を通過するストリップ、即ち第4
スタンドF4で圧延されるストリップの板厚は4mm以
下、2mm以上となるようにパススケジュールが設定され
ていると共に、該第4スタンド間に板プロフィールメー
タ12Aが、又、最終の第7スタンドF7の出側位置に
も板プロフィールメータ12Bが配設されている。
【0063】上記第4スタンド間に配設されている板プ
ロフィールメータ12Aの測定信号は、板プロフィール
制御演算装置14に入力され、その測定信号に基づく演
算結果が制御信号として上流側スタンドF1〜F4それ
ぞれに配設されている板プロフィール制御装置10A〜
10Dと、下流側スタンドF5〜F7それぞれに配設さ
れている板プロフィール制御装置10E〜10Gにそれ
ぞれ入力されるようになっている。
【0064】次に本実施例の作用を説明する。
【0065】本実施例では、前記板プロフィールメータ
12Aが設置されている第4スタンド間より上流側の第
1スタンド〜第4スタンドF1〜F4で圧延されたスト
リップ(被圧延材)Sは、その先端が上記板プロフィー
ルメータ12Aに到達すると、その先端の板プロフィー
ルが測定される。
【0066】第4スタンドF4出側の上記実測板プロフ
ィールは、板プロフィール制御演算装置14に入力さ
れ、該演算装置14で同スタンド出側の実測比率クラウ
ンに変換される。次いで、この実測比率クラウンの値と
予め求めておいた同スタンド出側の比率クラウン目標値
との間で比較演算を行い、これら両者の偏差を減少させ
るために必要な上流側スタンドF1〜F4の板プロフィ
ール制御装置10A〜10Gに対する必要制御量、例え
ばこれら4つのスタンドが全て同じ比較クラウンになる
よう修正量を演算により決定し、その結果をこれら各板
プロフィール制御装置10A〜10Dにそれぞれ出力す
ることにより、第1〜第4スタンドF1〜F4に対する
フィードバック制御を行う。
【0067】上記フィードバック制御により、前記第4
スタンド間でストリップの先端の板プロフィールを測定
した以降は、第4スタンドF4出側の板プロフィール
を、同スタンドF4出側の目標比率クラウンに一致させ
ることが可能となる。従って、これ以降は、比率クラウ
ン一定の条件で下流側スタンドF5〜F7による圧延を
進めることが可能となり、第7スタンドF7により圧延
される製品ストリップを、平坦度の乱れを生じさせるこ
となく目標板プロフィールに的中させることが可能とな
る。
【0068】このように、本実施例においては、第4ス
タンドF4と第5スタンドF5の間に板プロフィールメ
ータ12Aを設置しているので、該第4スタンド出側の
板クラウンCr4を、従来のような仮定値ではなく実績値
として求めることができるため、大幅に板プロフィール
の制御精度を向上させることが可能となる。
【0069】又、上記板プロフィールメータ12Aが設
置されている第4スタンド間を通過するストリップの板
厚が4mm以下、2mm以上になるように設定されているた
め、上流側スタンドF1〜F4では板形状に乱れを生じ
させることなくクラウンを変更する自由度が高い。従っ
て、前記(8)式を用いて前述したと同様の方法により
第4スタンドF4における誤差S4 を直接算出し、該誤
差S4 を減少させ、該スタンドにおける実測比率クラウ
ンRc4を同スタンドにおける目標比率クラウンRc4 Aim
に一致させるように、圧延荷重によるロールの撓みC
mp4 を修正するべくクラウン制御量を変更することによ
り、応答性の高いフィードバック制御を実行することが
可能となる。
【0070】更に、本実施例では、前記第4スタンド間
に設置した板プロフィールメータ12Aで測定したスト
リップ先端部の板プロフィールから求められる実測比率
クラウンと目標比率クラウンとの間で偏差が生じている
場合には、その偏差を除去するべく以下のように下流側
スタンドF5〜F7についても板プロフィールのフィー
ドフォワード制御を行う。
【0071】ストリップ先端部の実測に基づく比率クラ
ウンと目標比率クラウンの偏差に応じて、プロフィール
メータ12Aの下流側に位置する圧延スタンドF5〜F
7にそれぞれ配設されている板プロフィール制御装置1
0E〜10Gに対してもストリップ先端の板プロフィー
ルを修正するべく、前記板プロフィール制御演算装置1
4で算出した必要制御量をそれぞれ出力する。但し、こ
れら下流側圧延スタンド10E〜10Gでは、前述した
如く板プロフィールの制御可能量は小さいため、上記板
プロフィール制御装置10E〜10Gに対する出力につ
いては、平坦度の許容範囲内になるように前記制御演算
装置14で演算による制限を加える必要がある。
【0072】しかし、本実施例では、前記板プロフィー
ルメータ12Aで板プロフィールを測定するストリップ
は、その板厚が4mm、2mm以上であるため、前記図1に
例示した比率クラウン変更限界から上記平坦度の許容範
囲を比較的大きく確保することができるため、板形状
(平坦度)不良を生じさせることなく確実に板プロフィ
ール制御を行うことができる。
【0073】上述した第4スタンド出側の実測比率クラ
ウンRc4に基づいて、上記下流側スタンドF5〜F7に
対して最終比率クラウンを目標値に近付ける制御を行う
方法としては、次の2つの方法を挙げることができる。
【0074】第1の方法は、第4スタンドF4出側の比
