JPH0690074B2 - 騒音の能動制御に用いられる伝達関数の測定方法 - Google Patents

騒音の能動制御に用いられる伝達関数の測定方法

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JPH0690074B2
JPH0690074B2 JP1046121A JP4612189A JPH0690074B2 JP H0690074 B2 JPH0690074 B2 JP H0690074B2 JP 1046121 A JP1046121 A JP 1046121A JP 4612189 A JP4612189 A JP 4612189A JP H0690074 B2 JPH0690074 B2 JP H0690074B2
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康幸 関口
啓二 中西
進 猿田
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、コンプレッサを収納した機械室内からの騒音
を能動的に打消すという騒音の能動制御に用いられる伝
達関数の測定方法に関する。
(従来の技術) コンプレッサを利用した冷却装置、例えば冷蔵庫にあっ
ては、一般家庭の居室空間内に設置されることが多く、
しかも季節を問わず連続的に運転されるものであるた
め、その騒音低減が一つの課題となっている。この場
合、冷蔵庫の騒音源として最も問題となるのは、コンプ
レッサ及びこれに接続された配管系が収納された機械室
からの騒音である。即ち、上記機械室内では、コンプレ
ッサ自体が比較的大きな騒音(コンプレッサモータの運
転音,被圧縮ガスによる流体音,圧縮機構部分の可動機
械要素における機械音など)を発生すると共に、コンプ
レッサに接続された配管系もその振動によって騒音を発
生するものであり、斯様な機械室騒音が冷蔵庫騒音の大
部分を占める。従って、機械室からの騒音を抑制するこ
とが、冷蔵庫全体の騒音低域に大きく寄与することにな
る。
そこで、従来においては、機械室からの騒音低減対策と
して、コンプレッサそのものの低騒音化(例えばロータ
リ形コンプレッサの採用)の他に、コンプレッサの防振
支持構造の改良、並びに配管系の形状改善などを行うこ
とによって振動伝搬路での振動減衰を図ったり、或は、
コンプレッサ及び配管系の周囲に吸音部材及び遮音部材
を配置することにより、機械室内での吸音量の増加及び
騒音の透過損失の増大を図ることが行われている。
ところが、一般的に冷蔵庫の機械室には、コンプレッサ
の駆動に伴う発熱を外部に逃がす必要上から放熱用の開
口部が複数箇所に設けられており、これらの開口部から
外部に騒音が漏れ出ることになる。このため、前述した
ような従来の騒音低減対策には自ずと限度があり、騒音
レベルの低減効果は精々2dB(A)程度しか期待できな
いという事情下にある。
これに対して、近年においては、エレクトロニクス応用
技術、中でも音響データの処理回路及び音響制御技術な
どの発展に伴い、音波の干渉を利用して騒音低減を行う
という騒音の能動制御技術の応用が注目されている。即
ち、この能動制御は、基本的には、騒音源からの音を特
定位置に設けた制御用受音器(例えばマイクロホン)に
て電気信号に変換すると共に、この電気信号を演算器に
より加工した信号に基づいて制御用発音器(例えばスピ
ーカ)を動作させることにより、その発音器から原音
(騒音源からの音)とは逆位相で且つ同一波長及び同一
振幅の人工音を発生させ、この人工音と原音とを干渉さ
せることによって原音を減衰させようというものであ
り、以下において斯かる能動制御による消音原理につい
て第8図を参照しながら概略的に説明する。
即ち、第8図において、騒音源であるコンプレッサSが
発生する音をXs、制御用発音器たるスピーカAが発生す
る音をXa、制御用受音器たるマイクロホンMで受ける音
をXm、制御対象点Oでの音をXoとし、さらに上記のよう
な音の出力及び入力点の各間の第1乃至第4の音響伝達
関数をGAM,GAO,GSM,GSOとしたとき、2入力2出力系と
