JPH06893Y2 - 農業機械用継手構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は農業機械用継手構造に係り、特に主動軸に接続
される従動軸を、主動軸に対して旋回自在に連結させる
ための継手構造に関する。

［従来の技術］ 従来、農業機械において主動軸に接続される従動軸を、
主動軸に対して旋回自在に連結させるための継手は、自
在軸継手により構成されていた。このような継手構造を
有する農業機械の例としては、牧草反転集草機がある。

第４図に示すように、この種の牧草反転集草機は、牧草
を反転・拡散させるために、回転自在に複数箇所に設け
られたタイン部ａと、タイン部ａを回転させるためにタ
イン部ａの回転軸と直交するように設けられている従動
軸ｂと、従動軸ｂに接続し且つこれを回転させるための
主動軸ｃと、従動軸ｂおよび主動軸ｃを被包して中空に
形成されていると共に、本体駆動源ｄに支持されている
ビームｅと、ビームｅを継手部ｆにおいて折りたたむた
めの油圧シリンダｇとから構成されている。牧草の反転
・拡散作業はビームｅを水平に保持して主動軸ｃおよび
従動軸ｂを回転させて、これらに接続されたタイン部ａ
を回転・駆動させることにより行なうが、機械を方向転
換させたり、路上走行させる時には、ビームｅを折りた
たんで機械巾をせばめてから走行させる。このため、継
手部ｆは、折りたたみ可能であると共に、誤操作によっ
て従動軸ｂが回転されたまま折りたたまれても支障ない
ような構造であることが必要となっている。

第５図に示すように、上記継手部ｆが自在軸継手ｈによ
り形成されているものは公知である（特開昭56-32918号
公報）。この自在軸継手ｈは、折りたたみの際の支軸、
即ち旋回軸ｉ位置に中間部材ｊを設け、この中間部材ｊ
の両側に備えられた十字部材ｋが従動軸ｂおよび主動軸
ｃの後部に設けられたフォーク部材ｌに、ビームｅの折
りたたみ方向へ旋回自在に軸支されていると共に、中間
部材ｊ自身の回転によって、主動側からの回転を伝達す
るように構成されている。またフォーク部材ｌのうち、
主動軸ｃの先端部に設けられているものは、主動軸ｃと
ピン結合ｍされているのに対し、従動軸ｂ側のフォーク
部材ｌは、十字部材ｋの軸支位置ｎと、旋回軸ｉ位置と
のズレから生じる旋回時の軸方向変位に対応するための
スプライン結合ｏとなっている。

従ってビームｅが、主動軸ｃの回転中に旋回軸ｉにおい
て折りたたまれ、従動軸ｂが所定の角変位内で旋回駆動
されても、回転は主動軸ｃから従動軸ｂへ伝達されるこ
とになる。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、上記自在軸継手ｈは旋回屈折角度が小で
ある場合は円滑に回転を伝達させるが、屈折角度が大と
なる場合、例えば牧草反転集草機において、ビームｅが
垂直を越えて折りたたまれた場合には、主動軸ｃと従動
軸ｂ間に不等速回転が発生し、これにより回転伝達系等
に振動や無理な力を生ぜしめ、破損の原因となる問題が
あった。

また、従動軸ｃはスプライン結合ｎによってフォーク部
材ｌと結合しているので、旋回毎に摺動して部材結合箇
所に摩耗が生じ、スプライン結合ｏ部の破損につながる
恐れがあった。

さらにこの種の牧草反転集草機のビームｅは折りたたま
れる頻度が高く、主動軸ｃを回転したまま旋回屈折され
ることも少なくない。このため自在軸継手ｈよりも確実
に回転を伝達し、しかも堅牢な継手部ｆから成る継手構
造が望まれていた。

一方、トラクターにおける尾輪昇降装置として、傘歯車
を利用したものが提案されている（特公昭４７−４７８
８２号公報）。この提案は、横軸に設けた傘歯車に尾輪
側の傘歯車と操作側の傘歯車とを噛合させて、尾輪側の
調節螺杆を回転させると共に、尾輪側が横軸を中心にし
て上下方向に回転（旋回）できるようにしている。しか
しながらこの構成では、横軸の傘歯車が尾輪側昇降の旋
回軸を兼ねているので、回転駆動力を伝達させながら屈
折旋回を頻繁に行う継手に適用した場合は、横軸の傘歯
車への荷重負担が大きくなり、耐久性に大きな問題が生
じる。