率クラウンRc4と同スタンド出側における目標比率クラ
ウンRc4 Aim の偏差に基づく比例積分制御を、単純に後
段スタンドF5〜F7に適用して制御する方法である。
【0075】第2の方法は、上記比率クラウンRc4に基
づいて予め設定してあるパススケジュールに従って最終
スタンドまで圧延を進めた場合の該最終スタンド出側の
板プロフィールを予測し、予測したこの出側板プロフィ
ールを目標値に近付けるために下流側スタンドF5〜F
7を制御する方法である。
【0076】ストリップの板厚が薄くなる後段スタンド
では、前述の通り形状が乱れ易いため、後段の第i スタ
ンドにおける比率クラウンRciの変更可能量は制限を受
ける。従って、下記(9)式により求められる上記比率
クラウンの変更可能量ΔRciで決まる制限の中で、いか
に目標に近付けるかを考慮することが通板性を確保する
上で重要である。
【0077】 ΔRci= f6 (h ,b ,D) …(9)
【0078】前記第1の方法では、上記下流側スタンド
における比率クラウンの変更可能量を考慮することがで
きないが、前記第2の方法では、これを考慮することが
できるので、該第2の方法の方が第1の方法に比べて有
利である。
【0079】又、次材を圧延するために前記(1)式の
モデル式を修正する学習に際しては、第4スタンドにお
ける比率クラウンRc4を直接求めることができるため、
全ての圧延スタンドで比率クラウンが等しいという仮定
を置くことがなくなるので、前記(8)式から求まる第
4スタンドにおける誤差S4 を大幅に削減することが可
能となり、次材に対する圧延条件の設定精度を大幅に向
上させることが可能となる。
【0080】更に、本実施例では、ストリップの先端が
前記第4スタンド間を通過した後も、板プロフィールメ
ータ12Aで計測を継続することにより、該スタンド間
を通過するストリップの板プロフィールがロールの熱膨
脹や摩耗進行等によって変化し、実測板プロフィールと
目標値との間に偏差が生じる場合でも、該偏差を補正す
ることが可能となるため、製品の板プロフィールを常に
目標値に一致させることが可能となる。
【0081】次に、本実施例の効果を明らかにするため
に実際に板プロフィール制御を行った結果について説明
する。
【0082】板厚30mmのシートバーを、次の表1及び
表2に示したパススケジュールに従ってそれぞれ圧延す
る際に、板プロフィールメータを設置するスタンド間を
変更し、板厚が異なる位置でその板プロフィールを測定
すると共に、その実測板プロフィールに基づいて板プロ
フィールメータ設置位置より上流側のスタンドについて
フィードバック制御を行い、板プロフィールメータ設置
位置より下流側のスタンドについては比率クラウン一定
の条件の下でフィードフォワード制御を行う、板プロフ
ィール制御を行った。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】図4は、上記板プロフィール制御を行った
際に得られた最終スタンド出側における実測板プロフィ
ールと目標値との誤差を板プロフィール制御精度(μm
)とし、これと板プロフィールメータを設置したスタ
ンド間における通過板厚(mm)との相関を表わした図で
ある。
【0086】上記図4より明らかなように、上記通過板
厚が2mm以上となると制御精度が向上し、4mmを超える
と制御精度が低下していき、最終的には制御効果が無く
なる。
【0087】このように制御精度が板厚2mm以上で向上
することは、前記図1に示したように、形状限界から決
まる比率クラウン変更限界が急速に高まることにより、
又、板厚4mmを超えると低下することは、前記図2に示
したように遺伝係数βが小さくなると共に、最終製品に
到達するまでの圧延回数が増加することによると理解さ
れる。
【0088】以上詳述した如く、本実施例によれば、通
過するストリップの板厚が4mm以下、2mm以上となるス
タンド間に板プロフィールメータ12Aを設置したの
で、該板プロフィールメータ12Aによる測定結果に基
づいて、該板プロフィールメータ12Aの設置位置より
上流側の圧延スタンドに対してフィードバック制御を行
うことにより、上記スタンド間を通過するストリップを
その位置における目標板プロフィールに一致させること
ができると共に、下流側スタンドにフィードフォワード
制御を行うことにより、上記板プロフィールメータ12
Aによる測定結果と目標値との間に偏差が生じている場
合でも、最終スタンド出側における製品板プロフィール
を目標値に的中させることができる。
【0089】又、上記フィードバック制御によれば、従
来のようにタンデム圧延機の出側又はその近傍に板プロ
フィールメータを設置していた場合に比べ、フィードバ
ック制御をかけるまでに必要とされる材料の長さを大幅
に短縮することができる。因に、第4スタンド出側から
第7スタンド出側までをストリップ長さに換算すると、
例えば約20m になる場合もある。
【0090】又、上記フィードフォワード制御によれ
ば、板プロフィールメータ12Aで測定した実測値に基
づいて板プロフィール制御を行うことが可能となるた
め、従来のような予測制御に比較して大幅に制御精度を
向上させることが可能となる。
【0091】又、本実施例によれば、従来は不明であっ