して次式が成立する。尚、上記各音響伝達関数GAM,GAO,
GSO,GSOの意味は、前段の添字が入力側、後段の添字が
出力側(応答側)に対応するもので、例えばGAMは、ス
ピーカAへの入力信号を入力側とし、且つマイクロホン
Mからの出力信号を出力側として測定した場合の音響伝
達関数を示すことになる。
従って、スピーカAが発生すべき音Xaは、上式から、 Xa=(−GSO・Xm+GSM・Xo)/(GSM・GAO−GSO・GAM) として得られるが、この場合には制御対象点Oでの音響
レベルを零にすることを目標としているので、Xo=0と
おくことができる。この結果、 Xa=Xm・GSO/(GSO・GAM−GSM・GAO) となる。この式から理解できるように、制御対象点Oで
の音Xoを零にするためには、マイクロホンMで受けた音
Xmに、 G=GSO/(GSO・GAM−GSM・GAO) ……(1) で示される伝達関数Gに応じたフィルタをかけて加工し
た音XaをスピーカAから発生させれば、制御対象点Oで
の音響レベルを理論上において零にするという能動制御
を行うことができるものであり、このような加工を行う
ために演算器Hが設けられている。
しかして、上記伝達関数Gを決定するためには、前記第
1乃至第4の音響伝達関数GAM,GAO,GSM,GSOを測定する
必要があり、この測定のためには高速フーリエ変換(FF
T)を利用した伝達関数測定器が利用される。また、こ
の場合、第1,第2の音響伝達関数GAM,GAOの測定は、ス
ピーカAを能動制御の対象となる周波数帯域幅のホワイ
トノイズ信号により駆動した状態で行い、第3,第4の音
響伝達関数GSM,GSOの測定は、コンプレッサSを実際に
駆動した状態で行う。尚、このような測定のために、前
記制御対象点Oには測定用受音器たる補助マイクロホン
M′が設けられる。そして、この場合において、前記
(1)式は、 G=1/(GAM−(GSM/GSO)GAO) =1/(GAM−GOM・GAO) ……(2) と変形することができるから、第3,第4の音響伝達関数
GSM,GSOに関しては、等価的な音響伝達関数GOM、つまり
制御対象点Oに設けられた補助マイクロホンM′からの
出力信号を入力側とし、且つマイクロホンMからの出力
信号を出力側とした等価音響伝達関数GOMを測定すれ
ば、それらの音響伝達関数GSM,GSOを測定したと同等に
なる。そして、このように測定した音響伝達関数GAM,G
OM,GAOに基づいて前記演算器Hの伝達関数Gを決定して
いる。
(発明が解決しようとする課題) コンプレッサSの駆動により発生する騒音スペクトル分
布は第9図に示す通りで、その騒音スペクトルは、コン
プレッサSの回転数の整数倍並びに電源周波数の整数倍
にしか存在しない。このため、前記従来の測定方法で
は、音響伝達関数GOMについては、上記スペクトルが存
在する周波数に対応した部分しか正しい測定データを得
ることができないという事情下にある。従って、このよ
うに得た音響伝達関数GOMなどに基づいて決定された伝
達関数Gにより前記能動制御を行う際に、コンプレッサ
Sの運転中にその回転数が変動するような場合(回転数
が上記音響伝達関数GOMの測定時と実際に運転されると
きとで異なる場合)には、その能動制御が無意味なもの
となり、消音効果が全く得られないことになる。
また、上記のような音響伝達関数の測定時において、コ
ンプレッサSからの騒音スペクトルが存在しない周波数
では、入力側の信号(補助マイクロホンM′からの出力
信号)も出力側の信号(マイクロホンMからの出力信
号)もノイズ信号となる。このため、伝達関数測定器に
おいて、零に近い数値データを分母とした演算が行われ
て、場合によっては音響伝達関数の測定結果が異常に高
くなることがある。このように得られる測定データは、
実際には伝達関数Gの決定に関与しない無意味なもので
あるが、伝達関数測定器のダイナミックレンジは一定で
あるため、上記無意味な測定データの影響で他の比較的
小レベルの有効な音響伝達関数測定データの精度が不用
意に低下することになり、これにより能動制御時の消音
効果が不十分になる虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目