また傘歯車を旋回及び回転駆動力伝達に利用したものと
しては、特開昭５６−６１９０６号公報がある。この提
案には、対向する駆動側出力軸のベベルギアと作動側入
力軸のベベルギアとを一対の中間ギアで連結し、旋回方
向に摺動自在の歯車で囲繞したものが開示されており、
この構成を採用すれば、屈折旋回状態での確実な回転伝
達、及び構造の耐久性といった前記課題が解決される見
込みがある。

ただし内接型ギアを四個使用するのでは、軸受などの付
属部品と相俟って、大規模でコスト高の構造となってし
まう。この提案の発明者は、中間歯車のうちの一つは省
略できるとしているが、提案構造において単独の中間ギ
アとすると、駆動力伝達には支障ないものの、堅牢な構
造とするためには、中間ギアの回転軸部をある程度外方
へ延出させて、旋回摺動及び歯車軸受けのための長さを
確保する必要があり、旋回軸方向で大きなスペースを占
めることとなってしまう。また円滑な旋回ができるよう
にするために、中間ギア及びこれと対向する枢支点の、
両側の軸心を正確に合わせる必要があるので、製造の際
の組み立てに高い精度が要求され、製造時間が長くかか
ってしまうおそれがある。

さらに実開昭５９−９２６０６号公報には、ベベルギア
を組み合わせた自在継手機構が示されているが、回転伝
達を中継するベベルギアの支軸は、単にハウジング（球
状受口）内に設けられているだけなので、やはり耐久性
及び製造組み立て性に課題がある。

そこで本考案は、上記事情に鑑み、屈折旋回状態で確実
に回転伝達ができ、低コスト、省スペースで、しかも耐
久性、製造上の組み立て性に優れた農業機械用継手構造
を提供すべく創案されたもである。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、農業用作業機器が接続される従動軸に、主動
軸に対して直交する軸回りに屈折旋回させつつ回転駆動
力を伝達するための農業用継手構造において、直交する
軸に沿って設けられたピン部材と、主動軸及び従動軸の
対向する端部にそれぞれ取り付けられたベベルピニオン
と、このベベルピニオンを覆って主動軸及び従動軸をそ
れぞれ軸支すると共にその先端が分岐して延出され延出
端同士が摺動自在に重ね合わされてピン部材の両端部で
枢支されたフォーク部材と、フォーク部材の一方の重合
部の内側で上記ピン部材に軸支され両ベベルピニオンに
噛合するベベルホイルとを備えたものである。

［作用］ 上記構成によって、主動軸が回転してその端部に取り付
けられたベベルピニオンが回転すると、これに噛合した
ベベルホイルが回転し、従動軸のベベルピニオンに伝達
されて、農業用作業機器が作動される。従動軸が直交す
る軸を中心に屈折されると、ピン部材がフォーク部材を
支持して従動軸側を旋回させると共に、ベベルホイルと
ベベルピニオンとが噛合した状態を維持して、回転伝達
を可能にする。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を添付図面に従って説明する。

第１図および第２図は本考案の一実施例に係る農業機械
用継手構造の要部（継手部）を示した構成図であり、図
中駆動源（図示せず）を右方に配設した構成となってい
る。

継手部１は駆動源側Ａに位置する主動軸２の出力端部３
に固着されたベベルピニオン４と、主動軸２に対向して
配設され、出力側Ｂに位置する従動軸５の入力端部６に
固着されたベベルピニオン７と、両ベベルピニオン４，
７に噛合して回転されるように設けられたベベルホイル
８により構成されている。

両ベベルピニオン４，７は、ベベルホイル８が噛合し得
るように適宜間隔を隔てて設けられていると共に、主動
側フォーク部材９と従動側フォーク部材１０に被覆され
且つ軸受１１，１２において回転自在に軸支されてい
る。