たスタンド間の板プロフィールが判明することから、制
御モデルの精度を大幅に向上することもできる。
【0092】更に、本実施例によれば、下流側から数え
て3つ目の第4スタンド間に板プロフィールメータを設
置しているので、該板プロフィールメータで測定した結
果、ストリップの幅方向に板厚の偏差が生じている場合
でも、この偏差を下流側のスタンドで解消することがで
きるため、ストリップの蛇行を改善することができる。
【0093】以上、本発明について具体的に説明した
が、本発明は前記実施例に示したものに限られるもので
なく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であ
る。
【0094】例えば、前記実施例では、仕上圧延機が7
スタンドからなるものについて説明したが、これに限定
されない。
【0095】又、前記7スタンドからなる仕上圧延機で
は、板プロフィールメータを、通過板厚が4mm以下、2
mm以上となる第4スタンド間に設置したが、これに限定
されるものでなく、通過するストリップの板厚が2mm以
上となるスタンド間であれば他のスタンド間であっても
よく、又、設置するスタンド間の数も2以上であっても
よい。
【0096】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、ス
トリップに形状不良を発生させることなく、最終スタン
ド出側の板プロフィールを高精度で目標値に的中させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スタンド間を通過する板の厚さと比率クラウン
変更限界の関係を示す線図
【図2】板の厚さと遺伝係数βとの関係を示す線図
【図3】本発明に係る一実施例のホットストリップ仕上
圧延機の設備配列を示す概略構成図
【図4】スタンド間板プロフィールメータ設置位置の板
厚と制御精度の関係を示す線図
【符号の説明】
10A〜10G…板プロフィール制御装置 12A、12B…板プロフィールメータ 14…板プロフィール制御演算装置 F1〜F7…第1〜第7スタンド S…ストリップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金田 欣亮 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 湯沢 秀行 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 後藤 義人 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の圧延スタンドが連設されてなるホッ
    トストリップ仕上圧延機の設備配列において、 通過するストリップの板厚が4mm以下、2mm以上となる
    スタンド間に板プロフィールメータを設置することを特
    徴とするホットストリップ仕上圧延機の設備配列。
  2. 【請求項2】複数の圧延スタンドが連設されてなるホッ
    トストリップ仕上圧延機の設備配列において、 通過するストリップの板厚が4mm以下、2mm以上となる
    最も上流側のスタンド間に板プロフィールメータを設置
    することを特徴とするホットストリップ仕上圧延機の設
    備配列。
  3. 【請求項3】複数の圧延スタンドが連設されてなるホッ
    トストリップ仕上圧延機の設備配列において、 通過するストリップの板厚が2mm以上となるスタンド間
    に板プロフィールメータを設置することを特徴とするホ
    ットストリップ仕上圧延機の設備配列。
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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5516723A (en) * 1978-07-19 1980-02-05 Innocenti Santeustacchio Spa Device of adjusting pressure on working roll in rolling mill
JPS5921682A (ja) * 1982-07-07 1984-02-03 ジ−クフリ−ト・アクチエンゲゼルシヤフト 4↓−ヒドロキシ↓−2↓−メチル↓−n↓−2↓−ピリジル↓−2h↓−1,2↓−ベンゾチアジン↓−3↓−カルボオキサミド↓−1,1↓−ジオキシドの製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS5516723A (en) * 1978-07-19 1980-02-05 Innocenti Santeustacchio Spa Device of adjusting pressure on working roll in rolling mill
JPS5921682A (ja) * 1982-07-07 1984-02-03 ジ−クフリ−ト・アクチエンゲゼルシヤフト 4↓−ヒドロキシ↓−2↓−メチル↓−n↓−2↓−ピリジル↓−2h↓−1,2↓−ベンゾチアジン↓−3↓−カルボオキサミド↓−1,1↓−ジオキシドの製造方法

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