的は、コンプレッサからの騒音を能動制御により消音す
る場合に必要な伝達関数の測定精度を、コンプレッサの
回転数変動を許容した幅広い周波数帯域に渡って向上さ
せることができ、これにより、コンプレッサの回転数が
変動する場合でも常に最適な消音効果を得ることができ
るなどの効果を奏する騒音の能動制御に用いられる伝達
関数の測定方法を提供するにある。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明は、上記目的を達成するために、機械室内に設け
られたコンプレッサからの音を電気信号に変換する制御
用受音器、上記電気信号を所定の伝達関数を以て加工す
る演算器、及び上記加工信号に基づいて動作される制御
用発音器の組合わせによって騒音の能動制御を行う場合
に必要となる前記演算器の伝達関数を測定する方法にお
いて、前記能動制御による制御対象点での音をモニタす
る測定受音器を設けた上で、制御用発音器と制御用受音
器との間の第1の音響伝達関数並びに制御用発音器と測
定用受音器との間の第2の音響伝達関数を、夫々制御用
発音器に対し所定周波数帯域幅のホワイトノイズ信号を
入力した状態で測定し、コンプレッサと制御用受音器と
の間の第3の音響伝達関数並びにコンプレッサと測定用
受音器との間の第4の音響伝達関数を、コンプレッサを
所定の電源周波数で駆動した状態で測定すると共に、こ
の測定データのうちコヒーレンス関数が設定値以上ある
周波数に対応した複数の測定データを有効化してそれら
の有効測定データを補間し、このように補間した第3及
び第4の音響伝達関数並びに前記第1及び第2の音響伝
達関数に基づいて前記演算器の伝達関数を決定するよう
にしたものである。
(作用) 前記(従来例)の項で示した(1)式から明らかなよう
に、演算器の伝達関数は、第1乃至第4の音響伝達関数
に基づいて決定することができる。この場合、第1及び
第2の音響伝達関数は、夫々制御用発音器に対し所定周
波数帯域幅のホワイトノイズ信号を入力した状態で測定
しているから、その測定精度が幅広い周波数帯域に渡っ
て良好となる。これに対して、第3及び第4の音響伝達
関数は、コンプレッサを所定の電源周波数で駆動した状
態で測定しているから、その駆動に伴う騒音スペクトル
が存在する周波数帯域(コンプレッサ回転数の整数倍並
びに電源周波数の整数倍に対応した周波数帯域)以外の
データは不正確なものとなる。しかし、この場合におい
ては、上記のように測定した音響伝達関数のうちコヒー
レンス関数が設定値以上ある周波数に対応した複数の測
定データを有効化してそれらの有効測定データを補間す
ると共に、このように補間した第3及び第4の音響伝達
関数並びに前記第1及び第2の音響伝達関数に基づいて
演算器の伝達関数を決定するようにしているから、その
伝達関数は、以下に述べる理由によって、コンプレッサ
の回転数変動を許容した幅広い周波数帯域に渡って精度
が向上したものとなる。
即ち、コヒーレンス関数γ(f)は、次式で表わされ
るもので、入出力間の因果関係を示し、測定された伝達
関数の評価関数として用いられる。
γ(f)={Gxy(f)/Gxx(f)}/ {Gyy(f)/Gxy(f)} =|Gxy(f)|2/{Gxx(f)・Gyy(f)} 但し、Gxx(f):入力のパワースペクトラム Gyy(f):出力のパワースペクトラム Gxy(f):クロススペクトラム Gxy(f):クロススペクトラム (Gxy(f)の複素共役) この場合、測定対象の伝達系が線形であり、ノイズなど
の混入がない場合は、出力は入力のみによって生ずるこ
とになるから、コヒーレンス関数γ(f)は常に
「1」となる。これに対して伝達系にノイズが混入して
いた場合などにはコヒーレンス関数γ(f)は「0」
〜「1」間の値をとる。つまり、コヒーレンス関数γ
(f)は測定した伝達関数にノイズ成分が少ない場合程
高くなる。
従って、前述のように第3,第4の音響伝達関数の測定デ
ータのうちコヒーレンス関数が設定値以上ある周波数に
対応したものは、ノイズ成分の少ない周波数帯域つまり
コンプレッサからの騒音スペクトルが存在する周波数帯