主動側フォーク部材９は、中空に形成され且つ主動軸２
をその内部に貫通させている主動側ビーム１３と一体的
に成形され、その先端は分岐されて従動側に延出されて
いる。また従動側フォーク部材１０は、従動側ビーム１
４の端部に接続され、同様に分岐・延出しており、これ
ら延出端同士が、摺動自在に重ね合わされている。そし
てこの重合部１５に、ピン部材１６が挿通されている。
このピン部材１６は、主動軸２及び従動軸５と直交する
軸である旋回軸１８に沿って設けられ、その両端が第２
図中上下の重合部１５ａ，１５ｂに形成されたボス穴に
嵌挿され、これらを旋回方向へ摺動自在に支持してい
る。

一方、ベベルホイル８は、一方の重合部１５ａの内側に
設けられ、上記ピン部材１６に軸受１９を介して回転自
在に軸支されて、主動軸２の回転をベベルピニオン４，
７を介して従動軸５に伝達するように設けられている。
そしてこのベベルホイル８は、従動軸５がピン部材１６
を旋回軸１８として旋回する際に、回転を伝達されつつ
滑らかに旋回できるように、従動軸５の入力端部６の旋
回回動軌道面２０と一致したピッチ面２１を有するよう
になっている。

さらに従動側ビーム１４には、従動側ビーム１４を旋回
させるための油圧シリンダ２２の端部を回動自在に軸支
しているブラケット２３が備えられている。

次に本実施例の作用を述べる。

主動軸２が駆動源（図示せず）によって回転軸１７を中
心に回転すると、主動軸２の出力端部３に設けられたベ
ベルピニオン４も回転して、このベベルピニオン４と噛
合するように設けられているベベルホイル８が回転す
る。そしてこのベベルホイル８は従動軸５の入力端部６
に設けられたベベルピニオン７とも噛合するようになっ
ているので、ベベルホイル８の回転はベベルピニオン７
を介して従動軸５へ伝達される。

また、油圧シリンダ２２によって従動側ビーム１４が旋
回するような力が加えられると、従動側ビーム１４は、
ピン部材１６を旋回軸１８として旋回し、同時に従動側
ビーム１４に内設された従動軸５も、従動側のベベルピ
ニオン７をベベルホイル８に噛合させながら旋回され
る。

そして従動軸５の旋回中に、主動軸２が回転しても、従
動側のベベルピニオン７はベベルホイル８のピッチ面２
１に一致した旋回回動軌道面２０において回動している
ので、回転の伝達に必要な噛合状態は維持され、旋回角
変位の程度にかかわらず主動軸２の回転は従動軸５へ伝
達される。

このように、回転の伝達をベベルピニオンとベベルホイ
ルにより行なわせるようにしたので、ビームの水平・屈
折の如何および屈折の程度にかかわらず回転を確実に伝
達させることができる。また旋回の繰り返しても摺動す
る部分はないので、摩耗等の生じる恐れはない。そし
て、回転駆動力の伝達はベベルホイル８によって、旋回
はフォーク部材９，１０及びピン部材１６によってそれ
ぞれ行うようにしたので、旋回に伴って生じる回転伝達
以外の荷重等はベベルホイル８にかかることがなく、耐
久性に悪影響を与えない。

また傘歯車を必要最少源の三個としたことで、コスト高
・大規模構造となるのを未然に防いでおり、この構成に
おいて、ピン部材１６がフォーク部材９，１０を貫通し
て重合部１５ａ，１５ｂを枢支し、その内側でベベルホ
イル８を軸支しているので、旋回が安定した堅牢な構造
にできるとともに、フォーク部材９，１０よりも外方へ
延出した部分がなく、省スペースの構造にできる。さら
に製造組み立ての際には、ベベルホイル８をベベルピニ
オン４，７に噛合させ、フォーク部材９，１０を重ね合
わせてからピン部材１６を重合部１５ａ，１５ｂに貫通
させるだけでよいので、精度よくしかも迅速に組み立て
ができる。

なお、本実施例にあっては、標準スグバカサ歯車を用い
ているが、マガリバカサ歯車等の他のカサ歯車を使用し
ても構わない。さらに継手部全体を可撓性のあるカバー
で被覆して防塵及び作業者に対する安全性を考慮するこ
ともできる。

［具体的実施例］ 第３図は、本考案に係る継手構造によって構成した牧草
反転集草機のうち、対称に形成された作業機器接続部の
片半部を示したものである。

前記継手部１は、末端に作業機器２４を備えた従動側ビ
ーム１４と、トラクタ出力軸（図示せず）と連結してい
る入力軸２５を備えた主動側ビーム１３との連結部２６
に設けられている。作業機器２４は、下部に走行車輪２
７を備えていると共に牧草を反転・拡散させるための複
数のタイン２８を先端に固着させ、これらを回転させる
ためのロータ２９により形成されている。このロータ２
９は従動側ビーム１４に内設されている従動軸５に回転
自在に連結されているものの他、主動軸２と連結されて
いるものもあり、図示した機械は図示しない片半部と合
せて合計４箇所に作業機器２４を備えている。またビー
ム１３，１４の上方には油圧シリンダ２２が設けられて
おり、その一端は入力軸２５上方のブラケット３０に支
持され、他端は従動側ビーム１４の継手部１近傍にブラ
ケット２３を介して旋回自在に軸支されている。この油
圧シリンダ２２は、自身の伸縮によって従動側ビーム１
４を水平から垂直、あるいは垂直を越えて旋回させると
共に、この範囲で主動側ビーム１３からの角変位を保持
できるようにトラクタに内蔵した油圧ポンプ（図示せ
ず）と連結されている。

上記のように構成された牧草反転集草機により作業する
場合は、まず両ビーム１３，１４を直線状、即ち水平に
保ってから、トラクタ出力軸（図示せず）により回転力
を主動軸２に入力し、主動軸２と連結されているロータ
２９を回転させると共に、継手部１を介して従動軸５に
回転を伝達する。そして従動軸５に連結されているロー
タ２９をも駆動させて、これらのロータ２９に備えられ
たタイン２８が牧草を反転・拡散させることになる。

また、機械を方向転換させたり、路上走行するときは、
機械巾を縮めるために、油圧シリンダ２２を駆動させて
従動側ビーム１４を旋回屈折させる。この場合は牧草を
反転・拡散する作業は行なわないので、主動軸２を回転
させる必要はないが、仮に回転したまま旋回しても、回
転は伝達されるので、継手部１に何ら支障はない。

よって、従動側ビーム１４を旋回屈折させる毎に主動軸
２の回転を停止させる必要がないので、このような旋回
が頻繁に行なわれる上記作業においては操作が容易とな
る。

［考案の効果］ 以上要するに本考案によれば次のごとき優れた効果を発
揮する。

主動軸及び従動軸に取り付けられたベベルピニオンと、
主動軸及び従動軸をそれぞれ軸支し摺動自在に重なり合
うフォーク部材と、一方の重合部の内側に設けられてベ
ベルピニオンに噛合するベベルホイルと、両重合部を両
端で枢支すると共にベベルホイルを回動自在に嵌挿させ
たピン部材とを備えたので、屈折旋回させた状態にあっ
ても確実に回転伝達ができ、耐久性があり、低コスト及
び省スペースで、製造上の組み立て性が良い構造とする
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案に係る農業機械用継手構造
の一実施例を示す部分破断正面図及び平面図、第３図は
具体的実施例を示す概略図、第４図は従来の農業機械用
継手構造により構成された農業機械の概略図、第５図は
第４図の一部を拡大した部分破断平面図である。 図中、２は主動軸、３は出力端部、４，７はベベルピニ
オン、５は従動軸、６は入力端部、８はベベルホイル、
９は主動側フォーク部材、１０は従動側フォーク部材、
１５は重合部、１６はピン部材、２４は農業用作業機
器、Ｂは出力側である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】農業用作業機器が接続される従動軸に、主
   動軸に対して直交する軸回りに屈折旋回させつつ回転駆
   動力を伝達するための農業用継手構造において、上記直
   交する軸に沿って設けられたピン部材と、上記主動軸及
   び従動軸の対向する端部にそれぞれ取り付けられたベベ
   ルピニオンと、該ベベルピニオンを覆って上記主動軸及
   び従動軸をそれぞれ軸支すると共にその先端が分岐して
   延出され該延出端同士が摺動自在に重ね合わされて上記
   ピン部材の両端部で枢支されたフォーク部材と、該フォ
   ーク部材の一方の重合部の内側で上記ピン部材に軸支さ
   れ上記両ベベルピニオンに噛合するベベルホイルとを備
   えたことを特徴とする農業機械用継手構造。