域での音響伝達関数と一致する。このため、これらの測
定データを補間して得られる第3,第4の音響伝達関数
は、コンプレッサからの騒音スペクトルが分布しない周
波数帯域においても比較的正確なものとなり、このよう
にして得た第3及び第4の音響伝達関数並びに前述のよ
うに幅広い周波数帯域に渡って良好な測定精度となる第
1及び第2の音響伝達関数に基づいて決定される演算器
の伝達関数は、正確な測定値として取扱うことができ
る。
(実施例) 以下、本発明の一実施例について第1図乃至第7図を参
照しながら説明するに、ここでは騒音の能動制御対象と
して冷蔵庫を例にした場合について述べる。
まず、冷蔵庫の全体構成を示す第3図において、1は冷
蔵庫本体であり、これの内部には上方より順に冷凍室2,
冷蔵庫3及び野菜室4が設けられている。5は冷凍室2
の背部に配設された冷却器、6は冷却器5により生成さ
れる冷気を直接には冷凍室2及び冷蔵室3に供給するフ
ァンである。7は冷蔵庫本体1の背面側下部に形成され
た機械室で、これの内部には、ロータリ形のコンプレッ
サ8,コンデンサパイプ9及び所謂セラミックフィンを利
用した除霜水蒸発装置10が収納されている。
さて、第4図(ここではコンデンサパイプ9及び除霜水
蒸発装置10の図示を省略している)に示すように、機械
室7は、その背面のみが矩形状に開口された形状となっ
ており、この開口部分は機械室カバー11により閉鎖され
るようになっている。このとき、機械室カバー11は、そ
の周縁部が機械室7の開口縁部に対し気密に装着される
ものであり、図中の左縁部には上下方向に延びる細長矩
形状の放熱用開口部11aが形成されている。つまり、機
械室カバー11の装着状態では、機械室7は放熱用開口部
11aを残して閉じられた状態を呈する。尚、機械室カバ
ー11は、熱伝導性に優れ且つ音の透過損失が大きい材質
(例えば鉄のような金属)にて形成されている。
また、同第4図において、12は機械室7内に配置された
制御用受音器たる例えばマイクロホンで、これは、コン
プレッサ8に対し前記放熱用開口部11aとは本体側(図
中右方側)から対向するように配置され、以て騒音源で
あるコンプレッサ8からの音を電気信号に変換するよう
に設けられている。13は機械室7内に配置された制御用
発音器たるスピーカで、これは、例えば機械室7の奥壁
部(冷蔵庫本体1の底壁部に相当)における放熱用開口
部11a寄りの部位に埋設状に取付支持されている。
しかして、第6図に示すように、スピーカ13は、マイク
ロホン12からの電気信号を演算器14にて加工した信号に
より動作されるようになっており、上記のような電気信
号の加工は、(従来例)の項で述べたような能動制御に
よる消音原理に基づいて行われるようになっている。
ここで、上記のように構成された冷蔵庫の場合、コンプ
レッサ8の駆動に応じて機械室7内で発生する騒音のレ
ベルは、第9図に示すように700Hz程度以下の帯域並び
に1.5〜5KHzの帯域で夫々大きくなる性質を有した状態
となる。これら各帯域に対応した騒音のうち、高周波数
側の騒音は、機械室カバー11などでの透過損失により減
衰させることができ、また機械室7内に適宜の吸音部材
を設置することによって容易に消音できるものであるか
ら、前述のようなマイクロホン12,スピーカ13及び演算
器14による騒音の能動制御は、700Hz以下をターゲット
周波数として行えば良い。
また、上述のような騒音の能動制御を行う場合には、機
械室7内での騒音が一次元の平面進行波となるように構
成することが、その制御を理論上においても技術上にお
いても容易且つ精度良く行うために重要になってくる。
そこで、本実施例においては、第5図に示す機械室7内
の三次元方向である奥行き,幅及び高さ方向の各寸法D,
W及びHのうち、例えば幅方向の寸法Wを他の寸法D,Hよ
り大きく設定(具体的には、W=600mm、D=H=200mm
に設定)することによって、機械室7内での音の定在波
が一次モードでのみ成立つように構成している。つま
り、例えば機械室7を矩形の空洞と想定した場合には、
次式が成立する。
但し、fは共鳴周波数(Hz)、Nx,Ny,NzはX,Y,Z各方向
の番目モード、Lx、Ly,Lzは機械室7内のX,Y,Z各方向の
寸法(つまりD,W,H)、Cは音速である。従って、上式
から、X,Y,Z各方向に対する1番目の定在波の周波数fx,
fy,fzを求める得る。
即ち、前述したように、奥行き寸法D=200mm、幅寸法
W=600mm、高さ寸法H=200mmに設定されていた場合に
は、X方向には対する1番目の定在波の周波数fxは、Ny
=Nz=0、音速C=340m/秒として、 となり、同様に、Y,Z方向に対する1番目の定在波の周
波数fy,fzは、 となる。この結果、前記ターゲット周波数(=700Hz)
以下では、機械室7内の騒音の定在波は、Y方向(幅方
向)のモードについてのみ成立つものであり、機械室7
内での騒音を一次元の平面進行波と見なすことができ
る。このため、前記スピーカ13などを利用した騒音の能
動制御による消音時において、その波面の理論上の取扱
いが容易となり、消音制御を容易且つ精度良く行い得る
ようになる。
さて、以下においては、上記のような能動制御に必要な
演算器14の伝達関数Gの測定方法について第1図及び第
2図を参照しながら説明する。即ち、第1図において、
被測定対象となる冷蔵庫の機械室7には、コンプレッサ
8,マイクロホン12及びスピーカ13の他に、能動制御時の
制御対象点である放熱用開口部11aでの音をモニタする
ために測定用受音器たる補助マイクロホン15が設けられ
る。また、コンプレッサ8の電源を可変周波数電源であ
るインバータ装置16から得るように接続し、以てそのコ
ンプレッサ8の回転数をインバータ装置16により連続的
に調節できるようにしている。さらに、17は雑音信号発
生回路で、これは測定しようとする周波数帯域幅の全域
で同程度のパワー持つホワイトノイズ信号を発生するよ
うに設けられている。そして、18は例えばCPUによる高
速フーリエ変換(FFT)を利用した伝達関数測定器で、
これは、入力信号用端子Ta及び出力信号用端子Tbを有
し、これらに入力される信号に基づいて入力信号及び出
力信号間(端子Ta,Tb間)の伝達関数を測定するように
なっている。
ここで、演算器14の伝達関数Gを決定するために必要と
なるデータは、(従来例)の項で示した(1)式から明
らかなように、スピーカ13とマイクロホン12との間の第
1の音響伝達関数GAM、スピーカ13と補助マイクロホン1
5との間の第2の音響伝達関数GAO、コンプレッサ8とマ
イクロホン12との間の第3の音響伝達関数GSM、コンプ
レッサ8と補助マイクロホン15との間の第4の音響伝達
関数GSOである。このとき、(従来例)の項で示した
(2)式から明らかなように、第3及び第4の音響伝達
関数GSM及びGSOに関しては、等価的な音響伝達関数
GOM、即ち補助マイクロホン15からの出力信号を入力側
とし、且つマイクロホン12からの出力信号を出力側(応
答側)とした等価音響伝達関数GOMを測定すれば、それ
らの音響伝達関数GSM,GSOを測定したと同等になる。従
って、伝達関数測定器18により第1,第2の音響伝達関数
GAM,GAO及び等価音響伝達関数GOMを測定すれば済む。
しかして、第1の音響伝達関数GAMを測定する場合に
は、雑音信号発生回路17からのホワイトノイズ信号がス
ピーカ13及び伝達関数測定器18の入力信号用端子Taに入
力されると共に、マイクロホン12からの出力信号が伝達
関数測定器18の出力信号用端子Tbに入力されるように接
続し、このような接続状態で雑音信号発生回路17を駆動
したときの伝達関数測定器18による測定データを第1の
音響伝達関数GAMとして得る。また、第2の音響伝達関
数GAOを測定する場合には、雑音信号発生回路17とスピ
ーカ13及び伝達関数測定器18の入力信号用端子Taとの間
の接続状態はそのままにして、伝達関数測定器18の出力
信号用端子Tbに対して補助マイクロホン15からの出力信
号が入力されるように接続し、このような接続状態で雑
音信号発生回路17を駆動したときの伝達関数測定器18に
よる測定データを第2の音響伝達関数GAOとして得る。
尚、これらの第1,第2の音響伝達関数GAM,GAOの測定時
には、コンプレッサ8を停止しておくことは勿論であ
る。
一方、等価音響伝達関数GOMを測定する場合には、補助
マイクロホン15からの出力信号が伝達関数測定器18の入
力信号用端子Taに入力されると共に、マイクロホン12か
らの出力信号が伝達関数測定器18の出力信号用端子Tbに
入力されるように接続し、この状態で第2図のフローチ
ャートに示すような手順で測定を行う。
即ち、インバータ装置16の出力周波数fを下限周波数f0
(例えばコンプレッサ8の定格電源周波数より所定量だ
け低い周波数)に設定して、コンプレッサ8を回転数N0
で駆動し(ステップa)、この状態での伝達関数測定器
18による測定データを更新記憶すると共に、その記憶測
定データのコヒーレンス関数γを取り出し(ステップ
b)、そのコヒーレンス関数γが設定値以上か否かを
判断する(ステップc)。尚、上記設定値は実験的な評
価を経て決定されるものである。
ステップcで「YES」と判断したときには、前記ステッ
プbで記憶した測定データを有効化して、これを回転数
N0での等価音響伝達関数GOMとして取り込む(ステップ
d)と共に、インバータ装置16の出力周波数fがΔf
(このΔfは伝達関数測定器18の周波数分解能以下に設
定される)だけ増えるようにスイープしてコンプレッサ
8を回転数N1で駆動する(ステップe)。また、ステッ
プcで「NO」と判断したときには、ステップbで記憶し
た測定データを無効化し(ステップf)、この後に前記
ステップdをジャンプしてステップeへ移行する。
そして、この後には、上記のようなコヒーレンス関数γ
の高低に応じた等価音響伝達関数GOMの有効化、並び
に出力周波数fのスイープなど(ステップb〜e)を、
インバータ装置16の出力周波数fが上限周波数fn(例え
ばコンプレッサ8の定格電源周波数より所定量だけ高い
周波数)になるまでの間繰返し実行する(ステップ
g)。次いで、上記ステップdで取り込んだ複数の測定
データの音響伝達関数GOM(つまりちコヒーレント関数
γが設定値以上ある周波数に対応した音響伝達関数)
の直線補間を実行し(ステップh)、以て等価音響伝達
関数GOMの測定を終了する。
尚、第7図には、(a)に等価音響伝達関数GOMの概略
測定データ例を示すと共に、(b)及び(c)に上記測
定データのコヒーレンス関数γ及びこのコヒーレンス
関数γに基づいて直線補間された最終的な等価音響伝
達関数GOMのデータを示した。
以上要するに、第1,第2の音響伝達関数GAM,GAOは、夫
々スピーカ13に所定周波数帯域幅のホワイトノイズ信号
を入力した状態で測定しているから、その測定精度が幅
広い周波数領域に渡って良好となる。これに対して、等
価音響伝達関数GOM(ひいては第3及び第4の音響伝達
関数GSM,GSO)は、コンプレッサ8を所定の電源周波数
fで駆動した状態で測定しているから、その駆動に伴う
騒音スペクトルが存在する周波数帯域(コンプレッサ回
転数の整数倍並びに電源周波数の整数倍に対応した周波
数帯域)以外のデータは不正確なものとなる。
しかし、この場合においては、上記のように測定した等
価音響伝達関数GOMのうちコヒーレンス関数γが設定
値以上ある周波数に対応した複数ポイントの測定データ
を有効化してそれらの有効測定データを直線補間してい
るから、その直線補間後の等価音響伝達関数GMOのデー
タは、コンプレッサ8からの騒音スペクトルが存在しな
い周波数帯域においても十分に正確なものとなる。つま
り、コヒーレンス関数γは、測定された音響伝達関数
GOMの評価関数であり、その伝達関数GOMにノイズ成分が
少ない場合程高くなる。従って、前述のような直線補間
に用いられる等価音響伝達関数GOMの測定データ(コヒ
ーレンス関数γが設定値以上ある周波数に対応したも
の)は、ノイズ成分の少ない周波数帯域つまりコンプレ
ッサ8からの騒音スペクトルが存在するポイントと一致
する。このため、これらの測定データを直線補間して得
られる等価音響伝達関数GOMは、コンプレッサ8からの
騒音スペクトルが分布しない周波数帯域においても比較
的正確なものとなり、このようにして得た等価音響伝達
関数GOM並びに前述のように幅広い周波数帯域に渡って
良好な測定精度となる第1及び第2の音響伝達関数GAM,
GAOに基づいて決定される演算器の伝達関数Gは、コン
プレッサ8の回転数変動を許容した幅広い周波数帯域に
渡って精度が向上した正確な測定値として取扱うことが
できる。この結果、上記伝達関数Gに基づいた騒音の能
動制御を行う場合において、実際にコンプレッサ8が運
転されたときの回転数が、上記伝達関数Gの測定時と異
なる場合であっても、能動制御による消音効果が従来の
ように不十分になる虞がなくなるものである。
尚、本発明は上記し且つ図面に示した実施例に限定され
るものではなく、例えば消音対象は冷蔵庫に限られるも
のではなく、エアコンの室外機或は冷蔵ショーケースな
どを適用しても良く、その要旨を逸脱しない範囲で種々
変形して実施することができる。
[発明の効果] 本発明によれば以上説明したように、機械室内に収納さ
れたコンプレッサの駆動に伴い発生する音を、演算器に
より加工した信号により動作される制御用発音器からの
人工音との干渉により能動的に打消すという能動制御を
行う場合に必要となる上記演算器の伝達関数の測定精度
を、コンプレッサの回転数変動を許容した幅広い周波数
帯域に渡って向上させることができ、これにより、コン
プレッサの回転数が変動する場合でも常に最適な消音効
果を得ることができるなどの優れた効果を奏するもので
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第7図は本発明の一実施例を示すもので、第
1図は伝達関数の測定方法を概略的に示す配置図、第2
図は上記測定方法の内容を示すフローチャート、第3図
は冷蔵庫の縦断面図、第4図は冷蔵庫の要部を分解状態
で示す斜視図、第5図は冷蔵庫の要部の寸法関係を説明
するための概略斜視図、第6図は冷蔵庫において騒音の
能動制御を行うための構成を概略的に示す図、第7図は
音響伝達関数の測定例などを示す波形図である。また、
第8図は能動制御による消音原理を示す概略構成図、第
9図は冷蔵庫における騒音レベル特性の一例を示す図で
ある。 図中、1は冷蔵庫本体、7は機械室、8はコンプレッ
サ、10は除霜水蒸発装置、11は機械室カバー、11aは放
熱用開口部、12はマイクロホン(制御用受音器)、13は
スピーカ(制御用発音器)、14は演算器、15は補助マイ
クロホン(測定用受音器)、16はインバータ装置、17は
雑音信号発生回路、18は伝達関数測定器を示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】機械室内に設けられたコンプレッサの駆動
    に伴い発生する音を制御用受音器にて電気信号に変換す
    ると共に、この電気信号を演算器により加工した信号に
    基づいて制御用発音器を動作させることにより、前記機
    械室から外部に放射される音を能動的に打消すという能
    動制御に用いられる前記演算器の伝達関数を測定する方
    法において、前記能動制御による制御対象点での音をモ
    ニタする測定用受音器を設け、制御用発音器と制御用受
    音器との間の第1の音響伝達関数並びに制御用発音器と
    測定用受音器との間の第2の音響伝達関数を、夫々制御
    用発音器に対し所定周波数帯域幅のホワイトノイズ信号
    を入力した状態で測定し、コンプレッサと制御用受音器
    との間の第3の音響伝達関数並びにコンプレッサと測定
    用受音器との間の第4の音響伝達関数を、コンプレッサ
    を所定の電源周波数で駆動した状態で測定すると共に、
    この測定データのうちコヒーレンス関数が設定値以上あ
    る周波数に対応した複数の測定データを有効化してそれ
    らの有効測定データを補間し、このように補間した第3
    及び第4の音響伝達関数並びに前記第1及び第2の音響
    伝達関数に基づいて前記演算器の伝達関数を決定するよ
    うに構成したことを特徴とする騒音の能動制御に用いら
    れる伝達関数の測定方法。
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